JP6738627B2 - カーボンナノチューブ線材及びカーボンナノチューブ線材接続構造体 - Google Patents

カーボンナノチューブ線材及びカーボンナノチューブ線材接続構造体 Download PDF

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Description

本発明は、複数のカーボンナノチューブを束ねてなるカーボンナノチューブ束の複数を撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材、及びカーボンナノチューブ線材と該線材の長手方向端部に接続される端子とを備えるカーボンナノチューブ線材接続構造体に関する。
従来、自動車や産業機器などの様々な分野における電力線や信号線として、一又は複数の線材からなる芯線と、該芯線を被覆する絶縁被覆とからなる電線が用いられている。芯線を構成する線材の材料としては、通常、電気特性の観点から銅又は銅合金が使用されるが、近年、軽量化の観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が提案されている。例えば、アルミニウムの比重は銅の比重の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の導電率の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であり、アルミニウム線材に、銅線材と同じ電流を流すためには、アルミニウム線材の断面積を、銅の線材の断面積の約1.5倍と大きくする必要があるが、そのように断面積を大きくしたアルミニウム線材を用いたとしても、アルミニウム線材の質量は、純銅の線材の質量の半分程度であることから、アルミニウム線材を使用することは、軽量化の観点から有利である。
上記のような背景のもと、昨今では、自動車、産業機器等の高性能化・高機能化が進められており、これに伴い、各種電気機器、制御機器などの配設数が増加するとともに、これら機器に使用される電気配線体の配線数も増加する傾向にある。また、その一方で、環境対応のために自動車等の移動体の燃費を向上させるため、線材の軽量化が強く望まれている。
こうした更なる軽量化を達成するための新たな手段の一つとして、カーボンナノチューブを線材として活用する技術が新たに提案されている。カーボンナノチューブは、六角形格子の網目構造を有する筒状体の単層、あるいは略同軸で配された多層で構成される3次元網目構造体であり、軽量であると共に、導電性、電流容量、弾性、機械的強度等の特性に優れるため、電力線や信号線に使用されている金属に代替する材料として注目されている。
カーボンナノチューブの比重は、銅の比重の約1/5(アルミニウムの約1/2)であり、また、カーボンナノチューブ単体は、銅(抵抗率1.68×10−6Ω・cm)よりも高導電性を示す。したがって理論的には、複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてカーボンナノチューブ集合体を形成すれば、更なる軽量化、高導電率の実現が可能となる。しかしながら、nm単位のカーボンナノチューブを撚り合わせて、μm〜mm単位のカーボンナノチューブ線材を作製した場合、構成単位となる1本当たりの外径が非常に小さいため、カーボンナノチューブ間の接触抵抗や内部欠陥形成が要因となり、線材全体の抵抗値が増大してしまうという問題があることから、カーボンナノチューブをそのまま線材として使用することが困難であった。また、カーボンナノチューブ線材に端子を接続してカーボンナノチューブ線材接続構造体を作製する場合、車両などの移動体用の接続構造体に求められる電気的特性、機械的強度を実現するために、カーボンナノチューブ線材と端子との接合部における導電性、強度等を確保する必要があった。
そこで、カーボンナノチューブ撚線(線材)の端部でCVD(chemical vapor Deposition)等によってCNTを成長させ、当該端部から伸びた成長CNTを他のカーボンナノチューブ撚線或いはその成長CNTと接続することにより、カーボンナノチューブ撚線同士の接続強度や電気的特性を実現することが可能な製造方法が提案されている(特許文献1)。
特開2013−47402号公報
しかしながら、上記特許文献では、複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材の端部同士を、成長CNTを介して接続することが開示されているにすぎず、カーボンナノチューブ線材と端子との接合部における導電性、強度については開示されていない。特に、カーボンナノチューブ線材(炭素)と金属製端子(銅等)は異種材料であり、接合部に異種材料の界面が形成されることから、カーボンナノチューブ線材に金属製端子を接合し難いという問題がある。
本発明の目的は、カーボンナノチューブ線材と端子との界面接続における導電性の低下を抑制して、端子との接合部における良好な導電性及び強度を実現することができるカーボンナノチューブ線材、及びカーボンナノチューブ接続構造体を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明に係るカーボンナノチューブ線材は、1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材であって、前記カーボンナノチューブ線材の長手方向端部に接続される端子との接合部に設けられ、前記カーボンナノチューブと前記端子との間に介在する金属ナノ粒子を備えることを特徴とする。
また、前記カーボンナノチューブ線材は、前記カーボンナノチューブ線材の長手方向に亘って含有された金属部材を有し、前記カーボンナノチューブ線材における、カーボンナノチューブに対する前記金属ナノ粒子の金属含有量が、前記カーボンナノチューブに対する前記金属部材の金属含有量よりも大きい。
前記カーボンナノチューブ線材は、前記カーボンナノチューブ間に介在する他の金属ナノ粒子を更に備える。
前記カーボンナノチューブは、前記層構造における1つの層を規定する炭素原子の規則格子配列内に形成された開口部を有し、前記金属ナノ粒子が、前記開口部内に配置されると共に、当該開口部を画定する複数の炭素原子と結合している。
前記開口部は、前記規則格子配列の格子欠陥に由来する。
また、前記金属ナノ粒子又は前記他の金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブと接合される多孔質の接合部位を構成する。
また、前記接合部位の空隙率が、5〜40%であるのが好ましい。
前記金属ナノ粒子又は前記他の金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブの長手方向に沿って、200nm〜600nmの間隔で設けられるのが好ましい。
前記金属ナノ粒子又は前記他の金属ナノ粒子は、銅又は銅合金からなるのが好ましい。
前記カーボンナノチューブ線材に、異種元素がドープされているのが好ましい。
前記カーボンナノチューブが、2層〜4層のうちのいずれかの層構造を有するのが好ましい。
上記目的を達成するために、本発明に係る複数のカーボンナノチューブ束を撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材と、前記カーボンナノチューブ線材に接続される端子とを備えるカーボンナノチューブ線材接続構造体であって、前記カーボンナノチューブ線材の長手方向端部に接続される端子との接合部に設けられ、前記カーボンナノチューブと前記端子との間に介在する金属ナノ粒子を備えることを特徴とする。
前記接合部において、前記カーボンナノチューブ線材の前記長手方向端部が、前記金属ナノ粒子を介して前記端子に圧着されている。
本発明によれば、金属ナノ粒子が、カーボンナノチューブ線材の長手方向端部に接続される端子との接合部に設けられ、且つカーボンナノチューブと端子との間に介在するので、カーボンナノチューブ線材の長手方向端部と端子とを金属ナノ粒子で連結することができ、カーボンナノチューブ線材が、当該金属ナノ粒子を介して端子と良好に接合される。したがって、カーボンナノチューブ線材と端子との界面接続における導電性の低下を抑制して、端子との接合部における良好な導電性及び強度を実現することができる。
また、カーボンナノチューブ間に介在する他の金属ナノ粒子を更に備えるので、カーボンナノチューブ間における径方向の導電性が向上し、カーボンナノチューブが本来有する軸方向への良好な導電性に加えて、径方向への良好な導電性を実現することができ、カーボンナノチューブ間の良好な導電性を実現することができる。
更に、カーボンナノチューブは、層構造における1つの層を規定する炭素原子の規則格子配列内に形成された開口部を有しており、金属ナノ粒子が、開口部内に配置されると共に、当該開口部を画定複数の炭素原子と結合しているので、カーボンナノチューブと金属ナノ粒子とが良好に接合され、カーボンナノチューブと金属ナノ粒子との間で良好な導電性及び強度を実現することができる。
本発明の実施形態に係るカーボンナノチューブ線材接続構造体の構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は圧着前の状態を示す斜視図、(c)は、カーボンナノチューブ線材と端子との接合部の線I−Iに沿う断面図を示す。 図1(a)のカーボンナノチューブ線材を構成するカーボンナノチューブ束の詳細構成を示す模式図である。 図2のカーボンナノチューブ間に介在する金属ナノ粒子の一例を示す電子顕微鏡画像である。 図2のカーボンナノチューブ間に介在する金属ナノ粒子の一例を示す模式断面図である。 (a)〜(d)は、図1のカーボンナノチューブ線材接続構造体の製造方法の一例を示す図である。 (a)及び(b)は、図2のカーボンナノチューブ線材接続構造体の製造方法におけるカーボンナノチューブの酸処理及び金属ナノ粒子形成処理をそれぞれ説明する図である。 (a)〜(d)は、図1のカーボンナノチューブ線材接続構造体の変形例及びその製造方法を示す図である。 図1のカーボンナノチューブ線材接続構造体における端子の変形例を示す斜視図であり、(a)は圧着後、(b)は圧着前の状態を示す。 図1のカーボンナノチューブ線材接続構造体における端子の他の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
<カーボンナノチューブ線材接続構造体の構成>
図1は、本実施形態に係るカーボンナノチューブ線材接続構造体の構成を概略的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)は圧着前の状態を示す斜視図、(c)は、カーボンナノチューブ線材と端子との接合部の線I−Iに沿う断面図を示す。なお、図1におけるカーボンナノチューブ線材接続構造体は、その一例を示すものであり、本発明に係る各構成の形状、寸法等は、図1のものに限られないものとする。
図1(a)及び(b)に示すように、カーボンナノチューブ線材接続構造体1(以下、CNT線材接続構造体という)は、複数のカーボンナノチューブ束11A−1(以下、CNT束という)を撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材11(以下、CNT線材という)と、CNT線材11に接続される端子20とを備える。本実施形態では、CNT電線10が、CNT線材11と、該CNT線材を被覆する絶縁被覆12とを有しており、CNT電線10の端部に端子20が取り付けられている。
(端子の構成)
端子20は、不図示の外部端子と電気的に接続されるコネクタ部21と、該コネクタ部と連結され且つCNT電線10と圧着される電線圧着部22と、コネクタ部21と電線圧着部22とを連結するトランジション部23とを有する。この端子20は、金属基体からなり、この金属基体を金属材料(銅、アルミニウム、鉄、またはこれらを主成分とする合金等)からなる母材のみで構成するか、或いは導電性と強度を確保するために母材上に金属を主成分とするめっき層を設けて構成することができる。
めっき層は、母材の一部あるいは全部に適宜設けられるものであり、接点特性や耐環境性の観点からすずや銀、金等の貴金属が好ましい。めっき層は1層以上あっても良く、例えば鉄(Fe)やニッケル(Ni)、コバルト(Co)またはこれらを主成分とする合金等の下地をさらに設けてもよい。このめっき層の厚さは、母材の保護及びコスト等を考慮し、合計で0.3μm〜3.0μmである。めっき層が母材の一部に設けられる場合、当該めっき層は、ストライプやスポットなどの形状で形成される。カーボンナノチューブに対する1層目のめっきは、カーボンナノチューブとの密着力に優れた金属、2層目以上は電気伝導の優れた金属であることが好ましい。
コネクタ部21は、雄型圧着端子等の挿入タブの挿入を許容するボックス部であり、挿入タブを収容するための収容口21aを有している。本実施形態ではコネクタ部21が雌型端子であるが、雄型端子等の他の形状であってもよい。
トランジション部23は、コネクタ部21と電線圧着部22の橋渡しとなる部分であり、幅方向断面略コの字型に形成されている。トランジション部23は立体的に形成されていても、平面的に形成されていてもよいが、端子長手方向の曲げに対する機械的強度の観点からは、長手方向の断面2次モーメントが大きくなるように設計するのが好ましい。
電線圧着部22は、トランジション部23を介してコネクタ部21に連結された線材圧着部22Aと、線材圧着部22Aと長手方向(図中のX方向)に沿って並べて設けられ、線材圧着部22Aのトランジション部23とは反対側に配置された被覆圧着部22Bとを有しており、これらが上記金属基体にて一体成形されている。電線圧着部22の内側面22aには、複数の突起あるいはセレーションなどで形成される凹凸部24が設けられている。
圧着前の線材圧着部22Aは、図1(b)に示すように、幅方向断面略U型に形成された部位であり、バレル底部22A−1と、その幅方向(図中のY方向)に関してその両側から斜め外側上方に延出する一対のバレル片22A−2,22A−2とで構成されている。圧着前の被覆圧着部22Bも、線材圧着部22Aと同様、幅方向断面略U型に形成された部位であり、バレル底部22B−1と、幅方向Yに関してその両側から斜め外側上方に延出する一対のバレル片22B−2,22B−2とで構成されている。一対のバレル片22A−2,22A−2及び一対のバレル片22B−2,22B−2は、それぞれ内側に折り曲げて加締められており、線材圧着部22AがCNT線材11の長手方向端部11aに、被覆圧着部22Bが絶縁被覆12にそれぞれ接合されている。
接合部30は、CNT線材11の長手方向端部11aと、線材圧着部22Aのバレル底部22A−1及び一対のバレル片22A−2,22A−2とが圧着された部位であり、この接合部30において、CNT線材11の長手方向端部11aが所定金属含有部材11−2を介して端子20に圧着されている。
(CNT線材及びCNTの構成)
CNT線材11は、1層以上の層構造を有するCNTの複数が束ねられてなるCNT複合体11A同士を撚り合わせて構成されている。CNT線材11の外径は、0.01〜1mmである。
すなわち、CNT線材11は、複数のCNTが纏められた束状体となっており、これら複数のCNTの軸方向がほぼ揃って配されている。CNT線材11は、異種元素がドープされたCNT束11A−1の複数を撚り合わせて構成されてもよい。
図2は、図1(b)のCNT複合体11Aの詳細構成を示す模式図である。なお、本発明におけるCNT複合体の各構成要素は、図2の形状、寸法のものに限られない。
同図に示すように、CNT複合体11Aは、2層の層構造を有する複数のCNT11A’,11A’,・・・が束ねられてなるCNT束11A−1(CNT集合体ともいう)を有している。そして、複数のCNT11A’,11A’,・・の最外層間に、CNT束11A−1の長手方向に沿って複数の空隙部11Bが形成されており、この複数の空隙部11Bには金属ナノ粒子11A−2(他の金属ナノ粒子)が配置されている。また、CNT線材11の外周部に配置されたCNT複合体11Aを構成するCNT11A’,11A’の外周部に、金属ナノ粒子11A−2が配置されている。
すなわち本実施形態では、CNT線材11は、CNT線材11の長手方向端部11aに接続される端子20との接合部30に設けられ(図1(c))、且つCNT束11A−1(CNT11A’)と端子20との間に介在する金属ナノ粒子11A−2を備える。なお、金属ナノ粒子11A−2は微小であるため、図1(c)では金属ナノ粒子11A−2を図示していないが、実際には図2に示すように、各CNT複合体11Aを構成するCNT11A’間、及び該CNT複合体11Aの外周に、金属ナノ粒子11A−2が配置されている。
CNT線材11を構成するCNTは、単層構造又は複層構造を有する筒状体であり、それぞれSWNT(single-walled nanotube)、MWNT(multi-walled nanotube)と呼ばれる。例えば、2層構造を有するCNTは、六角形格子の網目構造を有する2つの筒状体が略同軸で配された3次元網目構造体となっており、DWNT(Double-walled nanotube)と呼ばれる。構成単位である六角形格子は、その頂点に炭素原子が配された六員環であり、他の六員環と隣接してこれらが連続的に結合している。
CNTの性質は、上記のような筒状体のカイラリティ(chirality)に依存する。カイラリティは、アームチェア型、ジグザグ型、及びそれ以外のカイラル型に大別され、アームチェア型は金属性、カイラル型は半導体性、ジグザグ型はその中間の挙動を示す。よってCNTの導電性はいずれのカイラリティを有するかによって大きく異なり、CNT集合体の導電性を向上させるには、金属性の挙動を示すアームチェア型のCNTの割合を増大させることが重要とされてきた。一方、半導体性を有するカイラル型のCNTに電子供与性もしくは電子受容性を持つ物質(異種元素)をドープすることにより、金属的挙動を示すことが分かっている。また、一般的な金属では、異種元素をドープすることによって金属内部での伝導電子の散乱が起こって導電性が低下するが、これと同様に、金属性CNTに異種元素をドープした場合には、導電性の低下を引き起こす。
このように、金属性CNT及び半導体性CNTへのドーピング効果は、導電性の観点からはトレードオフの関係にあると言えることから、理論的には金属性CNTと半導体性CNTとを別個に作製し、半導体性CNTにのみドーピング処理を施した後、これらを組み合わせることが望ましい。しかし、現状の製法技術では金属性CNTと半導体性CNTとを選択的に作り分けることは困難であり、金属性CNTと半導体性CNTが混在した状態で作製される。このため、金属性CNTと半導体性CNTの混合物からなるCNT線材の導電性を向上させるには、異種元素・分子によるドーピング処理が効果的となるCNT構造を選択することが好ましい。
本実施形態では、CNT線材11を構成するCNTは、2層〜4層のうちのいずれかの層構造を有するのが好ましい。また、複数のCNTの集合体で構成されるCNT束11A−1において、複数のCNTの個数に対する、2層構造又は3層構造を有するCNTの個数の和の比率が50%以上であるのが好ましく、75%以上であるのがより好ましい。すなわち、一のCNT束を構成する全CNTの総数をNTOTAL、上記全CNTのうち2層構造を有するCNT(2)の数の和をNCNT(2)、上記全CNTのうち3層構造を有するCNT(3)の数の和をNCNT(3)としたとき、下記式(1)で表すことができる。
(NCNT(2)+NCNT(3))/NTOTAL×100(%)≧50(%) ・・・(1)
2層構造又は3層構造のような層数が少ないCNTは、それより層数の多いCNTよりも比較的導電性が高い。また、ドーパントは、CNTの最内層の内部、もしくは複数のCNTで形成されるCNT間の隙間に導入される。CNTの層間距離はグラファイトの層間距離である0.335nmと同等であり、多層CNTの場合その層間にドーパントが入り込むことはサイズ的に困難である。このことからドーピング効果はCNTの内部および外部にドーパントが導入されることで発現するが、多層CNTの場合は最外層および最内層に接していない内部に位置するチューブのドープ効果が発現しにくくなる。以上のような理由により、複層構造のCNTにそれぞれドーピング処理を施した際には、2層構造又は3層構造を有するCNTでのドーピング効果が最も高い。また、ドーパントは、強い求電子性もしくは求核性を示す、反応性の高い試薬であることが多い。単層構造のCNTは多層よりも剛性が弱く、耐薬品性に劣るためにドーピング処理を施すと、CNT自体の構造が破壊されてしまうことがある。よって本発明ではCNT集合体に含まれる2層構造又は3層構造を有するCNTの個数に着目する。また、2層又は3層構造のCNTの個数の和の比率が50%未満であると、単層構造或いは4層以上の複層構造を有するCNTの比率が高くなり、CNT集合体全体としてドーピング効果が小さくなり、高導電率が得にくくなる。よって、2層又は3層構造のCNTの個数の和の比率を上記範囲内の値とする。
CNTにドープされるドーパントは、導電性が向上すれば特に限定はないが、例えば硝酸、硫酸、ヨウ素、臭素、カリウム、ナトリウム、ホウ素及び窒素からなる群から選択される1つ以上の異種元素もしくは分子である。
また、CNT束11A−1を構成するCNTの最外層の外径は5.0nm以下であるのが好ましい。CNT束11A−1を構成するCNTの最外層の外径が5.0nmを超えると、CNT間および最内層の隙間に起因する空孔率が大きくなり、導電性が低下してしまうため、好ましくない。したがって、CNT束11A−1を構成するCNTの最外層の外径を5.0nm以下とする。
CNT線材11は、線材全体の強度及び導電性の観点から、当該線材に分散配置された他の金属部材を有していてもよい。他の金属部材は、例えば長尺状の線材或いは粒子であり、このような形状を有する他の金属部材がCNTに混合されている。上記他の金属部材の金属は、例えば銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金を主成分とする材料である。
本発明における金属ナノ粒子11A−2は、上述のように、CNT線材11の長手方向端部11aに配置されるものであり、且つCNTの長手方向に沿って200nm〜600nmの間隔で設けられている。CNTの格子欠陥が、CNTの長手方向に沿って200nm〜600nmの間隔で生じるため、複数の金属ナノ粒子11A−2が上記間隔で成長する。このように、金属ナノ粒子11A−2は、CNT線材11の長手方向全体に亘って含有される上記他の金属部材とは異なる。本発明のCNT線材11の接合部30におけるCNT線材11に対する金属ナノ粒子11−2の含有量は、75〜200wt%が好ましく、より好ましくは80〜200wt%である。上記含有量が75wt%以下であると端子を圧着した際に導電性を維持することができない可能性が高い。また、CNT線材11におけるCNT11A’に対する上記金属ナノ粒子11A−2の金属含有量は、当該CNTに対する上記他の金属部材の金属含有量よりも大きい。尚、本発明のCNT線材11は、炭素(C)を主成分とする線材であり、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の金属を主成分とする線材と異なることは言うまでもない。
図3は、図2のCNT11A’間に介在する金属ナノ粒子11A−2の一例を示す電子顕微鏡画像であり、図4は、図2のCNT11A’間に介在する金属ナノ粒子11A−2の一例を示す模式断面図である。
同図に示すように、金属ナノ粒子11A−2は、一方のCNT11A’を構成する筒状体T1(内層)及び筒状体T2(最外層)と結合し(図4)、且つ他方のCNT11A’ 筒状体T1及び筒状体T2と結合している。金属ナノ粒子11A−2は、CNT11A’の筒状体T1,T2の双方と結合してもよいし、最外層である筒状体T2とのみ結合していてもよい。
CNT11A’は、その層構造における1つの層を規定する炭素原子の規則格子配列内に形成された開口部50を有している。この開口部50は、上記規則格子配列の格子欠陥に由来して形成されるものである。開口部50は、例えば、化学的、機械的に安定なsp結合を有する六員環からなる規則格子配列中に形成されている五員環や七員環などの格子欠陥を、酸処理などで除去することにより得られる。
金属ナノ粒子11A−2は、開口部50内に配置されると共に、当該開口部を画定する複数の炭素原子13と結合している(図3)。この金属ナノ粒子11A−2は、開口部50を画定する複数の炭素原子13或いはその近傍を基準として核形成し、CNT11A’の径方向に結晶成長することによって形成されると推察される。これにより、金属ナノ粒子11A−2はCNT11A’と格子整合している。また、隣接配置された2つのCNT11A’間において、対向するように形成された2つの開口部50が存在する場合、これら2つの開口部50から互いに接近するように結晶成長し、これらの結晶粒が結合することで、2つのCNT11A’間に金属ナノ粒子11A−2が配置される。
また、金属ナノ粒子11A−2は、CNT11A’と接合される多孔質の接合部位を構成するのが好ましい。金属ナノ粒子11A−2で構成される接合部位が多孔質である場合、上記接合部位の空隙率が、5〜40%であるのが好ましい。なお、上記空隙率の測定はCNTを除外した、金属からなる接合部位に対して行ったものである。空隙率が5%以上であると、接合部位が膨張・収縮に追従できるため接合がより強固になり、40%以下であると、粗大なボイドの発生が抑えられ接合性が良好となる。上記接合部位における空隙の平均空孔径は10nm〜300nmであることが好ましい。また、接合部位を形成するCNTと金属ナノ粒子との分布は、CNT間に金属ナノ粒子が連続的に入り組んでいる構造が好ましい。導電性の確保と端子と圧着などで接合した場合の接合強度の確保が高いレベルで実現できるためである。CNT金属ナノ粒子11A−2の平均粒子径は、例えば500nm以下であり、好ましくは10nm〜300nmである。
また、金属ナノ粒子11A−2は、Cu(銅)、Mn(モリブデン)、Fe(鉄)、Co(コバルト)、Ni(ニッケル)及びCu(銅)からなる群から選択される少なくとも1つの材料からなり、特に、導電性の観点からCu又はCu合金からなるのが好ましい。
<カーボンナノチューブ線材接続構造体の製造方法>
図5(a)〜(d)は、図1のカーボンナノチューブ線材接続構造体1の製造方法の一例を示す図である。
先ず、CNT電線10の絶縁被覆12の一部を剥いで、CNT線材11の長手方向端部11aを露出させたものを準備する(図5(a))。次いで、露出したCNT線材11の長手方向端部11aに酸処理を施す(図5(b))。例えば、CNT線材11の長手方向端部11aを、70〜80℃に熱した濃塩酸に30分程度浸漬する。これにより、図6(a)に示すように、CNT11A’において、炭素原子の規則格子配列内に存在する五員環50A’及び七員環50B’等の格子欠陥が酸処理により破壊され、この格子欠陥に相当する部分に開口部50が形成される。開口部50は、規則格子配列の一部である複数の炭素原子13に取り囲まれており、これら複数の炭素原子13が当該開口部50を画定している。
上記酸処理前或いは酸処理後に、超音波発生装置を用いて、露出したCNT線材11の長手方向端部11aに超音波を付与し、当該長手方向端部11aを粗化してもよい。この粗化処理は、超音波以外に、レーザ或いはブラストを用いて行ってもよい。これにより、CNT線材11の長手方向端部11aに、複数の延出部からなる凹凸部(粗化部)が形成される。複数の延出部あるいは凹凸部の長手方向長さは、端子20との接続部の長さに因って決定される。
次に、CNT線材11の長手方向端部11aに金属ナノ粒子形成処理を施す。例えば、水酸化ナトリウム水溶液に酸処理を施したCNTを投入し、更に硝酸銅を同溶液に投入する。この溶液を予め30℃以下に保った状態でヒドラジンを投入する。水溶液内では、銅イオン、ヒドラジン、水酸化ナトリウムが反応し、銅が還元される。還元された銅は、CNTの格子欠陥部分を起点として結晶成長する。これにより、CNT11A’開口部50を閉塞し(図6(b))、且つCNT11A’の径方向に延出した結晶粒が形成され、CNT11A’の外周面に金属ナノ粒子11A−2が形成される。また、隣接或いは近接するCNT11A’において、対向するように設けられた2つの開口部でそれぞれ成長した結晶粒が互いに結合することで、隣接するCNT11A’間に金属ナノ粒子11A−2が形成され、金属ナノ粒子11A−2を介してCNT11A’間の電子伝導パスが形成される。
次に、図5(c)において、銅または銅合金の金属基体からなる板材を圧延して、所定厚さの板材を作製する。このとき、必要に応じて、母材からなる板材全体或いは板材の一部にめっき層を設けて金属部材を形成し、また、繰り返し形状の構成単位となる各板状部位における圧着部用板状体の表面に凹凸部を形成する。その後、この金属基体からなる板材を、プレス加工(1次プレス)にて、複数の圧着端子が平面展開した状態となるように、繰り返し形状で打ち抜く。その後、繰り返し形状の構成単位となる各板状部位に曲げ加工を施して(2次プレス)、コネクタ部21、トランジション部23及び線材圧着部22を有する端子20を形成する。
次いで、上記のように作製された端子20をCNT線材11の長手方向端部11aと圧着し、CNT線材接続構造体1を形成する(図5(d))。このとき、線材圧着部22Aのバレル底部22A−1にCNT線材11の長手方向端部11aを載置すると共に、被覆圧着部22Bのバレル底部22B−1に絶縁被覆12を載置して、一対のバレル片22A−2,22A−2及び一対のバレル片22B−2,22B−2をそれぞれ内側に折り曲げて加締める。これにより、線材圧着部22AがCNT線材11の長手方向端部11aに、被覆圧着部22Bが絶縁被覆12にそれぞれ接合され、CNT線材11の長手方向端部11aと線材圧着部22Aとの接合部30が形成される。そして、接合部30において、CNT11A’の金属ナノ粒子11A−2が線材圧着部22Aと接合され、金属ナノ粒子11A−2を介してCNT11A’と線材圧着部22Aとの電子伝導パスが形成される。
上記圧着前に、CNT線材11の長手方向端部11aに導電性材料を含有する流動性部材を塗布して、固化或いは硬化させてもよい。例えば、CNT線材11の長手方向端部11aをめっき処理して、当該長手方向端部11aに1又は複数のめっき層を設けてもよい。このめっき処理により、長手方向端部11aの金属ナノ粒子11A−2が低温でもめっきと強固に接合される。また、めっき層は、CNT線材11と比較して端子20に対する濡れ性が良好であるため、めっき層がより強固に端子20に接合される。
上記流動性部材は、例えばめっき又は導電性接着剤である。上記めっきは、例えばはんだめっき、銅めっき、ニッケルめっき、ニッケル−亜鉛合金めっき、パラジウムめっき、コバルトめっき、錫めっき又は銀めっきである。上記導電性接着剤は、例えば導電性材料からなるフィラーが充填されたエポキシ系などの導電性樹脂である。
図7(a)〜(d)は、図1のCNT線材接続構造体1の変形例及びその製造方法を示す図である。図1のCNT線材接続構造体1は、CNT線材11といわゆるオープンバレル型の端子20との接続構造を有するが、これに限らず、CNT線材11とクローズドバレル型の端子との接続構造を有していてもよい。
具体的には、端子60は、不図示の外部端子と電気的に接続されるコネクタ部21と、該コネクタ部とトランジション部23を介して設けられ、CNT電線10と圧着される電線圧着部61とを備える(図7(a))。電線圧着部61は、トランジション部23側が閉塞された形状(片端閉塞形状)を有する筒部材であって、CNT電線10の絶縁被覆12と圧着される被覆圧着部61Aと、電線挿入口62側からトランジション部23側に向かって縮径する縮径部61Bと、CNT線材11と圧着される線材圧着部61Cと、挿入口62側からトランジション部23側に向かって更に縮径し、その端部が溶接により閉塞される縮径部61Dとを有している。コネクタ部21及びトランジション部23の構成は、図1の端子20と同じであるので、その説明を省略する。
この電線圧着部61は、例えば平面展開した金属基体を立体的にプレス加工すると共に、断面が略C字型となる筒状体を形成し、この筒状体の開放部分(突き合わせ部)をレーザ溶接することにより形成される。筒状体のレーザ溶接は、該筒状体の長手方向(X方向)に沿って行われるため、その長手方向と略同一の方向に帯状溶接部(溶接ビード)が形成され、これにより電線圧着部61が形成される。また、電線圧着部61を形成した後、電線圧着部61のトランジション部23側の端部がレーザ溶接によって封止されるのが好ましい。この封止溶接は、圧着端子の長手方向に対して垂直な方向(Y方向)に沿って行われる。この封止溶接により、トランジション部23側からの水分等の浸入が防止される。また、線材圧着部61Cの内周面61aには、複数の突起或いはセレーション等で形成される凹凸部63が設けられてもよい(図4(b))。
端子60を用いてCNT線材接続構造体1Aを作製する場合にも、図5の場合と同様にして、CNT線材11の長手方向端部11aに酸処理を施して各CNTに開口部50を形成し(図6(a)参照)、その後、金属ナノ粒子形成処理を施して開口部50に金属ナノ粒子11A−2を形成する(図6(b)参照)。これにより、各CNT11A’の外周部に金属ナノ粒子が形成されると共に、複数のCNT11A’を連結する金属ナノ粒子が形成される。
その後、CNT線材11の長手方向端部11aを電線圧着部61内に挿入し(図7(c))、線材圧着部61CにCNT線材11の長手方向端部11aを載置すると共に、被覆圧着部61Aに絶縁被覆12を載置する。そして、電線圧着部61を加締めて、電線圧着部61をCNT線材11と圧着する(図7(d))。これにより、CNT線材11の長手方向端部11aと端子60の線材圧着部61Cとの接合部66が形成され、この接合部66において、CNT線材11の長手方向端部11aと線材圧着部61Cとの間に金属ナノ粒子11A−2が形成される。
上述したように、本実施形態によれば、金属ナノ粒子11A−2が、CNT線材11の長手方向端部11aに接続される端子20との接合部30に設けられ、且つCNT11A’と端子20との間に介在するので、CNT線材11の長手方向端部11aと端子20とを金属ナノ粒子11A−2で連結することができ、CNT線材11が、当該金属ナノ粒子11A−2を介して端子20と良好に接合される。したがって、CNT線材11と端子20との界面接続における導電性の低下を抑制して、端子20との接合部30における良好な導電性及び強度を実現することができる。
また、CNT11A’間に介在する金属ナノ粒子11A−2を更に備えるので、CNT11A’間における径方向の導電性が向上し、CNT11A’が本来有する軸方向への良好な導電性に加えて、径方向への良好な導電性を実現することができ、CNT11A’間の良好な導電性を実現することができる。
更に、CNT11A’は、層構造における1つの層を規定する炭素原子の規則格子配列内に形成された開口部50を有しており、金属ナノ粒子11A−2が、開口部50内に配置されると共に、当該開口部50を画定する複数の炭素原子13と結合しているので、CNT11A’と金属ナノ粒子11A−2とが良好に接合され、CNT11A’と金属ナノ粒子11A−2との間で良好な導電性及び強度を実現することができる。
以上、本発明の実施形態に係るCNT接続構造体およびその製造方法について述べたが、本発明は記述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想に基づいて各種の変形および変更が可能である。
上記実施形態では、CNT線材接続構造体は、CNT電線10とオープンバレル型の端子20との接続構造、或いはCNT電線10とクローズドバレル型の端子60との接続構造を有しているが、CNT電線と他の形状の端子との接続構造を有していてもよい。
例えば、図8(a)において、CNT線材接続構造体1Bの端子70は、不図示の外部端子と電気的に接続されるコネクタ部21と、該コネクタ部とトランジション部23を介して設けられ、CNT電線10と圧着される電線圧着部71とを備えている。
圧着前の電線圧着部71は、図8(b)に示すように、長手方向に関してその両端が開放した形状(両端開放形状)を有する筒部材であって、トランジション部23を介してコネクタ部21に連結され且つCNT線材11と圧着される線材圧着部71Aと、線材圧着部71Aのトランジション部23とは反対側に配置され、絶縁被覆12と圧着される被覆圧着部71Bとを有しており、これらが金属基体にて一体成形されている。電線圧着部71は、被覆圧着部71Bの長手方向端部に電線挿入口72を有すると共に、線材圧着部71Aの長手方向端部に開口73を有している。コネクタ部21及びトランジション部23の構成は、図1の端子20と基本的に同じであるので、その説明を省略する。
端子70を用いてCNT線材接続構造体1Bを作製する場合にも、上記と同様に、CNT線材11の長手方向端部11aに酸処理を施して各CNTに開口部50を形成し(図6(a)参照)、その後、金属ナノ粒子形成処理を施して開口部50に金属ナノ粒子11A−2を形成する(図6(b)参照)。
そして、電線挿入口72からCNT線材11の長手方向端部11aを挿入し、線材圧着部71AにCNT線材11の長手方向端部11aを載置すると共に、被覆圧着部71Bに絶縁被覆12を載置する(図8(b))。そして、電線圧着部71を加締めて、電線圧着部61をCNT線材11と圧着し(図8(a))、CNT線材11の長手方向端部11aと端子70の線材圧着部71Aとの接合部75を形成する。本接続構造体によっても、CNT線材11の長手方向端部11aと線材圧着部71Aとの間に金属ナノ粒子11A−2を介在させることができる。
また、図1のCNT線材接続構造体1では、端子のコネクタ部が雌型端子であるが、コネクタ部の細部形状は、特に限定されず、外部端子と係止あるいは嵌合して電気的に接続し得るものであれば、他の形状を有していてもよい。例えば図9に示すように、丸型端子80は、電線圧着部22と平板状のトランジション部81を介して一体接続され、中央の孔82にボルト等が挿通されて他の部材に固定されるリング部83を有していてもよい。
また、他の変形例として、CNT線材接続構造体が、雌型端子のコネクタ部に代えて、雄型端子のコネクタ部を有していてもよく、雄型端子が、例えば長尺状の接続部(挿入タブ)であってもよい。
1 CNT線材接続構造体
1A CNT線材接続構造体
1B CNT線材接続構造体
11 CNT線材
11A CNT複合体
11A−1 CNT束
11A−2 金属ナノ粒子
11A’ CNT
11B 空隙部
11a 長手方向端部
12 絶縁被覆
13 炭素原子
20 端子
21 コネクタ部
22 電線圧着部
22A 線材圧着部
22A−1 バレル底部
22A−2,22A−2 一対のバレル片
22B 被覆圧着部
22B−1 バレル底部
22B−2,22B−2一対のバレル片
22a 内側面
23 トランジション部
24 凹凸部
30 接合部
50 開口部
50A’ 五員環
50B’ 七員環
60 端子
61 電線圧着部
61A 被覆圧着部
61B 縮径部
61C 線材圧着部
61D 縮径部
61a 内周面
62 電線挿入口
63 凹凸部
66 接合部
70 端子
71 電線圧着部
71A 線材圧着部
71B 被覆圧着部
72 電線挿入口
75 接合部
80 丸形端子
81 トランジション部
82 孔
83 リング部
T1 筒状体
T2 筒状体

Claims (16)

  1. 1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材であって、
    前記カーボンナノチューブ線材の長手方向端部に接続される端子との接合部に設けられ、前記カーボンナノチューブと前記端子との間に介在する金属ナノ粒子を備え、
    前記金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブと接合される多孔質の接合部位を構成することを特徴とするカーボンナノチューブ線材。
  2. 1層以上の層構造を有する複数のカーボンナノチューブを撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材であって、
    前記カーボンナノチューブ線材の長手方向端部に接続される端子との接合部に設けられ、前記カーボンナノチューブと前記端子との間に介在する金属ナノ粒子を備え、
    前記金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブの長手方向に沿って200nm〜600nmの間隔で設けられることを特徴とするカーボンナノチューブ線材。
  3. 前記カーボンナノチューブ線材の長手方向に亘って含有された金属部材を有し、
    前記カーボンナノチューブ線材における、カーボンナノチューブに対する前記金属ナノ粒子の金属含有量が、前記カーボンナノチューブに対する前記金属部材の金属含有量よりも大きいことを特徴とする、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ線材。
  4. 前記カーボンナノチューブ間に介在する他の金属ナノ粒子を更に備えることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ線材。
  5. 前記カーボンナノチューブは、前記層構造における1つの層を規定する炭素原子の規則格子配列内に形成された開口部を有し、
    前記金属ナノ粒子が、前記開口部内に配置されると共に、当該開口部を画定する複数の炭素原子と結合していることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカーボ
    ンナノチューブ線材。
  6. 前記開口部は、前記規則格子配列の格子欠陥に由来することを特徴とする、請求項5に記載のカーボンナノチューブ線材。
  7. 前記他の金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブと接合される多孔質の接合部位を構成することを特徴とする、請求項4に記載のカーボンナノチューブ線材。
  8. 前記接合部位の空隙率が、5〜40%であることを特徴とする、請求項1に記載のカーボンナノチューブ線材。
  9. 前記他の金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブの長手方向に沿って200nm〜600nmの間隔で設けられることを特徴とする、請求項4に記載のカーボンナノチュー
    ブ線材。
  10. 前記金属ナノ粒子は、銅又は銅合金からなることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ線材。
  11. 前記他の金属ナノ粒子は、銅又は銅合金からなることを特徴とする、請求項4に記載のカーボンナノチューブ線材。
  12. 異種元素がドープされていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ線材。
  13. 前記カーボンナノチューブが、2層〜4層のうちのいずれかの層構造を有することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ線材。
  14. 複数のカーボンナノチューブを束ねてなるカーボンナノチューブ束の複数を撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材と、前記カーボンナノチューブ線材に接続される端子とを備えるカーボンナノチューブ線材接続構造体であって、
    前記カーボンナノチューブ線材の長手方向端部に接続される端子との接合部に設けられ、前記カーボンナノチューブと前記端子との間に介在する金属ナノ粒子を備え、前記金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブと接合される多孔質の接合部位を構成することを特徴とする、カーボンナノチューブ線材接続構造体。
  15. 複数のカーボンナノチューブを束ねてなるカーボンナノチューブ束の複数を撚り合わせてなるカーボンナノチューブ線材と、前記カーボンナノチューブ線材に接続される端子とを備えるカーボンナノチューブ線材接続構造体であって、
    前記カーボンナノチューブ線材の長手方向端部に接続される端子との接合部に設けられ、前記カーボンナノチューブと前記端子との間に介在する金属ナノ粒子を備え、前記金属ナノ粒子は、前記カーボンナノチューブの長手方向に沿って200nm〜600nmの間隔で設けられることを特徴とする、カーボンナノチューブ線材接続構造体。
  16. 前記接合部において、前記カーボンナノチューブ線材の前記長手方向端部が、前記金属ナノ粒子を介して前記端子に圧着されていることを特徴とする、請求項14または15に記載のカーボンナノチューブ線材接続構造体。
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