JP7306995B2 - カーボンナノチューブ被覆電線 - Google Patents

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Description

本発明は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ線材を絶縁材料で被覆したカーボンナノチューブ被覆電線に関するものである。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ということがある。)は、様々な特性を有する素材であり、多くの分野への応用が期待されている。
例えば、CNTは、六角形格子の網目構造を有する筒状体の単層、または略同軸で配された多層で構成される3次元網目構造体であり、軽量であると共に、導電性、熱伝導性、弾性、機械的強度等の諸特性に優れる。しかし、CNTを線材化することは容易ではなく、CNTを線材として利用する技術は提案されていない。
一方、多層配線構造に形成されるビアホールの埋め込み材料である金属の代替として、CNTを使用することが検討されている。具体的には、多層配線構造の低抵抗化のために、多層CNTの成長基点から遠い側の端部へ同心状に伸延した多層CNTの複数の切り口を導電層にそれぞれ接触させた多層CNTを、2以上の導線層の層間配線として使用した配線構造が提案されている(特許文献1)。
その他の例として、CNT材料の導電性をさらに向上させるために、隣接したCNT線材の電気的接合点に、金属等からなる導電性堆積物を形成したカーボンナノチューブ材料が提案され、このようなカーボンナノチューブ材料は広汎な用途に適用できることが開示されている(特許文献2)。また、CNT線材の有する優れた熱伝導性から、カーボンナノチューブのマトリクスから作られた熱伝導部材を有する加熱器が提案されている(特許文献3)。
ところで、自動車や産業機器などの様々な分野における電力線や信号線として、一又は複数の線材からなる芯線と、該芯線を被覆する絶縁被覆とからなる被覆電線が用いられている。芯線を構成する線材の材料としては、通常、電気特性の観点から銅又は銅合金が使用されるが、近年、軽量化の観点からアルミニウム又はアルミニウム合金が提案されている。例えば、アルミニウムの比重は銅の比重の約1/3、アルミニウムの導電率は銅の導電率の約2/3(純銅を100%IACSの基準とした場合、純アルミニウムは約66%IACS)であり、アルミニウム線材に、銅線材と同じ電流を流すためには、アルミニウム線材の断面積を、銅の線材の断面積の約1.5倍と大きくする必要があるが、そのように断面積を大きくしたアルミニウム線材を用いたとしても、アルミニウム線材の質量は、純銅の線材の質量の半分程度であることから、アルミニウム線材を使用することは、軽量化の観点から有利である。
また、自動車、産業機器等の高性能化・高機能化が進められており、これに伴い、各種電気機器、制御機器などの配設数が増加するとともに、これら機器に使用される電気配線体の配線数と芯線からの発熱も増加する傾向にある。そこで、絶縁被覆による絶縁性を損なうことなく、電線の放熱特性を向上させることが要求されている。また、その一方で、環境対応のために自動車等の移動体の燃費を向上させるため、線材の軽量化も要求されている。
さらに、被覆電線には、導電性、軽量性の他にもさらなる機能が付与された高性能な被覆電線の開発も検討されている。このような機能の1つとして、施工性の向上のため、被覆電線の形状を保持できる形状保持性が要求されている。CNT線材は、金属製の線材よりも格段に高い屈曲性を有するため、電線を様々な形状に変形できる。一方、CNT線材は金属製の線材のように塑性変形領域もなく、その変形のしやすさから形状の維持が難しい。そのため、絶縁被覆がCNT線材と接合した被覆電線の形状保持性を新たに検討する必要があった。
特開2006-120730号公報 特表2015-523944号公報 特開2015-181102号公報
本発明は、放熱特性、形状保持性、施工性に優れたカーボンナノチューブ被覆電線を提供することを目的とする。
本発明の態様は、複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の単数または複数からなるカーボンナノチューブ線材と、該カーボンナノチューブ線材を被覆する絶縁被覆層と、を備え、前記絶縁被覆層を構成する材料のロックウェル硬度が、22より大きく、かつ、前記カーボンナノチューブ線材の円相当直径に対する前記絶縁被覆層の厚さの比率が、0.05より大きいカーボンナノチューブ被覆電線である。
本発明の態様は、前記材料のロックウェル硬度が、25以上120以下であり、かつ、前記カーボンナノチューブ線材の円相当直径に対する前記絶縁被覆層の厚さの比率が、0.060以上0.600以下であるカーボンナノチューブ被覆電線である。
本発明の態様は、前記カーボンナノチューブ線材を構成する単線の円相当直径が、0.090mm以上10mm以下であるカーボンナノチューブ被覆電線である。
本発明の態様は、前記カーボンナノチューブ線材を構成する単線の円相当直径が、0.180mm以上0.5mm以下であるカーボンナノチューブ被覆電線である。
本発明の態様は、前記カーボンナノチューブ線材が、複数の前記カーボンナノチューブ集合体からなり、複数の該カーボンナノチューブ集合体の配向性を示す小角X線散乱によるアジマスプロットにおけるアジマス角の半値幅Δθが60°以下であるカーボンナノチューブ被覆電線である。
本発明の態様は、複数の前記カーボンナノチューブの密度を示すX線散乱による散乱強度の(10)ピークにおけるピークトップのq値が2.0nm-1以上5.0nm-1以下であり、かつ半値幅Δqが0.1nm-1以上2.0nm-1以下であるカーボンナノチューブ被覆電線である。
芯線としてカーボンナノチューブを使用したカーボンナノチューブ線材は、金属製の芯線とは異なり、熱伝導に異方性があり、径方向と比較して長手方向に優先的に熱が伝導する。すなわち、カーボンナノチューブ線材には、放熱特性に異方性があるため、金属製の芯線と比較して優れた放熱特性を備えている。そのため、カーボンナノチューブを使用した芯線に被覆する絶縁被覆層の設計は、金属製の芯線の絶縁被覆層とは異なる設計とすることが必要になる。本発明の態様によれば、前記カーボンナノチューブ線材が、絶縁被覆層を構成する材料のロックウェル硬度が、22より大きく、かつ、カーボンナノチューブ線材の円相当直径に対する絶縁被覆層の厚さの比率が、0.05より大きいことにより、放熱特性、形状保持性、施工性に優れたカーボンナノチューブ被覆電線を得ることがでる。
本発明の態様によれば、材料のロックウェル硬度が、25以上120以下であり、かつ、カーボンナノチューブ線材の円相当直径に対する絶縁被覆層の厚さの比率が、0.060以上0.600以下であることにより、カーボンナノチューブ被覆電線の形状をより保持しやすくすることができる。
本発明の態様によれば、カーボンナノチューブ線材を構成する単線の円相当直径が、0.090mm以上10mm以下であることにより、カーボンナノチューブ線材の強度を十分に活かしつつ、カーボンナノチューブ被覆電線に優れた放熱特性を付与させることができる。さらに、カーボンナノチューブ線材を構成する単線の円相当直径が、0.180mm以上0.5mm以下であることにより、絶縁被覆層が比較的薄くても形状保持性および施工性を向上させることができると共に、放熱特性も向上させることができる。
本発明の態様によれば、カーボンナノチューブ線材におけるカーボンナノチューブ集合体の、小角X線散乱によるアジマスプロットにおけるアジマス角の半値幅Δθが60°以下であることにより、カーボンナノチューブ線材においてカーボンナノチューブやカーボンナノチューブ集合体が高密度で存在しうるので、カーボンナノチューブ線材が優れた放熱特性を発揮する。
本発明の態様によれば、配列したカーボンナノチューブのX線散乱による散乱強度の(10)ピークにおけるピークトップのq値が2.0nm-1以上5.0nm-1以下であり、かつ半値幅Δqが0.1nm-1以上2.0nm-1以下であることにより、カーボンナノチューブが高い配向性を有するので、カーボンナノチューブ線材が優れた放熱特性を発揮する。
本発明の実施形態例に係るカーボンナノチューブ被覆電線の説明図である。 本発明の実施形態例に係るカーボンナノチューブ被覆電線に用いるカーボンナノチューブ線材の説明図である。 図(a)は、SAXSによる複数のカーボンナノチューブ集合体の散乱ベクトルqの二次元散乱像の一例を示す図であり、図(b)は、アジマスプロット二次元散乱像において、透過X線の位置を原点とする任意の散乱ベクトルqの方位角-散乱強度の一例を示すグラフである。 カーボンナノチューブ集合体を構成する複数のカーボンナノチューブのWAXSによるq値-強度の関係を示すグラフである。
以下に、本発明の実施形態例に係るカーボンナノチューブ被覆電線について、図面を用いながら説明する。
図1に示すように、本発明の実施形態例に係るカーボンナノチューブ被覆電線(以下、「CNT被覆電線」ということがある。)1は、カーボンナノチューブ線材(以下、「CNT線材」ということがある。)10の外周面に絶縁被覆層21が被覆された構成となっている。すなわち、CNT線材10の長手方向に沿って絶縁被覆層21が被覆されている。CNT被覆電線1では、CNT線材10の外周面全体が、絶縁被覆層21によって被覆されている。また、CNT被覆電線1では、絶縁被覆層21はCNT線材10の外周面と直接接した態様となっている。図1では、CNT線材10は、1本のCNT線材10からなる素線(単線)となっているが、CNT線材10は、複数本のCNT線材10を撚り合わせた撚り線の状態でもよい。CNT線材10を撚り線の形態とすることで、CNT線材10の円相当直径や断面積を適宜調節することができる。また、CNT線材10が撚り線であることにより、CNT線材10の強度が単線よりも高く、CNT線材10の変形に伴うCNT線材10の断線をより確実に抑制することができる。
図2に示すように、CNT線材10は、1層以上の層構造を有する複数のCNT11a,11a,・・・で構成されるカーボンナノチューブ集合体(以下、「CNT集合体」ということがある。)11の単数から、または複数が束ねられて形成されている。ここで、CNT線材とはCNTの割合が90質量%以上のCNT線材を意味する。なお、CNT線材におけるCNT割合の算定においては、メッキとドーパントは除かれる。図2では、CNT線材10は、CNT集合体11が、複数、束ねられた構成となっている。CNT集合体11の長手方向が、CNT線材10の長手方向を形成している。従って、CNT集合体11は、線状となっている。CNT線材10における複数のCNT集合体11,11,・・・は、その長軸方向がほぼ揃って配されている。従って、CNT線材10における複数のCNT集合体11,11,・・・は、配向している。
CNT線材10を構成する単線(素線)の円相当直径は、0.090mm以上10mm以下であることが好ましい。CNT線材10を構成する単線の円相当直径は、強度を十分に活かす点から、その下限値は0.090mmであることが好ましく、0.180mmがより好ましい。特に、CNT線材10を構成する単線の円相当直径をより太くすることにより、CNT線材10自体の剛性が高まる。そのため、絶縁被覆層21が比較的薄くても形状保持性および施工性を向上させることができる。一方で、CNT線材10を構成する単線の円相当直径の上限値は、優れた放熱特性を付与させる点から10mmが好ましく、3mmがより好ましく、1mmがさらに好ましく、0.5mmが特に好ましい。特に、CNT線材10を構成する単線の円相当直径が0.5mm以下であることにより、単線の体積に対する表面積が減少し過ぎることを抑制し、放熱特性を向上させることができる。また、CNT線材10が撚り線である場合、撚り線としてのCNT線材10の円相当直径は、0.090mm以上15mm以下であることが好ましい。撚り線としてのCNT線材10の強度を十分に活かす点から、その下限値は0.090mmであることが好ましく、0.400mmがより好ましく、一方で、単線としてのCNT線材10の優れた放熱特性を損なわない点から、その上限値は15mmが好ましく、3mmがより好ましく、1mmがさらに好ましい。
CNT集合体11は、1層以上の層構造を有するCNT11aの束である。CNT11aの長手方向が、CNT集合体11の長手方向を形成している。CNT集合体11における複数のCNT11a,11a、・・・は、その長軸方向がほぼ揃って配されている。従って、CNT集合体11における複数のCNT11a,11a、・・・は、配向している。CNT集合体11の円相当直径は、例えば、20nm以上1000nm以下であり、より典型的には、20nm以上80nm以下である。CNT11aの最外層の幅寸法は、例えば、1.0nm以上5.0nm以下である。
CNT集合体11を構成するCNT11aは、単層構造又は複層構造を有する筒状体であり、それぞれ、SWNT(single-walled nanotube)、MWNT(multi-walled nanotube)と呼ばれる。図2では、便宜上、2層構造を有するCNT11aのみを記載しているが、CNT集合体11には、3層構造以上の層構造を有するCNTや単層構造の層構造を有するCNTも含まれていてもよく、3層構造以上の層構造を有するCNTまたは単層構造の層構造を有するCNTから形成されていてもよい。
2層構造を有するCNT11aでは、六角形格子の網目構造を有する2つの筒状体T1、T2が略同軸で配された3次元網目構造体となっており、DWNT(Double-walled nanotube)と呼ばれる。構成単位である六角形格子は、その頂点に炭素原子が配された六員環であり、他の六員環と隣接してこれらが連続的に結合している。
CNT11aの性質は、上記筒状体のカイラリティ(chirality)に依存する。カイラリティは、アームチェア型、ジグザグ型、及びカイラル型に大別され、アームチェア型は金属性、ジグザグ型は半導体性および半金属性、カイラル型は半導体性および半金属性の挙動を示す。従って、CNT11aの導電性は、筒状体がいずれのカイラリティを有するかによって大きく異なる。CNT被覆電線1のCNT線材10を構成するCNT集合体11では、導電性をさらに向上させる点から、金属性の挙動を示すアームチェア型のCNT11aの割合を増大させることが好ましい。
一方で、半導体性の挙動を示すカイラル型のCNT11aに電子供与性もしくは電子受容性を持つ物質(異種元素)をドープすることにより、カイラル型のCNT11aが金属性の挙動を示すことが分かっている。また、一般的な金属では、異種元素をドープすることによって金属内部での伝導電子の散乱が起こって導電性が低下するが、これと同様に、金属性の挙動を示すCNT11aに異種元素をドープした場合には、導電性の低下を引き起こす。
このように、金属性の挙動を示すCNT11a及び半導体性の挙動を示すCNT11aへのドーピング効果は、導電性の観点からはトレードオフの関係にあることから、理論的には金属性の挙動を示すCNT11aと半導体性の挙動を示すCNT11aとを別個に作製し、半導体性の挙動を示すCNT11aにのみドーピング処理を施した後、これらを組み合わせることが望ましい。金属性の挙動を示すCNT11aと半導体性の挙動を示すCNT11aが混在した状態で作製される場合には、異種元素又は分子によるドーピング処理が効果的となるCNT11aの層構造を選択することが好ましい。これにより、金属性の挙動を示すCNT11aと半導体性の挙動を示すCNT11aの混合物からなるCNT線材10の導電性をさらに向上させることができる。
例えば、2層構造又は3層構造のような層数が少ないCNTは、それより層数の多いCNTよりも比較的導電性が高く、ドーピング処理を施した際には、2層構造又は3層構造を有するCNTでのドーピング効果が最も高い。従って、CNT線材10の導電性をさらに向上させる点から、2層構造又は3層構造を有するCNTの割合を増大させることが好ましい。具体的には、CNT全体に対する2層構造又は3層構造をもつCNTの割合が50個数%以上であることが好ましく、75個数%以上であることがより好ましい。2層構造又は3層構造をもつCNTの割合は、CNT集合体11の断面を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察及び解析し、50~200、好ましくは100個のCNTのそれぞれの層数を測定することで算出することができる。
次に、CNT線材10におけるCNT11a及びCNT集合体11の配向性について説明する。
図3(a)は、小角X線散乱(SAXS)による複数のCNT集合体11,11,・・・の散乱ベクトルqの二次元散乱像の一例を示す図であり、図3(b)は、二次元散乱像において、透過X線の位置を原点とする任意の散乱ベクトルqの方位角-散乱強度の関係を示すアジマスプロットの一例を示すグラフである。
SAXSは、数nm~数十nmの大きさの構造等を評価するのに適している。例えば、SAXSを用いて、以下の方法でX線散乱画像の情報を分析することで、外径が数nmであるCNT11aの配向性及び外径が数十nmであるCNT集合体11の配向性を評価することができる。例えば、CNT線材10についてX線散乱像を分析すると、図3(a)に示すように、CNT集合体11の散乱ベクトルq(q=2π/d:dは格子面間隔)のx成分であるqよりも、y成分であるqの方が相対的に狭く分布している。また、図3(a)と同じCNT線材10について、SAXSのアジマスプロットを分析した結果、図3(b)に示すアジマスプロットにおけるアジマス角の半値幅Δθは、48°である。これらの分析結果から、CNT線材10において、複数のCNT11a,11a・・・及び複数のCNT集合体11,11,・・・が良好な配向性を有しているといえる。このように、複数のCNT11a,11a・・・及び複数のCNT集合体11,11,・・・が良好な配向性を有しているので、CNT線材10の熱は、CNT11aやCNT集合体11の長手方向に沿って円滑に伝達して行きながら放熱されやすくなる。従って、CNT線材10は、上記CNT11a及びCNT集合体11の配向性を調節することで、放熱ルートを長手方向、径の断面方向にわたり調節できるので、金属製の芯線と比較して優れた放熱特性を発揮する。なお、配向性とは、CNTを撚り集めて作製した撚り線の長手方向へのベクトルVに対する内部のCNT及びCNT集合体のベクトルの角度差のことを指す。
複数のCNT集合体11,11,・・・の配向性を示す小角X線散乱(SAXS)のアジマスプロットにおけるアジマス角の半値幅Δθにより示される一定以上の配向性を得ることでCNT線材10に優れた放熱特性を付与させる点から、アジマス角の半値幅Δθは60°以下が好ましく、50°以下が特に好ましい。
次に、CNT集合体11を構成する複数のCNT11aの配列構造及び密度について説明する。
図4は、CNT集合体11を構成する複数のCNT11a,11a,・・・のWAXS(広角X線散乱)によるq値-強度の関係を示すグラフである。
WAXSは、数nm以下の大きさの物質の構造等を評価するのに適している。例えば、WAXSを用いて、以下の方法でX線散乱画像の情報を分析することで、外径が数nm以下であるCNT11aの密度を評価することができる。任意の1つのCNT集合体11について散乱ベクトルqと強度の関係を分析した結果、図4に示すように、q=3.0nm-1~4.0nm-1付近に見られる(10)ピークのピークトップのq値から見積られる格子定数の値が測定される。この格子定数の測定値とラマン分光法やTEMなどで観測されるCNT集合体の直径とに基づいてCNT11a、11a,・・・が平面視で六方最密充填構造を形成していることを確認することができる。従って、CNT線材10内で複数のCNT集合体の直径分布が狭く、複数のCNT11a,11a,・・・が、規則正しく配列、すなわち、高密度を有することで、六方最密充填構造を形成して高密度で存在しているといえる。
このように、複数のCNT集合体11,11・・・が良好な配向性を有していると共に、更に、CNT集合体11を構成する複数のCNT11a,11a,・・・が規則正しく配列して高密度で配置されているので、CNT線材10の熱は、CNT集合体11の長手方向に沿って円滑に伝達して行きながら放熱されやすくなる。従って、CNT線材10は、上記CNT集合体11とCNT11aの配列構造や密度を調節することで、放熱ルートを長手方向、径の断面方向にわたり調節できるので、金属製の芯線と比較して優れた放熱特性を発揮する。
高密度を得ることで優れた放熱特性を付与させる点から、複数のCNT11a,11a,・・・の密度を示すX線散乱による強度の(10)ピークにおけるピークトップのq値が2.0nm-1以上5.0nm-1以下であり、かつ半値幅Δq(FWHM)が0.1nm-1以上2.0nm-1以下であることが好ましい。
CNT集合体11及びCNT11の配向性、並びにCNT11aの配列構造及び密度は、後述する、乾式紡糸、湿式紡糸、液晶紡糸等の紡糸方法と該紡糸方法の紡糸条件とを適宜選択することで調節することができる。
次に、CNT線材10の外面を被覆する絶縁被覆層21について説明する。
絶縁被覆層21の材料としては、例えば、熱可塑性樹脂を挙げることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(ヤング率:1.1~1.4、ロックウェル硬度:85~110)、酢酸セルロース(ヤング率:0.46~2.8、ロックウェル硬度:34~125)、ポリアミド(ヤング率:1.1~4.2、ロックウェル硬度:103~118)、三フッ化塩化エチレン樹脂(PCTFE)(ヤング率:、ロックウェル高度:75~95)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合(FEP)(ヤング率:0.35、ロックウェル硬度:25)等を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。
絶縁被覆層21の厚さは、特に限定されないが、0.002mm以上1.0mm以下であることが好ましい。絶縁被覆層21の厚さは、CNT10線材を十分に保護しつつCNT10線材の形状を変形してもCNT10線材に被覆された絶縁被覆層21が劣化しない点から、その下限値は0.006mmが好ましく、0.08mmが特に好ましい。一方で、前記C絶縁被覆層21の厚さの上限値は、絶縁被覆層21の強度を十分に保ちつつCNT10線材の形状の変形に伴い絶縁被覆層21も当該変形に対応できる点から1.0mmが好ましく、0.8mmがさらに好ましい
絶縁被覆層21は、図1に示すように、一層としてもよく、これに代えて、二層以上としてもよい。絶縁被覆層21が複数の層から構成される場合、絶縁被覆層21の厚さは、各絶縁被覆層21の層厚の合計により算出される。また、必要に応じて、CNT線材10の外面と絶縁被覆層21との間に、さらに、熱硬化性樹脂の層が設けられていてもよい。
CNT被覆電線1では、絶縁被覆層21を構成する材料のロックウェル硬度が、22より大きく、かつ、CNT線材10の円相当直径に対する絶縁被覆層21の厚さの比率が、0.05より大きい。前記材料のロックウェル硬度が、22より大きく、かつ、前記比率が、0.05より大きいことにより、絶縁被覆層21の硬度が大きく、絶縁被覆層21も比較的厚いため、CNT線材10の形状を変形しても、絶縁被覆層21が断線することなく、CNT被覆電線1の形状が適切に保持される。これにより、CNT被覆電線1が優れた形状保持性を示し、CNT被覆電線1に優れた施工性を付与することができる。また、前記材料のロックウェル硬度が、25以上120以下であり、かつ、CNT線材10の円相当直径に対する絶縁被覆層21の厚さの比率が、0.060以上0.600以下であることが好ましい。これにより、縁被覆層21が硬過ぎずかつ厚過ぎない範囲にバランスよく制御でき、CNT被覆電線1の形状をより保持しやすくなる。その結果、CNT被覆電線1の優れた形状保持性を維持し、安定した施工性を付与することができる。また、絶縁被覆層21の厚さが適度に制御されることにより、絶縁信頼性を損なうことなく、放熱特性に優れたCNT被覆電線1を得ることができる。さらに、CNT線材10の円相当直径に対する絶縁被覆層21の厚さの比率は、0.015以上であることがより好ましい。これにより、CNT被覆電線1の絶縁信頼性を向上させることができる。
前記ロックウェル硬度は、Rスケールの測定値を意味し、JIS7202-2に基づき測定できる。ロックウェル硬度が、22以下であると、絶縁被覆層21の硬さが不十分であり、CNT被覆電線1の形状の保持が難しい。また、前記CNT線材10の円相当直径に対する絶縁被覆層21の厚さ比率が0.05以下である場合も同様に、絶縁被覆層21の硬さが不十分であり、CNT被覆電線1の形状を保持しにくい。CNT被覆電線1に使用する絶縁被覆層21のロックウェル硬度と、CNT線材10の円相当直径に対する絶縁被覆層21の厚さの比率の双方を適切に制御することにより、CNT被覆電線1が優れた放熱特性および形状保持性を示し、その上、CNT被覆電線1に優れた施工性を付与することができる。
また、CNT被覆電線1では、CNT線材10の径方向の断面積に対する絶縁被覆層21の径方向の断面積の比率は、0.05以上0.7以下の範囲であることが好ましい。前記断面積の比率が0.05以上0.7以下の範囲であることにより、芯線が銅、アルミニウム等と比較して軽量であるCNT線材10であり、絶縁被覆層21の厚さを薄肉化できることから、絶縁信頼性を損なうことなく、CNT線材10の熱に対して優れた放熱特性を得ることができる。また、絶縁被覆層21で被覆された電線の軽量化を図ることができる。
また、CNT線材10単独では、長手方向における形状維持が難しい場合があるところ、前記断面積の比率にて絶縁被覆層21がCNT線材10の外面に被覆されていることにより、CNT被覆電線1は、長手方向における形状を維持することができ、また、曲げ加工等の変形加工も容易である。従って、CNT被覆電線1は、所望の配線経路に沿った形状に形成することができる。
さらに、CNT線材10は、外面に微細な凹凸が形成されていることから、アルミニウムや銅の芯線を用いた被覆電線と比較して、CNT線材10と絶縁被覆層21との間の接着性が向上し、CNT線材10と絶縁被覆層21との間の剥離を抑制することができる。
前記断面積の比率が0.05以上0.7以下の範囲である場合、CNT線材10の径方向の断面積は、特に限定されないが、例えば、0.005mm以上80mm以下が好ましく、0.01mm以上10mm以下がより好ましく、0.03mm以上6.0mm以下が特に好ましい。また、絶縁被覆層21の径方向の断面積は、特に限定されないが、絶縁信頼性をさらに向上させる点から、例えば、0.00025mm以上56mm以下が好ましく、0.0005mm以上7.0mm以下が特に好ましい。断面積は、例えば、走査型電子顕微鏡(SEM)観察の画像から測定することができる。具体的には、CNT被覆電線1の径方向断面のSEM像(100倍~10,000倍)を得た後に、CNT線材10の外周で囲われた部分の面積からCNT線材10内部に入り込んだ絶縁被覆層21の材料の面積を差し引いた面積、CNT線材10の外周を被覆する絶縁被覆層21の部分の面積とCNT線材10内部に入り込んだ絶縁被覆層21の材料の面積との合計を、それぞれ、CNT線材10の径方向の断面積、絶縁被覆層21の径方向の断面積とする。絶縁被覆層21の径方向の断面積には、CNT線材10間に入り込んだ樹脂も含む。
CNTのヤング率は、従来の芯線として使用されるアルミニウム、銅のヤング率よりも高い。アルミニウムのヤング率が70.3GPa、銅のヤング率が129.8GPaであるのに対し、CNTのヤング率は300~1500GPaと、2倍以上の値を有する。従って、CNT被覆電線1では、芯線としてアルミニウム、銅を用いた被覆電線と比較して、絶縁被覆層21の材料としてヤング率の高い材料(ヤング率の高い熱可塑性樹脂)を使用することができるので、CNT被覆電線1の絶縁被覆層21に優れた耐摩耗性を付与することができ、その上、CNT被覆電線1は優れた耐久性を発揮する。
上記の通り、CNTのヤング率は、従来の芯線として使用されるアルミニウム、銅のヤング率よりも高い。そのため、CNT被覆電線1では、芯線のヤング率に対する絶縁被覆層を構成する材料のヤング率の比率が、芯線としてアルミニウム、銅を使用した被覆電線の前記ヤング率の比率よりも小さくなる。従って、CNT被覆電線1では、芯線としてアルミニウムや銅を使用した被覆電線と比較して、繰り返し屈曲させてもCNT線材10と絶縁被覆層21の剥離や絶縁被覆層21の割れを抑制できる。
CNT線材10のヤング率に対する絶縁被覆層21を構成する材料のヤング率の比率は、特に限定されないが、前記ヤング率の比率の下限値は、CNT被覆電線1を繰り返し屈曲させても、CNT線材10に絶縁被覆層21が追従することでCNT線材10から絶縁被覆層21が剥離するのを防止する点から0.0001が好ましく、長期にわたりCNT被覆電線1を屈曲させても、CNT線材10から絶縁被覆層21が剥離するのを防止する点から0.01がより好ましく、0.05が特に好ましい。一方で、前記ヤング率の比率の上限値は、CNT被覆電線1を繰り返し屈曲させても、絶縁被覆層21に割れが生じるのを防止する点から3.0が好ましく、長期にわたりCNT被覆電線1を屈曲させても、絶縁被覆層21に割れが生じるのを防止する点から1.0がより好ましく、0.7が特に好ましい。
絶縁被覆層21の長手方向に対し直交方向(すなわち、径方向)の肉厚は、CNT被覆電線1の耐摩耗性等の機械的強度を向上させる点から均一化されていることが好ましい。具体的には、絶縁被覆層21の偏肉率は、例えば、優れた耐摩耗性を付与させる点から50%以上が好ましく、耐摩耗性をより向上させる点から80%以上が特に好ましい。なお、「偏肉率」とは、CNT被覆電線1の長手方向中心側の任意の1.0mにおいて10cmごとに、径方向の同一断面について、それぞれ、α=(絶縁被覆層21の肉厚の最小値/絶縁被覆層21の肉厚の最大値)×100の値を算出し、各断面にて算出したα値を平均した値を意味する。また、絶縁被覆層21の肉厚は、例えば、CNT線材10を円近似してSEM観察の画像から測定することができる。ここで、長手方向中心側とは、線の長手方向からみて中心に位置する領域をさす。
絶縁被覆層21の偏肉率は、例えば、押出被覆にてCNT線材10の外周面に絶縁被覆層21を形成する場合、押出工程時にダイスへ通すCNT線材10の長手方向の張り具合を高めることで向上させることができる。
次に、本発明の実施形態例に係るCNT被覆電線1の製造方法例について説明する。CNT被覆電線1は、まず、CNT11aを製造し、得られた複数のCNT11aからCNT線材10を形成し、CNT線材10の外周面に絶縁被覆層21を被覆することで、製造することができる。
CNT11aは、浮遊触媒法(特許第5819888号)、基板法(特許第5590603号)などの手法で作製することができる。CNT線材10の素線は、乾式紡糸(特許第5819888号、特許第5990202号、特許第5350635号)、湿式紡糸(特許第5135620号、特許第5131571号、特許第5288359号)、液晶紡糸(特表2014-530964号公報)等で作製することができる。
上記のようにして得られたCNT線材10の外周面に絶縁被覆層21を被覆する方法は、アルミニウムや銅の芯線に絶縁被覆層を被覆する方法を使用でき、例えば、絶縁被覆層21の原料である熱可塑性樹脂を溶融させ、CNT線材10の周りに押し出して被覆する方法を挙げることができる。
本発明の実施形態例に係るCNT被覆電線1は、ワイヤハーネス等の一般電線として使用することができ、また、CNT被覆電線1を使用した一般電線からケーブルを作製してもよい。
次に、本発明の実施例を説明するが、本発明の趣旨を超えない限り、下記実施例に限定されるものではない。
<実施例1~19、比較例1~5>
CNT線材の製造方法について
先ず、浮遊触媒法で作製したCNTを直接紡糸する乾式紡糸方法(特許第5819888号)または湿式紡糸する方法(特許第5135620号、特許第5131571号、特許第5288359号)で、各実施例、比較例において表1に示す所定の円相当直径のCNT線材の単線を得た。撚り線については、得られたCNT線材の本数を調節して適宜撚り合わせることで作製した。
CNT線材の外面に絶縁被覆層を被覆する方法について
下記表1に示される樹脂種を用いて、通常の電線製造用押出成形機を用いて導体周囲に押出被覆することにより絶縁被覆層を形成し、下記表1の実施例と比較例で使用するCNT被覆電線を作製した。
ポリプロピレン(住友化学社製 住友ノーブレン、ロックウェル硬度:92)
酢酸セルロース(ダイセルファインケム社製 アセチ、ロックウェル硬度:65)
ポリアミド(東レ社製 アミラン、ロックウェル硬度:100)
FEP(ダイキン社製 ネオフロンFEP、ロックウェル硬度:25)
PTFE(四フッ化エチレン樹脂)(旭化成社製 Fluon、ロックウェル硬度:20)
(a)CNT線材および単線の円相当直径の測定
CNT線材の径方向の断面をイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製IM4000)により切り出した後、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製SU8020、倍率:100~10,000倍)で得られたSEM像から、CNT線材の径方向の断面積を測定した。CNT被覆電線の長手方向中心側の任意の1.0mにおいて10cmごとに同様の測定を繰り返し、その平均値をCNT線材の径方向の断面積とした。なお、CNT線材の断面積として、CNT線材内部に入り込んだ樹脂は測定に含めなかった。次に、求めた断面積の値からCNT線材および単線の円相当直径を算出した。
(b)絶縁被覆層の厚さの測定
CNT線材の径方向の断面をイオンミリング装置(日立ハイテクノロジーズ社製IM4000)により切り出した後、走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製SU8020、倍率:100~10,000倍)で得られたSEM像から、絶縁被覆層の径方向の厚さを測定した。CNT被覆電線の長手方向中心側の任意の1.0mにおいて10cmごとに同様の測定を繰り返し、CNT線材の径方向断面積と同じ面積となる円(CNT線材相当円)と、CNT被覆電線の径方向断面積と同じ面積となる円(CNT被覆電線相当円)とをそれぞれ得て、CNT被覆電線相当円の半径から、CNT線材相当円の半径との差を求め、絶縁被覆層の厚さとした。
(c)SAXSによるアジマス角の半値幅Δθの測定
小角X線散乱装置(Aichi Synchrotoron)を用いてX線散乱測定を行い、得られたアジマスプロットからアジマス角の半値幅Δθを求めた。
(d)WAXSによるピークトップのq値及び半値幅Δqの測定
広角X線散乱装置(Aichi Synchrotoron)を用いて広角X線散乱測定を行い、得られたq値-強度グラフから、強度の(10)ピークにおけるピークトップのq値及び半値幅Δqを求めた。
CNT被覆電線の上記各測定の結果について、下記表1に示す。
上記のようにして作製したCNT被覆電線について、以下の評価を行った。
(1)放熱特性
100cmのCNT被覆電線の両端に4本の端子を接続し、四端子法で抵抗測定を行った。この際、印加電流は2000A/cmとなるように設定し、抵抗値の時間変化を記録した。測定開始時と10分間経過後の抵抗値を比較し、その増加率を算出した。CNT電線は温度に比例して抵抗が増加するため、抵抗の増加率が小さいものほど放熱特性に優れると判断することができる。抵抗の増加率が5%未満であれば「◎」とし、抵抗の増加率が5%以上15%未満であれば「〇」、抵抗の増加率が15%以上30%未満であれば「×」とし、「〇」以上であれば放熱特性に優れていると評価した。
(2)絶縁信頼性
JIS C3215-0-1の箇条13.3に準拠した方法で行った。試験結果が箇条13.3の表9に記載されたグレード2以上を満たすものを「◎」、グレード1を満たすものを「〇」、いずれのグレードにも満たないものを「×」とし、「〇」以上であれば絶縁信頼性が良好であると評価した。
(3)形状保持性
長さ12cmのCNT被覆線の両端からそれぞれ1cmの部分を冶具ではさみ、水平な状態で100gfの張力で、10分間保持した。続いて、一端の冶具のみを外し、反対側の末端がもう一端の末端から何cm下がるかを測定した。10本同様の試験を行い、1cm以上下がるものがなければ「◎」、1cm以上下がるものが1~2本であれば「○」、1cm以上下がるものが3本以上であれば「×」とし、「〇」以上であれば形状保持性が優れていると評価した。
(4)施工性
内径54mm、長さ1mの電線管を垂直に立てた。続いて長さ2mのCNT被覆電線を準備した。電線管の下から、CNT被覆電線を通していき、上からCNT被覆電線を取り出す作業を行った。10回試験を行い、電線管の中でCNT被覆電線が曲がらずに、上から取り出すことができた回数が8回以上であれば「◎」、5~7回であれば「〇」、4回以下であれば「×」とし、「〇」以上であれば施工性が優れていると評価した。
上記評価の結果を下記表1に示す。
Figure 0007306995000001
上記表1に示すように絶縁被覆層を構成する材料のロックウェル硬度が、22より大きく、かつ、カーボンナノチューブ線材の円相当直径に対する絶縁被覆層の厚さの比率が、0.05より大きい実施例1~19では、樹脂種が、ポリプロピレン、酢酸セルロース、ポリアミド、FEPのいずれであっても、放熱特性、形状保持性、施工性がいずれも優れたカーボンナノチューブ被覆電線が得られた。また、絶縁信頼性にも優れたCNT被覆電線が得られた。特に、実施例2~3、4~5、8~14、17~19では、形状保持性、施工性がより優れたCNT被覆電線が得られた。
また、実施例7と実施例8~9との比較から、単線の円相当直径が太いほど、形状保持性および施工性がより向上したCNT被覆電線が得られた。さらに、実施例16と実施例17との比較から、絶縁被覆層が厚いほど、形状保持性および施工性が向上したCNT被覆電線が得られた。
さらに、実施例1~19では、アジマス角の半値幅Δθは、いずれも60°以下であった。従って、実施例1~12のCNT線材では、CNT集合体は優れた配向性を有していた。また、実施例1~19では、強度の(10)ピークにおけるピークトップのq値は、いずれも2.0nm-1以上5.0nm-1以下であり、半値幅Δqは、いずれも0.1nm-1以上2.0nm-1以下であった。従って、実施例1~19のCNT線材では、CNTも優れた配向性を有していた。
一方で、絶縁被覆層を構成する材料のロックウェル硬度が22以下である比較例1、2では、形状保持性が得られず、施工性も劣っていた。さらに、CNT線材の円相当直径に対する絶縁被覆層の厚さの比率も0.05以下である比較例1では、絶縁信頼性も劣っていた。
また、絶縁被覆層を構成する材料のロックウェル硬度は22を超えているものの、CNT線材の円相当直径に対する絶縁被覆層の厚さの比率が0.05以下である比較例3~5では、絶縁信頼性、形状保持性、施工性がいずれも劣っているか、あるいは、放熱特性に劣っていた。
1 カーボンナノチューブ被覆電線
10 カーボンナノチューブ線材
11 カーボンナノチューブ集合体
11a カーボンナノチューブ
21 絶縁被覆層

Claims (5)

  1. 複数のカーボンナノチューブで構成されるカーボンナノチューブ集合体の単数または複数からなるカーボンナノチューブ線材と、該カーボンナノチューブ線材を被覆する絶縁被覆層と、を備え、
    前記カーボンナノチューブ線材は、前記カーボンナノチューブ集合体の単数から形成されているか、または前記カーボンナノチューブ集合体の複数が束ねられて形成されており
    前記カーボンナノチューブ線材における前記カーボンナノチューブの割合が90質量%以上であり、
    前記絶縁被覆層の内側に前記カーボンナノチューブ集合体が充填されており
    前記絶縁被覆層を構成する材料のRスケールにて測定されるロックウェル硬度が、22より大きく、かつ、
    前記カーボンナノチューブ線材の円相当直径に対する前記絶縁被覆層の厚さの比率が、0.05より大きいカーボンナノチューブ被覆電線。
  2. 前記ロックウェル硬度が、25以上120以下であり、かつ、
    前記カーボンナノチューブ線材の円相当直径に対する前記絶縁被覆層の厚さの比率が、0.060以上0.600以下である請求項1に記載のカーボンナノチューブ被覆電線。
  3. 前記カーボンナノチューブ線材を構成する単線の円相当直径が、0.090mm以上10mm以下である、請求項1または2に記載のカーボンナノチューブ被覆電線。
  4. 前記カーボンナノチューブ線材を構成する単線の円相当直径が、0.180mm以上0.5mm以下である、請求項3に記載のカーボンナノチューブ被覆電線。
  5. 前記カーボンナノチューブ線材が、複数の前記カーボンナノチューブ集合体からなり、複数の該カーボンナノチューブ集合体の配向性を示す小角X線散乱によるアジマスプロットにおけるアジマス角の半値幅Δθが60°以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ被覆電線。
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