JP6734678B2 - 量子型赤外線センサ - Google Patents
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Description
これらの量子型赤外線センサの応用例としては、人を検知することによって、照明やエアコン、TVなどの家電機器の自動オンオフを行う人感センサや、防犯用の監視センサなどが代表的な例である。最近、省エネルギーや、ホームオートメーション、セキュリテイシステム等への応用面で非常に注目されてきている。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、良好な特性を有する量子型赤外線センサを実現することを目的とする。
すなわち、本発明の一態様に係る量子型赤外線センサは、基板と、前記基板の一方の面上に形成されたバッファ層と、前記バッファ層上に形成され、InAsxSb1−x(0<x<1)からなる第1の層と、前記第1の層上に形成された中間層と、前記中間層上に形成され、InAsySb1−y(0<y<1)からなる第2の層と、を備えることを特徴とする。
図1は、本発明の実施形態に係る化合物半導体積層体の構成例を示す断面図である。図1に示す化合物半導体積層体は、本発明の実施形態に係る量子型赤外線センサを作製するための積層体である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化合物半導体積層体は、基板1と、基板1の一方の面(以下、表面)上に形成されたバッファ層2と、バッファ層2上に形成された第1の層3と、第1の層3上に形成された中間層4と、中間層4上に形成された第2の層5と、第2の層5上に形成されたp型バリア層6と、p型バリア層6上に形成されたp型コンタクト層7とを備える。すなわち、基板1の上に、バッファ層2、第1の層3、中間層4、第2の層5、p型バリア層6、p型コンタクト層7が順次積層されている。
図1に示す化合物半導体積層体は、各種の成膜方法を用いて形成される。例えば、分子線エピタキシー(MBE)法や有機金属気相エピタキシー(MOVPE)法などは好ましい方法である。これらの方法により、化合物半導体積層体を形成することが可能である。
また、図2に示すように、この量子型赤外線センサは、基板1上に形成されて化合物半導体積層体を覆うパッシベーション層8と、このパッシベーション層8に形成された開口部を通して化合物半導体積層体に電気的に接続する電極9とを備える。
(1)基板
基板1は、一般に単結晶を成長できるものであれば特に制限されず、GaAs基板、Si基板などの単結晶基板などが好ましく用いられる。また、それらの単結晶基板がドナー不純物やアクセプタ不純物によって、n型やp型にドーピングされていても良い。
基板1の表面上に形成された複数個の量子型赤外線センサを、電極9で直列接続して用いる場合、各量子型赤外線センサは電極9以外の部分では絶縁分離されていることが好ましい。従って、基板1は単結晶を形成できるものであって、かつ、半絶縁性か、または化合物半導体積層体部分と基板1とが絶縁分離可能であるような基板を用いることが好ましい。
通常行われるように、基板の表面を平坦化させ、清浄化させる目的で、基板と同じ材質の半導体を形成したものを本発明の「基板」として使用しても良い。GaAs基板上にGaAs層を形成したものを「基板」として使用することは、この最も代表的な例である。
バッファ層2は基板1の表面上に形成される。ここで「基板1の表面上に形成され」とは、基板1の表面上にバッファ層2が直接形成されていてもよく、また、基板1とバッファ層2との間にその他の層が形成されていてもよい。本発明において、「〜上に形成され」という表現はすべてこの意味を表すものである。
バッファ層2の材料としては、InSb、InAs、InAsSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSb、AlSb、GaSb、AlGaSb、AlAsSb、GaAsSb、AlGaAsSbなどが挙げられる。バッファ層2は、これらのうちの一つの単層でも良いし、これらの複数の層が積層された多層でも良い。また、材料の組成を連続的或いは階段状に変化させながら、格子定数を第1の層3の組成に近づけるような、グレーデッドバッファ層を用いても良い。
また、第1の層3及び第2の層5のAsの組成比が0.5よりも大きいような場合には、バッファ層2の材料としては、InAsであることがさらに好ましい。InAsは、良好な結晶性を得るのが容易であるため、本発明の効果をより得ることが可能となる。
赤外線を基板1の裏面側から入射させる場合、バッファ層2での光吸収を低減する目的で、バッファ層2をn型ドーピングしても良い。バッファ層2にある程度の高濃度ドーピングをすると、バースタイン‐モス効果が生じ、バッファ層2における光の無駄な吸収を防ぐことが可能になる。ドーピング量が多い程効果が得られるが、多すぎると結晶性の劣化を招くので、バッファ層2へのドーピング量は、1×1018/cm3以上1×1019/cm3以下が好ましい。n型ドーパントは何でも良いが、Si、Sn、S、Se、Te、Geなどが挙げられる。特にSnは活性化率が高く好ましい。
第1の層3は、バッファ層2上に形成され、InAsxSb1−x(0<x<1)からなるものである。InAsxSb1−xからなる層は、混晶系であることと、GaAs等の基板材料とは格子定数が大きく異なるため、基板1上に直接形成した場合には、その結晶性は非常に悪い。一方、本発明のように、基板1と第1の層3との間にバッファ層2を形成することで、第1の層3の結晶性を向上させることが可能となる。これにより、第1の層3上に形成される中間層4による、第2の層5の欠陥低減効果もより顕著となる。
中間層4は、第1の層3上に形成される。中間層4は、第1の層3の形成時に発生した欠陥が、膜厚方向に伝搬するのを防ぐ機能を有するものである。中間層4を形成することで、中間層4の上に形成される、第2の層5中の欠陥は低減され、第2の層5の結晶性を改善することができる。結晶性改善の効果は、中間層4の格子定数と、第1の層3及び第2の層5の各格子定数とが異なり、且つ、中間層4の膜厚が臨界膜厚以上のとき、顕著となる。
また、混晶系の材料を用いて良好な結晶性を保つのが難しい場合には、良好な結晶性を得るのが容易で、本発明の効果をより得ることのできるInSbやInAsが、中間層4の材料としてはより好ましい。
また、第1の層3及び第2の層5のAsの組成比が0.5よりも大きいような場合には、中間層4の材料としては、InAsが特に好ましい。
中間層4の膜厚は、薄すぎると第2の層5の結晶性改善の効果がなくなり、厚すぎると形成に時間がかかり、かつ、素子分離のためのメサエッチング工程が困難になるため、0.1μm以上1μm以下が好ましい。
また、高濃度にn型ドーピングされた中間層4は、抵抗も小さいので、電極形成時の接触抵抗を小さくすることができる。このことから、高濃度にn型ドーピングされた中間層4は、量子型赤外線センサのn型コンタクト層に用いるのが好ましい。また、第1の層3をn型コンタクト層に用いてもよい。
第2の層5は、中間層4上に形成され、InAsySb1−y(0<y<1)からなるものである。第2の層5は、中間層4の効果で欠陥が低減され、結晶性の改善された層であることが好ましい。この結晶性の良い第2の層5を量子型赤外線センサの光吸収層として用いることが好ましい。欠陥は、赤外線吸収で発生した電子、正孔が再結合してしまう要因となるため、キャリアのライフタイムの低下を招く。その結果、取り出せる光電流は減少してしまい、赤外線センサの特性が悪化する。欠陥が十分に低減された第2の層5を量子型赤外線センサの光吸収層として用いることで、良好な特性を有する量子型赤外線センサの実現が可能となる。
本発明の実施形態に係る量子型赤外線センサは、第2の層5上にp型バリア層6をさらに備えてもよい。第2の層5を光吸収層として用いる場合には、p型バリア層6は拡散電流を防ぐための層として機能する。従って、基板1上から見た場合に、p型バリア層6は光吸収層よりも上(すなわち、光吸収層よりも遠い側)に形成される。この場合、p型バリア層6は、光吸収層である第2の層5に対し、十分な伝導帯のバンドオフセットが取れればよく、バンドギャップが広い材料を選択することが好ましい。
本発明の実施形態に係る量子型赤外線センサは、p型バリア層6上にp型コンタクト層7をさらに備えてもよい。p型コンタクト層7は、光吸収層が赤外線を吸収することにより発生した光電流を取り出すための、電極とのコンタクト層7として機能する。p型コンタクト層7の材料としては、InSb、InAsSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSbなどが挙げられる。p型コンタクト層7のシート抵抗は、熱ノイズであるジョンソンノイズの原因となるため、シート抵抗はできるだけ小さい方が良い。その観点からは、p型コンタクト層7の材料は、InSb及びInAsSbであることが好ましい。
p型コンタクト層7には、コンタクト抵抗を下げるために十分なp型ドーピングがされることが必要である。そのため、p型ドーピング濃度としては、1×1018/cm3以上が好ましい。またp型ドーパントとしては、Be、Zn、Cd、C、Mg、Geなどが好ましく用いられる。p型ドーパントとして、特に、Znは活性化率が高く、毒性も低いため、より好ましく用いられる。
パッシベーション層8は、絶縁性の膜であればよい。パッシベーション層として、シリコン窒化膜(Si3N4)、シリコン酸化膜(SiO2)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)などが挙げられる。
電極9は、例えば、p型コンタクト層7に電気的に接続する第1の電極と、中間層4に電気的に接続する第2の電極とを有する。電極9は、導電性の膜で構成されていればよい。電極9を構成する導電性の膜として、Au/Tiや、Au/Cr等の積層膜などが挙げられる。なお、上記の積層膜では、Auが上層の膜で、Ti又はCrが下層の膜である。
本発明の実施形態に係る量子型赤外線センサの製造方法を説明する。本発明の実施形態では、図1に示した化合物半導体積層体を用いて、図2に示した量子型赤外線センサを作製することが可能である。
図3は、本発明の実施形態に係る量子型赤外線センサの製造方法を工程順に示す断面図である。図3(a)に示すように、まずは、基板1の表面上に、MBE(分子線エピタキシー)法を用いて化合物半導体積層体を形成後、酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて、p型コンタクト層7と、p型バリア層6と、第2の層5とを順次、部分的に除去して、中間層4とコンタクトを取るための段差形成を行う。
次いで、SiNやSiO2などのパッシベーション層8を形成して、基板1の表面及び素子分離された化合物半導体積層体の表面及び側面を覆う。次いで、図3(c)に示すように、パッシベーション層8のうち電極9を形成する部分をエッチングして除去し、貫通穴11を形成する。(すなわち、窓開けする)。そして、この貫通穴11を埋め込むように、Au/TiやAu/Cr等の電極9を形成する。電極9はリフトオフ法などで形成する。このようにして、図2に示した量子型赤外線センサを作製する。
量子型赤外線センサは、この量子型赤外線センサから出力される電気信号を処理する集積回路部と、同一パッケージ内にハイブリッドに形成しても良い。量子型赤外線センサと集積回路部との電気的な接続法は特に限定されない。パッケージに関しても、赤外線の透過率が高い材料であれば特に制限はなく、中空パッケージなどを用いても良い。また、特定の光の影響を完全に避けるため、量子型赤外線センサの受光面(例えば、基板1の裏面側)にフィルタを取り付けてもよい。さらに、検知する距離や方向性を定め、集光性をより高めるため、量子型赤外線センサの受光面(例えば、基板1の裏面側)にフレネルレンズを設けてもよい。
本発明の実施形態によれば、バッファ層2と、InAsxSb1−x(0<x<1)からなる第1の層3と、中間層4と、InAsySb1−y(0<y<1)からなる第2の層5と、を備える。基板1と第1の層3との間にバッファ層2が配置されることにより、第1の層3上に形成される中間層4の欠陥を軽減することができる。その結果、中間層4による、第2の層5の欠陥低減効果をより顕著なものとすることができ、第2の層5の結晶性を良好なものとすることができる。
(実施例1)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、バッファ層と、第1の層と、中間層と、第2の層と、p型バリア層と、p型コンタクト層とを順次積層した。この積層工程では、バッファ層としてSnを7×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。また、第1の層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInAs0.038Sb0.962層を0.5μm形成した。また、中間層としてSnを7×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。また、第2の層として、ノンドープのInAs0.038Sb0.962層を2μm形成した。また、p型バリア層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたAl0.2In0.8Sb層を0.02μm形成した。また、p型コンタクト層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。
ここでは、中間層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、第2の層を光吸収層として用いた。
比較例1は、実施例1のバッファ層と中間層とを省略し、第1の層の膜厚を2倍、すなわち1μmにした。また、第1の層をn型コンタクト層として用いた。これ以外は、実施例1と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、590arcsecであった。比較例1は、実施例1と比較して、結晶性が悪いことが理解される。すなわち、バッファ層、中間層を挿入することで、結晶性改善の効果が得られることが理解される。
比較例2は、実施例1のバッファ層を省略したこと以外は実施例1と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、450arcsecであった。比較例2は、中間層を挿入することで、比較例1よりは結晶性は改善しているものの、バッファ層にInSbを用いた実施例1と比較すると、結晶性が悪いことがわかる。
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、バッファ層と、第1の層と、中間層と、第2の層と、p型バリア層と、p型コンタクト層とを順次積層した。この積層工程では、バッファ層としてSnを7×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。また、第1の層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInAs0.15Sb0.85層を0.5μm形成した。また、中間層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。また、第2の層として、ノンドープのInAs0.15Sb0.85層を2μm形成した。また、p型バリア層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたAl0.2In0.8Sb層を0.02μm形成した。また、p型コンタクト層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。
ここでは、中間層であるInSb層をn型コンタクト層、第2の層を光吸収層として用いた。
比較例3は、実施例2のバッファ層と中間層を省略し、第1の層の膜厚を2倍、すなわち1μmにした。また、第1の層をn型コンタクト層として用いた。これ以外は実施例2と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、1040arcsecであった。比較例3は、実施例2と比較して、結晶性が悪いことが理解される。すなわち、バッファ層、中間層を挿入したことで、結晶性改善の効果が得られることが理解される。
比較例4は、実施例2のバッファ層を省略した以外は実施例2と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、750arcsecであった。比較例4は、中間層を挿入したことで、比較例3よりは結晶性は改善しているものの、バッファ層も挿入した実施例2と比較すると、結晶性が悪いことが理解される。
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、バッファ層と、第1の層と、中間層と、第2の層と、p型バリア層と、p型コンタクト層とを順次積層した。この積層工程では、バッファ層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成し、更にその上に、Asの組成比を0.1から0.25まで連続的に変化させ、同じくSnを7×1018/cm3ドーピングしたグレーデッドInAsSb層を0.4μm形成した。また、第1の層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInAs0.31Sb0.69層を0.5μm形成した。また、中間層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。また、第2の層として、ノンドープのInAs0.31Sb0.69層を2μm形成した、また、p型バリア層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたAl0.2In0.8Sb層を0.02μm形成した。また、p型コンタクト層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。
ここでは、中間層であるInSb層をn型コンタクト層、第2の層を光吸収層として用いた。
比較例5は、実施例3のバッファ層と中間層を省略し、第1の層の膜厚を2倍、すなわち1μmにした。また、第1の層をn型コンタクト層として用いた。これ以外は実施例3と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、1200arcsecであった。比較例5は、実施例3と比較して、結晶性が悪いことが理解される。すなわち、バッファ層として、InSbとグレーデッドInAsSb層の積層構造、中間層としてInSbを用いることで、結晶性改善の効果を得ることができることが理解される。
比較例6は、実施例3のバッファ層を省略した以外は実施例3と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、1050arcsecであった。比較例6は、中間層としてInSbを用いたことで、比較例5よりは結晶性は改善しているものの、バッファ層にInSbとグレーデッドInAsSb層の積層構造を用いた実施例3と比較すると、結晶性が悪いことが理解される。
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、バッファ層と、第1の層と、中間層と、第2の層と、p型バリア層と、p型コンタクト層とを順次積層した。この積層工程では、バッファ層としてSnを7×1018/cm3ドーピングしたInAs層を0.5μm形成した。第1の層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInAs0.8Sb0.2層を0.5μm形成した。中間層として、Snを7×1018/cm3ドーピングしたInAs層を0.5μm形成した。第2の層として、ノンドープのInAs0.8Sb0.2層を2μm形成した。p型バリア層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたAl0.2In0.8As0.8Sb0.2層を0.02μm形成した。p型コンタクト層として、Znを3×1018/cm3ドーピングしたInAs層を0.5μm形成した。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。
ここでは、中間層であるInAs層をn型コンタクト層、第2の層を光吸収層として用いた。
比較例7は、実施例4のバッファ層と中間層を省略し、第1の層の膜厚を2倍、すなわち1μmにした。また、第1の層をn型コンタクト層として用いた。これ以外は実施例4と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、1100arcsecであった。比較例7は、実施例4と比較して、結晶性が悪いことが理解される。すなわち、バッファ層、中間層としてInAsを用いることで、結晶性改善の効果を得ることができる。
比較例8は、実施例4のバッファ層を省略した以外は実施例4と同様の条件で、化合物半導体積層体及び量子型赤外線センサを作製した。
光吸収層として用いる第2の層のX線回折ピークのロッキングカーブの半値幅(FWHM値)を評価したところ、850arcsecであった。比較例8は、中間層としてInAsを用いたことで、比較例7よりは結晶性は改善しているものの、バッファ層にInAs層を用いた実施例4と比較すると、結晶性が悪いことが理解される。
実施例1〜4及び比較例1〜8について、第1の層におけるAsの組成比x、第2の層におけるAsの組成比y、バッファ層の有無、中間層の有無、ロッキングカーブの半値幅をそれぞれ表1、2に示す。
以上、本発明について実施形態及び実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態及び実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であり、また、上記実施形態及び実施例を任意に組み合わせてもよい。その様な変更等が加えられた態様も本発明の技術的範囲に含まれ得る。
2 バッファ層
3 第1の層
4 中間層
5 第2の層
6 p型バリア層
7 p型コンタクト層
8 パッシベーション層
9 電極
11 貫通穴
Claims (7)
- 基板と、
前記基板の一方の面上に形成されたInSbからなるバッファ層と、
前記バッファ層上に形成され、InAsxSb1−x(0<x<1)からなる第1の層と、
前記第1の層上に形成されたInSbからなる中間層と、
前記中間層上に形成され、InAsySb1−y(0<y<1)からなる第2の層と、
を備え、
前記第1の層の厚みが、0.3μm以上1μm以下であり、
前記中間層の厚みが、0.1μm以上1μm以下であり、
前記第2の層の厚みが0.5μm以上3μm以下である、量子型赤外線センサ。 - 前記バッファ層、前記第1の層及び前記中間層のうちの少なくとも一つの層の導電型はn型であり、
前記第2の層上に形成されたp型バリア層と、
前記p型バリア層上に形成されたp型コンタクト層と、をさらに備える請求項1に記載の量子型赤外線センサ。 - 基板と、
前記基板の一方の面上に形成されたバッファ層と、
前記バッファ層上に形成され、InAs x Sb 1−x (0<x<1)からなる第1の層と、
前記第1の層上に形成されたInSbからなる中間層と、
前記中間層上に形成され、InAs y Sb 1−y (0<y<1)からなる第2の層と、
を備え、
前記第1の層の厚みが、0.3μm以上1μm以下であり、
前記中間層の厚みが、0.1μm以上1μm以下であり、
前記第2の層の厚みが0.5μm以上3μm以下であり、
前記バッファ層が、
InSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、InAsSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSbのうちの何れか一つの単層からなる、又は、
InSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、InAsSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSbのうちの複数が積層された多層からなる、量子型赤外線センサ。 - 前記InAsxSb1−x(0<x<1)におけるAsの組成比xと、
前記InAsySb1−y(0<y<1)におけるAsの組成比yとが、
−0.1≦x−y≦0.1
の関係を満たす請求項1から請求項3の何れか一項に記載の量子型赤外線センサ。 - 前記InAsxSb1−x(0<x<1)におけるAsの組成比xと、
前記InAsySb1−y(0<y<1)におけるAsの組成比yとが、同じ数値である請求項1から請求項4の何れか一項に記載の量子型赤外線センサ。 - 前記基板が、GaAsまたはSiである請求項1から請求項5の何れか一項に記載の量子型赤外線センサ。
- 前記バッファ層の厚みが0.3μm以上1μm以下である請求項1から請求項6の何れか一項に記載の量子型赤外線センサ。
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