JP2021057366A - 赤外線センサ - Google Patents

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寛崇 外賀
大貴 安田
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大貴 安田
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Abstract

【課題】良好な特性を有する赤外線センサを提供する。【解決手段】赤外線センサは、基板1と、基板上に形成された、第1導電型を有する第1コンタクト層2と、第1コンタクト層上に形成された、InAsxSb1−x(0<x≦0.3)からなる活性層3と、活性層上に形成された、第2導電型を有するバリア層4と、バリア層上に形成された、第2導電型を有する第2コンタクト層5と、を備え、バリア層と第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlyGazIn1−y−zAsvSb1−v(y+z>0)を含み、且つ、AlyGazIn1−y−zAsvSb1−v(y+z>0)層と活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、且つ、AlyGazIn1−y−zAsvSb1−v(y+z>0)層の膜厚は0.3μm以上である。【選択図】図1

Description

本発明は、赤外線センサに関する。
一般に、赤外線センサは、熱型赤外線センサと量子型赤外線センサとに分けられる。熱型赤外線センサは、赤外線のエネルギーを熱として利用したセンサであり、赤外線の熱エネルギーによりセンサ自体の温度が上昇し、その温度上昇による効果(抵抗変化、容量変化、起電力、自発分極)を電気信号に変換する素子である。この熱型赤外線センサには、焦電型(PZT、LiTaO)、熱起電力型(サーモパイル、熱電対)、導電型(ボロメータ、サーミスタ)などがあり、感度に波長依存性がなく、冷却は不要である。しかし、応答速度が遅く、検出能力もあまり高くない。
一方、量子型赤外線センサは、半導体に赤外線が照射されると、その光量子によって発生する電子や正孔を利用するセンサであり、光導電型(HgCdTeなど)や光起電力型(InAsなど)がある。この量子型赤外線センサは、感度の波長依存性があり、高感度で、応答速度が速いという特長があるが、冷却する必要があり、ペルチェ素子やスターリングクーラーなどの冷却機構とともに用いるのが一般的であった。
量子型赤外線センサは、上述したように、光導電効果や光起電力効果等を利用し、赤外線を電気信号に変換する素子であり、一般に冷却して用いられるが、室温で動作可能な量子型赤外線センサも提案されている。例えば、特許文献1に記載の量子型赤外線センサは、基板上に設けられた化合物半導体層により赤外線を検知して電気信号を出力する化合物半導体センサ部と、この化合物半導体センサ部からの電気信号を演算する集積回路部とを備え、この化合物半導体センサ部と集積回路部とを同一パッケージ内に収納したものである。
これにより、電磁ノイズや熱ゆらぎの影響を受けにくくするとともに、室温での検知を可能とし、モジュールの小型化を可能にしたものである。ここで、化合物半導体センサ部の光吸収層となる活性層の材料は、主としてInSb、InAsSb、InAsNなどである。
これらの量子型赤外線センサの応用例としては、人を検知することによって、照明やエアコン、TVなどの家電機器の自動オンオフを行う人感センサや、防犯用の監視センサなどが代表的な例である。最近、省エネルギーや、ホームオートメーション、セキュリテイシステム等への応用面で非常に注目されてきている。
国際公開第2005/027228号
特許文献1によれば、光吸収層の材料としてInAsSbを用いた場合、その混晶組成を変えることで、赤外線検出のピーク波長を7.3μmから10μmまで制御可能であることから、例えば10μm帯に大きな感度をもつ赤外線センサとして、人感センサなどへの応用が期待されている。
しかしながら、InAsSbはInSbと比較すると、良好な結晶を得るのが非常に難しく、赤外線センサにおいて、期待されているような良好な特性が得られていないのが実情である。特に、量子型赤外線センサにおいて、赤外線を吸収する光吸収層の結晶性は、赤外線センサの特性に非常に重要である。光吸収層の結晶性が低い(すなわち欠陥が多い)場合には、欠陥に起因した再結合電流が多く流れてしまうため、素子抵抗R0は低下してしまう。センサ性能を示すSNRは、R0の平方根に比例するため、欠陥が多いと赤外線センサの特性が悪化する。従って、量子型の赤外線センサにおいては、光吸収層の結晶性を向上させることで、赤外線センサ自体の特性を向上させることが可能となる。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、良好な特性を有する赤外線センサを実現することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、以下の発明により上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の一態様に係る赤外線センサは、基板と、前記基板上に形成された、第1導電型を有する第1コンタクト層と、前記第1コンタクト層上に形成された、InAsSb1−x(0<x≦0.3)からなる活性層と、前記活性層上に形成された、第2導電型を有するバリア層と、前記バリア層上に形成された、第2導電型を有する第2コンタクト層と、を備え、前記バリア層と前記第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)を含み、且つ、前記AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層と前記活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、且つ、前記AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層の膜厚は0.3μm以上であることを特徴とする
本発明によれば、良好な特性を有する赤外線センサを実現することができる。
本発明の実施形態に係る化合物半導体積層体の構成例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る赤外線センサの構成例を示す断面図である。 本発明の実施形態に係る赤外線センサの製造方法を工程順に示す断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下に説明する各図において相互に対応する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。また、本発明の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための構成を例示するものであって、各部の材質、形状、構造、配置、寸法等を下記のものに特定するものでない。また、本発明の実施形態は、以下で説明されている特徴的な構成の組み合わせの全てを含むものである。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
<赤外線センサ>
図1は、本発明の実施形態に係る化合物半導体積層体の構成例を示す断面図である。図1に示す化合物半導体積層体は、本発明の実施形態に係る赤外線センサを作製するための積層体である。
図1に示すように、本発明の実施形態に係る化合物半導体積層体は、基板1と、基板1の一方の面(以下、表面)上に形成される、第1導電型の第1コンタクト層2と、第1コンタクト層2上に形成される、InAsSb1−x(0<x≦0.3)からなる活性層3と、活性層3上に形成される、バリア層4と、バリア層4上に形成される、第2コンタクト層5と、を備え、バリア層と第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)を含み、且つ、AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層と活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、且つ、AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層の膜厚は0.3μm以上であることを特徴とする。すなわち、基板1の上に、第1コンタクト層2、活性層3、バリア層4、第2コンタクト層5が順次積層されている。ここで「基板1の表面上に形成され」とは、基板1の表面上に第1コンタクト層2が直接形成されていてもよく、また、基板1と第1コンタクト層2との間にその他の層が形成されていてもよい。本発明において、「〜の直上に形成され」でない「〜上に形成され」という表現はすべてこの意味を表すものである。
図1に示す化合物半導体積層体は、各種の成膜方法を用いて形成される。例えば、分子線エピタキシー(MBE)法や有機金属気相エピタキシー(MOVPE)法などは好ましい方法である。これらの方法により、化合物半導体積層体を形成することが可能である。
図2は、本発明の実施形態に係る赤外線センサの構成例を示す断面図である。図2に示すように、本発明の実施形態に係る赤外線センサは、図1を参照しながら説明した化合物半導体積層体を備える。
また、図2に示すように、この量子型赤外線センサは、基板1上に形成されて化合物半導体積層体を覆うパッシベーション層6と、このパッシベーション層6に形成された開口部を通して化合物半導体積層体に電気的に接続する電極7とを備える。
以下、本発明の実施形態に係る量子型赤外線センサを構成する各構成部について、より具体的に説明する。
(1)基板
基板1は、一般に単結晶を成長できるものであれば特に制限されず、GaAs基板、Si基板などの単結晶基板などが好ましく用いられる。また、それらの単結晶基板がドナー不純物やアクセプタ不純物によって、n型やp型にドーピングされていても良い。
単結晶基板の面方位は、特に制限はないが、(100)、(111)、(110)等が好ましい。また、これらの面方位に対して1°から5°傾けた面方位を用いることもある。
基板1の表面上に形成された複数個の赤外線センサを、電極7で直列接続して用いる場合、各赤外線センサは電極7以外の部分では絶縁分離されていることが好ましい。従って、基板1は単結晶を形成できるものであって、かつ、半絶縁性か、または化合物半導体積層体部分と基板1とが絶縁分離可能であるような基板を用いることが好ましい。
さらに、基板1として、赤外線を透過するような材料を用いることにより、赤外線を基板1の裏面側から入射させることが可能となる。基板1の裏面は、上記の表面と異なる他方の面である。この場合、電極7により赤外光が遮られることがないため、素子の受光面積をより広く取ることができて好ましい。このような基板1の材料としては、半絶縁性のSiやGaAs等が好ましく用いられる。
通常行われるように、基板の表面を平坦化させ、清浄化させる目的で、基板と同じ材質の半導体を形成したものを本発明の「基板」として使用しても良い。GaAs基板上にGaAs層を形成したものを「基板」として使用することは、この最も代表的な例である。
(2)第1コンタクト層
第1コンタクト層2は基板1の表面上に形成される。第1コンタクト層2は、その上に形成される活性層3の結晶性を改善するための層として機能する。
第1コンタクト層2の材料としては、InSb、InAs、InAsSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSb、AlSb、GaSb、AlGaSb、AlAsSb、GaAsSb、AlGaAsSbなどが挙げられる。第1コンタクト層2は、これらのうちの一つの単層でも良いし、これらの複数の層が積層された多層でも良い。また、材料の組成を連続的或いは階段状に変化させながら、格子定数を活性層3の組成に近づけるような、グレーデッドバッファ層を用いても良い。
活性層3にInAsSb1−x(0<x≦0.3)を用いる場合には、第1コンタクト層2のうち基板1の表面に直接形成される材料としては、InSbであることが好ましい。InSbは、良好な結晶性を得るのが容易であり、且つ活性層3との格子定数も近いため、本発明の効果をより得ることが可能となる。
活性層3の結晶性を更に向上させ、欠陥を低減するために、転位フィルタ層を挿入しても良い。転位フィルタ層とは、線欠陥すなわち転位の密度低減を目的に母材(バッファ層)に導入される、母材と格子定数が大きく異なる薄い層のことである。母材と転位フィルタ層との格子定数差により発生するミスフィット応力が、薄い転位フィルタ層に集中することで、転位が横方向に曲折する。複数の曲折した転位同士が衝突することで消滅するため、上層への転位の伝播が抑制される。転位フィルタ層は厚さが比較的薄いにもかかわらず転位を低減でき、成膜時間や素子形成プロセス難度の増加が比較的小さいため、好んで用いられる。
母材(バッファ層)は、InSbや活性層3に用いられるInAsSb1−x(0<x≦0.3)と格子定数が近く、且つ、結晶性が良い材料であることが好ましい。格子定数の観点からは、InSbや、活性層3と組成が同一のInAsSb、活性層3と格子定数が近いAlInSbなどが好ましい。この中でも、InSbはInAsSbやAlInSbと比較して結晶性が良く、活性層3の欠陥を減らす効果が大きく、より好ましい。
母材(バッファ層)の膜厚は、薄すぎると活性層3の結晶性改善の効果がなくなり、厚すぎると形成に時間がかかり、かつ、素子分離のためのメサエッチング工程が困難になるため、0.1μm以上0.7μm以下が好ましい。
転位フィルタ層は、少なくともIn及びSbを含み、母材(バッファ層)であるInSbと格子定数が異なるものであれば何でも良く、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、InAsSbなどが挙げられる。中でも組成制御が容易なIII族元素の混晶である、AlInSb、GaInSb、AlGaInSbは好ましい。
転位フィルタ層にIII族元素の混晶を材料として用いた場合、In元素以外のAl、Ga、In元素の混晶比率の和は大きいほど、母材(バッファ層)のInSbとの格子定数の差は大きく、活性層3の欠陥低減の効果が大きいが、臨界膜厚を超えてしまうと欠陥が増えてしまうので、10%以上40%以下が好ましく、20%以上30%以下がより好ましい。
転位フィルタ層の膜厚は、大きいほど活性層3の欠陥低減の効果が大きいが、臨界膜厚を超えてしまうと欠陥が増えてしまうので、10nm以上100nm以下が好ましく、10nm以上50nm以下がより好ましい。
ここで転位フィルタ層と、転位フィルタ層の直上に形成され、膜厚が0.1μm以上のInSbからなるバッファ層と、の積層構造を、繰り返す回数は多いほど活性層3の欠陥を低減する効果はあるが、多すぎると形成に時間がかかり、かつ、素子分離のためのメサエッチング工程が困難になるため、2回以上5回以下が好ましい。
第1コンタクト層2の膜厚は、薄すぎると活性層3の結晶性改善の効果がなくなり、厚すぎると形成に時間がかかり、かつ、素子分離のためのメサエッチング工程が困難になるため、0.3μm以上3μm以下が好ましい。
赤外線を基板1の裏面側から入射させる場合、第1コンタクト層2での光吸収を低減する目的で、第1コンタクト層2をn型ドーピングしても良い。第1コンタクト層2にある程度の高濃度ドーピングをすると、バースタイン‐モス効果が生じ、第1コンタクト層2における光の無駄な吸収を防ぐことが可能になる。ドーピング量が多い程効果が得られるが、多すぎると結晶性の劣化を招くので、第1コンタクト層2へのドーピング量は、1×1018/cm以上1×1019/cm以下が好ましい。n型ドーパントは何でも良いが、Si、Sn、S、Se、Te、Geなどが挙げられる。特にSnは活性化率が高く好ましい。
活性層3と第1コンタクト層2との間に、第1導電型のバリア層を備えても良い。バリア層は活性層3からの拡散電流を防ぐための層として機能する。この場合、バリア層は、光吸収層である活性層3に対し、十分なバンドオフセットが取れればよく、バンドギャップが広い材料を選択することが好ましい。
バリア層の材料としては、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSbなどが挙げられるが特にこれには限定されない。活性層3とバリア層の格子定数が異なる場合、バリア層の膜厚が臨界膜厚を超えてしまうと、結晶性の劣化を招くので、材料選択の際には、バンドオフセット、結晶性の劣化の効果の両方を考慮の上、適宜選択される。
バリア層の膜厚は、センサの抵抗を下げるために、なるべく薄い方が良いが、電極と光吸収層との間にトンネルリークが発生しないだけの膜厚が必要である。このため、バリア層の膜厚は10nm以上が好ましく、より好ましくは20nm以上である。なお、バリア層の膜厚の上限については、活性層3とバリア層との格子定数との差によって決まる臨界膜厚によって制限される。
第1コンタクト層2にn型ドーピングされている場合、バリア層では、拡散電流を防ぐことの他、光吸収層で発生した電子が、バリア層側へ流れ込むことも重要である。そのため、バリア層には十分なn型ドーピングをする必要があり、ドーピング濃度は1×1018/cm以上1×1019/cm以下が好ましい。n型ドーパントは何でも良いが、Si、Sn、S、Se、Te、Geなどが挙げられる。特にSnは活性化率が高く好ましい。
(3)活性層
活性層3はInAsSb1−x(0<x≦0.3)からなり、赤外線センサにおける光吸収層の役割を果たす。Asの組成比xは、特に限定されないが、Asの組成比xを所望の値に設定することで、赤外線検出のピーク波長を、6μmから10μmの広範囲にわたり制御することが可能である。また、本発明により結晶性改善の効果が特に得られることの観点から、Asの組成比yは、0<y≦0.3の範囲が好ましい。一般的に、Asの組成比xが0.5付近に近くなるにつれて、InAsSbの結晶性は悪化する傾向があるため、0<y≦0.3の範囲では、特に本発明の効果が顕著となる。
活性層3の膜厚は、光吸収量を増やすには厚くした方が良いが、厚すぎると形成に時間がかかり、かつ、素子分離のためのメサエッチング工程が困難になるため、0.5μm以上3μm以下が好ましい。
また、InAsSbはバンドギャップが非常に小さいため、真性キャリア密度が非常に大きい。このことは、拡散電流の増大や、オージェ再結合過程の促進をもたらす。これらの影響を低減するために、活性層3にp型ドーピングしても良い。ドーピング量は適宜選択することができる。p型ドーパントとしては、Be、Zn、Cd、C、Mg、Geなどが好ましく用いられる。p型ドーパントとして、特に、Znは活性化率が高く、毒性も低いため、より好ましく用いられる。
(4)バリア層
活性層3と第2コンタクト層との間に、第2導電型のバリア層4を備える。バリア層4は活性層3からの拡散電流を防ぐための層として機能する。この場合、バリア層4は、光吸収層である活性層3に対し、十分なバンドオフセットが取れればよく、バンドギャップが広い材料を選択することが好ましい。
バリア層4の材料としては、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSbなどが好ましいが特にこれには限定されない。活性層3とバリア層4の格子定数が異なる場合、バリア層4の膜厚が臨界膜厚を超えてしまうと、結晶性の劣化を招くので、材料選択の際には、バンドオフセット、結晶性の劣化の効果の両方を考慮の上、適宜選択される。
バリア層4の膜厚は、センサの抵抗を下げるために、なるべく薄い方が良いが、電極と光吸収層との間にトンネルリークが発生しないだけの膜厚が必要である。このため、バリア層4の膜厚は10nm以上が好ましく、より好ましくは20nm以上である。なお、バリア層4の膜厚の上限については、活性層3とバリア層4との格子定数との差によって決まる臨界膜厚によって制限される。
第2コンタクト層上に形成される電極7の接触抵抗を下げるために、バリア層4の膜厚を0.3μm以上としても良い。バリア層4の材料としてAlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層、AlIn1−yAsSb1−v(y>0)層、AlGaIn1−y−zSb(y+z>0)層、AlIn1−ySb(y>0)層のいずれか1つ以上を用いる場合、膜厚0.3μm以上でも臨界膜厚を超えないようにするには、活性層3とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下である必要がある。ここで、格子ミスマッチは、{(バリア層4のc軸方向の格子定数)―(活性層3のc軸方向の格子定数)}/(活性層3のc軸方向の格子定数)×100%の絶対値として定義している。この場合、活性層3の欠陥を低減することができ、素子抵抗R0すなわち赤外線センサの性能を向上させることができる。
c軸方向の格子定数は、X線回折法(XRD:X−ray Diffracton)による2θ−ωスキャンを行うことにより、基板表面の面方位に対応する面の面指数の2θ−ωスキャンにおけるピーク位置から、基板表面に対する法線方向すなわちc軸方向の格子定数を求めることができる。InAsSbやAlInSbのような3元混晶であれば、求めたc軸方向の格子定数から、ベガード則を用いて組成を算出することができる。
例えばAlInSbであれば、ベガード則は具体的には以下の式(1)で表される。
aAlInSb=xaAlSb+(1−x)aInSb … 式(1)
ここでaAlSbはAlSb、aInSbはInSbの格子定数であり、aAlInSbは上記のX線回折により求まるAlIn1−xSbの格子定数である。aAlSbには6.1355Åを、aInSbには6.4794Åを使用した。
バリア層4のAl組成y、Ga組成z、As組成vは、二次イオン質量分析(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)法により以下のように求めることができる。測定にはCAMECA社製磁場型SIMS装置IMS 7fを用いた。この手法は、固体表面にビーム状の一次イオン種を照射することで、スパッタリング現象により深さ方向に掘り進めながら、同時に発生する二次イオンを検出することで、組成分析を行う手法である。
具体的には、一次イオン種をセシウムイオン(Cs+)、一次イオンエネルギーを2.5keV、ビーム入射角を67.2°とし、検出二次イオン種としてマトリックス効果が小さいMCs+(Mは、Al、Ga、In、As、Sbなど)を検出した。
この際、上述のような一定条件でスパッタリングを行い、目的とする層の深さまでスパッタリングを所定の時間行うことで、目的とする層の組成分析を行った。なお、目的とする層の深さは、後述の断面TEM測定により各層の厚さから求めることができる。SIMS分析のスパッタリング時間―深さの変換は、分析と同条件での一定時間スパッタリング深さを、例えば触針式の段差計を用いて測定しスパッタレートを求め、これを使って試料測定時のスパッタリング時間を深さに変換することで求めた。
そして、各層におけるMCs+の信号強度から、Al組成を求めた。例えばAlInSb層の場合、Al組成は(AlCs+の信号強度)÷((AlCs+の信号強度)+(InCs+の信号強度))から求めた。
なお、各層が深さ方向に均一な組成であっても、スパッタリングの影響により信号強度が深さ方向に分布を生じる場合があるが、この場合は最大の信号強度を各層の信号強度の代表値とする。
XRD法でc軸方向の格子定数を求めるのが難しい場合は、SIMS法で求めた組成からベガード則を用いて求めても良い。
第1コンタクト層2にn型ドーピングされている場合、バリア層4では、拡散電流を防ぐことの他、光吸収層で発生した正孔が、バリア層4側へ流れ込むことも重要である。そのため、バリア層4には十分なp型ドーピングをする必要があり、ドーピング濃度は1×1018/cm以上が好ましい。p型ドーパントとしては、Be、Zn、Cd、C、Mg、Geなどが好ましく用いられる。p型ドーパントとして、特に、Znは活性化率が高く、毒性も低いため、より好ましく用いられる。
(5)第2コンタクト層
第2コンタクト層5は、光吸収層が赤外線を吸収することにより発生した光電流を取り出すための、電極7との第2コンタクト層5として機能する。第2コンタクト層5の材料としては、InSb、InAsSb、AlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlInAsSb、GaInAsSb、AlGaInAsSbなどが挙げられる。第2コンタクト層5のシート抵抗は、熱ノイズであるジョンソンノイズの原因となるため、シート抵抗はできるだけ小さい方が良い。また、活性層3と第2コンタクト層5の格子定数差は小さい方が、その界面での欠陥を減らすことができるため良い。活性層3と同じ組成のInAsSbを第2コンタクト層として用いれば、格子定数ミスマッチは0%にできる。しかしながら、活性層3と同じ材料としてしまうと、第2コンタクト層5も光を吸収してしまう。これを避けるためには、第2コンタクト層は活性層3よりバンドギャップが大きい材料の方が好ましい。シート抵抗低減の観点からは、第2コンタクト層5の材料はInSbが好ましいが、組成制御により活性層3との格子定数差を小さくでき、且つバンドギャップを大きくすることが可能なAlInSb、GaInSb、AlGaInSb、AlGaInAsSbなどはより好ましい。
第2コンタクト層5の膜厚は、シート抵抗を下げるために、なるべく厚い方が好ましい。しかし、厚すぎると形成に時間がかかり、かつ、素子分離のためのメサエッチング工程が困難になる。このため、第2コンタクト層5の膜厚は0.1μm以上1μm以下が好ましく、0.3μm以上0.7μm以下はより好ましい。
第2コンタクト層5の材料としてAlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層、AlIn1−yAsSb1−v(y>0)層、AlGaIn1−y−zSb(y+z>0)層、AlIn1−ySb(y>0)層のいずれか1つ以上を用いる場合、膜厚0.3μm以上でも臨界膜厚を超えないようにするには、活性層3とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下である必要がある。この場合、活性層3の欠陥を低減することができ、素子抵抗R0すなわち赤外線センサの性能を向上させることができる。
第1コンタクト層2にn型ドーピングされている場合、第2コンタクト層5には、PINダイオードを形成するためにp型ドーピングが必要である。また、コンタクト抵抗を下げるために十分なp型ドーピングがされることが必要である。そのため、p型ドーピング濃度としては、1×1018/cm以上が好ましい。またp型ドーパントとしては、Be、Zn、Cd、C、Mg、Geなどが好ましく用いられる。p型ドーパントとして、特に、Znは活性化率が高く、毒性も低いため、より好ましく用いられる。
(6)パッシベーション層
パッシベーション層6は、絶縁性の膜であればよい。パッシベーション層6として、シリコン窒化膜(Si)、シリコン酸化膜(SiO)又はシリコン酸化窒化膜(SiON)などが挙げられる。
(7)電極
電極7は、例えば、第2コンタクト層5に電気的に接続する第1の電極と、第1コンタクト層2に電気的に接続する第2の電極とを有する。電極7は、導電性の膜で構成されていればよい。電極7を構成する導電性の膜として、Au/Tiや、Au/Cr等の積層膜などが挙げられる。なお、上記の積層膜では、Auが上層の膜で、Ti又はCrが下層の膜である。
<赤外線センサの製造方法>
本発明の実施形態に係る量子型赤外線センサの製造方法を説明する。本発明の実施形態では、図1に示した化合物半導体積層体を用いて、図2に示した量子型赤外線センサを作製することが可能である。
図3は、本発明の実施形態に係る赤外線センサの製造方法を工程順に示す断面図である。図3(a)に示すように、まずは、基板1の表面上に、MBE(分子線エピタキシー)法を用いて化合物半導体積層体を形成後、酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて、第2コンタクト層5と、バリア層4と、活性層3、とを順次、部分的に除去して、第1コンタクト層2とコンタクトを取るための段差形成を行う。
次いで、図3(b)に示すように、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行う。ここでは、段差の底部に現れている第1コンタクト層2を部分的に除去する。これにより、素子分離領域では、基板1の表面が露出する。
次いで、SiNやSiOなどのパッシベーション層6を形成して、基板1の表面及び素子分離された化合物半導体積層体の表面及び側面を覆う。次いで、図3(c)に示すように、パッシベーション層6のうち電極7を形成する部分をエッチングして除去し、貫通穴11を形成する。(すなわち、窓開けする)。そして、この貫通穴11を埋め込むように、Au/TiやAu/Cr等の電極7を形成する。電極7はリフトオフ法などで形成する。このようにして、図2に示した赤外線センサを作製する。
本発明の実施形態では、基板1上に作製した複数の量子型赤外線センサを、電気的に直列接続する構造とすることも好ましい。このような構造とすることで、単一の量子型赤外線センサの出力を足し合わせることが可能となり、出力を飛躍的に向上させることができる。
量子型赤外線センサは、この量子型赤外線センサから出力される電気信号を処理する集積回路部と、同一パッケージ内にハイブリッドに形成しても良い。量子型赤外線センサと集積回路部との電気的な接続法は特に限定されない。パッケージに関しても、赤外線の透過率が高い材料であれば特に制限はなく、中空パッケージなどを用いても良い。また、特定の光の影響を完全に避けるため、量子型赤外線センサの受光面(例えば、基板1の裏面側)にフィルタを取り付けてもよい。さらに、検知する距離や方向性を定め、集光性をより高めるため、量子型赤外線センサの受光面(例えば、基板1の裏面側)にフレネルレンズを設けてもよい。
<実施形態の効果>
本発明の実施形態によれば、第1導電型の第1コンタクト層と、第1コンタクト層上に形成される、InAsSb1−x(0<x≦0.3)からなる活性層と、活性層上に形成される、バリア層と、バリア層上に形成される第2コンタクト層とを備える。バリア層と第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)からなり、且つ、AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層と活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、且つ、AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層の膜厚は0.3μm以上であることを特徴とする。その結果、第1コンタクト層上に形成される活性層の欠陥を軽減することができる。
これにより、活性層が光吸収層として用いられる赤外線センサでは、光吸収層の欠陥が少ないため、欠陥に起因する電子、正孔の再結合、すなわち、素子抵抗R0の低下を抑制することができる。センサ性能を示すSNRは、R0の平方根に比例するため、良好な特性を有する赤外線センサを実現が可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいて詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に限定されるものではなく、その発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変更可能であることは言うまでもない。
(実施例1)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.06In0.94Sb層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.01%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価したところ、後述する比較例1の場合と比較して1.14倍の値を得た。赤外線センサの性能SNRはR0の平方根に比例するので、性能は1.07倍向上した。
(実施例2)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.016In0.984Sb層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.24%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価したところ、後述する比較例1の場合と比較して1.14倍の値を得た。赤外線センサの性能SNRはR0の平方根に比例するので、性能は1.07倍向上した。
(実施例3)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.105In0.895Sb層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.23%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価したところ、後述する比較例1の場合と比較して1.14倍の値を得た。赤外線センサの性能SNRはR0の平方根に比例するので、性能は1.07倍向上した。
(実施例4)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.03Ga0.03In0.94Sb層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.01%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価したところ、後述する比較例1の場合と比較して1.14倍の値を得た。赤外線センサの性能SNRはR0の平方根に比例するので、性能は1.07倍向上した。
(実施例5)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.01Ga0.01In0.98As0.05Sb0.95層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.11%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価したところ、後述する比較例1の場合と比較して1.14倍の値を得た。赤外線センサの性能SNRはR0の平方根に比例するので、性能は1.07倍向上した。
(実施例6)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.02In0.98As0.05Sb0.95層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.11%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価したところ、後述する比較例1の場合と比較して1.14倍の値を得た。赤外線センサの性能SNRはR0の平方根に比例するので、性能は1.07倍向上した。
(比較例1)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたInSb層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.33%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価した。実施例1と比較するとR0の値は14%程度低かった。
(比較例2)
MBE法により、半絶縁性のGaAs単結晶基板上に、第1コンタクト層、活性層、バリア層、第2コンタクト層、を順次積層した。この積層工程では、第1コンタクト層としてSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を1μm形成し、さらに、Snを7×1018/cmドーピングしたAl0.26In0.74Sb層を0.02μm形成し、その上にSnを7×1018/cmドーピングしたInSb層を0.3μm形成した積層構造を、2回繰り返し積層し、さらにバリア層としてSnを7×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、活性層として、Znを3×1017/cmドーピングしたInAs0.05Sb0.95層を1.4μm形成した。また、バリア層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.18In0.82Sb層を0.02μm形成した。また、第2コンタクト層として、Znを3×1018/cmドーピングしたAl0.12In0.88Sb層を0.5μm形成した。このとき活性層と第2コンタクト層のc軸方向の格子ミスマッチは0.31%だった。
この化合物半導体積層体を用いて、量子型赤外線センサを作製した。ここでは、第1コンタクト層であるInSb層をn型コンタクト層として用い、活性層を光吸収層として用いた。
まず、n型コンタクト層とのコンタクトをとるための段差形成を酸によるウェットエッチングまたはイオンミリング法などを用いて行った。次いで、段差形成がされた化合物半導体積層体に対して、素子分離のためのメサエッチングを行った。その後、全面(GaAs基板及びGaAs基板上に形成された化合物半導体積層体)をSiNパッシベーション層で覆った。次いで、形成されたSiNパッシベーション層上で、電極形成部分のみ窓開けを行った。次いで、n型コンタクト層の段差部分上及びp型コンタクト層上の2箇所に、Au/TiをEB(電子ビーム)蒸着し、リフトオフ法により電極を形成した。
赤外線センサの素子抵抗R0を評価した。比較例1と同等の値であり、赤外線センサの性能向上は見られなかった。
(付記)
以上、本発明について実施形態及び実施例を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施形態及び実施例に記載の範囲には限定されない。上記実施形態に多様な変更または改良を加えることが可能であり、また、上記実施形態及び実施例を任意に組み合わせてもよい。その様な変更等が加えられた態様も本発明の技術的範囲に含まれ得る。
1 基板
2 第1コンタクト層
3 活性層
4 バリア層
5 第2コンタクト層
6 パッシベーション層
7 電極
11 貫通穴

Claims (4)

  1. 基板と、
    前記基板上に形成された、第1導電型を有する第1コンタクト層と、
    前記第1コンタクト層上に形成された、InAsSb1−x(0<x≦0.3)からなる活性層と、
    前記活性層上に形成された、第2導電型を有するバリア層と、
    前記バリア層上に形成された、第2導電型を有する第2コンタクト層と、を備え、
    前記バリア層と前記第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)を含み、
    且つ、前記AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層と前記活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、
    且つ、前記AlGaIn1−y−zAsSb1−v(y+z>0)層の膜厚は0.3μm以上であることを特徴とする赤外線センサ。
  2. 前記バリア層と前記第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlIn1−yAsSb1−v(y>0)を含み、
    且つ、前記AlIn1−yAsSb1−v(y>0)と前記活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、
    且つ、前記AlIn1−yAsSb1−v(y>0)の膜厚は0.3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
  3. 前記バリア層と前記第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlGaIn1−y−zSb(y+z>0)を含み、
    且つ、前記AlGaIn1−y−zSb(y+z>0)層と前記活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、
    且つ、前記AlGaIn1−y−zSb(y+z>0)層の膜厚は0.3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
  4. 前記バリア層と前記第2コンタクト層のうちいずれか一方はAlIn1−ySb(y>0)を含み、
    且つ、前記AlIn1−ySb(y>0)層と前記活性層とのc軸方向の格子定数の差、すなわち格子ミスマッチは0%以上0.25%以下であり、
    且つ、前記AlIn1−ySb(y>0)層の膜厚は0.3μm以上であることを特徴とする請求項1に記載の赤外線センサ。
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