JP6734057B2 - 樹脂組成物用フィラー及びその製造方法並びに樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、エポキシ樹脂中に分散したときに流動性が高い樹脂組成物を得ることが可能な樹脂組成物用フィラー及びその製造方法、並びに流動性が高い樹脂組成物に関する。
従来より金属酸化物粒子はエポキシ樹脂中にフィラーとして分散・含有させて樹脂組成物とすることが行われている(特許文献1など参照)。金属酸化物粒子は樹脂よりも機械的特性に優れているからである。
特開2015−13978号公報
ところで金属酸化物粒子はその表面状態により性状が変化することが知られている。そこで、エポキシ樹脂中に分散させているときの金属酸化物粒子の表面電位を正に変化させたところ、得られた樹脂組成物の流動性が向上することを見出した。
本願発明は上記知見に基づき完成したものであり、液状のエポキシ樹脂中に分散させることで高い性能を発現できる樹脂組成物用フィラー及びその製造方法、並びにその樹脂組成物用フィラーを用いた樹脂組成物を提供することを解決すべき課題とする。
(1)上記課題を解決する樹脂組成物用フィラーの特徴は、体積平均粒子径が2nm〜50μmであり、液状のエポキシ樹脂中でのゼータ電位が正であるように表面修飾された金属酸化物粒子からなることにある。
本発明の樹脂組成物用フィラーはエポキシ樹脂中でのゼータ電位が正である金属酸化物粒子から構成することにより、液状のエポキシ樹脂中に分散させた場合に互いに反発し合って高い分散性を示すことができる。分散性の向上により流動性、得られた樹脂組成物を硬化させた硬化物の機械的特性の向上が実現できる。ゼータ電位は分散媒となる液体の種類により変化する値であり、水やアルコールなどの汎用される分散媒と比較してエポキシ樹脂中では表面電荷が変化する。
上述した(1)の構成に加えて以下の(2)及び(3)に記載の構成要素のうちの1つ以上を任意に組み合わせることができる。また、(3)に記載の構成要素を組み合わせた場合には(4)の構成要素も採用することができ更に(4)に記載の構成要素を採用した場合には(5)に記載の構成要素を採用することもできる。(4)・(5)では(3)で記載の塩基試薬として好ましいものを開示する。
(2)表面にリン原子が存在する。リン原子の存在によりゼータ電位を容易に正にすることができる。
(3)前記金属酸化物粒子はエポキシ基を有するシランカップリング剤と塩基試薬との混合物が表面に結合されている。ここで「結合」とは共有結合などのような強固な結合の他ファンデルワールス力などの弱い結合も含む。弱い結合が「結合」に含まれることはエポキシ樹脂中において測定したゼータ電位が正であることで確認する。
(4)前記塩基試薬が有機リン化合物又はその塩である。
(5)前記塩基試薬がトリエチルホスフィン、トリノルマルプロピルホスフィン、トリノルマルブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、2,2‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、及び/又は、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドである。
(6)上述の(1)〜(5)に記載の樹脂組成物用フィラーは以下に記載の本発明の製造方法にて製造できる。
エポキシ基を有するシランカップリング剤と塩基試薬とを反応させて前記エポキシ基と塩基試薬からなる中間体を生成し、金属酸化物粒子の表面に前記中間体を接触させて表面が修飾された金属酸化物粒子を得る修飾工程を有する。
エポキシ基をもつシランカップリング剤と塩基試薬とを予め反応させることでシランカップリング剤に塩基試薬由来の正電荷を導入させることが可能になって金属酸化物粒子表面への正電荷を少ない量の塩基試薬にて行うことができる。
(7)上述の(1)〜(5)に記載の樹脂組成物用フィラーは液状のエポキシ樹脂と混合することにより本願発明の樹脂組成物を構成することができる。この樹脂組成物は半導体封止材用樹脂組成物として用いたり、複写機用トナーに添加する流動性向上剤・結着樹脂などとして用いることができる。
本発明の樹脂組成物用フィラーは上述の構成を有することにより樹脂組成物に適用したときに高い分散性を実現することができる。また、上述の本発明の製造方法は確実に本発明の樹脂組成物用フィラーを得ることができる製造方法である。
本発明の樹脂組成物用フィラー及びその製造方法、並びに樹脂組成物について以下詳細に説明を行う。
(樹脂組成物用フィラー及びその製造方法)
本発明の樹脂組成物用フィラー(以下、適宜「フィラー」と称することがある)はエポキシ樹脂中にフィラーとして混合して樹脂組成物として用いるものである。フィラーとエポキシ樹脂との混合比は特に限定しない。フィラーは多く入れることでフィラーに由来する特性を発揮しやすくなるが大量に入れると充分な流動性が実現できないことも考えられる。従って必要な特性が得られる範囲でフィラーとエポキシ樹脂との混合比は設定できる。例えばフィラーは全体の質量を基準として0〜80質量%で混合することができる。
フィラーはエポキシ樹脂中におけるゼータ電位が正である金属酸化物粒子である。更にはゼータ電位が0mV超、3000mV以下の範囲内にあることが好ましく、0mV超、100mV以下がより好ましい。ゼータ電位の測定方法は特に限定されず常法(電気泳動光散乱法・超音波振動電位法・電気音響法など)にて測定可能である。測定はエポキシ樹脂中にて行うがそのエポキシ樹脂については後述する半導体封止材用樹脂組成物の欄にて詳しく説明する。
金属酸化物粒子の表面のゼータ電位を正にする方法としては特に限定しないがエポキシ樹脂中で正の電荷をもつ化合物を表面に結合させて金属酸化物粒子の表面を修飾する方法が挙げられる。ゼータ電位が正である金属酸化物粒子はリン原子をもつもので表面修飾される表面修飾によりエポキシ樹脂中で正の電荷をもつように表面修飾できる化合物としてはリン原子をもつ塩基試薬などが挙げられる。塩基試薬を表面に結合させる量は結合後の金属酸化物粒子の表面のゼータ電位が正になる量にすることができる。なお、塩基試薬の量が少ない方が金属酸化物粒子の特性がフィラーに反映されやすくなるため好ましい。例えば塩基試薬の量としては金属酸化物粒子の質量を基準として10%以下とすることが好ましく、0.5%以下にすることがより好ましい。塩基試薬はそのまま金属酸化物粒子の表面に接触させたり、適正な溶媒中に溶解させて表面に接触させたりすることができる。
塩基試薬はそのまま金属酸化物粒子の表面に接触させて処理することができるほか、シランカップリング剤と共に金属酸化物粒子の表面に接触させることで塩基試薬が金属酸化物粒子の表面に結合させることができる。シランカップリング剤は金属酸化物粒子の表面に存するOH基に反応・結合することができる化合物で有れば良く、シランカップリング剤が有する官能基を金属酸化物粒子表面に導入することができる。
シランカップリング剤としては特に塩基試薬と反応する組み合わせを採用することが好ましい。その場合にはシランカップリング剤と塩基試薬とをそのまま混合するか、何らかの媒体(液体など)中に溶解させた状態で混合するかして反応させることができる。反応させる場合には充分に反応を進行させることが好ましい。
シランカップリング剤と塩基試薬が反応する組み合わせとしては、例えばエポキシ基をもつシランカップリング剤と塩基試薬との組み合わせを採用し、エポキシ基をもつシランカップリング剤と塩基試薬とからなる中間体を生成させることで、より確実に金属酸化物粒子の表面に塩基試薬由来の正電荷を導入することが可能になる。中間体としてはシランカップリング剤と塩基試薬とが反応して生成する化合物(ホスホニウムベタイン中間体や重合体など)が例示できる。エポキシ基を有するシランカップリング剤と塩基試薬とを予め混合・反応させることで確実に金属酸化物粒子の表面に塩基試薬由来の正電荷が導入できる。エポキシ基をもつシランカップリング剤としてはエポキシ基を有していればその他の構造は特に限定しない。エポキシ基としてはグリシジル基が例示できる。
塩基試薬としては単独で、又は、先述したようにシランカップリング剤と反応させて中間体とした後に、金属酸化物粒子の表面に接触させたときにエポキシ樹脂中でのゼータ電位が正になる化合物である。表面処理後のエポキシ樹脂中でのゼータ電位を測定すれば本願発明に用いることができる塩基試薬がどうかは簡単に識別できる。
具体的に好ましい塩基試薬としては有機リン化合物又はその塩であることが好ましい。有機リン化合物又はその塩としてはトリエチルホスフィン、トリノルマルプロピルホスフィン、トリノルマルブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、2,2‘−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、及び/又は、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドが採用できる。特にトリフェニルホスフィンを採用することが好ましい。
金属酸化物粒子としてはシリカ・アルミナ・チタニア・ジルコニア・マグネシアなどが挙げられる。金属酸化物の形態はそのままフィラーの形態に影響を与えるためフィラーとして望ましい形態である球形(例えば真球度が0.8以上・0.9以上・0.95以上。真球度の測定は、SEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(真球度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(シスメックス株式会社:FPIA−3000)を用い、無作為に抽出した100個の粒子について測定した平均値を採用する。)にすることができる。
真球度が高い金属酸化物粒子を得る方法としては爆燃法(VMC法:対応する金属の粉末を酸素雰囲気下で燃焼させた後、急速に冷却する方法)や溶融法(金属酸化物からなる粉粒体を火炎中に投入して溶融させた後に急速に冷却する方法)を採用することができる。爆燃法も溶融法も溶解した金属酸化物が、その表面張力により球形化して最終的に得られる金属酸化物粒子の真球度が向上する。
金属酸化物粒子の粒径は特に限定しないが、体積平均粒子径が2nm〜50μmであることが好ましい。なお特に粒径が小さい金属酸化物粒子の方が粘度が高くなる傾向にあるため、粒径が小さい金属酸化物粒子(例えば体積平均粒径の上限が5μm、3μm、2μm、1μm、100nm)に適用すると粘度低減効果が期待できる。体積平均粒径の測定は光散乱法にて測定する。
(樹脂組成物)
本実施形態の樹脂組成物は、半導体の液状封止に用いられるものの他、半導体のアンダーフィルの用途にも採用できる。また、複写機用トナーに添加する添加剤としても用いることができる。
本実施形態の樹脂組成物は上述した本実施形態の樹脂組成物用フィラーとエポキシ樹脂との混合物である。エポキシ樹脂は硬化前のモノマー乃至はプレポリマーである。エポキシ樹脂としては2以上のエポキシ基をもつ主剤と、2以上の活性水素をもつ官能基(例えばフェノール性OH基・アミノ基)をもつ硬化剤との混合物やある程度まで反応させたプレポリマーが例示できる。プレポリマーとしてはグリシジルエーテル型・グリシジルエステル型・グリシジルアミン型・脂環型が例示され、更なる硬化剤の存在により硬化する。フィラーとエポキシ樹脂との混合比は前述した混合比を採用することができる。
(実施例1:シランカップリング剤と塩基試薬とを予混合して反応)
・エポキシ基を有するシランカップリング剤と塩基試薬との溶解(混合・反応)
エポキシ基をもつシランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業株式会社製)を1質量部、塩基試薬としてのトリフェニルホスフィン(TPP)を0.3質量部を均一に溶解するまで混合し処理剤とした。得られた処理剤は薄黄色から赤色を呈した。なお、以下の試験例において金属酸化物粒子に接触させる薬剤の色は全て無色透明であった。この混合により3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがもつエポキシ環は塩基試薬と反応しホスホニウムベタイン中間体を生成していることをESI−MSにより確認した。
・シリカへの表面処理
金属酸化物粒子としての真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ、D50:約0.5μm)を100質量部に対して上記処理剤1.3質量部を噴霧した。噴霧は真球状シリカを混合設備にて混合しながら行うことにより表面に対して均一に処理を行うことで本実施例の表面処理シリカ(本願発明の樹脂組成物用フィラーに相当)とした。
・表面処理の評価
表面処理シリカの表面をメチルエチルケトン(MEK)で洗浄することにより化学的に結合していない処理剤を除去し洗浄シリカとした。その後、洗浄シリカを乾燥してMEKを除去した。得られた洗浄シリカ中のカーボン量は0.16%であった。また表面のリン原子の量は45ppm(ICPにより測定)であった。以下の実施例及び比較例においても表面のカーボン量を測定する際には上述したようにMEKにて洗浄した洗浄シリカとした。
・ゼータ電位の測定
フィラーとしての本実施例の表面処理シリカを1質量部に対し、MEK1000質量部を混合してゼータ電位を測定した。具体的には電気泳動光散乱法式ゼータ電位計(大塚電子社製 ECS−Z2000ZS)で測定した。その結果、正に帯電していた。
フィラーとしての上記本実施例の表面処理シリカを1質量部に対し、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合エポキシ樹脂、新日鐵化学社製、ZX−1059)5質量部、エポキシ樹脂希釈剤グリシジルフェニルエーテル2質量部、アミン系硬化剤エタキュア100(ALBEMARLE社製)2質量部を混合し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いてゼータ電位を測定した。具体的には超音波振動電位法式ゼータ電位計(Dispersion Technology社製 DT1200)で測定した。その結果、正に帯電していた。
・樹脂混練品の測定
フィラーとしての上記シリカを6質量部、ZX−1059を4質量部を混合し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度を測定した。具体的にはDiscovery Hybrid Rheometer(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)で測定した。その結果、33Pa・sだった。
(実施例2:シランカップリング剤と塩基試薬とを予混合せずに反応)
実施例1では3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとTPPとを予め混合して反応させていたのに対して別々に順次反応させた。具体的には真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ D50:約0.5μm)100質量部に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1質量部を噴霧した後、TPPを0.2質量部含むトルエン溶液(50質量%溶液)の噴霧を混合設備にて混合しながら行い均一処理を実施することで本実施例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.25%、ゼータ電位はMEK中が正、エポキシ樹脂中も正であった。樹脂混練品の粘度は23Pa・sだった。
(実施例3:シリカと単独で反応できる塩基試薬を採用した場合)
実施例1ではKBM403とTPPを反応させていたのに対して2−(ジフェニルホスフィノ)エチルトリメトキシシランのみを反応させた。
具体的には真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ D50:約0.5μm) 100質量部に2−(ジフェニルホスフィノ)エチルトリメトキシシラン1質量部を噴霧しながら、混合設備にて均一処理を実施することで本実施例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.18%、リン原子の量は200ppm(ICPにより測定)、ゼータ電位はMEK中・エポキシ樹脂中共に正であった。樹脂混練品の粘度は33Pa・sだった。
(比較例1:塩基試薬の量をゼータ電位が負になるまで減らした場合)
実施例2におけるTPPの量を0.03質量部とした以外は同様の方法で本比較例の表面処理シリカを得た。カーボン量は0.18%、ゼータ電位はMEK中が負、エポキシ樹脂中は負であった。ICP測定によると表面にリン原子が7ppm存在した。
(比較例2:塩基試薬の不使用)
実施例1では3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランとTPPとを予め混合して反応させていたのに対してTPPを用いず3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランのみを反応させた。
具体的には真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ D50:約0.5μm) 100質量部に3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシラン 1質量部を噴霧しながら、混合設備にて均一処理を実施することで本比較例の表面処理シリカを得た。カーボン量は0.06%、ゼータ電位はMEK中・エポキシ樹脂中共に負であった。ICP測定の結果、表面のリン原子の量は検出限界以下(1ppm以下)であった。樹脂混練品の粘度は40Pa・sだった。
(比較例3:シランカップリング剤の不使用)
実施例1では3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランとTPPとを予め混合して反応させていたのに対して3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランを用いずTPPのみを反応させた。
具体的には真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ D50:約0.5μm) 100質量部にTPPを0.3質量部含むトルエン溶液(50質量%溶液)を噴霧しながら、混合設備にて均一処理を実施することで本比較例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.03%、ゼータ電位はMEK中・エポキシ樹脂中共に負であった。ICP測定の結果、表面のリン原子の量は検出限界以下(1ppm以下)であった。樹脂混練品の粘度は25Pa・sだった。
(比較例4:ゼータ電位が負である範囲での塩基試薬の種類及び量の調整)
実施例1のTPPに代えて3−アミノプロピルトリメトキシシラン(アミノ基を有するシランカップリング剤、アミノ基の存在により塩基試薬としての要件を満たす可能性がある。KBM−903:信越化学工業株式会社製)を用いた。
KBM−403を1質量部、KBM−903を0.3質量部を均一に溶解するまで混合し処理剤とした。その後、金属酸化物粒子としての真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ、D50:約0.5μm)を100質量部に対して上記処理剤1.3質量部を噴霧した。噴霧は真球状シリカを混合設備にて混合しながら行うことにより表面に対して均一に処理を行うことで本比較例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.33%、ゼータ電位はMEK中では正、エポキシ樹脂中では負であった。樹脂混練品の粘度は111Pa・sだった。なお、今回の添加量では樹脂組成物中でのゼータ電位が負であったが、実施例1と比較例1との関係からも推測できるように、添加量を増加させることにより正になる可能性がある。
(比較例5:比較例4の変更例)
比較例4では3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403)とKBM−903とを予め混合して反応させていたのに対してKBM−403を用いずKBM−903のみを反応させた。
具体的には真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ D50:約0.5μm) 100質量部にKBM−9030.3質量部を噴霧しながら、混合設備にて均一処理を実施することで本比較例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.10%、ゼータ電位はMEK中では正、エポキシ樹脂中では負であった。樹脂混練品の粘度は71Pa・sだった。
(比較例6:予混合無しの例)
実施例1ではTPPと3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを予混合していたが、その工程を経ずにエポキシ基をもつシランカップリング剤としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業株式会社製)を1質量部を噴霧したのち、TPPを0.3質量部を添加し均一処理を実施することで本比較例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.10%、ゼータ電位はMEK中では負、エポキシ樹脂中では負であった。樹脂混練品の粘度は53Pa・sだった。
(まとめ)
以上の結果を表1に示す。
Figure 0006734057
表1から明らかなように、実施例1〜3は比較例1,2,3,4,5と比べて粘度が低いことが分かった。なお、比較例3はシランカップリング剤を使用していないためシリカをそのまま用いた場合の粘度に近い値を示したものと考えられる。つまり、TPPはシランカップリング剤と共に反応させることによりシリカなどの金属酸化物粒子の表面に結合させることができることが明らかになった。比較例6ではTPPとシランカップリング剤を予混合せず、そのまま添加しただけだと実施例1に比べ正帯電化および粘度低減化の効果が小さかった。TPPは固体試薬のため、溶媒に溶解させることで当反応をより進行させられることがわかった。
ここでシランカップリング剤とTPPとの反応順序がゼータ電位に与える影響は明らかではないが、シランカップリング剤が直接的にシリカ表面に結合出来ることは周知で有ることから、TPPとシリカとの結合をシランカップリング剤が仲立ちしていることが推測される。また、実施例2の結果から先にシランカップリング剤にて処理した後であれば確実にTPPがシリカ表面に導入されることが明らかになっている。
そして、TPP単独では充分な量にてシリカ表面に結合することが困難であることが分かった。この結果から、シリカ以外の金属酸化物粒子であってもシリカと同様に表面にOH基を有するもの(上述した実施形態にて例示したものなど)はシリカと同様にシランカップリング剤との反応が生起するために同様の効果が発現できることが充分に想定できる。
また、実施例1及び2を比べて値に大小があり、予混合が無い実施例2の方が低減効果に優れてはいるものの、実施例1でも充分な粘度の低減効果が認められることからシランカップリング剤と塩基試薬との予混合の有無は粘度低減に大きな影響はないものと考えられる。更に、実施例3でも充分な粘度低減効果を示すことから表面に塩基試薬を結合出来れば充分な粘度低減効果を発揮できるものと考えられる。
そして、シランカップリング剤によりシリカの表面を処理すると比較例2から明らかなように粘度が高くなっており、本発明が解決しようとするのはこの粘度上昇である。
実施例1と比較例1との結果から同様にシランカップリング剤と塩基試薬とを反応させた場合であっても樹脂組成物中でのゼータ電位が正になるかどうかで粘度が異なる(正になる方が低い粘度である)ことが分かった。但し、比較例1であってもその他のシランカップリング剤にて処理が為されている比較例2,4、5よりも低い粘度であった。
比較例4及び5の結果から樹脂組成物中でのゼータ電位が負である範囲ではある程度の粘度低減効果は認められるが(比較例2よりも粘度が低い)、充分な効果とは言い難かった。これは塩基試薬として採用したKBM−903の量が少なかったか、又は、反応の方法が適切で無かったためであると考えられる。但し、樹脂組成物中でのゼータ電位を正にできるまでの量を反応させた場合に得られる表面処理シリカの性状についてはKBM−903の影響が大きくなることが予想される。
更に、表面に導入されたカーボン量とエポキシ樹脂中でのゼータ電位との関連は薄いことが分かった。また、実施例2の表面処理シリカは、MEK中でのゼータ電位が比較例4の表面処理シリカのMEK中でのゼータ電位よりも小さいが、比較例4の表面処理シリカとは異なり樹脂中でのゼータ電位が正になっており、MEK中でのゼータ電位の大きさと樹脂中でのゼータ電位の大きさとが必ずしも直接的に相関するとも限らないことが分かった。
以上、塩基試薬により処理することで金属酸化物粒子の表面のゼータ電位を正にすることができることが分かった。また、エポキシ基をもつシランカップリング剤と塩基試薬との双方を金属酸化物粒子と反応させることで確実にゼータ電位が正であるフィラーを得ることが可能になった。

Claims (7)

  1. 体積平均粒子径が2nm〜50μmであり、下記方法で測定したゼータ電位が正であるように、リン原子を含有するシランカップリング剤で表面処理されたシリカである金属酸化物粒子からなる樹脂組成物用フィラー。
    (ゼータ電位の測定法)
    樹脂組成物用フィラー1質量部に対し、エポキシ当量が169であるビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の1:1混合品が5質量部、エポキシ樹脂希釈剤グリシジルフェニルエーテル2質量部、ジエチルトルエンジアミンが2質量部を混合して得た樹脂組成物について超音波振動電位法式ゼータ電位計(Dispersion Technology社製 DT1200)にて測定する。
  2. メチルエチルケトンで洗浄した後、表面に存在するリン原子がICP測定にて検出可能な量で存在する請求項1記載の樹脂組成物用フィラー。
  3. 体積平均粒子径が2nm〜50μmであり、下記方法で測定したゼータ電位が正であるようにエポキシ基を有するシランカップリング剤とリン原子を含有する塩基試薬との混合物表面処理されたシリカである金属酸化物粒子からなる樹脂組成物用フィラー。
    (ゼータ電位の測定法)
    樹脂組成物用フィラー1質量部に対し、エポキシ当量が169であるビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の1:1混合品が5質量部、エポキシ樹脂希釈剤グリシジルフェニルエーテル2質量部、ジエチルトルエンジアミンが2質量部を混合して得た樹脂組成物について超音波振動電位法式ゼータ電位計(Dispersion Technology社製 DT1200)にて測定する。
  4. 前記塩基試薬が有機リン化合物又はその塩である請求項3に記載の樹脂組成物用フィラー。
  5. 前記塩基試薬がトリエチルホスフィン、トリノルマルプロピルホスフィン、トリノルマルブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、2,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、及び/又は、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドである請求項4に記載の樹脂組成物用フィラー。
  6. 請求項1又は2に記載の樹脂組成物用フィラーを製造する方法であって、エポキシ基を有するシランカップリング剤とリン原子を含有する塩基試薬とを反応させて前記リン原子を含有するシランカップリング剤である中間体を生成させる工程と、金属酸化物粒子の表面に前記中間体を接触させて表面が修飾された金属酸化物粒子を得る修飾工程を有する樹脂組成物用フィラーの製造方法。
  7. 請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の樹脂組成物用フィラーと、液状のエポキシ樹脂とを有し、半導体封止材用樹脂組成物又はトナー原料として用いられる樹脂組成物。
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