JP6734057B2 - 樹脂組成物用フィラー及びその製造方法並びに樹脂組成物 - Google Patents
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Description
本発明の樹脂組成物用フィラー(以下、適宜「フィラー」と称することがある)はエポキシ樹脂中にフィラーとして混合して樹脂組成物として用いるものである。フィラーとエポキシ樹脂との混合比は特に限定しない。フィラーは多く入れることでフィラーに由来する特性を発揮しやすくなるが大量に入れると充分な流動性が実現できないことも考えられる。従って必要な特性が得られる範囲でフィラーとエポキシ樹脂との混合比は設定できる。例えばフィラーは全体の質量を基準として0〜80質量%で混合することができる。
本実施形態の樹脂組成物は、半導体の液状封止に用いられるものの他、半導体のアンダーフィルの用途にも採用できる。また、複写機用トナーに添加する添加剤としても用いることができる。
・エポキシ基を有するシランカップリング剤と塩基試薬との溶解(混合・反応)
エポキシ基をもつシランカップリング剤としての3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業株式会社製)を1質量部、塩基試薬としてのトリフェニルホスフィン(TPP)を0.3質量部を均一に溶解するまで混合し処理剤とした。得られた処理剤は薄黄色から赤色を呈した。なお、以下の試験例において金属酸化物粒子に接触させる薬剤の色は全て無色透明であった。この混合により3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランがもつエポキシ環は塩基試薬と反応しホスホニウムベタイン中間体を生成していることをESI−MSにより確認した。
金属酸化物粒子としての真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ、D50:約0.5μm)を100質量部に対して上記処理剤1.3質量部を噴霧した。噴霧は真球状シリカを混合設備にて混合しながら行うことにより表面に対して均一に処理を行うことで本実施例の表面処理シリカ(本願発明の樹脂組成物用フィラーに相当)とした。
表面処理シリカの表面をメチルエチルケトン(MEK)で洗浄することにより化学的に結合していない処理剤を除去し洗浄シリカとした。その後、洗浄シリカを乾燥してMEKを除去した。得られた洗浄シリカ中のカーボン量は0.16%であった。また表面のリン原子の量は45ppm(ICPにより測定)であった。以下の実施例及び比較例においても表面のカーボン量を測定する際には上述したようにMEKにて洗浄した洗浄シリカとした。
フィラーとしての本実施例の表面処理シリカを1質量部に対し、MEK1000質量部を混合してゼータ電位を測定した。具体的には電気泳動光散乱法式ゼータ電位計(大塚電子社製 ECS−Z2000ZS)で測定した。その結果、正に帯電していた。
フィラーとしての上記シリカを6質量部、ZX−1059を4質量部を混合し樹脂組成物を得た。この樹脂組成物の粘度を測定した。具体的にはDiscovery Hybrid Rheometer(ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製)で測定した。その結果、33Pa・sだった。
実施例1では3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランとTPPとを予め混合して反応させていたのに対して別々に順次反応させた。具体的には真球状シリカ(アドマテックス製真球状シリカ D50:約0.5μm)100質量部に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1質量部を噴霧した後、TPPを0.2質量部含むトルエン溶液(50質量%溶液)の噴霧を混合設備にて混合しながら行い均一処理を実施することで本実施例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.25%、ゼータ電位はMEK中が正、エポキシ樹脂中も正であった。樹脂混練品の粘度は23Pa・sだった。
実施例1ではKBM403とTPPを反応させていたのに対して2−(ジフェニルホスフィノ)エチルトリメトキシシランのみを反応させた。
実施例2におけるTPPの量を0.03質量部とした以外は同様の方法で本比較例の表面処理シリカを得た。カーボン量は0.18%、ゼータ電位はMEK中が負、エポキシ樹脂中は負であった。ICP測定によると表面にリン原子が7ppm存在した。
実施例1では3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランとTPPとを予め混合して反応させていたのに対してTPPを用いず3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランのみを反応させた。
実施例1では3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランとTPPとを予め混合して反応させていたのに対して3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシランを用いずTPPのみを反応させた。
実施例1のTPPに代えて3−アミノプロピルトリメトキシシラン(アミノ基を有するシランカップリング剤、アミノ基の存在により塩基試薬としての要件を満たす可能性がある。KBM−903:信越化学工業株式会社製)を用いた。
比較例4では3−グリジシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403)とKBM−903とを予め混合して反応させていたのに対してKBM−403を用いずKBM−903のみを反応させた。
実施例1ではTPPと3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランを予混合していたが、その工程を経ずにエポキシ基をもつシランカップリング剤としての3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403:信越化学工業株式会社製)を1質量部を噴霧したのち、TPPを0.3質量部を添加し均一処理を実施することで本比較例の表面処理シリカを得た。表面に結合したカーボン量は0.10%、ゼータ電位はMEK中では負、エポキシ樹脂中では負であった。樹脂混練品の粘度は53Pa・sだった。
以上の結果を表1に示す。
Claims (7)
- 体積平均粒子径が2nm〜50μmであり、下記方法で測定したゼータ電位が正であるように、リン原子を含有するシランカップリング剤で表面処理されたシリカである金属酸化物粒子からなる樹脂組成物用フィラー。
(ゼータ電位の測定法)
樹脂組成物用フィラー1質量部に対し、エポキシ当量が169であるビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の1:1混合品が5質量部、エポキシ樹脂希釈剤グリシジルフェニルエーテルが2質量部、ジエチルトルエンジアミンが2質量部を混合して得た樹脂組成物について超音波振動電位法式ゼータ電位計(Dispersion Technology社製 DT1200)にて測定する。 - メチルエチルケトンで洗浄した後、表面に存在するリン原子がICP測定にて検出可能な量で存在する請求項1記載の樹脂組成物用フィラー。
- 体積平均粒子径が2nm〜50μmであり、下記方法で測定したゼータ電位が正であるように、エポキシ基を有するシランカップリング剤とリン原子を含有する塩基試薬との混合物で表面処理されたシリカである金属酸化物粒子からなる樹脂組成物用フィラー。
(ゼータ電位の測定法)
樹脂組成物用フィラー1質量部に対し、エポキシ当量が169であるビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の1:1混合品が5質量部、エポキシ樹脂希釈剤グリシジルフェニルエーテルが2質量部、ジエチルトルエンジアミンが2質量部を混合して得た樹脂組成物について超音波振動電位法式ゼータ電位計(Dispersion Technology社製 DT1200)にて測定する。 - 前記塩基試薬が有機リン化合物又はその塩である請求項3に記載の樹脂組成物用フィラー。
- 前記塩基試薬がトリエチルホスフィン、トリノルマルプロピルホスフィン、トリノルマルブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)ベンゼン、トリフェニルホスファイト、トリエチルホスファイト、テトラフェニルホスホニウムブロマイド、テトラフェニルホスホニウムクロライド、テトラフェニルホスホニウムアイオダイド、メチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムクロライド、及び/又は、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドである請求項4に記載の樹脂組成物用フィラー。
- 請求項1又は2に記載の樹脂組成物用フィラーを製造する方法であって、エポキシ基を有するシランカップリング剤とリン原子を含有する塩基試薬とを反応させて前記リン原子を含有するシランカップリング剤である中間体を生成させる工程と、金属酸化物粒子の表面に前記中間体を接触させて表面が修飾された金属酸化物粒子を得る修飾工程を有する樹脂組成物用フィラーの製造方法。
- 請求項1〜5のうちの何れか1項に記載の樹脂組成物用フィラーと、液状のエポキシ樹脂とを有し、半導体封止材用樹脂組成物又はトナー原料として用いられる樹脂組成物。
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