JP6733183B2 - 粘性流体の混練状態の解析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば、未加硫ゴム等の粘性を有する流体の混練状態の解析方法に関する。
近年、未加硫ゴム等の粘性を有する流体(以下、単に「粘性流体」ということがある。)が混練機で混練される状態を、コンピュータを用いて解析する方法が、種々提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
この種の解析方法では、先ず、コンピュータに、混練空間内で回転するロータモデルを含んだ混練機モデルが設定される。次に、混練機モデルの混練空間に、粘性流体を有限個の要素でモデル化した粘性流体モデルが充填される。そして、ロータモデルを回転させ、粘性流体モデルの各要素の圧力が計算される。
特開2013−147002号公報
粘性流体モデルの各要素では、予め定められた参照圧力ポイントでの圧力を基準として、相対圧力が計算される。参照圧力ポイントは、圧力計算可能な領域に定義される必要がある。上記のような解析方法では、圧力計算可能な領域として、混練空間のみが定義されている。このため、参照圧力ポイントは、混練空間内に定義される。
一般に、混練空間は、外気と連通しない密閉状態に定義されている。このような密閉状態の混練空間内に定義された参照圧力ポイントでは、例えば、ロータモデルの形状や、ロータモデルの回転数を含む練条件によって、異なる圧力が計算される。このように、練条件によって変化する圧力を基準として、粘性流体モデルの相対圧力が計算されると、異なる練条件において、大小関係を正確に比較することが難しい。従って、粘性流体の混練状態を正確に評価することが難しいという問題があった。
また、実際の混練機に基づき、ゴム材料が投入されるラムをモデル化したラムモデルを定義して、混練空間に外気を連通可能な小さな隙間を設定することが考えられる。しかしながら、このようなラムモデルを含む混練機モデルを用いたシミュレーションでは、隙間を通過する外気の流れが計算されるため、圧力計算が複雑となり、計算時間が増大するという問題もあった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、粘性流体の混練状態を正確に評価することができる粘性流体の混練状態の解析方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、ゴム材料又は樹脂材料からなる粘性流体が充填されるチャンバーと、前記チャンバーの中で回転し前記粘性流体を混練するロータとを含む混練機で練られる粘性流体の状態を、コンピュータを用いて解析するための方法であって、前記コンピュータに、前記チャンバーに相当する混練空間を区画するケーシングモデルと、前記混練空間内で回転するロータモデルとを含む混練機モデルを入力する工程、前記混練機モデルの前記混練空間に、前記粘性流体を有限個の要素でモデル化した粘性流体モデルを充填する工程、前記混練機モデルに、前記混練空間とは別に、圧力が変化しない前記粘性流体モデルの圧力計算用の参照圧力ポイントを定義する工程、及び前記コンピュータが、前記ロータモデルを回転させたときの前記粘性流体モデルの圧力を前記参照圧力ポイントの前記圧力を基準とした相対圧力として計算する工程を含むことを特徴とする。
本発明に係る前記粘性流体の混練状態の解析方法において、前記混練空間に、前記チャンバー内に存在する空気を有限個の要素でモデル化した気相モデルを充填する工程をさらに含み、前記参照圧力ポイントは、前記混練空間と同一の気相モデル又は粘性流体モデルによって定義されるのが望ましい。
本発明の粘性流体の混練状態の解析方法は、混練機モデルの混練空間に、粘性流体を有限個の要素でモデル化した粘性流体モデルを充填する工程、混練機モデルに、混練空間とは別に、圧力が変化しない粘性流体モデルの圧力計算用の参照圧力ポイントを定義する工程、及び、コンピュータが、ロータモデルを回転させたときの粘性流体モデルの圧力を参照圧力ポイントの圧力を基準とした相対圧力として計算する工程を含んでいる。
粘性流体の混練状態の解析方法では、例えば、ロータモデルの形状や、ロータモデルの回転数等が異なる練条件が設定されたとしても、圧力が変化しない参照圧力ポイントを基準として、粘性流体モデルの相対圧力が計算されうる。従って、本発明の粘性流体の混練状態の解析方法では、粘性流体の混練状態を正確に評価することができる。
しかも、本発明の粘性流体の混練状態の解析方法では、例えば、ゴム材料が投入されるラムをモデル化したラムモデルを定義して、小さな隙間を通過する外気の流れを計算する必要がない。このため、計算時間の増大を抑制することができる。
混練機の部分断面図である。 本発明の解析方法を実行するためのコンピュータの斜視図である。 本実施形態の解析方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 混練機モデル入力工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 ケーシングモデル及びロータモデルを示す断面図である。 混練空間及びロータモデルの斜視図である。 混練空間の断面図である。 混練空間を分解して示す断面図である。 混練空間内に粘性流体モデルと気相モデルとを混在して配置した状態を示す断面図である。 参照圧力ポイント設定工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態のシミュレーション工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本実施形態の圧力計算工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 (a)は、実施例の第1ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。(b)は、実施例の第2ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。 (a)は、比較例1の第1ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。(b)は、比較例1の第2ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の粘性流体の混練状態の解析方法(以下、単に「解析方法」ということがある)は、混練機で練られる粘性流体の状態を、コンピュータを用いて解析するための方法である。
「混練」とは、例えば、ゴム材料や樹脂材料の成形時の前処理として、原材料の薬品、粉体などと液状バインダを分散させながら互いに濡らし、それらを均質にする作用乃至操作として定義される。代表的な混練工程は、混練機(バンバリーミキサー)を用いて行われる。図1は、混練機の部分断面図である。
本実施形態の混練機1は、ケーシング2と、一対のロータ3、3とを含んで構成されている。
ケーシング2は、筒状に形成されている。これにより、ケーシング2の内部には、粘性流体(図示省略)が充填されるチャンバー4が区画されている。本実施形態のチャンバー4は、断面横向きの略8の字状に形成されている。但し、チャンバー4は、このような形状に限定して解釈されるものではない。
また、ケーシング2の上部には、チャンバー4内に、練られる前の粘性流体(図示省略)を投入するためのラム7が設けられている。さらに、ケーシング2の下部には、チャンバー4で練られた粘性流体を排出する排出部8が設けられている。
一対のロータ3、3は、チャンバー4の中で回転し、粘性流体を混練するためのものである。各ロータ3、3には、円筒状の基部3aと、基部3aからケーシング2の内周面2iに向かってのびる少なくとも一つの翼部3bとが設けられている。このような翼部3bは、チャンバー4に配置される粘性流体(図示省略)を撹拌するのに役立つ。
粘性流体(図示省略)としては、安定的な流動状態とみなすことができれば、特に限定されない。本実施形態の粘性流体は、架橋前のゴムや樹脂等の粘性を有する流動性材料である場合が例示される。流動状態としては、例えば、架橋前のゴムの場合、十分に練られて約80℃程度まで昇温した状態が相当する。なお、粘性流体は、可塑性を有するゴム又は樹脂等に限定されるものではない。
図2は、本発明の解析方法を実行するためのコンピュータの斜視図である。コンピュータ6は、本体6a、キーボード6b、マウス6c及びディスプレイ装置6dを含んでいる。本体6aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置6a1、6a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態の解析方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。図3は、本実施形態の解析方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の解析方法では、先ず、コンピュータ6に、図1に示した混練機1を有限個の要素(「セル」ということもある。)F(i)でモデル化した混練機モデル11が入力される(混練機モデル入力工程S1)。図4は、混練機モデル入力工程S1の処理手順の一例を示すフローチャートである。図5は、ケーシングモデル及びロータモデルを示す断面図である。
本実施形態の混練機モデル入力工程S1では、先ず、ケーシング2(図1に示す)を有限個の要素F(i)でモデル化したケーシングモデル12が入力される(工程S11)。工程S11では、ケーシング2(図1に示す)の設計データ(例えば、CADデータ)に基づいて、ケーシング2の輪郭の少なくとも一部が、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素F(i)(i=1、2、…)でモデル化(離散化)される。これにより、チャンバー4に相当する混練空間14が区画されたケーシングモデル12が定義される。
本実施形態のケーシングモデル12は、ラム7(図1に示す)をモデル化したラムモデル26、排出部8(図1に示す)をモデル化した排出部モデル27、並びに、ラムモデル26及び排出部モデル27を除く主部28を含んで構成されている。ラムモデル26、排出部モデル27及び主部28は、隙間なく一体としてモデル化されている。これにより、混練空間14は、外気と連通しない密閉状態として定義されている。
要素F(i)としては、例えば、3次元のソリッド要素が採用されているが、ケーシング2(図1に示す)の内面のみをモデル化する場合、2次元のシェル要素が採用されうる。ソリッド要素は、精度がよく、接触面の設定が容易な6面体が好ましいが、複雑な形状を表現するのに適した4面体要素や多面体要素等でもよい。なお、これらの要素以外にも、ソフトウェアで使用可能な3次元ソリッド要素や2次元シェル要素であれば、特に限定されない。各要素F(i)には、要素番号、節点(図示省略)の番号、及び、節点の座標値等の数値データや熱条件等が定義される。また、各要素F(i)には、外力が作用しても変形不能な剛性が定義される。このようなケーシングモデル12は、コンピュータ6に記憶される。
次に、本実施形態の混練機モデル入力工程S1では、一対のロータ3、3(図1に示す)を有限個の要素G(i)でモデル化したロータモデル13、13が入力される(工程S12)。工程S12では、各ロータ3、3(図1に示す)の設計データ(例えば、CADデータ等)に基づいて、図1に示した基部3a及び翼部3bの輪郭が、有限個の要素G(i)でモデル化(離散化)される。これにより、基部モデル13a及び翼部モデル13bをそれぞれ含む一対のロータモデル13、13が定義される。要素G(i)には、要素F(i)と同様に、変形不能な剛性が定義される。なお、要素G(i)としては、要素F(i)と同様に、3次元のソリッド要素が採用されているが、ロータ3の表面のみをモデル化する場合、2次元のシェル要素が採用されうる。
一対のロータモデル13、13は、ケーシングモデル12の内部、即ち、混練空間14内に配置される。また、一対のロータモデル13、13は、その中心Oa、Obの周りで回転可能な回転領域として定義される。一対のロータモデル13、13は、コンピュータ6に記憶される。
次に、本実施形態の混練機モデル入力工程S1では、チャンバー4を有限個の要素H(i)でモデル化した混練空間14が入力される(工程S13)。図6は、混練空間14及びロータモデル13の斜視図である。図7は、混練空間14の断面図である。図8は、混練空間14を分解して示す断面図である。
本実施形態の工程S13では、図1に示したケーシング2及び一対のロータ3、3の設計データ(例えば、輪郭等)に基づいて、ケーシング2の内周面2iと、ケーシング2の幅方向の両端を閉じる両端面(図示省略)と、一対のロータ3、3の外周面3oとで閉じられた三次元空間(輪郭)が、有限個の要素H(i)でモデル化(離散化)される。これにより、図5及び図6に示されるように、ケーシングモデル12の内周面12iによって区画される外周面14o、ケーシングモデル12の両端面によって区画される両端面12t(図6に示す)、及び、一対のロータモデル13、13の外周面13oで区画される内周面14iを有する密閉状態の混練空間14が入力される。
図7及び図8に示されるように、要素H(i)は、例えば、オイラー要素が採用されている。要素分割(離散化)は、例えば、四面体、六面体などの他、多面体セルによって行われる。なお、これらの要素以外にも、ソフトウェアで使用可能な3次元ソリッド要素であれば、特に限定されない。また、各要素H(i)には、後述する粘性流体モデル16や気相モデル17について、圧力、温度、又は、速度等の物理量が計算される。
本実施形態の混練空間14は、図8に分離して示されるように、一対の回転可能な回転部14A、14Bと、一対の回転部14A、14B間を継ぎ、かつ、一対の回転部14A、14Bが収容される外枠部14Cとが含まれる。従って、混練空間14は、3つの部分から構成されている。
回転部14A、14Bは、各々、円形の外周面14Ao、14Boと、ロータモデル13の外周面13o(図5に示す)に等しい内周面14Ai、14Biとを有している。回転部14A、14Bは、外枠部14Cの内部にそれぞれ填め込まれる。また、回転部14A、14Bは、ロータモデル13、13とともに、中心(回転軸)Oa、Obの周りで回転可能に定義されている。これにより、回転部14A、14B内の要素H(i)は、図1に示したロータ3、3の回転に伴うチャンバー4の容積形状の変化が表現されうる。
外枠部14Cは、回転部14A、14Bを囲む筒状に形成されている。外枠部14Cの軸方向両端は、両端面14t(図6に示す)によって閉じられている。外枠部14Cは、各回転部14A、14Bと接触する凹円弧面14Coを有している。外枠部14Cの凹円弧面14Coと、回転部14A、14Bの外周面14Ao、14Boとは、スライディングサーフェース等の境界条件が定義されている。これにより、ロータモデル13及び各回転部14A、14Bを回転させる後述のシミュレーション工程S6において、混練空間14の回転部14A、14B内で生じる物理的な作用(力及び熱等)が、この凹円弧面14Coを介して外枠部14Cへと伝達される。
なお、外枠部14Cは、後述するシミュレーション工程S6において、ロータモデル13の回転に伴って大きなせん断力が計算される。このため、外枠部14Cについて、外周面14oと回転部14A、14Bとの間の要素H(i)が、回転部14A、14Bよりも小さい要素H(i)で構成されるのが望ましい。これにより、混練空間14の外周面14o、及び、内周面14i付近の粘性流体モデル16の速度プロファイル等が、より詳細に計算されうる。このような混練空間14は、コンピュータ6に記憶される。
次に、本実施形態の解析方法では、混練機モデル11の混練空間14に、粘性流体を有限個の要素でモデル化した粘性流体モデルが充填される(工程S2)。図9は、混練空間14内に粘性流体モデル16と気相モデル17とを混在して配置した状態を示す断面図である。なお、図9において、粘性流体モデル16が着色されて表示されている。
粘性流体モデル16は、チャンバー4(図1に示す)内を流動する粘性流体が、有限個の要素でモデル化されたものである。本実施形態の粘性流体モデル16は、図8に示したオイラー要素が採用された混練空間14の要素H(i)によって定義される。混練空間14の要素H(i)には、粘性流体の物性(例えば、せん断粘度、比熱、及び、熱伝導率等)が定義される。これにより、粘性流体モデル16が設定され、ケーシングモデル12とロータモデル13との間に配置される。本実施形態の粘性流体モデル16は、圧力によって密度が変化しない非圧縮流体として定義される。また、混練空間14には、境界条件を設定する後述の工程S5において、粘性流体モデル16の充填率が設定される。
せん断粘度は、例えば、解析対象となる粘性流体から粘弾性特性(G'及びG”)が複数の温度条件で測定され、Cox-Merz則などを用いてせん断粘度に変換することで得られる。このようにして得られたせん断粘度ηは、例えば下記式(1)のべき乗法則で近似される。
η=mγ'n−1 …(1)
ここで、mは係数、γ'はせん断速度、nは係数である。
比熱は、解析対象の粘性流体から、例えば断熱型連続法(@25℃)にて測定される。さらに、熱伝導率は、解析対象の粘性流体から、例えば熱線法(@25℃)にて測定される。このような粘性流体モデル16は、コンピュータ6に入力される。
混練空間14の要素H(i)は、粘性流体の粘度又は温度の一方、又は、粘性流体の粘度及び温度の双方が、一定として扱われるように定義されてもよい。このような混練空間14の要素H(i)により、計算対象の物理量を少なくできるため、計算負荷を小さくすることができる。
次に、本実施形態の解析方法では、混練機モデル11の混練空間14に、チャンバー4内に存在する空気を、有限個の要素でモデル化した気相モデル17が充填される(工程S3)。本実施形態の気相モデル17は、粘性流体モデル16と同様に、図8に示したオイラー要素が採用された混練空間14の要素H(i)によって定義される。混練空間14の要素H(i)には、空気の粘度、及び、比重といった物性が定義される。これにより、気相モデル17が設定され、混練空間14に配置される。本実施形態の気相モデル17は、粘性流体モデル16と同様に、圧力によって密度が変化しない非圧縮流体として定義されている。なお、混練空間14には、境界条件を設定する後述の工程S5において、気相モデル17の充填率が設定される。
混練空間14の要素H(i)は、空気の粘度及び温度が、一定として扱われるように定義されてもよい。このような混練空間14の要素H(i)により、計算対象の物理量を少なくできるため、計算負荷を小さくすることができる。
次に、本実施形態の解析方法では、コンピュータ6に、混練機モデル11に、圧力が変化しない参照圧力ポイントが定義される(参照圧力ポイント設定工程S4)。参照圧力ポイント21は、後述するシミュレーション工程S6において、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力計算に用いられるものである。参照圧力ポイント21は、混練空間14とは別に定義される。図10は、参照圧力ポイント設定工程S4の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の参照圧力ポイント設定工程S4では、先ず、図5に示されるように、混練機モデル11に、参照圧力ポイント21が設定される空間(以下、単に「参照空間」ということがある。)22が定義される(工程S41)。参照空間22は、複数の平面23で閉じられた3次元空間(輪郭)が、有限個の要素H(i)でモデル化(離散化)されることによって設定されている。
本実施形態の参照空間22の輪郭は、混練機1の排出部8(図1に示す)の輪郭に基づいて設定されている。但し、参照空間22の輪郭は、排出部8の輪郭に限定されるものではなく、任意の形状に基づいて形成されてもよい。また、各平面23は、例えば、ケーシングモデル12と同様に、数値解析法により取り扱い可能な有限個の要素(図示省略)で離散化されてもよいし、変形不能な剛表面要素で定義されてもよい。
参照空間22の要素H(i)は、混練空間14の要素H(i)と同様に、オイラー要素が採用されている。参照空間22は、平面23によって囲まれているため、混練空間14とは独立してモデル化される。
次に、参照圧力ポイント設定工程S4では、参照空間22に、気相モデル又は粘性流体モデルが充填される(工程S42)。本実施形態の工程S42では、ニュートン流体で粘度式がシンプルな気相モデル18が充填される。図9に示されるように、参照空間22の気相モデル18は、混練空間14の気相モデル17と同様に、図5に示したオイラー要素が採用された参照空間22の要素H(i)によって定義される。
本実施形態の参照空間22の気相モデル18には、混練空間14の気相モデル17と同一の物性(例えば、せん断粘度、比熱、熱伝導率及び比重等)が定義される。本実施形態の気相モデル18は、圧力によって密度が変化しない非圧縮流体として定義される。このような気相モデル18は、コンピュータ6に入力される。なお、本実施形態の参照空間22には、混練空間14の粘性流体モデル16が定義されていない。このため、気相モデル18の充填率は、100%である。
次に、参照圧力ポイント設定工程S4では、参照空間22の気相モデル18に、参照圧力ポイント21が設定される(工程S43)。図5に示されるように、本実施形態の参照圧力ポイント21は、参照空間22内の気相モデル18の各要素H(i)から、少なくとも一つ、本実施形態では一つの要素H(i)が選択される。この選択された要素H(i)が、参照圧力ポイント21として設定される。
参照圧力ポイント21に用いられる要素H(i)については、適宜選択されうる。本実施形態では、参照空間22の外面22o(平面23)よりも内側に配置された要素H(i)が選択されている。このような参照圧力ポイント21では、後述するシミュレーション工程S6において、参照空間22の外面22oに設定された境界条件に影響されることなく、一定の圧力Pbが計算されうる。従って、参照圧力ポイント21は、参照空間22の任意の位置に定義される。参照圧力ポイント21は、コンピュータ6に記憶される。
次に、本実施形態の解析方法では、混練空間14の粘性流体モデル16、気相モデル17、及び、参照空間22の気相モデル18を用いた流動計算(シミュレーション)に必要な境界条件等の各種の条件が定義される(工程S5)。本実施形態の境界条件としては、図5に示されるように、混練空間14の外周面14oに定義される流速境界条件、及び、温度境界条件が含まれている。さらに、本実施形態では、参照空間22の外面22oに定義される流速境界条件、及び、温度境界条件が含まれている。
流速境界条件としては、シミュレーションの用途や精度等に応じて、壁面ノースリップ条件、又は、壁面スリップ条件のいずれかが採用される。壁面ノースリップ条件において、混練空間14の粘性流体モデル16は、混練空間14の外周面14oでの流速が、常に零とされる。一方、壁面スリップ条件において、混練空間14の粘性流体モデル16は、混練空間14の外周面14oにおいて流速を持つ。この場合、粘性流体モデル16と混練空間14との接触面のスリップ現象は、例えば、慣例に従ってNavier's Lawなどが用いられることにより、シミュレートされうる。
本実施形態では、混練空間14の外周面14oでの流速境界条件として、壁面スリップ条件が採用されている。他方、参照空間22では、完全な閉空間として定義されるため、後述するシミュレーション工程S6において、ロータモデル13の回転による粘性流体モデル16の流動が計算されない。このため、本実施形態では、参照空間22の外面22oでの流速境界条件として、壁面ノースリップ条件が採用されている。
温度境界条件としては、断熱条件、又は、全ての混練空間14及び参照空間22の各外面温度が温調温度(例えば50℃)に設定される条件のいずれかが採用される。なお、断熱条件は、混練空間14及び参照空間22の各外面において、熱が外に逃げない条件である。本実施形態では、計算負荷を軽減する観点より、混練空間14及び参照空間22の温度境界条件として、断熱条件が採用されている。
他の条件としては、混練空間14の粘性流体モデル16、及び、参照空間22の気相モデル18の初期温度が含まれる。また、他の条件としては、ロータモデル13の回転数(図8に示した混練空間14の回転部14A、14Bの回転数)、混練空間14の外周面14oのスリップ率、混練空間14の容積に対する粘性流体モデル16及び気相モデル17の充填率などが含まれる。このような充填率が設定されることにより、粘性流体の充填率が100%以下(例えば、50%〜90%)の状態での流動計算が実施されうる。
さらに、他の条件としては、流動計算の初期状態、シミュレーションの単位時間(微小時間)t、内部処理でのイタレーションの反復回数、及び、計算終了時刻など含まれる。また、後述するシミュレーション工程S6において出力されるパラメータ等が決定される。
図9に示されるように、初期状態の混練空間14は、混練空間14を横切る水平な境界面Sを基準として、それよりも上部を気相モデル17の領域Aとし、それよりも下部を粘性流体モデル16の領域Mとして混在配置される。境界面Sは、粘性流体モデル16及び気相モデル17の充填率に基づいて設定される。また、境界面Sのレベルが変更されることにより、粘性流体モデル16の充填率が調節されてもよい。これらの条件は、シミュレーションの目的等に応じて任意に定められる。
次に、本実施形態の解析方法では、コンピュータ6が、境界条件等に基づいて、混練空間14の粘性流体モデル16及び気相モデル17、並びに、参照空間22の気相モデル18を用いた流動計算を行う(シミュレーション工程S6)。
流動計算では、流体の運動状態を特定する3方向(x,y,z)の速度成分、流体の内部状態を特定する未知量である圧力P、及び、温度Tが計算される。つまり、解くべき未知数は、この5つである。なお、本実施形態では、非圧縮性流れのNavier-Stoks方程式が採用される。また、混練空間14の粘性流体モデル16、気相モデル17、及び、参照空間22の気相モデル18の各密度が、一定に設定されている。
また、混練空間14の粘性流体モデル16、及び、参照空間22の気相モデル18は、全温度領域において、流体として扱われる。このため、本実施形態の流動計算では、流体の方程式(Navier-Stoks 方程式、質量保存式、及び、エネルギー方程式の連立)が解かれる。
本実施形態では、粘性流体モデル16及び気相モデル17の2つの流体を一度に扱う必要がある。このため、自由界面の流れの計算で用いられるVOF(Volume of Fluid)法が用いられる。VOF法は、二流体の界面の移動が直接計算されるのではなく、各要素(「セル」ということもある。)の体積中の流体の充填率(体積分率)が定義されて、自由界面が表現されるものである。
本実施形態では、混練空間14の粘性流体モデル16及び気相モデル17、並びに、参照空間22の気相モデル18が、一つの支配方程式(例えば、運動方程式、質量保存式、エネルギー方程式、及び、体積分率輸送方程式を含む)で計算されるように定義される。これにより、混練空間14の粘性流体モデル16、及び、参照空間22の気相モデル18は、それぞれ別の空間(本実施形態では、混練空間14及び参照空間22)に定義されていても、一つの粘性流体モデルとして、流動計算が行われる。なお、支配方程式及び流動計算の詳細については、上記特許文献1のとおりである。また、このような流動計算は、例えば、ANSYS社のFLUNETやCFX、又は、CD-adapoco社のSTAR-CCM+の汎用の流体解析ソフトウェアが用いられることにより、容易に計算されうる。
図11は、本実施形態のシミュレーション工程S6の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態のシミュレーション工程S6では、先ず、境界条件に基づいて、ロータモデル13(図5に示す)及び回転部14A、14B(図8に示す)が、予め定められた単位時間t分だけ回転される(工程S61)。
次に、シミュレーション工程S6では、ロータモデル13を回転させたときの混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paが計算される(圧力計算工程S62)。圧力計算工程S62において、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paは、参照圧力ポイント21の圧力Pbを基準とした相対圧力として計算される。図12は、本実施形態の圧力計算工程S62の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の圧力計算工程S62では、先ず、参照圧力ポイント21の圧力Pbが計算される(工程S621)。図9に示されるように、参照空間22は、混練空間14とは独立して定義されている。このため、ロータモデル13(図5に示す)及び回転部14A、14Bの回転の影響を受けない。これにより、参照空間22では、3方向(x,y,z)の速度成分がそれぞれ「0」として計算されるため、静止した気相モデル18が計算される。従って、参照圧力ポイント21では、全ての単位時間tにおいて、一定の圧力Pbが計算される。
次に、本実施形態の圧力計算工程S62では、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paが、参照圧力ポイント21の圧力Pbを基準とする相対圧力として計算される(工程S622)。
混練空間14では、ロータモデル13(図5に示す)及び回転部14A、14Bの回転に基づいて、粘性流体モデル16及び気相モデル17の流動(流れ場)が計算される。このような粘性流体モデル16及び気相モデル17の流れ場は、例えば、ロータモデルの形状や、ロータモデルの回転数等の練条件によって変化する。
ところで、従来の解析方法では、混練空間14内に定義された参照圧力ポイント(図示省略)を基準として、粘性流体モデル16の相対圧力(圧力Pa)が計算されていた。密閉された混練空間14内に定義された参照圧力ポイントでは、練条件毎に圧力が変化する。このような一定ではない圧力を基準として計算された粘性流体モデル16の相対圧力Paでは、異なる練条件において、大小関係を正確に比較することが難しい。
本実施形態では、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paが、常に変化しない参照圧力ポイント21の圧力Pbを基準とする相対圧力として計算されるため、異なる練条件において、粘性流体モデル16の圧力Paの大小関係が正確に比較されうる。従って、後述する評価工程S7において、各練条件の混練状態が正確に評価されうる。
また、本実施形態の流動計算では、混練空間14の粘性流体モデル16、及び、参照圧力ポイント21(参照空間22の気相モデル18)が、一つの粘性流体モデルとして扱われている。これにより、混練空間14の粘性流体モデル16、及び、参照圧力ポイント21の各流動計算が、例えば、異なる支配方程式に基づいて別々に計算された場合に比べて、計算時間の増大を抑制しうる。
さらに、本実施形態の解析方法では、例えば、ゴム材料が投入されるラム7(図1に示す)をモデル化したラムモデルを定義して、小さな隙間を介して混練空間14を通過する外気の流れを計算しなくても、粘性流体モデル16の相対圧力Paが正確に計算されうる。
本実施形態の工程S622では、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paは、混練空間14の粘性流体モデル16を構成する全ての要素H(i)において計算される。圧力Paは、コンピュータ6に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション工程S6では、混練空間14及び参照空間22の各圧力Pa、Pbを除く他の物理量が計算される(工程S63)。工程S63では、従来と同様に、混練空間14の粘性流体モデル16及び気相モデル17の各要素H(i)について、運動状態を特定する3方向(x,y,z)の速度成分と、温度Tとが計算される。さらに、工程S63では、参照空間22の各要素H(i)ついて、3方向(x,y,z)の速度成分と、温度Tとが計算される。これらの物理量は、コンピュータ6に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション工程S6では、現在の単位時間tにおいて、混練空間14の粘性流体モデル16及び気相モデル17、並びに、参照空間22の気相モデル18の新たな配置が求められる(工程S64)。工程S64では、従来と同様に、混練空間14及び参照空間22の各物理量に基づいて、各モデル16〜18の新たな配置が求められる。これにより、混練空間14において、流動した粘性流体モデル16及び気相モデル17が計算されうる。なお、参照空間22では、ロータモデル13(図5に示す)及び回転部14A、14Bの回転の影響を受けないため、静止した気相モデル18が計算される。このような各モデル16〜18の配置は、コンピュータ6に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション工程S6では、ロータモデル13及び回転部14A、14Bが、予め定められた回数だけ回転したか否かが判断される(工程S65)。工程S63では、ロータモデル13及び回転部14A、14Bが、予め定められた回数だけ回転したと判断された場合(工程S65で、「Y」)、次の評価工程S7が実施される。他方、ロータモデル13及び回転部14A、14Bが、予め定められた回数だけ回転していないと判断された場合(工程S65で、「N」)は、単位時間tを一つ進めて(工程S66)、工程S61〜工程S65が再度実施される。これにより、シミュレーション工程S6では、ロータモデル13及び回転部14A、14Bを予め定められた数だけ回転させて、混練空間14の圧力Paが計算されうる。
次に、本実施形態の解析方法では、コンピュータ6が、粘性流体モデル16の混練状態を評価する(評価工程S7)。評価工程S7では、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paに基づいて、混練機1の混練性能が評価される。上述したように、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paは、異なる練条件毎に、圧力Pbが変化しない参照圧力ポイント21を基準とした粘性流体モデル16の相対圧力が計算されうる。従って、異なる練条件において、粘性流体モデル16の圧力Paの大小関係が正確に比較されうるため、混練機1の混練性能が、正確に評価されうる。
評価工程S7では、混練空間14の粘性流体モデル16の圧力Paに基づいて、粘性流体モデル16の混練状態が良好であると判断された場合(評価工程S7で、「Y」)、混練機モデル11に基づいて、混練機1が製造される(工程S8)。他方、粘性流体モデル16の混練状態が良好でないと判断された場合(評価工程S7で、「N」)、混練機モデル11の設計因子や練条件が変更され(工程S9)、工程S1〜評価工程S7が再度実行される。これにより、本実施形態の解析方法では、混練性能が良好な混練機1を確実に設計することができる。
本実施形態の混練機モデル入力工程S1は、ケーシング2(図1に示す)をモデル化したケーシングモデル12、及び、一対のロータ3、3(図1に示す)を有限個の要素G(i)でモデル化したロータモデル13、13が入力されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、解析対象がチャンバー4内の粘性流体である場合、混練空間14のみが入力されてもよい。この場合、ケーシングモデル12を入力する工程S11、及び、ロータモデル13、13を入力する工程S12は省略される。これにより、混練機モデル11をモデル化するのに要する時間を、短縮することができる。
また、これまでの実施形態では、混練空間14内に、粘性流体モデル16及び気相モデル17が充填されたが、このような態様に限定されるわけではない。例えば、混練空間14内に粘性流体モデル16のみが充填されてもよい。これにより、混練空間14の計算対象を、粘性流体モデル16のみに限定されるため、計算負荷を小さくすることができる。さらに、混練空間14内に粘性流体モデル16のみが充填される場合、VOF法を省略して有限体積法のみで計算することができるため、計算負荷をさらに小さくすることができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1に示した基本構造を有する混練機が製造された(実験例)。実験例では、形状が互いに異なる一対の第1ロータ及び一対の第2ロータがそれぞれ形成された。そして、第1ロータが装着された混練機、及び、第2ロータが装着された混練機について、チャンバーに充填された粘性流体がそれぞれ混練された。そして、第1ロータ及び第2ロータの各粘性流体の圧力が、第1ロータを100とする指数で求められた。
図3、図4及び図10に示した処理手順に従って、実験例の混練機をモデル化した混練機モデルが、コンピュータに入力された(実施例)。実施例の混練機モデルは、混練空間とは別に、参照圧力ポイントが定義された。また、実施例では、第1ロータをモデル化した第1ロータモデルと、第2ロータをモデル化した第2ロータモデルとがそれぞれ設定された。
次に、実施例では、図11及び図12に示した処理手順に従って、第1ロータモデルが設定された混練機モデル、及び、第2ロータモデルが設定された混練機モデルについて、ロータモデルを回転させたときの粘性流体モデルの圧力が、参照圧力ポイントの圧力を基準とした相対圧力として計算された。そして、第1ロータモデル及び第2ロータモデルの各粘性流体モデルの圧力が、第1ロータモデルを100とする指数で求められた。図13(a)は、第1ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。図13(b)は、第2ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。図13(a)、(b)では、所定位置で測定された混練空間の粘性流体モデルの圧力、混練空間の粘性流体モデルの圧力の平均値、及び、参照圧力ポイントの圧力が示されている。
さらに、実施例では、第1ロータモデルが設定された混練機モデル、及び、第2ロータモデルが設定された混練機モデルを用いたシミュレーションを実施するのに要した合計計算時間が測定された。
また、比較のために、実験例の混練機をモデル化した混練機モデルが、コンピュータに入力された(比較例1)。比較例1の混練機モデルは、混練空間内に、圧力参照ポイントが定義された。また、比較例1では、実施例と同様に、第1ロータモデルと、第2ロータモデルとがそれぞれ設定された。
次に、比較例1では、第1ロータモデルが設定された混練機モデル、及び、第2ロータモデルが設定された混練機モデルについて、ロータモデルを回転させたときの粘性流体モデルの圧力が、参照圧力ポイントの圧力を基準とした相対圧力として計算された。そして、第1ロータモデル及び第2ロータモデルの各粘性流体モデルの圧力が、第1ロータモデルを100とする指数で求められた。図14(a)は、第1ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。図14(b)は、第2ロータモデルでの粘性流体モデルの圧力と時間との関係を示すグラフである。図14(a)、(b)では、所定位置で測定された混練空間の粘性流体モデルの圧力、混練空間の粘性流体モデルの圧力の平均値、及び、参照圧力ポイントの圧力が示されている。
さらに、比較例1では、第1ロータモデルが設定された混練機モデル、及び、第2ロータモデルが設定された混練機モデルを用いたシミュレーションを実施するのに要した合計計算時間が測定された。
また、比較のために、実験例の混練機をモデル化した混練機モデルが、コンピュータに入力された(比較例2)。比較例2の混練機モデルは、ラムをモデル化したラムモデルが定義された。これにより、比較例2の混練空間には、外気を連通可能な小さな隙間を設定された。また、比較例2の混練機モデルは、混練空間内に、圧力参照ポイントが定義された。さらに、比較例2では、実施例と同様に、第1ロータモデルと、第2ロータモデルとがそれぞれ設定された。
次に、比較例2では、第1ロータモデルが設定された混練機モデル、及び、第2ロータモデルが設定された混練機モデルについて、ロータモデルを回転させたときの粘性流体モデルの圧力が、参照圧力ポイントの圧力を基準とした相対圧力として計算された。そして、第1ロータモデル及び第2ロータモデルの各粘性流体モデルの圧力が、第1ロータモデルを100とする指数で求められた。さらに、比較例2では、第1ロータモデルが設定された混練機モデル、及び、第2ロータモデルが設定された混練機モデルを用いたシミュレーションを実施するのに要した合計計算時間が測定された。
そして、実施例、比較例1及び比較例2について、第1ロータモデルの圧力と第2ロータモデルの圧力との大小関係が、実験例の第1ロータの圧力と第2ロータの圧力との大小関係と比較された。さらに、実施例、比較例1及び比較例2について、シミュレーションを実施するのに要した合計計算時間が比較された。なお、実施例、比較例1及び比較例2の合計計算時間は、実施例を100とする指数で表示された。共通仕様は、次のとおりである。テスト結果を、表1に示す。
混練機(混練機モデル):
ロータ(ロータモデル)の個数:2個
一方のロータ(ロータモデル)の回転数:42rpm
他方のロータ(ロータモデル)の回転数:38rpm
粘性流体(粘性流体モデル)の充填率:70%
テストの結果、実施例では、第1ロータモデルの圧力と第2ロータモデルの圧力との大小関係が、実験例の第1ロータの圧力と第2ロータの圧力との大小関係と一致した。
一方、比較例1では、第1ロータモデルの圧力と第2ロータモデルの圧力との大小関係が、実験例の第1ロータの圧力と第2ロータの圧力との大小関係と一致しなかった。従って、実施例は、粘性流体の混練状態を正確に評価できた。
また、実施例の合計計算時間は、比較例2の合計計算時間に比べて大幅に小さかった。従って、実施例は、計算時間の増大を抑制することができた。
11 混練機モデル
12 ケーシングモデル
13 ロータモデル
14 混練空間
16 粘性流体モデル
21 参照圧力ポイント

Claims (2)

  1. ゴム材料又は樹脂材料からなる粘性流体が充填されるチャンバーと、前記チャンバーの中で回転し前記粘性流体を混練するロータとを含む混練機で練られる粘性流体の状態を、コンピュータを用いて解析するための方法であって、
    前記コンピュータに、前記チャンバーに相当する混練空間を区画するケーシングモデルと、前記混練空間内で回転するロータモデルとを含む混練機モデルを入力する工程、
    前記混練機モデルの前記混練空間に、前記粘性流体を有限個の要素でモデル化した粘性流体モデルを充填する工程、
    前記混練機モデルに、前記混練空間とは別に、圧力が変化しない前記粘性流体モデルの圧力計算用の参照圧力ポイントを定義する工程、及び
    前記コンピュータが、前記ロータモデルを回転させたときの前記粘性流体モデルの圧力を前記参照圧力ポイントの前記圧力を基準とした相対圧力として計算する工程を含むことを特徴とする粘性流体の混練状態の解析方法。
  2. 前記混練空間に、前記チャンバー内に存在する空気を有限個の要素でモデル化した気相モデルを充填する工程をさらに含み、
    前記参照圧力ポイントは、前記混練空間と同一の気相モデル又は粘性流体モデルによって定義される請求項1記載の粘性流体の混練状態の解析方法。
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