JP7119471B2 - 流体のシミュレーション方法 - Google Patents

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Description

本発明は、可塑性材料と気体との混合相の流れを、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法に関する。
下記特許文献1は、可塑性材料の混練状態を、コンピュータを用いて解析するための方法を提案している。下記特許文献1では、先ず、可塑性材料が混練されるチャンバーを有限個の要素でモデル化したチャンバーモデルが、コンピュータに設定される。次に、可塑性材料をモデル化した材料モデル、及び、チャンバー内に存在する空気をモデル化した気相モデルが、コンピュータに入力される。そして、チャンバーモデル内に、材料モデル及び気相モデルを配置して、可塑性材料及び空気の流動計算が行われる。
チャンバーモデルの各要素の粘性係数としては、VOF法に基づいて、材料モデル及び気相モデルの各粘度が、材料モデルの相及び気相モデルの相の各体積で重み付けされて平均化されたものが用いられている。
特許第5564074号公報
材料モデルには、気相モデルよりも著しく大きな粘度(例えば、104Pa・s以上)が設定される。このため、例えば、気相モデルのみが含まれる要素と、材料モデルが含まれる要素とが隣り合うと、それらの要素間で粘性係数の差が急に大きくなり、流動計算が途中で異常終了するという問題があった。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れを、安定して計算することができるシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、複数の要素で離散化された空間内に、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れを、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、前記コンピュータに、前記空間を有限個の要素で離散化した空間モデル、第1粘度が定義された前記可塑性材料を表現するために材料モデル、及び、第2粘度が定義された前記気体を表現するための気体モデルをそれぞれ入力する工程と、前記コンピュータが、前記空間モデルに前記材料モデル及び前記気体モデルを配置して、前記材料モデルの流動を計算する工程を含み、前記計算する工程は、以下の式により、前記各要素の混合相流体の平均粘度を定義する工程を含むことを特徴とする。
Figure 0007119471000001
ここで、
η:平均粘度
ηr:第1粘度
ηa:第2粘度
φr:材料モデルの体積分率
φa:気体モデルの体積分率
A:対数の底
本発明に係る前記シミュレーション方法において、前記第1粘度は、104Pa・s以上であってもよい。
本発明に係る前記シミュレーション方法において、前記第2粘度は、1Pa・s以下であってもよい。
本発明に係る前記シミュレーション方法において、前記可塑性材料が、未加硫のゴム材料であってもよい。
本発明に係る前記シミュレーション方法において、前記空間は、前記ゴム材料を練るためのミキサーのゴム混練空間であってもよい。
本発明に係る前記シミュレーション方法において、前記空間は、前記ゴム材料を押し出すための押出機のゴム流路であってもよい。
本発明の流体のシミュレーション方法は、コンピュータに、空間を有限個の要素で離散化した空間モデル、第1粘度が定義された可塑性材料を表現するために材料モデル、及び、第2粘度が定義された気体を表現するための気体モデルをそれぞれ入力する工程と、前記コンピュータが、前記空間モデルに前記材料モデル及び前記気体モデルを配置して、前記材料モデルの流動を計算する工程を含む。計算する工程は、以下の式により、各要素の混合相流体の平均粘度を定義する工程を含んでいる。
Figure 0007119471000002
ここで、
η:平均粘度
ηr:第1粘度
ηa:第2粘度
φr:材料モデルの体積分率
φa:気体モデルの体積分率
A:対数の底
本発明の流体のシミュレーション方法では、前記第1粘度の対数と、前記第2粘度の対数とを用いて、各要素の混合相流体の平均粘度が定義される。これにより、本発明の流体のシミュレーション方法は、隣接する要素間において、平均粘度の差が急に大きくなるのを防ぐことができる。したがって、本発明の流動シミュレーション方法は、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れを、安定して計算することができる。
ミキサーの一例を示す部分断面図である。 可塑性材料を混練しているミキサーの一例を示す部分断面図である。 流体のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 流体のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。 モデル入力工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 空間モデルの一例を示す斜視図である。 (a)は、空間モデルの断面図、(b)は、(a)のX部拡大図である。 空間モデルを分解して示す断面図である。 空間モデル内に材料モデルと気体モデルとを混在して配置した状態を示す断面図である。 材料モデル及び気体モデルの平均粘度と、材料モデルの体積分率との関係を示すグラフである。 押出機のゴム流路の一例を示す部分断面図である。 本発明の他の実施形態の空間モデルの一例を示す斜視図である。 (a)は、実施例の材料モデルと気体モデルとの界面の一部を示す図、(b)は、比較例1の材料モデルと気体モデルとの界面の一部を示す図である。(c)は、比較例2の材料モデルと気体モデルとの界面の一部を示す図である。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の流体のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)では、複数の要素で離散化された空間内に、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れが、コンピュータを用いて計算される。
可塑性材料と気体とが充填される空間としては、ゴム材料を練るためのミキサーのゴム混練空間である場合が例示される。ここで、「混練」とは、例えば、ゴム材料や樹脂材料を含む可塑性材料の成形時の前処理として、原材料の薬品、粉体などと液状バインダを分散させながら互いに濡らし、それらを均質にする作用ないし操作として定義される。
図1は、ミキサーの一例を示す部分断面図である。図2は、可塑性材料を混練しているミキサーの一例を示す部分断面図である。本実施形態のミキサー1は、ケーシング2と、ロータ3とを有している。
ケーシング2は、空間4(ゴム混練空間4A)を画定する内壁面5を具えている。このケーシング2は、筒状に形成されている。本実施形態の空間4は、断面横向きの略8の字状に形成されている。但し、空間4は、このような形状に限定して解釈されるものではない。空間4には、図2に示されるように、可塑性材料7と気体8とが充填されている。
ロータ3は、空間4内で回転し、可塑性材料7を練るためのものである。本実施形態のミキサー1は、一対のロータ3、3を有している。各ロータ3、3には、円筒状の基部3aと、基部3aからケーシング2の内壁面5に向かってのびる少なくとも一つの翼部3bとが設けられている。
本実施形態の可塑性材料7は、未加硫のゴム材料7Aである。ただし、このようなゴム材料7A以外にも、樹脂材料やエラストマー等の流動性を有するものを、可塑性材料7として採用することができる。
可塑性材料7(ゴム材料7A)は、十分に練られて安定的な流動状態(流体)とみなすことができる状態のものが前提とされる。このような状態としては、未加硫のゴム材料7Aである場合、十分に練られて約80℃程度まで昇温した状態が相当する。気体8としては、可塑性材料7内に存在する空気8Aが含まれる。
ミキサー1は、ロータ3、3が回転することにより、可塑性材料7(ゴム材料7A)内に充填された可塑性材料7と気体8との混合相の流れを発生させることができる。これにより、ミキサー1は、ゴム材料7Aを撹拌して、ゴム材料7Aを練ることができる。
図3は、流体のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。コンピュータ10は、本体10a、キーボード10b、マウス10c、及び、ディスプレイ装置10dを含んでいる。本体10aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置10a1、10a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。図4は、流体のシミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ10に、空間モデル、材料モデル、及び、気体モデルがそれぞれ入力される(モデル入力工程S1)。図5は、モデル入力工程S1の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のモデル入力工程S1では、先ず、空間4(図1及び図2に示す)を有限個の要素で離散化した空間モデルが入力される(工程S11)。図6は、空間モデル14の一例を示す斜視図である。図7(a)は、空間モデル14の断面図である。図7(b)は、図7(a)のX部拡大図である。図8は、空間モデル14を分解して示す断面図である。
空間モデル14は、ケーシング2の内周面をなす外周面14oと、回転する一対のロータ3、3の外周面である内周面14iと、ロータ3(図1に示す)の軸方向の両端側で前記外周面を閉じる両端面14sとで閉じられた三次元空間を有している。
空間モデル14の外周面14o及び両端面14sは変形しない。空間モデル14の内周面14iは、ロータ3の回転に対応して回転する。このため、空間モデル14の容積形状は変化する。本実施形態では、空間モデル14の形状変化をシミュレーションに取り込むために、図8に分解して示されるように、空間モデル14が、一対の回転部14A、14Bと、これらの間を継ぐ継ぎ部14Cと、これらが収容される外枠部14Dとの4つの部分に分けて構成される。これらの一対の回転部14A、14B、継ぎ部14C、及び、外枠部14Dは、上記特許文献1に記載のチャンバーモデルの一対の回転部、継ぎ部、及び、外枠部と同様に定義される。
図7(b)に示されるように、空間モデル14は、要素(オイラー要素)eで分割(離散化)されている。要素分割は、四面体、六面体などの他、多面体セル(ポリヘドラルグリッド)といった三次元要素で行われる。そして、各要素eについて、可塑性材料(材料モデル)の圧力、温度、及び、速度等の物理量が計算される。空間モデル14は、コンピュータ10に記憶される。
次に、本実施形態のモデル入力工程S1では、コンピュータ10に、可塑性材料7を表現するために材料モデル17が入力される(工程S12)。図9は、空間モデル14内に材料モデル17と気体モデル18とを混在して配置した状態を示す断面図である。
材料モデル17は、図7(b)に示した空間モデル14の要素(オイラー要素)eで定義される。材料モデル17には、解析対象となる可塑性材料に応じて、せん断粘度、比熱、熱伝導率及び比重等の物性値が定義される。これらの物性値は、上記特許文献1の記載に基づいて定義することができる。
さらに、材料モデル17には、第1粘度が定義される。本実施形態の第1粘度は、解析対象の可塑性材料7の粘度に基づいて定義される。材料モデル17は、コンピュータ10に記憶される。
次に、本実施形態のモデル入力工程S1では、コンピュータ10に、気体8を表現するための気体モデル18が入力される(工程S13)。気体モデル18は、図7(b)に示した空間モデル14の要素(オイラー要素)eで定義される。気体モデル18には、比重が定義される。比重は、上記特許文献1の記載に基づいて定義することができる。
さらに、気体モデル18には、第2粘度が定義される。本実施形態の第2粘度は、実際の空気8Aの粘度に基づいて定義される。気体モデル18は、コンピュータ10に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ10に、材料モデル17の流動を計算するのに必要な境界条件等が設定される(工程S2)。境界条件としては、空間モデル14の壁面での流速境界条件、及び、温度境界条件が挙げられる。これらの境界条件は、上記特許文献1の記載に基づいて定義することができる。
さらに、他の条件としては、流動計算(シミュレーション)の初期状態、タイムステップ、内部処理でのイタレーションの反復回数、及び、計算終了時刻が含まれる。
初期状態は、例えば、図9に示されるように、空間モデル14を横切る水平な境界面Sを基準として、それよりも上部を気体モデル18の領域Aとし、それよりも下部を材料モデル17の領域Mとして定義される。境界面Sのレベルを変えることにより、材料モデル17(可塑性材料)の充填率が調節される。これらの条件(即ち、初期状態、タイムステップ、反復回数、及び、計算終了時刻)は、シミュレーションの目的等に応じて任意に定められる。境界条件等は、コンピュータ10に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ10が、空間モデル14に材料モデル17及び気体モデル18を配置して、材料モデル17の流動を計算する(工程S3)。本実施形態の工程S3では、空間モデル14内に、材料モデル17(領域M)と気体モデル18(領域A)とを混在して配置し、かつ、予め定められた上記各条件に基づいて、材料モデル17の流動が計算される。工程S3では、可塑性材料7と気体8との2つの流体が一度に扱われるため、自由界面の流れの計算で用いられるVOF(Volume of Fluid)法が用いられる。本実施形態の工程S3は、各要素e(図7(b)に示す)の混合相流体の平均粘度を定義する工程(後述する)を除いて、上記特許文献1の処理手順に基づいて実施される。
上記特許文献1において、各要素e(図7(b)に示す)の混合相流体の平均粘度は、材料モデル17及び気体モデル18の各粘度が、材料モデル17の相及び気体モデル18の相の各体積で重み付けされて平均化されることで計算されている。より具体的には、以下の式(2)に基づいて、平均粘度が定義されている。図10は、材料モデル及び気体モデルの平均粘度と、材料モデル17の体積分率との関係を示すグラフである。
Figure 0007119471000003
ここで、
η:平均粘度
ηr:第1粘度
ηa:第2粘度
φr:材料モデルの体積分率
φa:気体モデルの体積分率
材料モデル17の第1粘度ηrは、気体モデル18の第2粘度ηaよりも著しく大きく設定されている。このため、上記式(2)で定義された平均粘度ηは、図10に破線で示されるように、要素e(図7(b)に示す)に材料モデル17が少しでも含まれると(例えば、材料モデルの体積分率=0.01)、要素eに材料モデル17が含まれない場合(即ち、材料モデルの体積分率=0)に比べて、急に大きくなる。このため、例えば、気体モデル18のみが含まれる要素eと、材料モデル17が含まれる要素eとが隣り合うと、それらの要素e、e間で平均粘度ηの差が急に大きくなり、流動計算が途中で異常終了するという問題があった。
本実施形態の工程S3では、以下の式(1)によって、各要素e(図7(b)に示す)の混合相流体の平均粘度ηを定義する工程を含んでいる。
Figure 0007119471000004
ここで、
η:平均粘度
ηr:第1粘度
ηa:第2粘度
φr:材料モデルの体積分率
φa:気体モデルの体積分率
A:対数の底
上記式(1)は、材料モデル17の第1粘度ηrの対数と、気体モデル18の第2粘度ηaの対数とを用いて、各要素e(図7(b)に示す)の混合相流体の平均粘度ηが定義される。対数の底Aには、任意の値を選択することができる。例えば、対数の底が「10」の場合、平均粘度ηは、上記式(1)に基づいて、下記式(3)で定義することができる。また、対数の底が「e」である場合、平均粘度ηは、上記式(1)に基づいて、下記式(4)で定義することができる。
Figure 0007119471000005
ここで、
η:平均粘度
ηr:第1粘度
ηa:第2粘度
φr:材料モデルの体積分率
φa:気体モデルの体積分率
Figure 0007119471000006
ここで、
η:平均粘度
ηr:第1粘度
ηa:第2粘度
φr:材料モデルの体積分率
φa:気体モデルの体積分率
図10に実線で示されるように、本実施形態では、要素eに材料モデル17が含まれる場合(例えば、材料モデルの体積分率=0.01)の平均粘度ηと、要素eに材料モデル17が含まれない場合(即ち、材料モデルの体積分率=0)の平均粘度ηとの差を小さくすることができる。したがって、本実施形態のシミュレーション方法は、隣接する要素e、e間において、平均粘度ηの差が急に大きくなるのを防ぐことができるため、可塑性材料7と気体8とが充填された混合相の流れを、安定して計算することができる。
また、実際の可塑性材料7(ゴム材料7A)と、気体8(空気8A)との界面では、可塑性材料7と気体8との間の大きな粘度差による摩擦や応力がほとんど生じていないと考えられる。本実施形態のシミュレーション方法では、図7(b)に示した隣接する要素e、e間で平均粘度ηの差が急に大きくなって、可塑性材料7と気体8との間の摩擦や応力が大きく計算されるのを防ぐことができる。したがって、本実施形態のシミュレーション方法では、従来のシミュレーション方法に比べて、可塑性材料7と気体8とが充填された混合相の流れを、実際に近い状態で精度良く計算することができる。
このような作用を効果的に発揮させるために、材料モデル17の第1粘度ηrと、気体モデル18の第2粘度ηaとの差(ηr-ηa)が好ましくは10Pa・s以上、さらに好ましくは10Pa・s以上である場合に、上記式(1)によって、各要素e(図7(b)に示す)の混合相流体の平均粘度ηが定義されるのが望ましい。これにより、隣接する要素e、e間において、平均粘度ηの差が急に大きくなるのを防ぐことができる。
また、材料モデル17の第1粘度ηrが大きくなると、図7(b)に示した要素e、e間で平均粘度ηの差が急に大きくなり、流動計算が途中で異常終了しやすくなる。このため、第1粘度ηrが好ましくは104Pa・s以上、さらに好ましくは106Pa・s以上である場合に、上記式(1)によって、各要素eの混合相流体の平均粘度ηが定義されるのが望ましい。
さらに、気体モデル18の第2粘度ηaが小さくなると、図7(b)に示した要素e、e間で平均粘度ηの差が急に大きくなり、流動計算が途中で異常終了しやすくなる。このため、第2粘度ηaが好ましくは1Pa・s以下、さらに好ましくは10-5Pa・s以下である場合に、上記式(1)によって、各要素eの混合相流体の平均粘度ηが定義されるのが望ましい。
次に、図4に示されるように、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ10が、材料モデル17の流動状態を評価する(工程S4)。工程S4では、例えば、工程S3で計算される物理量(例えば、材料モデル17の圧力等)に基づいて、ミキサー1(図1に示す)の混練性能が評価される。
工程S4において、材料モデル17の流動状態が良好であると判断された場合(工程S4において、「Y」)、空間モデル14(図6に示す)に基づいて、ミキサー1(図1に示す)が製造される(工程S5)。他方、材料モデル17の流動状態が良好でないと判断された場合(工程S4において、「N」)、ミキサー1の設計因子や練条件を変更し(工程S6)、工程S1~工程S4が再度実行される。これにより、本実施形態のシミュレーション方法では、混練性能が良好なミキサー1を確実に設計及び製造することができ、可塑性材料を安定して製造するのに役立つ。
これまでの実施形態では、空間4が、ゴム材料7Aを練るためのミキサー1のゴム混練空間4Aである場合が例示されたが、このような態様に限定されない。空間4は、未加硫のゴム材料(可塑性材料)を押し出すための押出機のゴム流路であってもよい。図11は、押出機21のゴム流路4Bの一例を示す部分断面図である。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
ゴム流路4Bは、スクリュー式の押出機21の内部空間に形成されている。ゴム流路4Bの一端には、ゴム材料(可塑性材料)が供給される供給口(図示省略)が設けられている。また、ゴム流路4Bの他端には、ゴム材料(可塑性材料)が押し出される吐出口23が設けられている。さらに、ゴム流路4Bの断面は、上流側から下流側に向かって(即ち、供給口側から吐出口23側に向かって)断面積が漸減している。
この実施形態のシミュレーション方法では、空間モデルを入力する工程S11において、ゴム流路4Bが有限個の要素eで離散化されている。図12は、本発明の他の実施形態の空間モデル24の一例を示す斜視図である。
空間モデル24は、図11に示したゴム流路4Bの三次元空間が、有限個の要素eでモデル化(離散化)されたものである。空間モデル24の一端には、材料モデル及び気体モデルが供給される供給口24iが設けられている。また、空間モデル24の他端には、材料モデル及び気体モデルが押し出される吐出口24oが設けられている。空間モデル14の断面は、ゴム流路4B(空間4)と同様に、上流側から下流側に向かって(即ち、供給口24i側から吐出口24o側に向かって)断面積が漸減している。
この実施形態の工程S12及び工程S13では、これまでの実施形態と同様に、図12に示した空間モデル14の要素(オイラー要素)eに、材料モデル及び気体モデルが定義される。工程S3では、これまでの実施形態と同様に、材料モデルの流動が計算される。
この実施形態の工程S3では、前実施形態と同様に、上記式(1)及び上記式(2)の一方に基づいて、各要素eの混合相流体の平均粘度ηを定義する工程を含んでいる。これにより、この実施形態のシミュレーション方法は、図12に示した隣接する要素e、e間において、平均粘度ηの差が急に大きくなるのを防ぐことができる。したがって、この実施形態のシミュレーション方法は、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れを、安定して計算することができる。
この実施形態の工程S4では、工程S3で計算される物理量(例えば、材料モデルの圧力等)に基づいて、押出機21の押し出し性能が評価される。これにより、この実施形態のシミュレーション方法では、押し出し性能が良好な押出機21を確実に設計及び製造することができるため、可塑性材料を安定して製造するのに役立つ。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図4及び図5に示した処理手順に従って、空間を有限個の要素で離散化した空間モデル、第1粘度が定義された可塑性材料を表現するために材料モデル、及び、第2粘度が定義された気体を表現するための気体モデルが入力された(実施例、比較例1及び比較例2)。そして、実施例、比較例1及び比較例2では、空間モデルに材料モデル及び気体モデルを配置して、材料モデルの流動が計算された。流動計算では、空間モデルの回転部に、30rpm、40rpm、及び、50rpmの回転数を設定して、それらの回転数毎に材料モデルの流動が計算された。
実施例では、上記式(3)に基づいて、各要素の混合相流体の平均粘度が定義された。一方、比較例1では、上記式(2)に基づいて、各要素の混合相流体の平均粘度が定義された。比較例2では、上記式(2)に基づいて、各要素の混合相流体の平均粘度が定義されたが、各要素の大きさを、実施例及び比較例1の要素の50%の大きさに設定された。そして、回転数毎に、流動計算の安定性が評価された。図7は、材料モデル及び気体モデルの平均粘度と、材料モデルの体積分率との関係を示すグラフである。共通仕様は、次のとおりである。
材料モデルの空間モデルへの充填率:70%
タイムステップ:1.973×10-3
計算する実時間:20秒
第1粘度ηr:106Pa・s
第2粘度ηa:10-5Pa・s
図13(a)は、実施例の材料モデル17と気体モデル18との界面25の一部を示す図である。図13(b)は、比較例1の材料モデル17と気体モデル18との界面25の一部を示す図である。図13(c)は、比較例2の材料モデル17と気体モデル18との界面25の一部を示す図である。図13(a)~(c)において、色が濃い部分ほど、平均粘度の差が大きいことを示している。
実施例では、図13(a)に示されるように、材料モデル17と気体モデル18との界面25において、平均粘度の差を小さく計算された。これにより、実施例では、各回転数(30rpm、40rpm、及び、50rpm)において、流動計算が途中で異常終了することがなかった。一方、比較例1では、図13(b)に示されるように、材料モデル17と気体モデル18との界面25において、平均粘度の差が大きく計算された。これにより、比較例1では、回転数が40rpm、及び、50rpmにおいて、流動計算が途中で異常終了した。したがって、実施例は、比較例1に比べて、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れを、安定して計算することができた。
比較例2では、図13(c)に示されるように、材料モデル17と気体モデル18との界面25において、平均粘度の差を小さくすることができたが、実施例に比べて計算時間が8倍となった。したがって、実施例は、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れを、安定かつ短時間で計算することができた。
14 空間モデル
e 要素

Claims (6)

  1. 複数の要素で離散化された空間内に、可塑性材料と気体とが充填された混合相の流れを、コンピュータを用いて計算するためのシミュレーション方法であって、
    前記コンピュータに、前記空間を有限個の要素で離散化した空間モデル、第1粘度が定義された前記可塑性材料を表現するため材料モデル、及び、第2粘度が定義された前記気体を表現するための気体モデルをそれぞれ入力する工程と、
    前記コンピュータが、前記空間モデルに前記材料モデル及び前記気体モデルを配置して、前記材料モデルの流動を計算する工程を含み、
    前記計算する工程は、下記の数1で示される式により、前記要素の混合相流体の平均粘度をそれぞれ定義する工程を含む、
    シミュレーション方法。
    Figure 0007119471000007

    ここで、
    η:平均粘度
    ηr:第1粘度
    ηa:第2粘度
    φr:材料モデルの体積分率
    φa:気体モデルの体積分率
    A:対数の底
  2. 前記第1粘度は、104Pa・s以上である、請求項1記載のシミュレーション方法。
  3. 前記第2粘度は、1Pa・s以下である、請求項1又は2記載のシミュレーション方法。
  4. 前記可塑性材料が、未加硫のゴム材料である、請求項1ないし3のいずれかに記載のシミュレーション方法。
  5. 前記空間は、前記ゴム材料を練るためのミキサーのゴム混練空間である、請求項4に記載のシミュレーション方法。
  6. 前記空間は、前記ゴム材料を押し出すための押出機のゴム流路である、請求項4に記載のシミュレーション方法。
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