以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の可塑性材料の押出シミュレーション方法(以下、単に「押出シミュレーション方法」ということがある。)は、押出流路を通過する可塑性材料の様子を、コンピュータで計算してシミュレートするための方法である。
図1は、本実施形態の押出シミュレーション方法を実行するためのコンピュータの斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態の押出シミュレーション方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
図2は、押出流路3を説明する断面図である。押出流路3は、スクリュー式の押出機4a〜4cの内部空間に形成されている。押出流路3は、少なくとも一つ、本実施形態では3つの押出流路3a〜3cが設けられている。各押出流路3a〜3cには、例えば、異なる配合のゴム材料が供給される。
各押出流路3a〜3cの一端には、可塑性材料が供給される供給口(図示省略)が設けられている。また、各押出流路3a〜3cの他端には、可塑性材料が押し出される吐出口3oが設けられている。さらに、各押出流路3a〜3cの断面は、ゴム材料が流れる方向で変化している。この実施形態の各押出流路3a〜3cは、上流側から下流側に向かって断面積が漸減している。
押出流路3a〜3cの吐出口3oには、ダイプレート7が配置されている。このダイプレート7は、各押出流路3a〜3cに供給されたゴム材料を、最終的に一つの押出断面で、押し出すことができる。
本実施形態の可塑性材料は、十分に練られた架橋前のゴム材料である。ただし、このようなゴム材料以外にも、樹脂材料やエラストマー等の流動性を有するものが、可塑性材料として採用することができる。また、本発明において、可塑性材料は、十分に練られて安定的な流動状態(流体)とみなすことができる状態のものが前提とされる。例えば、未加硫のゴム材料の場合、十分に練られて約80℃程度まで昇温した状態が、この状態に相当する。
図3は、本実施形態の押出シミュレーション方法の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態では、先ず、材料モデルがコンピュータ1に入力される(ステップS1)。材料モデルは、押出流路3a〜3c(図2に示す)内を流れるゴム材料(図示省略)をコンピュータ1での数値計算に取り込むためのものである。本実施形態では、せん断粘度ηが異なる3種類のゴム材料を模した材料モデルが設定される。また、各材料モデルについて、ゴム材料の物性に基づいた比熱、熱伝導率及びせん断粘度ηが、コンピュータ1に入力される。
比熱は、解析対象となるゴム材料から、例えば、断熱型連続法(@25℃)にて測定される。本実施形態では、各ゴム材料の比熱として、いずれも同一の値が設定される。このような比熱は、コンピュータ1に入力される。
熱伝導率は、解析対象となるゴム材料から、例えば、熱線法(@25℃)にて測定される。熱伝導率は、コンピュータ1に入力される。なお、比熱及び熱伝導率には、温度依存性があるため、温度の関数で定義されても良い。また、ゴムの吐出温度は、通常100℃から130℃の間であることが多いため、その温度範囲における値が採用されても良い。
本実施形態のせん断粘度ηは、例えば、複数の温度条件において、十分に練られたゴム材料(図示省略)の粘弾性特性(G'及びG”)を求める実験結果から、Cox-Merz則などを用いて、下記式(1)で定義することができる。
上記式(1)において、c・γ’(n−1)は、粘度の速度依存性(せん断速度依存性)に関する項(Power Law)である。せん断速度依存性を制御するパラメータ(以下、単に「せん断速度パラメータ」ということがある。)c、nは、せん断粘度ηのせん断速度依存性(即ち、せん断速度依存性に関する項)を調節するためのものである。
せん断速度パラメータc、nは、適宜設定することができる。例えば、最初に、複数の温度において、粘度のせん断速度依存性を測定する。次に、各温度において、c・γ’(n−1)にフィッティングさせる。そして、粘度のせん断速度依存性は温度が変化しても変化しないとの仮定に基づいて、せん断速度パラメータc、nを、指数関数で近似させて求めることができる。本実施形態では、せん断速度パラメータcを、実験結果から求められる定数を設定し、せん断速度パラメータnを、初期値1(せん速度依存性なし)から実験値まで変化させることにより、徐々にフィッティングさせている。
上記式(1)において、O・em・(T−273)は、温度依存性に関する項(Approximate Arrhenius Law)である。温度依存性を制御するためのパラメータ(以下、単に「温度パラメータ」ということがある。)mは、例えば、せん断速度及び温度を含む様々な条件において、せん断粘度を計測し、該せん断粘度にカーブフィッティングさせることによって求めることができる。この温度依存性に関する項は、多項式や、他の適当な関数に近似させて求めてもよい。なお、せん断粘度は、キャピラリーレオメーターや回転式レオメーターを用いて計測することができる。
図4は、せん断粘度ηとせん断速度γ’との関係を示すグラフである。このグラフでは、例えば、せん断速度パラメータnを、上記「0〜1」の範囲で異ならせたせん断粘度ηと、せん断速度γ’との関係が示されている。せん断速度パラメータnが「1」の場合、全てのせん断速度γ’において、せん断粘度ηを一定に設定することができる。一方、せん断速度パラメータnが「1」よりも小さい場合、せん断速度γ’が小さくなるほど、せん断粘度ηが大きくなる。しかも、せん断速度パラメータnが小さくなるほど、せん断粘度ηの増加率が大きくなる。
従って、上記式(1)で定義されるせん断粘度ηは、せん断速度パラメータnが「1」よりも小さい場合に、せん断速度γ’に応じてせん断粘度ηが変化するせん断速度依存性を有している。さらに、上記式(1)では、せん断速度パラメータnを徐々に小さくするほど、せん断速度依存性の影響を徐々に表す(大きくする)ことができる。
温度パラメータOは、せん断粘度ηの温度依存性(即ち、温度依存性に関する項)を調節するためのものである。温度パラメータOは、適宜設定することができ、本実施形態では、0〜1の範囲で設定される。
図5は、せん断粘度ηと温度Tとの関係を示すグラフである。このグラフでは、例えば、温度パラメータOを、上記「0〜1」の範囲で異ならせたせん断粘度ηと、せん断速度γ’との関係が示されている。温度パラメータOが「0」の場合、全ての温度Tにおいて、せん断粘度ηを一定に設定することができる。一方、温度パラメータOが「0」よりも大きい場合、温度Tが小さくなるほど、せん断粘度ηが大きくなる。しかも、温度パラメータOが大きくなるほど、せん断粘度ηの増加率が大きくなる。
従って、上記式(1)で定義されるせん断粘度ηは、温度パラメータOが「0」よりも大きい場合に、温度Tに応じてせん断粘度ηが変化する温度依存性を有している。さらに、上記式(1)では、温度パラメータOを徐々に大きくするほど、温度依存性の影響を徐々に表す(大きくする)ことができる。また、本実施形態では、温度パラメータOが、下記式(2)に基づいて設定されるのが望ましい。
ここで、符号は次のとおりである。
M:温度パラメータOを制御するためのパラメータ
a:温度パラメータOの最大値
b、d:実験結果から設定される係数
上記式(2)は、ロジスティクス曲線を表す式である。本実施形態のパラメータMは、温度パラメータOと同様に、0〜1の範囲で設定される。本実施形態の最大値aには、温度パラメータOの最大値「1」が設定される。また、係数b及び係数dは、オペレータによって、流動計算が収束しやすい値が適宜設定される。
このように、温度パラメータOが、ロジスティクス曲線に基づいて設定されることにより、温度パラメータOを、急激な増加を防ぎつつ、0〜1の範囲で自由に変化させて設定することができる点で望ましい。
上記式(1)の各パラメータc、mには、材料モデル毎に、それぞれ異なる数値が設定される。これにより、本実施形態では、各材料モデルに、それぞれ異なるせん断粘度ηを定義することができる。なお、各材料モデルのせん断粘度ηには、下限値や上限値などを設定することが望ましい。これらのせん断粘度ηは、コンピュータ1に入力される。
次に、図3に示されるように、流路モデルがコンピュータ1に入力される(ステップS2)。図6は、流路モデル11を視覚化して示す斜視図である。図7は、流路モデル11の断面図である。図6及び図7に示されるように、流路モデル11は、図2に示した押出流路3の三次元空間が、有限個の要素13でモデル化(離散化)されたものである。流路モデル11は、一端に材料モデルが供給される供給口11iが設けられている。また、流路モデル11は、他端に材料モデルが押し出される吐出口11oが設けられている。
本実施形態の流路モデル11は、それぞれ独立した供給口11iを有する3つの流路モデル11、即ち、第1の流路モデル11a〜第3の流路モデル11cを含んで構成されている。各流路モデル11a〜11cを通った材料モデルは、各々の吐出口11oを経て、一つの吐出口12から吐出される。
各流路モデル11a〜11cの断面積は、図2に示した押出流路3と同様に、材料モデルが流れる方向で変化している。この実施形態の各流路モデル11a〜11cは、上流側から下流側に向かって断面積が漸減している。また、本実施形態の各流路モデル11a〜11cは、図6(b)に示されるように、断面を半分にして設定されている。これにより、本実施形態では、計算時間を短縮することができる。ただし、このような態様に限定されるものではない。
各流路モデル11a〜11cは、図7の部分拡大図に示されるように、材料モデルが流れる空間が複数個の要素13で分割(離散化)されている。要素分割は、四面体、六面体などの他、多面体セル(ポリヘドラルグリッド)といった三次元要素で行われ、本実施形態ではオイラー要素でモデル化される。各要素13では、材料モデルの圧力、温度及び速度等の物理量が計算される。
次に、図3に示されるように、本実施形態では、境界条件等が設定される(ステップS3)。本実施形態では、境界条件として、各流路モデル11a〜11cの供給口11i(図6に示す)にそれぞれ供給される第1の材料モデル〜第3の材料モデルの流速及び温度が設定される。さらに、本実施形態では、境界条件として、各流路モデル11a〜11cの
吐出口12の圧力(=0)が設定される。
各材料モデルの流速や温度は、例えば、解析対象となる押出流路3(図2に示す)で実測された値を参考にして、適宜設定することができる。また、各流路モデル11a〜11cの壁面11e(図7に示す)には、例えば、一定の温度が与えられる。
さらに、各流路モデル11a〜11cの壁面11e(図7に示す)には、流速境界条件が設定される。流速境界条件としては、壁面ノースリップ条件、又は、壁面スリップ条件を設定することができる。本実施形態では、上記特許文献1と同様の観点より、壁面ノースリップ条件が設定された。
他の条件としては、流動計算(シミュレーション)のタイムステップ、内部処理でのイタレーションの反復回数、計算終了時刻などがある。これらの条件は、シミュレーションの目的等に応じて任意に定められる。
次に、図3に示されるように、コンピュータ1は、前記境界条件に基づき、図7に示した各流路モデル11a〜11c内に材料モデルを配置して、供給口11iから吐出口11oまで流動させる流動計算を行う(ステップS4)。
流動計算では、上記特許文献1と同様に、各流路モデル11a〜11cの各要素13(図7に示す)の位置において、材料モデルの運動状態を特定する3方向(x,y,z)の速度成分uと、材料モデルの内部状態を特定する未知量である圧力p及び温度Tが計算される。また、本実施形態の流動計算では、非圧縮性流れの場合のNavier-Stoks方程式が用いられ、材料モデルの密度は一定とされている。
本実施形態において、材料モデルは、全温度領域で流体として扱われる。このため、流体の方程式( Navier-Stoks 方程式、質量保存式、及び、エネルギー方程式の連立 )を解くことになる。また、本実施形態では、せん断粘度ηが異なる複数種類の材料モデルの混相が扱われる。このため、本実施形態では、自由界面の流れの計算で用いられるVOF(Volume of Fluid)法が用いられる。VOF法では、せん断粘度η等が異なる2つの流体(材料モデル)の界面の移動を直接計算するのではなく、各要素13(「セル」ということもある。)の体積中の材料モデルの充填率(即ち、体積分率)を定義して自由界面を平均化して表現する。支配方程式は、次の通りである。
[運動方程式]
本実施形態では、各流路モデル11a〜11c(図6に示す)の中に3種類の材料モデルが流れる3相の混相流モデルが、一つの流体として扱われる。この場合、運動方程式は、下記式の1組(x,y,zの3方向)について解くだけで良い。これは、VOF法により、3相を平均化して、一相の流体として扱うことで実現されている。
上記式において、符号は次の通りである。
u:混相流モデルの速度
p:混相流モデルの圧力
ρ:混相流モデルの密度
g:重力加速度
T:混相流モデルの絶対温度
F:外力
また、混相流モデルの密度ρ及びせん断粘度η等は、下式のように、第1の材料モデル〜第3の材料モデルの各相が、それぞれ占める体積で重み付けされて平均化されたものが使用される。
上記式において、符号は次の通りである。
αq:各セルにおける各相の体積分率
ρq:各セルにおける各相の密度
ηq:各セルにおける各相のせん断粘度
[質量保存式]
同様に、質量保存(連続の式)及び圧力方程式も、一組のみ解くことで足りる。つまり、本実施形態のシミュレーション方法では、混相でありながら、流れ場の計算としては単相と同じであり、場所(体積分率)によって、物性値が異なる流れを解いていることになる。各相の位置は、計算結果として得られる体積分率(Volume Fraction)の分布より判断できる。
[エネルギー方程式]
エネルギー方程式については、下記式で表現される。また、材料モデルの温度は、下記式によって求めることができる。
上記式において、符号は次の通りである。
E:エンタルピ
k:熱伝導率
S:ソース項
[体積分率輸送方程式]
体積分率の分布は、各材料モデルの相間の界面位置を決定するものである。この体積分率αqは、下記式を精度良く解くことで得られる。
ここで、各流路モデル11a〜11cの任意の要素13(図7に示す)において、体積分率αq=0の場合、当該要素13には、q相が存在しないことを示している。また、体積分率αq=1の場合、当該要素13は、q相で全部が満たされていることを示す。さらに、0<αq<1の場合、当該要素13は、q相と他の相とで満たされていること、つまり混相であって両者の界面が存在することを示す。この方程式は、例えば、Modified-HRIC (Implicit) で解くことができる。詳細は、ANSYS Fluent User's Manual, 26.2.9 Modified HRIC Scheme に詳しく述べられている。
本実施形態において、上記各方程式は、圧力ベースの分離型解法で解かれる。圧力方程式と運動方程式とのカップリングには、例えば、SIMPLE( Semi-Implicit Method for Pressure-Linked Equations )アルゴリズムが用いられるのが望ましい。
図8は、本実施形態の流動計算の処理手順の一例を示すフローチャートである。本実施形態流動計算では、先ず、せん断粘度ηが一定に設定された各材料モデルの流れが計算される(第1計算ステップS41)。図9は、第1計算ステップS41の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第1計算ステップS41では、先ず、各材料モデルに、一定のせん断粘度ηが設定され(ステップS101)、この材料モデルが、各流路モデル11a〜11c(図6に示す)に供給される(ステップS102)。
ステップS101では、せん断粘度ηを定義する上記式(1)において、せん断速度パラメータnに、例えば「1」が代入される。さらに、温度パラメータO(本実施形態では、上記式(2)のパラメータM)には、例えば「0.00001」が代入される。これにより、ステップS101では、第1の材料モデル〜第3の材料モデルの各せん断粘度ηが、せん断速度γ’及び温度Tが変化しても変化しない一定のもの(即ち、せん断速度依存性及び温度依存性を有さないもの(又は非常に小さいもの))に変更される。なお、せん断速度γ’及び温度Tには、実験結果に基づき、代表的なせん断速度(10(1/s))、及び、温度(例えば100℃)が設定される。
次に、せん断粘度ηが、せん断粘度ηが一定に設定された各材料モデルと、各流路モデル11a〜11cとに基づいて、材料モデルの運動(流れ)が計算される(運動計算ステップS103)。図10は、各材料モデルの運動計算ステップS103の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の運動計算ステップS103では、上記特許文献1と同様に、先ず、各材料モデルの速度と圧力勾配の下限及び上限であるリミットを設定し、速度勾配及び圧力勾配が計算される(ステップS201)。
次に、最新の圧力場から離散化した運動方程式をセットアップし、反復法ソルバーを用いて、その解、即ち、材料モデル(又は混相)の3方向の速度が計算される(ステップS202)。反復法としては、例えばガウス・ザイデル法等が挙げられる。
次に、各流路モデル11a〜11c(図6に示す)のセル表面における各材料モデルの修正前の質量流量を求める(ステップS203)。「修正前の質量流量」とあるのは、SIMPLEアルゴリズムのループの中で、最初に取り敢えず使用される質量流量である。ここでは、誤差が大きいので「修正前」と表現されている。次に、速度場と圧力場とを、前記SIMPLEアルゴリズムを用いてカップリングし、圧力場を修正するための下記のような圧力補正方程式が構築される(ステップS204)。
▽[k▽φ]=src
次に、上記ステップで得られた圧力補正方程式が、例えばAMGソルバー、CG又はBi−CG等の反復法で計算され、圧力補正量p’が計算される(ステップS205)。次に、計算された解を元に、圧力場が修正される(ステップS206)。圧力場の補正は、次のように行われる。
pn+1=pn+ωp’
上記式において、符号は次の通りである。
p:圧力
n:現在のステップ数
ω:緩和係数(本実施形態では、0.3)
次に、壁面11e(図7に示す)の境界条件が修正(アップデート)される。即ち、修正された圧力場から圧力勾配を求め、その圧力勾配を境界条件として与える(ステップS207)。次に、セル表面の質量流量が修正される(ステップS208)。修正は次のように行われる。
mfn+1=mf*+m'f
上記式において、符号は次の通りである。
mf n+1:修正後のセル表面の質量流量
mf*:修正前のセル表面の質量流量
m'f:質量流量の修正値
次に、速度場が修正される(ステップS209)。速度場の修正は、例えば、次のようにして行われる。
vn+1=v*−(V▽p'/αp V)
上記式において、符号は次の通りである。
▽p':圧力補正量の勾配
αp V:運動方程式中の速度の対角成分
次に、前記エネルギー方程式を解くことにより、材料モデルの温度が算出される(ステップS210)。
なお、材料モデルの運動計算において、材料モデルのせん断速度γ’が小であり、かつ、せん断粘度ηが大きい場合には、材料モデルのせん断発熱Hsが、実際のゴム材料よりも大きく計算されるおそれがある。このようなせん断発熱Hsの上昇は、流動計算の発散を招くおそれがある。また、実際のゴム材料では、せん断速度γ’が小さいと、せん断粘度ηが大きくても、せん断発熱Hsが大きくなることはない。このため、材料モデルのせん断速度γ’が小さい場合には、せん断粘度ηに大小にかかわらず、せん断発熱Hsが小さく修正されるのが望ましい。これにより、流動計算の発散を抑制することができる。
本実施形態では、まず、下記式によって、せん断発熱Hsの重み係数Wが求められる。この重み係数Wは、せん断速度γ’が小さいほど小さくなる。本実施形態では、重み係数の値が「1」未満であると、せん断速度γ’が十分小さいと判断している。なお、係数A、Bは、ゴム材料の実験結果に基づいて、適宜設定される。
W=A×ln(γ’2)+B
γ’:せん断速度
A、B:係数
次に、重み係数Wに基づいて、せん断発熱Hsが修正される。
・0.05<W<1の場合
Hs=1
・W≦0.05の場合
Hs=W×Hs
このように、本実施形態では、重み係数Wに基づいて、せん断速度γ’が小さい(重み係数Wが1未満)場合に、上記のように、せん断発熱Hsが小さく修正されるため、流動計算の発散を抑制することができる。なお、重み係数Wが1以上の場合は、せん断発熱Hsが過度に上昇することはないため、せん断発熱Hsを修正していない。
次に、各材料モデルの流れが安定状態になったか(計算が収束したか)否かが判断される(ステップS211)。本実施形態において、各材料モデルの安定状態は、供給口11i(図7に示す)での材料モデルの量と、吐出口11o(図7に示す)での材料モデルの量との差(以下、単に「材料モデルの押出し誤差」ということがある。)rが、予め定められた範囲内にある状態をいう。なお、本実施形態のように、複数の材料モデルを対象に計算される場合には、各材料モデルの押出し誤差riから求められたニ乗平均平方根Rrmsに基づいて、全ての材料モデルの安定状態が判断されるのが望ましい。このようなニ乗平均平方根Rrmsは、全ての材料モデルを考慮した押出し誤差であるため、全ての材料モデルの安定状態を容易に判断することができる。ニ乗平均平方根Rrmsは、下記式(7)に基づいて求めることができる。
上記式において、符号は次の通りである。
n:材料モデルの合計数
ri:各材料モデルの押出し誤差
ニ乗平均平方根Rrmsは、各材料モデルの押出し誤差により、数値がバラツキやすい場合がある。このため、ニ乗平均平方根Rrmsを標準化した値(以下、単に「標準値」ということがある。)Rpresに基づいて判断されるのが望ましい。これにより、各材料モデルの安定状態を、容易に判断することができる。標準値Rpresは、下記式(8)に基づいて求めることができる。
上記式において、符号は次の通りである。
Rnorm:全ての材料モデルにおいて、各押出し誤差の絶対値の最大値
ステップS211では、各材料モデルの流れが安定状態になったと判断された場合(ステップS211で、「Y」)、図9のフローチャートに戻る。一方、各材料モデルの流れが安定状態になっていないと判断された場合(ステップS211で、「N」)には、ステップS201以降が繰り返される。これにより、本実施形態の第1計算ステップS41では、せん断粘度ηが一定に設定された各材料モデルの流れを、安定状態にすることができる。なお、本実施形態では、標準値Rpresが、一定の値に収束した場合に、安定状態になったと判断している。なお、標準値Rpresが、初期の標準値Rpresよりも大きくなる場合は、各材料モデルの押出し誤差riが大きくなっているため、標準値Rpresが一定の値に収束したとしても、計算結果が異常であると判断されるのが望ましい。この場合、計算条件等を再設定し、再度計算が実施される。
次に、図8に示されるように、せん断速度依存性又は温度依存性の一方のみを有するせん断粘度ηが設定された各材料モデルの流れが計算される(第2計算ステップS42)。本実施形態の第2計算ステップS42では、せん断粘度ηにせん断速度依存性のみが設定され、温度依存性は設定されていない。図11は、第2計算ステップS42の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第2計算ステップS42では、先ず、第1計算ステップS41で得られた各材料モデルの計算結果を、第2計算ステップS42の初期値として設定する(ステップS301)。本実施形態のステップS301では、各流路モデル11a〜11cの各要素13(図7に示す)の速度(3成分)及び圧力を、後述するステップS304において、各材料モデルの運動(流れ)の計算を開始する際の速度場の初期値としてセットする。
次に、各材料モデルに、せん断速度依存性を有する初期のせん断粘度ηを定義され(ステップS302)、これらの材料モデルが、各流路モデル11a〜11cに供給される(ステップS303)。初期のせん断粘度ηは、各ゴム材料に基づく(最終的に設定される)せん断速度依存性よりも小さいせん断速度依存性を有し、かつ、温度依存性を有さないせん断粘度ηである。なお、各ゴム材料に基づくせん断速度依存性は、各ゴム材料(図示省略)の実験結果等に基づいて特定される。
本実施形態では、図4に示されるように、せん断粘度ηを定義する上記式(1)のせん断速度パラメータnが、第1計算ステップS41で設定された初期値(例えば、1(せん断速度依存性が無い))よりも小、かつ、せん断速度依存性が最も大きくなる値「0」よりも大の範囲で設定され、例えば、「0.9」が設定される。これにより、ステップS302では、小さなせん断速度依存性を有するせん断粘度ηを、各材料モデルに定義することができる。
次に、前記せん断速度依存性を有するせん断粘度ηが定義された第1の材料モデル〜第3の材料モデルと、各流路モデル11a〜11c(図6に示す)とに基づいて、各材料モデルの運動(流れ)が計算される(運動計算ステップS304)。なお、この運動計算ステップS304は、第1計算ステップS41と同様に、図10に示した運動計算ステップと同様の処理手順で行われる。これにより、運動計算ステップS304では、せん断速度依存性を有するせん断粘度ηが定義された各材料モデルの流れを、安定状態することができる。
通常、各流路モデル11a〜11c(図6に示す)では、要素13(図7に示す)毎にせん断速度γ’が異なる。ステップS304では、要素13のせん断速度γ’に基づいたせん断粘度ηが計算される。そして、一様ではないせん断粘度ηの分布は、各流路モデル11a〜11cの速度場に影響を与え、圧力変化をもたらすが、ステップS304では、これらがバランスするまで収束計算が行われる。
次に、各材料モデルのせん断粘度ηのせん断速度依存性が、各ゴム材料に基づくせん断速度依存性と同一か否かが判断される(ステップS305)。せん断速度依存性が、各ゴム材料に基づくせん断速度依存性と同一と判断された場合(ステップS305で、「Y」)、図8のフローチャートに戻る。一方、せん断速度依存性が、各ゴム材料に基づくせん断速度依存性と同一でないと判断された場合(ステップS305で、「N」)、せん断速度依存性を大きくして(ステップS306)、各材料モデルの運動(流れ)が再度計算される(ステップS304)。
ステップS306では、図4に示されるように、上記式(1)のせん断速度パラメータnを変更して、前回設定されたせん断速度依存性よりも大きなせん断速度依存性が定義される。例えば、前回のステップS302(又は、ステップS306)において、せん断速度パラメータnに「0.9」が設定された場合、せん断速度パラメータnを、「0.1」減少させて、「0.8」が設定される。これにより、各材料モデルのせん断粘度ηに、前回設定されたせん断速度依存性よりも、大きなせん断速度依存性を定義することができる。
ステップS306は、各材料モデルのせん断粘度ηのせん断速度依存性が、各ゴム材料に基づくせん断速度依存性と同一になるまで繰り返されるため、各材料モデルへのせん断速度依存性の影響が徐々に表れるように、せん断粘度ηの定義を多段階に変化させることができる。しかも、ステップS304では、せん断粘度ηが変化された各段階において、材料モデルが安定状態になるまで計算が行われる。
例えば、各材料モデルのせん断粘度ηに、各ゴム材料に基づくせん断速度依存性がいきなり与えられると(せん断速度パラメータnを、例えば「1.0」から「0.1」に変更」)、せん断粘度ηが大きく変化し、計算が収束しないことが多い。本発明では、せん断速度パラメータnを「1.0」から徐々に小さくしていくことによって、せん断速度依存性が無い状態から、せん断速度依存性を徐々に持たせることにより、せん断粘度ηの大きな変化を抑えることができるため、ステップS304において、流動計算が発散するのを抑制することができる。従って、本実施形態では、せん断速度依存性(各ゴム材料に基づくせん断速度依存性)を有するせん断粘度ηが設定された材料モデルの流れを、確実に計算することができる。
せん断速度依存性を大きくするステップS306が実施される回数については、適宜設定することができる。ステップS306の実施回数が少ない(即ち、せん断速度パラメータnの減少量が大きい)と、各材料モデルへのせん断速度依存性の影響を早期に表すことができるが、せん断粘度ηの変化が大きく(例えば、10倍以上)なり、計算を収束させることができないおそれがある。一方、ステップS306の実施回数が少ない(即ち、せん断速度パラメータnの減少量が小さい)と、計算を安定して収束させることができるが、材料モデルへのせん断速度依存性の影響を早期に表すことができず、計算時間が増大するおそれがある。このような観点より、ステップS306の実施回数は、好ましくは5回以上であり、また、好ましくは20回以下である。
次に、図8に示されるように、せん断速度依存性及び温度依存性を有するせん断粘度ηが設定された各材料モデルの流れが計算される(第3計算ステップS43)。本実施形態の第3計算ステップS43では、第2計算ステップS42で設定されたせん断速度依存性に、温度依存性がさらに設定されたせん断粘度ηが定義される。図12は、第3計算ステップS43の処理手順の一例を示すフローチャートである。
第3計算ステップS43では、先ず、第2計算ステップS42で得られた各材料モデルの計算結果を、第3計算ステップS43の初期値として設定する(ステップS401)。これにより、後述するステップS402以降において、せん断速度依存性を有するせん断粘度ηに、温度依存性を設定することができる。
次に、各材料モデルに、せん断速度依存性及び温度依存性を有する初期のせん断粘度ηを定義され(ステップS402)、これらの材料モデルが各流路モデル11a〜11c(図6に示す)に供給される(ステップS403)。初期のせん断粘度ηは、第2計算ステップS42で設定されたせん断速度依存性を有し、かつ、各ゴム材料に基づく(最終的に設定される)温度依存性よりも小さい温度依存性が設定されたせん断粘度ηである。なお、各ゴム材料に基づく温度依存性は、各ゴム材料(図示省略)の実験結果等に基づいて特定設定される。
本実施形態では、図5に示されるように、せん断粘度ηを定義する上記式(1)の温度パラメータOが、第1計算ステップS41で設定された初期値(例えば、0.00001(温度依存性が小さい))よりも大、かつ、温度依存性が最も大きくなる値「1」よりも小の範囲で設定され、例えば、「0.1」が設定される。これにより、ステップS402では、小さな温度依存性を有するせん断粘度ηを、各材料モデルに定義することができる。なお、温度パラメータOは、上記式(2)のロジスティクス曲線に基づいて設定されるのが望ましい。
次に、せん断速度依存性及び温度依存性を有するせん断粘度ηが定義された第1の材料モデル〜第3の材料モデルと、各流路モデル11a〜11c(図6に示す)とに基づいて、各材料モデルの運動(流れ)が計算される(運動計算ステップS404)。なお、この運動計算ステップS404は、第1計算ステップS41及び第2計算ステップS42と同様に、図10に示した運動計算ステップと同一の処理手順で行われる。これにより、ステップS404では、せん断速度依存性及び温度依存性を有するせん断粘度ηが定義された各材料モデルの流れを、安定状態することができる。
次に、各材料モデルのせん断粘度ηの温度依存性が、各ゴム材料に基づく温度依存性と同一か否かが判断される(ステップS405)。温度依存性が、各ゴム材料に基づく温度依存性と同一と判断された場合(ステップS405で、「Y」)、図8のフローチャートに戻る。一方、温度依存性が、各ゴム材料に基づく温度依存性と同一でないと判断された場合(ステップS405で、「N」)、温度依存性を大きくして(ステップS406)、各材料モデルの運動(流れ)が再度計算される(ステップS404)。
ステップS406では、図5に示されるように、上記式(1)の温度パラメータOを変更して、前回設定された温度依存性よりも、大きな温度依存性が定義される。例えば、前回のステップS402(又は、ステップS406)において、温度パラメータOに「0.1」が設定された場合、温度パラメータOを、「0.1」増加させて、「0.2」が設定される。これにより、各材料モデルのせん断粘度ηに、前回設定された温度依存性よりも、大きな温度依存性を定義することができる。
ステップS406は、各材料モデルのせん断粘度ηの温度依存性が、各ゴム材料に基づく温度依存性と同一になるまで繰り返されるため、各材料モデルへの温度依存性の影響が徐々に表れるように、せん断粘度ηの定義を多段階に変化させることができる。しかも、ステップS404では、せん断粘度ηが変化された各段階において、材料モデルが安定状態になるまで計算が行われる。
例えば、各材料モデルのせん断粘度ηに、各ゴム材料に基づく温度依存性がいきなり与えられると(例えば、温度パラメータOを、「0.1」から「1.0」に変更」)、せん断粘度ηが大きく変化し、計算が収束しないことが多い。本発明では、せん断粘度ηの大きな変化を抑えることができるため、ステップS404において、流動計算が発散するのを抑制することができる。従って、本実施形態では、各ゴム材料に基づくせん断速度依存性及び温度依存性を有する材料モデルの流れを、確実に計算することができる。なお、温度依存性を大きくするステップS406の実施回数については、せん断速度依存性を大きくするステップS306の実施回数と同様の観点より、好ましくは5回以上であり、また、好ましくは20回以下である。
このように、本実施形態の流動計算では、せん断粘度ηを一定とした材料モデルの流れが計算された後に(第1計算ステップS41)、その計算結果を初期値として利用し、せん断粘度ηにせん断速度依存性のみを与えた材料モデルの流れが計算される(第2計算ステップS42)。さらに、第2計算ステップS42の計算結果を初期値として利用し、せん断粘度ηに、せん断速度依存性及び温度依存性を与えた材料モデルの流れが計算される(第3計算ステップS43)。第1計算ステップS41〜第3計算ステップS43では、材料モデルの流れが安定状態になるまで計算される。従って、本実施形態の流動計算では、せん断速度依存性及び温度依存性を徐々に設定して、材料モデルの流れが計算されるため、安定した流動計算を実現することができる。
しかも、本実施形態の流動計算では、第2計算ステップS42及び第3計算ステップS43において、材料モデルへのせん断速度依存性又は温度依存性の影響が徐々に表れるように、せん断粘度ηの定義を多段階に変化させることができる。このため、本実施形態の流動計算では、材料モデルのせん断粘度ηの大きな変化を抑えることができ、材料モデルの流動計算を安定して収束させることができる。
本実施形態では、材料モデルのせん断粘度ηについて、せん断速度依存性が先に設定された後に、温度依存性が設定されるものが例示されたが、温度依存性が先に設定された後に、せん断速度依存性が設定されても良いのは言うまでもない。また、第2計算ステップS42及び第3計算ステップS43において、材料モデルへのせん断速度依存性及び温度依存性の影響が徐々に表れるように、せん断粘度ηの定義を多段階に変化させるものが例示されたが、これに限定されるわけではない。せん断粘度ηの大きな変化は、せん断速度依存性又は温度依存性が大きい場合に生じやすい。このため、せん断速度依存性又は温度依存性のうち、依存性が大きい一方についてのみ、材料モデルへの影響が徐々に表れるように、せん断粘度ηの定義を多段階に変化させてもよい。これにより、材料モデルの流動計算を安定して収束させつつ、計算コストを抑えることができる。
なお、せん断速度依存性が大きいか否かの判断は、上記式(1)において、n−1の絶対値が大きいほど(例えば、|n−1|>0.5)、せん断速度依存性が大きいと判断することができる。また、温度依存性が大きいか否かの判断は、上記式(1)において、mの絶対値が大きいほど(例えば、|m|>0.04)、温度依存性が大きいと判断できる。
次に、図3に示されるように、コンピュータ1が、安定状態の流れを持った各材料モデルから物理量を取得する(ステップS5)。物理量としては、流動計算で得られた各材料モデルの速度、圧力及び温度が挙げられるが、特に、各流路モデル11a〜11cの吐出口11o(図7に示す)の各位置での物理量を取得することが望ましい。
次に、吐出口11o(図7に示す)から押し出された押出物(材料モデル)の物理量に基づいて、この押出物が良好な状態であるか否かが判断される(ステップS6)。押出物の良否の判断としては、
a)吐出口での流速分布が小さい(一様な速度になっている)こと
b)せん断粘度の異なる複数のゴム材料が設計値通りの分配になっていること
c)温度の分布が一様であること(局所的な発熱がないこと)
等を挙げることができる。
次に、押出物の評価が良好である場合(ステップS6で、「Y」)、各流路モデル11a〜11c(図6に示す)の三次元形状に基づいて、ゴム材料(図示省略)を押し出す際の押出流路3が設計される(ステップS7)。他方、押出物の評価が良好ではない場合(ステップS6で、「N」)、各流路モデル11a〜11cの形状を再設定し(ステップS8)、ステップS3以降が繰り返される。これにより、押出物が良好な押出流路3を、確実に設計することができる。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図3及び図8〜図12に示した処理手順に従って、せん断速度依存性及び温度依存性の影響が徐々に表れるように、せん断粘度ηの定義を多段階に変化させて、流動計算が行われた(実施例1、及び、実施例2)。実施例1では、明細書に記載の手順に従って、材料モデルのせん断速度γ’が小さい場合に、せん断発熱Hsを小さく修正している。一方、実施例2では、せん断発熱Hsの修正を行っていない。
また、比較のために、上記特許文献1の手順に従って、せん断粘度ηの定義を多段階に変化させることなく、せん断速度依存性及び温度依存性を順次設定して、流動計算が行われた(比較例)。なお、共通仕様は、以下に記載される仕様を除いて、明細書中の記載通りである。
流路モデルの数:5
せん断粘度ηを定義する上記式(1):
せん断速度パラメータnの範囲:0〜1
温度パラメータOの範囲:0〜1
せん断速度パラメータc:9.39×105
温度パラメータm:0.209
温度パラメータOを定義する上記式(2):
パラメータMの範囲:0〜1
最大値a:1
係数b:1
係数d:1
重み係数W:
係数A:0.3469
係数B:−0.6135
せん断速度依存性を大きくするステップS306の実施回数:10回
温度依存性を大きくするステップS406の実施回数:10回
テストの結果、実施例1及び実施例2では、比較例に比べて、流動計算が発散する回数が少なく、材料モデルの流動計算を安定して収束させることができた。また、実施例1では、せん断発熱Hsが小さく修正されるため、実施例2に比べて、材料モデルの流動計算を安定して収束させることができた。