JP2019089229A - 粘弾性材料のシミュレーション方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 粘弾性を有する材料の流れを、高い精度で計算する。【解決手段】 コンピュータを用いて、粘弾性を有する材料の流れを計算するためのシミュレーション方法である。このシミュレーション方法は、コンピュータに、材料を、弾性を考慮しない粘性モデルを用いて定義する工程と、粘性モデルを予め定められた流動条件に適応し、粘性モデルの流動状態を計算する工程とを含む。粘性モデルを定義する工程は、粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係10を定義する工程を含む。関係10が、ひずみ速度が零から予め定められた閾値Tまでの間では、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が一定及び/又は小さくなる第1粘度領域11と、ひずみ速度が閾値Tよりも大きい場合に、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が大きくなる第2粘度領域12とを有する。【選択図】図6

Description

本発明は、コンピュータを用いて、粘弾性を有する材料、例えば、未加硫ゴム等の可塑性材料の流れを計算するためのシミュレーション方法に関する。
従来、粘弾性を有する可塑性材料の流れを計算するためのシミュレーション方法が提案されている。この種のシミュレーションでは、可塑性材料が数値計算可能な要素にモデル化され、それに流動条件を適用して、各要素の流動が時々刻々と計算される。
上記材料モデルには、例えば、可塑性材料の粘性及び弾性の双方を定義することが考えられる。しかしながら、このような材料モデルを用いたシミュレーションでは、流動計算を集束させることが難しいという課題があった。このため、下記特許文献1のシミュレーション方法では、可塑性材料の粘性のみを定義した材料モデルが用いられている。
特開2013−184367号公報
しかしながら、上記特許文献1のシミュレーション方法は、可塑性材料の弾性を考慮できないため、流動計算の精度向上には、さらなる改善の余地があった。
発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、材料モデルに定義される粘性において、ひずみ速度が予め定められた閾値よりも大きい場合に、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が大きくなる粘度領域を含めることで、弾性の特徴である急激な力の上昇を、粘性のみで表現できることを知見した。
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、粘弾性を有する材料の流れを、高い精度で計算することができるシミュレーション方法を提供することを主たる目的としている。
本発明は、コンピュータを用いて、粘弾性を有する材料の流れを計算するためのシミュレーション方法であって、前記コンピュータに、前記材料を、弾性を考慮しない粘性モデルを用いて定義する工程と、前記粘性モデルを予め定められた流動条件に適応し、前記粘性モデルの流動状態を計算する工程とを含み、前記粘性モデルを定義する工程は、前記粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を定義する工程を含み、前記関係が、前記ひずみ速度が零から予め定められた閾値までの間では、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が一定及び/又は小さくなる第1粘度領域と、前記ひずみ速度が前記閾値よりも大きい場合に、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が大きくなる第2粘度領域とを有することを特徴とする。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、関係を定義する工程は、前記材料に対して、ひずみ速度を零から徐々に大きくして測定された複数の粘度の値に基づいて、前記関係を特定してもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記関係を定義する工程は、前記材料の伸長粘度を測定する工程を含んでもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記関係を定義する工程は、前記粘度の測定結果のうち、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が小さくなる部分に近似させた第1近似直線と、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が大きくなる部分に近似させた第2近似直線との交点での前記ひずみ速度を、前記閾値として定義してもよい。
本発明に係る前記粘弾性材料のシミュレーション方法において、前記第1近似直線及び前記第2近似直線は、下記式(1)で定義されてもよい。
Figure 2019089229
ここで、
η:材料の粘度
γ:材料のひずみ速度
n:0より大きい実数
本発明の粘弾性材料のシミュレーション方法は、コンピュータに、粘弾性を有する材料を、弾性を考慮しない粘性モデルを用いて定義する工程と、前記粘性モデルを予め定められた流動条件に適応し、前記粘性モデルの流動状態を計算する工程とを含んでいる。このようなシミュレーション方法は、前記弾性を考慮しない前記粘性モデルが用いられるため、前記流動状態の計算が発散するのを防ぐことができる。従って、本発明のシミュレーション方法は、前記粘性モデルの流動状態を、安定して計算することができる。
前記粘性モデルを定義する工程は、前記粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を定義する工程を含んでいる。前記関係が、前記ひずみ速度が零から予め定められた閾値までの間では、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が一定及び/又は小さくなる第1粘度領域と、前記ひずみ速度が前記閾値よりも大きい場合に、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が大きくなる第2粘度領域とを有している。このような第2粘度領域により、前記粘性モデルは、前記弾性の特徴である急激な力の上昇を表現することができる。従って、本発明のシミュレーション方法は、前記弾性を考慮しない前記粘性モデルを用いていても、前記粘弾性を有する前記材料の流れを、高い精度で計算することができる。
粘弾性材料のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。 材料が流れる流路の一例を示す断面図である。 流路の一例を示す斜視図である。 粘弾性材料のシミュレーション方法の一例を示すフローチャートである。 粘性モデル定義工程の一例を示すフローチャートである。 粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係の一例を示すグラフである。 本実施形態の関係定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 せん断粘度及び伸長粘度と、ひずみ速度との関係の一例を示すグラフである。 流動条件定義工程の処理手順の一例を示すフローチャートである。 流路モデルの一例を示す概念図である。 本発明の他の実施形態の粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を示すグラフである。 比較例の粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を示すグラフである。 粘性モデルの流速と、吐出口の幅方向の位置との関係を示すグラフである。
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき説明される。
本実施形態の粘弾性材料のシミュレーション方法(以下、単に「シミュレーション方法」ということがある。)では、コンピュータを用いて、粘弾性を有する材料の流れが計算される。
図1は、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのコンピュータの一例を示す斜視図である。コンピュータ1は、本体1a、キーボード1b、マウス1c及びディスプレイ装置1dを含んでいる。この本体1aには、例えば、演算処理装置(CPU)、ROM、作業用メモリ、磁気ディスクなどの記憶装置、及び、ディスクドライブ装置1a1、1a2が設けられている。また、記憶装置には、本実施形態のシミュレーション方法を実行するためのソフトウェア等が予め記憶されている。
本実施形態の材料は、十分に練られた架橋前のゴム材料である。ただし、このようなゴム材料以外にも、樹脂材料やエラストマー等の粘弾性を有するものであってもよい。また、本発明において、材料は、十分に練られて安定的な流動状態(流体)とみなすことができる状態のものが前提とされる。例えば、未加硫のゴム材料の場合、十分に練られて約80℃程度まで昇温した状態が、この状態に相当する。
図2は、材料が流れる流路の一例を示す断面図である。図3は、流路の一例を示す斜視図である。本実施形態の流路2は、筒状に形成されており、スクリュー式の押出機3の下流側に接続されている。流路2の一端には、押出機3に接続される供給口5が設けられている。この供給口5に、押出機3から材料が供給される。図3に示されるように、供給口5は、正面視円形状に形成されている。
一方、流路2の他端には、材料が押し出される吐出口6が設けられている。本実施形態の吐出口6は、正面視三角形状に形成されている。従って、流路2の断面は、上流側から下流側に向かって(即ち、供給口5側から吐出口9側に向かって)断面積が漸減している。
本実施形態のシミュレーション方法は、流路2を流れる材料(図示省略)が、吐出口6から押し出される様子が、コンピュータ1によってシミュレートされる。図4は、粘弾性材料のシミュレーション方法の一例を示すフローチャートである。
本実施形態のシミュレーション方法では、先ず、コンピュータ1に、材料を、弾性を考慮しない粘性モデルを用いて定義する(粘性モデル定義工程S1)。粘性モデルは、流路2(図2及び図3に示す)内を流れる材料を、コンピュータ1での数値計算に取り込むためのものである。粘性モデルは、後述の流路モデル7の要素e(図10に示す)に配置される。図5は、粘性モデル定義工程S1の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の粘性モデル定義工程S1では、先ず、材料の比熱及び熱伝導率が定義される(工程S11)。比熱は、解析対象となる材料から、例えば断熱型連続法(@25℃)にて測定される。また、熱伝導率は、解析対象となる材料から、例えば熱線法(@25℃)にて測定される。比熱及び熱伝導率は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の粘性モデル定義工程S1では、粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係が定義される(関係定義工程S12)。図6は、粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係の一例を示すグラフである。図6では、粘度の対数と、ひずみ速度の対数との関係10が示される。粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係(以下、単に「関係」ということがある。)10は、材料に対して、ひずみ速度を零から徐々に大きくして測定された複数の粘度ηの値に基づいて特定される。本実施形態の関係10は、第1粘度領域11、及び、第2粘度領域12を含んでいる。
第1粘度領域11は、ひずみ速度が零から予め定められた閾値Tまでの間において、ひずみ速度γが大きくなるにつれて粘度ηが一定及び/又は小さくなる傾向(本実施形態では、小さくなる傾向)がある。このような第1粘度領域11の粘度ηは、材料のせん断粘度に基づいている。
一方、第2粘度領域12は、ひずみ速度が閾値Tよりも大きい場合に、ひずみ速度γが大きくなるにつれて粘度ηが大きくなっている。この第2粘度領域12の粘度ηは、材料の伸長粘度に基づいている。このような伸長粘度は、ひずみ速度γが大きくなるにつれて、材料を構成する分子鎖が伸び切るため、粘度ηが大きくなる傾向がある。
本実施形態の関係10は、第1粘度領域11により、応力緩和の緩和時間が小さい粘性の特徴を表現することができる。一方、関係10は、第2粘度領域12により、弾性の特徴である急激な力の上昇を表現することができる。従って、関係10は、第1粘度領域11及び第2粘度領域12により、材料の粘弾性の特徴を、粘性のみで表現することができる。図7は、本実施形態の関係定義工程S12の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の関係定義工程S12では、先ず、材料のせん断粘度が測定される(工程S16)。せん断粘度の測定には、例えば、ARES式の回転型レオメータが用いられる。工程S16では、十分に練られた材料(図示省略)に対して、ひずみ速度を零から徐々に大きくして、複数のせん断粘度の値が測定される。図8は、せん断粘度及び伸長粘度と、ひずみ速度との関係の一例を示すグラフである。
図8に示されるように、工程S16の測定結果では、ひずみ速度γが大きくなるにつれて、粘度η(せん断粘度)が小さくなっている。せん断粘度の測定条件については、適宜設定することができる。せん断粘度の測定結果は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の関係定義工程S12では、材料の伸長粘度が測定される(工程S17)。伸長粘度の測定には、例えば、キャピラリーレオメータが用いられる。工程S17では、十分に練られた材料(図示省略)に対して、ひずみ速度を零から徐々に大きくして、複数の伸長粘度の値が測定される。
図8に示されるように、工程S17の測定結果では、ひずみ速度γが大きくなるにつれて、粘度η(伸長粘度)が大きくなっている。伸長粘度の測定条件については、適宜設定することができる。伸長粘度の測定結果は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の関係定義工程S12では、粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を定義される(工程S18)。工程S18では、工程S16で測定された材料のせん断粘度(図8に示す)、及び、工程S17で測定された材料の伸長粘度(図8に示す)に基づいて、図6に示した関係10が定義される。
上述したように、工程S16で測定された材料のせん断粘度(図8に示す)は、第1粘度領域11の粘度の値(図6に示す)に対応している。一方、工程S17で測定された材料の伸長粘度(図8に示す)は、第2粘度領域12の粘度に対応している。これらの複数の粘度の値(即ち、材料のせん断粘度の測定結果、及び、材料の伸長粘度の測定結果)をプロットすることで、図6に示した関係10を示すグラフを求めることができる。
本実施形態の工程S18では、粘度の測定結果のうち、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が小さくなる部分(即ち、第1粘度領域11)に近似させた第1近似直線17が求められる。次に、工程S18では、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が大きくなる部分(即ち、第2粘度領域12)に近似させた第2近似直線18が求められる。本実施形態の第1近似直線17及び第2近似直線18は、下記式(1)で定義される。
Figure 2019089229
ここで、
η:材料の粘度
γ:材料のひずみ速度
n:0より大きい実数
上記式(1)は、べき乗則に基づいている。上記式(1)の実数(べき乗)nは、材料の粘度ηの対数と、材料のひずみ速度γの対数との傾きを示している。第1近似直線17の実数nは、負の値である。一方、第2近似直線18の実数nは、正の値である。このような直線近似は、例えば、最小二乗法に基づいて行うことができる。
次に、本実施形態の工程S18では、第1近似直線17及び第2近似直線18の交点14でのひずみ速度γが求められる。この交点14でのひずみ速度γは、第1粘度領域11と、第2粘度領域12との閾値Tとして特定される。このような閾値Tにより、第1粘度領域11と第2粘度領域12とを区分することができる。
本実施形態の関係定義工程S12では、第1近似直線17、第2近似直線18、及び、閾値Tにより、第1粘度領域11と第2粘度領域12とを有する関係10を定義することができる。
上記の関係10において、例えば、材料に対するひずみ速度γが閾値T以下である場合、そのひずみ速度γが第1近似直線17に代入される。これにより、ひずみ速度γに対応する第1粘度領域11での粘度ηを求めることができる。この粘度ηは、せん断粘度に基づくものである。
一方、材料に対するひずみ速度γが閾値Tより大きい場合、そのひずみ速度γが第2近似直線18に代入される。これにより、ひずみ速度γに対応する第2粘度領域12での粘度ηを求めることができる。この粘度ηは、伸長粘度に基づくものである。
このような関係10により、粘性モデルは、材料の粘弾性の特徴を、粘性のみで表現することができる。関係10は、コンピュータ1に記憶される。本実施形態では、図8に示したように、べき乗則に基づく第1近似直線17及び第2近似直線18を用いて、粘度の測定結果に近似させたが、このような態様に限定されない。粘度の測定結果に近似させることができれば、べき乗則に限定されない。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、粘性モデルの予め定められた流動条件が、コンピュータ1に入力される(流動条件定義工程S2)。流動条件については、計算される材料の流れに応じて、適宜設定することができる。本実施形態の流動条件は、流路2内に材料を流すための条件が設定される。図9は、流動条件定義工程S2の処理手順の一例を示すフローチャートである。
本実施形態の流動条件定義工程S2では、先ず、流路2をモデル化した流路モデル7が設定される(工程S21)。図10は、流路モデル7の一例を示す概念図である。
流路モデル7は、流路2(図2及び図3に示す)の三次元空間が、有限個の要素eでモデル化(離散化)されたものである。流路モデル7の一端には、粘性モデルが供給される供給口8を有している。供給口8は、図3に示した流路2の供給口5に基づいて、正面視円形状に設定されている。
一方、流路モデル7の他端には、粘性モデルが押し出される吐出口9を有している。吐出口9は、図3に示した流路2の吐出口6に基づいて、正面視三角形状に設定されている。従って、流路モデル7の断面は、流路2と同様に、上流側から下流側に向かって(即ち、供給口8側から吐出口9側に向かって)断面積が漸減している。
流路モデル7は、図10の一部拡大図に示されるように、粘性モデルが流れる空間が複数個の要素eで分割(離散化)されている。要素分割は、四面体、六面体などの他、多面体セル(ポリヘドラルグリッド)といった三次元要素で行われ、本実施形態では、オイラー要素でモデル化される。各要素eでは、粘性モデルの圧力、温度及び速度等の物理量が計算される。流路モデル7は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態の流動条件定義工程S2では、粘性モデルの流動を計算するための境界条件が、コンピュータ1に入力される(工程S22)。本実施形態の境界条件としては、流路モデル7の供給口8にそれぞれ供給される粘性モデルの流速、温度、及び、流路モデル7の吐出口9の圧力(=0)が与えられる。粘性モデルの流速や温度としては、例えば、解析対象となる流路2で適宜実測を行い、その値を参考に設定することができる。また、流路モデル7の壁面には、温度が与えられる。本実施形態では一定の温度が与えられる。
また、流路モデル7の壁面7wには、流速境界条件が設定される。流速境界条件としては、上記特許文献1と同様に、壁面ノースリップ条件、又は、壁面スリップ条件が設定可能であり、シミュレーションの用途や求められる計算精度等に応じて、いずれかが採用される。本実施形態では、上記特許文献1と同様に、壁面ノースリップ条件が設定される。
他の境界条件としては、流動計算(シミュレーション)のタイムステップ、内部処理でのイタレーションの反復回数、及び、計算終了時刻などがある。これらの条件は、シミュレーションの目的等に応じて任意に定められる。境界条件は、コンピュータ1に記憶される。
次に、本実施形態のシミュレーション方法は、コンピュータ1が、粘性モデルの流動状態を計算する(工程S3)。工程S3では、粘性モデルを予め定められた流動条件に適応し、粘性モデルの流動状態を計算する。本実施形態の工程S3では、流路モデル7に粘性モデルを配置して、供給口8から吐出口9まで流動させる流動計算が行われる。
工程S3では、粘性モデルの流動計算により、流路モデル7の各要素eの位置において、粘性モデルの運動状態を特定する3方向(x,y,z)の速度成分と、粘性モデルの内部状態を特定する未知量である圧力及び温度が計算される。つまり、解くべき未知数はこの5つである。なお、本実施形態の流動計算は、非圧縮性流れの場合のNavier-Stoks方程式が用いられ、粘性モデルの密度は一定とされる。
本実施形態において、粘性モデルは、全温度領域で流体として扱われる。このため、流体の方程式(Navier-Stoks 方程式、質量保存式、エネルギー方程式の連立)を解くことになる。また、本実施形態では、せん断粘度が異なる複数種類の粘性モデルの混相を扱う必要があるため、自由界面の流れの計算で用いられるVOF(Volume of Fluid)法が用いられる。VOF法では、せん断粘度等が異なる2つの流体(粘性モデル)の界面の移動を直接計算するのではなく、各要素(「セル」ということもある。)の体積中の粘性モデルの充填率(即ち、体積分率)を定義して自由界面を平均化して表現する。支配方程式等の詳細については、上記特許文献1のとおりである。
本実施形態の工程S3では、粘性モデルの流れが安定状態になるまで(即ち、集束するまで)計算が行われる。流動計算は、上記特許文献1の明細書の段落「0041」〜「0051」及び図7に記載のステップS100〜S110と同様の処理手順で行われる。これにより、粘性モデルの安定状態を求めることができる。
本実施形態のシミュレーション方法では、弾性を考慮しない粘性モデルが用いられるため、流動状態の計算が発散するのを防ぐことができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法は、粘性モデルの流動状態を、安定して計算することができる。
粘性モデルの粘度は、図6に示した関係10に基づいて計算される。関係10は、ひずみ速度γが閾値Tよりも大きい場合に、ひずみ速度γが大きくなるにつれて粘度ηが大きくなる第2粘度領域12を有している。この第2粘度領域12により、粘性モデルは、弾性の特徴である急激な力の上昇を表現することができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法は、弾性を考慮しない粘性モデルを用いていても、粘弾性を有する材料の流れを、高い精度で計算することができる。
関係10は、第1近似直線17、第2近似直線18、及び、閾値Tで定義されるため、材料に対するひずみ速度γに対応する材料の粘度ηを、容易かつ一意に特定することができる。従って、本実施形態のシミュレーション方法では、計算コストの増大を防ぐことができる。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、粘性モデルの物理量を取得する(工程S4)。工程S4では、安定状態の流れを持った粘性モデルの物理量が取得される。物理量としては、流動計算で得られた粘性モデルの速度、圧力及び温度が挙げられる。本実施形態では、図10に示した流路モデル7の吐出口9において、粘性モデルの物理量が取得されている。
次に、本実施形態のシミュレーション方法では、コンピュータ1が、粘性モデルの物理量が、良好か否かが判断される(工程S5)。工程S5では、吐出口9から押し出された粘性モデルの物理量が良好であるか否かが判断される。粘性モデルの良否は、例えば、吐出口9での流速分布や、粘性モデルの温度分布等に基づいて、適宜判断される。
工程S5において、物理量が良好であると判断された場合(工程S5において、「Y」)、流路モデル7(図10に示す)に基づいて、流路2(図2に示す)が設計される(工程S6)。他方、物理量が良好でないと判断された場合(工程S5において、「N」)、流路モデル7を再設定し(工程S7)、工程S1〜工程S5が再度実施される。これにより、材料の流動が良好な流路2を確実に設計することができる。
図6に示したように、本実施形態の第1粘度領域11は、ひずみ速度が零から予め定められた閾値Tまでの間において、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が小さくなるものが例示されたが、このような態様に限定されない。第1粘度領域11は、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が一定になる部分が含まれてもよい。図11は、本発明の他の実施形態の粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を示すグラフである。なお、この実施形態において、これまでの実施形態と同一の構成については、同一の符号を付し、説明を省略することがある。
この実施形態の関係10は、第1粘度領域11において、零から予め定められた第2閾値T2までの間では、ひずみ速度γが大きくなっても粘度ηが一定となる部分(以下、単に「一定部分」ということがある。)21と、ひずみ速度が第2閾値T2から閾値Tまでの間では、ひずみ速度γが大きくなるにつれて粘度ηが小さくなる部分(以下、単に「漸減部分」ということがある。)22とを含んでいる。本実施形態の一定部分21は、関係10において、粘性モデルの粘度ηの上限値を示している。
このような一定部分21により、関係10は、粘性モデルのひずみ速度γが零に近づいても、粘性モデルの粘度ηが、一定部分21の粘度η(即ち、粘度ηの上限値)以上に増加するのを防ぐことができる。これにより、この実施形態のシミュレーション方法では、粘性モデルの流動状態の計算が発散するのを確実に防ぐことができる。
第2閾値T2、及び、粘度ηの上限値(即ち、一定部分21の粘度η)については、適宜設定することができる。第2閾値T2及び粘度ηの上限値は、例えば、粘性モデルの流動状態を事前に計算した結果等に基づいて、計算の安定性を考慮して設定されるのが望ましい。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
粘弾性を有する材料の流れが、コンピュータを用いて計算するシミュレーションが実施された(実施例、比較例)。実施例及び比較例では、図4に示した処理手順にしたがって、材料が、弾性を考慮しない粘性モデルを用いて定義された。
実施例の粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係は、図6に示されるように、ひずみ速度が零から予め定められた閾値までの間では、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が小さくなる第1粘度領域と、ひずみ速度が閾値よりも大きい場合に、ひずみ速度が大きくなるにつれて粘度が大きくなる第2粘度領域とを有している。
図12は、比較例の粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を示すグラフである。比較例の粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係は、ひずみ速度が大きくなるにつれて、粘度が一定又は小さくなっている。
そして、実施例及び比較例の粘性モデルを、予め定められた流動条件に適応し、粘性モデルの流動状態を計算する工程が実施され、流路モデルの吐出口の幅方向の各位置において、粘性モデルの流速がそれぞれ計算された。共通仕様は、次のとおりであり、流動条件等は、明細書に記載のとおりである。
材料:架橋前のゴム材料
実施例:
第1粘度領域の実数n:−0.86
第2粘度領域の実数n:0.86
閾値のひずみ速度:10(sec−1
比較例:
実数n:−0.86
図13は、粘性モデルの流速と、吐出口の幅方向の位置との関係を示すグラフである。なお、吐出口の幅方向の位置は、吐出口の高さが最も大きい一端t(図3に示す)を基準(即ち、吐出口の幅方向の距離が0)として、吐出口の幅方向の距離として特定される。
図13に示されるように、実施例は、吐出口の高さが小さくなるほど(即ち、幅方向の位置が大きくなるほど)、粘性モデルの流速が小さくなっている。これは、吐出口の高さ(断面積)が減少する部分において、粘性モデルのひずみ速度の増加によって、粘性モデルの力(粘度)が大きくなり、流速が低下したことによる。これは、粘弾性を有する実際の材料の流速の傾向に近似する。
一方、比較例は、吐出口の高さが小さくなるほど(即ち、幅方向の位置が大きくなるほど)、粘性モデルの流速が大きくなっている。これは、これは、吐出口の高さ(断面積)が減少する部分において、粘性モデルのひずみ速度の増加により、粘性モデルの力(粘度)が小さくなり、流速が増加したことによる。これは、粘弾性を有する実際の材料の流速の傾向と乖離する。
従って、実施例は、弾性を考慮しない粘性モデルを用いていても、比較例に比べて、粘弾性を有する材料の流れを、高い精度で計算することができた。
10 粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係
11 第1粘度領域
12 第2粘度領域

Claims (5)

  1. コンピュータを用いて、粘弾性を有する材料の流れを計算するためのシミュレーション方法であって、
    前記コンピュータに、前記材料を、弾性を考慮しない粘性モデルを用いて定義する工程と、
    前記粘性モデルを予め定められた流動条件に適応し、前記粘性モデルの流動状態を計算する工程とを含み、
    前記粘性モデルを定義する工程は、前記粘性モデルの粘度とひずみ速度との関係を定義する工程を含み、
    前記関係が、前記ひずみ速度が零から予め定められた閾値までの間では、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が一定及び/又は小さくなる第1粘度領域と、
    前記ひずみ速度が前記閾値よりも大きい場合に、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が大きくなる第2粘度領域とを有する、
    粘弾性材料のシミュレーション方法。
  2. 前記関係を定義する工程は、前記材料に対して、ひずみ速度を零から徐々に大きくして測定された複数の粘度の値に基づいて、前記関係を特定する、請求項1記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  3. 前記関係を定義する工程は、前記材料の伸長粘度を測定する工程を含む、請求項2記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  4. 前記関係を定義する工程は、前記粘度の測定結果のうち、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が小さくなる部分に近似させた第1近似直線と、前記ひずみ速度が大きくなるにつれて前記粘度が大きくなる部分に近似させた第2近似直線との交点での前記ひずみ速度を、前記閾値として定義する、請求項2又は3記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
  5. 前記第1近似直線及び前記第2近似直線は、下記式(1)で定義される、請求項4記載の粘弾性材料のシミュレーション方法。
    Figure 2019089229
    ここで、
    η:材料の粘度
    γ:材料のひずみ速度
    n:0より大きい実数
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