JP6730867B2 - 内燃エンジンによって駆動される刈払機 - Google Patents

内燃エンジンによって駆動される刈払機 Download PDF

Info

Publication number
JP6730867B2
JP6730867B2 JP2016139786A JP2016139786A JP6730867B2 JP 6730867 B2 JP6730867 B2 JP 6730867B2 JP 2016139786 A JP2016139786 A JP 2016139786A JP 2016139786 A JP2016139786 A JP 2016139786A JP 6730867 B2 JP6730867 B2 JP 6730867B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
control
ignition timing
throttle valve
brush cutter
throttle
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016139786A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018009538A (ja
Inventor
邦淑 衞藤
邦淑 衞藤
寿人 小野寺
寿人 小野寺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamabiko Corp
Original Assignee
Yamabiko Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamabiko Corp filed Critical Yamabiko Corp
Priority to JP2016139786A priority Critical patent/JP6730867B2/ja
Publication of JP2018009538A publication Critical patent/JP2018009538A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6730867B2 publication Critical patent/JP6730867B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

Landscapes

  • Harvester Elements (AREA)
  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は、内燃エンジンによって駆動される刈払機に関する。
刈払機は携帯式作業機の一つであり、動力伝達シャフトの一端に連結された駆動源つまりエンジン又は電動モータと、シャフトの他端に連結された作業部とを有し、また、動力伝達シャフトを包囲する操作管を横断するハンドルを有する(特許文献1)。作業部は、特許文献1の刈払機では回転する金属製の刈り刃(cutting blade)が図示されているが、これに限定されない。刈り刃は、合成樹脂製コード(「ナイロンコード」と呼ばれている。)であってもよい。また、特許文献2の刈払機は、ヘッジトリマーのように往復動作する刈り刃を備えているが、この往復動する刈り刃で刈払機の作業部を構成してもよい。
エンジン式刈払機には、一般的に、単気筒の2ストロークエンジンが搭載されている。エンジンに対する燃料供給機構は気化器であってもよいし、気化器に代えて電磁式の燃料噴射弁であってもよい(特許文献3)。エンジン出力軸と動力伝達シャフトとの間には遠心クラッチが介装され、エンジン回転数が所定の回転数以上になると遠心クラッチが締結状態となって、エンジン出力が動力伝達シャフトに伝達される。作業者は両手でハンドルを把持し、そして、腕を左右に振って作業部(刈り刃)を左右に移動させることで作業を進めることができる。そして、ハンドルに配設されたスロットルレバーを作業者が操作することによりエンジン出力を制御することができる。
すなわち、エンジン式刈払機は、その吸気系にスロットルバルブを有し、このスロットルバルブが上記スロットルレバーと連係されている。作業者がスロットルレバーを引き絞ることでスロットルバルブを開いてエンジン出力を高めることができる。逆に、作業者がスロットルレバーを解放すると、スロットルバルブが全閉状態(アイドル状態)になり、エンジン出力は小さくなる。
特許文献1は、エンジン式刈払機のエンジン(点火プラグ)に供給する高電圧を発生する機構を詳しく開示し、また、エンジン回転数センサを詳しく開示している。
刈払機は、エンジンの燃焼状態の変動に起因する不快な振動を緩和するための手段として振動吸収装置が好ましくは搭載される(特許文献4〜6)。しかし、例えば特に減速時、作業部が慣性によって動作を継続する傾向にあるために、駆動部は直ぐに減速に入らず、減速に要する時間が長くなる。
特開2011−190732号公報 US 6,735,873 B2 特開2013−119861号公報 特開2005−168339号公報 特開2009−261340号公報 WO2011/048697(PCT/JP2009/068264)
エンジン式刈払機は、燃焼状態が不安定になる減速時に振動が発生し易いという問題がある。すなわち、減速時には、各サイクルでの燃焼が不安定になる。このことから、例えば、引き絞ったスロットルレバーを解放したとき、つまりスロットルバルブが全開状態(フルスロットル)から全閉状態(アイドル状態)に大きく変位したしたとき、エンジンはアイドル運転状態に向けて減速することになるが、アイドル運転に向かう過渡的な減速の過程で、間欠的な着火に伴う突発的な且つ比較的大きな振動が発生し易い。
作業者は、作業を行うための所望の定常エンジン回転数になるようにスロットルレバーの引き絞りの度合いを加減する。すなわち、所望のエンジン回転数を実現することを目的として、それに相応しいスロットルレバーの引き絞り加減を調整する。この調整の最中、エンジン回転数が低すぎれば、作業者はスロットルレバーを若干引き絞る。逆に、エンジン回転数が高過ぎれば、作業者はスロットルレバーを引き絞る力を多少緩める。この微調整の過程において、エンジン回転数は高くなったり低くなったりする。この定常運転での減速過程においても、突発的な且つ比較的大きな振動が発生することがある。
なお、刈払機は、スロットルバルブを半開きにしたパーシャル運転で作業することが少なからず有る。すなわち、刈払機は、常にフルスロットルで作業するわけではなく、パーシャル運転で作業することが多々ある。
刈払機は、作業部(刈り刃)の回転慣性が大きいことから、減速時では作業部の慣性に伴う回転力が動力伝達シャフトの下流端に伝わることに伴ってエンジン回転数の低下が遅延する。すなわち、刈払機は、エンジン回転数の低下が比較的に緩慢であり、減速に要する時間が、慣性力の小さい例えばチェーンソーのような作業機に比べて比較的長い。
減速時にはエンジンの燃焼状態が不安定になるが、不安定な燃焼状態によって発生する振動はハンドルを通じて作業者に伝わるため、作業者にとって不快である。また、特許文献4〜6に開示の振動吸収装置を搭載した刈払機であっても、減速時に、この振動吸収装置で振動を吸収できない場合がある。
本発明の目的は、内燃エンジンによって駆動される刈払機を前提として、減速時にエンジンの燃焼状態に起因した振動の発生を抑制することのできる刈払機を提供することにある。
上記の技術的課題は、本発明によれば、
出力制御弁であるスロットルバルブと、
点火プラグを備えた内燃エンジンと、
該内燃エンジンの出力を制御するために前記スロットルバルブと機械的に連結され、作業者によって操作可能なスロットルレバーと、
該内燃エンジンの出力軸に一端が連結された動力伝達シャフトと、
該動力伝達シャフトの他端に連結された刈り刃と、
前記スロットルバルブ又は前記スロットルレバーに関連して位置決めされ、前記スロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサと、
該スロットルポジションセンサからの信号に基づいて前記内燃エンジンが減速状態にあることを検出したときに前記内燃エンジンを失火させる失火制御手段と、
前記内燃エンジンの回転数が所定の復帰回転数に達したとみなせるときに前記失火制御を止めて通常の点火時期制御を再開する点火再開制御手段とを有し、
前記復帰回転数が、前記失火制御を止めて通常の点火時期制御に切り替えた際に振動を発生しない無振動領域内に設定されている刈払機を提供することにより達成される。
本発明にいう「失火制御」の具体例として、(1)点火プラグへの高電圧の印加を停止する制御、(2)点火時期を大きく遅角させる制御を挙げることができる。また、「点火再開制御手段」において、失火制御開始から所定時間又はエンジン出力軸の所定の回転数に基づいて、前記内燃エンジンの回転数が所定の復帰回転数に達したとみなすことができる。勿論、エンジン回転数センサを用意し、このエンジン回転数センサが検出したエンジン回転数によって、前記内燃エンジンの回転数が所定の復帰回転数に達したとみなしてもよい。
本発明の作用効果及び他の目的は、以下の実施例の詳しい説明から明らかになろう。
実施例の刈払機の斜視図である。 実施例に含まれるエンジンと動力伝達シャフトとの連結部分の断面図であり、該連結部に振動吸収装置が存在してることを説明するための図である。 実施例の刈払機の電子制御装置の全体概要を示すブロック図である。 スロットルバルブの閉じ方向の変化量が大きく且つその変化が急速であるときに発生し易い振動に関連した図であり、減速過程で突発的な振動が発生する領域及びエンジンの点火を再開した際の振動が発生しない領域を説明するための図である。 典型例としてスロットルバルブが全開状態から全閉状態まで急速に変化したときに発生し易い振動を防止するのに好適な第1の制御例を説明するためのフローチャートである。 図5の第1制御例の変形例である第2制御例を説明するためのフローチャートである。 所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルバルブの開度を微調整したときに発生し易い振動を防止するのに好適な第3の制御例を説明するためのフローチャートである。 隣接する第1、第2のしきい値を使って減速状態を検出することを説明するための説明図である。 所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルバルブの開度を微調整したときに発生し易い振動を防止するのに好適な第4の制御例を説明するためのフローチャートである。 所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルバルブの開度を微調整したときに発生し易い振動を防止するのに好適な第5の制御例を説明するためのフローチャートである。 所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルバルブの開度を微調整したときに発生し易い振動を防止するのに好適な第6の制御例を説明するためのフローチャートである。 所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルバルブの開度を微調整したときに発生し易い振動を防止するのに好適な第7の制御例を説明するためのフローチャートである。 実施例の刈払機に採用可能な定常運転時の制御に用いられる点火時期制御マップの第1の例を説明するための図である。 実施例の刈払機に採用可能な定常運転時の制御に用いられる点火時期制御マップの第2の例を説明するための図である。 従来の刈払機においてパーシャル運転時に発生する振動の状態を示すグラフである。ここに、縦軸がエンジン回転数である。 従来の刈払機においてパーシャル運転時に発生する振動の状態を示すグラフである。ここに、縦軸が振動値である。 定常運転状態におけるマップ切替の点火時期制御を説明するためのフローチャートである。
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
図1は、本発明を適用した携帯型刈払機100を示す。刈払機100は、駆動部2と、作業部を構成する刈り刃(cutting blade)4と、駆動部2と刈り刃4とを連結する動力伝達シャフト6とを有する。動力伝達シャフト6は、その一端が駆動部2に連結され、他端が刈り刃4に連結されている。
駆動部2は、典型的には2サイクル内燃エンジン8、燃料タンク10などを含み、更にエンジン制御のためのマイクロコンピュータ12(図3)を含んでいる。マイクロコンピュータ12は、エンジン8の点火プラグ54(図3)の点火時期などを制御する。
図1に戻って、動力伝達シャフト6は操作管14によって包囲されている。操作管14にはハンドル16が脱着可能に取り付けられている。ハンドル16は操作管14を横断して延び、左右の端部に夫々グリップ18が取り付けられている。すなわち、ハンドル16は右グリップ18Rと左グリップ18Lとを有し、作業者は、左右の手で各グリップ18R、18Lを把持して刈払機100を操作する。
右グリップ18Rには、エンジン出力をマニュアルで制御するためのスロットルレバー20が取り付けられている。スロットルレバー20は、周知のように、スロットルバルブと、典型的にはワイヤによって機械的に連係されている。作業者が、操作部であるスロットルレバー20を操作することによりスロットルバルブの開度を制御することができる。その結果、エンジン8の出力を制御することができる。
エンジン8と動力伝達シャフト6との連結部分の詳細を図2に示す。図2において、参照符号8aはエンジン8の出力軸(クランクシャフト)を示す。出力軸8aは遠心クラッチ30、振動吸収装置32を介して動力伝達シャフト6に連結されている。振動吸収装置32は捻りコイルバネ34を有し、この捻りコイルバネ34によって振動の吸収が行われる。図2に図示の振動吸収装置32は、特許文献5(特開2009−261340号公報)に詳細に説明されていることから、その詳しい説明を省略する。振動吸収装置32は、特許文献4に開示の構成を有していてもよいし、特許文献6に開示の構成を有してもよい。振動吸収装置32は必ずしも必須ではない。刈払機100から振動吸収装置32を省いて、遠心クラッチ30と動力伝達シャフト6とを直結させてもよい。
図1、図2を参照して説明した刈払機100の上記の構成は従来から知られている。この全体概要は特許文献1及び2に記載されていることから、その詳しい説明は省略する。
図3は、刈払機100の電子制御装置40の全体概要を示す。電子制御装置40は、前述したマイクロコンピュータ12を含む制御ユニット42を有する。制御ユニット42によって点火時期制御が実行される。
制御ユニット42には、エンジン回転数センサ44からの信号が入力される。エンジン回転数センサ44はエンジン8の回転数を検出する機能を有している。制御ユニット42には、また、スロットルバルブの開度に関連するスロットルポジションセンサ46からの信号が入力される。スロットルポジションセンサ46はスロットルバルブの開度に関する信号を出力する。
スロットルポジションセンサ46の具体例として、(1)スロットルバルブが全開状態にあることを検出してON又はOFF信号を出力する全開(WOT)検出スイッチ、(2)スロットルバルブがアイドル位置(全閉状態)にあることを検出してON又はOFF信号を出力するアイドル検出スイッチ、(3)スロットルバルブが所定の半開き状態にあることを検出して、ON又はOFF信号を出力するパーシャル(POT)検出スイッチ、(4)全閉から全開までスロットルバルブの開度をリニアに検出するスロットル開度リニアセンサを例示的に挙げることができる。
上記(1)の全開(WOT)検出スイッチ、(2)のアイドル検出スイッチ、(3)パーシャル(POT)検出スイッチは、所定の条件の下で出力が反転するデバイスであり、典型的には、スロットルレバー20又はスロットルバルブの軸の近傍に配置される。作業者がスロットルレバー20をフルに引き絞ったときに全開(WOT)検出スイッチがON信号を出力する。作業者がスロットルレバー20を解放したときにアイドル検出スイッチがON信号を出力する。作業者がスロットルレバー20を所定の引き絞り位置まで引き絞るとパーシャル(POT)検出スイッチがON信号を出力する。
上記(4)のスロットル開度リニアセンサは例えばスロットルバルブの軸やハンドル16又はその中継部分に配置され、スロットルバルブの全閉位置(アイドル位置)から全開位置(フルスロットル位置)まで、その開度をリニアに検出する。
スロットルポジションセンサ46として、例えばスロットル開度リニアセンサを採用したときには、上記の全開(WOT)検出スイッチ、パーシャル(POT)検出スイッチ、アイドル検出スイッチを省くことができる。
第1の制御例(図4、図5)
図4は、従来の刈払機において、フルスロットル(全開位置)から全閉(アイドル位置)までスロットルバルブの開度を素早く且つ大きく変化させたときに発生し易い突発的な且つ比較的大きな振動を説明するための図である。スロットルバルブが閉じ方向に変化すると、エンジン回転数は低下する。エンジン回転数が低下する過程において、5,000rpmよりも少し高い回転数までの第1領域60では、突発的な且つ比較的大きな振動が発生している。5,000rpmという数値は、単なる例示である。機種によってバラツキがあるのは勿論である。減速過程で突発的な且つ比較的大きな振動が発生するのは、減速中のエンジン8の燃焼状態が不安定になるからと考えられる。
具体的に言えば、減速過程は、燃焼室で殆ど爆発が発生しないサイクルの中に、時々、燃焼室で爆発が生じるサイクルが混在するからであると考えられる。そして、これが突発的な振動の原因であると考えられる。
したがって、この第1領域60においては燃焼室で爆発を発生させない制御を加えれば上述した突発的な且つ比較的大きな振動の原因を根本から無くすることができる。すなわち、減速過程において、第1領域60では、燃焼室で爆発を発生させない制御を実行することで突発的な且つ比較的大きな振動の発生を根本的に防止できる。燃焼室で爆発を発生させない制御を「失火制御」と呼ぶと、失火制御として、(1)点火プラグへの高電圧の印加を停止する制御、(2)点火時期を大きく遅角させる制御を挙げることができる。
減速過程で失火制御を実行したら、その後、失火制御を止めて通常の点火時期制御に復帰させる必要がある。しかし、点火を再開する際、これに伴う振動の発生を抑制するのが望ましい。
引き続き図4を参照して、5,000rpmを含む第2領域62は、点火を再開しても振動が発生しないことを実験により発見した。この第2領域62を「無振動領域」と呼ぶ。すなわち、具体的には、この無振動領域62のエンジン回転数は4,500rpm〜5,500rpmである。失火制御を止めて通常の点火時期に切り替える好ましいタイミングをエンジン回転数で規定すると、失火制御の停止後、通常の点火時期制御の再開が4,500rpm〜5,000rpmのエンジン回転数のときに行われるのがよい。この4,500rpm〜5,000rpmは、遠心クラッチ30が締結するエンジン回転数(3,500rpm)よりも高い。すなわち、通常の点火時期制御への復帰タイミングは、遠心クラッチ30のクラッチinのエンジン回転数よりも高いエンジン回転数に設定されるのがよい。無振動領域62では、失火制御から通常の点火時期制御へ切り替えても、この制御切替に際して振動が発生しないが、これよりも下の第3領域64では、復帰に伴う振動を発生した。この復帰振動発生領域64は、遠心クラッチ30(図2)が締結される3,500rpmを含み、更にアイドル回転数である2,500rpmまでの領域が該当した。
すなわち、減速過程において、4,500rpmよりも低い回転数の領域で、点火を再開する(通常の点火時期制御に戻す)際に、これに伴う振動の発生がみられた。この事実に基づいて、減速過程において、失火制御を止めて通常の点火時期制御に復帰するタイミングは上述した無振動領域62つまり5,000rpmを含むその近傍領域に設定するのがよい。この無振動領域62内に「復帰回転数」を設定して、この復帰回転数に達したら、失火制御を止めて通常の点火時期制御を再開させることで、この点火の復帰に伴う振動の発生を抑制できる。
図5は第1の制御例のフローチャートである。第1の制御例を実施するためにアイドル検出スイッチが用意される。スロットルレバー20を解放してスロットルバルブが全閉位置つまりアイドル位置に位置するとアイドル検出スイッチがON状態になる。図5のフローチャートを参照して、ステップS1でアイドル検出スイッチがONであるか否かの判定が行われる。ステップS1でYesであれば、作業者がスロットルレバー20を解放したためスロットルバルブが全閉位置まで変位したと判断して、ステップS2に進み、エンジン回転数が「復帰回転数」以下であるか否かの判定が行われる。ステップS1でNoであれば、ステップS4に進んで通常の点火時期制御が実行される。
ここに、「復帰回転数」は、点火を再開しても振動が発生しない無振動領域62(図4)の任意のエンジン回転数が設定される。具体的には、この実施例では5,000rpmが「復帰回転数」として設定されている。
ステップS2において、現在のエンジン回転数が「復帰回転数」よりも大きいときには、NoということでステップS3に進んで失火制御が実行される。失火制御とは、上述したように(1)点火プラグへの高電圧の印加を停止する制御、(2)点火時期を大きく遅角させる制御を例示的に挙げることができる。失火制御を実行することで、エンジン燃焼室での燃焼及び爆発を実質的に阻止することができる。
ステップS2において、現在のエンジン回転数が「復帰回転数」以下と判断されると、ステップS4に進んで、失火制御を止めて通常の点火時期制御に切り替えられる。
上記第1の制御例は、スロットルバルブが閉じ方向に急速に変位し且つその変化量が比較的大きいとき、典型的には、スロットルバルブが全開位置から全閉位置に急速に変位したときに発生し易い突発的な且つ比較的大きな振動を防止するのに効果的である。
第2の制御例(図6)
図6の第2の制御例は上記の第1の制御例(図5)の変形例でもある。したがって、上記の第1の制御例と同じステップには同じ参照符号を付して、その説明を省略する。
S2において、現在のエンジン回転数が「復帰回転数」以下になるとステップS4に進んで、失火制御を止めて通常の点火時期制御に切り替えられるのは、上記第1制御例(図5)と同じである。しかし、この第2の制御例では、失火制御を止めて通常の点火時期制御に戻す前に、ステップS5で、いま、失火制御から復帰させるサイクルであるか否かを判断して、Yesつまり失火制御から復帰させるサイクルであるときには、ステップS6に進んで、通常の点火時期制御に戻す前のn回のサイクルの間は、遅角制御が実行される。すなわち、通常の点火時期から所定角度遅角させた点火時期が設定され、この遅角した点火時期に基づいて点火される。この遅角制御は、通常の点火時期での点火による燃焼状態よりも不安定性を大きくすることを目的としている。
上記したようにステップS6において、失火制御から通常の点火時期制御に戻す直前に、この通常の点火時期制御の点火時期を所定角度遅角させた点火時期が設定される。通常の点火時期制御での点火よりも、遅角した点火時期で点火したときの方が燃焼状態が不安定になるためエンジン出力の復活が緩慢になる。つまり、比較的燃焼し難い点火時期に基づいて点火をn回実行させ、その後で通常の点火時期制御に復帰させる。
これにより、例えば、第2領域62よりも下の第3領域64に隣接又は第3領域64に入り込んだエンジン回転数を「復帰回転数」として設定することが可能となる。換言すれば、図4において矢印Aで示すように、第2領域つまり無振動領域62を実質的に下方(エンジン回転数が小さくなる方向)に拡大することができる。
第3の制御例(図7)
パーシャル運転において、所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルレバー20の握り加減を微調整することが多々ある。所望のエンジン回転数よりも高くなればスロットルレバー20の握りを緩めてスロットルバルブを閉じ方向に変位させる。逆に、所望のエンジン回転数よりも低くなればスロットルレバー20の握りを強めてスロットルバルブを開き方向に変位させる。これを繰り返すことで、所望のエンジン回転数を実現する。この操作を行っている最中に振動が発生し易い。具体的には、スロットルレバー20の握り加減を緩めたとき、つまりスロットルバルブが閉じ方向に多少変位するときに振動が発生し易い。この振動も突発的であり且つ比較的大きい。この振動の発生を抑制するのにこの第3の制御例は好適である。第3の制御例を図7のフローチャートに基づいて説明する。
図7のフローチャートに従う減速時の振動発生防止制御において、最も好ましくは、スロットルポジションセンサ46として、スロットル開度リニアセンサを採用するのがよい。すなわち、スロットルバルブの開度をリニアに検出可能なセンサを使って振動発生防止制御を実行するのがよい。
図7を参照して、ステップS11でスロットルバルブが閉じ方向に変化していること検出すると、ステップS12に進んでスロットルバルブの開度がしきい値つまり所定の開度を通過したか否かの判定が行われる。スロットルバルブの開度が所定の開度よりも大きいときには、ステップS13に進んで、通常の点火時期制御が行われる。上記ステップS12において、スロットルバルブの開度がしきい値を通過して、しきい値よりも小さな開度に変化したら、ステップS14でしきい値通過をリセットした後にステップS15に進んで、失火制御が実行される。この失火制御は、第1制御例(図5)で説明したとおり、エンジン燃焼室での着火を実質的に阻止することを目的としている。
次のステップS16において、エンジン回転数センサ44が検出した現在のエンジン回転数が、前述した「復帰回転数」以上であるか否かの判定が行われる。ステップS16において「No」と判断されたら、エンジン回転数が復帰回転数よりも低いということで、ステップS17に進んで通常の点火時期制御に復帰される。すなわち、それまでの失火制御を停止して、その代わりに通常の点火時期制御が実行される。これによりエンジン燃焼室での燃焼及び爆発が再開されることになる。この燃焼・爆発の再開が前述した領域62(図4)で行われるため、点火の再開に伴う振動は殆ど無い。
上記ステップS16において、エンジン回転数センサ44が検出した現在のエンジン回転数が、所定の復帰回転数以上であると判定されたときには、ステップS18に進んで、スロットルバルブの開度が増加したか否かの判定が行われる。すなわち、作業者がスロットルレバーを引き絞る操作(エンジン出力を高める操作)を行ったか否かの判定が行われる。ステップS18において「No」の場合には、ステップS15に戻って失火制御が継続される。逆に、ステップS18において「Yes」の場合には、作業者がエンジン出力を高めることを求めている可能性があると判断して、ステップS19に進む。
ステップS19では、スロットルバルブの開度変化つまりスロットルバルブの開度が大きくなる方向の変化量が所定値よりも大きいときには、作業者がエンジン出力を高めることを求めていると判断して、ステップS17に進んで、エンジン燃焼室での燃焼及び爆発を実行する。すなわち、それまでの失火制御から通常の点火時期制御に切り替わる(点火再開)。上記ステップS19において、スロットルバルブの開度変化が僅かなときには、作業者がエンジン出力を高めることを求めていない、と判断してステップS20に進んで失火制御が継続される。この失火制御は、前述した「復帰回転数」に達するまで継続される(S21)。
この第3の制御例の変形例として、ステップS17で、失火制御から通常の点火時期制御に戻す前に、図6の遅角制御(S6)を加えてもよい。
第4の制御例(図8、図9)
この第4の制御例は、上記の第3の制御例(図7)と同様に、所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルレバー20の握り加減(スロットルバルブの開度)を微調整するときに発生し易い振動を防止するのに好適である。
図8を参照して第4の制御例の概要を説明すると、典型例として、作業者がスロットルレバー20を引き絞る力を緩めると、スロットルバルブは閉じ方向に変位する。これに伴いエンジン8は減速状態になる(エンジン回転数が低下する)。スロットルバルブが半開き状態において2つの隣接した開度が「第1しきい値A」、「第2しきい値B」として設定されている。第1しきい値Aのバルブ開度は第2しきい値Bのバルブ開度よりも大きい(第1しきい値A>第2しきい値B)。したがって、時間の経過のなかで、スロットルバルブの開度が第1しきい値Aよりも小さくなり、次いで第2しきい値Bよりも小さくなったことを検出することで、今現在、エンジンは減速過程にあることを知ることができる。
スロットルバルブの開度が第2しきい値Bよりも小さくなると、上述した失火制御が実行される。失火制御の解除つまり通常の点火時期制御を再開するタイミングは、この第4の制御例(図9)では、エンジン出力軸8aの回転回数Nをカウントアップすることにより規定される。失火制御を開始してからエンジン出力軸8aが30回、回転したら失火制御を止めて通常の点火時期制御が再開される(点火再開)。この30回という回数は、時間で言えば約1秒未満であり、この制御の実行を作業者が気付く前に点火が再開される。
エンジン減速中に行われる失火制御、これに続いて通常の点火時期制御の開始において、通常の点火時期制御を開始するときのエンジン回転数(復帰回転数)は、図4を参照して上述した無振動領域62(図4)の範囲内であるのが好ましい。この目的の下で、点火再開までの間においてエンジン出力軸8aの回転回数N(上記の例では30回)は任意に設定変更可能であるのがよい。また、失火制御の解除つまり通常の点火時期制御を再開するタイミングを、上記出力軸8aの回転回数Nの代わりに、時間によって規定してもよい。すなわち、失火制御開始から所定時間が経過したら、失火制御を止めて通常の点火時期制御を開始するようにしてもよい。この所定時間は任意に設定変更可能であるのがよい。
すなわち、この第4の制御例においても、失火制御を止めて通常の点火時期制御を再開するときのエンジン回転数は、前述した無振動領域62(約5,00rpm:図4)に含まれる値であるのが好ましい。
図9のフローチャートに基づいて第4の制御例を説明する。この第4の制御例では、スロットルポジションセンサ46として2つのパーシャル(POT)検出スイッチが用意される。すなわち、第1パーシャル(POT)検出スイッチの出力信号の反転によってスロットルバルブの開度が第1しきい値Aであることが検出され、また、第2パーシャル(POT)検出スイッチの出力信号の反転によってスロットルバルブの開度が第2しきい値Bであることが検出される。勿論、スロットルポジションセンサ46としてスロットル開度リニアセンサを採用することで、上記第1、第2のパーシャル(POT)検出スイッチを省くことができる。
図9のステップS31では、スロットルバルブの開度が第1しきい値Aを通過したか否かが判別され、Yesであれば、スロットルバルブの開度が第1しきい値Aを通過したとしてステップS32に進む。ステップS32では、スロットルバルブの開度が第2しきい値Bを通過したか否かが判別され、Noであれば、減速中ではないとしてステップS33に進んで、通常の点火時期制御が実行される。
上記ステップS32においてYesであれば、減速中であると判断してステップS34で第1しきい値A、第2しきい値Bの通過をリセットした後にステップS35に進んで「失火制御」が実行される。この失火制御は前述したように混合気を実質的に燃焼させないことを目的としている。次のステップS36において、失火制御開始からのエンジン出力軸8aの回転回数がN回よりも少ないか否かの判定が行われる。このN回は、失火制御が実行される期間を規定するものであり、例えば30回が設定される。
失火制御を実行中にスロットルバルブの開度変化(スロットルバルブの開度が大きくなる方向)があって、スロットルバルブの開度変化が第2しきい値Bを通過しても第1しきい値Aを通過しない限り、ステップS38からステップS39に進む。そして、ステップS39において失火制御が実行され、次のステップS40において失火制御を開始してから累積したエンジン出力軸8aの回転回数がN回よりも少ないか否かの判定が行われる。このエンジン出力軸8aの累積回転回数がN回に達したらステップS41に進んで失火制御を止めて通常の点火時期制御が再開される(点火再開)。
減速過程の最中にスロットルレバー20が操作されたときを説明する。スロットルバルブの開度が第2しきい値Bを通過して、この第2しきい値Bよりも大きくなったとしても、第1しきい値Aを通過しない限り、ステップS39に進んで失火制御が実行されるのは上述した通りである。スロットルバルブの開度が第2しきい値Bを通過し、また、第1しきい値Aを通過したときには、作業者はエンジン出力アップを要求しているとして、ステップS41に進んで通常の点火時期制御が実行される。そして、ステップS42において、第1、第2しきい値A、Bの通過がリセットされる。
この第4の制御例の変形例として、ステップS41で、失火制御から通常の点火時期制御に戻す前に、図6の遅角制御(S6)を加えてもよい。
第5の制御例(図10)
この第5の制御例は、上記の第3の制御例(図7)及び第4の制御例(図9)と同様に、所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルレバー20の握り加減を微調整するときに発生し易い振動を防止するのに好適である。この第5の制御例は、また、第4の制御例(図9)の変形例でもある。この第5の制御例では、スロットルポジションセンサ46としてスロットル開度リニアセンサを採用して、スロットルバルブの開度がリニアに検出される。
図10のステップS51では、スロットルバルブの開度が小さくなっている最中であるか否かが判定され、Yesであれば減速中であるとしてステップS52に進む。ステップS52では、スロットルバルブの開度がしきい値を通過したか否かが判別され、NoであればステップS53に進んで通常の点火時期制御が実行される。
上記ステップS52においてYesであれば、スロットルバルブの開度がしきい値を通過したと判断してステップS54でしきい値の通過をリセットした後にステップS55に進んで失火制御が実行される。次のステップS56において、失火制御開始からのエンジン出力軸8aの回転回数がN回よりも少ないか否かの判定が行われる。このN回は、失火制御が実行される期間を規定するものであり、例えば30回が設定される。
失火制御を実行中にスロットルバルブの開度が大きくなる方向の変化があるか否かの判定が行われる(S57)。スロットルバルブの開度が大きくなる変化が無い限りステップS55の失火制御が継続される。そして、失火制御開始からのエンジン出力軸8aの回転回数が所定のN回(例えば30回)に達したらステップS61に進んで失火制御を中止し、通常の点火時期制御が再開される(点火再開)。この点火時期制御を再開するときのエンジン回転数が無振動領域62(図4)に属する回転数、例えば5,000rpmとなるように上記所定のN回の値を設定するのが望ましい。これにより、エンジン運転再開に伴う振動の発生を抑制することができる。
減速過程の最中にスロットルレバー20が操作されたときを説明する。失火制御中、スロットルバルブの開度が大きくなる変化があったときにはステップS58でその開度変化が一定値以上であれば、作業者はエンジン出力アップを求めていると判断してステップS61に進んで通常の点火時期制御を再開する。他方、ステップS58で、スロットルバルブの開度が増加する変化が所定値よりも小さいときには、作業者はエンジン出力のアップを求めるものではないと判断して、ステップS59に進んで失火制御が実行される。そして、次のステップS60において失火制御を開始してから累積したエンジン出力軸8aの回転回数がN回よりも少ないか否かの判定が行われる。このエンジン出力軸8aの累積した回転回数がN回に達したらステップS61に進んで失火制御を止めて通常の点火時期制御が再開される。
この第5の制御例の変形例として、ステップS61で、失火制御から通常の点火時期制御に戻す前に、図6の遅角制御(S6)を加えてもよい。
第6の制御例(図11)
この第6の制御例は、上記第4の制御例(図9)の別の変形例である。この第6の制御例では、スロットルポジションセンサ46として2つのパーシャル(POT)検出スイッチを用意するのがよい。すなわち、第1パーシャル(POT)検出スイッチの出力信号の反転によってスロットルバルブの開度が第1しきい値Aであることが検出され、また、第2パーシャル(POT)検出スイッチの出力信号の反転によってスロットルバルブの開度が第2しきい値Bであることが検出される。
図11において、ステップS71では、スロットルバルブの開度が第1しきい値Aを通過したか否かが判別され、Yesであれば、スロットルバルブの開度が第1しきい値Aを通過したとしてステップS72に進む。ステップS72では、スロットルバルブの開度が第2しきい値Bを通過したか否かが判別され、Noであれば、減速中ではないとしてステップS73に進んで、通常の点火時期制御が実行される。
上記ステップS72においてYesであれば、減速中であると判断してステップS74で第1しきい値A、第2しきい値Bの通過をリセットした後にステップS75に進んで失火制御が実行される。次のステップS76において、エンジン回転数センサ44が検出した現在のエンジン回転数が所定の「復帰回転数」以上であるか否かの判定が行われる。「復帰回転数」は、前述したように、失火制御から通常の点火時期制御に切り替えた際に、点火の再開に伴う振動が殆ど無い無振動領域62(図4)に設定される(典型的には5,000rpm)。
低下するエンジン回転数が復帰回転数に達するまで上記失火制御が継続される(S77、S75)。現在のエンジン回転数が復帰回転数に達するとステップS81に進んで、失火制御から通常の点火時期制御に切替えられる(点火再開)。
失火制御を実行中にスロットルバルブの開度変化(スロットルバルブの開度が大きくなる方向)があって、スロットルバルブの開度変化が第2しきい値Bを通過しても第1しきい値Aを通過しない限り、ステップS78からステップS79に進む。そして、ステップS79において失火制御が実行され、次のステップS80においてエンジン回転数が所定の「復帰回転数」以上であるか否かの判定が行われる。エンジン回転数が復帰回転数に達するとステップS81に進んで、失火制御から通常の点火時期制御に切替えられる。
この第6の制御例の変形例として、ステップS81で、失火制御から通常の点火時期制御に戻す前に、図6の遅角制御(S6)を加えてもよい。
減速過程の最中にスロットルレバー20が操作されたときを説明する。スロットルバルブの開度が第2しきい値Bを通過して、この第2しきい値Bよりも大きくなったとしても、第1しきい値Aを通過しない限り、ステップS79に進んで失火制御が実行されるのは上述した通りである。スロットルバルブの開度が第2しきい値Bを通過し、また、第1しきい値Aを通過したときには、作業者はエンジン出力アップを要求しているとして、ステップS81に進んで通常の点火時期制御が実行される。そして、ステップS82において、第1、第2しきい値A、Bの通過がリセットされる。
第7の制御例(図12)
この第7の制御例は、所望のエンジン回転数を実現するためにスロットルバルブの開度を微調整したときに発生し易い振動を防止するのに好適であり、この第7の制御例を実施するために一つのパーシャル(POT)検出スイッチが用意される。図12において、ステップS91でPOT検出スイッチがONであるか否かが判定される。ステップS91でYesと判定されると、エンジン8は減速状態にあると判定して、ステップS92で、エンジン回転数センサ44が検出した現在のエンジン回転数が所定値、例えば6,000rpm以上であるか否かが判別される。このステップS92でYes(6,000rpm以上)と判定されると、次のステップS93に進んで所定期間、失火制御が実行される。ここに、所定期間は、失火制御の開始から所定の時間で規定してもよいし、失火制御の開始からカウントアップしたときのエンジン出力軸8aの回転回数(例えば10回)であってもよい。この所定期間は任意に変更できるのがよい。
上記ステップS93で失火制御を所定の期間、実行した後、ステップS94で失火制御から通常の点火時期制御に切り替えられる。そして、次のステップS95において、エンジン回転数センサ44が検出した現在のエンジン回転数が所定値(例えば6,000rpm)以上であるか否かの判定が行われる。
現在のエンジン回転数が所定値以上のときには上記ステップS91に戻る。他方、現在のエンジン回転数が所定値よりも小さいときには、ステップS94に戻って通常の点火時期制御が継続される。
この第7の制御例の変形例として、ステップS94で、失火制御から通常の点火時期制御に戻す前に、図6の遅角制御(S6)を加えてもよい。
以上、スロットルバルブが閉じ方向に変位してエンジン8が減速状態になったときに実行する失火制御及び通常の点火時期制御への復帰について、複数の制御例を説明した。複数の制御例に含まれる各ステップは、各制御例において相互に置換可能であるのは勿論である。すなわち、上記の減速時に発生し易い振動の発生を防止するために、各制御例に含まれるステップを任意に組み合わせてもよい。
次に、本発明の実施例に付加的に加えるのが好ましい制御例を説明する。
定常運転時の振動抑制制御(図13〜図17)
図13は、定常運転時の点火時期制御マップを説明するための図である。図13の縦軸は上死点前(BTDC: Before Top Dead Center)の角度を示す。図13の破線は従来の制御マップを示す。
図13の破線の従来の点火時期制御を参照して、従来の定常運転時の点火時期制御は、例えば約3,000rpmから約8,000rpmまでエンジン回転数(rpm)が大きくなるに従って徐々に点火時期を進角する(回転数が大きくなるに従ってBTDCの値が大きくなる)特性を有している。定常運転時の、この従来の点火時期制御での問題点は、パーシャル運転時に発生する周期的な振動である。
図15、図16は、従来の刈払機においてパーシャル運転時(約7,000rpm)に発生する振動の状態を示す。図15の縦軸はエンジン回転数を示し、図16の縦軸は振動値を示す。図16の振動値のデータから、パーシャル運転状態において従来の刈払機では比較的大きな振動が発生していたことが分かる。その原因は、パーシャル運転では操作管14の共振状態が発生していると推察できる。
図13に戻って、この図13の実線及び二点鎖線は、実施例の刈払機100で採用可能な定常運転での点火時期制御マップを示す。図13の実線はスロットルバルブが全開状態(フルスロットル)の定常運転での点火時期制御マップ(全開時のWOT点火時期)を示す。図13の二点鎖線は、スロットルバルブがパーシャル状態の定常運転での点火時期制御マップ(パーシャル時のPOT点火時期)を示す。
図13から直ちに分かるように、スロットルバルブ全開(フルスロットル)の時のWOT点火時期(実線)は、低回転(3,000rpm)においてBTDC約10°からBTDC約30°に一気に進角するように設定されている。このスロットルバルブ全開定常運転でのWOT点火時期マップに基づく制御によれば、エンジンの良好な負荷応答性を実現できる。
他方、スロットルバルブが半開きであるパーシャル定常運転でのPOT点火時期マップに基づく制御(図13の二点鎖線)は、エンジン高回転である約8,000rpmにおいてBTDC約10°からBTDC約30°に一気に進角するように設定されている。
パーシャル定常運転でのPOT点火時期マップの変形例を図14に示す。図14において、スロットルバルブが半開きであるパーシャル定常運転でのPOT点火時期マップに基づく制御(図14の二点鎖線)は、約8,000rpmのBTDC約10°から約10,000rpmの約30°まで徐々に進角した点火時期が設定されている。約8,000rpmから約10,000rpmの間の個々のエンジン回転数での点火時期は実験により振動が発生しない値を設定するのがよい。
図17は定常運転状態における点火時期制御を説明するためのフローチャートである。刈払機100が定常運転状態であることを前提として、ステップS101において、スロットルポジションセンサ46によってスロットルバルブが全開状態であるか否かの判定が行われる。この実施例では、スロットルポジションセンサ46として全開(WOT)検出スイッチが採用されている。このWOTスイッチはスロットルバルブが全開のときにON信号を制御ユニット42に供給するように設計されている。ステップS101において、スロットルバルブが全開であると判定されたときには、ステップS102に進んでWOT点火時期マップ(図13の実線)が設定され、このWOT点火時期マップに基づいて点火時期の制御が実行される。WOT点火時期マップによる制御を実行することによりエンジンの負荷応答性を向上できる。
他方、ステップS101において、スロットルバルブが全開ではないと判定されたときには、パーシャル運転状態にあるとして、ステップS103に進んでPOT点火時期マップ(図13又は図14の二点鎖線)が設定され、このPOT点火時期マップに基づいて点火時期の制御が実行される。このパーシャル時のPOT点火時期マップは、振動の発生を抑制できる特性を有していることから、これによりパーシャル定常運転での振動を抑制できる。
図3を参照して、制御ユニット42はメモリ50を有し、メモリ50に上記の点火時期マップが格納されている。すなわち、図13又は図14を参照して説明した全開時のWOT点火時期マップ(実線)と、パーシャル時のPOT点火時期マップ(二点鎖線)がメモリ50に記憶されている。制御ユニット42は、定常運転時において、WOT点火時期マップ又はPOT点火時期マップに基づいて生成した点火時期の制御信号を点火回路52に供給する。点火プラグ54の点火時期制御は点火回路52によって実行される。
実施例の刈払機100の減速時の振動防止制御において、この定常運転での点火時期制御マップを切り替える制御を加えることで、刈払機100から振動吸収装置32(図2)を省くことができる。
100 実施例の刈払機
2 駆動部
4 刈り刃
6 動力伝達シャフト
8 サイクル内燃エンジン
8a エンジン出力軸
12 マイクロコンピュータ
20 スロットルレバー
30 遠心クラッチ
32 振動吸収装置
42 制御ユニット
44 エンジン回転数センサ
46 スロットルポジションセンサ
54 点火プラグ
62 無振動領域

Claims (13)

  1. 出力制御弁であるスロットルバルブと、
    点火プラグを備えた内燃エンジンと、
    該内燃エンジンの出力を制御するために前記スロットルバルブと機械的に連結され、作業者によって操作可能なスロットルレバーと、
    該内燃エンジンの出力軸に一端が連結された動力伝達シャフトと、
    該動力伝達シャフトの他端に連結された刈り刃と、
    前記スロットルバルブ又は前記スロットルレバーに関連して位置決めされ、前記スロットルバルブの開度を検出するスロットルポジションセンサと、
    該スロットルポジションセンサからの信号に基づいて前記内燃エンジンが減速状態にあることを検出したときに前記内燃エンジンを失火させる失火制御手段と、
    前記内燃エンジンの回転数が所定の復帰回転数に達したとみなせるときに前記失火制御を止めて通常の点火時期制御を再開する点火再開制御手段とを有し、
    前記復帰回転数が、前記失火制御を止めて通常の点火時期制御に切り替えた際に振動を発生しない無振動領域内に設定されている刈払機。
  2. 前記失火制御の停止後、通常の点火時期制御の再開が、4,500rpm〜5,000rpmのエンジン回転数のときに行われる、請求項1に記載の刈払機。
  3. 前記失火制御を止めて前記通常の点火時期制御を再開する直前に、該通常の点火時期を遅角させてエンジン出力の復活を緩慢にする遅角制御が実行される、請求項1又は2に記載の刈払機。
  4. 前記スロットルポジションセンサが、前記スロットルバルブの開度を全閉から全開までリニアに検出するスロットル開度リニアセンサである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の刈払機。
  5. 前記スロットルポジションセンサは、前記スロットルバルブが全開状態にあることを検出可能な全開検出スイッチである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の刈払機。
  6. 前記スロットルポジションセンサは、前記スロットルバルブが全閉状態にあることを検出可能な全閉検出スイッチである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の刈払機。
  7. 前記スロットルポジションセンサは、前記スロットルバルブが所定の半開き状態にあることを検出可能なパーシャル検出スイッチである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の刈払機。
  8. 前記スロットルポジションセンサが、第1、第2の前記パーシャル検出スイッチで構成され、
    該第1パーシャル検出スイッチが検出可能な前記スロットルバルブの開度と、前記第2パーシャル検出スイッチが検出可能な前記スロットルバルブの開度とが異なり、
    該第1、第2のパーシャル検出スイッチによって前記内燃エンジンの減速状態が検出される、請求項7に記載の刈払機。
  9. 内燃エンジンの回転数を検出するエンジン回転数センサを更に有し、
    前記点火再開制御手段は、前記エンジン回転数センサが検出したエンジン回転数が前記復帰回転数に達したときに前記失火制御を止めて通常の点火時期制御を再開する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の刈払機。
  10. 前記失火制御から前記通常の点火時期制御を再開するまでの時間を設定し、前記失火制御の開始から所定の時間が経過したら前記内燃エンジンの回転数が前記復帰回転数に達したとみなす、請求項1〜8のいずれか一項に記載の刈払機。
  11. 前記失火制御から前記通常の点火時期制御を再開するまでの間に前記エンジンの出力軸が回転した数が所定の数に達したら、前記内燃エンジンの回転数が前記復帰回転数に達したとみなす、請求項1〜8のいずれか一項に記載の刈払機。
  12. 定常運転時の点火時期が、フルスロットル運転時に設定される第1マップと、パーシャル運転時に設定される第2マップとを有し、
    前記第1マップが、エンジン低回転において一気に進角するように設定されており、
    前記第2マップが、エンジン高回転において一気に又は徐々に進角するように設定されている、請求項1〜11のいずれか一項に記載の刈払機。
  13. 前記内燃エンジンの出力軸と前記動力伝達シャフトとの間に介装された遠心クラッチを有し、
    該遠心クラッチが前記動力伝達シャフトに直結されている、請求項12に記載の刈払機。
JP2016139786A 2016-07-14 2016-07-14 内燃エンジンによって駆動される刈払機 Active JP6730867B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016139786A JP6730867B2 (ja) 2016-07-14 2016-07-14 内燃エンジンによって駆動される刈払機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016139786A JP6730867B2 (ja) 2016-07-14 2016-07-14 内燃エンジンによって駆動される刈払機

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018009538A JP2018009538A (ja) 2018-01-18
JP6730867B2 true JP6730867B2 (ja) 2020-07-29

Family

ID=60995092

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016139786A Active JP6730867B2 (ja) 2016-07-14 2016-07-14 内燃エンジンによって駆動される刈払機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6730867B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE10045598B4 (de) * 2000-09-15 2014-03-20 Andreas Stihl Ag & Co. Führungsrohr für ein handgeführtes Arbeitsgerät
JP2005168339A (ja) * 2003-12-09 2005-06-30 Komatsu Zenoah Co 携帯型作業機
JP5265958B2 (ja) * 2008-04-25 2013-08-14 株式会社やまびこ 振動吸収継手及びそれを備えた携帯型刈払機
JP2010151124A (ja) * 2008-11-20 2010-07-08 Oppama Kogyo Kk 内燃エンジンを備えた作業機
CN102595871A (zh) * 2009-10-23 2012-07-18 富世华智诺株式会社 振动吸收机构以及安装有这种振动吸收机构的工作机器
JP2011190732A (ja) * 2010-03-12 2011-09-29 Hitachi Koki Co Ltd エンジン工具
DE102011120468A1 (de) * 2011-12-07 2013-06-13 Andreas Stihl Ag & Co. Kg Verbrennungsmotor mit Kraftstoffzuführeinrichtung
DE102012024840A1 (de) * 2012-12-19 2014-06-26 Andreas Stihl Ag & Co. Kg Verfahren zum Betrieb eines Verbrennungsmotors in einem handgeführten Arbeitsgerät

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018009538A (ja) 2018-01-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5818226B2 (ja) エンジン及びエンジン作業機
JP5603588B2 (ja) 内燃エンジンを備えた作業機
JP6068834B2 (ja) 作業機の作動方法
EP3009642A1 (en) Engine-driven working machine
RU2640145C2 (ru) Способ управления числом оборотов двигателя внутреннего сгорания (варианты)
JP6576200B2 (ja) エンジン駆動式作業機
JP6313966B2 (ja) 手で操縦される作業機における内燃エンジンの作動方法
JP2007046495A (ja) 作業機用エンジンの回転数制御装置
JP6233018B2 (ja) エンジン作業機
JP6730867B2 (ja) 内燃エンジンによって駆動される刈払機
JP4400410B2 (ja) 内燃機関の吸気量制御装置
JP2019210925A (ja) エンジン駆動式刈払機
JP7158936B2 (ja) 携帯式のエンジン作業機
JP2017048756A (ja) エンジン点火装置
JP6611343B2 (ja) 携帯式のエンジン作業機
JP5691500B2 (ja) 小型エンジンおよびそれを備えたエンジン作業機
JP2013151909A (ja) 手持ち式エンジン作業機の減速制御方法
KR100579099B1 (ko) 촉매 과열 보호 기능의 제어방법
JP7176097B2 (ja) 2ストロークエンジン制御
JP2018127993A (ja) 電子制御装置
JP2018091277A (ja) 手持ち式エンジン作業機
JP2020084794A (ja) 携帯式のエンジン作業機
JPS61272472A (ja) 火花点火式エンジン
JP2018159370A (ja) 内燃機関の制御装置
JP2018178931A (ja) 内燃機関の制御装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190419

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200630

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200703

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6730867

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250