JP6730538B1 - 輪列機構、ムーブメント及び時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】ぜんまいの持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化を図ること。【解決手段】内部にぜんまいを収容すると共に、ぜんまいの巻き解けに伴って軸線O1、O2回りに回転可能とされた香箱車と、ぜんまいの巻き解けに伴って香箱車に対して軸線回りに相対回転可能とされた角穴車45とを有する複数の香箱アセンブリ20と、地板11の表側に配置され、ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する表輪列15とを備え、複数の香箱アセンブリは、互いに噛み合った状態で地板の平面方向に離間して配置され、複数の香箱アセンブリのそれぞれは、表輪列に対して平面方向に離間して配置されていることで、表輪列に対する地板の厚さ方向への重なり合いが回避されている輪列機構12を提供する。【選択図】図2

Description

本発明は、輪列機構、ムーブメント及び時計に関する。
機械式時計におけるムーブメントでは、一般的にぜんまいの巻き解けに伴う動力(出力トルク)によって香箱車が回転することで、表輪列等の各種輪列に回転力が伝達される。
例えば、下記特許文献1には、香箱車、二番車、三番車、四番車及び分車を少なくとも具備するムーブメントが開示されている。二番車は、二番かな及び二番歯車を有し、香箱車に二番かなが噛み合っている。三番車は、三番かな及び三番歯車を有し、二番歯車に三番かなが噛み合っている。四番車は、四番かな及び四番歯車を有し、三番歯車に四番かなが噛み合っている。分車は、分歯車を有し、三番歯車に分歯車が噛み合っている。
従って、上記ムーブメントでは、香箱車の回転力を二番車及び三番車を介して四番車及び分車にそれぞれ伝えることができ、四番車を60秒で1回転、分車を60分で1回転させることが可能とされている。なお、このムーブメントは、四番車が分車と共にムーブメント中心に配置され、且つ四番車に秒針が取り付けられた、いわゆる中三針の秒針ダイレクト駆動構造とされている。また、二番車及び三番車については、ムーブメント中心からムーブメントの平面方向にずれた位置に配置されている。
特開2004−170271号公報
ところで、従来の機械式時計におけるムーブメントでは、ムーブメントの平面視において、表輪列を構成する少なくとも1つの歯車が香箱車に対して平面的に重なるように配置(すなわちムーブメントの厚さ方向に重なるように配置)されている場合が多い。そのため、角穴車を平面的に逃がすために角穴車の外径を小さくする、或いは香箱車の厚さ自体を薄くする等の対策が必要とされていた。
特に、上記特許文献1に記載のムーブメントにおける二番車及び三番車のように、表輪列を構成する歯車が2つ以上、香箱車に対して平面的に重なってしまう場合には、香箱車の厚さ自体を薄くせざるを得なくなってしまう。
ところが、角穴車の外径が制約されてしまった場合には、角穴車に噛み合う各種輪列(例えば表輪列、自動巻き輪列等)に対する減速比或いは増速比を大きくすることが難しくなってしまい、歯車の数を増やす等の設計上の制約が生じてしまう。
また、香箱車の厚さが薄くなってしまうと、それに応じて香箱車内に収容されるぜんまいのぜんまい幅が狭くなってしまう。そのため、その分だけ、ぜんまいの厚さを厚くする必要があり、それによって例えば巻き数が減少する等、使用できるぜんまいに制約が生じてしまう。
これにより、ぜんまいの巻き解けに伴う出力トルクを一定に維持しようとすると、ぜんまいの持続時間(巻き上げられた状態から巻き解けによって自然長に戻るまでの時間)が減少してしまう不都合を招いてしまう。また、その逆に、上記持続時間を一定に維持しようとすると、上記出力トルク自体が小さくなってしまう不都合を招いてしまう。
このように、香箱車の厚さが薄くなってしまうと、持続時間の減少或いは出力トルク自体が減少するという不都合を招いてしまう。
なお、表輪列を構成する少なくとも1つの歯車と香箱車との平面的な重なりを避けるためには、例えば香箱車の外径を小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合であっても、香箱車自体の外径が小さくなり、それに伴ってぜんまいも短く或いは薄くなってしまうので、上述した場合と同様に、持続時間の減少或いは出力トルク自体が減少するという不都合を招いてしまう。
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、ぜんまいの持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化を図ることができる輪列機構、ムーブメント及び時計を提供することである。
(1)本発明に係る輪列機構は、内部にぜんまいを収容すると共に、前記ぜんまいの巻き解けに伴って軸線回りに回転可能とされた香箱車と、前記ぜんまいの巻き解けに伴って、前記香箱車に対して前記軸線回りに相対回転可能とされた角穴車と、を有する複数の香箱アセンブリと、地板の表側に配置され、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する表輪列と、を備え、複数の前記香箱アセンブリは、互いに噛み合った状態で前記地板の表側に、前記地板の平面方向に離間して配置され、複数の前記香箱アセンブリのそれぞれは、前記表輪列に対して前記平面方向に離間して配置されていることで、前記表輪列に対する前記地板の厚さ方向への重なり合いが回避され、前記表輪列は、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する二番車と、前記二番車の回転に伴って回転する三番車と、前記三番車の回転に伴って回転する四番車と、を少なくとも有し、前記四番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で前記地板の中心軸線と同軸に配置され、前記二番車及び前記三番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で、前記中心軸線から前記平面方向にずれた位置に配置され、前記三番車及び前記四番車は、前記香箱車における香箱蓋に平行な仮想面よりも前記地板側に配置され、前記地板の前記厚さ方向において、前記仮想面を基準として前記地板の反対側には空間スペースが確保され、前記空間スペースには、付加機能部が配置され、前記付加機能部は、回転軸線を中心として回転可能とされた回転錘と、前記回転錘の回転に伴う動力を、複数の前記香箱アセンブリのいずれか1つに伝えると共に、該香箱アセンブリを一方向に回転させる自動巻輪列と、を備えた自動巻機構とされ、前記回転錘は、前記回転軸線と同軸に配置され、前記自動巻輪列が噛み合う回転錘かなが形成された外輪を有する軸受を備え、前記外輪は、前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間して配置されていることで、前記香箱アセンブリに対する前記厚さ方向への重なり合いが回避されていることを特徴とする。
本発明に係る輪列機構によれば、地板の表側に複数の香箱アセンブリを具備しているので、地板の表側における面積のうち複数の香箱車が占める面積を増やすことができる。さらに、複数の香箱アセンブリのいずれもが表輪列に対して地板の平面方向に離間して配置されており、香箱アセンブリと表輪列とが地板の厚さ方向に重なることを回避している。これにより、香箱車の厚さを、例えば地板と輪列受との間の隙間分に相当する程度まで可能な限り厚くすることができると共に、香箱車及び角穴車の外径をできるだけ大きくすることが可能である。
これらのことから、各香箱アセンブリにおけるぜんまいの厚さやぜんまい幅等が制約を受けてしまうことを抑制することができ、例えば出力トルクを一定に維持した場合においては、ぜんまいの持続時間の向上化を図ることができると共に、ぜんまいの持続時間を一定に維持した場合においては、出力トルクの増大化を図ることができる。従って、ぜんまいの持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化を図ることができ、出力トルクの伝達性能に優れた輪列機構とすることができる。
さらに、四番車を地板の中心軸線と同軸に配置しているので、例えば四番車に秒針を取り付けることで、いわゆる中三針の秒針ダイレクト駆動に対応した輪列機構として利用することができる。この場合であっても、二番車、三番車及び四番車のいずれもが複数の香箱アセンブリに対して平面方向に離間しており、香箱アセンブリに対して地板の厚さ方向に重なることが回避されている。従って、先に述べたように、ぜんまいの持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化を図ることができ、二番車に対して効率良く動力を伝達することができる。
さらに、二番車よりも動力伝達の下流側に位置する三番車及び四番車を仮想面よりも地板側に寄せて配置している。特に、地板の中心軸線と同軸に配置されている四番車を地板側に寄せて配置しているので、地板の中央部分において表輪列を地板側に近い位置に配置して、高さを低く抑えることができる。
地板の中央部分は時計部品が集中し易い領域であり、特に中三針の秒針ダイレクト駆動の場合にはその傾向が顕著となる。この場合であっても、地板の中央部分において表輪列の高さを低く抑えることができるので、他の時計部品を配置し易くなるうえ、例えば中央部分が出っ張るような時計となることを防止することができる。
さらに、三番車及び四番車を仮想面よりも地板側に寄せて配置することによって確保された空間スペースを利用して、時計に何らかの機能を付加する付加機能部を配置している。これにより、時計の多機能性に貢献することが可能である。
特に、空間スペースを有効に利用して付加機能部を配置しているので、例えば時計の中央部分が出っ張ることを抑制することができ、多機能性を有しつつ、外観性、審美性に優れた時計を実現することが可能であるうえ、時計の外観が工業的なデザインになることを防止することができる。
さらに、付加機能部として自動巻機構を備えているので、回転錘による動力を利用して、自動巻輪列を介して香箱アセンブリを常に同じ方向に回転させることができる。これにより、ぜんまいを巻き上げることが可能となり、自動巻の機能を付加することができる。特に、空間スペースを利用して自動巻機構を配置しているので、先に述べたように時計の中央部分が出っ張ることを抑制することができ、自動巻機構を有しつつ、外観性、審美性に優れた自動巻式の時計を実現することが可能である。
さらに、空間スペースを利用して外輪を配置しているので、外輪の高さを確保することができる。そのため、自動巻輪列のうち回転錘かなに噛み合う歯車における車軸の長さを、該車軸にほぞ部を形成することができる分だけの長さとすることができる。これにより、ほぞ部を利用して、回転錘に噛み合う歯車を軸支(回転案内)することが可能となる。
なお、車軸の長さが短いためにほぞ部が形成できない場合には、いわゆるピン案内となることが多いが、ピンの場合には細径化に限界があるので、摩擦抵抗が大きく、動力損失が発生し易い。これに対して、上述のように車軸の長さを確保することでほぞ部を形成できるので、該ほぞ部や案内部の径を細くすることができ、摩擦抵抗を低減させて、伝達効率を向上することが可能となる。
さらには、外輪についても香箱アセンブリに対して平面方向に離間して配置されていることで、香箱アセンブリに対して地板の厚さ方向に重なることを回避している。これにより、外輪に影響されることなく、香箱車の厚さを厚くすることができると共に、香箱車及び角穴車の外径大きくすることが可能である。
(2)本発明に係る輪列機構は、内部にぜんまいを収容すると共に、前記ぜんまいの巻き解けに伴って軸線回りに回転可能とされた香箱車と、前記ぜんまいの巻き解けに伴って、前記香箱車に対して前記軸線回りに相対回転可能とされた角穴車と、を有する複数の香箱アセンブリと、地板の表側に配置され、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する表輪列と、を備え、複数の前記香箱アセンブリは、互いに噛み合った状態で前記地板の表側に、前記地板の平面方向に離間して配置され、複数の前記香箱アセンブリのそれぞれは、前記表輪列に対して前記平面方向に離間して配置されていることで、前記表輪列に対する前記地板の厚さ方向への重なり合いが回避され、前記表輪列は、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する二番車と、前記二番車の回転に伴って回転する三番車と、前記三番車の回転に伴って回転する四番車と、を少なくとも有し、前記四番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で前記地板の中心軸線と同軸に配置され、前記二番車及び前記三番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で、前記中心軸線から前記平面方向にずれた位置に配置され、前記三番車及び前記四番車は、前記香箱車における香箱蓋に平行な仮想面よりも前記地板側に配置され、前記地板の前記厚さ方向において、前記仮想面を基準として前記地板の反対側には空間スペースが確保され、前記空間スペースには、付加機能部が配置され、前記香箱アセンブリを2つ備え、前記付加機能部は、前記地板の平面視で、2つの前記香箱アセンブリの中心同士を結ぶ第1仮想線上に位置し、且つ前記香箱アセンブリの中心同士の中間に位置する中間位置と、前記地板の前記中心軸線と、を結ぶ第2仮想線を基準として前記表輪列とは反対側に配置されていることを特徴とする
この場合には、四番車を地板の中心軸線と同軸に配置しているので、例えば四番車に秒針を取り付けることで、いわゆる中三針の秒針ダイレクト駆動に対応した輪列機構として利用することができる。この場合であっても、二番車、三番車及び四番車のいずれもが複数の香箱アセンブリに対して平面方向に離間しており、香箱アセンブリに対して地板の厚さ方向に重なることが回避されている。従って、先に述べたように、ぜんまいの持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化を図ることができ、二番車に対して効率良く動力を伝達することができる。
(3)複数の前記香箱アセンブリのいずれか1つと前記二番車との間には、前記香箱車又は前記角穴車と、前記二番車とに噛み合うと共に、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力を前記二番車に伝える伝達車が配置されても良い。
この場合には、伝達車を介して香箱アセンブリから二番車に動力を伝達することができる。そのため、香箱アセンブリの香箱車又は角穴車と二番車とを直接的に噛合わせる必要がない。例えば、香箱アセンブリの香箱車又は角穴車と二番車とを、二番かなを介して直接的に噛合わせる場合には、香箱アセンブリとの干渉等を回避するために二番歯車が小径化し易い。しかしながら、伝達車を具備しているので、例えば伝達車と二番かなとが噛み合う場合、二番かなの位置を香箱アセンブリから遠ざけることができる。そのため、二番歯車を大径化することが可能となり、表輪列全体の増速比の増大化に貢献することができる。
このように、伝達車を具備することで、香箱アセンブリから二番車を離れた位置に配置することができ、二番かな及び二番歯車の径を制約少なく自由に選択することが可能となり、設計の自由度を向上することができる。それに加え、表輪列の増速比を大きくすることが可能である。
なお、伝達車は、香箱車又は角穴車と二番車(例えば二番かな)とに噛み合うだけであるので、一層構造の歯車とすることができる。従って、伝達車におけるほぞ部さえ香箱アセンブリに対して厚さ方向に重ならなければ、伝達車が香箱車の厚さに影響を与えてしまい難い。
(4)前記三番車は、上ほぞ部及び下ほぞ部を有する三番車軸と、前記三番車軸に形成され、前記二番車における二番歯車が噛み合う三番かなと、を備え、前記二番歯車は、前記三番車軸における軸方向の中央部で前記三番かなに噛み合っても良い。
この場合には、二番歯車と三番かなとの噛み合いによって、二番車の動力を三番車に伝えることができる。この際、二番歯車と三番かなとの噛み合い部分には大きな負荷が作用し易い。この場合であっても、二番歯車は、三番車軸における軸方向の中央部で三番かなに噛み合っているので、三番車における上ほぞ部及び下ほぞ部に対して均等に負荷を分散させ易い。従って、どちらか一方のほぞ部に負荷が集中してしまうことを抑制することができ、例えばどちらか一方のほぞ部が早期に摩耗してしまうことを抑制することができる。そのため、三番車及び表輪列全体の耐久性の向上化に繋げることができると共に、三番車を安定且つ精度良く回転させることができる。
(5)前記地板の中心軸線と同軸に配置され、前記三番かなに噛み合う分歯車を有する分車を備え、前記三番車は、前記三番車軸に形成され、前記四番車における四番かなに噛み合う三番歯車を備え、前記三番かなに噛み合う前記二番歯車よりも、前記地板側で前記分歯車と前記三番かなとが噛み合うと共に、前記二番歯車よりも前記地板から離れた位置で前記三番歯車と前記四番かなとが噛み合っても良い。
この場合には、ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって二番車を介して三番車が回転することで、三番車に伝えられた動力を、分歯車を介して分車に伝えることができると共に、四番かなを介して四番車に伝えることができる。これにより、三番車の回転に伴って、分車及び四番車をそれぞれ回転させることができる。
特に、先に述べたように、二番歯車が三番車軸における軸方向の中央部で三番かなに噛み合っていることで、三番車は安定且つ精度良く回転する。そのため、三番車に噛み合う分車及び四番車についても例えばバックラッシュ等を抑制しながら精度良く回転させることができ、適切な運針を可能にしつつ、時刻に関する情報等の指示ずれを抑制することができる。
さらに、二番歯車及び三番かなの噛み合い位置よりも、地板側で分歯車及び三番かなを噛み合わせ、二番歯車及び三番かなの噛み合い位置よりも地板から離れた位置で三番歯車及び四番かなを噛み合わせている。つまり、分歯車と三番かなとの噛み合い位置、二番歯車と三番かなとの噛み合い位置、三番歯車と四番かなとの噛み合い位置を、地板側からこの順番で並ぶように配置している。
そのため、二番車から三番車に伝えられた動力を、三番車軸の軸方向に分散させながら、分歯車及び四番かなにバランスよく伝えることができる。
)前記香箱アセンブリを2つ備え、前記付加機能部は、前記地板の平面視で、2つの前記香箱アセンブリの中心同士を結ぶ第1仮想線上に位置し、且つ前記香箱アセンブリの中心同士の中間に位置する中間位置と、前記地板の前記中心軸線と、を結ぶ第2仮想線を基準として前記表輪列とは反対側に配置されても良い。
この場合には、空間スペースを利用しながら、付加機能部及び表輪列をバランス良く配置することができ、時計全体の薄型等に貢献することができる。
)本発明に係るムーブメントは、前記輪列機構を備えている。
)本発明に係る時計は、前記ムーブメントを備えている。
この場合には、ぜんまいの持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化によって、出力トルクの伝達性能に優れた輪列機構を具備しているので、作動の信頼性が高いムーブメント及び時計とすることができる。
本発明によれば、ぜんまいの持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化を図ることができる輪列機構、ムーブメント及び時計とすることができる。
本発明に係る実施形態を示す図であって、時計の外観図である。 図1に示すムーブメントの平面図である。 図2に示す第1香箱アセンブリと第2香箱アセンブリとの関係を示す断面図である。 図2に示す第2香箱アセンブリと表輪列との関係を示す断面図である。 図2に示す地板の中央部分における断面図である。 図2に示す第1香箱アセンブリと自動巻輪列との関係を示す断面図である。 図2に示す回転錘の斜視図である。 本発明に係る輪列機構の変形例を示すムーブメントの平面図である。 図2に示す第2香箱アセンブリと表輪列との関係を示す断面図である。
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。なお、本実施形態では、時計の一例として、時針、分針及び秒針がムーブメントの中心に配置された中三針の秒針ダイレクト構造とされた自動巻式の機械式時計を例に挙げて説明する。
なお、本実施形態の各図では、図面を見易くするために、時計用部品の一部の図示を省略している場合があると共に、各時計用部品を簡略化して図示している場合がある。
(時計の基本構成)
一般に、時計の駆動部分を含む機械体を「ムーブメント」と称する。このムーブメントに文字板、針を取り付けて、時計ケースの中に入れて完成品にした状態を時計の「コンプリート」と称する。時計の基板を構成する地板の両側のうち、時計ケースのガラスのある方の側(すなわち、文字板のある方の側)をムーブメントの「裏側」と称する。また、地板の両側のうち、時計ケースのケース裏蓋のある方の側(すなわち、文字板と反対の側)をムーブメントの「表側」と称する。
なお本実施形態では、文字板からケース裏蓋(表側)に向かう方向を上側、その反対側(裏側)を下側として説明する。従って、地板の厚さ方向が上下方向となる。
図1に示すように、本実施形態の時計1のコンプリートは、図示しないケース裏蓋及びガラス2からなる時計ケース3内に、ムーブメント10と、少なくとも時に関する情報を示す目盛り等を有する文字板4と、時を示す時針5、分を示す分針6及び秒を示す秒針7を含む指針と、を備えている。
図2〜図4に示すように、ムーブメント10は、地板11の表側に配置された輪列機構12を備えている。
輪列機構12は、地板11と地板11の表側に配置された香箱受13との間に配設された複数の香箱アセンブリ20と、地板11と地板11の表側に配置された輪列受14との間に配設された表輪列15と、を主に備えている。さらに輪列機構12は、表輪列15の回転を制御する脱進機16と、脱進機16を調速する図示しない調速機と、手動巻機構17及び自動巻機構18とをさらに備えている。
なお、地板11の裏側には、後述する裏輪列等が配設されていると共に、文字板4がガラス2を通じて視認可能に配置されている。
(香箱アセンブリ)
図2及び図3に示すように、地板11の表側には2つの香箱アセンブリ20が配設されている。なお、香箱アセンブリ20の数は、2つに限定されるものではなく3つ以上であっても構わない。
2つの香箱アセンブリ20のうちの一方を第1香箱アセンブリ21といい、他方を第2香箱アセンブリ22という。第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22は、地板11の中心を厚さ方向に貫く中心軸線Cに対して地板11の平面方向に離間して配置されていると共に、互いに隣り合うように配置されている。
第1香箱アセンブリ21は、地板11及び香箱受13に対して第1軸線O1回りに回転可能に設けられている。第2香箱アセンブリ22は、地板11及び香箱受13に対して第2軸線O2回りに回転可能に設けられている。
なお本実施形態では、これら第1軸線O1及び第2軸線O2や、上記中心軸線Cを含む各軸線に関し、軸線方向から見た平面視において、軸線に交差する方向を径方向といい、軸線回りに周回する方向を周方向という。
以下、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22について詳細に説明する。
(第1香箱アセンブリ)
図2及び図3に示すように、第1香箱アセンブリ21は、内部にぜんまい30を収容する香箱車31と、香箱真35と、角穴車真40と、角穴車45とを備え、第1軸線O1と同軸に配置されている。
香箱車31は、有底筒状の香箱本体32、及び香箱本体32を上方から閉塞する有頂筒状の香箱蓋33を備え、香箱本体32の内部にぜんまい30を収容している。
香箱本体32は、第1軸線O1を中心とする円板状に形成された底壁部32aと、底壁部32aの外周縁部から上方に向けて延びるように形成され、ぜんまい30を径方向外側から囲む周壁部32bと、を備えている。
底壁部32aの中央部分には、該底壁部32aを上下に貫通する第1嵌合孔34aが形成されている。周壁部32bの外周面には、径方向外側に向けて突出する香箱歯部32cが全周に亘って形成されている。さらに周壁部32bの内周面には、ぜんまい30の外端部が固定されている。
香箱蓋33は、香箱本体32を上方から閉塞している。香箱蓋33の外周縁部は、香箱本体32における周壁部32bの上端部に対して嵌合している。これにより、香箱本体32及び香箱蓋33は、互いに一体に組み合わされている。香箱蓋33の中央部分には、該香箱蓋33を上下に貫通する第2嵌合孔34bが形成されている。
香箱真35は、円筒状に形成され、第1軸線O1と同軸に配置されている。香箱真35は、香箱車31における第1嵌合孔34a及び第2嵌合孔34bに挿通されている。
香箱真35における軸方向の中間部分35aは、径方向外側に向けて膨出していると共に、香箱本体32内に僅かに入り込んでいる。そして、この香箱真35の中間部分35aに、ぜんまい30の内端部が係止されている。
香箱真35は、第1嵌合孔34a内及び第2嵌合孔34b内に、香箱車31に対して第1軸線O1回りに相対回転可能に嵌合されている。これにより、香箱真35は、香箱車31を相対回転可能に支持している。
なお、香箱真35の中間部分35aが香箱本体32内に僅かに入り込んでいることで、香箱真35に対する香箱車31の上下移動が規制されている。また、香箱真35の上端部は、香箱蓋33よりも上方に突出するように延びている。
角穴車真40は、上下方向に延びる軸部41と、軸部41に一体に形成され、径方向外側に向かって突出したフランジ42と備え、第1軸線O1と同軸に配置されている。
軸部41は、香箱真35の内側に上方から挿入されていると共に、香箱真35の内側に例えば圧入、螺着等によって一体的に固定されている。軸部41の下端部は、香箱真35よりも下方に突出している。軸部41の上端部及びフランジ42は、香箱真35よりも上方に配置されている。軸部41の上端部及び下端部には、それぞれ上ほぞ部41a及び下ほぞ部41bが形成されている。
上述した角穴車真40は、下ほぞ部41bが地板11に保持された軸受によって軸支され、上ほぞ部41aが香箱受13に保持された軸受によって軸支されている。これにより、第1香箱アセンブリ21の全体は、地板11と香箱受13との間で第1軸線O1回りに回転可能に支持されている。軸受としては、例えばルビー等で形成された穴石等が挙げられる。
角穴車45は、香箱蓋33とフランジ42との間に第1軸線O1と同軸に配置されていると共に、香箱真35の上端部に対して、回り止めがされた状態で例えば圧入等によって固定されている。なお、フランジ42の下面と角穴車45の上面とは接触している。これにより、角穴車45は、フランジ42及び香箱真35に挟持された状態で固定されていると共に、香箱車31に対して非接触とされている。すなわち、角穴車45は、香箱蓋33との間に隙間をあけた状態で、香箱車31よりも上方に配置されている。また、角穴車45の外周縁部には、全周に亘って角穴歯部45aが形成されている。
ぜんまい30は、第1軸線O1を中心として渦巻状に巻回された状態で香箱車31内に収容されている。先に述べたように、ぜんまい30の外端部は香箱本体32に固定され、内端部は香箱真35に係止されている。
そのため、ぜんまい30は、香箱真35に固定されている角穴車45と香箱車31との相対回転によって縮径するように弾性変形しながら巻き上げられると共に、巻き解ける際の弾性復元力により角穴車45或いは香箱車31に動力(出力トルク)を伝えて、角穴車45或いは香箱車31を第1軸線O1回りに回転させることが可能とされている。
(第2香箱アセンブリ)
第2香箱アセンブリ22は、上述した第1香箱アセンブリ21と同一の構成とされている。そのため、第2香箱アセンブリ22の各構成部材には、第1香箱アセンブリ21の構成部材と同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
ただし、第1香箱アセンブリ21では、香箱車31の外径と角穴車45の外径とが同等とされ、香箱歯部32c及び角穴歯部45aが上下方向に重なるように配置されている。これに対して、第2香箱アセンブリ22では、香箱車31の外径よりも角穴車45の外径が小さく形成され、角穴歯部45aは香箱蓋33の上方に配置されている。
(第1香箱アセンブリ及び第2香箱アセンブリの関係)
上述のように構成された第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22は、先に述べたように、互いに隣り合うように配置されている。
具体的には、第1香箱アセンブリ21は、第2香箱アセンブリ22よりも巻真50に近い位置に配置されている。そして、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22は、互いの香箱歯部32c同士が噛み合った状態で隣接配置されている。さらに、第1香箱アセンブリ21における角穴車45には、巻真50の回転に伴って回転する丸穴中間車55が角穴歯部45aを介して噛合っている。
巻真50は、地板11に形成された図示しない巻真案内穴に回転可能に組み込まれている。巻真50には、図1に示すりゅうず51が連結されている。これにより、りゅうず51を介して、巻真50を回転操作することが可能とされている。
巻真50は、おしどり、かんぬき、かんぬきばね等を有する図示しない切換装置により、軸方向の位置が決められている。巻真50の案内軸部には、巻真50に対して回転可能であると共に、軸方向に移動不能とされた図示しないきち車が取り付けられている。巻真50のうち、きち車よりも先端側に位置する部分には、巻真50に対して回転不能、且つ軸方向に移動可能とされた図示しないつづみ車が取り付けられている。
きち車とつづみ車とは、例えば巻真50を、軸方向に沿ってムーブメント10に最も近い巻真位置(0段位置)にセットしたときに、互いに噛合可能とされている。従って、この状態でりゅうず51を介して巻真50を回転操作することで、つづみ車を介してきち車を巻真50と同軸の軸線回りに回転させることが可能とされている。
きち車が回転することで、図2に示す丸穴中間車55を回転させることが可能とされている。なお、丸穴中間車55は、手動巻機構17を構成する。図示の例では、図示を簡略化するために丸穴中間車55だけを図示しているが、手動巻機構17は丸穴中間車55ときち車との間を繋ぐ、複数の中間車を具備している。
いずれにしても、きち車の回転に伴って最終的に丸穴中間車55が回転するように手動巻機構17が構成されている。
なお、巻真50を上記0段位置から1段階引き出した状態で回転させた場合には、つづみ及び図示しない小鉄車を介して、後述する筒車100及び分車80を回転させることが可能とされている。これにより、時刻の修正を行って時刻合わせ等の修正が可能とされている。
上述のように第1香箱アセンブリ21の角穴車45に、丸穴中間車55が噛み合っているので、上記0段位置において巻真50を回転操作することで、手動巻機構17を介して角穴車45を第1軸線O1回りに回転させることが可能とされている。そのため、香箱真35を介してぜんまい30を巻き上げることが可能とされている。
この際、図2及び図3に示すように、第1香箱アセンブリ21の香箱車31と、第2香箱アセンブリ22の香箱車31とが互いに噛み合っているので、上記ぜんまい30の巻き上げに伴って第1香箱アセンブリ21の香箱車31が第1軸線O1回りに回転し、これに伴って第2香箱アセンブリ22の香箱車31が第2軸線O2回りに回転する。これにより、第2香箱アセンブリ22に関しては、香箱車31の回転によってぜんまい30を巻き上げることが可能となる。
このように、ぜんまい30の巻き上げに関し、第1香箱アセンブリ21については、角穴車45が第1軸線O1回りを回転することでぜんまい30を巻き上げることが可能となる。これに対して、第2香箱アセンブリ22については、香箱車31が回転することでぜんまい30を巻き上げることが可能となる。
さらに、ぜんまい30の巻き解けに伴う出力トルク(動力)に関しては、第1香箱アセンブリ21については、香箱車31が回転することで、ぜんまい30の出力トルクを第2香箱アセンブリ22の香箱車31に伝達することが可能となる。これに対して、第2香箱アセンブリ22については、角穴車45が回転することで、第2香箱アセンブリ22のぜんまい30の出力トルク、及び第1香箱アセンブリ21から伝わった出力トルクを後述する伝達車110に伝えることが可能とされている。
なお、図2に示すように、第1香箱アセンブリ21における角穴車45には、巻き上げたぜんまい30の巻き解けを防止するために、角穴車45の逆転を規制するこはぜ56が係合している。これにより、角穴車45は、ぜんまい30の巻き上げを行う一方向のみの回転だけが許容されている。
(表輪列、伝達車)
図2及び図4に示すように、表輪列15は、地板11と輪列受14との間に配置され、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22におけるぜんまい30の巻き解けに伴う出力トルクによって回転し、時針5、分針6及び秒針7を運針させる役割を果たしている。
なお、輪列受14は、香箱受13と同等の高さ位置に配置された上側輪列受14aと、上側輪列受14aよりも地板11側に位置する下側輪列受14bとを備え、高さが2段に変化する段付き形状に形成されている。
表輪列15は、二番車60、三番車70及び四番車90を主に備えている。この表輪列15に対して、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22は、地板11の平面方向に離間して配置され、表輪列15に対する上下方向の重なり合いが回避されるように配置されている。
さらに本実施形態の輪列機構12は、分車80、四番車90、筒車100及び図示しない日の裏車を主に備える裏輪列を備えている。さらに輪列機構12は、第2香箱アセンブリ22における角穴車45と二番車60との間に配置され、ぜんまい30の巻き解けに伴う出力トルクを二番車60に伝える伝達車110を備えている。
伝達車110は、いわゆるアイドラー等と称する歯車とされ、第3軸線O3回りを回転可能とされている。伝達車110は、上ほぞ部110aが上側輪列受14aに保持された穴石等の軸受によって軸支されると共に、下ほぞ部110bが地板11に一体に形成された張出フランジ部11aに保持された穴石等の軸受によって軸支されている。
伝達車110は、第2香箱アセンブリ22における角穴車45に噛み合う伝達歯車111を備えている。これにより、伝達車110は、角穴車45の回転に伴って第3軸線O3回りを回転可能とされている。なお、伝達車110は、かなを有さずに伝達歯車111を具備する一層構造の歯車とされている。
上記張出フランジ部11aは、地板11のうち第2香箱アセンブリ22における香箱車31の周壁部32bに沿って上方に起立した部分の上端部から、地板11の平面方向に沿って張り出すように形成されている。これにより、伝達車110は、角穴車45及び香箱蓋33と同等の高さ位置に位置するように、上方に持ち上げられた状態で張出フランジ部11aによって軸支されている。
上述のように構成された伝達車110は、伝達歯車111が第2香箱アセンブリ22における香箱車31の角穴車45と同じ高さ位置(同一平面内に位置)するように配置された状態で、伝達歯部111aが角穴歯部45aに噛み合っている。
特に伝達車110は、上ほぞ部110a及び下ほぞ部110bが形成された車軸が、第2香箱アセンブリ22に対して地板11の平面方向に離間し、上下方向に重ならないように配置されている。そして、上述のように伝達歯車111が角穴車45と同一平面内に配置されている。従って、伝達車110が香箱車31の厚さに影響を与えてしまい難い。
二番車60は、上ほぞ部60aが上側輪列受14aに保持された穴石等の軸受によって軸支されると共に、下ほぞ部60bが地板11に保持された穴石等の軸受によって軸支され、第4軸線O4回りに回転可能とされている。二番車60は、伝達歯車111が噛み合う二番かな61と、後述する三番かな71に噛み合う二番歯車62とを備えている。これにより、二番車60は、伝達車110の回転に伴って第4軸線O4回りを回転可能とされている。
二番歯車62は、伝達歯車111を支持する張出フランジ部11aの下方に入り込むように配置されている。そのため、伝達車110は、二番歯車62に対してオーバーハングするように上方に配置されている。
三番車70は、上ほぞ部70aが下側輪列受14bに保持された穴石等の軸受によって軸支されると共に、下ほぞ部70bが地板11に保持された穴石等の軸受によって軸支され、第5軸線O5回りに回転可能とされている。三番車70は、上ほぞ部70a及び下ほぞ部70bが形成された三番車軸73と、三番車軸73に形成され、二番歯車62が噛み合う三番かな71と、三番車軸73に形成され、後述する四番かな92に噛み合う三番歯車72とを備えている。これにより、三番車70は、二番車60の回転に伴って第5軸線O5回りを回転可能とされている。
特に三番車70は、二番車60等を支持する上側輪列受14aよりも下方に位置する下側輪列受14bによって支持されているので、二番車60等よりも地板11側に配置されている。具体的には、三番車70は、香箱蓋33に平行な仮想面V(図4参照)よりも下方(地板11側)に配置されている。
四番車90は、地板11に保持された円筒部95内に配置された状態で、地板11の中心軸線Cと同軸に配置され、且つ中心軸線C回りに回転可能とされている。
四番車90は、車軸91と、三番歯車72が噛み合う四番かな92と、四番歯車93とを有している。車軸91は、円筒部95内に設けられた軸受によって回転可能に支持されている。図示の例では、車軸91は上下方向に間隔をあけて配置された2箇所の軸受によって回転可能に支持されている。車軸91の上ほぞ部91aは、下側輪列受14bに保持された穴石等の軸受によって軸支されている。
これにより、四番車90は、三番車70の回転に伴って中心軸線C回りを回転可能とされている。
車軸91の下端部は、文字板4よりも下方に突出していると共に、分車80及び筒車100よりも下方に突出している。そして、車軸91の下端部に秒針7が取り付けられている。これにより、四番車90の回転によって秒針7を直接的に運針させるダイレクト駆動方式とされている。なお、秒針7は、脱進機16及び調速機によって調速された回転速度、すなわち1分間で1回転する。
このように構成された四番車90についても、三番車70と同様に下側輪列受14bによって支持されているので、二番車60等よりも地板11側に配置されている。従って、四番車90は、三番車70と同等の高さ位置に配置され、上記仮想面Vよりも下方に配置されている。
裏輪列を構成する分車80は、地板11の裏側において中心軸線Cと同軸に配置されていると共に、中心軸線C回りに回転可能とされている。分車80は、円筒部95を囲む筒状の分車本体81と、分車本体81の上端部に組み合わされ、三番かな71に噛み合う分歯車82と、分車本体81のうち分歯車82と筒車100との間に位置する部分に形成された分かな81aとを有している。これにより、分車80は、三番車70の回転に伴って中心軸線C回りを回転可能とされている。
詳細には、分車80は、分かな81aが後述する筒歯車102上に重なった状態で、分車本体81が後述する筒車本体101の内側に配置されている。これにより、分車80は筒車100によって上下方向に位置決めされ、且つ筒車100によってガイドされながら中心軸線C回りに安定して回転することが可能とされている。
なお、分車本体81と分歯車82とは、所定の圧接力(摩擦力)を維持した状態で組み合わされている。そのため、例えば時刻合わせ時等、分車本体81と分歯車82との間に上記圧接力(摩擦力)を超える相対的な回転力が作用したときに、分車本体81に対して分歯車82をスリップさせることが可能とされている。
分車本体81の下端部は、筒車100よりも下方に突出し、且つ四番車90における車軸91の下端部よりも上方に配置されている。そして、分車本体81の下端部に分針6が取り付けられている。従って、分針6は四番車90に取り付けられる秒針7よりも文字板4側に位置している。これにより、分車80の回転によって分針6を直接的に運針させることが可能とされている。
なお、分針6は、脱進機16及び調速機によって調速された回転速度、すなわち1時間で1回転する。また、分車80は、四番歯車93よりも下方に位置しているので、上記仮想面Vよりも下方に配置されている。
裏輪列を構成する筒車100は、地板11の裏側において中心軸線Cと同軸に配置されていると共に、中心軸線C回りに回転可能とされている。筒車100は、分車本体81を囲む円筒状の筒車本体101と、筒車本体101の上端部に一体に形成され、図示しない日の裏車に噛み合う筒歯車102と、を備えている。
なお、日の裏車は、分車80における分かな81aにも噛み合っている。これにより、筒車100は、分車80及び日の裏車の回転に伴って中心軸線C回りを回転する。
筒車本体101の下端部は、文字板4よりも下方に突出し、且つ分車本体81の下端部よりも上方に配置されている。そして、筒車本体101の下端部に時針5が取り付けられている。従って、時針5は、分車80に取り付けられる分針6よりも文字板4側に位置している。これにより、筒車100の回転によって時針5を直接的に運針させることが可能とされている。
なお、時針5は、脱進機16及び調速機によって調速された回転速度、すなわち24時間で1回転する。また、筒車100は、分歯車82よりも下方に位置しているので、上記仮想面Vよりも下方に配置されている。
上述のように構成された表輪列15及び裏輪列のうち、四番車90、分車80及び筒車100は中心軸線Cと同軸に配置され、二番車60、三番車70及び日の裏車は、中心軸線Cから地板11の平面方向にずれた位置に配置されている。さらに、三番車70、四番車90、分車80、筒車100及び日の裏車は、仮想面Vよりも下方に配置されている。従って、図4に示すように、仮想面Vよりも上方には、自動巻機構18を配置することが可能な空間スペースSが確保されている。
自動巻機構18については、後に説明する。
(脱進機、調速機)
図2及び図4に示すように、脱進機16は、四番車90の回転に伴って第6軸線O6回りを回転するがんぎ中間車120と、がんぎ中間車120の回転に伴って第7軸線O7回りを回転するがんぎ車130と、がんぎ車130を脱進させて規則正しく回転させる図示しないアンクルとを備え、図示しないてんぷからの規則正しい振動で表輪列15を制御する。
がんぎ中間車120は、上ほぞ部120aが下側輪列受14bに保持された穴石等の軸受によって軸支されると共に、下ほぞ部120bが地板11に保持された穴石等の軸受によって軸支され、第6軸線O6回りに回転可能とされている。がんぎ中間車120は、四番歯車93が噛み合うがんぎ中間かな121と、がんぎ中間歯車122とを備えている。これにより、がんぎ中間車120は、四番車90の回転に伴って第6軸線O6回りを回転可能とされている。
がんぎ車130は、上ほぞ部130aががんぎ受135に保持された穴石等の軸受によって軸支されると共に、下ほぞ部130bが地板11に保持された穴石等の軸受によって軸支され、第7軸線O7回りに回転可能とされている。がんぎ車130は、がんぎ中間歯車122が噛み合うがんぎかな131と、複数のがんぎ歯を有するがんぎ歯車132と、を備えている。なお、アンクルは、がんぎ歯に対して係脱可能とされた入爪石及び出爪石を有している。
なお、調速機は、主に図示しないひげぜんまいを動力源として、ぜんまい30の出力トルクに応じた定常振幅(振り角)で往復回転(正逆回転)するてんぷを備えている。
上述のように構成された脱進機16及び調速機によって、表輪列15及び裏輪列の回転を制御することができ、先に述べたように秒針7、分針6及び時針5を適切に運針させて、正確な時を刻むことが可能とされている。
(自動巻機構)
図2に示すように、自動巻機構18は、時計1に自動巻の機能を付加するための付加機能部として機能するものであり、図4に示す仮想面Vよりも上方に確保された空間スペースSを利用して設けられている。
具体的には、自動巻機構18は、地板11の平面視で、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22の中心同士を結ぶ第1仮想線L1上に位置し、且つ第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22の中心同士の中間に位置する中間位置Pと、地板11の中心軸線Cと、を結ぶ第2仮想線L2を基準として表輪列15とは反対側に配置されている。
自動巻機構18は、例えば使用者の腕の動き等に応じて作動する図2に示す回転錘150の回転によって、第1香箱アセンブリ21におけるぜんまい30を自動で巻き上げる機構とされている。
図2及び図4に示すように、自動巻機構18は、回転軸線を中心として回転可能とされた回転錘150と、回転錘150の回転に伴う動力を、第1香箱アセンブリ21の角穴車45に伝えて、角穴車45を一方向に回転させる自動巻輪列170と、を備えている。
なお本実施形態では、上記回転軸線が地板11の中心軸線Cと同軸となっている場合を例に挙げて説明する。従って、回転錘150は、中心軸線Cを中心として回転可能とされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば回転軸線が中心軸線Cから地板11の平面方向に僅かにずれて配置され、回転軸線と中心軸線Cとが非同軸とされた自動巻機構18としても構わない。
さらに本実施形態では、回転錘150が中心軸線Cを中心として二方向に回転可能とされ、自動巻輪列170が回転錘150の二方向の回転を一方向の回転に切り換えた状態で、第1香箱アセンブリ21の角穴車45に対して回転錘150の動力を伝える場合を例に挙げて説明する。
ただし、この場合に限定されるものではなく、例えば回転錘150が中心軸線Cを中心として一方向にのみ回転し、自動巻輪列170が回転錘150の回転に伴う動力を角穴車45に対して伝える構成としても構わない。いずれにしても、回転錘150の回転に伴う動力を、自動巻機構18を利用して角穴車45に伝えて、角穴車45を常に一方向に回転させることができれば、自動巻輪列170の構成を適宜変更して構わない。
回転錘150及び自動巻輪列170は、図5及び図6に示すように、第1自動巻受180と、該第1自動巻受180よりも下方に配置され、第1自動巻受180に対して組み合わされた第2自動巻受181とを利用して支持されている。従って、自動巻機構18は、1つのユニットとして組み合わされている。
具体的には、回転錘150は第1自動巻受180に形成された収容凹部182内に収容された状態で中心軸線C回りに回転可能に支持されている。なお、収容凹部182内には、上方に向けて起立した軸部材183が中心軸線Cと同軸に形成されている。自動巻輪列170は、第1自動巻受180と第2自動巻受181との間に配置された状態で回転可能に支持されている。
回転錘150は、中心軸線Cを中心として二方向に回転可能とされた状態で四番車90よりも上方に配置され、自動巻機構18を作動させる動力源として機能する。
具体的には、図5及び図7に示すように、回転錘150は、ボールベアリング(本発明に係る軸受)151と、回転重錘160とを備え、使用者の腕の動き等に応じて中心軸線Cを中心として、時計方向及び反時計方向の双方向に回転する。
ボールベアリング151は、収容凹部182内に形成された軸部材183に固定された内輪152と、内輪152を囲む外輪153と、内輪152と外輪153との間に転動可能に介在された複数のボール154とを備えている。これにより、外輪153は、ボール154を介して内輪152に対して中心軸線C回りに相対回転可能とされている。外輪153の外周面には、自動巻輪列170が噛み合う回転錘かな153aが全周に亘って形成されている。
回転重錘160は、平面視扇形状に形成され、外輪153に外嵌されている。従って、回転重錘160及び外輪153は一体となって中心軸線C回りを回転可能とされている。
上述のように構成された、回転錘かな153aを有する外輪153についても、図2に示すように、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22に対して地板11の平面方向に離間して配置され、上下方向に重なることが回避されている。
図2、図5及び図6に示すように、自動巻輪列170は、外輪153の回転に伴って回転する一番仲介車190と、一番仲介車190の回転に伴って回転する二番仲介車200と、一番下段車211及び一番切換伝え車212を有し、第8軸線O8回りを回転する一番切換車210と、二番下段車221及び二番切換伝え車222を有し、第9軸線O9回りを回転する二番切換車220と、一番切換伝え車212又は二番切換伝え車222の回転に伴って一方向にのみ回転する一番伝え車230と、一番伝え車230の回転に伴って回転する二番伝え車240と、二番伝え車240の回転に伴って回転すると共に、第1香箱アセンブリ21の角穴車45に回転錘150の動力を伝える三番伝え車250と、を備えている。
なお、図5及び図6では、一番切換車210及び二番切換車220の図示を省略している。
図2及び図5に示すように、一番仲介車190は、上ほぞ部190aが第1自動巻受180に保持された穴石等の軸受によって軸支されると共に、下ほぞ部190bが第2自動巻受181に保持された穴石等の軸受によって軸支されている。一番仲介車190は、回転錘かな153aに噛み合う一番仲介歯車191と、一番仲介かな192と、を備えている。これにより、一番仲介車190は、回転錘150の回転に伴って回転可能とされている。
二番仲介車200は、上ほぞ部200aが第1自動巻受180に保持された穴石等の軸受によって軸支されていると共に、下ほぞ部200bが第2自動巻受181に保持された穴石等の軸受によって軸支されている。二番仲介車200は、一番仲介かな192に噛み合う二番仲介歯車201を備えている。これにより、二番仲介車200は、一番仲介車190の回転に伴って回転可能とされている。
図2に示すように、一番切換車210は、第8軸線O8回りに回転可能とされた車軸と、車軸に固定された一番下段車211と、車軸に対して相対回転可能に組み合わされた一番切換伝え車212と、を有している。
車軸は、第1自動巻受180及び第2自動巻受181の間に軸支されている。一番下段車211は、二番仲介歯車201に噛み合っている。これにより、一番下段車211は、二番仲介車200の回転に伴って第8軸線O8回りを回転可能とされている。
一番切換伝え車212と一番下段車211との間には、一番下段車211が第8軸線O8回りの一方向に回転したときに一番切換伝え車212を共回りさせ、一番下段車211が第8軸線O8回りの他方向に回転したときに一番切換伝え車212を空転させる、ワンウェイクラッチ等の図示しない切換機構が設けられている。
例えば一番切換伝え車212は、一番下段車211が第8軸線O8を中心に時計方向に回転したときに同方向に回転し、一番下段車211が反時計方向に回転したときに空転するように構成されている。
二番切換車220は、第9軸線O9回りに回転可能とされた車軸と、車軸に固定された二番下段車221と、車軸に対して相対回転可能に組み合わされた二番切換伝え車222と、を有している。
車軸は、第1自動巻受180及び第2自動巻受181の間に軸支されている。二番下段車221は、一番下段車211に噛み合っている。これにより、二番下段車221は、一番下段車211の回転に伴って第9軸線O9回りを回転可能とされている。
二番切換伝え車222と二番下段車221との間には、二番下段車221が第9軸線O9回りの一方向に回転したときに二番切換伝え車222を共回りさせ、二番下段車221が第8軸線O8回りの他方向に回転したときに二番切換伝え車222を空転させる、ワンウェイクラッチ等の図示しない切換機構が設けられている。
例えば二番切換伝え車222は、二番下段車221が第9軸線O9を中心に時計方向に回転したときに同方向に回転し、二番下段車221が反時計方向に回転したときに空転するように構成されている。
図2及び図6に示すように、一番伝え車230は、上ほぞ部230aが第1自動巻受180に保持された穴石等の軸受によって軸支されていると共に、下ほぞ部230bが第2自動巻受181に保持された穴石等の軸受によって軸支されている。一番伝え車230は、一番切換伝え車212及び二番切換伝え車222の両方に噛み合う一番伝え歯車231と、一番伝えかな232と、を備えている。
上述のように一番切換車210及び二番切換車220が構成されているので、例えば回転錘150の回転によって、一番下段車211が第8軸線O8を中心に時計方向に回転した場合には、一番切換伝え車212が第8軸線O8を中心に時計方向に回転する。そして二番下段車221が、一番下段車211の回転に伴って第9軸線O9を中心に反時計方向に回転するので、二番切換伝え車222は空転する。従って、一番伝え車230は一番切換伝え車212の回転に伴って反時計方向に回転する。
その反対に、回転錘150の回転によって、一番下段車211が第8軸線O8を中心に反時計方向に回転した場合には、一番切換伝え車212は空転する。そして二番下段車221が、一番下段車211の回転に伴って第9軸線O9を中心に時計方向に回転するので、二番切換伝え車222が第9軸線O9を中心に時計方向に回転する。従って、一番伝え車230は二番切換伝え車222の回転に伴って反時計方向に回転する。
このように、一番伝え車230は、回転錘150の回転方向に関係なく、常に一方向(上述の場合には反時計方向)に回転するように構成されている。
二番伝え車240は、上ほぞ部240aが第1自動巻受180に保持された穴石等の軸受によって軸支されていると共に、下ほぞ部240bが第2自動巻受181に保持された穴石等の軸受によって軸支されている。二番伝え車240は、一番伝えかな232に噛み合う二番伝え歯車241と、二番伝えかな242と、を備えている。これにより、二番伝え車240は一番伝え車230の回転に伴って回転する。
三番伝え車250は、上ほぞ部250aが第1自動巻受180に保持された穴石等の軸受によって軸支されていると共に、下ほぞ部250bが第2自動巻受181に保持された穴石等の軸受によって軸支されている。三番伝え車250は、二番伝えかな242に噛み合う三番伝え歯車251と、第1香箱アセンブリ21の角穴車45に噛み合う三番伝えかな252とを備えている。これにより、三番伝え車250は、二番伝え車240の回転に伴って回転すると共に、回転錘150から伝わってきた動力を角穴車45に伝える。
その結果、第1香箱アセンブリ21の角穴車45を第1軸線O1回りに回転させて、ぜんまい30の巻き上げを行うことが可能とされている。なお、自動巻輪列170は、三番伝え車250の回転方向が、手動巻機構17における丸穴中間車55の回転方向と同じ方向となるように、回転方向の調整がされている。
(輪列機構、ムーブメント、時計の作用)
次に、上述のように構成された輪列機構12、ムーブメント10、時計1の作用について説明する。はじめに、秒針7、分針6及び時針5の運針について簡単に説明する。
この場合には、第1香箱アセンブリ21におけるぜんまい30及び第2香箱アセンブリ22におけるぜんまい30の巻き解けに伴う出力トルクによって、図2に示す第2香箱アセンブリ22の角穴車45が回転する。これにより、伝達車110、二番車60及び三番車70を順に回転させることができる。そのため、三番車70の回転に伴って、四番車90及び分車80を回転させることができると共に、日の裏車を介して筒車100を回転させることができる。これにより、秒針7、分針6及び時針5をそれぞれ運針させることができる。
次いで、手動巻機構17によってぜんまい30を巻き上げる場合について簡単に説明する。
この場合には、巻真50を0段位置に位置させた状態で巻真50を回転操作する。これにより、丸穴中間車55を介して第1香箱アセンブリ21の角穴車45を第1軸線O1回りに回転させることができ、第1香箱アセンブリ21におけるぜんまい30を巻き上げることができる。
また、上記ぜんまい30の巻き上げに伴って第1香箱アセンブリ21の香箱車31が第1軸線O1回りに回転することで、第2香箱アセンブリ22の香箱車31が第2軸線O2回りに回転するので、該香箱車31の回転によって、第2香箱アセンブリ22におけるぜんまい30を巻き上げることができる。
次いで、自動巻機構18によってぜんまい30を巻き上げる場合について簡単に説明する。
この場合には、回転錘150が例えば使用者の腕の動きに応じて中心軸線Cを中心として二方向に適宜回転する。回転錘150が回転することで、その動力は一番仲介車190及び二番仲介車200を介して、一番切換車210の一番下段車211及び二番切換車220の二番下段車221に伝えることができるので、一番下段車211を第8軸線O8回りに回転させることができると共に、二番下段車221を第9軸線O9回りに回転させることができる。
これにより、一番下段車211及び二番切換車220の回転方向に応じて、一番切換伝え車212及び二番切換伝え車222のうちの一方の切換伝え車を回転させ、他方の切換伝え車を空転させることができる。
従って、回転錘150の回転方向に関係なく、一番伝え車230を常に一方向に回転させることができる。これにより、一番伝え車230の回転に伴って二番伝え車240及び三番伝え車250を回転させることができ、三番伝え車250を介して第1香箱アセンブリ21の角穴車45を第1軸線O1回りに回転させることができる。その結果、上述した手動巻機構17の場合と同様に、第1香箱アセンブリ21におけるぜんまい30を巻き上げることができると共に、続けて2香箱アセンブリ20におけるぜんまい30を巻き上げることができる。
特に、本実施形態の輪列機構12によれば、図2に示すように、地板11の表側に2つの香箱アセンブリ20(第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22)を具備しているので、地板11の表側における面積のうち2つの香箱車31が占める面積を増やすことができる。さらに、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22のいずれもが表輪列15に対して地板11の平面方向に離間して配置されており、表輪列15と上下方向に重なることを回避している。これにより、香箱車31の厚さを、例えば地板11と輪列受14との間の隙間分に相当する程度まで可能な限り厚くすることができると共に、香箱車31及び角穴車45の外径をできるだけ大きくすることが可能である。
これらのことから、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22におけるぜんまい30の厚さやぜんまい幅等が制約を受けてしまうことを抑制することができ、例えば出力トルクを一定に維持した場合においては、ぜんまい30の持続時間の向上化を図ることができると共に、ぜんまい30の持続時間を一定に維持した場合においては、出力トルクの増大化を図ることができる。
従って、ぜんまい30の持続時間の向上化或いは出力トルクの増大化を図ることができ、出力トルクの伝達性能に優れた輪列機構12とすることができる。
従って、この輪列機構12を具備しているムーブメント10及び時計1については、作動の信頼性が高いムーブメント及び時計とすることができる。
なお、第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22のいずれもが表輪列15に対して地板11の平面方向に離間して配置されていることに関し、噛み合いの関係上、香箱車31における香箱歯部32c或いは角穴車45における角穴歯部45aと、表輪列1を構成する各歯車の歯部とが平面方向に重なり合うことについては、本発明が意図するものではない。
例えば、二番車60における二番歯車62の歯部や、三番車70における三番歯車72の歯部が、香箱歯部32cや角穴歯部45aに対して噛み合うことで、平面的に重なる場合があるが、この点に関しては本発明が意図するものではない。この場合であっても、二番歯車62の歯部或いは三番歯車72の歯部が、例えば香箱本体32に対して上下方向への重なり合いが回避されていれば、先に述べたように香箱車31の厚さを厚くすることが可能である。
さらに、本実施形態の輪列機構12によれば、四番車90、分車80及び筒車100を地板11の中心軸線Cと同軸に配置しているので、いわゆる中三針の秒針ダイレクト駆動に対応した輪列機構12として利用することができる。
さらに、伝達車110を介して第2香箱アセンブリ22の角穴車45から二番車60に動力を伝達することができるので、例えば第2香箱アセンブリ22の角穴車45と二番車60とを直接的に噛合わせる必要がない。
この際、例えば、第2香箱アセンブリ22の角穴車45と二番車60とを、二番かな61を介して直接的に噛合わせた場合には、第2香箱アセンブリ22との干渉等を回避するために二番歯車62を小径化させる必要がある。しかしながら本実施形態では、伝達車110を具備しているので、二番かな61の位置を第2香箱アセンブリ22から遠ざけることができる。そのため、二番歯車62を大径化することが可能となり、表輪列15全体の増速比の増大化に貢献することができる。
このように、伝達車110を具備することで、第2香箱アセンブリ22から二番車60を離れた位置に配置することができ、二番かな61及び二番歯車62の径を制約少なく自由に選択することが可能となり、設計の自由度を向上することができる。それに加え、表輪列15の増速比を大きくすることが可能である。
なお、伝達車110は、先に述べたように伝達歯車111が角穴車45と同一平面内に配置されているうえ、上ほぞ部110a及び下ほぞ部110bが形成された車軸が第2香箱アセンブリ22に対して離れた位置に配置されている。従って、伝達車110が第2香箱アセンブリ22に厚さに影響を与えてしまい難い。
さらに図4に示すように、伝達車110は、張出フランジ部11aによって支持されていることで、二番歯車62に対してオーバーハングするように上方に配置されている。従って、二番歯車62の外径を、上述した伝達車110を利用することによる効果と相まって、さらに制約少なく自由に設計することが可能となり、増速比の選択自由度を向上することができる。
それに加え、伝達歯車111から上ほぞ部110a及び下ほぞ部110bまでの距離が略均等になるように伝達車110の車軸の長さを調整することが可能であるので、上ほぞ部110a及び下ほぞ部110bに対して均等に負荷を分散させ易く、どちらか一方のほぞ部に負荷が集中してしまうことを抑制することができる。
従って、どちらか一方のほぞ部が早期に摩耗してしまうことを抑制することができるうえ、ほぞ部の径を大きくする必要がないので、伝達車110の耐久性の向上化に繋げることができると共に、出力トルクの伝達効率の向上化に貢献することができる。
さらに、二番車60よりも、三番車70、四番車90、分車80及び筒車100等を仮想面Vよりも地板11側に寄せて配置しているので、地板11の中央部分において、裏輪列の高さを低く抑えつつ、表輪列15を地板11側に近い位置に配置でき、全体の高さを低く抑えることができる。従って、地板11の中央部分において、他の時計部品を配置し易くなるうえ、例えば中央部分が出っ張るような時計1となることを防止することができる。
特に、三番車70を地板11側に寄せて配置しているので、二番歯車62を、分歯車82よりも三番歯車72に近い位置で三番かな71に噛み合わせることができる。従って、二番歯車62を、三番車70における三番車軸73の軸方向の中央部付近において三番かな71に噛み合わせることができる。
通常運針時、二番歯車62と三番かな71との噛み合いによって、二番車60からの出力トルクを三番車70に伝えているので、二番歯車62と三番かな71との噛み合い部分には大きな負荷が作用する。この場合であっても、二番歯車62は、三番車軸73の軸方向の中央部付近で三番かな71に噛み合っているので、三番車70における上ほぞ部70a及び下ほぞ部70bに対して均等に負荷を分散させ易い。従って、どちらか一方のほぞ部に負荷が集中してしまうことを抑制することができ、どちらか一方のほぞ部が早期に摩耗してしまうことを抑制できる。そのため、三番車70及び表輪列15全体の耐久性の向上化に繋げることができると共に、三番車70を安定且つ精度良く回転させることができる。
このように三番車70が安定且つ精度良く回転するので、三番車70に噛み合う分車80及び四番車90についても例えばバックラッシュ等を抑制しながら精度良く回転させることができ、適切な運針を可能にしつつ、時刻に関する情報等の指示ずれを抑制することができる。
しかも、分歯車82と三番かな71との噛み合い位置、二番歯車62と三番かな71との噛み合い位置、三番歯車72と四番かな92との噛み合い位置を、地板11側からこの順番で並ぶように配置している。そのため、二番車60から三番車70に伝えられた動力を、三番車軸73の軸方向に分散させながら、分歯車82及び四番かな92にバランスよく伝えることができる。
さらに、三番車70、四番車90、分車80及び筒車100等を仮想面Vよりも地板11側に寄せて配置することによって確保された空間スペースSを利用して、自動巻機構18を設け、時計1に付加機能を与えている。従って、時計1の多機能性に貢献することが可能である。
特に、空間スペースSを有効に利用して自動巻機構18を配置しているので、時計1の中央部分が出っ張ることを抑制することができ、多機能性を有しつつ、外観性、審美性に優れた自動巻式の時計1を実現することが可能であるうえ、時計1の外観が工業的なデザインになることを防止することができる。
さらに、空間スペースSを利用して外輪153を配置しているので、図5に示すように、外輪153の高さを確保することができる。そのため、自動巻輪列170のうち回転錘かな153aに噛み合う一番仲介車190における車軸の長さを、上ほぞ部190a及び下ほぞ部190bを形成することができる分だけの長さとすることができる。これにより、上ほぞ部190a及び下ほぞ部190bを利用して、一番仲介車190を軸支(回転案内)することが可能となる。
なお、一番仲介車190の車軸の長さが短いためにほぞ部(上ほぞ部190a及び下ほぞ部190b)が形成できない場合には、いわゆるピン案内となることが多いが、ピンの場合には細径化に限界があるので、摩擦抵抗が大きく、動力損失が発生し易い。これに対して本実施形態では、上述のように一番仲介車190の車軸の長さを確保することで、上ほぞ部190a及び下ほぞ部190bを形成できるので、上ほぞ部190a及び下ほぞ部190b等の径を細くすることができ、摩擦抵抗を低減させて、伝達効率を向上することが可能となる。
さらには、図2に示すように、外輪153についても第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22に対して平面方向に離間して配置しているので、外輪153に影響されることなく、香箱車31の厚さを厚くすることができると共に、香箱車31及び角穴車45の外径を大きくすることが可能である。
さらに自動巻機構18は、第1仮想線L1上に位置する中間位置Pと、地板11の中心軸線Cとを結ぶ第2仮想線L2を基準として表輪列15とは反対側に配置されているので、空間スペースSを利用しながら表輪列15に対してバランス良く配置することができ、時計1全体の薄型等に貢献することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
例えば、上記実施形態では、2つの香箱アセンブリ20(第1香箱アセンブリ21及び第2香箱アセンブリ22)を備える輪列機構12を例に挙げて説明したが、香箱アセンブリ20の数は2つに限定されるものではなく、3つ以上備えていても構わない。
また、上記実施形態では、第1香箱アセンブリ21の香箱車31、及び第2香箱アセンブリ22の香箱車31同士を互いに噛み合わせた場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、例えば第1香箱アセンブリ21の角穴車45、及び第2香箱アセンブリ22の角穴車45同士を互いに噛み合わせても構わない。
この場合には、例えば丸穴中間車55及び三番伝え車250を、第1香箱アセンブリ21の香箱車31に噛み合うように構成し、伝達車110を、第2香箱アセンブリ22の香箱車31に噛み合うように構成すれば良い。このようにすることで、同様の作用効果を奏功することができる。
さらには、第1香箱アセンブリ21と第2香箱アセンブリ22同士を、互いの香箱車31又は角穴車45を介した直接的な噛み合いではなく、例えばアイドラー等の中間車を介した間接的な噛み合いとなるように構成しても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏功することができる。
また、上記実施形態では、第1香箱アセンブリ21と第2香箱アセンブリ22において、角穴車真40を利用して、角穴車45と香箱車31とを固定する構造としたが、この場合に限定されるものではない。例えば、角穴車45と香箱車31とをねじで固定する構造としても構わないし、固定せずに例えば角穴車45を香箱真35や香箱車31に乗せる構造でも構わない。
また、上記実施形態において、伝達車110は必須なものではなく、具備しなくても構わない。この場合には、第2香箱アセンブリ22の角穴車45に対して二番車60における二番かな61を直接噛み合うように構成すれば良い。
さらに、上記実施形態では、四番車90に秒針7を直接的に取り付けた、秒針ダイレクト駆動の場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、四番車90から他の時計用部品を経由して、地板11の中心軸線Cに対してオフセットした位置に設けた秒針7を駆動するように構成しても構わない。さらには、四番車90から他の時計用部品に動力を伝える構成としても構わない。
また、上記実施形態では、自動巻式の時計1を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではなく、自動巻機構18を具備しなくても構わない。
例えば、図8に示すように、上述した自動巻機構18を具備しない輪列機構301を備えた時計300としても構わない。特に、この場合には、図9に示すように仮想面Vの上方側に確保された空間スペースSを空けることができるので、該空間スペースSを有効的に利用して、自動巻機構18に代わる何等かの付加機能部を設けても構わない。例えばぜんまい30の巻き上げ量に関する情報(パワーリザーブ量)を明示するためのパワーリザーブ輪列を含むパワーリザーブ機構等を設けても構わない。
C…中心軸線
P…中間位置
S…空間スペース
V…仮想面
L1…第1仮想線
L2…第2仮想線
1…時計、300
10…ムーブメント
11…地板
12、301…輪列機構
15…表輪列
18…自動巻機構(付加機能部)
20…香箱アセンブリ
30…ぜんまい
31…香箱車
33…香箱蓋
45…角穴車
60…二番車
62…二番歯車
70…三番車
71…三番かな
72…三番歯車
73…三番車軸
80…分車
82…分歯車
90…四番車
92…四番かな
110…伝達車
150…回転錘
151…ボールベアリング(軸受)
153…外輪
153a…回転錘かな
170…自動巻輪列

Claims (8)

  1. 内部にぜんまいを収容すると共に、前記ぜんまいの巻き解けに伴って軸線回りに回転可能とされた香箱車と、前記ぜんまいの巻き解けに伴って、前記香箱車に対して前記軸線回りに相対回転可能とされた角穴車と、を有する複数の香箱アセンブリと、
    地板の表側に配置され、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する表輪列と、を備え、
    複数の前記香箱アセンブリは、互いに噛み合った状態で前記地板の表側に、前記地板の平面方向に離間して配置され、
    複数の前記香箱アセンブリのそれぞれは、前記表輪列に対して前記平面方向に離間して配置されていることで、前記表輪列に対する前記地板の厚さ方向への重なり合いが回避され
    前記表輪列は、
    前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する二番車と、
    前記二番車の回転に伴って回転する三番車と、
    前記三番車の回転に伴って回転する四番車と、を少なくとも有し、
    前記四番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で前記地板の中心軸線と同軸に配置され、
    前記二番車及び前記三番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で、前記中心軸線から前記平面方向にずれた位置に配置され、
    前記三番車及び前記四番車は、前記香箱車における香箱蓋に平行な仮想面よりも前記地板側に配置され、
    前記地板の前記厚さ方向において、前記仮想面を基準として前記地板の反対側には空間スペースが確保され、
    前記空間スペースには、付加機能部が配置され、
    前記付加機能部は、
    回転軸線を中心として回転可能とされた回転錘と、
    前記回転錘の回転に伴う動力を、複数の前記香箱アセンブリのいずれか1つに伝えると共に、該香箱アセンブリを一方向に回転させる自動巻輪列と、を備えた自動巻機構とされ、
    前記回転錘は、前記回転軸線と同軸に配置され、前記自動巻輪列が噛み合う回転錘かなが形成された外輪を有する軸受を備え、
    前記外輪は、前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間して配置されていることで、前記香箱アセンブリに対する前記厚さ方向への重なり合いが回避されていることを特徴とする輪列機構。
  2. 内部にぜんまいを収容すると共に、前記ぜんまいの巻き解けに伴って軸線回りに回転可能とされた香箱車と、前記ぜんまいの巻き解けに伴って、前記香箱車に対して前記軸線回りに相対回転可能とされた角穴車と、を有する複数の香箱アセンブリと、
    地板の表側に配置され、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する表輪列と、を備え、
    複数の前記香箱アセンブリは、互いに噛み合った状態で前記地板の表側に、前記地板の平面方向に離間して配置され、
    複数の前記香箱アセンブリのそれぞれは、前記表輪列に対して前記平面方向に離間して配置されていることで、前記表輪列に対する前記地板の厚さ方向への重なり合いが回避され、
    前記表輪列は、
    前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力によって回転する二番車と、
    前記二番車の回転に伴って回転する三番車と、
    前記三番車の回転に伴って回転する四番車と、を少なくとも有し、
    前記四番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で前記地板の中心軸線と同軸に配置され、
    前記二番車及び前記三番車は、複数の前記香箱アセンブリに対して前記平面方向に離間した状態で、前記中心軸線から前記平面方向にずれた位置に配置され
    前記三番車及び前記四番車は、前記香箱車における香箱蓋に平行な仮想面よりも前記地板側に配置され、
    前記地板の前記厚さ方向において、前記仮想面を基準として前記地板の反対側には空間スペースが確保され、
    前記空間スペースには、付加機能部が配置され、
    前記香箱アセンブリを2つ備え、
    前記付加機能部は、前記地板の平面視で、2つの前記香箱アセンブリの中心同士を結ぶ第1仮想線上に位置し、且つ前記香箱アセンブリの中心同士の中間に位置する中間位置と、前記地板の前記中心軸線と、を結ぶ第2仮想線を基準として前記表輪列とは反対側に配置されていることを特徴とする輪列機構。
  3. 請求項1又は2に記載の輪列機構において、
    複数の前記香箱アセンブリのいずれか1つと前記二番車との間には、前記香箱車又は前記角穴車と、前記二番車とに噛み合うと共に、前記ぜんまいの巻き解けに伴う動力を前記二番車に伝える伝達車が配置されている、輪列機構。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の輪列機構において、
    前記三番車は、
    上ほぞ部及び下ほぞ部を有する三番車軸と、
    前記三番車軸に形成され、前記二番車における二番歯車が噛み合う三番かなと、を備え、
    前記二番歯車は、前記三番車軸における軸方向の中央部で前記三番かなに噛み合っている、輪列機構。
  5. 請求項4に記載の輪列機構において、
    前記地板の中心軸線と同軸に配置され、前記三番かなに噛み合う分歯車を有する分車を備え、
    前記三番車は、前記三番車軸に形成され、前記四番車における四番かなに噛み合う三番歯車を備え、
    前記三番かなに噛み合う前記二番歯車よりも、前記地板側で前記分歯車と前記三番かなとが噛み合うと共に、前記二番歯車よりも前記地板から離れた位置で前記三番歯車と前記四番かなとが噛み合っている、輪列機構。
  6. 請求項に記載の輪列機構において、
    前記香箱アセンブリを2つ備え、
    前記付加機能部は、前記地板の平面視で、2つの前記香箱アセンブリの中心同士を結ぶ第1仮想線上に位置し、且つ前記香箱アセンブリの中心同士の中間に位置する中間位置と、前記地板の前記中心軸線と、を結ぶ第2仮想線を基準として前記表輪列とは反対側に配置されている、輪列機構。
  7. 請求項1からのいずれか1項に記載の輪列機構を備えている、ムーブメント。
  8. 請求項に記載のムーブメントを備えている、時計。
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