JP6729496B2 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents
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Description
このサイドエアバッグ装置は、エアバッグの展開及び膨張に伴いスライドするスライド部材(可動布)を備えている。エアバッグ及びスライド部材にはそれぞれ排気口(ベントホール)が開口されている。なお、上記特許文献1についての記載中、部材名称に続く括弧内の名称は、同特許文献1で使用されている部材名称である。
上記の構成によれば、エアバッグにおける排気口は側壁部の壁面に沿う方向の1つである斜め後下方に向けて開口されている。そのため、排気口から排気された膨張用ガスは、側壁部の壁面に沿いながら斜め後下方に向けて流れる。
ここで、仮に、エアバッグ内にガス発生器を挿入するための挿入口が排気口とは別に設けられると、その挿入口を通じてガス発生器がエアバッグ内に挿入された後に、その挿入口から膨張用ガスがエアバッグの外部へ漏れ出るのを抑制するためのシール構造が必要となる。
なお、以下の記載においては、車両の前進方向を前方として説明し、車両の後進方向を後方として説明する。また、車両の車幅方向における中央部を基準とし、その中央部に近づく側を「車内側」とし、中央部から遠ざかる側を「車外側」とする。また、座席には、衝突試験用のダミーと同様の体格を有する乗員が着座しているものとする。
背もたれ部14の内部には、その骨格をなすフレームが配置されている。フレームの一部は、図3(a)に示すように、背もたれ部14内の車外側の側部内に配置されており、この部分(以下「サイドフレーム部16」という)は、金属板を曲げ加工等することによって形成されている。サイドフレーム部16を含むフレームの前側には、ウレタンフォーム等の弾性材からなるパッド17が配置されている。また、フレームの後側には、合成樹脂等によって形成されたバックボード18が配置されている。なお、パッド17は表皮によって被覆されているが、図3(a)ではその表皮の図示が省略されている。
ここで、本実施形態では、エアバッグモジュールABM及びその構成部材について「上下方向」、「前後方向」というときは、座席12の背もたれ部14を基準としている。背もたれ部14の起立する方向をエアバッグモジュールABM等の「上下方向」とし、背もたれ部14の厚み方向をエアバッグモジュールABM等の「前後方向」としている。上述したように、背もたれ部14は後方へ多少傾斜していることから、エアバッグモジュールABM等の「上下方向」は厳密には車両10の上下方向(鉛直方向)と合致しておらず、多少傾斜している。同様に、エアバッグモジュールABM等の「前後方向」は、車両10の前後方向(水平方向)と合致しておらず、多少傾斜している。
図3(a)及び図5に示すように、ガス発生器30は、インフレータ31と、そのインフレータ31を覆うリテーナ32とを備えており、全体として長尺状をなしている。ここでは、インフレータ31として、パイロタイプと呼ばれるタイプが採用されている。インフレータ31は略円柱状をなしており、その内部には、膨張用ガスを発生するガス発生剤(図示略)が収容されている。インフレータ31は、その下端部にガス噴出部31aを有している。また、インフレータ31の上端部には、同インフレータ31への作動信号の入力配線となるハーネスがコネクタ(いずれも図示略)を介して接続されている。
図5は、エアバッグ40が展開のみされて膨張されていない状態のエアバッグモジュールABMを示している。エアバッグ40のこの状態を、以下「展開非膨張状態」というものとする。また、図4は、エアバッグ40の構成部材等を、それぞれ分解して平面状に展開させた状態で示している。
なお、エアバッグ40は、1枚の布片によって構成されてもよい。この場合、布片の車幅方向における中央部分に折り線が設定され、この折り線に沿って布片が二つ折りされて車幅方向に重ね合わされる。その重ね合わされた部分が袋状となるように周縁結合部によって結合されることでエアバッグ40が形成される。
図3(b)及び図10に示すように、両フラップ部43,44の基端部(布部41,42の残部との境界部分)間であって、周縁結合部45によって結合されていない箇所は、挿入口46を構成している。挿入口46は、ガス発生器30をエアバッグ40内に挿入したり、その挿入されたガス発生器30に接続されたハーネスをエアバッグ40の外部へ引き出したりするために使用される。
エアバッグ40内には、いずれも上記布部41,42と同様のシート材によって形成された複数枚の補強布53,54,61,65が配置されている。
上記エアバッグ40、補強布53,54,61及びガス発生器30は、ボルト33においてサイドフレーム部16に取付けられる。詳細については後述する。
さらに、図4、図5及び図9に示すように、エアバッグ40には開口可変機構70が設けられている。開口可変機構70は、エアバッグ40の展開及び膨張の後期には初期よりも排気口52の開口面積が小さくなるように、同開口面積を調整するための機構である。
他方のシート部は、車外側の布部42の後下端部から、斜め後下方へ上記短尺シート部71よりも長く延びる長尺シート部72により構成されている。ここで、短尺シート部71及び長尺シート部72の布部41,42から延びる方向の寸法を「長さ」とし、短尺シート部71の面に沿う方向であって、上記短尺シート部71及び長尺シート部72の延びる方向に対し直交する方向の寸法を「幅」とする。長尺シート部72は、短尺シート部71と同一又はそれに近い幅を有し、短尺シート部71の3倍程度の長さを有している。
図4〜図6に示すように、主分岐テザー83の後下端部は、エアバッグ40から露出されている。主分岐テザー83の露出部分は、対向シート部73に対し排気口52から遠ざかる側(車外側)へ折り返されて、端末シート部76に対し、同側から重ねられている。主分岐テザー83の重ねられた部分は、端末シート部76の中間シート部74から遠い側の端部に対し、結合部89により結合されている。
条件1:エアバッグ40の展開及び膨張の初期に主テザー81が緩ませられたとき、中間シート部74及び端末シート部76を、対向シート部73を挟んで排気口52とは反対側(車外側)に位置させ、かつ短尺シート部71及び対向シート部73を離隔し得るように、主テザー81が端末シート部76に結合される長さであること(図6参照)。
条件3:エアバッグ40の展開及び膨張の初期に補助テザー86が緩ませられたとき、短尺シート部71が対向シート部73から離隔し得るように、補助テザー86が短尺シート部71に結合される長さであること(図6参照)。
短尺シート部71及び長尺シート部72の上記図6及び図7の形態は、エアバッグモジュールABMの製造に際し、次の作業を行なうことで得られる。
側壁部11に対し、側方から衝撃が加わったことが衝撃センサ101によって検出されないときには、制御装置102からガス発生器30に対し、これを作動させるための作動信号が出力されず、ガス噴出部31aから膨張用ガスが噴出されない。図3(a),(b)に示すように、エアバッグ40は、収納用形態で収納部21に収納され続ける。
上記のように中間シート部74及び端末シート部76が反転された形態では、図13(d)に示すように、排気口52を挟んで短尺シート部71とは反対側には対向シート部73が位置する。短尺シート部71及び対向シート部73の間の排気方向における下流には、中間シート部74が位置する。短尺シート部71の排気口52とは反対側には、端末シート部76が位置する。このようにして、排気口52が閉塞されたような状態になる。
・上記特許文献1に記載されたサイドエアバッグ装置では、エアバッグの展開及び膨張の初期から、同エアバッグの排気口の近くにスライド部材が位置し、これが排気口からの膨張用ガスの排気を阻害するおそれがある。
なお、主テザー81及び補助テザー86は、長尺帯状の布片を用いて形成されている。しかも、その布片は二つ折りされて、さらに幅の小さな帯状にされている。そのため、主テザー81及び補助テザー86が排気を阻害する程度は、上記特許文献1におけるスライド部材が排気を阻害する程度に比べると無視できるほど小さい。
・開口可変機構70を構成する短尺シート部71、長尺シート部72、主テザー81及び補助テザー86はいずれも可撓性を有するシート材によって形成されている。そのため、これらの部材をエアバッグ40と一緒に、容易に折り畳むことができる。
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変形例として実施することもできる。
・図3(b)における一対のフラップ部43,44のうち、車内側のフラップ部43が省略されてもよい。この場合であっても、車外側のフラップ部44を、車内側へ折り返してボルト33に係止することで、挿入口46を閉塞することができる。
・上記実施形態のように、エアバッグ40内にガス発生器30を挿入するための挿入口46が排気口52とは別に設けられると、その挿入口46を通じてガス発生器30がエアバッグ40内に挿入された後に、挿入口46から膨張用ガスがエアバッグ40の外部へ漏れ出るのを抑制するためのシール構造が必要となる。上記実施形態では、一対のフラップ部43,44が設けられて、これらが車内側へ折り返されてボルト33に係止されることで挿入口46が閉塞されるシール構造が採用されている。
<エアバッグ40について>
・エアバッグ40は、その略全体が上記実施形態のように膨張するものであってもよいが、膨張用ガスが供給されず膨張することのない非膨張部を一部に有するものであってもよい。
・エアバッグ40の展開及び膨張の後期に、排気口52の位置等の関係により、短尺シート部71の先端部が排気口52から遠ざかるように同短尺シート部71が膨らまない、又は膨らみにくい場合には、補助テザー86が省略されてもよい。
・共通テザー82の前上端部は、布部41,42のいずれか一方に結合されてもよい。
・排気口52が側壁部11の壁面に沿う方向に向けて開口することを条件に、エアバッグ40における排気口52の位置が、上記実施形態(後下端部)とは異なる箇所に変更されてもよい。
・排気口52がエアバッグ40の複数箇所に設けられ、排気口52毎に開口可変機構70が設けられてもよい。
・車内側の布部41とは別の布片によって短尺シート部71が構成されてもよい。同様に、車外側の布部42とは別の布片によって長尺シート部72が構成されてもよい。これらの場合には、短尺シート部71が車内側の布部41に結合され、長尺シート部72が対向シート部73において車外側の布部42に結合される。
<補強布について>
・補強布53,54,61,65の少なくとも1つが省略されてもよい。
<収納部21について>
・座席12の背もたれ部14に代えて側壁部11に収納部21が設けられ、ここにエアバッグモジュールABMが組込まれてもよい。
・上記サイドエアバッグ装置は、前席に限らず後席にも適用可能である。この場合、後席に対応する側壁部11は、サイドドア(リヤドア)の後部、Cピラー、タイヤハウスの前部、リヤクォータ等である。
・上記サイドエアバッグ装置が適用される車両には、自家用車に限らず各種産業車両も含まれる。
Claims (7)
- 車両の座席に正規の姿勢で着座している乗員の側方に設けられた収納部に収納され、前記車両の側壁部に側方から加わる衝撃に応じてガス発生器から供給される膨張用ガスにより、前記乗員と前記側壁部との間を前方へ向けて展開及び膨張するエアバッグを備え、
前記エアバッグには、膨張用ガスを排気するための排気口が開口され、
さらに、前記エアバッグの展開及び膨張の後期には初期よりも前記排気口の開口面積を小さくする開口可変機構が設けられたサイドエアバッグ装置であって、
前記排気口は、前記側壁部の壁面に沿う方向に向けて開口されているサイドエアバッグ装置。 - 前記開口可変機構は、前記エアバッグから延びて前記排気口を挟んで相対向する一対のシート部と、主要部が前記エアバッグ内に配置された長尺帯状のテザーとを備え、
一方のシート部は、帯状の短尺シート部により構成され、他方のシート部は、前記エアバッグから前記短尺シート部よりも長く延びる長尺シート部により構成され、
前記長尺シート部は、前記排気口を挟んで前記短尺シート部とは反対側に配置された帯状の対向シート部と、前記対向シート部に対し前記排気口とは反対側に重ねられた帯状の中間シート部と、前記中間シート部に対し前記対向シート部とは反対側に重ねられた帯状の端末シート部とを備え、
前記短尺シート部及び前記長尺シート部は、前記短尺シート部の面に沿う方向であって前記排気口を挟んで相対向する箇所で結合されており、
前記テザーの一方の端部は前記エアバッグに結合され、他方の端部は、前記排気口を通じて前記エアバッグの外部に配置されて、前記端末シート部の前記中間シート部から遠い側の端部に結合され、
前記開口可変機構は、前記エアバッグの展開及び膨張の初期には前記テザーを緩ませて、前記短尺シート部及び前記対向シート部を離隔可能にする一方、後期には前記テザーを緊張させて、前記端末シート部において前記長尺シート部を排気口側へ引っ張るとともに、前記排気口を通じて排気される膨張用ガスを、前記中間シート部と前記端末シート部との間に入り込ませることで、前記中間シート部及び前記端末シート部を、前記短尺シート部を挟んで前記排気口とは反対側に回り込ませるものである請求項1に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記テザーの長さは、前記エアバッグの展開及び膨張の後期に同テザーが緊張させられたとき、前記端末シート部が前記短尺シート部における前記排気口とは反対側の面に圧接し得るように、前記テザーが前記端末シート部を引っ張る長さに設定されている請求項2に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記テザーを主テザーとした場合において、
前記開口可変機構は、主要部が前記エアバッグ内に配置された長尺帯状の補助テザーをさらに備え、
前記補助テザーの一方の端部は前記エアバッグに結合され、他方の端部は、前記排気口を通じて前記エアバッグの外部に配置されて、前記短尺シート部の先端部に結合され、
前記補助テザーの長さは、前記エアバッグの展開及び膨張の後期に同補助テザーが緊張させられたとき、前記短尺シート部における前記排気口とは反対側の面を前記端末シート部に圧接可能とし、かつ前記短尺シート部が前記端末シート部側へ膨らむのを規制するように、前記補助テザーが前記短尺シート部を引っ張る長さに設定されている請求項3に記載のサイドエアバッグ装置。 - 前記排気口は、斜め後下方に向けて開口されている請求項1〜4のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記排気口は、前記座席の背もたれ部における車外側の側部を構成するサイドサポート部の前端縁よりも後方に配置されている請求項5に記載のサイドエアバッグ装置。
- 前記排気口は、前記エアバッグ内に前記ガス発生器を挿入するための挿入口を兼ねている請求項1〜6のいずれか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
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