JP6729451B2 - 電力変換器制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、並列接続された複数のパワー素子を備えた電力変換器を制御する電力変換器制御装置に関する。
従来、電流経路に大電流が流れる電力変換器において、例えば交流インバータの各相上下アームのスイッチを、定格の低い複数のパワー素子を並列接続することで構成する技術が知られている。このような構成では、パワー素子の特性ばらつき等についてバランスを確保することが求められる。
例えば特許文献1に開示された装置は、パワー素子(IGBT)のセンスエミッタ電流を電圧変換し演算した結果に基づいて駆動信号を調整することで、パワー素子毎の電流アンバランスを緩和する。
特開2013−17092号公報
インバータが構成される回路で大電流の伝送経路として用いられるバスバー等の配線部材にはインダクタンス成分が含まれる。並列接続された複数のパワー素子のエミッタ電位のばらつきが大きいと、配線部材のインダクタンス成分とパワー素子の容量成分とによる共振が発生する。その結果、パワー素子の耐久性低下を招くおそれがある。
しかし、特許文献1の従来技術のようなセンス端子を用いたセンス電圧検出方式では、エミッタ端子間の電位差を検出することができない。したがって、複数のパワー素子間のエミッタ電位がばらつくことによって発生する共振による素子劣化を防ぐことができない。
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、複数のパワー素子が並列接続された構成において、エミッタ電位のアンバランスにより発生する共振による素子劣化を抑制する電力変換器制御装置を提供することにある。
本発明は、複数のパワー素子のスイッチング動作により電力を変換し負荷(80)に通電する電力変換器(100)の制御装置に係る発明である。
電力変換器の各電流経路においてパワー電流の通電又は遮断を切り替え可能な1つ以上のスイッチ機能部(101−106)は、複数のパワー素子(11−16、21−26)が並列接続されて構成されている。複数のパワー素子は、エミッタ側からコレクタ側への通電を許容するダイオード(18、28)が付随している。
この電力変換器制御装置は、電位差検出回路(70)と、駆動回路(561、562)とを備える。
電位差検出回路は、並列接続された複数のパワー素子のうちから選択された2個の制御対象素子について、エミッタ電位差(ΔVke)を検出する。
駆動回路は、電位差検出回路が検出したエミッタ電位差に基づき、2個の制御対象素子のエミッタ電位を互いに近づける方向に、少なくとも1個の制御対象素子へ出力するゲート信号に係るゲート指令値を制御する。
本発明は、従来技術のようにセンス電圧を検出するのではなく、並列接続された2個の制御対象素子のエミッタ電位差を検出し、2個の制御対象素子のエミッタ電位を互いに近づける方向にゲート指令値を制御する。これにより、2個の制御対象素子間でのエミッタ電位のアンバランスにより発生する共振による素子劣化を抑制することができる。よって、電力変換器の信頼性が向上する。
本発明の第1の態様では、ゲート指令値の制御方法として、駆動回路は、エミッタ電位差に対する一つ以上の正閾値(Vref+)、及び一つ以上の負閾値(Vref−)を有しており、エミッタ電位差がいずれかの正閾値を上回るか、いずれかの負閾値を下回ったとき、ゲート指令値を変更する
本発明の第2の態様の電力変換器制御装置は、負荷として、車両の動力源であるモータジェネレータに通電する電力変換器の制御に用いられる。電位差検出回路は、モータジェネレータに通電されるパワー素子の出力電流の情報を取得し、パワー素子の出力電流が車両の加速時に通電される電流値より低いとき、エミッタ電位差を検出する。
第1実施形態による電力変換器制御装置が適用されるMG駆動システムの全体図。 第1実施形態による電位差検出回路及び駆動回路の模式図。 パワー素子に流れるリカバリ電流を説明する図。 電力変換器の電流経路が有するインダクタンス成分を示すモデル図。 図4のモデル図において素子耐久性低下のメカニズムを説明する図(1)。 図4のモデル図において素子耐久性低下のメカニズムを説明する図(2)。 第1実施形態の駆動回路によるゲート電流の調整を示すタイムチャート。 パワー素子電流の大きさとリカバリ電流との関係、 車両走行モードとパワー素子電流との関係を示す図。 第2実施形態による電位差検出回路及び駆動回路の模式図。 第3実施形態による駆動回路の模式図。 第4実施形態による駆動回路の模式図。 第5実施形態による駆動回路の模式図。 第6実施形態による駆動回路の模式図。 第7実施形態による電位差検出回路及び駆動回路の模式図。 エミッタ電位差とゲート指令値((a)ゲート電流、(b)ゲート電圧、(c)ゲート抵抗)との関係を示す図。
以下、電力変換器制御装置の複数の実施形態を図面に基づいて説明する。複数の実施形態において実質的に同一の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。各実施形態の電力変換器制御装置は、例えば、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源であるモータジェネレータ(以下「MG」)を駆動するシステムにおいて、「電力変換器」としてのインバータを構成する複数のパワー素子のスイッチングを制御する。
(第1実施形態)
第1実施形態について、図1〜図9を参照して説明する。
[システム構成]
まず、第1実施形態の電力変換器制御装置が適用されるMG駆動システムの全体構成について図1を参照して説明する。図1には、一つのMGを備えるMG駆動システム90を例示するが、二つ以上のMGを備えたMG駆動システムにも同様に適用可能である。
インバータ100は、充放電可能な二次電池であるバッテリ91の直流電力を三相交流電力に変換し、負荷としてのMG80に供給する。インバータ100の入力部には、平滑コンデンサ92が設けられる。
MG80は、例えば永久磁石式同期型の三相交流モータである。MG80は、車両の駆動輪を駆動するトルクを発生する電動機としての機能、及び、駆動輪やハイブリッド自動車のエンジンから伝達されるトルクにより発電する発電機としての機能を兼ね備える。
MG80の三相巻線81、82、83のうち二相の巻線に接続される電流経路には、相電流を検出する電流センサが設けられる。図1の例では、V相巻線82及びW相巻線83に接続される電流経路に、それぞれ相電流Iv、Iwを検出する電流センサ87、88が設けられており、残るU相の電流Iuをキルヒホッフの法則に基づいて推定している。他の実施形態では、どの二相の電流を検出してもよく、三相の電流を検出してもよい。或いは、一相の電流検出値に基づいて他の二相の電流を推定する技術を採用してもよい。
なお、本明細書では、ロータ電気角の検出に関する説明を省略する。
インバータ100は、各電流経路においてパワー電流の通電又は遮断を切り替え可能な複数のスイッチ機能部101−106を含む。詳しくは、スイッチ機能部101、102、103は、それぞれU相、V相、W相の上アームのスイッチ機能を有し、スイッチ機能部104、105、106は、それぞれU相、V相、W相の下アームのスイッチ機能を有する。各スイッチ機能部101−106は、「並列接続された複数のパワー素子」で構成されている。
図1の例では、U相上アームのスイッチ機能部101は、並列接続された2個のパワー素子11、21で構成されている。同様に、他の5つのスイッチ機能部102−106は、符号の末尾数字を共通とするパワー素子12−16とパワー素子22−26とが並列接続されて構成されている。
パワー素子11−16、21−26は、例えばIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)であり、基本的に、電気的性能が互いに同等であるものが用いられる。特に大電流が要求されるインバータ100において、定格の大きな専用のパワー素子を用いるのでなく、標準品のパワー素子を複数並列接続して使用することにより、設計の標準化に有利となる。
各パワー素子11−16、21−26には、低電位側のエミッタ側から高電位側のコレクタ側への通電を許容するダイオードとして、フライホイールダイオード(又は、還流ダイオード)が付随している。このフライホイールダイオードに関しては、図2を参照して後述する。
各スイッチ機能部101−106のパワー素子11−16、21−26のゲートには、それぞれ、対応する駆動回路51−56からゲート信号が指令される。なお、本明細書では、FETのゲート端子に準じ、IGBTにおけるベース端子も「ゲート」と呼ぶ。
また、エミッタ端子は、特許文献1(特開2013−17092号公報)等の従来技術で電流検出に用いられるセンスエミッタ端子と明確に区別するため、「ケルビンエミッタ端子」と記す。センスエミッタ端子には、パワー素子の出力電流であるコレクタ−エミッタ電流に比例し、且つ出力電流より小さい電流が流れる。そして、センスエミッタ端子に接続されたセンス抵抗の両端電圧がセンス電圧として検出される。
一方、コレクタ端子とケルビンエミッタ端子との間には、コレクタ−エミッタ電流が流れる。ここで、基準電位(0V)に対して直接検出されるケルビンエミッタ端子の電位を「エミッタ電位」と定義する。なお、図1には、エミッタ電位の検出に関する構成の図示を省略する。
マイコン50は、図示しないCPU、ROM、I/O、及び、これらの構成を接続するバスライン等を内部に備え、予め記憶されたプログラムをCPUで実行することによるソフトウェア処理や、専用の電子回路によるハードウェア処理による制御を実行する。
マイコン50には、図1に示す電流センサ87、88からの相電流Iv、Iwの情報の他、MG80の電気角の情報や、上位ECUからのトルク指令等が入力される。
マイコン50は、これらの指令やフィードバック情報に基づき、ベクトル制御を用いた電流フィードバック制御等によりインバータ100への電圧指令値を演算し、各駆動回路51−56に出力する。マイコン50によるモータ制御の技術は周知技術であるため、詳細な説明を省略する。
本実施形態では、マイコン50と各駆動回路51−56とを合わせた一群の制御回路が「電力変換器制御装置」を構成する。
次に図2を参照し、図1では図示を省略したエミッタ電位の検出構成等について説明する。図2では、インバータ100の6個のスイッチ機能部101−106のうち、パワー素子16、26により構成されるW相下アームのスイッチ機能部106の符号を代表として用いる。なお、図2に示す構成は、他のスイッチ機能部101−105についても同様である。
ところで、現実の回路実装では、インバータ100の電流経路は、パワーカード、バスバー、基板パターン等により構成される。例えば、二点鎖線の丸枠で示すように、パワー素子16、26のコレクタ端子及びエミッタ端子に直結する箇所はパワーカードで構成される。二点鎖線の菱形枠で示すように、二つのパワーカード同士をつなぐ箇所はバスバーで構成される。二点鎖線の四角枠で示すように、駆動回路561からの配線は、基板パターンで構成される。
電位差検出回路70は、差動アンプにより構成される。電位差検出回路70は、2個のパワー素子16、26のエミッタ電位Vke_1、Vke_2が入力され、その差分であるエミッタ電位差ΔVkeを出力する。エミッタ電位Vke_1、Vke_2の大小により、エミッタ電位差ΔVkeは、正負の値を取る。
駆動回路561のコンパレータ77は、エミッタ電位差ΔVkeを正閾値Vref+と比較し、コンパレータ78は、エミッタ電位差ΔVkeを負閾値Vref−と比較する。
正閾値Vref+及び負閾値Vref−は、互いに絶対値の等しい正負の値である。エミッタ電位差ΔVkeが正のとき、コンパレータ77による正閾値Vref+との比較に意義があり、エミッタ電位差ΔVkeが負のとき、コンパレータ78による負閾値Vref−との比較に意義がある。駆動回路561に関するその他の説明は後述する。
また、各パワー素子16、26には、図1では符号の記載を省略したフライホイールダイオード18、28が付随する。フライホイールダイオード18、28は、エミッタ側からコレクタ側への通電を許容する。フライホイールダイオード18、28としては、一般整流ダイオードや高速整流ダイオード(FRD)が用いられる。
ここで、図3を参照し、フライホイールダイオード18、28に流れるリカバリ電流について説明する。図3の縦軸は、パワー素子電流Iceを示す。
W相下アームのパワー素子16、26のフライホイールダイオード18、28還流中において、時刻t0にパワー素子13、23をオフの状態からターンオンする。すると、コレクタ側がエミッタ側よりも高電位となり、フライホイールダイオード18、28に印加される電圧極性が逆バイアスに変化する。しかし、時刻t0から時刻t1まで、逆方向に通電する期間が存在する。この期間をリカバリ期間Trc(又は、逆回復期間)といい、このときフライホイールダイオード18、28に流れる逆流方向の電流をリカバリ電流(又は、逆回復電流)という。
つまり、時刻t0から時刻t1までの期間、パワー素子13、23の本体に流れる電流にリカバリ電流を加えた電流が流れるため、パワー素子電流Iceにピーク値が現れる。リカバリが完了した時刻t1からパワー素子13、23がターンオフされる時刻t2までの間は、パワー素子13、23の本体に流れる電流のみがパワー素子電流Iceとなる。
ところで、並列接続された2個のパワー素子16、26、及び付随するフライホイールダイオード18、28は、基本的に、電気的性能が互いに同等であるものが用いられる。しかし、部品の特性や基板実装でのばらつきにより、オン時の電流にアンバランスが生じる可能性がある。例えば、実線で示すパワー素子電流Ice_1は、破線で示すパワー素子電流Ice_2よりも大きく、電流差ΔIceが生じている。この状態が継続すると、より大きな電流が流れるパワー素子の劣化が早く進行するおそれがある。
次に、本実施形態が解決しようとする課題に関し、図4〜図6を参照して説明する。
図4には、一相の上下アームのスイッチ機能部について、回路各部の電流経路が有するインダクタンス成分をモデル的に示す。図4中の符号として、図1のW相上下アームのスイッチ機能部103、106のパワー素子13、23、16、26、及び駆動回路53、56を例示する。上アームのパワー素子13、23のコレクタは、高電位ラインPに接続され、下アームのパワー素子16、26のエミッタは、低電位ラインNに接続される。
図2と同様に、図4において、二点鎖線の丸枠、菱形枠、四角枠は、それぞれ、パワーカード、バスバー、基板パターンで構成される箇所を示す。これらのパワーカード、バスバー、基板パターンは、インダクタンス成分を有している。このインダクタンス成分は、共振現象の要因となる可能性がある。
続いて、2個のパワー素子が並列接続されたインバータにおける素子耐久性低下のメカニズムについて、図5、図6を参照する。電流アンバランスによる素子の耐久性低下は、次のようなメカニズムで起きると考えられる。
図5のタイミング1及び図6のタイミング3、5の実線矢印は、パワー素子16又は26に流れる電流を示す。図5のタイミング2及び図6のタイミング4のブロック矢印は、パワー素子16、26のエミッタ間に発生した電位差により低電位側のバスバーに流れる電流を示す。
(1)上アームのパワー素子13、23のターンオン時に、下アームのパワー素子16、26に付随するフライホイールダイオード18、28にリカバリ電流が流れる。
(2)フライホイールダイオード18、28の特性ばらつき等により、リカバリに至るタイミングは、第2のフライホイールダイオード28が第1のフライホイールダイオード18よりも早いと仮定すると、このとき、リカバリに至るタイミングが早い第2のフライホイールダイオード28に電流が集中する(図5のタイミング1)。
(3)(2)のリカバリ完了時に、第2の素子26のエミッタ電位Vke_2が第1の素子16のエミッタ電位Vke_1よりも低くなり(Vke_1>Vke_2)、エミッタ間に電位差ΔVkeが発生する(図5のタイミング2)。
(4)リカバリに至るタイミングが遅い第1のフライホイールダイオード18に電流が集中する(図6のタイミング3)。
(5)(4)のリカバリ完了時に、第1の素子16のエミッタ電位Vke_1が第2の素子26のエミッタ電位Vke_2よりも低くなり(Vke_1<Vke_2)、エミッタ間に電位差ΔVkeが発生する(図6のタイミング4)。
(6)エミッタ電位差ΔVkeの発生により、バスバー、基板のエミッタに電流が流れる。すると、パワー素子に蓄積された電荷による容量成分(C)と、インバータの電流経路を構成するパワーカード、バスバー、基板等のインダクタンス成分(L)とによる共振が発生する。この共振により、パワー素子の耐久性低下に至る(図6のタイミング5)。
この問題に対し、本実施形態は、並列接続されたパワー素子間のリカバリ電流のアンバランスによって生じる共振による素子劣化を抑制することを課題とする。
その解決手段として、電位差検出回路70は、並列接続された2個のパワー素子16、26間のエミッタ電位差ΔVkeを、リカバリ電流が流れるタイミングに検出する。そして、コンパレータ77、78により、エミッタ電位差ΔVkeが正閾値Vref+を上回るか、負閾値Vref−を下回ったことが検出されると、駆動回路561は、常時、2個のパワー素子16、26のバランスを調整するように制御する。
そこで、並列接続された2個のパワー素子16、26を、適宜、「制御対象素子16、26」という。また、2個の制御対象素子16、26を区別して説明するとき、「第1対象素子16」及び「第2対象素子26」という。
なお、後述の第7実施形態のように3個以上のパワー素子が並列接続される構成では、3個以上の中から選択された2個のパワー素子が、一回のバランス調整処理における制御対象素子となる。すなわち、一回のバランス調整処理においては、3個以上のパワー素子のうち特定の2個が「制御対象素子」として扱われ、その他のパワー素子は制御対象から除外される。それに対し、2個のパワー素子が並列接続される構成では、2個のうち2個を選択する組み合わせは一通りしかないため、「制御対象素子」は常に固定される。
続いて、駆動回路561の構成及び作用を説明する。ここで、図1のスイッチ機能部106に対応する駆動回路の符号「56」に対し、図2に示す第1実施形態の駆動回路の符号を「561」とし、図10に示す第2実施形態の駆動回路の符号を「562」とする。
駆動回路561は、制御対象素子16、26のエミッタ電位Vke_1、Vke_2を互いに近づけるように、制御対象素子16、26に出力されるゲート信号に係る「ゲート指令値」を制御する。
ところで、バランス調整において最も好ましい処理は、制御対象素子16、26のエミッタ電位Vke_1、Vke_2を均等とすることである。しかし、厳密な均等化を実現することは、部品点数や制御演算量の制約により限界がある。そこで、駆動回路561は、バランス調整前に対し、少なくとも制御対象素子16、26のエミッタ電位Vke_1、Vke_2を互いに近づけるようにゲート指令値を制御すればよい。
第1実施形態による定電流駆動方式の駆動回路561は、コンパレータ77、78及び電流調整回路601を含む。コンパレータ77は、正のエミッタ電位差ΔVkeが正閾値Vref+を上回ったとき、電流調整回路601にアンバランス信号Subを出力する。コンパレータ78は、負のエミッタ電位差ΔVkeが負閾値Vref−を下回ったとき、電流調整回路601にアンバランス信号Subを出力する。
また、電流調整回路601は、エミッタ電位差ΔVkeを取得し、制御対象素子16、26のエミッタ電位Vke_1、Vke_2のどちらがどれだけ大きいかを把握する。なお、取得されたエミッタ電位差ΔVkeは、バランス調整の他に異常判定等に用いられてもよい。
電流調整回路601は、ゲート抵抗17を介して第1対象素子16のゲートG1に接続される第1経路611のゲート電流Ig_1、及び、ゲート抵抗27を介して第2対象素子26のゲートG2に接続される第2経路612のゲート電流Ig_2を可変に調整可能である。コンパレータ77、78からアンバランス信号Subが入力されると、電流調整回路601は、制御対象素子16、26の出力電流を互いに近づける方向にゲート電流Ig_1、Ig_2を変更する。このように、第1実施形態の駆動回路561は、ゲート指令値としてゲート電流Ig_1、Ig_2を制御する。
次に、図7のタイムチャートを参照し、駆動回路561によるバランス調整処理の具体例を説明する。ここでは、一般に「n回目」及び「(n+1)回目」のスイッチング周期(図中「SW周期」)を、便宜上、「今回」及び「次回」のスイッチング周期という。図7には、今回及び次回のスイッチング周期におけるゲート電流Ig_1、Ig_2、パワー素子電流Ice_1、Ice_2、及び、エミッタ電位差ΔVkeの変化を示す。ここで、第2対象素子26のエミッタ電位Vke_2から制御対象素子16のエミッタ電位Vke_1を差し引いた値をエミッタ電位差ΔVke(=Vke_2−Vke_1)とする。
ゲート電流Ig_1、Ig_2は、今回スイッチング周期の時刻t10から時刻t11まで、及び、次回スイッチング周期の時刻t20から時刻t21まで、制御対象素子16、26をターンオンさせる方向に流れる。また、ゲート電流Ig_1、Ig_2は、今回スイッチング周期の時刻t12から時刻t13まで、及び、次回スイッチング周期の時刻t22から時刻t23まで、制御対象素子16、26をターンオフさせる方向に流れる。
今回スイッチング周期のターンオン時に流れる電流Ig_1、Ig_2は同等である。このとき、エミッタ電位差ΔVkeは正である。つまり、第2対象素子26のエミッタ電位Vke_2は、第1対象素子16のエミッタ電位Vke_1より高く、第2対象素子26の素子電流Ice_2は、第1対象素子16の素子電流Ice_1より小さい。また、エミッタ電位差ΔVkeが正閾値Vref+を上回っているため、コンパレータ77は、電流調整回路601にアンバランス信号Subを出力する。
ここで、アンバランス信号Subが出力された時刻t10から時刻t11までの同一パルス期間内にゲート指令値を切り替えることは、応答速度の点から困難である。したがって、駆動回路561は、コンパレータ77、78によりアンバランス信号Subが出力されたスイッチング周期の「次回以降のスイッチング周期」における制御対象素子16、26のターンオン時に、ゲート指令値であるゲート電流Ig_1、Ig_2を変更する。
図7に示す例は、すぐ次回のスイッチング周期にゲート指令値を変更することで、迅速なバランス調整を実現する。ただし、駆動回路561は、例えばアンバランス信号Subが出力されたスイッチング周期の数周期後のスイッチング周期にゲート指令値を変更してもよい。
電流調整回路601は、エミッタ電位Vke_2が相対的に高い第2対象素子26に通電されるゲート電流Ig_2を相対的に大きくする。言い換えれば、電流調整回路601は、エミッタ電位Vke_1が相対的に低い第1対象素子16に通電されるゲート電流Ig_1を相対的に小さくする。
その結果、第2対象素子26の素子電流Ice_2は、二点鎖線で示すように、立ち上がりの傾きが急になる。すなわち、第2対象素子26のターンオン時スイッチング速度が相対的に速くなる。一方、第1対象素子16の素子電流Ice_1は、一点鎖線で示すように、立ち上がりの傾きが緩やかになる。すなわち、第1対象素子16のターンオン時スイッチング速度が相対的に遅くなる。また、エミッタ電位差ΔVkeは、0に近づく。なお、次回スイッチング周期における細実線及び細破線は、今回スイッチング周期の素子電流Ice_1、Ice_2を参照として示すものである。
なお、2個の制御対象素子16、26のゲート電流Ig_1、Ig_2を共に変更する例に限らず、いずれか一方の制御対象素子のゲート電流のみを変更し、他方の制御対象素子のゲート電流を維持してもよい。例えば、第2対象素子26のゲート電流Ig_2のみを大きく変更することにより、第1対象素子16のゲート電流Ig_1が「相対的に」小さくなればよい。
(効果)
複数のパワー素子が並列接続された構成において、パワー素子のセンスエミッタ電流を電圧変換し演算した結果に基づいて駆動信号を調整する特許文献1の従来技術では、ケルビンエミッタ端子間の電位差を検出することができない。したがって、複数のパワー素子間のエミッタ電位がばらつくことによって発生する共振による素子劣化を防ぐことができない。それに対し、本実施形態では、並列接続された2個の制御対象素子16、26のエミッタ電位差ΔVkeを検出し、エミッタ電位Vkeを互いに近づける方向にゲート指令値を制御する。これにより、エミッタ電位Vkeのアンバランスにより発生する共振による制御対象素子16、26の劣化を抑制することができる。
また、駆動回路561がゲート指令値を変更する時期は、エミッタ電位差ΔVkeが正閾値Vref+を上回るか、負閾値Vref−を下回ったことが検出されたスイッチング周期の次回以降のスイッチング周期のターンオン時である。これにより、応答速度の点から現実的に制御可能な構成とすることができる。
さらに第1実施形態では、エミッタ電位差ΔVkeを正負閾値Vref+、vref−と比較し、その大小関係によって、ゲート指令値を段階的に切り替える。有限個の指令値を切り替える処理とすることで、制御演算の負荷を低減することができる。
次に、第1実施形態を実施する上での補足事項について列挙する。
(エミッタ電位差の検出結果に基づくゲート指令値の変更)
エミッタ電位Vkeの検出周期の一周期毎にエミッタ電位差ΔVkeに基づいて都度ゲート指令値を変更する他、複数回のエミッタ電位差ΔVkeの検出結果を記憶しておき、複数回の情報に基づいてゲート指令値を変更するようにしてもよい。例えば複数回のエミッタ電位差ΔVkeの平均値や最大値等の情報を用いることが考えられる。複数回の情報に基づくことで、制御演算量を低減し、効率的なバランス調整を実現することができる。
(エミッタ電位差の検出時期)
図8(a)に示すように、リカバリ電流とリカバリ完了後の電流差ΔIrcは、大電流時よりも低電流時の方が大きくなる。また、図6(b)に示すように、パワー素子電流Iceとエミッタ電位差ΔVkeとの間には比例関係がある。したがって、リカバリ電流が流れるタイミングでのエミッタ電位Vke_1、Vke_2の検出は、パワー素子16、26の出力電流Ice_1、Ice_2が比較的小さいときに実行することが好ましい。そして、パワー素子電流Iceの低電流時にエミッタ電位差ΔVkeを検出した後の所定期間は、素子電流Iceの大きさに関係なくその判定結果を維持するようにしてもよい。
また、電気自動車やハイブリッド自動車の動力源であるMG80を駆動するシステムを想定し、図9に、車両走行モードとパワー素子電流Iceとの関係を示す。電流が低い方から、「車両始動時」、「通常走行時」、「加速時、登坂時」、「異常時」の順となる。
このうち、エミッタ電位差ΔVkeの検出に適した時期は、加速時、登坂時よりもパワー素子電流Iceが低いときである。
そこで、電位差検出回路70は、MG80に通電されるパワー素子の出力電流Iceの情報を取得し、パワー素子の出力電流Iceが車両の加速時に通電される電流値より低いとき、エミッタ電位差ΔVkeを検出する。具体的には、電位差検出回路70は、パワー素子の出力電流Iceが車両始動時又は通常走行時に通電される電流値の範囲にあるとき、エミッタ電位差ΔVkeを検出する。これにより、リカバリ電流によって生ずるエミッタ電位差ΔVkeをより効果的に検出することができる。
(閾値の設定)
エミッタ電位差ΔVkeの正負閾値Vref+、Vref−は、絶対値がパワー素子の破壊点以下の電位差となるように設定される。また、電圧、電流、温度等の環境条件に応じて、正負閾値Vref+、Vref−を調整してもよい。
さらに、複数の正閾値及び複数の負閾値を設定し、条件に応じて切り替えてもよい。この場合、複数の正閾値及び複数の負閾値は、互いに絶対値の等しい値の複数の組であることが好ましい。例えば素子の劣化に関わる絶対値が相対的に大きい第1レベルの閾値と、損失悪化に関わる絶対値が相対的に小さい第2レベルの閾値とを設定する。第1レベルの閾値による判定は常時実施し、第2レベルの閾値による判定は、通常走行時にのみ実施するようにしてもよい。
ここで、「通常走行時」とは、例えば以下の規定等に基づき定義される。
(1)日本の法令で定められたJC08モードの規定
(2)国際的に定められた排出ガス試験方法であるWLTPの規定
(3)パワー素子、モータ、パワー素子制御用基板等、モータ駆動に関連する部品が故障無く正常に動作している状態。「故障無く正常に動作している」とは、パワー素子の過電流、短絡やモータの短絡等の故障により大電流が流れている状態ではないことを意味する。
次に、駆動回路の構成に係るバリエーションを第2〜第6実施形態として説明する。
(第2実施形態)
図10に示す第2実施形態の駆動回路562は、図2に示す定電流駆動方式の駆動回路561に対し、定電圧駆動方式の駆動回路である。
駆動回路562は、駆動電源621、622、及び、電圧調整回路602を含む。駆動電源621、622は、それぞれゲート抵抗17、27を介して制御対象素子16、26のゲートG1、G2に接続されている。駆動電源621、622の電圧であるゲート電圧Vg_1、Vg_2は、それぞれゲートG1、G2に印加される。
駆動回路562は、「ゲート指令値」として、ゲート電圧Vg_1、Vg_2を調整する。つまり、電圧調整回路602は、コンパレータ77、78からアンバランス信号Subが入力されると、制御対象素子16、26の出力電流を互いに近づける方向にゲート電圧Vg_1、Vg_2を可変に調整する。
図7の例に準ずると、電圧調整回路602は、エミッタ電位Vke_2が相対的に高い第2対象素子26に印加されるゲート電圧Vg_2を相対的に大きくすることにより、第2対象素子26のターンオン時スイッチング速度を相対的に速くする。言い換えれば、電圧調整回路602は、エミッタ電位Vke_1が相対的に低い第1対象素子16に印加されるゲート電圧Vg_1を相対的に小さくすることにより、第1対象素子16のターンオン時スイッチング速度を相対的に遅くする。これによる作用効果は、第1実施形態と同様である。
(第3、第4実施形態)
駆動回路の詳細構成に係る第3、第4実施形態を図11、図12に示す。第3、第4実施形態は、それぞれ、定電流駆動方式及び定電圧駆動方式の構成において、制御対象素子16、26に接続されるゲート抵抗を可変としたものである。
第3実施形態の定電流駆動方式の駆動回路は、図2に示す駆動回路561の破線枠XAの部分に、図11に示す破線枠XBの部分を置き換えたものである。
駆動回路が生成したゲート信号は、第1対象素子16のゲートG1、及び、第2対象素子26のゲートG2へ出力される。以下の図12〜図14で同様とする。
電流調整回路603は、ゲートG1に接続される複数のサブ回路651、652が並列に設けられており、且つ、ゲートG2に接続される複数のサブ回路653、654が並列に設けられている。各サブ回路651、652、653、654は、基準電圧部66、コンパレータ67、FET68、及び、電流調整用のゲート抵抗Rg_nから構成される。
ここで、ゲート抵抗Rg_nの「n」は、サブ回路の符号3桁目の数字と同じ1〜4の数字を意味する。サブ回路651のゲート抵抗Rg_1の抵抗値とサブ回路652のRg_2の抵抗値とは互いに異なる。サブ回路653のゲート抵抗Rg_3の抵抗値とサブ回路654のRg_4の抵抗値とは互いに異なる。
基準電圧部66の高電位側、及びゲート抵抗Rg_nの一端には端子電圧Vomが印加される。コンパレータ67の−入力端子は、ゲート抵抗Rg_nとFET68のドレインとの間に接続され、+入力端子は、基準電圧部66の低電位側に接続される。コンパレータ67の出力端子は、FET68のゲートに接続される。FET68がオンしたとき、ゲートG1、G2に流れる電流は、ゲート抵抗Rg_nの抵抗値によって調整される。
アンバランス信号Subが入力されると、電流調整回路603は、制御対象素子16、26のエミッタ電位Vkeを互いに近づける方向に、ゲート信号の生成に用いるサブ回路を切り替えることにより、信号出力経路のゲート抵抗Rg_nを切り替える。電流調整回路603によるこの動作を、簡単に「ゲート抵抗を切り替える」という。
電圧調整回路603は、エミッタ電位Vkeが相対的に高い制御対象素子に接続されるゲート抵抗Rg_nを相対的に小さくし、エミッタ電位Vkeが相対的に低い制御対象素子に接続されるゲート抵抗Rg_nを相対的に大きくする。
第4実施形態の定電圧駆動方式の駆動回路は、図10に示す駆動回路562の破線枠YAの部分に、図12に示す破線枠YBの部分を置き換えたものである。
電圧調整回路604とゲートG1との間には、互いに抵抗値の異なる複数のゲート抵抗Rg_1、Rg_2が並列に接続される。電圧調整回路604とゲートG2との間には、互いに抵抗値の異なる複数のゲート抵抗Rg_3、Rg_4が並列に接続される。
アンバランス信号Subが入力されると、電圧調整回路604は、制御対象素子16、26の出力電流Iceを互いに近づける方向に、ゲート抵抗Rg_1〜Rg_4が接続された信号出力経路を切り替える。電圧調整回路604によるこの動作を、簡単に「ゲート抵抗を切り替える」という。
具体的なゲート抵抗Rg_nの変更方法は、第3実施形態と同様である。
(第5、第6実施形態)
駆動回路の詳細構成に係る第5、第6実施形態を図13、図14に示す。第5、第6実施形態は、それぞれ定電流駆動及び定電圧駆動の構成において、制御対象素子16、26に接続されるゲート抵抗としてトリミング抵抗を用いたものである。この第5、第6実施形態は、製造段階での初期調整に適している。
第5実施形態の定電流駆動方式の駆動回路は、図2に示す駆動回路561の破線枠XAの部分に、図13に示す破線枠XCの部分を置き換えたものである。
電流調整回路605は、ゲートG1に接続されるサブ回路655、及び、ゲートG2に接続される複数の回路656が設けられている。各サブ回路655、656は、基準電圧部66、コンパレータ67、FET68、及び、電流調整用のトリミング抵抗Rg_5又はRg_6から構成される。
サブ回路655、656は、ゲート抵抗がトリミング抵抗で構成される点を除き、第3実施形態と同様である。FET68がオンしたとき、ゲートG1、G2に流れる電流は、トリミング抵抗Rg_5、Rg_6によって可変に調整される。
例えば製造段階の検査で、制御対象素子16、26のエミッタ電位差ΔVkeの絶対値が正負閾値Vref+、Vref−の絶対値より大きいとき、エミッタ電位Vke_1、Vke_2を互いに近づけるように、各サブ回路655、656のトリミング抵抗Rg_5、Rg_6が調整される。
これにより第5実施形態では、並列接続された複数のパワー素子のターンオン時の出力電流のバランスが良好な状態で製品を出荷することができ、製品の信頼性を向上させることができる。
第6実施形態の定電圧駆動方式の駆動回路は、図10に示す駆動回路562の破線枠YAの部分に、図14に示す破線枠YCの部分を置き換えたものである。
電圧調整回路606とゲートG1との間には、抵抗値を可変に調整可能なトリミング抵抗Rg_5が接続される。電圧調整回路606とゲートG2との間には、トリミング抵抗Rg_6が接続される。
第6実施形態の作用効果は、第5実施形態と同様である。
(第7実施形態)
次に、3個のパワー素子16、26、36が並列接続されて一つのスイッチ機能部を構成する電力変換器に用いられる駆動回路の例を、第7実施形態として図15に示す。
第3のパワー素子36についてのフライホイールダイオード38、ゲートG3、ケルビンエミッタ端子KE3、エミッタ電位Vke_3等の符号や記号は、パワー素子16、26に準ずる。
なお、特許請求の範囲における括弧内の参照符号には、第7実施形態にのみ用いられる符号の記載を省略する。
第1実施形態に準ずる定電流駆動方式の駆動回路567は、電流調整回路607、及びコンパレータ771、781、772、782、773、783を含む。電流調整回路607は、第1実施形態の電流調整回路601に加え、ゲート抵抗37を介してパワー素子36のゲートG3に接続される第3経路613のゲート電流Ig_3を可変に調整可能である。
なお、駆動回路の方式として第2実施形態に準ずる定電圧駆動方式を採用してもよい。
この形態では、3個のパワー素子から2個を選択した「制御対象素子」が以下のように3組生成され、その3組に対して、それぞれバランス調整処理が施される。
第1組の制御対象素子:パワー素子16、26
第2組の制御対象素子:パワー素子16、36
第3組の制御対象素子:パワー素子26、36
電位差検出回路701、702、703は、それぞれ、第1組、第2組、第3組の制御対象素子のエミッタ電位差ΔVke1-2、ΔVke1-3、ΔVke2-3を検出する。
コンパレータ771、772、773は、それぞれ、第1組、第2組、第3組の制御対象素子のエミッタ電位差ΔVke1-2、ΔVke1-3、ΔVke2-3が正閾値Vref+を上回ったとき、アンバランス信号Subを出力する。
コンパレータ781、782、783は、それぞれ、第1組、第2組、第3組の制御対象素子のエミッタ電位差ΔVke1-2、ΔVke1-3、ΔVke2-3が負閾値Vref−を下回ったとき、アンバランス信号Subを出力する。
電流調整回路607は、各組の制御対象素子について、アンバランス信号Subが出力されたときゲート指令値を変更する。
各組の制御対象素子に対するバランス調整処理は、同じ回数ずつ順番にローテーションして実施されてもよい。或いは、過去のアンバランス発生頻度等に応じて処理回数に差をつけてもよい。
このように、一つのスイッチ機能部が3個以上のパワー素子が並列接続されて構成される電力変換器に対しても、上記各実施形態のバランス調整を同様に実行可能である。
(第8実施形態)
第8実施形態について図16を参照して説明する。
上記第1〜第7実施形態は、電位差検出回路70が検出したエミッタ電位差ΔVkeを正負閾値Vref+、Vref−と比較し、エミッタ電位差ΔVkeが正閾値Vref+を上回るか、負閾値Vref−を下回ったとき、ゲート指令値を段階的に切り替える。
これに対し、第8実施形態の駆動回路は、エミッタ電位差ΔVkeとゲート指令値との関係を規定した数式やマップ等の情報を予め記憶しており、電位差検出回路70から取得したエミッタ電位差ΔVkeに応じて、ゲート指令値を設定する。
図16(a)、(b)、(c)には、エミッタ電位差ΔVkeと、ゲート指令値であるゲート電流Ig、ゲート電圧Vg、ゲート抵抗Rgとの関係を示す。図16の横軸において、エミッタ電位差ΔVkeは、第2対象素子26のエミッタ電位Vke_2から第1対象素子16のエミッタ電位Vke_1を減じた値(Vke_2−Vke_1)と定義する。すなわち、エミッタ電位差ΔVkeが正のとき、第2対象素子26のエミッタ電位Vke_2が第1対象素子16のエミッタ電位Vke_1に比べて高いことを意味する。また、エミッタ電位差ΔVkeが0のとき、2個の制御対象素子16、26に対するゲート指令値は同等とする。
図16(a)に示す、ゲート指令値がゲート電流Igである場合、駆動回路は、エミッタ電位差ΔVkeが大きいほど第1対象素子16に通電されるゲート電流Ig_1を減少させ、第2対象素子26に通電されるゲート電流Ig_2を増加させるように設定する。
図16(b)に示す、ゲート指令値がゲート電圧Vgである場合、駆動回路は、エミッタ電位差ΔVkeが大きいほど第1対象素子16に印加されるゲート電圧Vg_1を減少させ、第2対象素子26に印加されるゲート電圧Vg_2を増加させるように設定する。
図16(c)に示す、ゲート指令値がゲート抵抗Rgである場合、駆動回路は、エミッタ電位差ΔVkeが大きいほど第1対象素子16に接続されるゲート抵抗Rg_1を増加させ、第2対象素子26に接続されるゲート抵抗Rg_2を減少させるように設定する。
このように第8実施形態では、エミッタ電位差ΔVkeに応じて、ゲート指令値を細かく設定することができる。
(その他の実施形態)
(a)並列接続される複数のパワー素子は、上記実施形態で例示したIGBT以外に、SiC素子やGaN素子等でもよい。パワー素子に付随するダイオードは、フライホイールダイオードに限らず、ショットキーバリアダイオードやMOSFETの内蔵ダイオード等、リカバリ電流が流れるダイオードであればよい。
(b)本発明が適用される電力変換器は、インバータに限らず、バッテリとインバータとの間に接続されバッテリの直流電圧を昇圧する昇圧コンバータや、低電圧側と高電圧側との間で双方向に昇圧及び降圧可能な昇降圧コンバータ等でもよい。また、交流インバータの場合、三相に限らず、四相以上の多相交流インバータにも同様に適用可能である。
(c)電力変換器の負荷は、ハイブリッド自動車や電気自動車の動力源として用いられるモータジェネレータに限らず、車両の補機用や、車両以外の電車、昇降機、一般機械用等のモータでもよく、或いは、モータ以外の負荷であってもよい。大電流に対応するため複数のパワー素子を並列接続して用いる電力変換器であれば、本発明の効果は同様に発揮される。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
100・・インバータ(電力変換器)、
101−106・・・スイッチ機能部、
11−16、21−26・・・パワー素子、
18、28・・・フライホイールダイオード、
561、562・・・駆動回路、
70・・・電位差検出回路、
80・・・モータジェネレータ(負荷)。

Claims (14)

  1. 複数のパワー素子のスイッチング動作により電力を変換し負荷(80)に通電する電力変換器(100)の制御装置であって、
    前記電力変換器の各電流経路においてパワー電流の通電又は遮断を切り替え可能な1つ以上のスイッチ機能部(101−106)は、エミッタ側からコレクタ側への通電を許容するダイオード(18、28)が付随する複数のパワー素子(11−16、21−26)が並列接続されて構成されており、
    並列接続された前記複数のパワー素子のうちから選択された2個の制御対象素子について、エミッタ電位の差分であるエミッタ電位差(ΔVke)を検出する電位差検出回路(70)と、
    前記電位差検出回路が検出した前記エミッタ電位差に基づき、2個の前記制御対象素子のエミッタ電位を互いに近づける方向に、少なくとも1個の前記制御対象素子へ出力するゲート信号に係るゲート指令値を制御する駆動回路(561、562)と、
    を備え
    前記駆動回路は、前記エミッタ電位差に対する一つ以上の正閾値(Vref+)、及び一つ以上の負閾値(Vref−)を有しており、
    前記エミッタ電位差がいずれかの前記正閾値を上回るか、いずれかの前記負閾値を下回ったとき、少なくとも1個の前記制御対象素子に対する前記ゲート指令値を変更する電力変換器制御装置。
  2. 前記一つ以上の正閾値、及び、前記一つ以上の負閾値は、互いに絶対値の等しい正負の値の一つ以上の組である請求項に記載の電力変換器制御装置。
  3. 前記駆動回路は、前記エミッタ電位差がいずれかの前記正閾値を上回るか、いずれかの前記負閾値を下回ったことが検出されたスイッチング周期の次回以降のスイッチング周期における前記制御対象素子のターンオン時に、前記ゲート指令値を変更する請求項またはに記載の電力変換器制御装置。
  4. 前記駆動回路は、前記エミッタ電位差がいずれかの前記正閾値を上回るか、いずれかの前記負閾値を下回ったとき、
    エミッタ電位が相対的に高い前記制御対象素子のターンオン時スイッチング速度を相対的に速くするように前記ゲート指令値を変更する請求項のいずれか一項に記載の電力変換器制御装置。
  5. 前記ゲート指令値はゲート電流であり、
    前記駆動回路は、前記エミッタ電位差がいずれかの前記正閾値を上回るか、いずれかの前記負閾値を下回ったとき、
    エミッタ電位が相対的に高い前記制御対象素子に通電されるゲート電流を相対的に大きくするようにゲート電流を変更する請求項に記載の電力変換器制御装置。
  6. 前記ゲート指令値はゲート電圧であり、
    前記駆動回路は、前記エミッタ電位差がいずれかの前記正閾値を上回るか、いずれかの前記負閾値を下回ったとき、
    エミッタ電位が相対的に高い前記制御対象素子に印加されるゲート電圧を相対的に大きくするようにゲート電圧を変更する請求項に記載の電力変換器制御装置。
  7. 前記ゲート指令値はゲート抵抗であり、
    前記駆動回路は、前記エミッタ電位差がいずれかの前記正閾値を上回るか、いずれかの前記負閾値を下回ったとき、
    エミッタ電位が相対的に高い前記制御対象素子に接続されるゲート抵抗を相対的に小さくするようにゲート抵抗を変更する請求項に記載の電力変換器制御装置。
  8. 前記負荷として、車両の動力源であるモータジェネレータに通電する電力変換器の制御に用いられ、
    前記電位差検出回路は、
    前記モータジェネレータに通電される前記パワー素子の出力電流の情報を取得し、前記パワー素子の出力電流が車両の加速時に通電される電流値より低いとき、前記エミッタ電位差を検出する請求項1〜のいずれか一項に記載の電力変換器制御装置。
  9. 複数のパワー素子のスイッチング動作により電力を変換し負荷(80)として、車両の動力源であるモータジェネレータに通電する電力変換器(100)の制御装置であって、
    前記電力変換器の各電流経路においてパワー電流の通電又は遮断を切り替え可能な1つ以上のスイッチ機能部(101−106)は、エミッタ側からコレクタ側への通電を許容するダイオード(18、28)が付随する複数のパワー素子(11−16、21−26)が並列接続されて構成されており、
    並列接続された前記複数のパワー素子のうちから選択された2個の制御対象素子について、エミッタ電位の差分であるエミッタ電位差(ΔVke)を検出する電位差検出回路(70)と、
    前記電位差検出回路が検出した前記エミッタ電位差に基づき、2個の前記制御対象素子のエミッタ電位を互いに近づける方向に、少なくとも1個の前記制御対象素子へ出力するゲート信号に係るゲート指令値を制御する駆動回路(561、562)と、
    を備え
    前記電位差検出回路は、
    前記モータジェネレータに通電される前記パワー素子の出力電流の情報を取得し、前記パワー素子の出力電流が車両の加速時に通電される電流値より低いとき、前記エミッタ電位差を検出する電力変換器制御装置。
  10. 前記駆動回路は、
    前記エミッタ電位差と、前記制御対象素子に対する前記ゲート指令値との関係を予め規定した情報を有しており、検出された前記エミッタ電位差に応じて前記ゲート指令値を設定する請求項に記載の電力変換器制御装置。
  11. 前記ゲート指令値は、前記制御対象素子に通電されるゲート電流である請求項10に記載の電力変換器制御装置。
  12. 前記ゲート指令値は、前記制御対象素子に印加されるゲート電圧である請求項10に記載の電力変換器制御装置。
  13. 前記ゲート指令値は、前記制御対象素子に接続されるゲート抵抗である請求項10に記載の電力変換器制御装置。
  14. 前記電位差検出回路は、
    前記パワー素子の出力電流が、車両始動時又は通常走行時に通電される電流値の範囲にあるとき、前記エミッタ電位差を検出する請求項8〜13のいずれか一項に記載の電力変換器制御装置。
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