JP6728646B2 - パラフィン系組成物及び蓄熱材 - Google Patents

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本発明は、パラフィン系組成物に関し、詳しくは、相転移時の潜熱量、使用温度での形状保持性、及びパラフィンの耐ブリードアウト性に優れるだけでなく、更に加工温度における流動性にも優れ、特性バランスに優れたパラフィン系組成物、及び当該パラフィン系組成物を用いて得られる蓄熱材に関する。
蓄熱とは、物質に熱を蓄え、必要に応じてその熱を取り出す仕組みのことである。この仕組みには、効率よくエネルギーを利用できるという利点が有るので、空調設備や建築材料、保温容器、保冷剤、コンクリート等、幅広い分野に適用されている。
蓄熱方式には、例えば相転移熱を利用した潜熱蓄熱、比熱を利用した顕熱蓄熱、化学反応時の吸熱・発熱を利用した化学蓄熱等が挙げられる。中でも蓄熱密度(効率)や耐久性、コスト、安全性、加工性において潜熱蓄熱方式が優れていることから、近年、その使用範囲が拡大されている。
潜熱蓄熱材料としては、例えばパラフィン、水(氷)、無機水和塩等が主に挙げられる。中でも使用目的に応じた温度設定のし易さや、臭気が低く、安定性が高い(長期寿命である)等の観点から、パラフィン系潜熱蓄熱材が、多く使用されている。パラフィンとは、脂肪族飽和炭化水素(アルカン)の総称であり、主鎖の炭素数に応じて融点が異なるため、最適な種類のパラフィンを選択することで、使用目的に応じた相転移温度の設定が可能となる。
一方でパラフィンは、融解状態での粘度が低く、構造体の一部として使用した際に漏れ出す可能性がある。更にパラフィンは液体の状態では引火性を有する危険物であるので、パラフィンが融解しても漏れ出しを防ぐ対策が必要となる。
パラフィンの漏れ出しを防ぐ方法としては、容器や袋に収納する方法があるが、十分な強度を有する容器を使用した場合には、構造体の大型化やコストが嵩む等の問題が生ずるために実用的ではない。また袋を使用した場合には、袋の破損やピンホールの発生等によりパラフィンが漏れ出す懸念がある。
その他のパラフィンの漏出防止方法としては、パラフィンをマイクロカプセルに封入する方法や、パラフィンに架橋剤を添加し架橋する方法が知られている。マイクロカプセルを使用する方法は、パラフィンの漏れ出し防止が十分とは言い難く、またマイクロカプセル間にできる空隙によって単位体積当たりの潜熱量(潜熱密度)が低下するという課題がある。
一方、パラフィンを架橋する方法は、電子線架橋や熱架橋を経る必要があるために製造コストが高くなり、更には常温における剛性が高くなる為にハンドリング性が低下し、製造時に影響が生じたり、適用できる製品が限定される等の課題がある。
このような課題に対して、パラフィンに熱可塑性樹脂を添加し、パラフィンの融点を超えても形状を保持する方法が古くから知られている。特に、オレフィン系樹脂は、パラフィンと構造が類似しているため、馴染みが良い、構造(側鎖、分子量等)によってゲルの物性を制御しやすい、安価で経済性にも優れるという点で、古くから多くの検討がなされてきた。
特許文献1には、炭化水素(パラフィン)と、C8分の長さの側鎖を有する直鎖状低密度ポリエチレンを主成分とするゲル状物からなる蓄熱材について記載されており、該蓄熱材は柔軟性に優れる旨の記載がある。
そして、このような蓄熱材を利用した温調パネルや床構造については、各種提案がなされており、例えば、特許文献2には、外殻を構成するシェル内に蓄熱材を充填し、主板面に温水流通用配管の収容用溝を形成した蓄熱ボードが、特許文献3には、蓄熱層と発熱層が設けられた床構造が記載されている。
特開2006−316194号公報 特開2012−26597号公報 特開2004−176983号公報
特許文献1では、C8分の長さの側鎖を有する直鎖状低密度ポリエチレンを使用しており、この直鎖状低密度ポリエチレンの側鎖のサイズが蓄熱用炭化水素の炭素鎖のサイズと似通っているために、添加量が少なくても安定したゲルが得られるとの記載がある。
しかしながら、特許文献1の蓄熱材では、低密度直鎖状ポリエチレンと蓄熱用炭化水素が均一に混ざって相溶化している場合、特に直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化度が高い場合には、低密度直鎖状ポリエチレンの結晶化に伴って蓄熱用炭化水素が排斥され、蓄熱用炭化水素が析出すなわちブリードアウトする恐れがある。一方で、直鎖状低密度ポリエチレンの結晶化度が低すぎると、ゲルとして形状を保持できなくなるという問題も生じる。更に、特許文献1に記載の低密度直鎖状ポリエチレンは融点が高く、蓄熱ゲルの加工温度付近においても十分に流動しないため、蓄熱材を精密な形状にすることが困難であったり、生産性が低下したり、気泡が混入して蓄熱材全体として潜熱量が低下する等、ゲルの性能や生産性、加工性に様々な問題が生じる。
この様に、従来の技術では、オレフィン系樹脂によってパラフィンの形状保持性と耐ブリードアウト性、加工時の流動性を両立することが困難であった。
本発明は、上記従来の問題点を解決し、相転移時の潜熱量、使用温度での形状保持性、及びパラフィンの耐ブリードアウト性に優れるだけでなく、更に加工温度における流動性にも優れ、特性バランスに優れたパラフィン系組成物と、このパラフィン系組成物を用いた蓄熱材を提供することを課題とする。
本発明者らが鋭意検討を行った結果、パラフィン化合物に、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するオレフィン系ブロック共重合体であって、特定の質量平均分子量(Mw)を有するオレフィン系ブロック共重合体を配合することによって、相転移時の潜熱量、使用温度での形状保持性、及びパラフィン化合物の耐ブリードアウト性に優れるだけでなく、更に、使用時よりもより高温となる加工温度領域における流動性にも優れ、特性バランスに優れた蓄熱性組成物となることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、パラフィン化合物(A)と、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するオレフィン系ブロック共重合体(B)とを含み、前記オレフィン系ブロック共重合体(B)が質量平均分子量(Mw)150,000以上であることを特徴とするパラフィン系組成物、このパラフィン系組成物を用いてなる蓄熱材、及びこの蓄熱材が床材内に充填されてなる床材、並びにこの床材と放熱マット又は放熱パネルとを少なくとも備えてなる床構造に関するものである。
本発明によれば、パラフィン相転移時の潜熱量を維持した上で、室温からパラフィンの融点を超えた広範な使用温度域において、包袋等への封入等の加工時に充分な流動性を維持し、且つパラフィンの漏れ出しを防ぐだけの形状保持性とパラフィンのブリードアウト抑制効果を併せ持つ、蓄熱材としての使用に優れた安定性と蓄熱性能を発現することができるパラフィン系組成物および蓄熱材が提供される。
また、本発明によれば、この蓄熱材を用いて得られる床材が提供される。
さらに、本発明によれば、この床材と、放熱マット又は放熱パネルとを備える、蓄熱性、品質安定性に優れた床冷暖房用等の床構造が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のパラフィン系組成物は、パラフィン化合物(A)と、特定のオレフィン系ブロック共重合体(B)を含むものである。
なお、本発明における相転移とは、液体から固体、または、固体から液体への相転移を意味し、相転移温度は相転移する温度を意味する。
[メカニズム]
本発明のパラフィン系組成物は、パラフィン化合物(A)と、ハードセグメント及びソフトセグメントを有し、特定の質量平均分子量(Mw)を有するオレフィン系ブロック共重合体(B)とを含む。
本発明のパラフィン系組成物のゲル化の機構としては、オレフィン系ブロック共重合体(B)のハードセグメントを架橋点とする網目構造内にパラフィン化合物(A)が取り込まれ、固定されることでゲルを生じると考えられる。そのため、オレフィン系ブロック共重合体(B)がガラス状態またはゴム状態の温度域ではパラフィン化合物(A)が強固に固定される一方、オレフィン系ブロック共重合体(B)の流動域においては、オレフィン系ブロック共重合体(B)の分子鎖の運動性の増大に伴ってゲル自体の流動性も増大する。結果として、形状保持性や流動性に優れたゲルを得ることができる。
また、オレフィン系ブロック共重合体(B)が結晶化する際には、主にハードセグメントが結晶化し、パラフィン化合物(A)は非晶状態のソフトセグメントの網目構造内に取り込まれた状態であるため、ブリードアウトを抑制することができる。
これに対して、特許文献1に記載されるような直鎖状低密度ポリエチレン等のオレフィン系共重合体は、各セグメントがブロックを形成していないため、網目状構造を取る事が出来ず、パラフィンと混合した際にブリードアウトの抑制や形状保持性に効果を発揮することが難しい。
[パラフィン化合物(A)]
本発明に用いるパラフィン化合物(A)としては、脂肪族飽和炭化水素(アルカン)が挙げられる。パラフィン化合物(A)としては、脂肪族飽和炭化水素(アルカン)であれば特に制限されないが、安全性や使用温度の観点から、常温において液体または固体のものが好ましい。中でも、主鎖の炭素数が10〜30個の飽和炭化水素、特に直鎖状飽和炭化水素を用いることで、相転移温度を実用温度域において任意に選択でき、幅広い用途で好適に使用できる。
直鎖状飽和炭化水素の具体例(炭素数/融点)としては、デカン(10個/−30℃)、ウンデカン(11個/−26℃)、ドデカン(12個/−12℃)、トリデカン(13個/−5℃)、テトラデカン(14個/6℃)、ペンタデカン(15個/10℃)、ヘキサデカン(16個/18℃)、ヘプタデカン(17個/21℃)、オクタデカン(18個/28℃)、ノナデカン(19個/32℃)、イコサン(20個/37℃)、ヘンイコサン(21個/41℃)、ドコサン(22個/44℃)、トリコサン(23個/47℃)、テトラコサン(24個/51℃)、ペンタコサン(25個/53℃)、ヘキサコサン(26個/57℃)、ヘプタコサン(27個/58℃)、オクタコサン(28個/62℃)、ノナコサン(29個/64℃)、トリアコンタン(30個/66℃)等が挙げられる。
これらのうち、後述のオレフィン系ブロック共重合体(B)を併用することによる流動性を維持した上での形状保持性の向上効果及びブリードアウトの抑制効果の観点から、本発明は、炭素数が比較的少なく、室温以下に融点を有し、形状保持性とブリードアウトの抑制の両立が困難な、パラフィン化合物(A)、例えば炭素数10〜26個、中でも好ましくは10〜24個の比較的低融点のパラフィン化合物(A)を用いる場合に有効である。
本発明において、上記のパラフィン化合物(A)は一種類を単独で用いてもよいし、二種類以上を組み合わせて用いても良い。また、直鎖状飽和炭化水素の代わりに、分岐鎖を有する分岐状飽和炭化水素を用いても良い。
パラフィン化合物(A)の相転移時の潜熱量は、100J/g以上であることが好ましく、120J/g以上であることがより好ましく、140J/g以上であることが更に好ましく、160J/gであることが特に好ましい。パラフィン化合物(A)の潜熱量が上記下限以上であれば、オレフィン系ブロック共重合体(B)とのブレンド後でも蓄熱材としてより優れた蓄熱性能を発揮することができる。
なお、本発明においてパラフィン化合物(A)の潜熱量は、後述の実施例の項に記載の方法で結晶融解熱量(ΔHm)として測定される。
本発明のパラフィン系組成物に占める前記パラフィン化合物(A)の割合は、パラフィン化合物(A)とオレフィン系ブロック共重合体(B)との合計(100質量%)に対するパラフィン化合物(A)の割合として70〜98質量%であることが好ましく、75〜96質量%であることがより好ましく、80〜94質量%であることが更に好ましい。パラフィン化合物(A)の割合がかかる範囲であれば、潜熱量と流動性を維持したまま形状保持性を付与すると共に、パラフィン化合物(A)のブリードアウトを抑制することがより容易にできる。
[オレフィン系ブロック共重合体(B)]
本発明に用いるオレフィン系ブロック共重合体(B)は、ハードセグメント及びソフトセグメントを有し、質量平均分子量(Mw)が150,000以上の条件を満たすものである。
オレフィン系ブロック共重合体(B)が特定の質量平均分子量(Mw)を有することにより、形状保持性、潜熱量、加工時の流動性、耐ブリードアウト性に優れるパラフィン系組成物を得ることができる。
本発明で用いるオレフィン系ブロック共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は150,000以上、好ましくは200,000以上、500,000以下であり、より好ましくは220,000以上、450,000以下であり、特に好ましくは250,000以上、400,000以下である。
オレフィン系ブロック共重合体(B)の分子量は、高分子鎖同士の絡み合いに関係し、ひいてはパラフィン系組成物の形状保持性、耐ブリードアウト性及び流動性に大きく寄与する。質量平均分子量(Mw)が150,000以上であれば、パラフィン系組成物の形状保持性が十分なものとなり、また、脆さも改善されやすい。一方、質量平均分子量(Mw)が500,000以下であれば、パラフィン化合物(A)の耐ブリードアウト性、パラフィン系組成物加工時の流動性により優れる傾向となる。
尚、オレフィン系ブロック共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、標準ポリスチレン換算によりを求めた値である。測定にはo−ジクロロベンゼンを溶媒として用い、測定装置には日本ウォーターズ社製「Alliance GPCV−2000」を用いる。具体的には、以下の通りである。
溶離液:o−ジクロロベンゼン
流速:0.3ml/min
検出器:示差屈折計(RI)、3キャピラリー粘度計
温度:140℃
サンプル濃度:0.077質量%
検量線:ケムコ社製の標準ポリスチレン(分子量35,000)
本発明で用いるオレフィン系ブロック共重合体(B)は、結晶融解熱量(ΔHm)が15J/g以上のものが好ましい。結晶融解熱量(ΔHm)が15J/g以上のオレフィン系ブロック共重合体(B)であると架橋点を構成するために十分な結晶性を確保することができ、パラフィン系組成物とした際に十分な形状保持性を発揮しやすい。この観点から、オレフィン系ブロック共重合体(B)の結晶融解熱量(ΔHm)は18J/g以上、さらには20J/g以上、特に25J/g以上、とりわけ30J/g以上であることが好ましく、最も好ましくは35J/g以上である。ただし、オレフィン系ブロック共重合体(B)の結晶融解熱量(ΔHm)が過度に大きいと、非晶部に存在するパラフィン化合物(A)が排斥され、パラフィン系組成物中からのパラフィン化合物(A)のブリードアウトが発生しやすくなる上、加工温度域においてもオレフィン系ブロック共重合体(B)の結晶が融解しづらく、ひいてはゲルの流動性も低下するため、オレフィン系ブロック共重合体(B)の結晶融解熱量(ΔHm)は90J/g以下であることがより好ましく、80J/g以下であることがさらに好ましく、70J/g以下であることが特に好ましく、60J/g以下であることが最も好ましい。オレフィン系ブロック共重合体(B)の結晶融解熱量(ΔHm)は、オレフィン系ブロック共重合体(B)を構成するソフトセグメントとハードセグメントの割合、質量平均分子量、分子量分布、その他共重合成分により調整することができる。
なお、オレフィン系ブロック共重合体(B)の結晶融解熱量(ΔHm)は、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
本発明で用いるオレフィン系ブロック共重合体(B)は、ハードセグメントとソフトセグメントを有し、前記質量平均分子量(Mw)の条件を満たすオレフィン系のものであればよく、特に制限はない。
オレフィン系ブロック共重合体(B)のハードセグメントとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα―オレフィン重合体セグメントで結晶性を有するものや、ブタジエン重合体の水素添加物セグメントで結晶性を有するもの等が挙げられる。ソフトセグメントとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン等のα−オレフィンのランダム重合体セグメント、ブタジエン、イソプレン等のジエン化合物の重合体セグメントあるいはその水素添加物セグメント等が挙げられる。
中でも、エチレン単独重合体ブロック(b−1)からなるハードセグメントと、エチレン−αオレフィン共重体ブロック(b−2)からなるソフトセグメントとから構成されるブロック共重合体であることが好ましい。
オレフィン系ブロック共重合体(B)を構成するエチレン単独重合体ブロック(b−1)とは、エチレン以外の共重合成分を含まない重合体ブロックを意味するが、重合過程で共重合成分を完全に排除するのは難しく、実際にはαオレフィン等の共重合成分が少量含まれてしまう。この際、エチレン単独重合体ブロック(b−1)に含まれる共重合体成分の比率としては、エチレン成分とエチレン以外の共重合成分の合計に対して5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましく、1モル%以下であることが更に好ましく、エチレン以外の共重合体成分を含まないことが特に好ましい。エチレン単独重合体ブロック(b−1)に含まれるエチレン以外の共重合成分の比率がかかる範囲であれば、パラフィン化合物(A)とオレフィン系ブロック共重合体(B)をブレンドした際に、エチレン単独重合体ブロック(b−1)が架橋点となり、ソフトセグメントと形成する網目構造内にパラフィンを強固に固定することができるため、形状保持性に優れたゲルが得られ、パラフィン化合物(A)のブリードアウト抑制効果にも優れたものとなる。
オレフィン系ブロック共重合体(B)を構成するエチレン−αオレフィン共重体ブロック(b−2)は、エチレン成分とαオレフィン成分からなる共重合体ブロックを意味する。αオレフィン成分としては、炭素数3〜20、特に炭素数4〜10の直鎖又は分岐のαオレフィン成分が好ましく、その具体例としては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、2−メチル−1−プロペン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、5−メチル−1−ヘキセンなどが挙げられる。エチレン−αオレフィン共重体ブロック(b−2)には、これらのα−オレフィン成分の1種のみが含まれていてもよく、2種以上が含まれていてもよい。これらの中でも、パラフィン化合物(A)との馴染み易さや結晶性制御の観点から、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを用いることが好ましく、1−オクテンを用いることが特に好ましい。
オレフィン系ブロック共重合体(B)全体に占めるαオレフィン成分のモル比率は、5モル%以上、18モル%以下であることが好ましく、7モル%以上、16モル%以下であることがより好ましく、10モル%以上、15モル%以下であることが更に好ましい。αオレフィン成分のモル比率が5モル%以上であれば、エチレン−αオレフィン共重体ブロック(b−2)の結晶性が低下し、パラフィン系組成物中からのパラフィン化合物(A)のブリードアウト抑制に効果がある。また、パラフィン系組成物が脆くならず、柔軟性を確保することができる。更に、結晶性の低下に伴ってオレフィン系ブロック共重合体(B)の融点も低下するため、加工時の流動性を確保することができる。一方、αオレフィン成分のモル比率が15モル%以下であれば、架橋点を構成するために十分な結晶性を確保することができ、パラフィン系組成物として十分な形状保持性を有する。
尚、オレフィン系ブロック共重合体(B)のαオレフィン成分のモル比率は、H−NMRにて、テトラメチルシランを基準としてエチレン由来のプロトンのピークとαオレフィン由来のプロトンのピークとの強度比較により求めることができる。
オレフィン系ブロック共重合体(B)は、パラフィン系組成物の性質に影響を与えない範囲において、グリシジル基、カルボン酸等の酸変性基、無水マレイン酸等の酸無水物基等が、必要に応じて導入された変性オレフィン系ブロック共重合体であってもよい。
本発明において、上記のオレフィン系ブロック共重合体(B)は一種のみを単独で用いてもよいし、結晶融解熱量(ΔHm)や質量平均分子量(Mw)、αオレフィン成分の種類やモル比率の異なるものを二種類以上組み合わせて用いてもよい。
[その他の成分]
本発明のパラフィン系組成物は、その他の成分として、パラフィン系組成物の性質に影響を与えない範囲において、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ブロッキング防止剤、防菌・防カビ剤、安定剤、染料、難燃剤、顔料、無機質微粒子などの各種添加剤を含有してもよい。更には伝熱性向上のために、金属粉、金属繊維、金属酸化物、カーボン、カーボンファイバー等を含有していてもよい。
本発明のパラフィン系組成物がこれらのその他の成分を含有する場合、その含有量は、例えば酸化防止剤などの安定剤においては、パラフィン系組成物100質量%に対して1質量%以下であることが好ましい。
[パラフィン系組成物]
本発明のパラフィン系組成物は、常法に従って、2本ロール、押出機、2軸混練押出機、撹拌式混合機等の通常の混合・撹拌機を用いて、パラフィン化合物(A)及びオレフィン系ブロック共重合体(B)と、必要に応じて配合されるその他の成分とを、オレフィン系ブロック共重合体(B)の軟化点よりも高い、例えば100℃前後の温度にて加熱、混合することにより製造される。
本発明のパラフィン系組成物の相転移時の潜熱量は100J/g以上であることが好ましく、120J/g以上であることがより好ましく、140J/g以上であることが更に好ましく、160J/g以上であることが特に好ましい。パラフィン系組成物の相転移時の潜熱量が上記下限以上であれば、蓄熱材として優れた蓄熱性能を発揮することができる。
パラフィン系組成物の潜熱量は、後述の実施例の項に記載の方法で結晶融解熱量(ΔHm)として測定される。
本発明のパラフィン系組成物は、パラフィン化合物(A)の融点よりも高い温度においても、ある一定の温度まで流動せず、形状を保持している(ゲル状である)ことを特徴とする。これにより、使用時においてパラフィン化合物(A)の漏れ出しを防止することができる。
使用時の本発明のパラフィン系組成物の貯蔵弾性率は、10Pa以上、10000Pa以下であることが好ましい。本発明のパラフィン系組成物の貯蔵弾性率がこの範囲であれば、十分な形状保持性を維持しながら、固くなりすぎもせず、優れたハンドリング性を発揮しやすい。
具体的には、例えば、本発明のパラフィン系組成物の動的粘弾性測定による貯蔵弾性率[Pa]は、パラフィン化合物(A)の融点より30℃高い温度において、10Pa以上、特に100Pa以上、とりわけ500Pa以上、中でも1000Pa以上であることが好ましく、その上限は10000Pa、特に6000Pa、とりわけ4000Paであることが好ましい。貯蔵弾性率が10Pa未満であると形状保持性が不十分となる場合があり、10000Paを超えるとゲルが固くなり、ハンドリング性が低下する上、脆くなる恐れがあるため好ましくない。
なお、パラフィン系組成物の貯蔵弾性率[Pa]は、後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
本発明のパラフィン系組成物は、加工温度域で十分に流動することが好ましい。これにより、蓄熱材として様々な形状で使用する際に、加工がしやすくなる。用途によって加工温度域は異なるが、本発明のパラフィン系組成物の加工温度は50℃以上、150℃以下が好ましく、60℃以上、140℃以下がより好ましく、70℃以上、130℃以下が更に好ましく、80℃以上、120℃以下が特に好ましい。
パラフィン系組成物の加工温度が50℃未満の場合、オレフィン系ブロック共重合体(B)が十分に軟化せず、流動性が低下する。また、高温用途向けに融点が50℃以上のパラフィン化合物(A)を使用した場合は、全く流動せず、加工が困難となる。一方、加工温度が150℃を超える場合、パラフィン化合物(A)の引火点を超える、あるいは引火点に近づくため、安全上の問題がある。パラフィン系組成物の加工温度が上記範囲であれば、安全に十分な流動性を発現することができる。
この際、加工温度域のパラフィン系組成物の粘度[Pa・s]は低いことが好ましい。例えば100℃においてパラフィン系組成物の粘度[Pa・s]は10Pa・s以下であることが好ましく、中でも5Pa・s以下、更には3Pa・s以下であることが好ましい。パラフィン系組成物の加工温度域における粘度[Pa・s]が上記上限以下であれば、十分な流動性で良好な成形加工性を得ることができる。
パラフィン系組成物の粘度[Pa・s]は、後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
[蓄熱材]
本発明の蓄熱材は、本発明のパラフィン系組成物を用いてなるものであり、本発明のパラフィン系組成物をシート状、板状、粒状、ペレット状等の各種の形状に成形して製造される。
パラフィン系組成物の成形方法としては、パラフィン系組成物の製造時に各成分が混合され液状となったものを、そのままで、あるいは若干冷却して型に流し込み所望のシート状、板状とする方法が挙げられる。また、パラフィン系組成物は、パラフィン化合物(A)の融点より低い温度で固化するので、ブロック状に成形した後、切断してシート状や板状としてもよい。更に、パラフィン系組成物をフィルム、布、繊維等の上に付着や塗布、或いは含浸させてシート状、板状としてもよい。また、ポリエチレン等の袋にパック詰めにして冷却過程でシート状、板状、棒状とすることもできる。また、押出機を用いてシート状、板状に押出成形してもよい。押出機により棒状、パイプ状に成形したものを裁断して粒状、ペレット状とすることもできる。
本発明のパラフィン系組成物を用いてなる蓄熱材は、空調設備、建築材料、保温容器、保冷剤、コンクリート等、幅広い分野に適用可能であり、好ましくは床冷暖房用、より好ましくは床暖房用の床材及び床構造に好適に用いることができる。
[床構造]
本発明の床構造は、本発明のパラフィン系組成物よりなる本発明の蓄熱材が床材内に充填されてなる床材と、放熱マット又は放熱パネルとを少なくとも備えてなるものである。 床材の種類としては、塩化ビニル、ポリオレフィン等の樹脂タイル及び樹脂シート、一枚板、フローリング材、合板、パーティクルボード、コルクタイル等の木質材料、繊維質材料、磁器タイル等のセラミックス材料、大理石、御影石、テラゾー等の石材料、モルタル等のコンクリート材料、ゴムやリノリウム等の天然樹脂タイル及び天然樹脂シート等を使用することができる。また畳、カーペット、じゅうたん等も床材として使用することができる。本発明では、木質材料が好ましく、特にフローリング材が好ましい。
床材に蓄熱材が充填される位置は、床材意匠面の内側であればいずれでもよく、例えば、床材の裏面に蓄熱材収納凹部を形成し該凹部に蓄熱材をそのまま充填してもよいし、アルミニウム袋等の包装状容器に蓄熱材を充填したものを該凹部に収納してもよい。また、蓄熱材を押出成形、型枠成形等により予め製造した蓄熱層や包装状容器に蓄熱材を充填したものを、床材内に配置してもよい。さらに、後述の放熱マット又は放熱パネル上に、直接、スプレー塗布、ローラー塗布、刷毛塗り、コテ塗り、流し込み等の公知の方法で直接塗付形成することにより、蓄熱層を形成することも可能である。本発明においては、床材の裏面に蓄熱材収納凹部を形成し該凹部に蓄熱材をそのまま充填する方法が好ましい。
蓄熱材の充填にあたっては、床材と蓄熱材との接着性を向上させるために、接着剤を介して充填することが好ましい。接着材としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・グリシジルアクリレート共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンのアクリル酸グラフト共重合体、ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト共重合体等の熱可塑性樹脂、あるいは、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂から成る接着剤又は接着剤フィルムが挙げられる。これらの接着剤は二種以上を用いてもよく、また接着剤フィルムは二種以上の接着層を備える積層フィルムであってもよい。
床材の後述する放熱マット又は放熱パネルとの接着面側には、放熱効率向上のために、アルミニウムや銅箔等の金属シートを設けたり、補強目的のためにポリエチレンテレフタレート樹脂シートを設けたりしてもよい。
放熱マット又は放熱パネルは特に制限はなく、例えば、温水又は冷水を熱源とするものであってもよいし、電気ヒーターを熱源とするものであってもよい。本発明においては、温水又は冷水を熱源とする放熱マット又は放熱パネルが好ましく、放熱マットがより好ましい。
好ましく用いられる放熱マットは、通常、断熱材としての薄板状の発泡樹脂成形体と、当該発泡樹脂成形体の表側にその一部が露出する様に埋設された通水管と、発泡樹脂成形体にその上下面が露出する様に埋設された床材固定用の複数本の根太状部材と、発泡樹脂成形体の表側の表面に貼設された熱拡散用の放熱シートとから構成され、当該通水管によって温水又は冷水の循環路が複数組構成される。
発泡樹脂成形体としては、硬質ポリウレタン発泡体、硬質ポリエチレン発泡体、硬質ポリプロピレン発泡体、ポリスチレン発泡体、フェノール樹脂発泡体、硬質ポリ塩化ビニル発泡体、ポリメチルメタクリレート発泡体、ポリカーボネート発泡体、ポリフェニレンオキサイド発泡体、ポリスチレンとポリエチレン混合物の発泡体等が挙げられ、中でも、硬質ポリプロピレン発泡体、硬質ポリウレタン発泡体、ポリスチレン発泡体等が好適である。
根太状部材(小根太)は、通常、発泡樹脂成形体の各小片と平行かつ並列に所定の間隔で配置され、木質系等の床下地にビスや釘を使用して当該放熱マットを固定すると共に、上方から加わる鉛直荷重を支持する役目を担う。一般的には、スギ、サクラ、ヒノキ、ラワン及び合板などの木材又は樹脂の硬質発泡材で構成される。
通水管は、通常、発泡樹脂成形体の表面に形成された溝を利用し、後述する放熱シートに接触する状態に発泡樹脂成形体に埋設される。通水管としては、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管、ポリプロピレン管、ポリエチレン管、銅管の他、周面に金属線を埋設した樹脂管などが使用でき、一般的には、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管が使用される。また、放出される熱を後述する放熱シートへ効率的に伝達し放熱効率を高める目的で、当該溝には、アルミニウム箔等の伝熱部材が挿入されていてもよい。
通水管は、温・冷水分配回収用のヘッダー(流体分岐ブロック)に繋ぎ込まれ、複数系統(複数回路)の水循環路を構成する様に埋設される。
放熱シートは、発泡樹脂成形体及び根太状部材の表面、すなわち、放熱マットの表面に、通水管の熱を床材側に伝える放熱シートが配置される。放熱シートは、厚さが通常10〜200μm、好ましくは30〜100μmで且つ熱伝導性に優れた可撓性のフィルム又はシート、例えば、アルミニウム箔、錫箔、銅箔、ステンレス鋼箔などの金属箔、金属製の織布や不織布、樹脂フィルム又は樹脂シート、あるいは、これらを組合せた積層シート等から構成される。中でも、製造の容易さやコストの点から、アルミニウムシート(又はフィルム若しくは箔)が好ましく、上面への放熱効率の点から、アルミニウムシートの厚さは40μm以上が好ましい。
放熱シートは、通常、発泡樹脂成形体及び根太状部材の表面に対して接着材によって貼着され、これらを一体化した構成とされている。接着材としては、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・グリシジルアクリレート共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンのアクリル酸グラフト共重合体、ポリエチレンの無水マレイン酸グラフト共重合体などの熱可塑性樹脂、あるいは、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂から成る接着剤又は接着剤フィルムが挙げられる。これらの接着剤は二種以上を用いてもよく、また接着剤フィルムは二種以上の接着層を備える積層フィルムであってもよい。
放熱マットは、施工性の観点から、通常は平面形状を方形(正方形または長方形)に形成され、居室床の寸法設計に対応するため、通常は、一辺の長さ(幅)を500〜4000mm程度、他の一辺の長さ(長さ)を500〜4000mm程度、厚さを7〜20mm程度に設定される。そして、ヘッダーを使用して複数の循環路を構成する観点から、平面面積が0.5〜12mに設計される。また、敷設する床の広さによっては複数枚使用される。
本発明においては、放熱マットの発泡樹脂成形体に、本発明のパラフィン系組成物を充填するための凹部等を予め形成し、放熱マット内にパラフィン系組成物からなる蓄熱材を充填したり、放熱シートを貼付する前に、発泡樹脂成形体及び根太状部材上に蓄熱材を充填し、その後に放熱シートを貼付したりして、蓄熱材を備えた放熱マットとしてもよい。さらには、例えば、前述の特許文献2に記載されるような床材を構成する板状のシェル内に蓄熱材を充填し、板面に温水流通用配管を設けた構成とすることもできる。
本発明の床構造は、例えば、ベニヤ等の構造用合板やパーティクルボード、あるいは、コンクリートスラブ等からなる床下地の上に温水マットを敷設し、上面に前記した蓄熱材が充填されてなる床材が配置された構造をとることができる。放熱マットと床材との接着には、放熱シートの接着に用いるのと同様の接着剤を使用することができる。
このようにして得られる本発明の床構造は、別途設置される熱源装置、例えば、ガスの燃焼や電力によって温水を製造する湯沸し装置やボイラー装置と連絡配管で接続され使用される。
以下に本発明を実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[評価方法]
得られたパラフィン系組成物及び用いたオレフィン系ブロック共重合体の評価は次の方法により行った。
<パラフィン系組成物の評価>
(1)潜熱量
示差走査熱量計(DSC:パーキンエルマージャパン社製「Diamond DSC」)を用いて、0℃から100℃まで、加熱速度10℃/分で昇温過程におけるパラフィン系組成物の結晶融解熱量(ΔHm)[J/g]を測定した。融解熱量(ΔHm)が100J/g以上のものを合格(○)、100J/g未満のものを不合格(×)とした。
(2)形状保持性
レオメーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「HAAKE MARSII」)を用いて、0℃から100℃まで、加熱速度2℃/minで昇温過程におけるパラフィン系組成物の貯蔵弾性率[Pa]を測定した。パラフィン化合物(A)の融点(m.p.)より30℃高い温度における貯蔵弾性率[Pa]が10Pa以上、10000Pa以下のものを合格(○)、この範囲から外れるものを不合格(×)とした。
(3)流動性
レオメーター(サーモフィッシャーサイエンティフィック社製「HAAKE MARSII」)を用いて、0℃から100℃まで、加熱速度2℃/minで昇温過程におけるパラフィン系組成物の粘度[Pa・s]を測定した。100℃における粘度[Pa・s]が10Pa・s以下のものを合格(○)、10Pa・sより高いものを不合格(×)とした。
(4)耐ブリードアウト性
得られたパラフィン系組成物を融点以下に冷却した際の目視観察で、パラフィン化合物(A)のブリードアウトが見られなかったものを合格(○)、ブリードアウトが見られたものを(×)とした。
<オレフィン系ブロック共重合体(B)の評価>
(1)αオレフィンのモル比率
オレフィン系ブロック共重合体(B)中のαオレフィン成分のモル比率の決定は、H−NMRで行った。機器はBURUKER社製AV400Mを用いた。重ベンゼンを溶媒として用い、テトラメチルシランを基準としてエチレン由来のプロトンピークとαオレフィン由来のプロトンピークの強度比較でαオレフィン成分のモル比率を算出した。
(2)質量平均分子量(Mw)
オレフィン系ブロック共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いて、標準ポリスチレン換算で求めた。測定にはo−ジクロロベンゼンを溶媒として用い、測定装置には日本ウォーターズ社製「Alliance GPCV−2000」を用いた。具体的には、以下の通りである。
溶離液:o−ジクロロベンゼン
流速:0.3ml/min
検出器:示差屈折計(RI)、3キャピラリー粘度計
温度:140℃
サンプル濃度:0.077質量%
検量線:ケムコ社製の標準ポリスチレン(分子量35,000)
(3) 結晶融解熱量(ΔHm)
オレフィン系ブロック共重合体(B)の結晶融解熱量(ΔHm)は、示差走査熱量計(DSC:パーキンエルマージャパン社製「Diamond DSC」)を用いて、−40〜100℃まで、加熱速度10℃/分で昇温した際の結晶融解熱量(ΔHm)[J/g]として測定した。
[使用材料]
パラフィン化合物(A)、オレフィン系ブロック共重合体(B)、比較のための低密度直鎖状ポリエチレン(X)としては、以下のものを用いた。
<パラフィン化合物(A)>
(a)−1:TS8(JX社製、主成分:オクタデカン、融点=28℃、結晶融解熱量=240J/g)
(a)−2:TS4(JX社製、主成分:テトラデカン、融点=6℃、結晶融解熱量=240J/g)
(a)−3:WAX120(日本精蝋社製、主成分:テトラコサン、融点=51℃、結晶融解熱量=150J/g)
<オレフィン系ブロック共重合体(B)>
(b)−1:INFUSE 9530(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=10.4モル%、結晶融解熱量=56.3J/g、質量平均分子量=348,000)
(b)−2:INFUSE 9000(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=11.7モル%、結晶融解熱量=44.1J/g、質量平均分子量=338,000)
(b)−3:INFUSE 9817(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=13.0モル%、結晶融解熱量=42.8J/g、質量平均分子量=285,000)
(b)−4:INFUSE 9100(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=13.1モル%、結晶融解熱量=38.2J/g、質量平均分子量=199,000)
(b)−5:INFUSE 9500(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=14.2モル%、結晶融解熱量=42.1J/g、質量平均分子量=172,000)
(b)−6:INFUSE 9007(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=16.2モル%、結晶融解熱量=19.8J/g、質量平均分子量=248,000)
(b)−7:INFUSE 9107(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=16.3モル%、結晶融解熱量=18.8J/g、質量平均分子量=370,000)
(b)−8:INFUSE 9507(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=16.7モル%、結晶融解熱量=20.8J/g、質量平均分子量=148,000)
(b)−9:INFUSE 9807(ダウ社製オレフィン系ブロック共重合体、ハードセグメント:エチレン単独重合体、ソフトセグメント:エチレン−オクテン共重合体ブロック、ブロック共重合体中のオクテン比率=17.4モル%、結晶融解熱量=17.6J/g、質量平均分子量=118,000)
<低密度直鎖状ポリエチレン(X)>
(x)−1:ENGAGE 8200(ダウ社製低密度直鎖状ポリエチレン(エチレン−オクテンランダム共重合体))、ランダム共重合体中のオクテン比率=10.5モル%、結晶融解熱量=48.5J/g、質量平均分子量=184,000)
(x)−2:ネオゼックス 0234N(プライプポリマー社製低密度直鎖状ポリエチレン(エチレン−ブテンランダム共重合体))、ランダム共重合体中のブテン比率=3.6モル%、結晶融解熱量=127.3J/g、質量平均分子量=215,000)
[実施例及び比較例]
<実施例1>
(a)−1と(b)−1を90/10(質量%)の割合で攪拌機(淺田鉄工社製「コーネルデスパMHK5」)を用いて150℃において混合し、得られたパラフィン系組成物について各種評価を実施した。結果を表1に示す。
<実施例2>
(b)−1の代わりに(b)−2を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例3>
(b)−1の代わりに(b)−3を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例4>
(b)−1の代わりに(b)−4を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例5>
(b)−1の代わりに(b)−5を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例6>
(b)−1の代わりに(b)−6を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例7>
(b)−1の代わりに(b)−7を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例8>
(a)−1の代わりに(a)−2を用い、(b)−1の代わりに(b−2)を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例9>
(a)−1の代わりに(a)−3を用い、(b)−1の代わりに(b)−2を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表1に示す。
<実施例10>
(a)−1と(b)−2を95/5(質量%)の割合で用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例11>
(a)−1と(b)−6を85/15(質量%)の割合で用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表2に示す。
<実施例12>
(a)−1と(b)−7を85/15(質量%)の割合で用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例1>
(b)−1の代わりに(b)−8を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例2>
(b)−1の代わりに(b)−9を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例3>
(b)−1の代わりに(x)−1を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表2に示す。
<比較例4>
(b)−1の代わりに(x)−2を用いた以外は実施例1と同様の方法でパラフィン系組成物の製造及び評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 0006728646
Figure 0006728646
表1,2から、次のことが分かる。
実施例1〜12の本発明のパラフィン系組成物、中でも特定の範囲のαオレフィン成分比率を有するオレフィン系ブロック共重合体(B)を用いた実施例のパラフィン系組成物は、充分なパラフィン相転移時の潜熱量を維持した上で、室温からパラフィンの融点を超えた広範な使用温度域において、包袋等への封入等の加工時に充分な流動性を維持し且つ、パラフィンの漏れ出しを防ぐだけの形状保持性やブリードアウト抑制能を併せ持つ、蓄熱材としての性能に優れた安定性と蓄熱性能を発現することができる蓄熱性組成物である。
これに対して、オレフィン系ブロック共重合体(B)の質量平均分子量が特定の範囲に入っていない比較例1及び2では、形状保持性に劣る。エチレン単独重合体成分とエチレン−αオレフィン共重合体成分がランダムに共重合されている低密度直鎖状ポリエチレンを用いた比較例3では、架橋構造が十分に形成されていないと考えられ、パラフィン化合物(A)を固定することができないため、やはり形状保持性に劣る。また、上記比較例1〜3では、形状保持性が低くゲルを形成できないため、パラフィン化合物(A)とオレフィン系ブロック共重合体(B)が分離し、ブリードアウトを生じている。
αオレフィン成分比率が3.6モル%の低密度直鎖状ポリエチレンを用いた比較例4では、融点が高すぎて100℃で流動せず、また、貯蔵弾性率も高すぎて形状保持性は「×」と劣る。さらに、結晶化度が高いため低密度直鎖状ポリエチレンの結晶化に伴ってパラフィン化合物(A)が排斥され、ブリードアウトしている。

Claims (9)

  1. パラフィン化合物(A)と、ハードセグメント及びソフトセグメントを有するオレフィン系ブロック共重合体(B)とを含み、該オレフィン系ブロック共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)が150,000以上であり、結晶融解熱量(ΔHm)が15J/g以上、90J/g以下であり
    ラフィン化合物(A)及びオレフィン系ブロック共重合体(B)の合計に対するパラフィン化合物(A)の含有割合が70〜98質量%であり、
    かつパラフィン化合物(A)由来の融点+30℃の温度で測定された貯蔵弾性率が10Pa以上であることを特徴とする、パラフィン系組成物。
  2. オレフィン系ブロック共重合体(B)が、ハードセグメントとしてエチレン単独重合体ブロック(b−1)を、ソフトセグメントとしてエチレン−αオレフィン共重合体ブロック(b−2)を有するものである、請求項1に記載のパラフィン系組成物。
  3. オレフィン系ブロック共重合体(B)全体に占めるαオレフィン成分のモル比率が5〜15モル%である、請求項1又は2に記載のパラフィン系組成物。
  4. オレフィン系ブロック共重合体(B)の質量平均分子量が200,000〜500,000である、請求項1〜3の何れかに記載のパラフィン系組成物。
  5. エチレン−αオレフィン共重合体ブロック(b−2)が、αオレフィン成分として1−オクテンを含むことを特徴とする請求項2に記載のパラフィン系組成物。
  6. パラフィン化合物(A)が、炭素数10〜30の直鎖状飽和炭化水素である、請求項1〜5の何れかに記載のパラフィン系組成物。
  7. 請求項1〜6の何れかに記載のパラフィン系組成物を用いてなる蓄熱材。
  8. 請求項7に記載の蓄熱材が床材内に充填されてなる床材。
  9. 請求項8に記載の床材と、放熱マット又は放熱パネルとを少なくとも備えてなる床構造。
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