JP6727854B2 - 鉄筋コンクリート構造物のせん断補強構造 - Google Patents
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Description
本発明の実施形態に係るせん断補強構造は、図1及び図2に示すように、鉄筋コンクリート構造物10の一側表面から他側へ向かって穿孔した補強部材挿入孔20と、補強部材挿入孔20内に挿入する補強部材30と、補強部材挿入孔20内に充填する充填材(図示せず)とからなり、補強部材挿入孔20の形状と、補強部材30の定着体32、33、34の構造に特徴を有している。
補強部材挿入孔20は非貫通孔であり図1及び図2に示すように、補強部材30の挿入方向の奥側に位置する奥側挿入孔21と、補強部材30の挿入方向の手前側かつ既設主筋41のコンクリート被り厚内に位置するとともに、奥側挿入孔21の内径よりも大きな内径を有する拡径挿入孔22とを備えている。
補強部材30は、図1〜図4に示すように、本体部31と、当該本体部31の両端部に設けた第1の定着体32と、挿入方向の手前側の第1の定着体32と接続部35により接続されるとともに、拡径挿入孔22内に配設する第2の定着体33とを備えている。
本体部31は、例えば、異形鉄筋により構成されており、その端部に塑性加工を施すとともに、先端部に向かって縮径した雄ネジ部(テーパーネジ部)31aを形成してある。
第1の定着体32は、本体部31の両端部に設ける定着体である。このような本体部31及び第1の定着体32を備えた補強部材30は、例えば、特許第4395191号公報に記載されている。すなわち、本体部31である鉄筋は、先端部が先細り状に加工され、さらに外周面に雄ネジ部(テーパーネジ部)31aが形成されている。鉄筋は、少なくとも雄ネジ部(テーパーネジ部)31aの基端部分において塑性硬化処理が施されていることが好ましい。このように、鉄筋の端部に塑性硬化処理を施すことにより、加工前と比較して見かけ上の降伏点が増大して、鉄筋の端部の強度を増加させることができる。
第2の定着体33は、図1及び図2に示すように、拡径挿入孔22内に配設するための定着体であり、挿入方向の手前側(鉄筋コンクリート構造物10の表面側)の第1の定着体32と、接続部35を介して接続されている。第2の定着体33の最大径は、本体部31の最大径の2倍以上に設定されている。図1及び図2に示す第2の定着体33は、鉄筋の最大径Dの2倍の最大径2Dを有している。また、第2の定着体33の外周面には、スパナ等の回転治具を係合させるためのスパナ係合面が形成されている。さらに、第2の定着体33の基端部側(本体部31側)には、第1の定着体32に設けた接続雌ネジ部32bに組み付けるための接続雄ネジ部35aを設けてある。図3及び図4に示す例では、第2の定着体33と接続部35とを一体として、全体がボルト状となっている。
第3の定着体34は、図1に示すように、第1の定着体32と第2の定着体33との間に、第1の定着体32の直径と同等で、第2の定着体33の最大径よりも小さな最大径を有するとともに、第1の定着体32と第2の定着体33と、それぞれ接続部35、36により接続された定着体である。この第3の定着体34を設けることにより、鉄筋コンクリート構造物10の表面側において、3段の定着体が存在することになる。第3の定着体34は、第2の定着体33と一体となるように形成してもよいし、第2の定着体33と別体として形成してもよい。いずれの場合にも、本体部31側に位置する基端部側には、第1の定着体32に設けた接続雌ネジ部32bに組み付けるための接続雄ネジ部(図示せず)を設けてある。
図1及び図2に示すように、第1の定着体32と第2の定着体33を接続する接続部35と、第3の定着体34と第1の定着体32または第2の定着体33を接続する接続部36の太さ(直径)は、本体部31よりも細くなっている。さらに、各定着体32、33、34を接続する各接続部35、36の太さ(直径)は、本体部31の接続側から第2の定着体33側へ向かって順次細くなっている。
コンクリート構造物の表面側から深い位置に存在する(コンクリート被り厚が大きい)第1の定着体32以外の定着体(第2の定着体33及び第3の定着体34)は、その表面に防錆処理を施すことが好ましい。本発明の鉄筋コンクリート構造物10のせん断補強構造では、第2の定着体33の先端面(コンクリート構造物の表面側の面)がコンクリート構造物の表面から十分離隔して配設されており、第3の定着体34は、第2の定着体33よりも深い位置に配設されている。
図示しないが、充填材は、補強部材30が挿入された補強部材挿入孔20を充填するための部材であり、注入時期は、補強部材挿入孔20内へ補強部材30を挿入する前、あるいは挿入した後のいずれの時点であってもよい。充填材としては、モルタルや樹脂系の接着剤を使用することができる。
実施例1は、鉄筋コンクリート構造物10の表面側において、3段の定着体が存在するものである。すなわち、図1に示すように、鉄筋コンクリート構造物10の表面側から奥側に位置する既設鉄筋42の手前側まで補強部材挿入孔20を削孔する。上述したように、補強部材挿入孔20は、補強部材30の挿入方向の奥側に位置する奥側挿入孔21と、補強部材30の挿入方向の手前側かつ既設主筋41のコンクリート被り厚内に位置するとともに、奥側挿入孔21の内径よりも大きな内径を有する拡径挿入孔22とを備えている。
実施例2は、鉄筋コンクリート構造物10の表面側において、2段の定着体が存在するものである。すなわち、図2に示すように、鉄筋コンクリート構造物10の表面側から奥側に位置する既設鉄筋42の手前側まで補強部材挿入孔20を削孔する。上述したように、補強部材挿入孔20は、補強部材30の挿入方向の奥側に位置する奥側挿入孔21と、補強部材30の挿入方向の手前側かつ既設主筋41のコンクリート被り厚内に位置するとともに、奥側挿入孔21の内径よりも大きな内径を有する拡径挿入孔22とを備えている。
20 補強部材挿入孔
21 奥側挿入孔
22 拡径挿入孔
30 補強部材
31 本体部
31a 雄ネジ部
32 第1の定着体
32a 雌ネジ部
32b 接続雌ネジ部
33 第2の定着体
34 第3の定着体
35、36 接続部
35a 接続雄ネジ部
41、42 既設主筋
Claims (2)
- 鉄筋コンクリート構造物の一側表面から他側へ向かって穿孔した補強部材挿入孔と、前記補強部材挿入孔内に挿入する補強部材と、前記補強部材挿入孔内に充填する充填材とからなり、
前記補強部材挿入孔は、前記補強部材の挿入方向の奥側に位置する奥側挿入孔と、前記補強部材の挿入方向の手前側かつ既設主筋のコンクリート被り厚内に位置するとともに、前記奥側挿入孔の内径よりも大きな内径を有する拡径挿入孔とを備え、
前記補強部材は、本体部と、当該本体部の両端部に設けた第1の定着体と、挿入方向の手前側の第1の定着体と接続部により接続されるとともに、前記拡径挿入孔内において前記既設鉄筋の近傍に配設する第2の定着体と、前記第2の定着体の最大径よりも小さな最大径を有するとともに、前記第1の定着体と前記第2の定着体との間に位置し、前記第1の定着体と前記第2の定着体とそれぞれ接続部により接続された第3の定着体とを備え、
前記各接続部の太さは、前記本体部よりも細くなっているとともに、前記第1の定着体と前記第3の定着体を接続する接続部、前記第3の定着体と前記第2の定着体を接続する接続部の順に細くなっており、
前記第2の定着体の最大径は、前記本体部の最大径の2倍以上である、
ことを特徴とする鉄筋コンクリート構造物のせん断補強構造。 - 少なくとも前記第1の定着体以外の定着体は、その表面に防錆処理を施してある、
ことを特徴とする請求項1に記載の鉄筋コンクリート構造物のせん断補強構造。
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Applications Claiming Priority (1)
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Family Applications (1)
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