JP3676799B2 - せん断力補強方法 - Google Patents

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本発明は、せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造(以下、鉄筋コンクリートを「RC」という場合がある)の面材又は版材のせん断力補強方法に関する。
阪神大震災以前に設計及び施工された地下鉄、上下水道浄化施設などの各種施設において、その構造物躯体を構成するRC造のボックスカルバートやRC造の地中埋設構造物の側壁や底版スラブなど(以下「RC構造体」という場合がある)は、レベル2地震動に対するせん断耐力が不足していることが、各種の耐震診断の結果に明らかになっており、速やかに耐震補強を行う必要性が指摘されている。
これらのRC構造体は、機能の特性上、地中に埋設されている場合がほとんどであり、施工後に補強する際には、構造物躯体の側壁や底版を外側から補強することができず、内側からのみその補強を行わざるをえない。
従来、RC構造体の補強方法としては、RC構造体の内側の所定位置に主鉄筋及び配力鉄筋を配筋して、コンクリートを打設する増厚工法が採用されていた。しかし、この工法では、補強後に側壁や底版スラブ等の厚さが増大して、躯体の内空断面が減少してしまうために各種の不都合が生じてしまうことになっていた(例えば、上下水道浄化施設の場合には、貯水能力や処理能力が減少してしまうことや、地下鉄の場合には、建築限界を満足しなくなるため、使用不能となってしまう場合が生じる)。さらに、従来の方法では、せん断耐力は向上するものの、主鉄筋が増加することで、曲げ耐力も増加することから、補強後においてせん断耐力と曲げ耐力の比を2〜4に移行させたいのであるが、これを実行するのが困難であった。
そこで、前記問題点を解決するために、カルバートのせん断補強方法として、カルバートの外壁の内側から、所定の間隔で鉛直方向にスリットを形成し、該スリット内に所定の鋼板を挿入した後に、前記スリット内にグラウト材を充填して前記鋼板と前記外壁とを一体化させる方法が提案されている。(例えば、特許文献1)
特開平2003−3556号公報(第2頁−第4頁、図2)
しかし、前記補強方法では、単に、スリット内に所定の鋼板を挿入するだけであることから、鋼板に引抜き力が発生した際、充分な剛性(引き抜き力に対する引き抜き抵抗の大きさ、以下「引き抜き剛性」という)を得ることができないという新たな問題点が生じることになった。
本発明は、前記の問題点を解決するためになされたものであり、簡易かつ確実に所定の引き抜き剛性を確保することが可能となる、既設のRC構造体のせん断力補強方法(以下、単に「せん断力補強方法」という)を提供することを課題としている。
前記課題を解決するために、請求項1の発明は、せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴としている。
(1)前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を形成する補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
(3)せん断補強鉄筋と、前記せん断補強鉄筋の基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材と、を備える前記せん断補強部材を、前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側及び他面側から既設の主鉄筋と同等の被りコンクリート厚を確保した状態で前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
また、請求項2の発明は、せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴としている。
(1)前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を形成する補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)せん断補強鉄筋と、前記せん断補強鉄筋の基端部のみに設けられている、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材と、を備える前記せん断補強部材を、前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側及び他面側から既設の主鉄筋と同等の被りコンクリート厚を確保した状態で前記補強部材挿入孔に挿入するとともに、
前記補強部材挿入孔に充填材を充填する、せん断補強部材を挿入する工程。
また、請求項3の発明は、せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴としている。
(1)前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を形成する補強部材挿入孔を穿孔する工程。
(2)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
(3)せん断補強鉄筋と、前記せん断補強鉄筋の先端部及び基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材と、を備える前記せん断補強部材を、前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側及び他面側から既設の主鉄筋と同等の被りコンクリート厚を確保した状態で前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
また、請求項4の発明は、請求項3に記載のせん断力補強方法において、前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の15%乃至40%、長さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の100%乃至250%となるように形成された金属製の環状筒材の中空部を、前記せん断補強鉄筋の先端部に挿通し、前記環状筒材に押圧力を付与して塑性変形させることにより前記せん断補強鉄筋と接合してなることを特徴としている。
また、請求項5の発明は、請求項3に記載のせん断力補強方法において、前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、幅寸法が前記せん断補強鉄筋径の150%乃至250%、長さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の100%乃至250%となるように形成されたナット部材を、前記充填材を介在させた状態で前記せん断補強鉄筋の先端部に挿通することにより接合してなることを特徴としている。
また、請求項6の発明は、請求項3に記載のせん断力補強方法において、前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の30%乃至80%、直径寸法が前記せん断補強鉄筋径の140%乃至200%となるように形成された円形の鉄鋼製プレート材を、前記せん断補強鉄筋の先端部に接合してなることを特徴としている。
また、請求項7の発明は、請求項3に記載のせん断力補強方法において、前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の30%乃至80%、幅寸法が前記せん断補強鉄筋径の140%乃至200%となるように形成された多角形の鉄鋼製プレート材を、前記せん断補強鉄筋の先端部に接合してなることを特徴としている。
また請求項8の発明は、請求項3に記載のせん断力補強方法において、前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の30%乃至80%、長軸寸法が前記せん断補強鉄筋径の140%乃至200%となるように形成された楕円形状の鉄鋼製プレート材を、前記せん断補強鉄筋の先端部に接合してなることを特徴としている。
また、請求項9の発明は、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のせん断力補強方法において、前記鉄鋼製プレート材に少なくとも1つの孔が形成されていることを特徴としている。
また、請求項10の発明は、請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載のせん断力補強方法において、前記鉄鋼製プレート材の、せん断補強鉄筋が接合された面と反対側の面の形状が、凸状に形成されていることを特徴とした。
また、請求項11の発明は、請求項1又は請求項2に記載のせん断力補強方法において、前記せん断補強部材における先端に、尖鋭部が形成されていることを特徴としている。
また、請求項12の発明は、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載のせん断力補強方法において、前記せん断補強部材における基端部の定着部材は、厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の40%乃至80%、幅寸法が前記せん断補強鉄筋径の150%乃至300%となるように形成された鉄鋼製プレート材を、前記せん断補強鉄筋の基端部に接合してなることを特徴としている。
さらに、請求項13の発明は、請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のせん断力補強方法において、前記既設コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、前記せん断補強部材を設置するための前記補強部材挿入孔を形成するにあたり、前記せん断補強部材の先端部付近の孔径を、せん断補強鉄筋が挿入される部分の孔径の120%乃至200%程度とする拡孔部を設けることを特徴としている。
ここで、本発明による補強の対象部材は、せん断補強が必要となる部材であり、既設である各種のRC造の面材(壁等)又は版材(底版、天版等)(以下「RC造面版材」という)に適用可能であり、また、施工対象に関して、現場打ちや、プレキャストコンクリート製品等の種類は問わない。
また、せん断補強部材は、RC造面版材の厚さ方向の内側端面及び外側端面から所定の被りコンクリート厚を確保するとともに、予め配筋されている主鉄筋及び配力鉄筋を避けるように配置される必要がある。
さらに、充填材は、せん断補強部材とRC造面版材のコンクリートとを強固に一体とさせるために充填するものであり、エポキシ樹脂、セメント系ミルクあるいはセメント系モルタルなどを用いることが好適である。
セメント系ミルクあるいはセメント系モルタルの配合として、これらの充填材の材料が硬化した後に、乾燥収縮や自己収縮により補強部材挿入孔とこれらの充填材料との間に微小な隙間が発生してRC構造体と一体とならないことが考えられるので、これらの充填材料に膨張剤を混入して、これらの充填材料が硬化した後にも無収縮の材料としてRC構造体とせん断補強部材との一体性を図ることが好適である。また、補強部材挿入孔の向きにより、充填中の充填材が流れ出すことがないように、充填材に可塑性のある材料を使用することも好適である。
本発明によれば、せん断補強部材とRC造面版材のコンクリートが充填材を介して一体化されているため、当該RC造面版材に、面外のせん断力が発生した場合に発生する斜め引張り応力に対して、せん断補強部材とRC造面版材とが一体となって抵抗することになる。従って、既設のRC造面版材のせん断耐力を向上させ、地震等による破壊形態を脆性的な破壊から靱性的な破壊へ移行させることができる。
また、本発明によれば、RC造面版材のコンクリート厚さを増加させることなく、直接的にせん断補強部材を壁内部に埋設することにより、せん断耐力と靱性性能の増大を効率的に実現できることから、補強後に躯体の内空断面が減少してしまうといった不都合が生じることを防止することができる。加えて、主鉄筋を増加させることがないことから、曲げ耐力を増加させることなく、面外せん断耐力を向上させることができるので、レベル2地震時において、曲げ・せん断先行破壊型の可能性があるRC構造体を曲げ先行破壊型に移行することができる。
また、せん断補強部材において、せん断補強鉄筋の基端部又は基端部及び先端部には、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材が設けられているため、当該せん断補強部材の定着効果を高めることができるとともに、せん断補強鉄筋の引張抵抗と定着部材の内側のコンクリートに発生する圧縮応力により、より効果的にせん断耐力の向上と靱性性能の向上を図ることができる。
本発明のせん断力補強方法によれば、簡易かつ確実に所定の引き抜き剛性を確保することができる。
本発明の補強方法の好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下は、地中の地盤Gに埋設された既設RC構造体の側壁をせん断補強する場合について説明を行う。なお、以下の説明において、同一要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。
<第一の実施の形態>
第一の実施の形態に係る補強方法は、(1)補強部材挿入孔を穿孔する工程と、(2)充填材を充填する工程と、(3)せん断補強部材を挿入する工程の各工程を主要部として構成されている。
(1)補強部材挿入孔の穿孔工程
本工程は、既設RC構造体の側壁の内側から外側に向けて、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を形成する作業を行う工程である。
図1(a)に示すように、補強部材挿入孔10は、既設RC構造体の施工時の配筋図や非破壊試験の情報をもとに、穿孔時に主鉄筋R1及び配力鉄筋R2に損傷を与えることの無いように、横間隔は主鉄筋R1と、縦間隔は配力鉄筋R2と同間隔で両鉄筋の中央に配置する。図1(b)に示すように、補強部材挿入孔10の穿孔は、側壁Wの内側(一面側)から地盤Gと接している外側(他面側)方向であって側壁W面に略垂直な方向に、インパクト・ドリルやロータリーハンマ・ドリル、コア・ドリルなどの穿孔手段を用いて行う。この補強部材挿入孔10は、やや下向きの傾斜を設け、他面側に所定寸法の被りコンクリート厚さを差し引いた長さ寸法に設けるとともに、孔径は、図2(b)に示すせん断補強部材20の先端部に取り付けられているリングヘッド22(定着部材)の外径に若干の余裕を見込んだ値とする。
なお、補強部材挿入孔10にやや下向きの傾斜を形成する理由は、後記せん断補強部材挿入工程において、充填材を充填する際に、内部の空気を排出しやすくするためであり、このようにすることにより、当該充填材の充填をより完全に行うことができるようになる。
その後、せん断補強部材20の基端部(末端部)に取り付けられているプレートヘッド23(定着部材)の周縁部が掛止されるように、前記穿孔手段を用いて側壁Wの内側の削孔径の拡幅を行う。なお、この拡幅部11の削孔深さはプレートヘッド23の厚みに被りコンクリート厚さを加算した値とする必要がある。
そして、補強部材挿入孔10の拡幅部11の穿孔が完了したら、当該孔内に穿孔のために生じたコンクリート粉を除去する。
(2)充填材充填工程
本工程は、図2(a)に示すように、補強部材挿入孔の穿孔工程において穿孔された補強部材挿入孔10に充填材30を圧入機械Mにより充填する作業を行う工程である。
図2(a)に示すように、補強部材挿入孔10の穿孔が完了した後、圧入機械Mにより、可塑性のあるセメント系モルタルからなる充填材30を充填する。ここで、可塑性のあるセメント系モルタルは、セメントとシリカヒュームや石英粉などのポゾラン物質と増粘材と水とから構成される材料で、上向きに充填しても流れ落ちることのない性質を有している充填材30であるため、補強部材挿入孔10の方向に限定されることなく、充填することが可能である。なお、充填材30の材質等は、同様の特性を有するものであれば、これに限定されるものではない。また、充填材30の補強部材挿入孔10への充填は、圧入機械Mによる充填に限定されるものではなく、その他、公知の方法により充填してもよい。
(3)せん断補強部材挿入工程
本工程は、図2(b)〜(c)に示すように、充填材充填工程において充填材30が充填された補強部材挿入孔10にせん断補強部材20を挿入するとともに、拡幅部11に充填材30のコテ塗りを行い、せん断補強部材20と側壁Wとを一体化する作業を行う工程である。
せん断補強部材20は、図3に示すように、せん断補強鉄筋21と、前記せん断補強鉄筋21の先端部及び基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋21より断面形状が大きいリングヘッド22及びプレートヘッド23と、から構成されている。
第1の実施の形態に係るリングヘッド22は、図3又は図4(a)に示すように、軟鋼やアルミニウム合金などの比較的加工しやすい金属製材料を用い、厚さがせん断補強鉄筋21の直径の15%〜40%、長さがせん断補強鉄筋21の直径の100%〜250%の形状を有する円筒体を準備する。これを、せん断補強鉄筋21の先端部にかぶせ、この周りを半分の円環を2つあわせたグリッパを用いて周囲から押しつぶすことにより、あるいは、鉄筋のスクイズ・ジョイントに用いるような円筒体を絞り込む(スクイズする)ようにして、円筒体を塑性変形させてせん断補強鉄筋21と一体にすることにより製造されている。
なお、リングヘッド22は、前記のものに限定されるものではなく、例えば、図4(b)に示すリングヘッド22bのように、せん断補強鉄筋21としてネジ筋鉄筋を用いて、先端部にロックナットをねじ込み、せん断補強鉄筋21とロックナットとのがたつきを取り除くためにダブルナットとするか、ナット内部の隙間にエポキシ樹脂のような充填材を注入する方法のいずれかにより、リングヘッド22bとして、厚さがせん断補強鉄筋の直径の150%〜250%、長さがせん断補強鉄筋の直径の100%〜250%となるように、製造することもできる。
また、図4(c)に示すリングヘッド22cのように、厚さがせん断補強鉄筋21の直径の30%〜80%、幅がせん断補強鉄筋21の直径の140%〜200%の円形鋼製プレートをせん断補強鉄筋21の先端部に摩擦圧接Aすることにより製造してもよい。また、図4(d)や図4(e)に示すように、厚さがせん断補強鉄筋21の直径の30%〜80%、幅がせん断補強鉄筋21の直径の140%〜200%の多角形鋼製プレートや、厚さがせん断補強鉄筋21の直径の30%〜80%、長軸がせん断補強鉄筋21の直径の140%〜200%の楕円形(小判型や円の側部を切り落としたような形状も含む)鋼製プレートから製造してもよい。このようにすると、補強部材挿入孔10との間に隙間が形成されることになるので補強部材挿入孔10に充填されている充填材30による挿入抵抗を低減し、且つ、リングヘッド22d,22eの後方に空気を残さないでせん断補強部材20を挿入することができる。
また、前記円形鋼製プレート、多角形鋼製プレート、楕円形鋼製プレートに孔hを設けることで、充填材30による挿入抵抗を低減し、且つ、リングヘッド22fの後方に空気を残すことなくせん断補強部材20を挿入することができる構成としてもよい(図4(f)参照)。さらに、図4(g)に示すように、リングヘッド22gのせん断補強鉄筋と接合した面と反対側の面を凸状の球面形状にすることにより、挿入抵抗を低減する構成としてもよい。
ここで、リングヘッド22とせん断補強鉄筋21との接合方法は、前記の方法に限定されるものではなく、摩擦圧接接合、ガス圧接接合、アーク溶接接合等、その一体化が可能であればよい。
また、プレートヘッド23は、図3に示すように、摩擦圧接機械を用いて、固定したせん断補強鉄筋21に回転させた鋼製プレートを押し付けることにより、回転する鋼製プレートに所定の圧力で摩擦熱を発生させて、鋼製プレートをせん断補強鉄筋21に溶着(摩擦圧接A)させることにより簡易に製造することができる。
ここで、プレートヘッド23とせん断補強鉄筋21との接合方法は、摩擦圧接Aに限定されるものではなく、ガス圧接接合、アーク溶接接合等、その一体化が可能であればよい。また、プレートヘッド23の形状は、四角形に限定されるものではなく、円形でもよい。
ここで、両端部のリングヘッド22とプレートヘッド23の組み合わせは、補強を行う側壁Wの配筋状態、コンクリート強度、壁厚などの要因にあわせて自由に選択することができる。
次に、せん断補強部材20を補強部材挿入孔10に設置し、側壁Wと一体化させる作業工程を示す。まず、先端部にリングヘッド22を、基端部にプレートヘッド23を設けたせん断補強鉄筋21を、地盤G側にリングヘッド22が位置するように、補強部材挿入孔10に挿入する(図2(b)及び図2(c)参照)。この際、補強部材挿入孔10はリングヘッド22の外径に余裕を見込んで形成されているため、補強部材挿入孔10内に充填材30が充填されていても、せん断補強部材20の挿入が可能となっている。
そして、プレートヘッド23の外側の拡幅部11にできた空間11aを、セメント系モルタルからなる充填材30をコテによりすり込むことで充填する。充填が完了したら、充填材30がその流動性により変形することがないように、型枠26を、拡幅部11を塞ぐように側壁Wの内側表面に設置する。この場合において、補強部材挿入孔10が下向きの場合、あるいは横向きの場合は、充填材30が変形することがないため型枠26を設置する必要がない場合もある。また、型枠26の材質・形状・設置方法は、拡幅部11からの充填材30の流出を抑止することができればよく、限定されるものではない。この補強部材挿入孔10の内部には予め充填材30が充填されているので、せん断補強部材20を挿入して充填材が硬化することで、せん断補強部材20が隙間なく補強部材挿入孔10内に固定されて、側壁Wとの一体化が可能となる。
本発明の補強方法によって補強されたRC構造体は、図5に示すように面外のせん断力Sが作用した時に発生する斜めひび割れcに対して、直接的にせん断補強部材20で補強してせん断耐力を向上させるものである。
つまり、面外のせん断力Sが側壁Wに作用すると斜めひび割れcが発生しようとするが、せん断補強部材20に引張力が働くために、両端部のリングヘッド22やプレートヘッド23に引き抜き力ftが作用する。このために、リングヘッド22及びプレートヘッド23の内側にあるコンクリート(以下「内部コンクリート」という)には、その反力として内部コンクリートに支圧力が作用して、圧縮応力fcの場が形成される。つまり、内部コンクリートは横拘束を受けて、斜め引張に対して、抵抗力を増大する結果となる。このために、端部にそれぞれリングヘッド22とプレートヘッド23の付いたせん断補強部材20により側壁Wの面外せん断耐力が増大するとともに、内部コンクリートに圧縮応力fcが発生する(圧縮応力場が形成される)ことによる靱性性能の増大も図られることになる。
本実施の形態において、リングヘッド22の周囲に拡孔部12を設けてもよく、その場合には図6に示すように、リングヘッド22の定着効果と靱性性能が増大する。すなわちリングヘッド22に引き抜き力ftが作用するときに、削孔内壁と充填材30との間で付着滑りが発生することを防止することができ、引き抜き剛性を増大することができる。さらに、リングヘッド22に作用する支圧反力が内部コンクリートに有効に作用して、大きな圧縮応力fcの場が形成されるために内部コンクリートの拘束効果がより一層高まり、靱性性能が増大する。
また、本実施の形態による補強を行った場合に、リングヘッド22とプレートヘッド23が存在することから、定着部分が増大することになる。この定着効果を調べるために、プレートヘッド23を有するせん断補強鉄筋21と、端部に半円形状のフックを形成したせん断補強鉄筋(以下「比較例」という)の引き抜き実験を行った結果の一例を、図7(a)及び図7(b)に示す。図7(a)は、異形鉄筋(D16)を用い、RC部材中に直径25mmの補強部材挿入孔を穿孔し、当該補強部材挿入孔に、厚さ9mm、直径35mmの円形の形状のプレートヘッドを有するせん断補強部材と比較例とを挿入して、充填材を充填させて硬化させた場合における、各せん断補強部材の引張応力と、抜け出し変位の関係を求めたものである。
図7(b)は、同様に異形鉄筋(D22)を用い、RC部材中に直径32mmの補強部材挿入孔を穿孔し、当該補強部材挿入孔に、厚さ16mm、直径が45mmの円形の形状のプレートヘッドを有するせん断補強部材と比較例とを挿入して、各せん断補強部材の引張応力と、抜け出し変位の関係を求めたものである。
この結果によれば、本発明に係るプレートヘッドを有するせん断補強鉄筋は、比較例と比べると抜け出し変位が小さく(引き抜き剛性が高く)、定着効果が格段に優れていることが実証されることになった。
<第二の実施の形態>
第二の実施の形態に係る補強方法は、(1)補強部材挿入孔を穿孔する工程と、(2)充填材を圧入する工程と、(3)せん断補強部材を挿入する工程の各工程を主要部として構成されている。
(1)補強部材挿入孔の穿孔工程
本工程は、第一の実施の形態において説明した補強部材挿入孔の穿孔工程と同様であるため、詳細な説明は省略する。なお、本実施の形態による補強部材挿入孔10の孔径は、せん断補強鉄筋21’の鉄筋径に若干の余裕を見込んだ値とする。
(2)充填材圧入工程
本工程は、図8(a)に示した、補強部材挿入孔10に充填材30を圧入機械Mにより圧入する作業を行う工程である。
図8(a)に示すように、補強部材挿入孔10の穿孔が完了した後、圧入機械Mにより、可塑性のあるセメント系モルタルからなる充填材30を圧入する。ここで、可塑性のあるセメント系モルタルは、セメントとシリカヒュームや石英粉などのポゾラン物質と増粘材と水とから構成される材料で、上向きに充填しても流れ落ちることのない性質を有している充填材30であるため、補強部材挿入孔10の方向に限定されることなく、充填することが可能である。なお、充填材30の材質等は、同様の特性を有するものであれば、これに限定されるものではない。
(3)せん断補強部材挿入工程
本工程は、図8(b)〜(c)に示した、充填材30が充填された補強部材挿入孔10にせん断補強部材20’を挿入するとともに、拡幅部11に充填材30のコテ塗りを行い、せん断補強部材20’と側壁Wとを一体化する作業を行う工程である。
本実施の形態に係るせん断補強部材20’は、図9に示すように、その先端に尖鋭部25を有するせん断補強鉄筋21’と、前記せん断補強鉄筋21’の基端部に摩擦圧接Aにより設けられている、当該せん断補強鉄筋21’より断面形状が大きいプレートヘッド23と、から構成されている。なお、せん断補強鉄筋21’の基端部とプレートヘッド23の摩擦圧接Aによる固定方法は、第一の実施の形態において説明した方法と同様であるため、詳細な説明は省略する。
ここで、せん断補強部材20’の尖鋭部25の加工方法は、せん断補強鉄筋21’の先端部を鋭角に切り落としたり、加熱して変形させるなど、限定されるものではない。せん断補強鉄筋21’の先端部に尖鋭部25設けることにより、せん断補強部材20’を充填材30に挿入する際に空気を巻き込むことを防止することが可能となる。
次に、せん断補強部材20’を補強部材挿入孔10に設置し、側壁Wと一体化させる作業工程を示す。まず、図8(b)に示すように、先端部に尖鋭部25を、基端部にプレートヘッド23を設けたせん断補強鉄筋21’を、地盤G側に尖鋭部25が位置するように、充填材30が充填された補強部材挿入孔10に挿入する。そして、図8(c)に示すように、プレートヘッド23の外側の拡幅部11にできた空間11aを、セメント系モルタルからなる充填材30をコテによりすり込むことで充填する。充填が完了したら、充填材30がその流動性により変形することがないように、型枠26を拡幅部11を塞ぐように側壁Wの内側表面に設置する。この場合において、補強部材挿入孔10が下向きの場合、あるいは横向きの場合は、充填材30が変形することがないため型枠26を設置する必要がない場合もある。また、型枠26の材質・形状・設置方法は、拡幅部11からの充填材30の流出を抑止することができればよく、限定されるものではない。
次に、本実施の形態によるせん断補強のメカニズムについて図10を用いて説明する。
面外のせん断力が側壁Wに作用すると斜めひび割れcが発生しようとするが、せん断補強鉄筋21’があるのでこのせん断補強鉄筋21’に引張力が働いて、端部のプレートヘッド23に引き抜き力ftが作用する。このために、プレートヘッド23の内側にあるコンクリートにはプレートヘッド23からの支圧力が作用して、側壁W内部のコンクリートには圧縮応力fcが作用する。つまりプレートヘッド23の内側のコンクリートは横拘束を受けて、斜め引張に対して抵抗力を増大する結果となる。このため、端部にプレートヘッド23のついた鉄筋補強により側壁Wの面外せん断耐力の増大とともに、内部コンクリートに圧縮応力fcが形成させることによる靱性能も増大する。
なお、本実施の形態による補強を行った場合においても、定着効果を調べるために第一の実施の形態において行われた引き抜き実験を行ったところ、図7(a),(b)と同様の結果が得られた。
以上のように、本発明の補強方法によれば、既設のRC造面版材のコンクリート厚さを増加させることなく、直接的にせん断補強部材20をRC造面版材内部に埋設することにより、せん断耐力と靱性性能の増大を効率的に実現できることから、従来の鉄筋コンクリート増厚工法等のように、補強後に内空断面が減少してしまうといった不都合が生じることを防止することができる。加えて、主鉄筋を増加させることがないことから、曲げ耐力を増加させることなく、面外せん断耐力を向上させることができるので、曲げ・せん断先行破壊型の可能性があるRC構造体を曲げ先行破壊型に移行することができる。
また、第一の実施の形態に係るせん断補強部材20におけるせん断補強鉄筋21の先端部に設けられたリングヘッド22による削孔径の増大は、せん断補強鉄筋21の鉄筋径に比較して30%〜50%程度のみであるため、補強部材挿入孔10の施工が容易であるばかりか、経済的に補強が実行できる。また、所定の引抜き剛性を確保した上で、補強部材挿入孔10の施工及び定着材の加工を効率的に行うことができる。
また、せん断補強鉄筋21の基端部に設けられているプレートヘッド23及び先端部に設けられているリングヘッド22は、充分な定着効果が得られるとともに、面外せん断力が発生するとせん断補強鉄筋21に引張力が作用するために、プレートヘッド23又はリングヘッド22及びプレートヘッド23に支圧力が働き、内部コンクリートには圧縮応力場が形成されるため、せん断に対して内部コンクリート自身のせん断抵抗力が増大して効果的なせん断補強となる。
さらに、補強部材挿入孔10は、充填材30により外部と遮断されるので、補強後の耐久性の観点で劣化の抑制を期待できる。
また、第二の実施の形態によるせん断力補強方法によれば、補強部材挿入孔10の削孔径がせん断補強鉄筋21’の鉄筋径の120%〜130%程度でよく、作業効率がよく、さらに、充填材30が充填された補強部材挿入孔10にせん断補強部材20’を挿入して、プレートヘッド23の外側の空間に充填材30を充填するのみで側壁Wとの一体化が完了するため、せん断補強部材20を挿入後に充填材30を充填する方法に比べて施工性に優れている。
以上、本発明について、好適な実施形態について説明した。しかし、本発明は、前述の各実施形態に限られず、前記の各構成要素については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜設計変更が可能であることは言うまでもない。
特に、本発明の補強方法の対象とするRC構造体は、前記実施形態に限られず、カルバート等を使用した構造であってもよい。
また、補強対象である既設RC構造体は、RC造であればよく、現場打ち鉄筋コンクリート構造体や、プレキャストコンクリート構造体等その種類は問わないとともに、補強を行う部位についても限定されず、底版等にも適用可能である。
また、せん断補強部材の挿入間隔・挿入数は、前記実施形態に限られず、適宜に定めることができる。
また、第一の実施の形態において、せん断補強部材の先端に設けられるリングヘッドが、補強部材挿入孔への挿入の際にせん断補強部材の先端で空気を巻き込むことがないように、鋭角に形成されていてもよい。
また、第二の実施の形態では、せん断補強部材として、その先端部に尖鋭部が形成されたものを使用したが、これに限定されるものではなく、例えば先端部に何も加工を施していないものや、先端部を加熱して後、鉄板などに押し付けることでその鉄筋径よりも大きい断面形状の定着部を形成したもの等を使用してもよい。
また、前記各実施の形態では、充填材のせん断補強部材を挿入前に補強部材挿入孔に充填する構成としたが、これに限定されるものではなく、例えば、せん断補強部材を補強部材挿入孔に挿入した後に、充填材を充填する構成としても良く、その順序は限定されるものではない。なお、この場合、充填材の充填は、プレートヘッドに予め形成された注入孔から充填材注入用のチューブを挿入することにより行う。
第一の実施の形態及び第二の実施の形態に係る補強方法の補強部材挿入孔穿設工程を示す図であり、(a)は正断面図、(b)は側断面図である。 (a)〜(c)ともに、第一の実施の形態に係る補強方法のせん断補強鉄筋挿入工程を示す側断面図である。 第一の実施の形態に係るせん断補強部材の全体斜視図である。 (a)は、第一の実施の形態に係るせん断補強部材のリングヘッドを示す斜視図であり、(b)〜(g)は、リングヘッドの変形例を示す斜視図である。 第一の実施の形態に係る補強方法を適用した壁にせん断力が作用した場合の応力状態を示す側断面図である。 第一の実施の形態に係る補強方法においてリングヘッドの周囲に拡孔部を設けた場合を適用した壁にせん断力が作用した場合の応力状態を示す側断面図である。 (a),(b)ともに、プレートヘッドを有するせん断補強鉄筋と、端部に半円形状のフックを形成したせん断補強鉄筋の引き抜き実験の結果を示すグラフである。 (a)〜(c)ともに、第二の実施に形態に係る補強方法のせん断補強鉄筋挿入工程を示す側面図である。 第二の実施の形態に係るせん断補強部材の全体斜視図である。 第二の実施の形態に係る補強方法を適用した壁にせん断力が作用した場合の応力状態を示す側断面図である。
符号の説明
10 補強部材挿入孔
11 拡幅部
12 拡孔部
20,20’ せん断補強部材
21,21’ せん断補強鉄筋
22 リングヘッド(定着部材)
23 プレートヘッド(定着部材)
25 尖鋭部
30 充填材
c 斜めひび割れ
fc 圧縮応力
ft 引き抜き力
G 地盤
R1 主鉄筋
R2 配力鉄筋
S せん断力
W 側壁

Claims (13)

  1. せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴とするせん断力補強方法。
    (1)前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を形成する補強部材挿入孔を穿孔する工程。
    (2)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
    (3)せん断補強鉄筋と、前記せん断補強鉄筋の基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材と、を備える前記せん断補強部材を、前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側及び他面側から既設の主鉄筋と同等の被りコンクリート厚を確保した状態で前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
  2. せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴とするせん断力補強方法。
    (1)前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を形成する補強部材挿入孔を穿孔する工程。
    (2)せん断補強鉄筋と、前記せん断補強鉄筋の基端部のみに設けられている、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材と、を備える前記せん断補強部材を、前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側及び他面側から既設の主鉄筋と同等の被りコンクリート厚を確保した状態で前記補強部材挿入孔に挿入するとともに、
    前記補強部材挿入孔に充填材を充填する、せん断補強部材を挿入する工程。
  3. せん断力が作用する既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の補強方法であって、以下の工程を含むことを特徴とするせん断力補強方法。
    (1)前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、せん断補強部材を設置するための補強部材挿入孔を形成する補強部材挿入孔を穿孔する工程。
    (2)前記補強部材挿入孔に充填材を充填する工程。
    (3)せん断補強鉄筋と、前記せん断補強鉄筋の先端部及び基端部に設けられている、当該せん断補強鉄筋より断面形状が大きい定着部材と、を備える前記せん断補強部材を、前記既設の鉄筋コンクリート造の面材又は版材の一面側及び他面側から既設の主鉄筋と同等の被りコンクリート厚を確保した状態で前記補強部材挿入孔に挿入する工程。
  4. 前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、
    厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の15%乃至40%、長さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の100%乃至250%となるように形成された金属製の環状筒材の中空部を、前記せん断補強鉄筋の先端部に挿通し、
    前記環状筒材に押圧力を付与して塑性変形させることにより前記せん断補強鉄筋と接合してなることを特徴とする請求項3に記載のせん断力補強方法。
  5. 前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、
    幅寸法が前記せん断補強鉄筋径の150%乃至250%、長さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の100%乃至250%となるように形成されたナット部材を、
    前記充填材を介在させた状態で前記せん断補強鉄筋の先端部に挿通することにより接合してなることを特徴とした請求項3に記載のせん断力補強方法。
  6. 前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、
    厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の30%乃至80%、直径寸法が前記せん断補強鉄筋径の140%乃至200%となるように形成された円形の鉄鋼製プレート材を、
    前記せん断補強鉄筋の先端部に接合してなることを特徴とした請求項3に記載のせん断力補強方法。
  7. 前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、
    厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の30%乃至80%、幅寸法が前記せん断補強鉄筋径の140%乃至200%となるように形成された多角形の鉄鋼製プレート材を、
    前記せん断補強鉄筋の先端部に接合してなることを特徴とした請求項3に記載のせん断力補強方法。
  8. 前記せん断補強部材における先端部の定着部材は、
    厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の30%乃至80%、長軸寸法が前記せん断補強鉄筋径の140%乃至200%となるように形成された楕円形状の鉄鋼製プレート材を、
    前記せん断補強鉄筋の先端部に接合してなることを特徴とした請求項3に記載のせん断力補強方法。
  9. 前記鉄鋼製プレート材に少なくとも1つの孔が形成されていることを特徴とした請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載のせん断力補強方法。
  10. 前記鉄鋼製プレート材の、せん断補強鉄筋が接合された面と反対側の面の形状が、凸状に形成されていることを特徴とした請求項5乃至請求項9のいずれか1項に記載のせん断力補強方法。
  11. 前記せん断補強部材における先端に、
    尖鋭部が形成されていることを特徴とした請求項1又は請求項2に記載のせん断力補強方法。
  12. 前記せん断補強部材における基端部の定着部材は、
    厚さ寸法が前記せん断補強鉄筋径の40%乃至80%、幅寸法が前記せん断補強鉄筋径の150%乃至300%となるように形成された鉄鋼製プレート材を、
    前記せん断補強鉄筋の基端部に接合してなることを特徴とした請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のせん断力補強方法。
  13. 前記既設コンクリート造の面材又は版材の一面側から他面側に向けて、前記せん断補強部材を設置するための前記補強部材挿入孔を形成するにあたり、前記せん断補強部材の先端部付近の孔径を、せん断補強鉄筋が挿入される部分の孔径の120%乃至200%程度とする拡孔部を設けることを特徴とした請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のせん断力補強方法。
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