JP4235022B2 - 線状補強部材の固定装置及び地山の補強方法 - Google Patents

線状補強部材の固定装置及び地山の補強方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、トンネルや法面などの掘削によって緩んだ地山、緩む可能性がある地山など(以下、地山という)を固定するために用いられる線状補強部材の固定装置及び地山の補強方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の線状補強部材の固定装置としては、例えば図7(図7(a)は斜視図、図7(b)は断面図)に示すように、地山131を貫通させる状態に削孔した孔132に挿入される線状補強部材たるボルト101(長さ2m〜4m程度,直径25mm程度)であって壁面側にねじ山101aが切られたものと、ボルト101壁面側のねじ山101aに螺着されるナット102及びナット102に反力をとって壁状部材たる吹付コンクリート133とともに地山131を孔132の口元部分の壁面側から抑止する板状部材たるベアリングプレート103と、孔132の内部に充填されることによりボルト101を地山に定着させる定着材たるモルタル104とから構成されるロックボルトがある(例えば非特許文献1参照)。
なお、吹付コンクリート133を用いないで、岩盤壁面に直接固定する場合もある。
【0003】
【非特許文献1】
「トンネル標準示方書(山岳工法編)・同解説」、社団法人土木学会、平成8年7月、p.79−85
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような線状補強部材の固定装置では、ボルト101の製造時にあっては、ねじ山101aを形成させるための加工に時間と費用を要することとなり、施工時にあっては、ベアリングプレート103をナット102のねじ山101aへの螺着によって吹付コンクリート133面に押し付けて固定する作業が非常に煩雑であり、そのための時間を要することとなってしまうという問題がある。
一方、図8(図8(a)は斜視図、図8(b)は断面図)に示すような、ボルトにPC鋼より線111を用いる場合は、PC鋼より線111に定着したねじ山をもつ定着材111aに螺着したナット112に反力をとってベアリングプレート113で地山131をモルタル114を介して固定する場合や、図9(図9(a)は斜視図、図9(b)は断面図)に示すような、PC鋼より線等121に楔122aを介して定着したグリッパー122に反力をとってベアリングプレート123で地山131をモルタル124を介して固定する場合にあっても、同様な作業上の問題を生ずることとなる。しかも、これらの固定具は、ねじ・ナット式よりも加工工程が多く、より高価なものとなる。
【0005】
そこで、本発明の課題は、線状補強部材の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果が得られるように、線状補強部材の製造及び地山への固定作業を容易かつ短時間で行うことが可能となるような線状補強部材の固定装置及び地山の補強方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、第一発明と、第二発明とを含むものとして構成されている。第一発明は、線状補強部材の固定装置に係るものであり、第二発明は、地山の補強方法に係るものである。
【0007】
第一発明に係る線状補強部材の固定装置は、掘削によって緩んだ地山、緩む可能性がある地山その他の地山を補強するために用いられるものとして構成されている。
【0008】
このような線状補強部材の固定装置は、線状補強部材と、口元部材と、定着材とを含むものとして構成されている。
【0009】
ここで、線状補強部材は、地山に削孔した孔に挿入されるものとして構成されている。線状補強部材としては、その周囲を取り巻く材料との付着力が増大するように、前記筒状部に収まる位置に断面の大きな箇所を有して形成されているものを使用するのが好ましく、例えば、通常のより線(プレーンストランドケーブル)の一部をより戻すことからその一部分に膨らみを作ったバルブストランドケーブルを用いることが好適である。
【0010】
口元部材は、孔の口元部分に線状補強部材を貫通した状態に配設される筒状部を含むものとして構成されている。
【0011】
定着材は、孔の内部および口元部材と線状補強部材との隙間に充填され硬化することにより線状補強部材及び口元部材を地山に定着させるとともに定着材を介して線状補強部材と口元部材とを連結し、線状補強部材に対して孔に沿う方向で引張力が付与された場合に口元部材の内側で生ずる定着材の体積膨張により線状補強部材に対して拘束力を付与する機能を果たす。これは、例えばセメントミルクやモルタルなどとして構成されるものである。
【0012】
このような第一発明に係る線状補強部材の固定装置によれば、このような筒状部及び板状部からなる口元部材を含むものとして構成されているので、線状補強部材の製造及び地山への固定作業を容易かつ短時間で行うことが可能となる。
【0013】
したがって、これによれば、線状補強部材の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果が得られることが可能となる。
【0014】
このような第一発明に係る線状補強部材の固定装置において、地山の拘束力が低い場合(例えば岩強度が低い場合)に線状補強部材から伝達される引張力に対抗することとして、地山との定着についての不安を解消しようとする観点からすれば、口元部材は、地山を孔の口元部分の壁面側から抑止する板状部を含むものとして構成されていることが好ましい。
【0015】
この場合において、線状補強部材の製造及び地山への固定作業をさらに容易かつ短時間で行うことを可能として、線状補強部材のもつ能力を最大限に得ようとする観点からすれば、口元部材の板状部は、壁状部材とともに地山を孔の口元部分の壁面側から抑止するものであることが好ましい。
【0016】
ただし、地山の拘束力が高く、地山の亀裂等が問題となる場合には、口元部材としては、拘束力を計算した上で筒状部材の表面を凹凸に加工したもののみによって構成することもできる。
【0017】
ここで、壁状部材は、例えば吹付コンクリートなどとして構成されるものである。
【0018】
一方、第二発明に係る地山の補強方法は、掘削によって緩んだ地山、緩む可能性がある地山その他の地山を補強するために用いられる方法として構成されている。
【0019】
これは、以下の各工程を含む方法として構成されている。
【0020】
すなわち、地山に削孔した孔に線状補強部材を挿入する線状補強部材挿入工程。
【0021】
孔の口元部分に筒状部及び板状部からなる口元部材を配設する工程であって、筒状部に線状補強部材を貫通した状態におくとともに、板状部を地山を孔の口元部分の壁面側から抑止可能な状態におく口元部材配設工程。
【0022】
そして、孔の内部および前記口元部材と前記線状補強部材との隙間に定着材を充填する工程であって、線状補強部材及び口元部材を地山に定着可能な状態におくとともに前記定着材を介して前記線状補強部材と前記口元部材とを連結し、線状補強部材に孔に沿う方向で引張力が付与された場合に口元部材の内側で生ずる定着材の体積膨張により線状補強部材への拘束力の付与が可能な状態におく定着材充填工程である。
【0023】
ここで、定着材は、例えばセメントミルクやモルタル、樹脂などとして構成されるものである。
【0024】
このような第二発明に係る地山の補強方法によれば、このような口元部材配設工程を含むものとして構成されているので、線状補強部材の製造及び地山への固定作業をきわめて容易にかつ短時間で行うことが可能となる。
【0025】
したがって、これによれば、線状補強部材の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果が確実かつ十分に得られることが可能となる。
【0026】
このような第二発明に係る地山の補強方法において、地山の拘束力が小さい場合では、線状補強部材の製造及び地山への固定作業をさらに容易かつ短時間で行うことを可能として、線状補強部材の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果を確実かつ十分に得ようとする観点からすれば、口元部材配設工程の前に、壁状部材を地山の壁面側であって孔の口元部分周りに配設する壁状部材配設工程を含み、口元部材配設工程が、壁状部材とともに地山を孔の口元部分の壁面側から抑止可能な状態におく工程を含む方法として構成されていることが好ましい。
【0027】
ここで、壁状部材は、例えば吹付コンクリートなどとして構成されるものである。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0029】
なお、ここでは、トンネル掘削による地山の補強にロックボルトに沿う形式で用いられる場合について説明するが、これに限られるものではなく、例えば法面掘削による地山の補強ボルトとして用いられるなどの場合でも、以下の説明が妥当する。
【0030】
◎実施の形態1
[線状補強部材の固定装置]
図1は本発明の実施の形態1に係る線状補強部材の固定装置の全体構成を示す斜視図、図2は該線状補強部材の固定装置の部分構成を示す断面図、図3は該線状補強部材の固定装置の作用を説明する断面図を示している。
【0031】
この実施の形態1において、線状補強部材の固定装置は、掘削によって緩んだ地山、緩む可能性がある地山その他の地山を線状補強部材で補強する場合に線状補強部材を地山に固定することを目的として用いられるものとして構成されている。
【0032】
具体的には、この線状補強部材の固定装置は、図1及び図2に示すように、線状補強部材たるボルト1と、口元部材たる鍔付管2と、セメントミルクやモルタル等からなる定着材3とからなっている。
【0033】
以下、これらの各構成要素についてさらに詳細に説明する。
【0034】
(1)ボルト1
ボルト1は、これらの図に示すように、地山21に削孔した孔22に挿入されるものとして構成されている。
【0035】
この実施の形態1において、ボルト1が挿入される孔22は、地山21を削孔されることとなっており、これにより、地山21を深部の健全な地山(図示外)に固定したり、全面定着により地山を補強したりすること等が可能となっている。
【0036】
(2)鍔付管2
鍔付管2は、これらの図に示すように、孔22の口元部分にボルト1を貫通した状態に配設される筒状部11と、地山21を孔22の口元部分の壁面側から抑止する板状部12とからなるものとして構成されている。
【0037】
ここで、鍔付管2の筒状部11は、所定の剛性をもつ管からなっている。
【0038】
つまり、この筒状部11の内側においては、孔22の内部に定着材3が充填された後であってこれが固化した後、ボルト1に孔22に沿う方向で引張力が付与された場合にボルト1への拘束力24(図3参照)が付与されることとなっている。
【0039】
このようなボルト1への拘束力24(図3参照)がボルト1に負荷される引張荷重よりも大きければ、この筒状部11の内側からボルト1は抜けず、これにより、ボルト1を地山21の孔22の口元部分に固定することが可能となっている。
【0040】
なお、このような拘束力24(図3参照)は、鍔付管2の筒状部11の長さに比例する関係にあるため、この関係を利用することにより、鍔付管2の筒状部11を必要な長さに設計することが可能となっている。
【0041】
一方、鍔付管2の鍔に相当する部分である板状部12は、所定の剛性をもつ板からなっており、これらの図に示すように、壁状部材たる吹付コンクリート23等とともに地山21を孔22の口元部分の壁面側から抑止するものとして構成されている。
【0042】
このような板状部12によれば、地山の拘束力が低い場合(例えば岩強度が低い場合)において線状補強部材から伝達される引張力に対抗することが可能となっており、これにより、筒状部11と地山との定着についての不安を解消することが可能となる。
【0043】
つまり、地山21は、これらの図に示すように、壁状部材たる吹付コンクリート23とともに鍔付管2板状部12によって孔22の口元部分の壁面側から抑止されることが可能となっている。
【0044】
このような鍔付管2によれば、ボルト1の製造及び地山21への固定作業をさらに容易かつ短時間で行うことが可能となっており、これにより、ボルト1の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果を確実かつ十分に得ることが可能となっている。
【0045】
また、これによれば、従来技術ではボルト材の種類毎に異なるものとなっていた地山21の固定方式が簡単な方式として一元化される効果も得られる。
【0046】
(3)定着材3
定着材3は、図1及び図2に示すように、孔22の内部に充填されることによりボルト1及び鍔付管2を地山に定着させる機能を果たす。
【0047】
加えて、定着材3は、図3に示すように、ボルト1に対して孔22に沿う方向で引張力が付与された場合には、鍔付管2の内側においてボルト1に対して拘束力24を付与する機能を果たす。
【0048】
上記したように、このような線状補強部材の固定装置によれば、このような筒状部11及び板状部12からなる鍔付管2を含むものとして構成されているので、ボルト1の製造及び地山21への固定作業を容易かつ短時間で行うことが可能となっている。
【0049】
したがって、これによれば、ボルト1の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果が確実かつ十分に得られることが可能となる。
【0050】
[地山21の補強方法]
図4は本発明のこの実施の形態1に係る地山21の補強方法の全体構成を説明するフローチャートの一例を示している。
【0051】
この実施の形態1において、地山21の補強方法は、上記したような地山21の固定装置を用いて行うものであり、図4にフローチャートとして示すように、壁状部材配設工程、ボルト挿入工程、口元部材配設工程及び定着材充填工程の各工程により構成されている。これらの各工程の前後については、前後関係を問わないこととなっている。以下、図4を用いて、図1〜図3を参照にしながら、各工程について説明する。
【0052】
(1)壁状部材配設工程(図1及び図2参照)
これは、壁状部材たる吹付コンクリート23を地山21の壁面側であって孔22の口元部分周りに配設する工程である。
【0053】
ここで、この壁状部材配設工程は、口元部材配設工程の前に実行されることとなっているが、このような順序に限られるものではなく、また、この壁状部材配設工程がなくても本発明が成立し得る。
【0054】
(2)線状補強部材挿入工程(図1及び図2参照)
これは、地山21を貫通させる状態に削孔した孔22に線状補強部材たるボルト1を挿入する工程である。
【0055】
(3)口元部材配設工程(図1及び図2参照)
これは、孔22の口元部分に筒状部11及び板状部12からなる口元部材たる鍔付管2を配設する工程であって、筒状部11にボルト1を貫通した状態におくとともに、板状部12を地山21の孔22の口元部分の壁面側から抑止可能な状態におく工程である。
【0056】
ここで、この口元部材配設工程は、定着材充填工程の前に実行されることとなっているが、このような順序に限られるものではなく、定着材充填工程の後にこれを実行することとなっても差し支えない。
【0057】
この実施の形態1において、この口元部材配設工程は、壁状部材たる吹付コンクリート23とともに地山21を孔22の口元部分の壁面側から抑止可能な状態におく工程を含むものとして構成されている。
【0058】
このような口元部材配設工程によれば、ボルト1の製造及び地山21への固定作業をさらに容易かつ短時間で行うことが可能となっており、これにより、ボルト1の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果を確実かつ十分に得られることが可能となっている。
【0059】
(4)定着材充填工程(図1〜図3参照)
これは、孔22の内部に定着材たる定着材3を充填する工程であって、ボルト1及び鍔付管2を地山に定着可能な状態におくとともに、ボルト1に孔22に沿う方向で引張力が付与された場合に鍔付管2の内側でボルト1への拘束力24の付与が可能な状態におく工程である。
【0060】
この実施の形態1において、この定着材充填工程は、口元部材配設工程の後に実行されることとなっているが、このような順序に限られるものではなく、口元部材配設工程の前にこれを実行することとなっても差し支えない。
【0061】
ここで、ボルト1に孔22に沿う方向で引張力が伝達された場合には、以下のようなプロセスによって図3に示すようなボルト1への拘束力24の付与が具現化されることとなる。
【0062】
すなわち、ボルト1に対して孔22に沿う方向で引張力が加えられると、ボルト1周辺にある硬化した定着材3において図示しない微細な亀裂が発生する。
すると、孔22の内部における硬化した定着材3としては、周囲が所定の剛性をもつ硬い筒状部11で囲われていることから、そのような微細な亀裂が硬化した定着材3の破壊へと発展することはないが、微細な亀裂分だけの体積変化(膨張)が生ずる。
このような形状の変形により、ボルト1への拘束力24を生じさせる結果となる。
【0063】
これにより、この実施の形態1に係る地山21の補強方法が終了する。
【0064】
すなわち、このような地山の補強方法によれば、このような口元部材配設工程及び定着材充填工程を含むものとして構成されているので、ボルト1の製造及び地山21への固定作業をきわめて容易にかつ短時間で行うことが可能となる。
【0065】
したがって、これによれば、ボルト1の製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果が確実かつ十分に得られることが可能となる。
【0066】
◎実施の形態2
図5は本発明の実施の形態2に係る線状補強部材の固定装置の部分構成を示す断面図である。なお、実施の形態1と同様な構成要素については、実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
【0067】
この実施の形態2に係る線状補強部材の固定装置は、実施の形態1とほぼ同様であるが、口元部材が筒状部及び板状部からなる実施の形態1と異なり、口元部材が筒状部のみからなる鍔なし管32として構成されている。
【0068】
この鍔なし管32は、鍔付管2よりも地山との固定が不安定であるため、主に良好な地山に用いられる。
【0069】
具体的には、この鍔なし管32は、図5に示すように、孔22の口元部分にボルト1を貫通した状態に配設される筒状部41で構成される。
【0070】
ここで、鍔なし管32の筒状部41は、所定の剛性をもち、筒状部41の表面には、凹凸の加工が施された管となっている。
【0071】
つまり、この筒状部41の内側においては、孔22の内部に充填材が充填された後であってこれが固化した後、ボルト1に孔22に沿う方向で引張力が付与された場合にボルト1への拘束力が付与されることとなっている。
【0072】
このようなボルト1への拘束力によって発揮される充填材とボルト1との間のせん断抵抗力がボルト1に負荷される引張荷重よりも大きければ、この筒状部41の内側からボルト1は抜けず、これにより、ボルト1は筒状部41と固定することが可能となる。
【0073】
一方、鍔なし管32と地山の固定については、例えば鋼管などの表面が滑らかなものであって、鍔なし管32がボルト1の引張力を受けた場合、地山と鍔なし管32の間の拘束力が発揮されにくい。しかし、筒状部41の表面に設けられた凹凸により、地山からの拘束力が付与されることとなる。
【0074】
このような口元部分への拘束力によって発揮されるせん断抵抗力が口元部分へ負荷される引張荷重よりも大きければ、地山内で口元部分が動くことはなく、これにより、鍔なし管32は、地山と固定することが可能となる。
【0075】
したがって、このような実施の形態2に係る線状補強部材の固定装置によっても、以上のような条件を満たすことにより、実施の形態1とほぼ同様な効果が得られることとなる。
【0076】
◎実施の形態3
図6は本発明の実施の形態3に係る線状補強部材の固定装置の各部分構成を示す断面図であり、(a)は線状補強部材を挿入した状態の孔の口元部分を示す部分断面図、(b)はボルト1’の一般部の拡大断面図、(c)はボルト1’に設けたバルブ13の拡大断面図である。なお、実施の形態1又は2と同様な構成要素については、実施の形態1又は2と同様な符号を付してここではその詳細の説明を省略する。
【0077】
この実施の形態3に係る線状補強部材の固定装置は、実施の形態1と略同様であるが、線状補強部材たるボルト1’としてより線を使用する。ボルト1’は、図6(b)で示すように複数本の鋼線(本実施の形態では7本)をより合わせた断面を有するいわゆるより線であり、その一部について図6(c)で示すようにより線をより戻すことにより、膨らみ部分(以下「バルブ」という場合がある)13を設けて、部分的に断面の大きい箇所を設けたものである。なお、ボルト1’のバルブ13は、鍔付管2の筒状部11内に収まる位置に設けるものとする。
【0078】
ここで、ボルト1’に使用するより線には、あらかじめ工場にてバルブ13を加工してあるより線であるバルブストランドを使用しても、バルブ13の無い通常のより線であるプレーンストランドを、ボルト1’の孔22への挿入時に、より戻してバルブ13を設けたものを使用しても良い。
【0079】
図6(a)に示すように、ボルト1’にバルブ13を設けることにより、ボルト1’を取り巻く材料との付着が増大し、線状補強部材の定着効果の増大を図ることができる。つまり、筒状部11の内側においては、孔22の内部に定着材3が充填された後であってこれが固化した後、ボルト1’に孔22に沿う方向で引張力が付与された場合にボルト1’への拘束力24が付与されるのとともに、バルブ13が定着材のような働きを示し、引張力に対する抵抗力が増加することとなる。
【0080】
このようなボルト1’への拘束力24とバルブ13による抵抗力が、ボルト1’に負荷される引張荷重よりも大きければ、この筒状部11の内側からボルト1’は抜けず、これにより、ボルト1’を地山21の孔22の口元部分に固定することが可能となる。
【0081】
すなわち、実施の形態3に係る線状補強部材の固定装置によれば、ボルト1’にバルブ13を設けた分、抵抗力が増加するため、より効果的な地山の補強が可能となる。
【0082】
なお、本実施の形態では、線状補強部材たるボルト1’の線材としてより線を使用したが、ボルト1’の線材はこれに限らず、あらかじめ部分的に断面を大きく加工した鋼線を使用するなど、同様の効果をもたらすものであれば、その材料は限定されるものではない。
【0083】
【発明の効果】
本発明に係る線状補強部材の固定装置及び地山の補強方法によれば、ボルトの製造コストの低減効果及び施工コストの低減効果が確実かつ十分に得られることとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1に係る線状補強部材の固定装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る線状補強部材の固定装置の部分構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る線状補強部材の固定装置の作用を説明する断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る地山21の補強方法の全体構成を説明するフローチャートの一例である。
【図5】本発明の実施の形態2に係る線状補強部材の固定装置の部分構成を示す断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3に係る線状補強部材の固定装置の各部分構成を示す断面図であり、(a)は線状補強部材を挿入した状態の孔の口元部分を示す部分断面図、(b)はボルトの一般部の拡大断面図、(c)はボルトに設けたバルブの拡大断面図である。
【図7】従来技術である線状補強部材の固定装置の概略構成を示す図7(図7(a)は斜視図、図7(b)は断面図)である。
【図8】従来技術である線状補強部材の固定装置の概略構成を示す図8(図8(a)は斜視図、図8(b)は断面図)である。
【図9】従来技術である線状補強部材の固定装置の概略構成を示す図9(図9(a)は斜視図、図9(b)は断面図)である。
【符号の説明】
1 ボルト
2 鍔付管
3 定着材
11 筒状部
12 板状部
13 バルブ
21 地山
22 孔
23 吹付コンクリート
24 拘束力
32 鍔なし管
41 筒状部
101 ボルト
101a ねじ山
102 ナット
103 ベアリングプレート
104 定着材
111 PC鋼より線
111a 定着材
112 ナット
113 ベアリングプレート
114 定着材
121 PC鋼より線等
122 グリッパー
122a 楔
123 ベアリングプレート
124 定着材
131 地山
132 孔
133 吹付コンクリート

Claims (4)

  1. 掘削によって緩んだ地山、緩む可能性がある地山その他の地山を補強するための線状補強部材の固定装置であって、
    前記地山に穿設した孔に挿入される線状補強部材と、
    前記孔の口元部分に前記線状補強部材を貫通させる状態に配設される筒状部を含む口元部材とを含み、
    前記孔の内部および前記口元部材と前記線状補強部材との隙間にセメントミルク、モルタルその他の定着材を充填することにより前記線状補強部材及び前記口元部材を地山に定着させるとともに前記定着材を介して前記線状補強部材と前記口元部材とを連結し、該線状補強部材に対して前記孔に沿う方向で引張力が付与された場合に該口元部材の内側で生ずる前記定着材の体積膨張により該線状補強部材に対して拘束力を付与するものであることを特徴とする、
    線状補強部材の固定装置。
  2. 前記口元部材は、前記地山を前記孔の口元部分の壁面側から抑止する板状部を含むことを特徴とする、
    請求項1に記載の線状補強部材の固定装置。
  3. 前記線状補強部材は、前記筒状部に収まる位置に断面の大きい箇所を有して形成されていることを特徴とする、
    請求項1又は請求項2に記載の線状補強部材の固定装置。
  4. 掘削によって緩んだ地山、緩む可能性がある地山その他の地山を補強するための地山の補強方法であって、
    前記地山に削孔した孔に、線状補強部材を挿入する線状補強部材挿入工程と、
    前記孔の口元部分に筒状部及び板状部からなる口元部材を配設する工程であって、該筒状部に前記線状補強部材を貫通した状態におくとともに、該板状部を前記地山を該孔の口元部分の壁面側から抑止可能な状態におく口元部材配設工程と、
    前記孔の内部および前記口元部材と前記線状補強部材との隙間にセメントミルク、モルタルその他の定着材を充填する工程であって、前記線状補強部材及び前記口元部材を地山に定着可能な状態におくとともに前記定着材を介して前記線状補強部材と前記口元部材とを連結し、該線状補強部材に前記孔に沿う方向で引張力が付与された場合に該口元部材の内側で生ずる前記定着材の体積膨張により該線状補強部材への拘束力の付与が可能な状態におく定着材充填工程と、を含むことを特徴とする、
    地山の補強方法。
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