JP6724281B2 - すべり軸受 - Google Patents
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Description
このような構成を有するすべり軸受によれば、回転軸とすべり軸受との間を流通した潤滑油は前記逃げ部の内部で乱流または渦を発生させ、これによりすべり軸受から潤滑油へと熱伝達を行い、すべり軸受を冷却するようになっている(第0025欄、図3、図5〜図8)。
また、近年の自動車用エンジンとして、ハイブリッドエンジンやアイドリングストップを行うエンジンなどのクランクシャフトが頻繁に停止するエンジンでは、潤滑油の温度が低下しやすく、クランクシャフトを再度回転させる際に上述したような問題が発生してしまう。
すべり軸受1は円筒状の部材であり、図1に示すように、エンジンのクランクシャフト11のすべり軸受構造に適用される。すべり軸受1は、二つの半割部材2U・2Lで構成されている。二つの半割部材2U・2Lは、円筒を軸方向と平行に二分割した形状であり、断面が半円状となるように形成されている。本実施形態においては、半割部材2U・2Lは上下に配置されており、左右に合わせ面が配置されている。クランクシャフト11をすべり軸受1で軸支する場合、所定の隙間が形成され、この隙間に対し図示せぬ油路から潤滑油が供給される。
図2(a)に示すように、上側の半割部材2Uの内周には円周方向に溝12が設けられており、中心に円形の孔12aが設けられている。また、上側の半割部材2Uの左右に合わせ面が配置されている。
第一の細溝3は上側の半割部材2Uに設けられる。本実施形態においては、第一の細溝3は軸方向に並列して二本設けられている。詳細には、第一の細溝3は、クランクシャフト11の回転方向上流側端部3a(軸受角度ωがω0)から軸受角度ωが負となる方向(時計回り方向)に向けて円周方向に設けられる。なお、上側の半割部材2Uにおいては、図2(b)の右側の合わせ面が回転方向下流側合わせ面、図2(b)の左側の合わせ面が回転方向上流側合わせ面となる。
第一の細溝3の回転方向下流側端部3bは、軸受角度ωがω1となる位置に設けられている。
第一の細溝3の長さlは、回転方向上流側端部3aから回転方向下流側端部3bまでの長さに形成したものである。
第一の細溝3の軸方向の幅は、図2(c)に示すように、wとなるように形成されている。
また、第一の細溝3の底面からすべり軸受1のクランクシャフト11との当接面までの高さdは、上側の半割部材2Uの外周面から当接面までの高さDよりも短くなるように形成されている。
このように構成することにより、上側の半割部材2Uに第一の細溝3を設けることで、油膜のせん断熱を利用し、潤滑油を早期昇温させることでフリクション低減効果を得ることができる。油膜のせん断熱は、主に第一の細溝3内で発生する。例えば冷間始動時においてフリクション低減効果を得ることができ、トータルの流出油量を抑えることができる。
このように構成することにより、上側の半割部材2Uの下流側における油膜圧力を確保しつつ、フリクション低減効果を得ることができ、トータルの流出油量を抑えることができる。
図3(a)に示すように、下側の半割部材2Lの内周の当接面において、その軸方向の端部に第二の細溝13が形成されている。
第二の細溝13は下側の半割部材2Lに設けられる。本実施形態においては、第二の細溝13は軸方向に並列して二本設けられている。詳細には、第二の細溝13は、クランクシャフト11の回転方向下流側端部13a(軸受角度ωがω2)から軸受角度ωが正となる方向(反時計回り方向)に向けて円周方向に設けられる。なお、下側の半割部材2Lにおいては、図3(b)の右側の合わせ面が回転方向上流側合わせ面、図3(b)の左側の合わせ面が回転方向下流側合わせ面となる。
第二の細溝13の回転方向下流側端部13bは、軸受角度ωがω3となる位置に設けられている。
第二の細溝13の長さlは、回転方向下流側端部13aから回転方向上流側端部13bまでの長さに形成したものである。
第二の細溝13の軸方向の幅は、図3(c)に示すように、wとなるように形成されている。
また、第二の細溝13の底面からすべり軸受1のクランクシャフト11との当接面までの高さdは、下側の半割部材2Lの外周面から当接面までの高さDよりも短くなるように形成されている。
このように構成することにより、油膜のせん断熱を利用し、潤滑油を早期昇温させることでフリクション低減効果を得ることができる。油膜のせん断熱は、主に第一の細溝3及び第二の細溝13内で発生する。上側の半割部材2Uに第一の細溝3を設けるとともに、下側の半割部材2Lの軸方向端部に円周方向に第二の細溝13を設けたことで、例えば冷間始動時においてフリクション低減効果を更に得ることができ、トータルの流出油量を抑えることができる。
図4(a)に示すように、上側の半割部材2Uの内周には円周方向に溝12が設けられており、中心に円形の孔12aが設けられている。また、上側の半割部材2Uの左右に合わせ面が配置されている。
第一の細溝3は上側の半割部材2Uに設けられる。本実施形態においては、第一の細溝3は軸方向に並列して二本設けられている。詳細には、第一の細溝3は、クランクシャフト11の回転方向上流側端部3a(軸受角度ωがω4)から軸受角度ωが負となる方向(時計回り方向)に向けて円周方向に設けられる。なお、上側の半割部材2Uにおいては、図4(b)の右側の合わせ面が回転方向下流側合わせ面、図4(b)の左側の合わせ面が回転方向上流側合わせ面となる。
第一の細溝3の回転方向下流側端部3bは、上側の半割部材2Uの中央部(軸受角度ωが90°)よりも下流側(軸受角度ωがω5)となる位置に設けられている。
第一の細溝3の長さlは、回転方向上流側端部3aから回転方向下流側端部3bまでの長さに形成したものである。
第一の細溝3の軸方向の幅は、図4(c)に示すように、wとなるように形成されている。
また、第一の細溝3の底面からすべり軸受1のクランクシャフト11との当接面までの高さdは、上側の半割部材2Uの外周面から当接面までの高さDよりも短くなるように形成されている。
このように構成することにより、油膜のせん断熱を利用し、潤滑油を早期昇温させることでフリクション低減効果を得ることができる。油膜のせん断熱は、主に第一の細溝3内で発生する。上側の半割部材2Uの上流側及び下流側における油膜圧力を確保しつつ、フリクション低減効果を得ることができ、トータルの流出油量を抑えることができる。
図5(a)に示すように、上側の半割部材2Uの内周には円周方向に溝12が設けられており、中心に円形の孔12aが設けられている。また、上側の半割部材2Uの左右に合わせ面が配置されている。
第一の細溝3は上側の半割部材2Uに設けられる。本実施形態においては、第一の細溝3は軸方向に並列して二本設けられている。詳細には、第一の細溝3は、クランクシャフト11の回転方向上流側端部3a(軸受角度ωがω6)から軸受角度ωが負となる方向(時計回り方向)に向けて円周方向に設けられる。なお、上側の半割部材2Uにおいては、図5(b)の右側の合わせ面が回転方向下流側合わせ面、図5(b)の左側の合わせ面が回転方向上流側合わせ面となる。
第一の細溝3の回転方向下流側端部3bは、軸受角度ωがω7となる位置に設けられており、クランクシャフト11の回転方向下流側合わせ面に近接しており、回転方向下流側端部3bと回転方向下流側合わせ面とは連通することなく設けられている。
第一の細溝3の長さlは、回転方向上流側端部3aから回転方向下流側端部3bまでの長さに形成したものである。
第一の細溝3の軸方向の幅は、図5(c)に示すように、wとなるように形成されている。
また、第一の細溝3の底面からすべり軸受1のクランクシャフト11との当接面までの高さdは、上側の半割部材2Uの外周面から当接面までの高さDよりも短くなるように形成されている。
このように構成することにより、油膜のせん断熱を利用し、潤滑油を早期昇温させることでフリクション低減効果を得ることができる。油膜のせん断熱は、主に第一の細溝3内で発生する。上側の半割部材2Uの上流側における油膜圧力を確保しつつ、フリクション低減効果を得ることができ、トータルの流出油量を抑えることができる。
2U 上側の半割部材
2L 下側の半割部材
2a 周縁部
2b 周縁部
3 第一の細溝
11 クランクシャフト(軸)
13 第二の細溝
Claims (5)
- 円筒を軸方向と平行に二分割した半割部材を上下に配置したすべり軸受であって、
前記上側の半割部材の軸方向端部の、回転方向上流側合わせ面から回転方向下流側に離間した位置と、回転方向下流側合わせ面から回転方向上流側に離間した位置との間に、円周方向に延びる第一の細溝のみを軸方向端部の両側にそれぞれ一つずつ設け、前記第一の細溝以外の細溝が設けられていないことを特徴とするすべり軸受。 - 前記下側の半割部材の軸方向端部の、回転方向下流側合わせ面から回転方向上流側に離間した位置と、前記下側の半割部材の最下点となる位置との間に、円周方向に延びる第二の細溝のみを軸方向端部の両側にそれぞれ一つずつ設け、前記第二の細溝以外の細溝が設けられていないことを特徴とする請求項1に記載のすべり軸受。
- 前記第一の細溝は、前記上側の半割部材の上端部より回転方向上流側端部側に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のすべり軸受。
- 前記第一の細溝は、前記上側の半割部材の上端部を跨いで回転方向中央部に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のすべり軸受。
- 前記第一の細溝は、前記上側の半割部材の上端部より回転方向下流側端部側に設けたことを特徴とする請求項1または2に記載のすべり軸受。
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