JP6723915B2 - エステルの製造方法 - Google Patents

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本発明は、特定の鉄錯体の存在下にカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応によって得られたエステルを特定の方法で洗浄する、エステルの製造方法に関する。
従来から、シッフ塩基を含む配位子構造と鉄原子とをその分子内に有する鉄錯体を触媒として、カルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応を行うことによるエステルの製造方法が知られている。
例えば、特許文献1には、カルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応を行うに際して、触媒として、シッフ塩基を含む配位子を配位した鉄錯体の存在下に反応を行うことが記載されている。
特開昭55−143935号公報
鉄錯体を触媒として用いたエステル交換反応で得られた反応液は、多くの場合、赤黒色に着色しており、さらに、固形物を含む場合もあることから、例えば、光学樹脂、塗装、電子材料など、透明性、意匠性、金属フリーが求められる用途には、得られたエステルをそのまま使用することができない場合があった。特許文献1には、反応によって得られたエステルの精製方法について、蒸留による方法が記載されているが、その操作は煩雑であり、エステルの種類によっては蒸留が困難な場合もあった。
そこで本発明は、特定の鉄錯体の存在下にカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応によってエステルを製造するに際し、蒸留操作を省略しても、色相に優れ、固形物の混入も少なくて、各種用途に好適に使用することのできる、高品位なエステルを得ることを目的とする。
本発明者らが、鋭意検討を行った結果、特定の鉄錯体の存在下にエステル交換反応により得られたエステルを特定の方法で洗浄することにより、それに含まれる触媒、未反応原料、着色物質などの不純物を容易に除去することができ、蒸留操作を省略しても、色相に優れ、固形物の混入も少なくて、純度の高い高品位なエステルが得られることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
[1]下記一般式(1)又は(2)で表される配位子が配位した鉄錯体の存在下にカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応によって得られたエステルを酸性溶液で洗浄する工程(I)を含む、エステルの製造方法;
(式(1)及び(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族基、又は芳香族基を表す。ただし、RとR、RとR、及びRとRの少なくとも1つが互いに結合して環を形成していてもよい。)
[2]前記エステル交換反応によって得られたエステルを塩基性溶液で洗浄する工程(II)を含む、上記[1]の製造方法;
[3]前記工程(I)及び/又は(II)の前処理として、前記エステル交換反応によって得られたエステルに低極性溶媒を加えることにより析出した固形物を除去する工程(III)を含む、上記[1]又は[2]の製造方法;
[4]前記工程(I)及び/又は(II)で得られたエステルを活性炭で吸着処理する工程(IV)を含む、上記[1]〜[3]のいずれかの製造方法;
[5]前記エステルが(メタ)アクリル酸エステルである、上記[1]〜[4]のいずれかの製造方法;
[6]前記(メタ)アクリル酸エステルがイソプレングリコールジメタクリレートである、上記[1]〜[5]のいずれかの製造方法;
に関する。
本発明の製造方法によれば、特定の鉄錯体の存在下にカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応によってエステルを製造するに際し、蒸留操作を省略しても、色相に優れ、固形物の混入も少なくて、各種用途に好適に使用することのできる、高品位なエステルが得られる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書では、2つの鉄原子が1つの酸素原子を介して結合した構造とシッフ塩基を含む配位子構造とをその分子内に有する鉄錯体を「鉄二核錯体」と記載することがある。また、シッフ塩基を含む配位子構造と1つの鉄原子とをその分子内に有する鉄錯体を「鉄単核錯体」と記載することがある。
〔鉄錯体〕
本発明のエステルの製造方法は、下記一般式(1)又は(2)で表される配位子が配位した鉄錯体の存在下にカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応によって得られたエステルを酸性溶液で洗浄する工程(I)を含む。
前記一般式(1)及び(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族基、又は芳香族基を表す。ただし、RとR、RとR、及びRとRの少なくとも1つが互いに結合して環を形成していてもよい。
〜Rで表される脂肪族基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等の非環式脂肪族基、シクロアルキル基等の環式脂肪族基などが挙げられる。当該非環脂肪族基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもどちらでもよい。
前記一般式(1)及び(2)において、RとR、RとR、及びRとRの少なくとも1つが互いに結合して環を形成する場合における環としては、環式脂肪族基、芳香族基などが挙げられる。環式脂肪族基において、その炭素環は飽和炭化水素のみからなるものであってもよく、不飽和炭化水素を含むものであってもよい。また、環式脂肪族基、芳香族基の環に含まれる炭素原子の一部は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子に置き換えられたものであってもよい(ただし、ヘテロ原子で連続して置換されないことが好ましい)。
〜Rで表される脂肪族基及び芳香族基(RとR、RとR、及びRとRの少なくとも1つが互いに結合して環を形成する場合を含む)は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、ホルミル基、アシル基、スルホン酸基などが挙げられる。R〜Rで表される脂肪族基及び芳香族基のそれぞれが有する置換基の数は、0〜3個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることがさらに好ましく、0個である(すなわち置換基を有さない)ことが特に好ましい。
〜Rで表される脂肪族基及び芳香族基のそれぞれにおける炭素数(置換基を有する場合には当該置換基に含まれる炭素数も含む)に特に制限はないが、鉄錯体の調製が容易であることなどから、1〜20の範囲内であることが好ましく、1〜10の範囲内であることがより好ましく、1〜5の範囲内であることがさらに好ましい。なお、RとR、RとR、及びRとRの少なくとも1つが互いに結合して環を形成する場合には、当該環におけるR〜Rに由来する部分の炭素数(置換基を有する場合には当該置換基に含まれる炭素数も含む)の合計が、2〜40の範囲内であることが好ましく、2〜20の範囲内であることがより好ましく、2〜10の範囲内であることがさらに好ましく、2〜5の範囲内であることが特に好ましい。
鉄錯体は、上記一般式(1)又は(2)で表される配位子が配位したものである限り特に制限はなく、鉄単核錯体であっても、鉄二核錯体であっても、あるいはこれらの混合物であってもいずれでもよいが、エステル交換反応に係る反応性などの観点から、鉄二核錯体を少なくとも含むことが好ましく、調製のしやすさなどの観点からは、鉄単核錯体及び鉄二核錯体の混合物であることが好ましい。当該鉄二核錯体としては、エステル交換反応に係る反応性や調製のしやすさなどの観点から、下記一般式(3)又は(4)で表される化合物が好ましく、下記式(5)で表される化合物がより好ましい。
前記一般式(3)及び(4)中のR〜Rの定義等は、前記一般式(1)及び(2)におけるR〜Rの定義等と同様である。
鉄錯体としては、例えば、鉄塩と、下記一般式(6)で表される化合物と、下記一般式(7)又は(8)で表される化合物とから合成されるものを好ましく使用することができる。
前記一般式(6)〜(8)中のR〜Rの定義等は、前記一般式(1)及び(2)におけるR〜Rの定義等と同様である。
鉄塩は、特に限定されず、公知の塩を用いることができる。前記鉄塩としては、例えば、塩化第一鉄、硫酸第一鉄、硝酸第一鉄等の第一鉄塩;塩化第二鉄、硫酸第二鉄、硝酸第二鉄、塩基性酢酸第二鉄、ジエチルジチオカルバミン酸鉄等の第二鉄塩などが挙げられる。これらは、その結晶形態において含まれる結晶水を含有していてもよい。鉄二核錯体の収率を高める観点からは、これらの中でも3価の鉄である第二鉄塩が好ましい。
一般式(6)で表される化合物としては、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。なお、一般式(6)で表される化合物は、下記式(6’)又は(6”)で表される互変異性体であってもよい。
前記一般式(6’)及び(6”)中のR〜Rの定義等は、前記一般式(1)及び(2)におけるR〜Rの定義等と同様である。
前記一般式(6)で表される化合物の中でも、鉄錯体の収率を高める観点からは、下記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(9)中、R〜R11は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルキルエーテル基、ハロゲン原子、環式脂肪族基、又は芳香族基を表す。ただし、RとR、RとR10、及びR10とR11の少なくとも1つが互いに結合して環を形成していてもよい。
前記一般式(9)において、RとR、RとR10、及びR10とR11の少なくとも1つが互いに結合して環を形成する場合における環としては、環式脂肪族基、芳香族基などが挙げられる。環式脂肪族基において、その炭素環は飽和炭化水素のみからなるものであってもよく、不飽和炭化水素を含むものであってもよい。また、環式脂肪族基、芳香族基の環に含まれる炭素原子の一部は、窒素原子、酸素原子、硫黄原子などのヘテロ原子に置き換えられたものであってもよい(ただし、ヘテロ原子で連続して置換されないことが好ましい)。
〜R11で表されるアルキル基、アルキルエーテル基、環式脂肪族基、及び芳香族基(RとR、RとR10、及びR10とR11の少なくとも1つが互いに結合して環を形成する場合を含む)は、置換基を有していてもよい。これらの置換基としては、例えば、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、ニトロ基、カルボキシル基、ホルミル基、アシル基、スルホン酸基などが挙げられる。R〜R11で表されるアルキル基、アルキルエーテル基、環式脂肪族基、及び芳香族基のそれぞれが有する置換基の数は、0〜3個であることが好ましく、0〜2個であることがより好ましく、0又は1個であることがさらに好ましく、0個である(すなわち置換基を有さない)ことが特に好ましい。
前記一般式(6)で表される化合物としては、例えば、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド、3−ニトロサリチルアルデヒド、4−クロロサリチルアルデヒド、4−ブロモサリチルアルデヒド、4−ヨードサリチルアルデヒド、5−クロロサリチルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシイソフタルアルデヒド、3−ホルミルサリチル酸、3−メトキシサリチルアルデヒド、3−メトキシ−5−ニトロサリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、6−ニトロ−2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、1−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、3−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、4−クロル−2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2,8−ジヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトアルデヒド、3−ヒドロキシ−4−ホルミルピリジン、ピリドキサール、4−ヒドロキシキノリン−3−カルボキシアルデヒド、7−ヒドロキシキノリン−8−カルボキシアルデヒド、o−ヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−3−メチルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−4−メチルアセトフェノン、2,3−ジヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシアセトフェノン、2,3,4−トリヒドロキシアセトフェノン、2,4,6−トリヒドロキシアセトフェノン、2−ヒドロキシプロピオフェノン、2,4−ジアセチルフェノール、2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシアセトフェノン、1−アセチル−2−ヒドロキシナフタレン、2−アセチル−1−ヒドロキシナフタレン、1−ヒドロキシ−2−プロピオニルナフタレン、1−ベンゾイル−2−ヒドロキシナフタリン、2−アセチル−4−クロロ−1−ヒドロキシナフタリン等のアシル基とヒドロキシ基とを環上の隣接する炭素に有する炭素環又はヘテロ環の芳香族化合物;アセチルアセトン、2,4−ヘキサジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、2,4−ヘプタンジオン、2,4−ノナンジオン、2−アセチルシクロヘキサノン、ベンゾイルアセトン、1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオン、1−(2−フリル)−1,3−ブタンジオン、1−(2−チエニル)−1,3−ブタンジオン、1−(2−ピリジル)−1,3−ブタンジオン、5,9,13,17−テトラメチル−2,4−オクタデカンジオン、2−(2−メチルカプロイル)−シクロペンタノン、2,4,6−ヘプタントリオン及びデヒドロ酢酸等の1,3−ジケトン骨格を有する化合物;3−ヒドロキシプロぺナール、3−ヒドロキシ−2−メチルプロペナール、2,3−ジヒドロキシプロペナール、4−ヒドロキシ−3−ブテン−2−オン、4−ヒドロキシ−3−ペンテン−2−オン等のβ位にヒドロキシ基を有するα,β−不飽和カルボニル化合物;などが挙げられる。中でも、サリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−4−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−5−メチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3,4,5−トリメチルベンズアルデヒド、2−ヒドロキシ−3−イソプロピルベンズアルデヒド、3−ニトロサリチルアルデヒド、4−クロロサリチルアルデヒド、4−ブロモサリチルアルデヒド、4−ヨードサリチルアルデヒド、5−クロロサリチルアルデヒド、2,3−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,4−ジヒドロキシベンズアルデヒド、2,3,4−トリヒドロキシベンズアルデヒド、2−ヒドロキシイソフタルアルデヒド、3−ホルミルサリチル酸、3−メトキシサリチルアルデヒド、3−メトキシ−5−ニトロサリチルアルデヒド、2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、6−ニトロ−2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、1−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、3−ヒドロキシ−2−ナフトアルデヒド、4−クロル−2−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2,3−ヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2,8−ジヒドロキシ−1−ナフトアルデヒド、2−ヒドロキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−1−ナフトアルデヒド等の前記一般式(9)で表される化合物が好ましい。
一般式(7)で表される化合物としては、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。一般式(7)で表される化合物の中でも、鉄二核錯体の収率を高める観点や工業的入手性の観点などからは、下記一般式(10)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(10)中のR及びRの定義等は、前記一般式(1)及び(2)におけるR及びRの定義等と同様である。
前記一般式(7)で表される化合物としては、例えば、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、1,1,2,2−テトラメチルエチレンジアミン、1,1,2−トリメチルエチレンジアミン、1−フェニルエチレンジアミン等のエチレンジアミン誘導体などが挙げられる。中でも、エチレンジアミン、1,2−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノブタン、2,3−ジアミノブタン、1−フェニルエチレンジアミン等の前記一般式(10)で表される化合物が好ましい。
前記一般式(8)で表される化合物としては、特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。一般式(8)で表される化合物としては、例えば、オルトフェニレンジアミン、4−メチルオルトフェニレンジアミン、4−ニトロオルトフェニレンジアミン、2,3−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノピリジン、2,3−ジアミノピラジン、3,4−ジアミノピラジン、2,3−ジアミノフラン等の芳香環の隣接する炭素に2つのアミノ基を有するジアミンなどが挙げられる。
鉄錯体を製造するにあたっては、鉄単核錯体に対する鉄二核錯体の割合を高めることができて鉄二核錯体を収率よく簡便に製造することができ、また、当該鉄二核錯体を少なくとも含む鉄錯体を触媒として用いることにより、通常はエステル交換反応が困難な第3級水酸基を有するアルコールを原料とした場合であっても、当該第3級水酸基を有するアルコールのエステルを高収率で製造することができることから、当該鉄錯体を合成する工程(以下、「工程(i)」と称する場合がある)において、水の存在下、鉄塩と前記一般式(6)で表される化合物とを混合して前駆体溶液を調製する工程(i−1)を経た後、当該工程(i−1)で得られた前駆体溶液と、前記一般式(7)又は(8)で表される化合物とを混合する工程(i−2)を経ることが好ましい。ここで工程(i−1)は、典型的には前記一般式(7)又は(8)で表される化合物の不存在下に行われる。
本発明者らの検討から、鉄二核錯体の形成(二核化)において、鉄原子−酸素原子−鉄原子の結合に含まれる酸素原子は、反応系に含まれる水に由来することが明らかになっている。したがって、工程(i)の反応系内、特に工程(i−2)の反応系内には、水が存在している必要がある。水は、工程(i)の反応に用いる溶媒(例えば、水、又は水を含んだ有機溶媒)として供給することができる。また、水は、鉄塩に含まれ得る結晶水として供給されてもよい。
前記有機溶媒は、特に限定されず、公知の有機溶媒を用いることができる。中でも、鉄塩、前記一般式(6)で表される化合物、前記一般式(7)又は(8)で表される化合物、及び、水を溶解できることから、有機溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類が好ましい。
工程(i)の反応系内に存在する水、特に工程(i−2)の反応系内に存在する水の供給源としては、生成する鉄錯体が水に不溶であり、析出により反応を追い込むことが可能であること、及び、後述する工程(ii)での生成物の回収がしやすくなること、また、廃液処理の負荷低減などの観点から、工程(i)の反応に用いる水のみからなる溶媒であることが好ましい。
工程(i−2)において、工程(i−1)で得られた前駆体溶液と、前記一般式(7)又は(8)で表される化合物とを混合する際、又は混合後のpHは7超(液性が塩基性)とすることが好ましく、9以上とすることがより好ましく、10以上とすることがさらに好ましい。pHが前記範囲であれば、鉄二核錯体の収率がより高くなる。pHは、塩基性化合物を加えることによって調整することができる。塩基性化合物としては、例えば、反応基質である前記一般式(7)又は(8)で表される化合物、トリエチルアミン、ピリジン、トリエタノールアミン等の有機塩基化合物;水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等の無機塩基化合物などが挙げられる。
工程(i−2)において、工程(i−1)で得られた前駆体溶液と、前記一般式(7)又は(8)で表される化合物とを混合する際の温度は、50℃以上が好ましく、50〜100℃であることがより好ましく、60〜80℃であることがさらに好ましい。温度が50℃未満の場合、反応がほとんど進行せず、鉄二核錯体の収率が低下する傾向がある。温度が高温(例えば100℃を超える温度)となると、加熱にかかるコスト負担が大きくなる傾向がある。
工程(i−1)において、水の存在下、鉄塩と前記一般式(6)で表される化合物とを混合して前駆体溶液を調製する時間に特に制限はない。工程(i−2)において、前駆体溶液と前記一般式(7)又は(8)で表される化合物とを混合する際の時間は、鉄二核錯体を高収率で得る観点から、10分から4時間であることが好ましく、30分から3時間であることがより好ましい。工程(i−2)における前記時間が10分未満の場合、鉄二核錯体の収率が低下する傾向がある。また、その時間が4時間を超える場合、製造固定費負担が大きくなる傾向がある。
鉄錯体の製造における出発原料の鉄塩と前記一般式(6)で表される化合物とのモル比は、経済性等を考慮して適切に選択されるが、鉄塩のモル数:一般式(6)で表される化合物のモル数が、1:0.5〜1:10であることが好ましく、1:1〜1:4であることがより好ましく、1:2〜1:3であることがさらに好ましい。また、鉄塩と前記一般式(7)又は(8)で表される化合物とのモル比は、経済性等を考慮して適切に選択されるが、鉄塩のモル数:一般式(7)又は(8)で表される化合物のモル数が、1:1〜1:10であることが好ましく、1:1〜1:5であることがより好ましく、1:2〜1:5であることがさらに好ましい。
前記工程(i)を経て得られた鉄錯体を含む反応液は、さらに未反応の原料等を除去し、鉄錯体を固形物として回収する工程(ii)に供してもよい。工程(ii)を行うための方法は特に限定されず、公知の方法が用いられる。具体的には、加圧ろ過、吸引ろ過等のろ過、遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。
さらに、前記工程(ii)で得られた鉄錯体を乾燥する工程(iii)に供してもよい。乾燥方法は特に限定されず、公知の方法が用いられる。具体的には、真空乾燥、熱風乾燥、凍結乾燥等が挙げられる。
〔カルボン酸エステル〕
本発明の製造方法において工程(I)に供されるエステルは、上記鉄錯体の存在下にカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応によって得られたものである(以下、当該エステル交換反応を行う工程を「工程(iv)」と称する場合がある)。当該エステル交換反応で用いられるカルボン酸エステルの種類は特に限定されず、目的に応じて公知の化合物を用いることができるが、反応によって副生するアルコールの留去のしやすさなどから、エステル基がメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、iso−ブチル、t−ブチル等の低級アルキル基を有する化合物(低級アルキルエステル)が好ましい。カルボン酸エステルとしては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸iso−プロピル、酢酸n−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸iso−プロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸iso−プロピル、メタクリル酸n−ブチルなどが挙げられる。
前記カルボン酸エステルとして(メタ)アクリル酸アルキルを用いることにより、(メタ)アクリル樹脂の原料として好適な(メタ)アクリル酸エステルを、工程(I)に供されるエステルとして製造することができ、特に、カルボン酸エステルとしてメタクリル酸メチルを用い、及び後述するアルコールとしてイソプレングリコールを用いることにより、純度の高いイソプレングリコールジメタクリレートを製造することができる。
〔アルコール〕
前記アルコールの種類は特に限定されず、目的に応じて公知の化合物を用いることができる。特に前記した工程(i−1)及び(i−2)を経る方法により製造した鉄錯体を触媒として用いる場合には、触媒活性が高く、第3級水酸基であっても効率よくエステル化反応(エステル交換反応)を行うことができるため、アルコールは第3級水酸基を有するアルコールであってもよい。またアルコールは1価アルコールであっても多価アルコールであってもよい。具体的なアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、イソブタノール、t−ブチルアルコール、t−アミルアルコール、2−メチル−3−ブテン−2−オール、ノルマルヘキサノール、ノルマルヘプタノール、ノルマルオクタノール、イソプレングリコール、4−メチル−2,4−ペンタンジオール、5−メチル−3,5−ヘキサンジオール、6−メチル−4,6−ヘプタンジオール、7−メチル−5,7−オクタンジオール、4−メチル−1,4−ペンタンジオール、5−メチル−1,5−ヘキサンジオール、6−メチル−1,6−ヘプタンジオール、3−メチル−1,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、3−プロピル−1,3−ヘキサンジオール、3−エチル−1,3−ヘプタンジオール、3−メチル−1,3−ノナンジオール、4−メチル−1,4−ヘキサンジオール、5−メチル−1,5−ヘプタンジオール、6−メチル−1,6−オクタンジオールなどが挙げられる。
〔エステル交換反応〕
前記エステル交換反応の方法に特に制限はなく、例えば、カルボン酸エステル、アルコール、及び前記鉄錯体を混合し、加熱することによって行うことができる。また、副生するカルボン酸エステル由来のアルコールを留去することで反応を促進させることができる。なお、前記鉄錯体は、前記置換基などを介して担体などに固定化されていてもよい。担体に固定化されることによって、反応液からの触媒の分離が容易になる。
前述のとおり、工程(i−1)及び(i−2)を経る方法により製造した鉄錯体は触媒活性が高いため、エステル交換反応を行う工程(iv)において、原料となるアルコールに含まれる全ての水酸基が、原料のカルボン酸エステルに含まれるアシル基によりエステル化された化合物(エステル)を効率よく製造することができる。アルコールに含まれる全ての水酸基がエステル化された化合物(エステル)としては、例えば、酢酸t−ブチル、t−ブチルメタクリレート、イソプレングリコールジメタクリレートなどが挙げられる。
工程(iv)のエステル交換反応においては、反応系内の含水率が低いほど、アルコールからのエステル生成速度、特に第3級水酸基を有するアルコールからのエステル生成速度が高まり、収率が上がる傾向がある。そのため、工程(iv)のエステル交換反応を行う反応系内(反応液中)の含水率は、1000ppm以下であることが好ましく、600ppm以下であることがより好ましく、100ppm以下であることがさらに好ましい。反応系内の含水率が1000ppmを超えると第3級水酸基に対するエステル交換活性が低下して反応時間が長時間に及ぶ場合があり、副反応を併発して収率が低下する場合もある。
工程(iv)の反応系内の含水率を低く維持する方法については、反応系内の含水率を所望の低い範囲に維持できる限り特に制限されない。なお前記鉄錯体は、一般公知のエステル交換触媒であるチタンアルコラートとは異なり、水分により分解失活しにくいことから、反応系の脱水は、反応を行う前であっても、反応を開始した後であってもよい。反応系内の含水率を低く維持する方法としては、例えば、反応を行う前に、水と共沸する溶媒を用いて、使用原料に含まれる水分を共沸脱水により除去しておく方法;反応系に水分と共沸する溶媒を添加し、水分を共沸留去しながら反応を行う方法;モレキュラーシーブ等の乾燥剤を用いて、使用原料に含まれる水分を吸着除去しておく方法;などが挙げられる。特に、本発明の工程(iv)のエステル交換反応においては、エステル交換反応に用いる鉄錯体を予め脱水する工程を、工程(iv)のエステル交換反応の前に加えることが好ましい。かかる脱水工程としては、具体的には、鉄錯体と前記アルコールとの共存下、共沸溶媒を用いて、前記鉄錯体を脱水する方法などが挙げられる。前記共沸溶媒としては、エステル交換反応などを阻害しない限り公知の溶媒を用いることができ、例えば、トルエン、キシレン、2−ブタノン、ジオキサン、ベンゼン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
また、全還流として反応を行う場合は、反応系内の含水率を低く維持する他の方法として、還流液をモレキュラーシーブ等の乾燥剤を充填した塔に通すことによって、水分を吸着除去する等の方法を用いることができる。
工程(iv)のエステル交換反応において、出発原料のアルコールに含まれる水酸基とカルボン酸エステルに含まれるアシル基とのモル比は、経済性、沸点、共沸性等を考慮して適切に選択されるが、アルコールに含まれる水酸基のモル数:カルボン酸エステルに含まれるアシル基のモル数が、1:1〜1:50の範囲内であることが好ましく、1:1〜1:20の範囲内であることがより好ましい。
工程(iv)における鉄錯体の使用量は、前記アルコールの水酸基(水酸基が複数含まれる場合には、その水酸基の総数)に対し、鉄原子が0.1〜20mol%の範囲内になる量であることが好ましく、鉄原子が0.5〜15mol%の範囲内になる量であることがより好ましく、鉄原子が1〜10mol%の範囲内になる量であることがさらに好ましい。使用量が多くなりすぎるとコスト高となり、使用量が少なすぎると反応時間が長くなる傾向がある。
工程(iv)のエステル交換反応における反応温度は、70〜150℃の範囲内であることが好ましく、80〜120℃の範囲内であることがより好ましく、90〜110℃の範囲内であることがさらに好ましい。反応温度が低いほど、反応時間が長くなる傾向がある。また、反応温度が高すぎると副反応を併発する傾向がある。反応圧力は常圧でよいが、生成したアルコールの除去を容易にするため、減圧にしてもよい。反応時間は、生産性の観点から、200時間以下であることが好ましく、150時間以下であることがより好ましく、100時間以下であることがさらに好ましい。
工程(iv)のエステル交換反応においては、溶媒を用いてもよい。溶媒は、アルコール、カルボン酸エステルなどと副反応を生じたり、エステル交換反応を阻害したりするものを除き、公知の溶媒を用いることができ、水及び副生するアルコールとの共沸性及び反応温度などを考慮して適宜選択することができる。溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、2−ブタノン、ジオキサン、ベンゼン、シクロヘキサンなどが挙げられる。
工程(iv)のエステル交換反応において、特に重合反応を併発する可能性のある化合物を用いる場合などでは、その重合反応を防止するため、重合禁止剤の添加及び/又は反応系内への酸素の導入を行うことが好ましい。重合禁止剤は、公知の物質を用いることができ、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(4−メトキシフェノール)、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジン、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミンなどを1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。
〔工程(I)〕
本発明の製造方法における工程(I)では、前記エステル交換反応によって得られたエステルを酸性溶液で洗浄する。これによって、エステルに溶解した鉄錯体を除去することができ、蒸留操作を省略しても、色相に優れ、固形物の混入も少なくて、各種用途に好適に使用することのできる、純度の高い高品位なエステルを容易に得ることができるようになる。酸性溶液の酸としては特に限定されず、公知の酸を用いることができる。前記酸としては、例えば、硝酸、塩化水素、硫酸、りん酸等の無機酸類;ぎ酸、酢酸、クエン酸等の有機酸類などが挙げられる。洗浄効果の高さから、酸性溶液は酸性水溶液であることが好ましく、前記酸としては、酸性水溶液中での酸解離定数pKaが5未満のものが好ましく、廃水処理や経済性の点から、硝酸、硫酸、酢酸がより好ましく、硝酸がさらに好ましい。
前記酸性溶液における酸の濃度に特に制限はないが、洗浄効果と廃水処理の観点から、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
前記酸性溶液と洗浄に供されるエステルとの質量比は、洗浄効率、容積効率等を考慮して適切に選択されるが、酸性溶液の質量:エステルの質量が、0.1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、0.5:1〜5:1の範囲内であることがより好ましい。
また、洗浄後の層分離をよくするため、洗浄に供されるエステルは有機溶媒に溶解した状態のものであってもよい。このような有機溶媒は、例えば、エステル交換反応の際に使用した有機溶媒であってもよいし、エステル交換反応後に添加した有機溶媒であってもよい。後者の有機溶媒の例としては、例えば、後述する工程(III)で使用される低極性溶媒等が挙げられる。有機溶媒の種類は、特に限定されず、公知の有機溶媒を用いることができる。有機溶媒としては、例えば、ノルマルへキサン、ノルマルヘプタン、シクロへキサン、トルエン、キシレン、2−ブタノン、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテルなどが挙げられ、1種の溶媒を単独で使用してもよいし、複数の溶媒を混合して用いてもよい。中でも、安価で、かつ、生成物であるエステルに対して不活性である点から、ノルマルへキサン、ノルマルヘプタン、シクロへキサン、トルエンが好ましい。
工程(I)の洗浄において、前記有機溶媒とエステルとの質量比は、抽出効率、容積効率等を考慮して適切に選択されるが、有機溶媒の質量:エステルの質量が、0.1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、0.5:1〜5:1の範囲内であることがより好ましい。
〔工程(II)〕
本発明では、前記エステル交換反応によって得られたエステルを塩基性溶液で洗浄する工程(II)をさらに含んでもよい。当該工程(II)によって、エステルに含まれる未反応の原料ないし中間体生成物であるアルコール等を除去することができる。工程(II)は、工程(I)の前に行ってもよいし、工程(I)の後に行ってもよいし、工程(I)の前と後とでそれぞれ1回又は2回以上行ってもよいが、アルコール除去性等の観点からは、少なくとも1回は工程(I)の洗浄の後に行うのが好ましい。塩基性溶液の塩基としては特に限定されず、公知の化合物を用いることができる。前記塩基としては、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、アンモニア等の無機塩基類、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類などが挙げられる。洗浄効果やコストの点から、塩基性溶液は塩基性水溶液であることが好ましく、前記塩基としては水酸化ナトリウムが好ましい。
前記塩基性溶液における塩基の濃度は、塩基を溶解できる範囲であれば、特に制限はないが、洗浄効果と廃水処理の観点から、好ましくは0.1〜50質量%、より好ましくは1〜30質量%、さらに好ましくは3〜20質量%である。
前記塩基性溶液と洗浄に供されるエステルとの質量比は、洗浄効率、容積効率等を考慮して適切に選択されるが、塩基性溶液の質量:エステルの質量が、0.1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、0.5:1〜10:1の範囲内であることがより好ましい。
前記工程(I)と同様、工程(II)においても洗浄に供されるエステルは有機溶媒に溶解した状態のものであってもよい。このような有機溶媒としては、工程(I)において説明したものと同様のものを用いることができる。有機溶媒に溶解した状態のエステルを有機層として用い、これに対して工程(I)及び(II)の各洗浄を行えば、操作が容易となり好ましい。
工程(II)の洗浄において、前記有機溶媒とエステルとの質量比は、抽出効率、容積効率等を考慮して適切に選択されるが、有機溶媒の質量:エステルの質量が、0.1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、0.5:1〜5:1の範囲内であることがより好ましい。
〔工程(III)〕
本発明では、前記工程(I)及び/又は(II)の前処理として、前記エステル交換反応によって得られたエステルに低極性溶媒を加えることにより析出した固形物を除去する工程(III)をさらに含んでもよい。これにより、エステルに含まれる鉄錯体や、工程(I)及び/又は(II)の洗浄で分液不良の原因となる不溶物を予め除去することができる。前記低極性溶媒としては、例えば、ノルマルへキサン、ノルマルヘプタン、シクロへキサン、トルエン、キシレン、2−ブタノン、酢酸エチル、ジイソプロピルエーテルなどが挙げられ、複数の溶媒を混合して用いてもよい。中でも、安価で、かつ、生成物であるエステルに対して不活性である点などから、ノルマルへキサン、ノルマルヘプタン、シクロへキサン、トルエンが好ましい。なお、エステルに低極性溶媒を加えるにあたって、エステルがエステル交換反応で使用したカルボン酸エステル、アルコール、有機溶媒等の揮発性物質に溶解している場合には、当該揮発性物質を予め留去等により除去しておくことが好ましい。
工程(III)の洗浄において、前記低極性溶媒とエステルとの質量比は、工程(I)及び/又は(II)での抽出効率、容積効率等を考慮して適切に選択されるが、低極性溶媒の質量:エステルの質量が、0.1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、0.5:1〜5:1の範囲内であることがより好ましい。
析出した固形物を除去する方法に特に制限はなく、例えば、ろ過、遠心分離、デカンテーション等が挙げられる。これらの中でも操作が容易であることなどから、ろ過が好ましい。ろ過する方法は、特に限定されず、公知の方法が用いられる。具体的には、加圧ろ過、吸引ろ過、遠心ろ過等が挙げられる。固形物を除去した後の、低極性溶媒に溶解した状態のエステルを有機層として用いて、前記工程(I)及び/又は(II)の洗浄を行えば、操作が容易となり好ましい。
〔工程(IV)〕
本発明では、前記工程(I)及び/又は(II)で得られたエステルを活性炭で吸着処理する工程(IV)をさらに含んでもよい。これにより、鉄錯体や反応副生物に由来する着色成分を活性炭に吸着させて除去することができる。活性炭の種類は特に限定されず、公知のものを用いることができる。
工程(IV)において、前記活性炭とエステルとの質量比は、着色除去性、経済性等を考慮して適切に選択されるが、活性炭の質量:エステルの質量が、0.01:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、0.05:1〜5:1の範囲内であることがより好ましい。
前記の活性炭で吸着する方法は、特に限定されず、公知の方法が用いられる。具体的には、エステルと活性炭とを撹拌した後に活性炭をろ過する方法、活性炭の充填塔にエステルを通液する方法、活性炭フィルターにエステルを通液する方法などが挙げられる。
工程(IV)において吸着処理に供されるエステルは有機溶媒に溶解した状態のものであってもよい。このような有機溶媒としては、工程(I)において説明したものと同様のものを用いることができる。特に工程(I)及び/又は(II)の洗浄で得られた、有機溶媒に溶解した状態のエステル(有機層)に対して吸着処理を行えば、操作が容易となり好ましい。
工程(IV)の吸着処理において、前記有機溶媒とエステルとの質量比は、工程(I)及び/又は(II)での抽出効率、容積効率等を考慮して適切に選択されるが、有機溶媒の質量:エステルの質量が、0.1:1〜20:1の範囲内であることが好ましく、0.5:1〜5:1の範囲内であることがより好ましい。
本発明によれば、エステル交換反応によって得られたエステル中に含まれる鉄錯体、未反応原料、着色物質等の不純物を容易に除去することができるため、たとえ蒸留操作を省略した場合であっても、色相に優れ、固形物の混入も少なくて、各種用途に好適に使用することのできる、純度の高い高品位なエステルが得られる。そのため、エステル交換反応によって得られるエステルに対して蒸留操作をしなくてもよいが、蒸留工程に供してもよい。蒸留は工程(I)の前に行ってもよいし工程(I)の後に行ってもよい。蒸留方法としては、薄膜蒸留、充填塔を用いた蒸留等が挙げられる。
上記工程(I)〜(IV)のうちの少なくとも1つを行うに際し、特に重合反応を併発する可能性のある化合物を用いる場合などでは、その重合反応を防止するため、重合禁止剤の存在下、及び/又は、系内への酸素の導入下に行うことが好ましい。重合禁止剤は、公知の物質を用いることができ、例えば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル(4−メトキシフェノール)、ジ−t−ブチルヒドロキシトルエン、フェノチアジン、N,N’−ジナフチル−p−フェニレンジアミンなどを1種単独で、あるいは、2種以上を組み合わせて使用することができる。重合禁止剤は、工程(iv)のエステル交換反応の際に添加されたものなど、工程(I)に供されるエステル中に予め混入しているものであってもよいし、別途添加したものであってもよい。
本発明によれば、色相に優れたエステルを製造することができる。当該色相はYI値を測定することにより評価することができる。本発明により得られるエステルのYI値は、10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。なおエステルのYI値は、実施例において後述する方法により求めることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。実施例及び比較例における分析は、以下の試験例1〜3に従って行った。
<試験例1> 組成比
試料をガスクロマトグラフィーで分析し、イソプレングリコール、イソプレングリコールモノメタクリレート、イソプレングリコールジメタクリレートの面積比率を基に各成分を定量した。
(ガスクロマトグラフィーの条件)
装置:島津製作所製GC−2014
カラム:DB−1 0.25mmφ×30mm、膜厚0.25μm(アジレント社製)
インジェクション温度:280℃
カラム温度:50℃で5分保持、10℃/分で280℃まで昇温、その後、3分間保持
FID検出器温度:280℃
キャリアガス:ヘリウム、カラム流速1.5mL/分
注入量:0.2μL
<試験例2> 色相
イソプレングリコールジメタクリレートを充填・脱泡した10mm厚ガラスセルを作製し、日本電色工業製カラーメーターSD5000を用い、純水を基準サンプルとしてYI値を測定した。なお、測定条件は、2度視野、光源はD65とした。
<試験例3> ヘキサン溶状
ヘキサン100gに試料1gを溶解し、濁りの有無を目視で確認した。
<製造例1> 鉄サレン錯体の製造
冷却管、滴下ロート、温度計、メカニカルスターラーを取り付けた1L四口フラスコに、水750mLを入れ、硝酸第二鉄九水和物112g(0.28モル)を加えて溶解した。そこへ、サリチルアルデヒド68g(0.56モル)を滴下し、常温で30分間撹拌し、黒色の前駆体溶液を得た。続いて、得られた前駆体溶液にエチレンジアミン50g(0.83モル)を滴下した。滴下を終了した後、加熱し、内温70℃で2時間撹拌した。さらにエチレンジアミン11g(0.18モル)を加え、内温70℃で2時間撹拌し、黄褐色の懸濁液を得た。懸濁液のpHをpH試験紙で確認したところ、10であった。懸濁液を吸引ろ過し、ろ液のpHが7〜8となるまで水洗して得られた固形物を120℃で真空乾燥して、黄色の粉末87gを得た。この粉末が鉄サレン錯体(鉄錯体)であり、前記式(5)で表される鉄二核錯体と対応する鉄単核錯体とからなり、鉄二核錯体と鉄単核錯体とのモル比が85:15のものである。
<実施例1>
モレキュラーシーブ(4A)20gを充填した側管付充填塔、冷却器、温度計及び乾燥管を取り付けた50mL三口フラスコに、製造例1で得られた鉄サレン錯体0.26g、イソプレングリコール1.04g(10mmol)、メタクリル酸メチル40g(400mmol)、フェノチアジン0.08gを仕込んだ後、常圧撹拌条件下で、フラスコの内温が100〜105℃になるようにフラスコを120℃に設定したオイルバスに浸漬し、モレキュラーシーブを通して、留出してくる留分を全還流させ、反応系に戻しながら、11時間エステル交換反応を行った。得られた反応液を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.1%、イソプレングリコールジメタクリレート99.9%であった。
この反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン5gを加え、析出した固形物をろ紙を用いて吸引ろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に10w/v%硝酸水溶液5gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(酸性溶液での洗浄)。得られたヘキサン溶液に飽和重曹水を加えてpHが7となるまで中和した。分液により得られたヘキサン溶液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート2.05gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.1%、イソプレングリコールジメタクリレート99.9%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
<実施例2>
実施例1と同様にエステル交換反応を行い得られた反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン5gを加え、析出した固形物をろ紙を用いてろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に10w/v%硝酸水溶液5gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(酸性溶液での洗浄)。得られたヘキサン溶液に飽和重曹水を加えてpHが7となるまで中和した。分液により得られたヘキサン溶液に活性炭粉末0.2gを加え、30分間撹拌した後、ろ紙を用いて活性炭粉末をろ別した(活性炭での吸着処理)。得られたろ液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート1.95gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート不検出、イソプレングリコールジメタクリレート100%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
<実施例3>
還流塔、滴下ロート、温度計、分留受器及び乾燥管を取り付けた2000mL三口フラスコに、製造例1で得られた鉄サレン錯体43.8g、イソプレングリコール177g(1.70mol)、トルエン500mL、フェノチアジン1.6g、4−メトキシフェノール1.6gを仕込んだ後、常圧撹拌条件下、フラスコを130℃のオイルバスに浸漬し、トルエンを留出させながら、フラスコ内に含まれる水分を除去した。鉄サレン錯体が溶解したことを確認し、トルエンを全て留出させた。常温まで冷却した後、メタクリル酸メチル1125g(11.2mol)を加え、微減圧撹拌条件下、内温が100〜105℃になるようにフラスコを120℃に設定したオイルバスに浸漬し、分留受器に留出してくる留分を取り出しつつ、留分と同体積のメタクリル酸メチルを連続滴下しながら、48時間エステル交換反応を行った。得られた反応液を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート1.9%、イソプレングリコールジメタクリレート98.1%であった。
この反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン500gを加え、析出した固形物をろ紙を用いてろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に10w/v%硝酸水溶液500gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(酸性溶液での洗浄)。次いで、得られたヘキサン溶液に5w/v%水酸化ナトリウム水溶液900gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(塩基性溶液での洗浄)。当該塩基性溶液での洗浄操作を再度行い、得られたヘキサン溶液に対して、さらに、水500gで2回洗浄した。これにより得られたヘキサン溶液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート293gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.1%、イソプレングリコールジメタクリレート99.9%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
<実施例4>
実施例3と同様にエステル交換反応を行い得られた反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン500gを加え、析出した固形物をろ紙を用いてろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に10w/v%硝酸水溶液500gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(酸性溶液での洗浄)。次いで、得られたヘキサン溶液に5w/v%水酸化ナトリウム水溶液900gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(塩基性溶液での洗浄)。当該塩基性溶液での洗浄操作を再度行い、得られたヘキサン溶液に対して、さらに、水500gで2回洗浄した。これにより得られたヘキサン溶液に活性炭粉末30gを加え、30分間撹拌した後、ろ紙を用いて活性炭粉末をろ別した(活性炭での吸着処理)。得られたろ液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート278gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.1%、イソプレングリコールジメタクリレート99.9%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
<実施例5>
実施例3と同様にエステル交換反応を行い得られた反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン500gを加え、析出した固形物をろ紙を用いてろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に10w/v%硝酸水溶液500gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(酸性溶液での洗浄)。得られたヘキサン溶液に飽和重曹水を加えてpHが7となるまで中和した。分液により得られたヘキサン溶液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート290gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.5%、イソプレングリコールジメタクリレート99.5%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
<比較例1>
実施例1と同様にエステル交換反応を行い得られた反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン5gを加え、析出した固形物をろ紙を用いてろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に水5gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した。得られたヘキサン溶液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート2.07gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.1%、イソプレングリコールジメタクリレート99.9%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
<比較例2>
実施例1と同様にエステル交換反応を行い得られた反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン5gを加え、析出した固形物をろ紙を用いてろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に水5gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した。得られたヘキサン溶液に活性炭粉末0.2gを加え、30分間撹拌した後、ろ紙を用いて活性炭粉末をろ別した(活性炭での吸着処理)。得られたろ液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート1.96gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.1%、イソプレングリコールジメタクリレート99.9%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
<比較例3>
実施例3と同様にエステル交換反応を行い得られた反応液に対して、ロータリーエバポレーターを用いて、未反応のメタクリル酸メチルを留去し、ヘキサン500gを加え、析出した固形物をろ紙を用いてろ過した(固形物の除去)。得られたろ液に水500gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した。次いで、得られたヘキサン溶液に5%水酸化ナトリウム水溶液900gを加えた後、混合することにより洗浄を行い水層を分液除去した(塩基性溶液での洗浄)。当該塩基性溶液での洗浄操作を再度行い、得られたヘキサン溶液に対して、さらに、水500gで2回洗浄した。これにより得られたヘキサン溶液に活性炭粉末30gを加え、30分間撹拌した後、ろ紙を用いて活性炭粉末をろ別した(活性炭での吸着処理)。得られたろ液からヘキサンを留去し、目的物であるイソプレングリコールジメタクリレート280gを得た。
得られた目的物を試験例1に従って組成分析した結果、イソプレングリコール不検出、イソプレングリコールモノメタクリレート0.3%、イソプレングリコールジメタクリレート99.7%であった。試験例1〜3に従って評価した結果を表1に示す。
実施例及び比較例の結果から、エステル交換反応によって得られたエステルに対して酸性溶液で洗浄することにより、YI値の値が低くて色相に優れたエステルが得られることが分かった。さらに、実施例1と2、及び、実施例3と4の比較の結果から、活性炭で吸着処理することによって、より一層色相に優れたエステルが得られることが分かった。
また、実施例3と5の比較の結果から、塩基性溶液で洗浄することによって、未反応の中間体生成物であるイソプレングリコールモノメタクリレートを除去できることが分かった。
本発明によれば、特定の鉄触媒の存在下にカルボン酸エステルとアルコールとのエステル交換反応によってエステルを製造するに際し、蒸留操作を省略しても、色相に優れ、固形物の混入も少ない高品位なエステルを製造することができる。そのため、本発明は、光学樹脂、塗装、電子材料等、透明性、意匠性、金属フリーなどが求められる用途に好適に用いることができるエステルを、工業スケールで製造するために有用である。

Claims (4)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表される配位子が配位した鉄錯体の存在下に(メタ)アクリル酸メチルイソプレングリコールとのエステル交換反応によって得られたエステルを酸性溶液で洗浄する工程(I)を含む、イソプレングリコールジメタクリレートの製造方法。


    (式(1)及び(2)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、脂肪族基、又は芳香族基を表す。ただし、RとR、RとR、及びRとRの少なくとも1つが互いに結合して環を形成していてもよい。)
  2. 前記エステル交換反応によって得られたエステルを塩基性溶液で洗浄する工程(II)を含む、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記工程(I)及び/又は(II)の前処理として、前記エステル交換反応によって得られたエステルに低極性溶媒を加えることにより析出した固形物を除去する工程(III)を含む、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(I)及び/又は(II)で得られたエステルを活性炭で吸着処理する工程(IV)を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
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