JP2016011264A - 2,5−フランジカルボン酸の製造方法 - Google Patents

2,5−フランジカルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】反応後の触媒との分離が容易であり、5−ヒドロキシメチルフルフラールから2,5−フランジカルボン酸を効率的に製造することができる、2,5−フランジカルボン酸の製造方法を提供する。【解決手段】30℃において2,5−フランジカルボン酸の飽和溶解度が1質量%以下であり、25℃において水10mLに対する溶解性が0.5mL以上である有機溶媒、及び水を含有し、有機溶媒に対する水の質量比〔水/有機溶媒〕が0.10以上、3以下である混合溶媒中で、式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)、及び硝酸イオンの存在下、5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸素により酸化する2,5−フランジカルボン酸の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、2,5−フランジカルボン酸の製造方法に関する。より詳細には、5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸素により酸化する、2,5−フランジカルボン酸の製造方法に関する。
非特許文献1に示される通り、5−ヒドロキシメチルフルフラール(以下、「HMF」ともいう)を原料として2,5−フランジカルボン酸(以下、「FDCA」ともいう)を製造する種々の方法が知られている。例えば、特許文献1にはZrO2に担持されたPt触媒の存在下、酸素を用いる酸化によって、5−ヒドロキシメチルフルフラールから2,5−フランジカルボン酸を得る製造方法が開示されている。
また、非特許文献2に示される通り、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(以下、「TEMPO」ともいう)又はその誘導体を用いて第1級アルコールをカルボン酸に酸化する方法が以前より知られている。例えば、特許文献2には、有機溶媒と水の混合溶媒中で、TEMPOの存在下、酸素を用いる酸化によって、第1級アルコールをカルボン酸に酸化する方法が開示されている。
米国特許出願公開第2008/0103318号明細書 米国特許第5166423号明細書
Green Chemistry.2011年13巻754−793頁 J.Org.Chem.1987年52巻2559−2562頁
特許文献1の方法によれば、FDCAは水などに対する溶解度が低いため、Pt/ZrO2などの不均一系の触媒を用いてFDCAを製造する場合、固体の触媒と析出したFDCAの分離が困難である。FDCAを回収するためには、反応温度を高くするか反応濃度を低くしてFDCAが析出しないようにしたり、後処理温度を高くしてFDCAを溶解したりする必要がある。反応温度や後処理温度を高くするとエネルギー的に負荷が大きく、反応濃度を低くすると生産性が悪くなる課題がある。
特許文献2の方法によれば、1−ドデカノールといった脂肪族アルコールを酸化する反応を開示するにとどまり、HMFを酸化してFDCAを得る反応については、何ら検討がなされていなかった。
本発明は、反応後の触媒との分離が容易であり、5−ヒドロキシメチルフルフラールから2,5−フランジカルボン酸を効率的に製造することができる、2,5−フランジカルボン酸の製造方法を提供することを課題とする。
本発明は、30℃において2,5−フランジカルボン酸の飽和溶解度が1質量%以下であり、25℃において水10mLに対する溶解性が0.5mL以上である有機溶媒、及び水を含有し、有機溶媒に対する水の質量比〔水/有機溶媒〕が0.10以上、3.0以下である混合溶媒中で、下記式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)及び硝酸イオンの存在下、5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸素により酸化する2,5−フランジカルボン酸の製造方法に関する。
本発明によれば、反応後の触媒との分離が容易であり、5−ヒドロキシメチルフルフラールから2,5−フランジカルボン酸を効率的に製造することができる。
本発明は均一系触媒である化合物(I)を触媒として用い、酸素を酸化剤としてHMFからFDCAを効率的に製造する方法を提供するものであり、反応に使用する特定の有機溶媒と水の質量比を特定の範囲に制御することにより、反応性が向上する効果を奏する。その理由は定かではないが、次のように考える。有機溶媒が少なく、水が多いと、水が触媒の機能を阻害するために、HMFの転化が効率的に進行しないと考えられる。また、有機溶媒が多いとHMFの転化率が高く、反応中間体である2,5−ジホルミルフランや5−ホルミル−2−フランカルボン酸は生成するが、水が少ないために、それら中間体と水との反応性が低下し、FDCAが生成し難いと考えられる。
本発明は有機溶媒と水の混合溶媒を特定の質量比で用いることに特徴がある。
本発明で用いる有機溶媒は30℃における2,5−フランジカルボン酸の飽和溶解度が1質量%以下であり、水10mLに対し25℃において0.5mL以上の溶解性を有する。
本発明で用いる有機溶媒は、その有機溶媒に対するFDCAの飽和溶解度が、FDCAの回収容易性の観点から、1質量%以下であり、好ましくは0.5質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.05質量%以下、より好ましくは実質的に0質量%である。本発明で用いる有機溶媒は、FDCAの飽和溶解度が0質量%であることが好ましい。FDCAの溶解度が低い有機溶媒を用いると、生成したFDCAが析出し易いので、FDCAの回収が容易になる。
有機溶媒に対するFDCAの飽和溶解度は下記の方法によって測定することができる。
[有機溶媒に対するFDCAの飽和溶解度の測定方法]
容量が20mlのスクリュー管にFDCAを0.3g秤量し、さらに、有機溶媒5gを加え、スクリュー管を密栓し、十分に振盪してFDCAと有機溶媒の混合液を得る。その混合液を、密栓したスクリュー管ごと30℃の恒温槽に入れ24時間静置する。静置後、混合液のFDCAが飽和した上澄み液2mlを、細孔径が0.2μmのメンブランフィルターで濾過し、その濾液を20mlのメスフラスコに入れ、濾液の質量[mg]を精秤する。DMSOでメスアップして、下記のHPLC分析条件により、前記濾液中に溶解しているFDCA量をHPLCで定量する。この濾液中に溶解しているFDCAの定量値[mg]と前記精秤した濾液の質量[mg]から、30℃におけるFDCAの飽和溶解度[質量%]が次式で得られる。
(飽和溶解度[質量%])
=100×(濾液中に溶解しているFDCAの定量値[mg])/(濾液の質量[mg])
[HPLC分析条件]
溶離液 水/メタノール(トリフルオロ酢酸0.1%(v/v))、グラジュエントモード、水/メタノール=9/1⇒1/9、20分
流量 1.0mL/min
温度 40℃
カラム L−column2_ODS(関東化学株式会社)
検出器 UV検出器(254nm)
本発明で用いる有機溶媒は水溶性である。本発明において、有機溶媒が水溶性であるとは、25℃において水10mLに対し、有機溶媒が0.5mL以上溶解することをいう。本発明で用いる有機溶媒は、混合比を容易に調整することができ、FDCAを効率的に製造する観点から、25℃において水10mLに対する溶解性が、好ましくは1mL以上、より好ましくは5mL以上、より好ましくは10mL以上であり、そして、より好ましくは25℃において水と任意の割合で混和する有機溶媒である。本発明において、有機溶媒の水溶性はメルクインデックス第12版の記載に基づく。メルクインデックス第12版に記載のない有機溶媒については、測定して求めることができる。
本発明で用いる有機溶媒は、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくは反応に不活性である。本発明において、有機溶媒が反応に不活性とは、下記の方法Aで反応を行ったとき、反応の前後での当該有機溶媒の質量変化率が1質量%未満、好ましくは0.1質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満、より好ましくは実質的に変化しない、より好ましくは変化率が0質量%であることをいう。
[方法A]
容量が500mLの容器に、有機溶媒を180g、蒸留水を47.2g、4−アセトアミド−TEMPOを11.5g、及び硝酸を6.9g仕込み、有機溶媒中に純酸素を流量40mL/minで流通しながら、テフロン(登録商標)製三日月型の撹拌翼を用いて300r/minで撹拌しながら、大気圧条件下(101kPa)、50℃で10時間反応させる。酸素とともに留出した有機溶媒および水はドライアイス/アセトン浴を用いて凝集回収する。
反応後の有機溶媒量は、反応混合物及び凝集回収した留出分中の有機溶媒量を測定することにより、求めることができる。反応混合物及び留出分中の有機溶媒量は、反応混合物及び留出分の質量を測定し、それぞれの有機溶媒の組成をガスクロマトクラフィにより求めることにより測定することができる。
本発明で用いる有機溶媒は、例えば、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒、t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒が挙げられる。
本発明で用いる有機溶媒は、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくはアセトニトリル、酢酸メチル、酢酸エチル及びt−ブチルアルコールから選ばれる1種以上であり、水との混合比を容易に調整できる観点から、より好ましくはアセトニトリル、酢酸メチル及び酢酸エチルから選ばれる1種以上、より好ましくはアセトニトリルである。また、本発明の有機溶媒は、汎用性の観点から、酢酸エチルが好ましい。
なお、アセトニトリル、t−ブチルアルコールは25℃において水と任意の割合で混和する。また、酢酸エチルは水10mlに対して25℃において1.0ml溶解する。また、30℃におけるFDCAの、アセトニトリル、酢酸エチル及びt−ブチルアルコールへの飽和溶解度は、それぞれ、0.02質量%、0.03質量%及び0.8質量%である。これらFDCAの飽和溶解度の値は、いずれも前記方法による実測値である。また、アセトニトリル、酢酸エチル、t−ブチルアルコールは反応に不活性である。
本発明で用いる水は、特に限定されるものではないが、蒸留水、イオン交換水が挙げられる。
本発明で用いる混合溶媒中の有機溶媒に対する水の質量比〔水/有機溶媒〕は、FDCAを効率的に製造する観点から、0.10以上であり、好ましくは0.20以上、より好ましくは0.25以上、より好ましくは0.30以上、より好ましくは0.40以上、より好ましくは0.50以上、より好ましくは0.60以上であり、そして、同様の観点から、3.0以下であり、好ましくは2.5以下、より好ましくは2.2以下、より好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下、より好ましくは0.80以下である。
また、本発明で用いる混合溶媒中の有機溶媒に対する水の質量比〔水/有機溶媒〕は、同様の観点から、0.10以上3.0以下であり、好ましくは0.10以上、2.5以下、より好ましくは0.10以上、2.2以下、より好ましくは0.10以上、1.5以下、より好ましくは0.20以上、1.5以下、より好ましくは0.25以上、1.5以下、より好ましくは0.30以上、1.5以下、より好ましくは0.30以上、1.0以下、より好ましくは0.30以上、0.80以下、より好ましくは0.40以上、0.80以下、より好ましくは0.50以上、0.80以下、より好ましくは0.60以上、0.80以下である。
本発明で用いる混合溶媒中の有機溶媒に対する水の質量比〔水/有機溶媒〕は、少なくとも反応中の一時点において上記範囲であればよく、反応開始時は、0.10未満であってもよい。本発明で用いる溶媒は、生産性の観点から、好ましくは仕込み時又は反応開始時において前記の有機溶媒に対する水の質量比を有する混合溶媒である。また、本発明で用いる溶媒は、反応開始時は有機溶媒のみで、反応開始後に水を混合してもよい。反応開始後に水を混合する場合、本発明で使用する有機溶媒の合計量に対する水の合計量の質量比〔水の合計量/有機溶媒の合計量〕は、生産性の観点から、好ましくは前記好適な質量比〔水/有機溶媒〕である。
本発明の混合溶媒は、本発明の効果を害しない範囲において、他の有機溶媒を含有することができる。他の有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ベンゾニトリル、酢酸プロピル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
本発明において、下記式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)の存在下でHMFを酸素により酸化する。当該化合物(I)は混合溶媒中に溶解するため、当該溶媒中で析出するFDCAを容易に分離することができる。
Figure 2016011264
(但し、式(I−1)において、Rは水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アリール基、アシルオキシ基又はアシルアミノ基を表す。)
Figure 2016011264
Rのアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられ、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基等が挙げられる。
Rのアルキル基としては、例えば、炭素数1〜8のアルキル基が挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。
Rのアリール基としては、例えば、炭素数6〜14のアリール基が挙げられ、例えば、フェニル基、トリル基、メトキシフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。
Rのアシルオキシ基としては、炭素数2〜14のアシルオキシ基が挙げられ、好ましくは、ベンゾイルオキシ基、又はアセトキシ基である。
Rのアシルアミノ基としては、炭素数1〜10のアシルアミノ基が挙げられ、好ましくはアセトアミド基である。
本発明で用いる化合物(I)は、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくは式(I−1)で表される化合物であり、それらの中、より好ましくはRが水素、アシルオキシ基又はアシルアミノ基である化合物であり、より好ましくはRが水素、炭素数2〜14のアシルオキシ基又は炭素数1〜10のアシルアミノ基である化合物である。
本発明で用いる化合物(I)は、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくは式(I−1)においてRが水素である2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、式(I−1)においてRがアセトアミド基である4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(以下、「4−アセトアミド−TEMPO」ともいう)又は式(I−1)においてRがベンゾイルオキシ基である4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(以下、「4−ベンゾイルオキシ−TEMPO」ともいう)であり、より好ましくは4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル又は4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルであり、より好ましくは4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルである。
本発明で用いる化合物(I)の反応混合物中の含有量は、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、そして、経済性の観点から、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、より好ましくは5質量%以下である。
本明細書中で、反応混合物とは、HMF、混合溶媒、化合物(I)、硝酸イオン及びHMFから得られた生成物からなる組成物を指す。
本発明において硝酸イオンの存在下でHMFを酸化する。硝酸イオンは化合物(I)を本発明の酸化反応の触媒として機能させる。
本発明で用いる硝酸イオンは、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくは硝酸に由来する硝酸イオンである。
本発明で用いる硝酸イオンの反応混合物中の含有量は、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、そして、経済性の観点から、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下である。
本発明で用いられるHMFは、例えば、国際公開第2013-146085号に記載された方法で、糖類を原料として、合成することができる。原料とする糖類は、天然由来のものでも、合成品でもよく、それらの混合物であってもよい。
本発明で用いられるHMFの反応混合物中の含有量は、特に制限はないが、生産性の観点から、仕込み時又は反応開始時において、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、そして、撹拌効率の観点から、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下である。
本発明で用いられるHMFの合計量に対する水の合計量の質量比〔水/HMF〕は、FDCAを効率的に製造する観点から、好ましくは1以上、より好ましくは1.6以上、より好ましくは2.5以上であり、同様の観点から、好ましくは6.0以下、より好ましくは5.0以下、より好ましくは4.0以下である。HMFの合計量に対する水の合計量の質量比〔水/HMF〕は、生産性の観点から、好ましくは仕込み時又は反応開始時において前記の好適な質量比である。
本発明の酸化反応では、空気、酸素と窒素やアルゴンなどの不活性ガスとの混合ガス、純酸素を前記混合溶媒中に流通させて、それらに含まれる酸素を用いることができる。
本発明における反応時の液相の温度(以下、反応温度ともいう)は、FDCAを効率的に製造する観点、並びに、2,5−ジホルミルフラン(以下、DFFともいう)及び5−ホルミル−2−フランカルボン酸(以下、FFCAともいう)の溶解性の観点から、好ましくは0℃以上、より好ましくは20℃以上、より好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、そして、触媒の安定性、FDCA回収効率及び経済性の観点から、好ましくは100℃以下、より好ましくは70℃以下、より好ましくは60℃以下である。
本発明における反応時の気相の圧力は、FDCAを効率的に製造する観点から、酸素分圧として、好ましくは20kPa以上、より好ましくは80kPa以上であり、そして、製造時の操作性及び経済性の観点から、好ましくは1000kPa以下、より好ましくは500kPa以下である。また、本発明における反応時の気相の圧力は、製造時の操作性及び経済性の観点から、大気圧であることが好ましい。
本発明における反応時の反応混合物(液相)の撹拌方法は、酸化剤である酸素を混合溶媒に溶解させ、反応混合物の均一性を保つことができる撹拌方法であればよい。撹拌方法としては、例えば、スターラーピースを用いたマグネチックスターラーによる撹拌、テフロン(登録商標)製三日月翼、タービン翼やパドル翼を用いたメカニカルスターラーによる撹拌などが挙げられる。
本発明において、化合物(I)や硝酸イオンは混合溶媒に溶解しており、また、FDCAは混合溶媒から容易に析出するので、反応終了後、濾過することにより、析出したFDCAを容易に回収することができる。FDCAを十分に析出させ、FDCAの回収量を増やす観点から、反応終了後、濾過をする前に、反応混合物を冷却する工程を有することが好ましい。濾過方法としては、加圧濾過、減圧濾過などが挙げられる。
以下の実施例及び比較例において、下記の方法によりFDCA組成及びHMF転化率を測定した。
なお、以下の実施例及び比較例において、大気圧条件下(101kPa)で反応を行った。
[FDCA組成及びHMF転化率の測定方法]
反応混合物又は回収した固形分を20mlのメスフラスコに約0.15gサンプリングし、DMSOによりメスアップして溶液を得る。この溶液のHPLC分析を下記のHPLC分析条件により行い、絶対検量線法を用いて、HMF(5−ヒドロキシメチルフルフラール)、HMFの酸化誘導体であるDFF(2,5−ジホルミルフラン)、FFCA(5−ホルミル−2−フランカルボン酸)、FDCA(2,5−フランジカルボン酸)の定量を行う。それぞれの定量値から次の式によりFDCA組成[質量%]及びHMF転化率[%]の値を得る。
FDCA組成[質量%]
=100×FDCAの質量/(HMF、DFF、FFCA及びFDCAの合計質量)
HMF転化率[質量%]
=100×〔1 − HMFの質量/(HMF、DFF、FFCA及びFDCAの合計質量)〕
[HPLC分析条件]
溶離液 水/メタノール(トリフルオロ酢酸0.1%(v/v))、グラジュエントモード、水/メタノール=9/1⇒1/9、20分
流量 1.0mL/min
温度 40℃
カラム L−column2_ODS(関東化学株式会社)
検出器 UV検出器(254nm)
実施例1
容量が50mlの4つ口丸底フラスコに、HMFを2.0040g(15.89mmol)、アセトニトリルを13.2095g、蒸留水を3.4566g、4−アセトアミド−TEMPOを0.8443g(3.958mmol)、60質量%硝酸水溶液を0.5072g(硝酸 4.829mmol)、仕込んだ。なお、仕込んだ水分の合計は3.6595gであった。
30ml/minの流通速度で酸素を前記4つ口丸底フラスコに供給しながら、室温(22℃)で10分間、撹拌した。なお、撹拌は、長径25mmのラグビーボール型のスターラーチップを用い、回転数200r/minで、マグネチックスターラーにて行った。
前記条件で撹拌しながら、酸素の流通速度を3.0ml/minに下げて、反応液の温度を50℃に昇温し、そのまま、50℃で15時間反応させた。ここで、反応液の温度が50℃になった時点を反応開始時刻(0時間)として反応時間を測定した。15時間反応後、上記の方法でFDCA組成を測定した結果、82.7質量%であった。また、15時間反応後のHMF転化率は100%であった。さらに、21時間反応後のFDCA組成は89.3質量%であった。なお、FDCA組成はFDCA生成率と見做すことができる。
21時間反応後、生成した沈殿をろ取し、アセトニトリルで洗浄し、真空乾燥を行い、2.0031gの固形分を回収した。この固形分のFDCA組成を測定し、FDCAの回収量を求めた結果、FDCAの収率は理論収量に対して79.7質量%であった。
実施例2〜4
アセトニトリルと蒸留水の仕込み量を変えた以外は実施例1と同様に反応を行い、実施例1と同様に15時間後のFDCA組成及びHMF転化率を測定した。結果を表1に示す。
実施例5
溶媒を酢酸エチルに変えた以外は実施例1と同様に反応を行い、15時間後のFDCA組成及びHMF転化率を測定した。結果を表1に示す。
実施例6
容量が50mlの4つ口丸底フラスコにHMFを2.0070g(15.91mmol)、t−ブチルアルコールを17.8499g、蒸留水を7.0619g、4−アセトアミド−TEMPOを0.8441g(3.958mmol)、60質量%硝酸水溶液を0.5110g(硝酸 4.829mmol)、仕込んだ。なお、仕込んだ水分の合計は7.2663gであった。
20ml/minの流通速度で酸素を前記4つ口丸底フラスコに供給しながら、室温(22℃)で10分間、撹拌した。なお、撹拌は、長径25mmのラグビーボール型のスターラーチップを用い、回転数200r/minで、マグネチックスターラーにて行った。
前記条件で撹拌しながら、酸素の流通速度を3.0ml/minに下げて、反応液の温度を50℃に昇温し、そのまま、50℃で15時間反応させた。ここで、反応液の温度が50℃になった時点を反応開始時刻(0時間)とした。15時間反応後のFDCA組成及びHMF転化率を測定した。結果を表1に示す。
比較例1、2
アセトニトリルと蒸留水の仕込み量を変えた以外は実施例1と同様に反応を行い、15時間後のFDCA組成及びHMF転化率を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2016011264
以下に前記実施例1〜6および比較例1,2において使用した薬剤について記載する。
・HMF:試薬、Sigma Aldrich社製
・アセトニトリル:試薬、和光純薬工業株式会社製
・酢酸エチル:試薬、和光純薬工業株式会社製
・t−ブチルアルコール:試薬、和光純薬工業株式会社製
・4−アセトアミド−TEMPO:4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル:試薬、和光純薬工業株式会社製、式(I−1)においてRがアセトアミド基の化合物
・60質量%硝酸水溶液:試薬、キシダ化学株式会社製
・水:試薬、関東化学株式会社製
また、FDCA組成測定に用いた薬剤は以下の通りである。
・水:日本ミリポア株式会社製の精製装置Advantage5により精製した精製水
・メタノール:試薬、和光純薬工業株式会社製
・トリフルオロ酢酸:試薬、和光純薬工業株式会社製
・DMSO:ジメチルスルホキシド:試薬、和光純薬工業株式会社製
なお、HPLC組成分析用のHMF(5−ヒドロキシメチルフルフラール:Sigma Aldrich社製)、DFF(2,5−ジホルミルフラン:東京化成工業株式会社製)、FFCA(5−ホルミル−2−フランカルボン酸:東京化成工業株式会社製)およびFDCA(フラン−2,5−ジカルボン酸:和光純薬工業株式会社製)は試薬を精製せずにそのまま使用し、検量線を作成した。
FDCAは、合成樹脂やトナーバインダーを製造するためのモノマーとして利用することができる。また、医薬、農薬、殺虫剤、抗菌剤、香料、その他各種分野の薬剤を製造するための中間体として利用価値が高い。

Claims (5)

  1. 30℃において2,5−フランジカルボン酸の飽和溶解度が1質量%以下であり、25℃において水10mLに対する溶解性が0.5mL以上である有機溶媒、及び水を含有し、有機溶媒に対する水の質量比〔水/有機溶媒〕が0.10以上、3.0以下である混合溶媒中で、下記式(I−1)又は(I−2)で表される化合物(I)及び硝酸イオンの存在下、5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸素により酸化する2,5−フランジカルボン酸の製造方法。
    Figure 2016011264
    (但し、式(I−1)において、Rは水素、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルキル基、アリール基、アシルオキシ基又はアシルアミノ基を表す。)
    Figure 2016011264
  2. 5−ヒドロキシメチルフルフラールの合計量に対する水の合計量の質量比〔水/5−ヒドロキシメチルフルフラール〕が1以上、6.0以下である、請求項1に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。
  3. 化合物(I)が、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル及び4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルから選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。
  4. 硝酸イオンが硝酸に由来する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。
  5. 有機溶媒がアセトニトリル、酢酸エチル及びt−ブチルアルコールから選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の2,5−フランジカルボン酸の製造方法。
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