JP2019104704A - 芳香環を有するアルデヒド化合物の製造方法 - Google Patents

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【課題】本発明は、芳香環を有するアルデヒド化合物をより一層効率的に製造することができ、アルデヒド化合物の工業的な大量生産にも適する方法を提供することを目的とする。【解決手段】本発明に係る芳香環を有するアルデヒド化合物の製造方法は、炭化水素溶媒中、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ニトロキシルラジカル化合物および窒素酸化物を混合する工程、および、上記混合工程で得られた混合物に酸素含有ガスを添加し、上記芳香族化合物のヒドロキシメチル基を酸化する工程を含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、芳香環を有するアルデヒド化合物を効率的に製造するための方法に関するものである。
一般的に、アルコール化合物を強く酸化するとアルデヒド化合物やケトン化合物を経てカルボン酸化合物まで酸化されるが、アルデヒド化合物やケトン化合物も重要な化合物である。そこで、アルコール化合物を酸化してアルデヒド化合物やケトン化合物を得るための方法が種々検討されてきた。
古典的には、硫酸中、三酸化クロムを触媒として用いたJones酸化反応など、酸化クロムや酸化マンガンなどの金属酸化物を触媒として用いる方法が開発されてきた。しかし、これら金属酸化物は毒性が強く、後処理などの問題から工業的な大量生産には不向きであるといえる。
次に、金属酸化物を用いない反応が検討された。例えば、DMSOをオキサリルジクロリドで活性化し、生じた活性中間体によりアルコール化合物をカルボニル化合物に酸化するSwern酸化反応が知られている。しかしながら、Swern酸化反応はDMSOとオキサリルジクロリドの活性中間体が熱的に不安定なため、反応温度の厳密な制御が必要とされ、また,副生するジメチルスルフィドが強い悪臭を示すため、大量合成には不向きである。その他、デス・マーチン試薬といった酸化剤が開発されているが、非常に高価であり、また、爆発性を示すためにやはり大量合成に向いていないといえる。
比較的低コストで実施可能なアルコールの酸化方法として、特許文献1には、ニトロキシルラジカル化合物、硝酸塩、臭化物およびカルボン酸を含有する触媒組成物によりアルコール化合物と酸素を反応させてアルデヒド又はケトンを得る方法が開示されている。また、特許文献2には、有機酸、ニトロキシルラジカル、酸素供給源および酸素輸送剤の存在下での酸化ステップを含む5−ヒドロキシメチルフルアルデヒドの酸化方法が開示されている。
特開2006−176527号公報 特表2015−502972号公報
上述したように、アルコール化合物を酸化してアルデヒド化合物やケトン化合物を得るための方法としては様々なものが開発されている。
しかし近年、より一層効率的で工業的な大量生産にも適する方法が求められている。例えば、石油を原料とすれば最終的に大気中の二酸化炭素濃度を高めることになる一方で、これまで廃棄されていたようなバイオマスはカーボンニュートラルな材料であることから、これを用いれば大気中の二酸化炭素濃度を高めることにはならない。より具体的には、多糖類からなるバイオマスの分解により5−ヒドロキシメチルフルフラールやフルフラールなどが得られ、これらを原料としてフラン単位を含む高分子材料を製造することが検討されている。例えばバイオマス由来の5−ヒドロキシメチルフルフラールを酸化してジホルミルフランを製造し、高分子材料の原料とすることが考えられる。
そこで本発明は、芳香環を有するアルデヒド化合物をより一層効率的に製造することができ、アルデヒド化合物の工業的な大量生産にも適する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた。その結果、触媒として金属酸化物を用いず、ニトロキシルラジカル化合物と窒素酸化物を用いる場合、溶媒により反応効率が大きく変わり、炭化水素溶媒を用いると反応効率が顕著に改善されることを見出して、本発明を完成した。
以下、本発明を示す。
[1] 芳香環を有するアルデヒド化合物を製造するための方法であって、
炭化水素溶媒中、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ニトロキシルラジカル化合物および窒素酸化物を混合する工程、および、
上記混合工程で得られた混合物に酸素含有ガスを添加し、上記芳香族化合物のヒドロキシメチル基を酸化する工程を含むことを特徴とする方法。
[2] 更に、上記酸化工程後、反応液を冷却して上記アルデヒド化合物を結晶化する工程、および、
上記結晶化工程で生じた上記アルデヒド化合物の結晶を母液から分離する工程を含む上記[1]に記載の方法。
[3] 上記芳香環が複素芳香環である上記[1]または[2]に記載の方法。
[4] 上記ニトロキシルラジカル化合物がピペリジン−1−オキシル誘導体である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の方法。
[5] 上記窒素酸化物が、硝酸、硝酸塩、一酸化窒素および二酸化窒素から必須的になる群から選択される少なくとも一種である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6] 上記炭化水素溶媒が芳香族炭化水素溶媒である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の方法。
本発明方法によれば、金属酸化物など環境に悪影響を与えかねず且つ処理が難しい化合物を使うことなく、工業的な大量生産にも適する条件で、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物から対応するアルデヒド芳香族化合物を非常に効率的に製造することが可能である。よって本発明は、バイオマスなどから大量に得られる芳香族化合物の利用価値を高められるものとして、産業上極めて有用である。
以下、本発明方法を工程毎に説明する。
1.混合工程
本工程では、炭化水素溶媒中、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ニトロキシルラジカル化合物および窒素酸化物を混合することにより混合物を得る。
「炭化水素溶媒」は、常温常圧で液状である炭化水素をいう。例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナンなどの直鎖状脂肪族炭化水素溶媒;ベンゼン、トルエン、クメン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,3,5−トリメチルベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、インダン、インデンなどの芳香族炭化水素溶媒;シクロペンタン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサン、シクロヘキセン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタン、シクロヘプテン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタン、シクロオクテン、シクロオクタジエン、シクロノナンなどの環状脂肪族炭化水素溶媒を挙げることができ、芳香族炭化水素溶媒が好ましく、トルエンがより好ましい。
「ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物」の芳香環部分としては、C6-14芳香族炭化水素環および複素芳香環を挙げることができる。「C6-14芳香族炭化水素環」とは、炭素数6以上、14以下の芳香族炭化水素環をいい、例えば、ベンゼン環、インデン環、ナフタレン環、ビフェニル環、フェナレン環、フェナントレン環、アントラセン環などを挙げることができる。好ましくはC6-12芳香族炭化水素環であり、より好ましくはベンゼン環である。
「複素芳香環」とは、窒素、酸素または硫黄などのヘテロ元素を少なくとも1個有する芳香環をいう。例えば、ピロール環、イミダゾール環、ピラゾール環、チオフェン環、フラン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、チアジアゾール環などの5員複素芳香環;ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環などの6員複素芳香環;インドール環、イソインドール環、キノリン環、イソキノリン環、ベンゾフラン環、イソベンゾフラン環、クロメン環などの縮合複素芳香環を挙げることができる。好ましくは5員複素芳香環および酸素を有する複素芳香環であり、より好ましくはフラン環である。
芳香族化合物が有するヒドロキシメチル基の数は、置換可能であれば特に制限されないが、例えば、1以上、4以下とすることができる。当該数としては、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1がより更に好ましい。
芳香族化合物は、本発明方法に係る反応に不活性なものであれば、ヒドロキシメチル基以外の置換基を有していてもよい。かかる置換基としては、例えば、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C1-7アシル基およびハロゲノ基から必須的になる群から選択される1以上の置換基を挙げることができる。かかる置換基の数も、置換可能であれば特に制限されず、例えば、1以上、4以下とすることができる。当該数としては、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1がより更に好ましい。
「C1-6アルキル基」は、炭素数1以上、6以下の直鎖状、分枝鎖状または環状の一価飽和脂肪族炭化水素基をいう。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、シクロブチル、n−ペンチル、シクロペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル等である。好ましくはC1-4アルキル基であり、より好ましくはC1-2アルキル基であり、より更に好ましくはメチルである。
「C1-6アルコキシ基」とは、炭素数1以上、6以下の直鎖状、分枝鎖状または環状の脂肪族炭化水素オキシ基をいう。例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、シクロプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ、シクロブトキシ、n−ペントキシ、シクロペントキシ、n−ヘキソキシ、シクロヘキソキシ等であり、好ましくはC1-4アルコキシ基であり、より好ましくはC1-2アルコキシ基であり、より更に好ましくはメトキシである。
「C1-7アシル基」とは、炭素数1以上、7以下の脂肪族カルボン酸からOHを除いた残りの原子団をいう。例えば、ホルミル、アセチル、エチルカルボニル、n−プロピルカルボニル、イソプロピルカルボニル、n−ブチルカルボニル、イソブチルカルボニル、t−ブチルカルボニル、n−ペンチルカルボニル、n−ヘキシルカルボニル等であり、好ましくはC1-4アシル基であり、より好ましくはホルミルまたはアセチルである。
「ハロゲノ基」としては、フルオロ、クロロ、ブロモ、およびヨードを例示することができ、クロロまたはブロモが好ましく、クロロがより好ましい。
具体的な「ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物」としては、例えば、バイオマスから得られる5−ヒドロキシメチルフルフラールを挙げることができる。
ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物の使用量は、特に制限されず適宜調整すればよいが、例えば、上記炭化水素溶媒と当該芳香族化合物との合計量に対する当該芳香族化合物の割合を0.5質量%以上、30質量%以下とすることができる。上記割合としては、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、また、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
ニトロキシルラジカル化合物は、ニトロキシルラジカル基(>N−O⇔>N+=O)を有し、本発明に係る酸化反応を促進できるものであれば特に制限されない。例えば、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−メトキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−オキソ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、N,N−ジメチルアミノ−2,2,6,6−テトラメチル−ピペリジン−1−オキシル、4−アミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルおよび4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシルから選択される1以上のピペリジン−1−オキシル誘導体を挙げることができる。
ニトロキシルラジカル化合物の使用量は、反応が円滑に進行する範囲で適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物に対して、0.1モル%以上、20モル%以下とすることができる。上記割合としては、1モル%以上が好ましく、2モル%以上がより好ましく、また、15モル%以下が好ましく、10モル%以下がより好ましく、5モル%以下がより更に好ましい。
窒素酸化物は、ニトロキシルラジカル化合物と共に主に本発明に係る酸化反応を促進する助触媒として働く。窒素酸化物としては、例えば、硝酸、硝酸塩、一酸化窒素および二酸化窒素から必須的になる群から選択される少なくとも一種を挙げることができる。
硝酸としては、100%硝酸のみでなく、0.5N以上、10N以下の希硝酸を用いてもよい。硝酸塩を構成するカチオンとしては、例えばリチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンなどのアルカリ金属イオン;カルシウムイオン、ストロンチウムイオン、バリウムイオンなどのアルカリ土類金属イオン;マグネシウムイオンを挙げることができる。
窒素酸化物の使用量は、反応が円滑に進行する範囲で適宜調整すればよく特に制限されないが、例えば、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物に対して、0.1モル%以上、20モル%以下とすることができる。上記割合としては、2.5モル%以上が好ましく、5モル%以上がより好ましく、また、15モル%以下が好ましく、12モル%以下がより好ましい。また、ニトロキシルラジカル化合物のモル数よりも多くの窒素酸化物を用いることが好ましい。
特に常温常圧で気体である窒素酸化物は、溶媒に溶解し難い場合がある。その場合には、反応系を密閉して内圧を0.2MPa以上、2.0MPa以下にしつつ反応液を攪拌したり、反応液中に気体状の窒素酸化物を継続的に供給したりすることが好ましい。
炭化水素溶媒、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ニトロキシルラジカル化合物および窒素酸化物の混合順序は特に限定されない。例えば、上記芳香族化合物を炭化水素溶媒に混合し、更にニトロキシルラジカル化合物と窒素酸化物を添加することができる。なお、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ニトロキシルラジカル化合物および窒素酸化物は、炭化水素溶媒に完全に溶解していなくてもよく、反応が進行する程度に少なくとも一部が溶解していればよい。
2.酸化工程
本工程では、上記混合工程で得られた、少なくとも炭化水素溶媒中、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ニトロキシルラジカル化合物および窒素酸化物を含む混合物に酸素含有ガスを添加し、上記芳香族化合物のヒドロキシメチル基を酸化してホルミル基とし、芳香環を有するアルデヒド化合物を生成させる。
酸素含有ガスは、酸素を含んでいれば特に限定されず、例えば酸素ガスであってもよいし、酸素ガスと不活性ガスとの混合ガスであってもよいし、空気であってもよい。不活性ガスとしては窒素ガスやアルゴンガスを用いることができ、混合ガス中における酸素ガスの濃度は1容量%以上、30容量%以下の範囲で調整することができる。
酸素の使用量は、適宜調整すればよい。例えば、反応系を密閉し、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物に対して1.5倍モル以上、50倍モル以下の酸素を含む酸素含有ガスを反応系に添加し、内圧を0.2MPa以上、2.0MPa以下とし、上記混合物を攪拌することができる。或いは、酸素含有ガスを上記混合物へ継続的に吹き込んでもよい。なお、背圧弁などを用いることにより、反応系へ酸素含有ガスを流通させつつ、且つ反応系の内圧を常圧超にすることも可能である。
窒素酸化物として水を含む希硝酸を用いた場合には、上記混合物は静置状態で二層に分離する可能性がある。また、酸化反応を効率的に行うには、上記混合物中へ酸素が十分に供給されるようにしなければならない。よって本工程においては、上記混合物を十分に攪拌することが好ましい。
酸化反応の条件は、適宜調整すればよく特に制限されない。例えば、20℃以上、100℃未満で、30分間以上、20時間以下程度反応を行えばよい。反応は、還流条件で行ってもよい。但し、具体的な反応条件は予備実験により決定してもよいし、例えば、出口酸素濃度を測定して反応の進行を確認しつつ、出口酸素濃度が導入酸素濃度と同じになるなど、酸素の消費が確認されなくなるまで反応を行ってもよい。
本工程における酸化反応により、上記原料芳香族化合物のヒドロキシメチル基はホルミル基に酸化され、芳香環を有するアルデヒド化合物が生成する。
反応後は、一般的な後処理を行ってもよい。例えば、窒素酸化物として水を含む希硝酸を用いた場合には、希硝酸の使用量に応じて上記混合物は静置状態で二層に分離する可能性がある。そのような場合には、目的化合物であるアルデヒド化合物は、通常、有機層に存在するため、水層を分離してもよい。有機層は、水、飽和食塩水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液などで洗浄してもよいし、無水硫酸ナトリウムや無水硫酸マグネシウムなどで乾燥してもよい。
3.結晶化工程
本工程では、上記酸化工程後の反応液を冷却し、目的化合物であるアルデヒド化合物を結晶化する。当該反応液には、上記の通り、酸化反応後に一般的な後処理を施したものも含まれる。また、当該反応液をある程度濃縮してもよい。
本発明方法においては、上記炭化水素溶媒を用いることにより、目的化合物であるアルデヒド化合物の結晶性が良好であり、当該アルデヒド化合物の結晶を効率的に得られる可能性がある。
4.結晶の回収工程
本工程では、上記結晶化工程の結晶を母液から分離して回収する。分離手段は特に制限されず、濾過や遠心分離などの常法を用いることができる。
一般的に、結晶の濾過では、フィルターが目詰まりを起こすなどして濾過に特別な工夫が必要であったり、大量合成が困難になることがある。しかし本発明方法においては、上記炭化水素溶媒を用いることにより生じた結晶は母液との分離性が良好であり、他の溶媒を用いる場合に比べて回収が容易である可能性がある。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
内容積100mLのオートクレーブ中、濃度が5質量%となるよう5−ヒドロキシメチルフルフラール(5−HMF,2.5g)をトルエン(47.5g)に添加し、更に4−アセトアミド−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン 1−オキシル(4AA−TEMPO,0.106g,5−HMFに対して2.5モル%)と1N硝酸(2.07g)を加え、密封した。酸素含有ガスとして5容量%酸素ガスと95容量%窒素ガスの混合ガスを100mL/minの速度で反応液に流通させつつ、オートクレーブの出口部分の背圧弁を用いてオートクレーブ内の圧力を1.0MPaに調整した。反応液を500rpmで攪拌しつつ85℃で2.5時間反応させた。イチネンジコー社製の酸素濃度計で出口酸素濃度を測定し、酸素の消費が確認されなくなった時点を反応の終点とした。
反応後、Agilent社製のガスクロマトグラフ(カラム:DB−1701,検出器:FID)を用いて反応液を分析し、原料転化率、ジホルミルフラン(DFF)の収率、選択率、DFF生成速度、触媒回転数(TON)を算出した。なお、有機溶媒であるトルエンに対する硝酸の量の比が小さいため、水層と有機層を分離せずに反応液を希釈して分析した。また、DFF生成速度は、1モルの4AA−TEMPOが5−HMFを酸化することで1時間あたりに生じたDFFのモル数を表し、触媒回転数は、1モルの4AA−TEMPOが5−HMFを酸化することで生じたDFFのモル数を表す。結果を表1に示す。
また、反応液を氷浴で約1時間冷却した。冷却後の反応液を、ADVANTEC社のNo.5C濾紙とブフナー漏斗を使って減圧濾過し、結晶を回収した。得られた結晶をガスクロマトグラフィで分析したところ、純度98%超のDFFであることが確認された。また、DFFの回収率は72.4%であった。
実施例2
上記実施例1において、酸素含有ガスの酸素濃度を10容量%に変更し、反応時間を1.5時間に変更した以外は同様にして反応を行ない、原料転化率などを算出した。結果を表1に示す。
比較例1
上記実施例1において、溶媒をトルエンからアセトニトリルに変更し、反応時間を3時間に変更した以外は同様にして反応を行ない、原料転化率などを算出した。結果を表1に示す。
比較例2
上記実施例1において、溶媒をトルエンから酢酸に変更し、反応時間を2時間に変更した以外は同様にして反応を行ない、原料転化率などを算出した。結果を表1に示す。また、反応後の反応液を上記実施例1と同様に氷浴で約1時間冷却したが、結晶の析出は認められなかった。
Figure 2019104704
表1に示す結果の通り、溶媒としてアセトニトリルを用いた場合(比較例1)には、原料転化率をはじめとして全ての結果が満足できるものではなく、反応が十分に進行していないことが分かった。
溶媒として有機酸溶媒である酢酸を用いた場合(比較例2)には、アセトニトリルを用いた場合に比べて結果は改善したが、目的化合物であるDFFの収率が83.7%であるなど、工業的な大量生産などのためにはまだ満足できるものではなかった。
それに対して溶媒として炭化水素溶媒であるトルエンを用いた場合(実施例1,2)には、収率や選択率が約95%を超えるなど、非常に良好な結果が得られた。
また、溶媒として炭化水素溶媒であるトルエンを用いた場合(実施例1)には反応液から目的化合物であるDFFの結晶が得られたが、溶媒として酢酸を用いた場合(比較例2)では反応液を冷却するのみではDFFは析出しなかった。
実施例3
上記実施例1において、実施規模を100倍にして反応を行なった。但し、酸素含有ガスの流量は、圧力損失を考慮して3L/minとした。また、実施規模から酸素の消費速度が実施例1,2に比べて早いため、酸素含有ガスの酸素濃度を5〜18容量%の範囲で調整した。結果を表2に示す。
Figure 2019104704
反応後の反応液を水層と有機層に分液し、有機層を−18℃で12時間冷却した。冷却後の有機層を、ADVANTEC社のNo.5C濾紙とブフナー漏斗を使って減圧濾過し、結晶を回収した。得られた結晶をガスクロマトグラフィで分析したところ、純度98%超のDFFであることが確認された。
また、濾液を濃縮し、有機層に溶解していたDFFを更に回収した。生成した反応液中のDFFに対する回収DFFの合計回収率は、90.7%であった。

Claims (6)

  1. 芳香環を有するアルデヒド化合物を製造するための方法であって、
    炭化水素溶媒中、ヒドロキシメチル基を有する芳香族化合物、ニトロキシルラジカル化合物および窒素酸化物を混合する工程、および、
    上記混合工程で得られた混合物に酸素含有ガスを添加し、上記芳香族化合物のヒドロキシメチル基を酸化する工程を含むことを特徴とする方法。
  2. 更に、上記酸化工程後、反応液を冷却して上記アルデヒド化合物を結晶化する工程、および、
    上記結晶化工程で生じた上記アルデヒド化合物の結晶を母液から分離する工程を含む請求項1に記載の方法。
  3. 上記芳香環が複素芳香環である請求項1または2に記載の方法。
  4. 上記ニトロキシルラジカル化合物がピペリジン−1−オキシル誘導体である請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 上記窒素酸化物が、硝酸、硝酸塩、一酸化窒素および二酸化窒素から必須的になる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 上記炭化水素溶媒が芳香族炭化水素溶媒である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
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