JP6722446B2 - 自己粘着性シート及び当該自己粘着性シートの製造方法 - Google Patents

自己粘着性シート及び当該自己粘着性シートの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自己粘着性シート及び当該自己粘着性シートの製造方法に関する。
温度変化により色が変化する材料を用いたものとして、従来から樹脂成形品(樹脂カップ)やポスター・シール等が製造販売されている。具体的な製品例としては、自動車のタイヤに貼付して用いるシール、冷えたビールを注いだり逆に熱いコーヒーを注ぐと色が変わる感温樹脂カップ、料理の温度によって色が変わる樹脂スプーン等が存在する。
特開2008−056055号公報
これらの内、被着体に貼り付けて使用する用途のシート状体(典型的にはシール)は、特許文献1に記載されているように、一方の面(表示面)側に感温変色材料を設け、他方の面(裏面)側に接着層を設けるよう構成されている。ここで使用される接着剤は、感圧性接着剤(粘着剤)やホットメルト型・熱硬化型接着剤等、繰り返し脱着使用を想定したものではない。また、繰り返し使用可能な粘着剤も存在するが、繰り返し回数にも限度がある。そこで、本発明は、繰り返し脱着使用が可能な、感温変色材料を有するシートを提供することを課題とする。
本発明(1)は、エマルジョン及び起泡剤を含有する組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化することにより得られる自己粘着性多孔質フォーム層を少なくとも有する、シートであって、前記エマルジョンが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン及びエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンから選択される1種以上のエマルジョンを含み、且つ、前記シートが、感温変色材料を有する(前記シートに、感温変色材料が存在する)ことを特徴とする自己粘着性シートである。尚、本発明(1)は、製造方法により物を規定している。ここで、本発明(1)に係る自己粘着性多孔質フォーム層は、原料としてエマルジョンを用いており、これをメカニカルフロス後に硬化させることにより製造されたものである。このように、エマルジョンを構成する樹脂のどの官能基がどのように且つどの程度反応しているかを特定することは、慣用の分析手段を用いて分析したとしても極めて困難であり、且つ、構造又は特性により網羅的に表現することは事実上不可能である。
本発明(2)は、前記エマルジョンが、アクリル系エマルジョンと、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンと、を含有する、前記発明(1)の自己粘着性シートである。
本発明(3)は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂から選択される一種以上の樹脂を含む自己粘着性多孔質フォーム層を少なくとも有する、シートであって、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の密度が、150〜300kg/mであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の厚さが、0.5〜2.0mmであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の平均セル径が30〜200μmであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の層間剥離強度が、3.0N/12mm以上であり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の25%圧縮荷重が、2.0〜11.0kPaであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の粘着強度が、0.4〜2.5N/24mmであることを特徴とする自己粘着性シートである。
本発明(4)は、前記樹脂が、アクリル系樹脂と、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂と、を含有する、前記発明(3)の自己粘着性シートである。
本発明(5)は、自己粘着性多孔質フォーム層を少なくとも有する自己粘着性シートの製造方法であって、
エマルジョン及び起泡剤を含有する組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化する工程を含み、
前記エマルジョンが、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン及びエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンから選択される1種以上のエマルジョンを含み、且つ
前記シートが、感温変色材料を有する(前記シートに、感温変色材料が存在する)
ことを特徴とする自己粘着性シートの製造方法である。
本発明(6)は、前記エマルジョンが、アクリル系エマルジョンと、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンと、を含有する、前記発明(5)の自己粘着性シートの製造方法である。
本発明(7)は、前記自己粘着性多孔質フォーム層の密度が、150〜300kg/mであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の厚さが、0.5〜2.0mmであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の平均セル径が30〜200μmであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の層間剥離強度が、3.0N/12mm以上であり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の25%圧縮荷重が、2.0〜11.0kPaであり、
前記自己粘着性多孔質フォーム層の粘着強度が、0.4〜2.5N/24mmである、前記発明(5)又は(6)の自己粘着性シートの製造方法である。
ここで、下記態様であることがより好適である。
すなわち、本態様(1)は、
自己粘着性多孔質フォーム層を少なくとも有する自己粘着性シートの製造方法であって、
前記製造方法が、エマルジョンと架橋剤と起泡剤とを含有するエマルジョン組成物を、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡体を形成し、当該発泡体を硬化させる工程
を含み、
前記エマルジョンが、アクリル系エマルジョンと、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンと、を含有し、
前記エマルジョン組成物における、前記アクリル系エマルジョン(固形分)に対する前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(固形分)の重量比(前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン/前記アクリル系エマルジョン)が、0.05〜1.7であり、
前記エマルジョン組成物における、前記アクリル系エマルジョン(固形分)及び前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(固形分)に対する前記架橋剤の重量比{前記架橋剤/(前記アクリル系エマルジョン+前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン)}が、0.01〜0.12である
ことを特徴とする、シートの製造方法である。
本態様(2)は、
前記エマルジョン組成物が、前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンとして、少なくとも2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンを含有し、
前記2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、粘度(mPa・s)及び/又はガラス転移温度が相互に異なるものである、前記態様(1)記載のシートの製造方法である。
本態様(3)は、
前記2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの内、一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度は2,000〜4,000mPa・sであり、他方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度は前記一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度よりも500〜1,500mPa・s低い、前記態様(2)記載のシートの製造方法である。
本態様(4)は、
前記2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの内、一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのガラス転移温度は−30℃〜30℃であり、他方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのガラス転移温度は前記一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのガラス転移温度よりも5℃以上低い、前記態様(2)又は(3)記載のシートの製造方法である。
本態様(5)は、
前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの平均粒径が、1.0μm以下である、前記態様(1)〜(4)のいずれか一に記載のシートの製造方法である。
本態様(6)は、
前記2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの平均粒径の差が0.1〜0.5μmである、前記態様(2)〜(5)のいずれか一に記載のシートの製造方法である。
本態様(7)は、
アクリル系エマルジョンのガラス転移温度とエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのガラス転移温度が、いずれも−10℃以下である、前記態様(1)〜(6)のいずれか一に記載のシートの製造方法である。
本態様(8)は、
前記シートが、前記多孔質フォーム層の一方の面側に設けられた第一の層を更に有する、前記態様(7)記載のシートである。
ここで、本発明において、「自己粘着性」とは、粘着剤を塗布すること(粘着層を設けることも含む)や含浸することなく、その素材の性質から、押え付けると被着体に粘着するが、剥離すると被着体に移行せず接合部から剥がすことができる性質をいう。また、「半連続気泡構造」とは、連続気泡と比べ、隣り合う気泡同士の気孔(穴)が小さく、独立気泡と違い、気泡に小さな気孔がある構造であり、JIS L 1096 A法に準拠し、フラジール型通気性試験機を用いて測定した値が2[ml/cm/s]以上、80[ml/cm/s]未満となる構造をいう。
また、本発明において、「層間剥離強度」とは、本発明に係るシートの材料強度の一つの指標であり、T字剥離した場合における引裂き時の応力をいう。具体的には、後述する試験方法によりその強度を測定することができるものとする。
本発明によれば、繰り返し脱着使用が可能な、感温変色材料を有するシートを提供することが可能となる。更に、本態様によれば、本発明の効果に加え、表面処理ガラスや凹凸を有する壁紙等の被着体に対して十分な貼力を長期間維持でき、且つ、繰り返し使用が可能なシートを提供することができる。また、本態様に係る粘着シートは、多様なアプリケーションへの応用を可能とした。
本形態に係る、多孔質フォーム層のみからなるシートの概念断面図である。 本形態に係る、表層を有するシートの概念断面図である。 本形態に係る、表層及び機能層を有するシートの概念断面図である。 本形態に係る、多孔質フォームの半連続気泡構造、連続気泡構造及び独立気泡構造の断面SEM写真である。 貼付試験に使用する部材の写真である。 貼付試験の概要を示す写真である。 貼付試験に用いた壁紙の断面の模式図である。
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明するが、これらはあくまで一例であり、本発明は以下の態様に限定されるものではない。
本形態に係るシート及びその製造方法について、以下の順序で説明する。
1 シートの構造
2 シートの製造方法
3 シートの性質
4 シートの用途
[構造]
図1は、多孔質フォーム層のみからなるシート100の概念断面図である。後述するように、多孔質フォーム層自体に機能を付与し、機能層を兼ねることもできる。ここで、当該多孔質フォーム層は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂及びエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂から選択される一種以上の樹脂を含む。尚、本発明の典型的な態様は、多孔質フォーム層が一層のもの{即ち、感温変色材料が多孔質フォーム層内に存在する態様(即ち、原料組成物中に感温変色材料が含まれており、当該原料組成物から多孔質フォーム層を製造した態様)や感温変色材料が多孔質フォーム層表面に存在する態様(即ち、多孔質フォーム層を製造した後、例えば、印刷等にて、その表面に感温変色材料を付着させる態様)}である。
但し、多孔質フォーム層上に一以上の他の層が積層されていてもよい。この場合、好適には、最表面の層内又は表面等に感温変色材料が存在する。図2は、第一の層(表層)を有するシート100の概念断面図である。図2に示されるように、本形態に係るシート100は、多孔質フォーム層110と、多孔質フォーム層110の一方の面上に第一の層120を有するシート状の積層体であることができる。図3は、第一の層の上に第二の層130(表層)を更に有するシート100の概念断面図である。尚、多孔質フォーム層及び第一の層の間、第一の層と第二の層の間、第二の層上(即ち、第一の層とは反対側)に、一又は複数の層が存在していてもよい。
次に、前記各層を説明する。ここで、前記のように、典型的態様は多孔質フォーム層のみからなるシートであるので、まず多孔質フォーム層を説明する。次いで、典型的態様ではない積層体であるシートにおける、第一の層(当該層が表層の場合、例えば二層構造の場合には、当該層が機能層となり得る)及び第二の層(当該層が表層の場合、例えば三層構造の場合には、当該層が機能層となり得る)を説明する。
≪多孔質フォーム層≫
本形態に係る多孔質フォーム層110は、粘着剤を塗布することや含浸することなく、その素材の性質が自己粘着性を有し、被着体に粘着する層として機能する。加えて、被着体に接触した多孔質フォーム層110は、半連続気泡構造を有することから、吸盤効果によって、被着体に粘着する。多孔質フォーム層110は、柔軟性と伸縮性が高いことから、表面処理ガラスや壁紙などの表面に凹凸がある被着体に対しても強い粘着強度で貼ることができる。ただし、必要に応じて粘着剤を塗布する構成としてもよい。ここで、本発明において、「自己粘着性」とは、粘着剤を塗布すること(粘着層を設けることも含む)や含浸することなく、その素材の性質から、押え付けると被着体に粘着するが、剥離すると被着体に移行せず接合部から剥がすことができる性質をいう。また、「半連続気泡構造」とは、連続気泡と比べ、隣り合う気泡同士の気孔(穴)が小さく、独立気泡と違い、気泡に小さな気孔がある構造であり、JIS L 1096 A法に準拠し、フラジール型通気性試験機を用いて測定した値が2[ml/cm/s]以上、80[ml/cm/s]未満となる構造をいう。
そして、多孔質フォーム層110は、半連続気泡構造であるから、空気溜まりができにくく、できた場合にも、上から押えるだけで、容易に空気を抜くことができる。
更に、剥離する際には、粘着剤を塗布することや含浸していないことから、被着体に移行せず、接合部から剥がすことができるため、繰り返し使用することができる。このことから、粘着剤を塗布する構成とする場合には、できるだけ粘着剤の塗布部が少ない方が好ましい。
被着体がガラスである場合、ガラスが熱により伸縮することから、熱割れが問題となる。本発明に係るシートは、多孔質フォーム層110が高い伸縮性を有することから、ガラスの熱による伸縮を吸収するので、熱割れが生じにくくなる。
ここで、本形態に係る多孔質フォーム層110は、例えば、分散質として水分散性樹脂と、分散媒として水又は水と水溶性溶剤との混合物とを含む水分散体(エマルジョン)と、起泡剤としてアニオン性界面活性剤と、を含有する水系液体媒体(エマルジョン組成物)を、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡体を形成し、当該発泡体を硬化させる工程により製造される(当該多孔質フォーム層110の具体的な製造方法に関しては後述する)。尚、前記典型的態様である多孔質フォーム層のみからなるシート(特に、練り込みタイプである、多孔質フォーム層内に感温変色材料が存在する態様)の製造においては、前記エマルジョン組成物に感温変色材料を含有させる。
本形態に係る多孔質フォーム層110は、粘着強度、材料強度及び追従性を併せ持つ。当該性質のため、平滑なガラス面やSUS板等は当然に、表面処理ガラス面及び凹凸面を有する壁紙等にも貼り付けが可能となると共に、材料破壊することなく、繰り返しの使用が可能となる。また、後述の材質から、多孔質フォーム層110の全体に亘って粘着性、UVカット性を発揮し、遮光性、UVカット性に優れるものとなる。また、完全には遮光しない構成とすることにより、日光があれば本発明に係るシートを剥離せずに室内で光を得ることができる。
更に、本形態に係る多孔質フォーム層110によれば、後述の材質から、多孔質フォーム層110の全体に亘って断熱性を発揮し、断熱性に優れるものとすることができる。
<厚さ>
本形態に係る多孔質フォーム層110の厚さとしては、用途や必要な性質に応じて適宜設計可能であるが、0.5mm〜2.0mmであることが好ましい。1.0mm〜2.0mmであることがより好ましい。当該範囲内にあると、押し付け荷重が掛かった際に、凹凸面への追従性がより向上するという点で好適である。
<密度>
本形態に係る多孔質フォーム層110の密度を測定することによって、下記セル構造を評価することができる。密度が高い方がセルの平均径が小さい傾向にあるが、他方、密度が低い方が柔軟性を満足するといえる。密度は、単位体積当たりの重さを計算することによって測定することができる。密度[kg/m]は、150〜300[kg/m]であることが好ましく、200〜250[kg/m]であることがより好ましい。150[kg/m]以上であれば、粘着強度及び層間剥離強度もより十分となる。また、300[kg/m]以下であれば、十分な柔軟性を有し、凹凸面への追従性が増し、また、ガラス等の伸縮性を有する被着体の伸縮をより吸収するからである。なお、密度は、JIS K7222に準拠し、測定を行った。
<セル構造>
本形態に係る多孔質フォーム層110としては、半連続気泡構造を有する。このような構造とすることにより、吸盤効果によって本発明に係る素材の粘着性に、更に粘着度を付与することができる。この結果、粘着層を有さずに自己粘着性を有し、並びに、空気溜まりが生じにくく、かつ、生じても容易に抜くことができる。
(半連続気泡構造)
半連続気泡構造は、連続気泡と比べ、隣り合う気泡同士の気孔(穴)が小さく、独立気泡と違い、気泡に小さな気孔がある構造である。通気性を測定することによって、半連続気泡構造であるかどうかを評価することができる。通気性の測定方法は、上述したようにJIS L 1096 A法に準拠し、フラジール型通気性試験機を用いて測定する。通気性が2[ml/cm/s]以上、80[ml/cm/s]未満であれば、半連続気泡構造であるといえる。通気性は、5〜70[ml/cm/s]であることが好ましく、10〜60[ml/cm/s]であることがより好ましく、20〜50[ml/cm/s]であることが更に好ましい。また、半連続気泡構造の確認方法は、下記の平均セル径の算出方法と同様に、断面の写真によっても確認することができる。図4に断面SEM写真を示した。中央が本形態に係る半連続気泡構造のSEM写真である。
半連続気泡構造は、連続気泡と比べ、隣り合う気泡同士の気孔(穴)が小さく、独立気泡と違い、気泡に小さな気孔がある構造であり、独立気泡のみの構造と比較して、柔軟な材料でも被着体と密着させた時に空気の逃げ道を作ることができ、追従性が高くなる。逆に、連続気泡のみの構造と比較した場合、被着体と接する面が大きくなる上、強い吸盤効果が発揮でき、粘着強度が高くなる。
(平均セル径及びセル径分布)
多孔質フォーム層110の断面の気泡の平均セル径(平均断面セル径)が30〜200μmであることが好ましく、50〜150μmであることがより好ましく、70〜100μmであることが更に好ましい。理由は、200μm以下であれば、被着体と接する面が大きくなるためである。30μm以上であることで、セルの吸盤効果が期待できるからである。尚、平均セル径の測定方法としては、以下の方法に従うものとする。
まず、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、多孔質フォーム層110の断面の写真を撮影する。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、各気泡(セル)径を計測する。より具体的には、SEM画像を読み取り、コントラストで気泡(セル)を認識するため、コントラストを調節する。次に、画像処理で起泡(セル)の形状を読み取る(真円ではなく、形状をそのまま認識する)。次に、測定項目として「直径(平均)」を選択する。次に、オブジェクトの重心を通る径を2度刻みで測定しそれを平均した値として、各気泡(セル)径を算出する。
(気泡(セル)径の分布)
上記断面写真において、更に、70%以上の気泡が平均径の±50μm以内であることが好ましく、±30μm以内であることがより好ましく、±20μm以内であることが特に好ましい。理由は、ばらつきが無い方が、大きな気泡の箇所での材破が起きにくく、層間剥離強度が強くなるからである。また、吸盤効果による粘着強度が安定して得られるからである。
<材質>
多孔質フォーム層110の材質(材料)に関しては、後述の製造方法において詳述する。
≪第一の層・第二の層≫
前記のように、本形態に係るシートは、多孔質フォーム上(他の層を介していてもよい)に「第一の層」又は「第一の層+第二の層」を有していてもよい。第一の層及び/又は第二の層は、例えば、(1)脱着を繰り返す場合などを想定した場合に、シートの寸法や形状を維持する役割、(2)貼付の際の施工性(例えば、被着体に貼付した際に空気溜りが存在している場合に、空気を抜け易くする等)を向上させる役割、(3)それ自体に機能(例えば、断熱層や保水層、更には、後述するような表面印刷層や樹脂ミラー層等の機能)を持たせる役割(例えば、第一の層が表層である場合)、を担う。第一の層及び第二の層は公知の層を用いることができ、特に限定されない。尚、前記のように、好適には、最表面の層内又は表面(当該最表面層が透明等の光透過性材料の場合には裏面でもよい)に感温変色材料が存在する。
「第一の層」又は「第一の層+第二の層」を設ける場合には、少なくとも一層が、前記のように、伸縮率が前記多孔質フォーム層の伸縮率よりも低いことが好ましい。このような構成にすることにより、皺がよることなく、本発明に係るシートを被着体に貼ることができる。また、表層の伸縮率に関わらず、多孔質フォーム層がガラスなどの被着体の熱による伸縮を吸収するので、屋内に貼っても熱割れが生じない。尚、伸縮率は、詳細には後述するが、JIS K 6251に準拠して測定する。
第一の層及び/又は第二の層は、単層構造又は多層構造にできる。
<材質>
第一の層及び/又は第二の層の材質(材料)に関しては、後述の製造方法において詳述する。
≪機能層≫
前記のように、本形態に係るシートにおいては、多孔質フォーム層、第一の層及び第二の層のいずれか或いはこれらを任意に組み合わせた層が機能層であってもよい。例えば、図1の場合では多孔質フォーム層それ自体が機能層である態様、図2の場合では第一の層(又は、多孔質フォーム層)が機能層である態様、図3の場合では第二の層(又は、多孔質フォーム層、第一の層、多孔質フォーム層+第一の層、多孔質フォーム層+第二の層、第一の層+第二の層)が機能層である態様、を挙げることができる。以下、機能層が有する機能例を説明する。但し、当該例は一例に過ぎない。
<印刷層>
印刷層とは、例えば、表面・裏面(例えば当該層が透明等の光透過性材料である場合)・内部(例えば当該層が透明な場合)・全体に対し、印刷(例えば、絵、柄、文字)を施した層である。この場合、(1)機能層として印刷できる層(例えば、図3における第二の層)を別途設けてもよいし、(2)第一の層(例えば、図2の態様、又は、図3において第一の層が透けて見える態様)又は多孔質フォーム層110(例えば、図1の態様、図2において多孔質フォーム層が透けて見える態様、図3において多孔質フォーム層が透けて見える態様)自体に印刷してもよい。ここで、第一の層や第二の層に印刷する場合、その素材としては、樹脂フィルム、紙素材等などが挙げられる。尚、この印刷材料が、感温変色材料であってもよい。
<反射層>
反射層とは、光(例えば、電波線、赤外線、可視光、紫外線、放射線等)や音等を反射する層である。例えば、反射層の内、ミラー層とは、少なくとも可視光を全反射又は一部反射する層である。当該ミラー層は、例えば、透明な樹脂層・フィルム・板に、真空蒸着メッキ層を蒸着・積層することで得られる(例えば樹脂ミラー層)。当該ミラー層は、略全反射の場合には鏡、一部反射(一部透過)の場合にはマジックミラーとして機能する。樹脂ミラー層の製造方法の一例は、例えばPET樹脂フィルム等にアルミの粒子を吹き付ける(真空蒸着メッキ)ことで銀膜を生成する手法である。尚、当該樹脂ミラー層に、上記表面印刷層としての機能を付与してもよい。
<ホワイトボード>
機能層として、ホワイトボードとしての機能を有する層を多孔質フォーム層110上に設けることもできる。多孔質フォーム層110が被着体(例えば、ガラス窓や壁紙)に接合し付着するため、磁石や固定具等を介することなくホワイトボードを被着体に貼り付けることが可能となる。
[製造方法]
本形態に係るシート100は、多孔質フォーム層単層(典型的態様)か、複数の層を積層させて成る積層体(一態様)である。以下、多孔質フォーム層の製造方法(前記典型的態様に係るシート)を説明し、次いで、多孔質フォーム層上に第一の層等を積層する方法(前記一態様に係るシートの製造方法)を説明する。尚、当該シートが多孔質フォーム層単体である場合には以下の「多孔質フォーム層の製造方法」は、「シートの製造方法」に読み替えられ、当該シートが積層体である場合には以下の「多孔質フォーム層の製造方法」及び「積層体の製造方法」は、「シートの製造方法」に読み替えられる。
≪多孔質フォーム層の製造方法≫
本形態に係る多孔質フォーム層110の製造方法は、エマルジョンと起泡剤とを含有するエマルジョン組成物を、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡体を形成し、当該発泡体を硬化させる工程を含む。エマルジョン組成物は、好適には架橋剤を更に含有している。そして、多孔質フォーム層は、前記工程において、エネルギーを印加して前記エマルジョンを構成する樹脂を(架橋剤が存在している場合には前記架橋剤を介して)架橋させることにより、前記発泡体を硬化させることにより得られる。多孔質フォーム層110の製造方法として、原料、組成(配合量)、プロセス(具体的な調製工程)に関して詳述する。
更に、本形態に係る多孔質フォーム層110の製造方法においては、気泡を保持するために、両性界面活性剤を入れてもよい。両性界面活性剤が、起泡剤としてのアニオン系界面活性剤の間に入り込むためであり、ブースター効果という。
<原料>
本形態に係る多孔質フォーム層110は、原料として、エマルジョン、起泡剤(アニオン性界面活性剤)、分散媒として水、架橋剤及びその他の添加剤等を含む(尚、発泡工程において用いられる発泡用の気体に関しては、発泡工程にて述べる)。また、前記のように、多孔質フォーム層のみからなるシートの内、練り込みタイプの場合には、感温変色材料を一原料として用いる。よって、当該項目にて、感温変色材料も説明する。但し、これも前記のように、多孔質フォーム層のみからなるシートであっても、表面に感温変色材料を付着(例えば印刷や塗布等)させるタイプの場合や、他の層に感温変色材料を含有又は付着させるタイプの場合には、多孔質フォーム層を形成させる際の原料として感温変色材料は必要無い。
(エマルジョンの種類)
本形態に係る多孔質フォーム層110を製造する際に使用されるエマルジョン組成物のエマルジョン原料として、ウレタンエマルジョン、アクリルエマルジョン及びエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンから選択される1種以上のエマルジョンが用いられる。特に、アクリル系エマルジョンとエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンとを少なくとも用いることが好適である。アクリルエマルジョンは、粘着強度、軽量性、断熱性に優れているという点で優れている。そして、このアクリルエマルジョンとエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンとを組み合わせることで、高い粘着力に対しての層間剥離強度をアップすることもできるため、材料破壊が起きにくく自己粘着力を有する半連続気泡構造を有する発泡体が作製可能となると理解される。また、ウレタンエマルジョンを用いることで、更に材料強度を付与することができ、被着体が粘着性のあるガラス等である場合には、特に好適である。また、得られるウレタン樹脂発泡体は柔軟性が優れ、圧縮残留歪みが低くなる。
尚、上記3種のエマルジョンのいずれか1種を使用する限り、他のエマルジョンを用いてもよい。その他に含有するエマルジョンとして、塩化ビニル系エマルジョン、エポキシ系エマルジョン等が例示できる。
・アクリル系エマルジョン
アクリル樹脂の水分散体(アクリル系エマルジョン)の製法としては、重合開始剤、必要に応じて乳化剤及び分散安定剤の存在下に、例えば、(メタ)アクリル酸エステル系単量体を必須の重合性単量体成分とし、更に必要に応じてこれらの単量体と共重合可能なその他の重合性単量体の混合物を共重合させることにより得ることができる。尚、2種以上アクリル系エマルジョンを組み合わせて用いてもよい。
上記アクリル系エマルジョンの調製に使用することができる重合性単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アルリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体;アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルプロピオン酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸ハーフエステル、マレイン酸ハーフエステル、無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボキシル基を有する不飽和結合含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有重合性単量体;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、アリル(メタ)アクリレート等が例示できる。
尚、アクリル系エマルジョンの調製時に乳化剤を使用する場合には、公知の乳化剤等を使用すればよい。
・エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン
エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの製法としては、例えばポリビニルアルコール等を保護コロイドとし、ヒドロキシエチルセルロースのようなセルロース系誘導体や界面活性剤等を乳化分散剤として併用し、エチレンと酢酸ビニルモノマーとを乳化重合法により共重合して得ることができる。
上記エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンは、例えば、カルボキシル基、エポキシ基、スルフォン酸基、水酸基、メチロール基、アルコキシ酸基等の官能基を有するビニルモノマーが更に共重合されたものであってもよい。
前記のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンとしては、後述する2種類のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンを少なくとも用いることが好適である。それぞれのエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの配合量を調節することで、その柔軟性や、材料強度を調整することができ、本発明の所望の機能を実現することが可能となる。
・ウレタンエマルジョン
ウレタン樹脂の水分散体(ウレタンエマルジョン)の調製方法としては、下記方法(I)〜(III)が例示出来る。
(I)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有するウレタン樹脂の有機溶剤溶液又は有機溶剤分散液に、必要に応じ、中和剤を含む水溶液を混合し、ウレタン樹脂エマルジョンを得る方法。
(II)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤を含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後水を混合して水に分散させた後、ポリアミンと反応させて、ウレタン樹脂エマルジョンを得る方法。
(III)活性水素含有化合物、親水性基を有する化合物、及び、ポリイソシアネートを反応させて得られた親水性基を有する末端イソシアネート基含有ウレタンプレポリマーに、中和剤及びポリアミンを含む水溶液と混合するか、又は、予めプレポリマー中に中和剤を加えた後、ポリアミンを含む水溶液を添加混合し、ウレタン樹脂エマルジョンを得る方法。
前記ウレタン樹脂の調製において用いるポリイソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、3,3’−ジクロロ−4,4’−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,5−テトラヒドロナフタレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−シクロヘキシレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が例示できる。また発明の効果を損なわない範囲において、3価以上のポリイソシアネートを併用してもよい。
また、前記親水性基を有する化合物としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリアセタールポリオール、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルアミドポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリブタジエン系等のポリオレフィンポリオール等が例示できる。これら高分子量化合物は、2種以上を併用してもよい。前記ポリエステルポリオールとしては、公知のものを使用してもよい。
上記方法(I)〜(III)において、発明の効果を損なわない範囲で、更に乳化剤を使用してもよい。係る乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビトールテトラオレエート等のノニオン系乳化剤;オレイン酸ナトリウム等の脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホネートナトリウム塩、アルキルジフェニルエーテルスルフォン酸ナトリウム塩等のアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニル硫酸塩等のノニオンアニオン系乳化剤、等を例示できる。
(エマルジョンの物性)
本発明に用いられるエマルジョンの内、好適な態様であるアクリル系エマルジョン及びエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの物性について以下説明する。
・粘度(mPa・s)
粘度は、ブルックフィールド粘度計(25℃)によって測定する。
アクリル系エマルジョンの粘度としては、5,000〜20,000mPa・sであることが好ましい。8,000〜15,000mPa・sであることがより好ましい。粘度が5,000以上であれば、成形時の泡保持力が十分となり、より微細なセルが成形でき、粘着強度がより強くなる傾向にある為である。逆に粘度が20,000以下であれば、成形時に原料へのせん断力を低減できるため、歪な形のセルが成形することを防げるため、より十分な粘着強度が得られるからである。
前記のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンとして使用される2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、粘度が相互に異なるものであることが好ましい。この理由としては、2種類のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの粘度が異なる事により、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン同士の撹拌効率が著しく増加することが推定される。この撹拌効率の増加により、均一に酢酸ビニル共重合体樹脂が配置され、より強力な粘着強度・材料強度を発揮することができると考えられる。
より詳細には、撹拌効率は、メカニカルフロス法で製造する際の泡の形成において、重要なファクターの一つであると考えられる。撹拌効率の増加は、原料中に入り込んだ泡をより微細、且つ、均一に成形することを可能とする。これにより被着体に対しての接着面積が上がることで、被着体に対する粘着強度が向上するものと考えられる。また、このことは微細セルがもたらす強い吸盤効果にも影響していると推定される。
この2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの内、一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度は2,000〜4,000mPa・sであることが好ましく、2,000〜3,000mPa・sであることがより好ましい。また、他方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度は前記一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度よりも500〜1,500mPa・s低いことが好ましく、800〜1,300mPa・s低いことがより好ましい。2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度がこれらの範囲内であることにより、上記の強力な粘着強度・材料強度を発揮できるからである。
・ガラス転移温度(Tg)
ガラス転移温度は、動的粘弾性装置DMA(SIIナノテクノロジー(株)社製DMS6100)にて、JIS−K7198に準拠した手順で25℃〜200℃、2℃/minで昇温、1Hzの条件で測定した際のtanδのピーク値をガラス転移温度とする。
エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンとして使用される2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンは、ガラス転移温度が相互に異なるものであることが好ましい。この2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの内、一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのガラス転移温度は−30℃〜30℃であることが好ましく、−25℃〜25℃であることがより好ましい。また、他方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(のガラス転移温度は前記一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのガラス転移温度よりも5℃以上低いことが好ましく、5〜70℃低いことがより好ましい。
また、アクリル系エマルジョンのガラス転移温度とエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのガラス転移温度が、いずれも−10℃以下であることが好ましい。低温化での使用時にアクリル樹脂及びエチレン酢酸ビニル共重合体が高硬度化したり、減粘着化したりする傾向があるためである。
・平均粒径
平均粒径はレーザー回折式粒度分布測定装置(株式会社堀場製作所製のLA−500)により測定して、得られたメジアン径(累積分布の50%に相当する粒径、50%粒径)を平均粒径とする。また、本明細書及び請求の範囲にいう、2種以上のエマルジョンについての平均粒径は、測定された各エマルジョンの平均粒径に、それぞれのエマルジョン(固形分)の配合される重量比(配合される1種類のエマルジョンの重量/全種類のエマルジョンの重量の総和)を乗じた後、それらの値を合計することにより算出するものとする。
前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの平均粒径が、1.0μm以下であることが好ましい。エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの平均粒径が1.0μm以下であることにより、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンとアクリル系エマルジョンとの撹拌効率が著しく増加することが予想される。この撹拌効率の増加により、上述のように、アクリル樹脂とエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂が均一に混ざり、且つ、均一に配置されることにより、より強力な粘着強度・材料強度を発揮することができると考えられるからである。尚、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの平均粒径の下限値としては特に限定されないが、例えば、0.01μmである。
また、前記2種のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの平均粒径の差が、0.1〜0.5μmであることが好ましい。平均粒径の差が当該範囲内であることにより、接着面において、より多くの接着面積を形成するからである。
・その他
エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンに関しては、一方のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度、ガラス転移温度及び平均粒径の少なくとも2パラメータ(即ち、粘度及びガラス転移温度、粘度及び平均粒径、ガラス転移温度及び平均粒径、並びに、粘度、平均粒径及びガラス転移温度)が、他方のそれよりも小さいことが好適である。
アクリル系エマルジョンに関しては、フィラーレスであるものの方が好適である。この理由としては、フィラーレスによる低硬度化(柔軟性の付与)が実現でき、より被着体に対する追従性が向上する為であると推定される。
(分散媒)
本形態において、エマルジョン組成物の分散媒としては、水を必須成分とするが、水と水溶性溶剤との混合物であってもよい。水溶性溶剤とは、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、エチルカルビトール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のアルコール類、N−メチルピロリドン等の極性溶剤等であり、これらの1種又は2種以上の混合物等を使用してもよい。
(起泡剤(アニオン性界面活性剤))
アニオン性界面活性剤(起泡アニオン性界面活性剤)は、エマルジョン組成物の起泡剤として機能する。
アニオン性界面活性剤の具体例としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸アンモニウム、オレイン酸ナトリウム、オレイン酸カリウム石鹸、ひまし油カリウム石鹸、やし油カリウム石鹸、ラウロイルサルコシンナトリウム、ミリストイルサルコシンナトリウム、オレイルサルコシンナトリウム、ココイルサルコシンナトリウム、やし油アルコール硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、アルキルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホ酢酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−オレフィンスルホン酸ナトリウム等が挙げられるが、特に、アルキルスルホコハク酸ナトリウムが好ましい。
ここで、本形態に用いられるアニオン性界面活性剤は、エマルジョン組成物に分散しやすくするため、HLBが、10以上であることが好適であり、20以上であることがより好適であり、30以上であることが特に好適である。
・HLB
尚、本発明において、HLB値とは、親水性−疎水性バランス(HLB)値を意味し、小田法により求められる。小田法によるHLBの求め方は、「新・界面活性剤入門」第195〜196頁及び1957年3月20日槙書店発行 小田良平外1名著「界面活性剤の合成と其応用」第492〜502頁に記載されており、HLB=(無機性/有機性)×10で求めることができる。
(両性界面活性剤)
本形態に係る多孔質フォーム層110は、アニオン性界面活性材に加えて、更に両性界面活性剤を用いることにより、気泡が微細かつ均一化する。
特にアニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用した場合、アニオン系界面活性剤の分子同士の親水基の電荷が反発し、アニオン系界面活性剤の分子同士がある程度の距離を保っている間に、電気的に中性である両面活性剤がアニオン系界面活性剤の分子の間に入り込むことによって、気泡をより安定化し、気泡のサイズを小さくすることができる。このため、層間剥離強度を向上させることができる。よって、アニオン系界面活性剤と両性界面活性剤を併用することが好ましい。
本発明において用いることのできる両性界面活性剤としては、特に制限されるものではなく、アミノ酸型、ベタイン型、アミンオキシド型等の両性界面活性剤を使用することができる。ベタイン型の両性界面活性剤は、前述の効果がより高いことから、好適である。更に、アニオン系界面活性剤の分子の間への入り込み易さの点から、C10〜12のものが好ましい。
アミノ酸型の両性界面活性剤としては、例えば、N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸又はその塩等が挙げられる。N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸は、チッ素原子にアルキル基又はアルケニル基が結合し、更に1つ又は2つの「−R−COOH」(式中、Rは2価の炭化水素基を示し、好ましくはアルキレン基であり、特に炭素数1〜2であることが好ましい。)で表される基が結合した構造を有する。「−R−COOH」が1つ結合した化合物においては、チッ素原子には更に水素原子が結合している。「−R−COOH」が1つのものをモノ体、2つのものをジ体という。本発明に係る両性界面活性剤としては、これらモノ体、ジ体のいずれも用いることができる。N−アルキル若しくはアルケニルアミノ酸において、アルキル基、アルケニル基は直鎖状でも分岐鎖状であってもよい。具体的には、アミノ酸型の両性界面活性剤として、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、トリメチルグリシンナトリウム、ココイルタウリンナトリウム、ココイルメチルタウリンナトリウム、ラウロイルグルタミン酸ナトリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ラウロイルメチル−β−アラニン等が挙げられる。
ベタイン型の両性界面活性剤としては、例えば、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタイン、アミドカルボベタイン、アミドベタイン、アルキルアミドベタイン、スルホベタイン、アミドスルホベタイン、ホスホベタイン等がある。具体的には、ベタイン型の両性界面活性剤として、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノ酢酸ベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドエチルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、イソステアリン酸アミドプロピルジエチルアミノヒドロキシスルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−プロピルスルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチルアンモニウム−N−(2−ヒドロキシプロピル)スルホベタイン、N−ラウリル−N,N−ジメチル−N−(2−ヒドロキシ−1−スルホプロピル)アンモニウムスルホベタイン、ラウリルヒドロキシスルホベタイン、ドデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、オクタデシルアミノメチルジメチルスルホプロピルベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン(2−ラウリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン2−ステアリル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等)、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルヒドロキシスルタイン等が挙げられる。
アミンオキシド型の両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミン−N−オキシド、オレイルジメチルアミン−N−オキシド等が挙げられる。
上述した両性界面活性剤のうち、本発明に係る多孔質フォーム層110の製造方法には、ベタイン型の両性界面活性剤を使用することが好ましく、ベタイン型の中でも、アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン、カルボベタインが特に好ましい。本発明で使用可能なアルキルベタインとしては、ステアリルベタイン、ラウリルベタイン等が例示され、イミダゾリニウムベタインとしては、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が例示される。
(架橋剤(硬化剤))
架橋剤(硬化剤)を用いることで、本形態に係る多孔質フォーム層110の強度を向上させることが可能となる。
このような架橋剤としては特に限定されず、用途等に応じて、必要量添加すればよい。架橋剤による架橋手法としては、例えば、物理架橋、イオン架橋、化学架橋があり、架橋方法は、水分散性樹脂の種類に応じて選択することができる。架橋剤としては、公知の架橋剤を使用可能でありエポキシ系架橋剤、メラミン系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤などを、使用する樹脂配合系が含有する官能基の種類及び、官能基量に応じて適量使用することができる。粘着強度、タック強度及び層間剥離強度を向上させるため、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤が好ましい。イソシアネート系及びエポキシ系架橋剤は、材料強度を上げることにより、被着体及び多孔質フォームの材料破壊を防ぐことができる。中でも脂肪族イソシアネートがより好ましい。これら架橋剤は、2種以上併用してもよい。
(感温変色材料)
本発明において使用される感温変色材料は、特に限定されず、温度により変色する物質であれば、温度が低下すれば元の色に戻る可逆性の感温変色成分、温度が低下しても元の色に戻らない不可逆性の感温変色成分、のいずれであってもよい。ここで、用途にもよるが、繰り返し使用が求められる用途を考慮すると、可逆性の感温変色材料としては、長期間にわたって使用できるマクロカプセル化したものを用いることが望ましい。
ここで、可逆性の感温変色成分としては、例えば、電子受容性化合物(顕色剤)類、この化合物類と反応して発色する無色染料である電子供与性色素類、及び、電子受容性化合物と電子供与性呈色性色素類との混合物に対して両者の反応をある温度以上若しくはある温度以下で阻害する性質を有する減感剤との混合物から構成される感温変色材料を挙げることができる(更には、当該材料をマイクロカプセル化したもの)。尚、電子受容性化合物類としては、例えば、フェノール性水酸基を有する化合物(例えば、ビスフェノールA)若しくはその金属塩、カルボン酸金属塩、又は、酸性酸エステル(例えば、没食子酸プロピルエステル)若しくはその金属塩等が挙げられる。また、電子供与性呈色性色素類としては、例えば、クリスタルバイオレットラクトン(青)、マカライトグリーンラクトン(緑)、ローダミンBラクタム(赤)、3,6−ジメトキシフルオラン(黄)、3−シクロヘキシルアミノー6−クロロフルオラン(橙)、ジエチルアミノベンゾフルオラン(桃)、8−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン(黒)が挙げられる。更には、減感剤としては、アルコール、脂肪酸等が挙げられる。
また、不可逆性の感温変色材料としては、例えば、サーモクロミック有機色素スピロピラン類、ビアントロンやジキサンチレン等の縮合芳香環の置換したエチレン誘導体;金属錯塩結晶CoCl・(CH・10HO、PbCrO、CuHgI、AgHgI;コレステリック液晶(マイクロカプセルに封入して用いる);電子供与性呈色性化合物と電子受容性化合物と有極性有機化合物の組み合わせ・電子供与性呈色性化合物フェニルメタン系化合物(各種フルオラン、フェニルフタリド類等)、各種インドリルフタリド、スピロピラン、ロイコオーラミン類、アシルまたはアリールオーラミン類・電子受容性化合物フェノール性水酸基を有する化合物、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、各種トリアゾール類、カルボン酸類、カルボン酸の金属塩・有極性有機物アルコール類(オレイルアルコール等)、アミド類(アセトアセチルアニリド等)、エステル類(ジフェニルフタレート等)、水難溶性のカルボン酸の第一級アミン塩、ケトン又はエーテル類、少なくとも1個の芳香族基を結合基とするアゾメチン類、を挙げることができる。
(その他の添加剤)
その他の添加剤として、水分散性樹脂分散用界面活性剤(乳化剤)等を添加してもよい。
・水分散性樹脂分散用界面活性剤
本形態に係る水分散性樹脂分散用界面活性剤とは、水分散性樹脂を分散させるための界面活性剤である(アニオン性界面活性剤と異なり、起泡剤としての効果を有さずともよい)。このような界面活性剤は、選択する水分散性樹脂に応じて適宜選択すればよい。
<組成>
(各原料の配合量や配合比)
液体媒体に対する、水分散性樹脂(固形分)の配合量としては、液体媒体100重量部に対して、30〜80重量部が好ましい。このような範囲とすることで、安定な発泡体を成形することができるという効果が得られる。尚、以下では、好適なエマルジョンであるアクリル系エマルジョンとエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンとの組み合わせについての好適配合比について説明する。尚、以下の記載における配合量や配合比は、特記しない限り、固形分を基準とする。
・エマルジョン組成物中の配合比
エマルジョン組成物中の配合量については、エマルジョン組成物における、アクリル系エマルジョン(固形分)に対するエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(固形分)の重量比(エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン/アクリル系エマルジョン)が、0.05〜1.70であり、0.10〜0.90であることが好ましい。0.20〜0.75であることがより好ましい。このような範囲にすることで、粘着強度・硬度(柔軟性)・材料強度という観点において、被着体に対してより追従性が増し、より強く粘着することが可能だからである。加えて繰り返し使用においても、十分な材料強度を発揮することができるからである。尚、本明細書及び特許請求の範囲にいうエマルジョンの「固形分」を構成する成分は、エマルジョンから分散媒を除いた成分である。具体的には、樹脂の他、界面活性剤やフィラー等を含有したものである。
エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、10重量部を超えて90重量部以下のアクリル系エマルジョンを含有することが好ましい。20重量部以上80重量部以下であることがより好ましく、30重量部以上75重量部以下であることが更に好ましい。一般的に、エマルジョンの固形分は、30〜80重量部であり、40〜70重量部が好ましく、50〜60重量部が更に好ましい。
更に、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、10重量部以上90重量部未満のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンを含有することが好ましい。20重量部以上80重量部以下であることがより好ましく、25重量部以上75重量部以下であることが更に好ましい。90重量部以上にすると、メカニカルフロス法による発泡体の作製が困難となり、柔軟性、粘着強度及びタック強度を失うからである。
また、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、該アクリル系エマルジョン及び該エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンを、合計で70重量部を超えて含有することが好ましい。80重量部以上又は超えて含有することがより好ましい。
・酢酸ビニル共重合体エマルジョン中の配合比
本発明においては、その用途(アプリケーション)及び目的に応じて、柔軟性、粘着性及び材料強度をより詳細に調整する必要が生じる場合がある。例えば、貼付試験に、より適合するためには、上述した2種類のエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンを配合する場合において、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン1(固形分)をエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン1(固形分)及びエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン2に対し、重量比{エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン1/(エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン1+エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン2)}で0.25〜0.90含有することが好ましく、0.30〜0.85含有することがより好ましい。
ここで、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン1とは、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度、ガラス転移温度及び平均粒径の少なくとも2パラメータ(即ち、粘度及びガラス転移温度、粘度及び平均粒径、ガラス転移温度及び平均粒径、並びに、粘度、平均粒径及びガラス転移温度)が、他方のそれよりも大きいエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンのことを示し、他方エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン2とは、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンの粘度、ガラス転移温度及び平均粒径の少なくとも2パラメータが、他方のそれよりも低いエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンを示すものとする。
ウレタンエマルジョンの配合量としては、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、0重量部以上30重量部未満のウレタンエマルジョンを含有してもよい。更に、20重量部以下であることが好ましい。この範囲であれば、材料強度を強くするとともに、柔軟性も付与でき、粘着強度も所望の性質を満たすからである。
アニオン性界面活性剤の配合量としては、エマルジョン組成物中において、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、1.0〜10重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切な発泡とし易く、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
両性界面活性剤の配合量としては、エマルジョン組成物中において、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、0.5〜10重量部が好ましく、1〜5重量部がより好ましい。このような範囲とすることで、適切な発泡とし易く、微細なセル構造を成形できるという効果が得られる。
・感温変色材料の配合量(練り込み型)の場合としては、エマルジョン組成物中において、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、1〜35重量部(固形分換算で、0.5〜17.5重量部)が好ましく、1〜20重量部(固形分換算で、0.5〜10重量部)がより好ましく、1〜5重量部(固形分換算で、0.5〜2.5重量部)が特に好ましい。このような配合量とすることで、感温変色材料を添加しない場合に得られるシートにおける物性を担保することができる。
・エマルジョンと架橋剤の配合比
架橋剤(硬化剤)の配合量としては、エマルジョン組成物における、アクリル系エマルジョン(固形分)及びエチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン(固形分)に対する架橋剤の重量比{前記架橋剤/(前記アクリル系エマルジョン+前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン)}が、0.01〜0.12である。0.025〜0.05であることが好ましい。このような範囲とすることで、圧縮残留歪みの小さい発泡体を成形でき、より被着体への追従性を向上させることができる為、粘着強度が向上するという効果が得られる。
・エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン2と架橋剤の配合比
更に、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンとしてエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン2を配合する場合には、エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン2(固形分)に対する架橋剤の重量比(架橋剤/エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン2)で、0.10〜1.40であることが好ましく、0.20〜1.0であることがより好ましい。このような範囲にあることにより、被着体への追従性を向上させることができる為、粘着強度が向上するという効果がより得られ易い。
<製造方法>
本形態に係る多孔質フォーム層110の製造方法は、原料調製工程と、発泡・硬化工程(エマルジョンと起泡剤とを少なくとも含有するエマルジョン組成物を、メカニカルフロス法を用いて発泡させて発泡体を形成し、当該発泡体を硬化させる工程)と、を含む。前記エマルジョン組成物が、架橋剤を更に含有し、前記工程において、エネルギーを印加して前記エマルジョンを構成する樹脂を前記架橋剤を介して架橋させることにより、前記発泡体を硬化させてもよい。以下、それぞれの工程に関して詳述する。
(原料調製工程)
原料調製工程では、以上説明したような各原料を混合することで、多孔質フォーム層110の原料混合物であるエマルジョン組成物を調製する。この際の混合方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、各成分を混合する混合タンク等の容器内で撹拌しながら混合すればよい。
(発泡・硬化工程)
発泡・硬化工程では、上記原料調製工程で得られたエマルジョン組成物に所定の発泡用気体を添加し、これらを充分に混合させてエマルジョン組成物中に気泡が多数存在する状態(発泡エマルジョン組成物)にする。この発泡・硬化工程は、通常は、原料調製工程で得られた液状の多孔質フォームの原料混合物と、発泡用気体とをミキシングヘッド等の混合装置により充分に混合することで実施される。
・発泡用気体
攪拌・発泡工程でエマルジョン組成物に混合される発泡用気体は、多孔質フォーム層110中の気泡(セル)を形成するものであり、この発泡用気体の混入量によって、得られる多孔質フォーム層110の発泡倍率及び密度が決まる。多孔質フォームの密度を調整するためには、所望の多孔質フォームの密度と、多孔質フォームの原料の体積(例えば、多孔質フォームの原料が注入される成形型の内容積)とから、必要な多孔質フォームの原料の重量を算出し、この重量において所望の体積となるように発泡用気体の量を決定すればよい。また、発泡用気体の種類としては、主に空気が使用されるが、その他にも、窒素、二酸化炭素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを使用することもできる。
・発泡方法、発泡条件
本発明に係る多孔質フォーム層110の調製方法で使用される発泡方法としては、メカニカルフロス(機械発泡)法を使用する。メカニカルフロス法は、エマルジョン組成物を攪拌羽根等で攪拌することにより、大気中の空気をエマルジョン組成物に混入させて発泡させる方法である。撹拌装置としては、メカニカルフロス法に一般に用いられる撹拌装置を特に制限なく使用可能であるが、例えば、ホモジナイザー、ディゾルバー、メカニカルフロス発泡機等を使用することができる。このメカニカルフロス法によれば、エマルジョン組成物と空気との混合割合を調節することによって、種々の用途に適した密度の多孔質フォームを得ることができる。その他の発泡方法を併用することも可能であるが、化学発泡剤を用いた発泡方法を併用すると、独立泡の割合が高くなることで、密度が大きくなり、多孔質フォームの柔軟性が失われるため、好ましくない。
エマルジョン組成物と空気との混合時間は特に制限されないが、通常は1〜10分、好ましくは2〜6分である。混合温度も特に制限されないが、通常は常温である。また、上記の混合における攪拌速度は、気泡を細かくするために200rpm以上が好ましく(500rpm以上がより好ましく)、発泡機からの発泡物の吐出をスムーズにするために2000rpm以下が好ましい(800rpm以下がより好ましい)。
・発泡体の形成
以上のようにして発泡したエマルジョン組成物(発泡エマルジョン組成物)は、例えば、ドクターナイフ、ドクターロール等の公知の手段により、所望の多孔質フォームの厚みに合わせたシート状等の発泡体に形成される。
・硬化
発泡体の硬化方法としては、公知の方法を用いることができる。本形態に係る発泡体は自己架橋をさせることもできるが、エネルギーを印加してエマルジョンを構成する樹脂を架橋剤を介して架橋させることにより、発泡体を硬化させてもよい。エネルギーを印加する工程としては特に限定されないが、例えば、加熱工程(熱架橋)が挙げられる。
加熱工程では、成形された発泡エマルジョン組成物中の分散媒を蒸発させる。この際の乾燥方法としては特に制限されるものではないが、例えば、熱風乾燥等を用いればよい。また、乾燥温度及び乾燥時間についても特に制限されるものではないが、例えば、80℃程度で1〜3時間程度とすればよい。
また、この加熱工程において、分散媒が発泡エマルジョン組成物中から蒸発するが、この蒸気が抜ける際の通り道が、多孔質フォームの内部から外部まで連通されることとなる。従って、本形態に係る多孔質フォーム層110では、この水蒸気が抜ける際の通り道が連続気泡として残るため、多孔質フォーム中に存在する気泡の少なくとも一部が連続気泡となる。ここで、攪拌・発泡工程で混入された発泡用気体がそのまま残存している場合には、得られた多孔質フォーム中では独立気泡となり、混入された発泡用気体が、本工程において蒸気が抜ける際に連通された場合には、得られた多孔質フォーム中では連続気泡となる。すなわち、本発明においては、多孔質フォーム中の気泡の一部が連続気泡であり、残りの気泡が独立気泡であるという構造となり、連続気泡と独立気泡が混在する半連続気泡構造となる。
架橋剤を添加した場合には、加熱工程では、原料の架橋(硬化)反応を進行及び完了させる。具体的には、上述した架橋剤により原料同士が架橋され、硬化した多孔質フォームが形成される。この際の加熱手段としては、原料に充分な加熱を施し、原料を架橋(硬化)させ得るものであれば特に制限はされないが、例えば、トンネル式加熱炉等を使用することができる。また、加熱温度及び加熱時間も、原料を架橋(硬化)させることができる温度及び時間であればよく、例えば、80〜150℃(特に、120℃程度が好適)で1時間程度とすればよい。
≪第一の層・第二の層の形成方法≫
次に、シートが積層体である態様における、第一の層(又は+第二の層)の形成方法に関して説明する。
第一の層(又は+第二の層)の形成方法は特に限定されず、ある層に別の層を積層させる一般的手法が採用できる。例えば、第一の層の上に多孔質フォーム層110をキャスティングし硬化させる方法が挙げられる。このように多孔質フォーム層110を別の層の上に直接キャスティングすることによって、接着剤等を用いずとも層間の密着力を高めることが出来る。その他にも、シート状の各層を所望の順番に積層させ、それらを適宜接着剤等で接着させ、一体化させる、等によって積層させてもよい。また、先に多孔質フォーム層110を形成した後に、第一の層の原料を含む分散スラリー等を、直接又は別の層を介して多孔質フォーム層110の上に塗布し、第一の層120を形成させる、等としてもよい。第二の層も同様である。尚、第一の層が必要でない場合(即ち、シート=多孔質フォーム層のみ)は、一旦積層体を形成させた後、多孔質フォーム層110を形成後に表層を剥離することにより製造してもよい。
尚、上記にて、第一の層や第二の層の形成方法を例示したが、下記素材を周知手法により多孔質フォーム層に接合させる手法により簡便に製造し得る。以下、当該素材について述べる。例えば、フィルム、紙、合成紙、布、合成樹脂などからなる。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。第一の層及び/又は第二の層として、例えば、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリスチレンフィルム、塩化ビニルフィルム、オレフィン系フィルム、ポリイミドフィルム等のフィルム、合成紙、上質紙、コート紙、アート紙、キャストコート紙、スーパーキャスト紙、耐水紙、クラフト紙、再生紙、含浸紙、ケント紙、感熱紙等の紙類、布類などが挙げられる。後述の製造方法から、原料を浸透させない伸縮性の低いシートが好ましい。
第一の層及び/又は第二の層に用いられるフィルム素材として、例えば、ポリエチレンフィルム(PEフィルム)、ポリ塩化ビニルフィルム(PVCフィルム)、ポリ塩化ビニリデンフィルム(PVDCフィルム)、ポリビニルアルコールフィルム(PVAフィルム)、ポリプロピレンフィルム(PPフィルム)、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム(PCフィルム)、ポリスチレンフィルム(PSフィルム)、ポリアクリロニトリルフィルム(PANフィルム)エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム(EVAフィルム)、エチレン−ビニルアルコール共重合体フィルム(EVOHフィルム)、エチレン−メタクリル酸共重合体フィルム(EMAAフィルム)、ナイロンフィルム(NYフィルム、ポリアミド(PA)フィルム)、セロファン、アイオノマーフィルム(IOフィルム)、などが挙げられる。表層に用いられるフィルム素材として、各種金属、磁性体も適用可能である。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。フィルム素材は上記例に限定されない。
第一の層及び/又は第二の層に用いられる紙素材として、上質紙、塗工紙、ホイル紙、クラフト紙、再生紙、合成紙、含浸紙、ケント紙、感熱紙、各種適用可能である。これらは単独で使用しても組み合わせて使用してもよい。紙素材は上記例に限定されない。
第一の層及び/又は第二の層に用いられる布素材としては、例えば、コットン、ガーゼ、ダブルガーゼ、オーガンジ、織物などを含むことができる。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。布及びその素材は、上記例に限定されない。
第一の層及び/又は第二の層に用いられる合成樹脂としては、フェノール樹脂(PF)、エポキシ樹脂(EP)、メラミン樹脂(MF)、尿素樹脂(ユリア樹脂、UF)、不飽和ポリエステル樹脂(UP)、アルキド樹脂、ポリウレタン(PUR)、熱硬化性ポリイミド(PI)ポリエチレン(PE)(高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)を含む)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン(PS)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、テフロン(登録商標)(ポリテトラフルオロエチレン、PTFE)、ABS樹脂(アクリロニトリルブタジエンスチレン樹脂)、AS樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、ポリアミド(PA)(ナイロンを含む)、ポリアセタール(POM)、ポリカーボネート(PC)、変性ポリフェニレンエーテル(m−PPE、変性PPE、PPO)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、グラスファイバー強化ポリエチレンテレフタレート(GF−PET)、環状ポリオレフィン(COP)、ポリフェニレンスルファイド(PPS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルサルフォン(PES)、非晶ポリアリレート(PAR)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、熱可塑性ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)などが挙げられる。これらは単独で使用してもよく組み合わせて使用してもよい。合成樹脂は、上記例に限定されない。
第一の層及び/又は第二の層としては、前述のように、フィルム、不織布等のシートを基材として用いることが出来る。不織布の目付は、例えば、5〜100g/mである。
ここで、本発明に係るシートは、感温変色材料を有する。ここで、感温変色材料を担持させる手法として、(1)多孔質フォーム層内に感温変色材料を含有させる場合、多孔質フォーム層の原材料組成物中に感温変色材料を添加する手法;(2)多孔質フォーム層の表面に感温性変色材料を担持させる場合、多孔質フォーム層形成後に感温性変色材料を付着させる手法(例えば、溶液や分散液とし、塗布する等して当該液を多孔質フォーム層に適用し、溶媒を乾燥させる手法や、公知の印刷手法、例えば、活版印刷やシルクスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、オンデマンド印刷、インクジェット印刷等);(3)多孔質フォーム層とは別の層内に感温変色材料を含有させる場合(感温変色材料が多孔質フォーム層に存在していてもよい)、当該別の層の原材料組成物中に感温変色材料を添加する手法;(4)多孔質フォーム層とは別の層の表面に感温変色材料を担持させる場合(感温変色材料が多孔質フォーム層に存在していてもよい)、当該別の層に感温性変色材料を付着させる手法(例えば、溶液や分散液とし、塗布する等して当該液を多孔質フォーム層に適用し、溶媒を乾燥させる手法)、を挙げることができる。尚、使用する感温変色材料は、1種類でも複数の種類でもよい。複数種を用いた場合、それぞれの感温変色材料の持つ温度変化領域で色の変化を起こすことが可能となる。また、感温変色性を持たない材料(染料や顔料等)と併用することも可能である。
[性質]
本形態に係るシート100によれば、空気溜まりができにくく、できた場合にも、上から押えるだけで、容易に空気を抜くことができる。この性質は、半連続気泡構造によることから、通気性試験によって、評価することができる。
また、ガラスに強い粘着強度で貼ることができる。ガラスは、表面が平滑なものだけではなく、すりガラス、フロストガラス、型板ガラスなどの表面に凹凸がある表面処理ガラスを含む。この性質は、粘着強度によって評価することができる。
更に、本形態に係るシート100によれば、多孔質フォーム層が、強い粘着性と柔軟性を兼ね備えることから、例えば、最大で0.7mmの凹凸を有する、壁紙等にも強い粘着度で貼ることができる。
更に、剥離する際には、粘着剤を塗布することや含浸されていないことから、被着体に移行せず(糊残りすることなく)、接合部から剥がすことができるため、繰り返し使用することができる。また、剥がした際に、材料強度が大きなことから、繰り返し使用することができる。繰り返し使用することができることは、層間剥離強度によって評価することができる。
ガラスへの使用においては、前述のように、多孔質フォーム層がガラスの熱による伸縮を吸収するので、屋内に貼っても熱割れが生じない。
本形態に係るシート100は、遮光性を有する。遮光性は、日射透過率、紫外線吸収率によって評価することができる。また、断熱性を有していてもよい。断熱性は、熱伝導率によって評価することができる。
・通気性
通気性は、JIS L 1096 A法に準拠し、フラジール型通気性試験機を用いて測定した値によって評価する。通気性は、2[ml/cm/s]以上、80[ml/cm/s]未満であれば、半連続気泡構造であるといえる。5[ml/cm/s]以上、70[ml/cm/s]未満であることが好ましく、10[ml/cm/s]以上、60[ml/cm/s]未満であることがより好ましく、20[ml/cm/s]以上、50[ml/cm/s]未満であることが更に好ましい。
・粘着強度(90°剥離強度)
粘着強度(90°剥離強度)は、JIS Z 0237に準拠し、24mm幅×150mmに打ち抜き、伸びの影響をなくすため表面(粘着面でない方)に片面接着テープを止めた発泡体(多孔質フォーム層)を30mm幅×200mmの壁紙(株式会社サンゲツ社製、型番LB−9721)に貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ室温に24時間放置する。その後、オートグラフを用いて300mm/min速度で引き上げる(90°剥離)試験力を測定し、粘着強度(90°剥離強度)(N/24mm)とすることによって評価する。粘着強度は、0.4〜2.5N/24mmであることが好ましく、0.9〜2.5N/24mmであることがより好ましく、1.1〜2.5N/24mmであることが更に好ましい。粘着強度が0.5N/24mm未満である場合には、粘着強度が弱いという問題があり、2.5N/24mmを超えると材料破壊が起こり易いという問題がある。尚、多孔質フォームと多孔質フォームが使用される対象物(被着体)間の粘着・接着強度より、多孔質フォーム層とその他の層及びその他の層同士の粘着・接着強度が高いことが好ましい。引き剥がし時に他の層が剥離することなく多孔質フォーム層110をその対象物面から剥離することができる結果、繰り返しの使用が可能となるからである。
・層間剥離強度(材料強度)
層間剥離強度(材料強度)は、サンプルをT字剥離した場合の応力を測定することにより、評価するものである。具体的には、発泡体(多孔質フォーム層)を12mm幅×150mmに打ち抜き発泡体の両面に両面テープ(日東電工社製、品番5000NS)を貼り、その両面に12mm幅×200mmのバッキングフィルム(PETフィルム:東レ社製、品番S38)を貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ85℃の炉に24時間放置する。その後、室温に1時間以上放置させオートグラフ(島津製作所社製、型番AG−X)を用いて1000mm/min速度でバッキングフィルムを引っ張った(T字剥離)試験力を測定し、層間剥離強度(N/12mm)とすることによって評価する。層間剥離強度は、3.0N/12mm以上であることが好ましく、4.0N/12mm以上であることがより好ましく、7.0N/12mm以上であることが更に好ましい。層間剥離強度が3.0N/12mm未満である場合、剥離する際に破断してしまい、繰り返しの使用ができないという問題がある。
・柔軟性
JIS K 6254に準拠し、柔軟性は25%圧縮荷重にて評価する。φ50のサンプル(多孔質フォーム層)を100φの圧縮板にて、1.0mm/minの速度で、サンプルの元の厚みの25%の厚みに達するまで、押しつぶした時の応力を測定する(サンプルは、圧縮板にて全面圧縮されて測定される)。この25%圧縮荷重が、2.0〜11.0kPaであることが好ましく、2.0kPa以上7.0kPa未満であることがより好ましい。25%圧縮荷重が当該範囲内であれば、被着体が、多少の凹凸を有する場合でも、より十分な追従性を有することとなるからである。
・遮光性
遮光性は、日射透過率(JIS R 3106)、紫外線吸収率(ISO 9050)によって評価する。日射透過率は、40%未満であることが好ましく、30%未満であることがより好ましい。日射透過率が40%以上の場合、遮光性が不十分である。紫外線吸収率は、80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。紫外線吸収率が80%未満である場合、紫外線吸収率が不十分である。
・断熱性
断熱性は、多孔質フォーム層の素材と厚みによって、異なる。使用の目的に応じて、適宜変更すればよい。また、断熱性を高めるための層を設けてもよい。断熱性は、JIS A 1412‐1に準拠し、熱伝導率を測定することにより、評価することができる。測定機器としては、熱伝導率測定装置(オートΛ)HC−072(英弘精機株式会社製)が挙げられる。
・貼付試験
貼付試験は、多孔質フォーム層の粘着強度及びその持続力を評価する。具体的には、多孔質フォーム層の貼付後の落下の有無について試験を行う。発泡体と平坦なスチール板(100cm)の複合体と、SUS板に壁紙を貼り付けた板を作成する。そして、図5Aに示すようにSUS板、 壁紙、発泡体、スチール板の上から6kgの重りを載せて30秒間放置して壁紙に発泡体を粘着させる。その後、図5Bに示すように、壁紙を垂直に立て、フック部材をスチール板の中央に貼り付け、鉛直方向にフックで100g、200g又は300gの錘を引っ掛けて24hr放置後、落下の有無を確認することにより評価することができる。落下しないことで、本発明に十分な粘着強度及びその持続力を有することとなる。
・繰り返し貼付試験
繰り返し貼付試験は、繰り返しの使用に対してもその粘着強度及び持続力を維持できるかについて評価する。上記、貼付試験終了後、再度の貼付試験により、落下の有無を確認することにより評価することができる。落下しないことで、本発明に十分な粘着強度及びその持続力を繰り返しの貼付においても維持できることがわかる。
[用途]
本形態に係るシート100は、(1)温度変化により色が変化する性質、(2)繰り返し脱着が可能な性質、を有する。本シートは、これら性質が求められる用途に有用である。本シートの用途として、例えば、冷蔵庫に貼付される温度管理シート、風呂場に貼り付け可能な玩具シート、工場内設備に貼付される温度管理シート、カップやタンブラーに貼付可能な温度管理シートを挙げることができる。これ以外にも、特に(2)の性質に着目した用途の例として、上述したものの他に、カレンダー、壁紙(クロス)、汚れ・キズ防止カバー、写真印刷媒体、広告媒体(印刷)、警告板、パネル(展示会等にて使用するもの等)、季節もの装飾品、玩具、パズル、ストレス解消グッズ、ランチョンマット、ひじ当てパッド、マウスパッド、マグネット代替品、画鋲代替品、両面テープ、付箋、ズレ防止材、梱包材、ガラス緩衝材(ビン・ワイン・ボトル等)及びグリップ緩衝剤等が挙げられる。また、遮光性を有するため、窓ガラス等の遮光、プライバシー侵害の防止、を目的とする用途に広く使用可能である。また、ガラスの飛散防止や結露の防止を目的とする用途等にも広く使用可能である。
更に、断熱性があることから、断熱を目的とする用途に広く使用可能である。この場合には、前述のように、断熱性を高める構成とすることもできる。
次に、本発明を実施例により、更に具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
[原料]
≪多孔質フォーム原料≫
まず、本実施例においては、多孔質フォームの原料として下記の原料を使用した。
<水分散性樹脂>
・アクリル系エマルジョン1:
アクリルニトリル、アクリル酸アルキルエステル、イタコン酸共重合体、pH9、固形分60%、粘度12,000mPa・s、平均粒径0.2μm、Tg−20℃
・アクリル系エマルジョン2(フィラーレス):
アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル共重合体、pH9、固形分54%、粘度10,500mPa・s、平均粒径0.2μm、Tg−20℃
・エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン1:
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(商品名:S−410HQ、住化ケムテックス社製)、pH8.5、固形分55%、粘度2,500mPa・s、平均粒径0.9μm、Tg−18℃
・エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン2:
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン(商品名:S−950HQ、住化ケムテックス社製)pH8.5、固形分53%、粘度1,300mPa・s、平均粒径0.6μm、Tg−30℃
・ウレタンエマルジョン1(ポリカーボネート系):
pH8.0、固形分60%
<起泡剤>
・アニオン性界面活性剤1
アルキルスルホコハク酸ナトリウム、pH9.4、固形分30%、HLB39.7
・アニオン性界面活性剤2
アルキルベタイン、脂肪酸アルカミノールアミド、ジエタノールアミン、アニオン系界面活性剤混合系pH7、固形分40%
・両性起泡剤3
アルキルベタイン、pH10、固形分40%
<架橋剤>
・架橋剤1
疎水系HDIイソシアヌレート、官能基数3.5、固形分100%
<感温変色材料>
・感温変色材料1:
商品名(サクラTCカラー(色の変色:レッド⇔無色タイプ)、色の変化温度:32℃
(株)サクラクレパス社製)、固形分50%
<多孔質フォーム原料1>
アクリル系エマルジョン1とエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン1を主剤として使用し、エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、各50:50重量部に対し、3重量部のアニオン性起泡剤1、3重量部のアニオン性起泡剤2、1重量部の両性起泡剤3、2.0重量部の架橋剤を混合して多孔質フォーム原料1とした(実施例1に対応する)。
<多孔質フォーム原料2−24>
表1に示す割合(実施例2−24に対応する)で原料を配合した以外は、多孔質フォーム原料1と同様にして発泡体原料を調製した。
≪基材≫
発泡体を担持する基材として、以下のものを用いた。
<基材>
・基材1
離形処理されているPETフィルム(0.038mm)
[シートの形成]
≪実施例1の調製≫
多孔質フォーム原料1にエアー又は窒素ガス等の不活性ガスを加えて、メカニカルフロス法により(発泡条件100〜1000rpmにて)発泡させ、基材1にキャスティングした後、加熱処理(オーブン又は乾燥炉)して自己粘着性発泡シートを得、その後当該シートの一方の面に前記感温変色材料1を用いて印刷することで、実施例1に係るシートを得た(印刷型)。尚、本実施例では、シルクスクリーン印刷で印刷を行った。
≪実施例2−24の調製≫
使用した多孔質フォーム原料を多孔質フォーム原料を表1に従って調製した以外は、実施例1と同様に、実施例2−15に係るシートを得た(印刷型)。但し、実施例16−24に関しては、多孔質フォーム原料中に前記感温変色材料1を予め添加した後、自己粘着性発泡シートを得た(練り込み型)。
[評価試験]
次に、シート(実施例1〜24)の測定及び評価を行った。その結果を表1に示す。尚、変色については、いずれの実施例においても、定温乾燥器の温度を25℃から40℃まで、0.3℃/分の速度で昇温し、シートの色の変化について確認を行った。乾燥炉は、ヤマト科学株式会社製の定温乾燥器を使用した。いずれの実施例も32℃で、赤色から白色(本発明で作成した基のシートの色)に変わることが確認された。
・外観
目視にて、発泡体の表面を評価した。またセルの状態については、走査型電子顕微鏡による発泡体の断面画像から評価した。発泡体表面に破泡、セルの合一による表面粗れがなくセルが均一である場合「○」と、若干の表面粗れ、セルが粗い場合「△」と、表面が粗れ、セルが非常に粗い場合、及びセルが形成されていない(発泡していない)場合「×」と評価した。エマルジョンの全量を基準(固形分量及び非固形分量の合計を100重量部とする。)として、感温変色原料を35重量部(固形分換算で、17.5重量部)添加した実施例21及び実施例24の発泡体は、若干の表面粗れが見られたが、それ以外の実施例に係る発泡体の表面はセルが均一であり、表面粗れがなかった。
・気泡構造
起泡構造は、通気性測定により評価した。2[ml/cm/s]以上80[ml/cm/s]であれば半連続気泡構造とした。表には示していないが、実施例に係る発泡体は、半連続気泡構造を形成していた。
・厚さ
厚さをシックネスゲージによって測定した。
・密度
単位体積当たりの重さを計算することによって測定した。
・柔軟性
JIS K 6254に準拠し、柔軟性は25%圧縮荷重にて評価した。φ50のサンプルを100φの圧縮板にて、1.0mm/minの速度で、厚さの25%分を(基のサンプル厚みに対する75%の厚さに)押しつぶした時の応力を測定する(この時、サンプルは、圧縮板にて全面が圧縮されている)。測定した応力が、2.0kPa以上3.0kPa未満の場合「◎」、3.0kPa以上7.0kpa未満の場合、「○」、7.0kPa以上11.0kPa以下の場合、「△」、2.0kPa未満又は11.0kpa超の場合、「×」と評価した。
・粘着強度(90°剥離強度)
JIS Z 0237に準拠し、24mm幅×150mmに打ち抜き、伸びの影響をなくすため表面(粘着面でない方)に片面接着テープを止めた発泡体を30mm幅×200mmの壁紙(株式会社サンゲツ社製、型番LB−9721)に貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ室温に24時間放置する。その後、オートグラフを用いて300mm/min速度で引き上げる(90°剥離)試験力を測定し、粘着強度(90°剥離強度)(N/24mm)とする。粘着強度(90°剥離強度)が1.1N/24mm以上2.5N/24mm以下の場合「◎」、粘着強度(90°剥離強度)が0.9N/24mm以上、1.1N/24mm未満の場合「○」粘着強度(90°剥離強度)が0.4N/24mm以上、0・9N/24mm未満の場合「△」、粘着強度(90°剥離強度)が0.4N/24mm未満又は2.5N/24mmを超える場合「×」と評価した。
・層間剥離強度(材料強度)
上述した試験方法に従い、発泡体を12mm幅×150mmに打ち抜き発泡体の両面に両面テープを貼り、その両面に12mm幅×200mmのバッキングフィルム(PETフィルム)を貼り、2kgローラーで2回往復し圧着させ85℃の炉に24時間放置する。その後、室温に1時間以上放置させオートグラフを用いて1000mm/min速度でバッキングフィルムを引っ張った(T字剥離)試験力を測定し、層間剥離強度(N/12mm)とする。層間剥離強度が7.0N/12mm以上の場合「◎」、層間剥離強度が3.0N/12mm以上、7.0N/12mm未満の場合「○」、層間剥離強度が3.0N/12mm未満の場合「×」と評価した。
・貼付試験
上述した試験方法により、貼付試験を行った。
本試験に使用した器具は以下のものであった。
・SUS板:双葉電子工業株式会社社製、型番SUS304
・壁紙:株式会社サンゲツ社製、型番LB−9721
・フック:レック株式会社社製、型番H−553
・スチール板:面積100cm、重量80g、厚さ5.0mm
評価方法は、落下無しは○、落下ありは×にて合否判定を行った。尚、被着体もしくは発泡体に破損が見られた場合は×とした。
この貼付試験に合格すると、理論下記条件が成立する。
(1)面積100cmにて100g荷重合格(100g/100cm)⇒10kg/m
(2)面積100cmにて200g荷重合格(200g/100cm)⇒20kg/m
(3)面積100cmにて300g荷重合格(300g/100cm)⇒30kg/m
貼付試験に用いた壁紙(株式会社サンゲツ社製、型番LB−9721)の凹凸は最大で0.7mmである(図6の断面写真参照)。当該最大値の0.7mmは、走査型電子顕微鏡(SEM、株式会社キーエンス製、VHXD−500)を用いて、壁紙の断面の写真を撮影した。その後、画像処理ソフトImage−Pro PLUS(Media Cybernetics社製、6.3ver)を用いて、凹凸深さを計測した。より具体的には、SEM画像を読み取り、次に、画像処理で凹凸の形状を読み取った(形状をそのまま認識した)。次に、測定項目として「2点間距離」を選択した。次に、任意の20個の凸部に対し、凸部の最頂部と隣接する凹部の最底部の厚さ方向の距離を算出し、最大の距離を算出した。
・繰り返し貼付試験
上述した試験方法により、繰り返し貼付試験を行った。表には示してはいないが、材料破壊の起こさない実施例に係るシートは、繰り返しの貼付においてもその粘着強度、追従性及び材料強度を維持することがわかった。
評価方法として、落下無しは「○」、落下ありは「×」にて合否判定を行った。尚、落下はしなかったが、被着体もしくは発泡体に破損が見られた場合は「△」とした。
・総合判定
前記の25%圧縮荷重、材料強度、粘着強度の評価結果(表1に結果を示した)について、総合判定を行った。前記3種類の評価項目の結果について、◎を3点、○を2点、△を1点、×を0点として、合計を算出した。この場合に、8点以上を「AAA」、7点を「AA」、6点及び5点を「A」、4点を「A’」、3点以下を「B」とした。これらの結果を表1に示した。
表1に示すように、実施例は、粘着強度、層間剥離強度、25%圧縮荷重の結果に基づく総合判定においてA’以上の評価であり、貼付試験(100g荷重)においても○であり、本発明の目的を達成するものである。尚、本発明に係るシートは、平滑面であるガラス面やSUS板に対しても良好な粘着性を発揮できることがわかった。
また、実施例8のシートに、PETフィルムを設けた積層シートの上に、最外層となるように、更に機能層として、上述したような樹脂ミラー層を設けた積層シートを用意した。同様にホワイトボードを設けた積層シートを用意した。当該積層シートを、SUS板、ガラス面、表面処理ガラス及び壁紙に貼付したところ、いずれも良好な粘着度で貼り付き、それぞれ、反射鏡、又は、ホワイトボードとして使用することができた。また、貼付試験においてもいずれも落下は起こらず、その後の引き剥がし時にも、積層シートが材料破壊を起こさず、繰り返しの使用ができることがわかった。
100 シート
110 多孔質フォーム層
120 第一の層
130 第二の層

Claims (6)

  1. エマルジョン、起泡剤及び感温変色材料を含有する組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化することにより得られる自己粘着性多孔質フォーム層を少なくとも有する、シートであって、前記エマルジョンが、アクリル系エマルジョンと、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンと、を含み、
    前記アクリル系エマルジョンの固形分に対する前記エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの固形分の重量比(前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン/前記アクリル系エマルジョン)が、0.05〜1.70であり、
    前記感温変色材料の配合量が、エマルジョンの全量を100重量部とした場合に、1〜20重量部である
    ことを特徴とする自己粘着性シート。
  2. 前記エマルジョンが、ウレタンエマルジョンを更に含む、請求項1記載の自己粘着性シート。
  3. 前記自己粘着性多孔質フォーム層の密度が、150〜300kg/mであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の厚さが、0.5〜2.0mmであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の平均セル径が30〜200μmであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の層間剥離強度が、3.0N/12mm以上であり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の25%圧縮荷重が、2.0〜11.0kPaであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の粘着強度が、0.4〜2.5N/24mmである
    請求項1又は2記載の自己粘着性シート。
  4. 自己粘着性多孔質フォーム層を少なくとも有する自己粘着性シートの製造方法であって、
    エマルジョン、起泡剤及び感温変色材料を含有する組成物をメカニカルフロス法にて発泡させた後に硬化する工程を含み、
    前記エマルジョンが、アクリル系エマルジョンと、エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョンと、を含み、
    前記アクリル系エマルジョンの固形分に対する前記エチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョンの固形分の重量比(前記エチレン酢酸ビニル共重合体エマルジョン/前記アクリル系エマルジョン)が、0.05〜1.70であり、且つ
    前記感温変色材料の配合量が、エマルジョンの全量を100重量部とした場合に、1〜20重量部である
    ことを特徴とする自己粘着性シートの製造方法。
  5. 前記エマルジョンが、ウレタンエマルジョンを更に含む、請求項4記載の自己粘着性シートの製造方法。
  6. 前記自己粘着性多孔質フォーム層の密度が、150〜300kg/mであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の厚さが、0.5〜2.0mmであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の平均セル径が30〜200μmであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の層間剥離強度が、3.0N/12mm以上であり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の25%圧縮荷重が、2.0〜11.0kPaであり、
    前記自己粘着性多孔質フォーム層の粘着強度が、0.4〜2.5N/24mmである、請求項4又は5記載の自己粘着性シートの製造方法。
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