JP7388033B2 - 包装袋 - Google Patents

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Description

本発明は、積層フィルムを重ねてヒートシールすることによって製袋された包装袋に関するものである。
従来、電子レンジ等の誘電加熱を利用した電磁調理器や、沸騰したお湯などによって内容物を加熱する包装袋(容器)が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような包装袋は、加熱後は、内容物だけでなく包装袋本体も高温になる場合があるため、加熱後の包装袋を取り扱う際に、利用者が手を火傷してしまう場合があった。
特開2015-120550号公報
本発明の課題は、加熱後に触れても火傷してしまうのを極力抑制することができる包装袋を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、少なくとも基材層(61)とシーラント層(64)とを備える積層フィルム(60)により構成される表面部(21)及び裏面部(22)を有し、内容物を収容可能な収容部(2)と、前記収容部の周囲に形成されるシール部(3)と、前記内容物を収容後にシールされるシール予定部(3a)と、を有する袋本体部(4)と、前記袋本体部に設けられる断熱粘着部材(50)と、を備える包装袋(1)であって、前記断熱粘着部材は、前記袋本体部の平面視において、前記表面部及び前記裏面部の、前記シール部及び/又は前記シール予定部の少なくとも一部に重なる領域に、設けられており、前記断熱粘着部材は、その両面に複数の凹形状(51)を備えており、前記凹形状は、前記断熱粘着部材の両面に均等に形成されており、前記袋本体部側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave とし、前記袋本体部とは反対側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave としたときに、|Dave -Dave |/Dave ≦0.5の関係を満たす包装袋である。
第2の発明は、第1の発明の包装袋(1)において、前記断熱粘着部材(50)は、前記袋本体部(4)の側面視において面対称位置となるように、前記表面部(21)及び前記裏面部(22)に設けられている、包装袋である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明の包装袋において、前記断熱粘着部材(50)は、前記シール部(3)における側部シール部(43)と重なる領域の少なくとも一部に設けられている、包装袋である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれかの包装袋(1)において、前記断熱粘着部材(50)は、前記シール部(3)及び/又は前記シール予定部(3a)から、前記収容部(2)にわたって設けられている、包装袋である。
第5の発明は、第4の発明の包装袋において、前記断熱粘着部材(50)は、前記シール部(3)及び/又は前記シール予定部(3a)と前記収容部(2)との境界から前記収容部側に5mm以上重なるようにして設けられている、包装袋である。
第6の発明は、第1の発明から第5の発明までのいずれかの包装袋(1)において、前記断熱粘着部材(50)は、前記シール部(3)における上部シール部(43)と重なる領域の少なくとも一部に設けられている、包装袋である。
第7の発明は、第1の発明から第6の発明までのいずれかに記載の包装袋(1)において、前記断熱粘着部材(50)は、前記表面部(21)上及び前記裏面部(22)上に設けられている、包装袋である。
第8の発明は、蒸気排出部(70)を備えている請求項1から請求項7までのいずれかに記載の包装袋である。
本発明によれば、加熱後に触れても火傷してしまうのを極力抑制することができる。
実施形態の包装袋の外観を示す平面図である。 実施形態の包装袋の側面図である。 実施形態の袋本体部に使用される積層フィルムの断面図である。 袋本体部上に断熱粘着部材を設ける方法の一例を示す図である。 断熱粘着部材の製造装置を示す図である。 断熱粘着部材の製造方法を説明する図である。 実施例の断熱粘着部材の粘着面を正面方向から拡大して撮影した写真である。 実施例の断熱粘着部材のシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。 実施例及び比較例の剥離力を示す図である。 サンプル1の観察結果を示す図である。 サンプル2の観察結果を示す図である。 サンプル3の観察結果を示す図である。 サンプル4の観察結果を示す図である。 包装袋の側部シール部に設けられる蒸気排出部の形態の一例を示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。
また、シート等の言葉を使用しているが、これらは、一般的な使い方として、厚さの厚い順に、シート、フィルムの順で使用されており、本明細書中でもそれに倣って使用している。しかし、このような使い分けには、技術的な意味は無いので、これらの文言は、適宜置き換えることができるものとする。
さらに、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、同様の光学的機能を奏し、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
本明細書中において、シート面(フィルム面)とは、各シート(フィルム)において、そのシート(フィルム)全体として見たときにおける、シート(フィルム)の平面方向となる面を示すものであるとする。
(実施形態)
図1は、本実施形態の包装袋の外観を示す平面図である。
図2は、本実施形態の包装袋の側面図である。図2(a)は、図1に示す包装袋の側面図を示し、図2(b)は、別な例の包装袋の側面図を示す。
本実施形態の包装袋1は、レトルト食品等の内容物を封入する容器であり、電子レンジ等のマイクロ波加熱や、誘電加熱を利用した電磁調理器や、沸騰したお湯などによって内容物を加熱することができる容器である。
包装袋1は、図1に示すように、内容物を収容する収容部2と、収容部2の周りを取り囲むシール部3と、内容物を収容後にシールされるシール予定部3aとを備える袋本体部4と、袋本体部4の表面及び裏面に設けられた断熱粘着部材50とを備える。
(袋本体部)
図1に示すように、包装袋1の袋本体部4は、可撓性を有する積層フィルムで構成される。袋本体部4を構成する積層フィルムは、表面を形成する表面フィルム(表面部)21と、裏面を形成する裏面フィルム(裏面部)22と、底部32のガセット折込部を形成する底部フィルム23とを備える。つまり、袋本体部4は、底部32にガセット折込部を備える底部ガセット袋形状を有する。見方を変えると、袋本体部4は、表面フィルム21によって形成された表面と、裏面フィルム22によって形成された裏面と、底部32のガセット折込部によって形成された底面とを有する。袋本体部4は、自立性を有するスタンディング形式の包装袋として機能する。
本実施形態においては、表面フィルム21及び裏面フィルム22は、略矩形の積層フィルムから構成される。略矩形は、幾何学上の長方形に制限されず、全体視で長方形と認められる形状を含む。例えば、側縁、底縁又は上縁のいずれか1つ以上が曲線部分を含んでいてもよい。また、積層フィルムの隅部は、外に凸の円弧状に丸みを帯びていてもよい。
ガセット折込部は、袋本体部4の底部32に設けられる。収容部2に内容物が収納された場合には、ガセット折込部は十分に広がり、そのため、袋本体部4は自立可能となる。また、ガセット折込部が広がるので、底部にガセット折込部を備えない平パウチの場合と比べて、収容部2の容積を大きくすることができる。一方、収容部2に内容物が収納されていない場合には、ガセット折込部を形成する底部フィルム23は、上部に折り返し部35が形成されるように折り返されることができる。これにより、袋本体部4の全体の厚さは小さくなる。
また、表面フィルム21と裏面フィルム22と底部フィルム23とは、袋本体部4の形成前において、互いに個別の積層フィルムであってもよく、又は、連接した積層フィルムであってもよい。連接した積層フィルムの場合、表面フィルム21、裏面フィルム22及び底部フィルム23のいずれか2つ以上が連接していてもよい。連接した積層フィルムは、折り曲げられて、表面フィルム21、裏面フィルム22及び底部フィルム23のいずれか2つ以上を形成する。
本実施形態では、袋本体部4は、個別に構成された表面フィルム21、裏面フィルム22、及び、底部フィルム23により形成されている。
袋本体部4の上部31において、表面フィルム21の上部と裏面フィルム22の上部とが、ヒートシール(熱溶着)により接合される。この接合により、袋本体部4の上部31には、表面フィルム21の上部と裏面フィルム22の上部とを接合するシール部として、上部シール部41が形成される。
袋本体部4の側部33において、表面フィルム21の側部と裏面フィルム22の側部とが、ヒートシールにより接合される。この接合により、袋本体部4の左右の側部33それぞれ(左側部331、右側部332)には、表面フィルム21の側部と裏面フィルム22の側部とを接合するシール部として、側部シール部43(左側部シール部431、右側部シール部432)が形成される。なお、左側部シール部431及び右側部シール部432は、それぞれの上端が上部シール部41と連続するようにして形成され、また、それぞれの下端部近傍が後述の底部シール部42と連続するようにして形成されている。
側部シール部43には、袋本体部4の上部シール部41を切り離すためのノッチ7が設けられている。
ノッチ7は、上部シール部41を袋本体部4から切り離して、包装袋1を開封するために設けられている。ノッチ7は、側部シール部43の上端側であって、上部シール部41よりも下側に、上部シール部41と略平行に設けられた切り込みであり、袋本体部4の側部33の縁から収容部2側へ収容部2に貫通しないようにして設けられている。
袋本体部4の底部32において、表面フィルム21の底部と底部フィルム23の前半分の周縁部とが接合されると共に、裏面フィルム22の底部と底部フィルム23の後半分の周縁部とが接合される。このようにして、袋本体部4の底部32には、底部シール部42が形成される。図1及び図2(a)に示すように、内容物が収容されていない場合、袋本体部4の底部32は、折り返し部35により2つ折りの状態で表面フィルム21及び裏面フィルム22間に挟まれた状態となる。
なお、袋本体部4は、内容物が収容される前は、上部シール部41、底部シール部42、側部シール部43のうち少なくとも1カ所のシール部が、未シール状態のシール予定部3aとなっており、このシール予定部3aから内容物を収容部2に収容し、シール予定部3aをヒートシール(接合)することにより、内容物を密閉することができる。
本実施形態の袋本体部4は、収容部2に内容物を収容する前は、底部シール部42及び側部シール部43がシール部3として収容部2を取り囲むように形成されており、上部シール部41が形成される部位が未シール状態のシール予定部3aとなる。この未シール状態のシール予定部3aから内容物を収容部2に収容して、ヒートシールにより上部シール部41を形成することによって、袋本体部4の収容部2に内容物を密閉することができる。
(積層フィルム)
図3は、本実施形態の包装袋に使用される積層フィルムの断面図である。
袋本体部4を構成する表面フィルム21、裏面フィルム22、及び、底部フィルム23は、積層フィルム60からなる。図3に、積層フィルム60の層構成を示す。上述のように、袋本体部4は、一対の表面フィルム21及び裏面フィルム22と、底部フィルム23をなす積層フィルム60をヒートシールすることによって製袋される。このため、積層フィルム60には、容器内方側となる部分にシール性を有するシーラント層64が設けられている。
また、本実施形態の袋本体部4では、印刷基材となる基材層61が、シーラント層64よりも容器外方側となる部分に設けられている。さらに、積層フィルム60は、加熱用の包装袋として要求される種々の機能を付与すべく、中間層63を含んでいる。したがって、このような層構成を持つ積層フィルム60は、製袋して袋本体部4とするときの容器外方となる側から容器内方となる側に向けて基材層61と中間層63とシーラント層64とをこの順で含んでいる。以下、各層について詳述していく。
上述したように、袋本体部4は、熱に対する耐性を必要とされる。このため、本実施形態の基材層61は、耐熱性をもつ材料からなる。例えば、基材層61として、延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、シリカ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、アルミナ蒸着延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、延伸ポリアミドフィルム、延伸ポリプロピレンフィルム、またはこれらの2以上のフィルムを積層した複合フィルムを用いることができる。
好ましくは、基材層61は、二軸延伸処理される。これにより、基材層61をなす分子が、延伸処理によって延伸方向に並び、基材層61が優れた寸法安定性を発揮するようになる。また、二軸延伸処理によって、基材層61に易開封性を付与することができる。
このような基材層61の厚みは、例えば10~50μm程度に形成される。この場合、袋本体部4に要求される耐熱性を満たしつつ、製品コストを抑えることができる。なお、本実施形態の基材層61は、積層フィルム60のうち、製袋して袋本体部4とするときの最も容器外方となる層としても機能する。
また、図3に示すように、本実施形態では、基材層61の容器内方側となる面に、絵柄を含む絵柄層62が積層されている。ここで、絵柄とは、基材層61に記録または印刷され得る種々の態様の記録対象のことであり、特に限定されることなく、図、文字、模様、パターン、記号、柄、マーク等を広く含む。とりわけ、食品を内包することが意図された袋本体部4に用いられる積層フィルム60では、絵柄として、内容物の図や、内容物の商品名、賞味期限、製造日、製造番号等の情報を示す文字が用いられる。もっとも、絵柄層62は、商品の仕様に応じて基材層61に積層されるものであり、基材層61に絵柄層62が設けられなくてもよい。
本実施形態では、絵柄層62は、容器外方側となる基材層61の外面ではなく、基材層61の内面に施される。この場合、絵柄層62は、耐摩耗性に優れることから擦れ等による消失を効果的に防止することができ、且つ、絵柄の改ざんも効果的に防止することができる。また、製袋して包装袋1としたときに、基材層61の内面に積層された絵柄層62を、基材層61を介して視認し得るよう、基材層61は透明性を有していることが好ましい。
シーラント層64は、上述したように、2つの積層フィルム60同士を重ね合わせて対向する縁部近傍をヒートシールすることで、当該縁部を貼り合わせて密封するために設けられている。また、本実施形態では、シーラント層64は、積層フィルム60のうち、製袋して袋本体部4とするときの最も容器内方となる側に配置される。
このようなシーラント層64としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-プロピレンブロック共重合体などのポリオレフィン系樹脂からなるフィルム、及び、従来公知のイージーピールフィルムなどが採用できる。これらの材料からなるフィルムによって単層としてシーラント層64が構成されてもよいし、多層としてシーラント層64が構成されてもよい。
とりわけ、電子レンジ用の包装袋など耐熱性が要求される袋本体部4に積層フィルム60を適用する場合には、シーラント層64は、主として無延伸ポリプロピレン(CPP)を含む無延伸ポリプロピレン層(CPP層)、または、主として直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含む直鎖状低密度ポリエチレン層(LLDPE層)を有することが好ましい。
シーラント層64の厚みは、40μm以上200μm以下の範囲にあるのが好ましい。この場合、包装袋1の流通過程において生じ得る落下に対する耐衝撃強度に優れると共に、内容物の充填し易さ、内容物の詰替え易さといった取扱性にも優れる。
一方、基材層61とシーラント層64との間に積層された中間層63は、加熱用の包装袋に要求される種々の機能を補なうために設けられている。上記の通り、袋本体部4は、食品を内容物として内包することに適した包装袋である。このため、内容物の酸化等の変質を防止しながら内容物を保存することができるように、中間層63は、水蒸気の透過を防止する蒸気バリア性及び酸素ガス等のガスの透過を防止するガスバリア性を有していてもよい。また、スタンディング包装袋形式の包装袋1は、売り場の商品棚に自立した状態で陳列される。包装袋1が商品棚から落下した際の衝撃等にも十分に耐え得るよう、中間層63は、耐屈曲性及び耐衝撃性を有していてもよい。また、中間層63は、消費者の購買意欲を高めるために、包装袋1の内容物が見えないように隠蔽性を十分に高める機能を有していてもよい。
このような機能をもつ中間層63として、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体ケン化物等のフィルムを用いることができる。また、前述のフィルム上にポリ塩化ビニリデンを塗工したフィルム、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機物の蒸着を施したフィルムを用いることができる。
なお、中間層63は、後述の接合層65を介して2層以上積層されるようにしてもよく、上述の基材の一種ないしそれ以上を組み合わせて使用してもよい。
図3に示すように、本実施形態では、基材層61と中間層63との間、及び、中間層63とシーラント層64との間に接合層65が介在されている。この接合層65としては、例えばそれ自体既知のドライラミネート法にて一般に用いられる接着剤を用いることができ、例えば、ポリ酢酸ビニル系接着剤、ポリアクリル酸エステル系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、エチレン共重合体系接着剤、セルロース系接着剤、ポリエステル系接着剤、ポリアミド系接着剤、アミノ樹脂系接着剤、エポキシ系接着剤、ポリウレタン系接着剤等を用いることができる。
例えば、積層フィルム60は、基材層61側から順に、以下のような層構成により形成することができる。
1)基材層(透明蒸着PETフィルム12μm)/絵柄層/接合層/中間層(2軸延伸ポリアミドフィルム15μm)/接合層/シーラント層(CPP層70μm)
2)基材層(2軸延伸ポリアミドフィルム15μm)/絵柄層/接合層/中間層(透明蒸着PETフィルム12μm)/接合層/シーラント層(CPP層70μm)
3)基材層(透明蒸着PETフィルム12μm)/絵柄層/接合層/中間層(PETフィルム12μm)/接合層/シーラント層(CPP層70μm)
4)基材層(透明蒸着PETフィルム12μm)/絵柄層/接合層/中間層(PETフィルム12μm+接合層+PETフィルム12μm)/接合層/シーラント層(CPP層70μm)
(断熱粘着部材)
断熱粘着部材50は、弾性を有するとともに粘着性及び断熱性を有する部材であり、図2(a)に示すように、袋本体部4の表面フィルム21及び裏面フィルム22のそれぞれの容器外方側の面上に設けられている。断熱粘着部材50は、断熱粘着部材50aと断熱粘着部材50bとを含む。断熱粘着部材50aは、袋本体部4の側部シール部43と重なる領域の少なくとも一部に袋本体部4を挟むようにして設けられている。また、断熱粘着部材50bは、袋本体部4の上部シール部41(シール予定部3a)と重なる領域の少なくとも一部に袋本体部4を挟むようにして設けられている。表面フィルム21上に設けられる断熱粘着部材50と裏面フィルム22上に設けられる断熱粘着部材50とは、図2に示すように、包装袋1の側面視において、面対称位置となるようにして設けられており、言い換えると、平面視において表裏面で重なる位置にそれぞれの断熱粘着部材50が設けられている。
より具体的に、本実施形態の断熱粘着部材50aは、図1に示すように平面視において台形形状に形成され、袋本体部4の側部33のほぼ中央に配置されている。また、断熱粘着部材50aは、側部シール部43に重なる領域だけでなく、一部が収容部2に重なる領域にわたって設けられている。本実施形態の断熱粘着部材50aは、側部シール部43と収容部2の境界から収容部2側に5mm以上重なるようにして設けられている。
また、本実施形態の断熱粘着部材50bは、平面視において矩形形状に形成され、袋本体部4の上部シール部41(シール予定部)と重なる領域の左端から右端にかけて設けられている。
電子レンジ等により内容物を加熱した場合、袋本体部4自体も加熱され高温になるため、包装袋を取り扱う利用者が火傷してしまう場合があったが、上述のように、袋本体部4に断熱粘着部材50が設けられていることによって、利用者が火傷してしまうのを極力抑制することができる。
具体的には、利用者は、断熱粘着部材50aを介して袋本体部4の側部33を指で掴むことにより、火傷することなく加熱された包装袋1を持ち上げて、取り扱うことが可能となる。
また、一方の手で断熱粘着部材50aを介して袋本体部4の側部33を掴み、他方の手で断熱粘着部材50bを介して袋本体部4の上部31を掴むことによって、火傷することなく加熱された包装袋1を、ノッチ7により上部シール部41により接合された上端縁を切り離して、開封することができる。
更に、断熱粘着部材50aが側部シール部43に重なる領域だけでなく、側部シール部43と収容部2の境界から収容部2側に5mm以上重なるようにして設けられていることによって、断熱粘着部材50aを介して袋本体部4を指で掴む際、親指等が側部シール部43から収容部2側にはみ出したとしても、袋本体部4自体に触れてしまうのを抑制することができ、利用者が火傷してしまうのをより効果的に抑制することができる。
仮に、断熱粘着部材50aの収容部2の重なりが上記境界から5mm未満である場合、断熱粘着部材50aの収容部2に重なる面積が狭くなり過ぎてしまい、上述の効果を十分に奏することができなくなる場合があるため、好ましくない。
断熱粘着部材50は、その両面に開口した複数の凹形状51を備えている。複数の凹形状51がそれぞれ微細な吸盤として作用することから、表面フィルム21及び裏面フィルム22等の積層フィルムに対して粘着力(吸着力)を発揮することができる。また、断熱粘着部材50は、積層フィルムとは反対側において、粘着面(凹形状51)が表出しているので、包装袋1の取り扱いの際に利用者の指等が滑って、包装袋1を掴み損ねてしまうのを抑制する、いわゆる滑り止めの効果を発揮することができる。
また、断熱粘着部材50は、凹形状51によって上述の断熱機能を生じさせるとともに、弾性を生じさせている。
更に、断熱粘着部材50は、凹形状51により再貼り付け特性を有している。そのため、断熱粘着部材50を積層フィルムから剥がした後、再度貼り付けることが可能である。
断熱粘着部材50は、例えば、特開2017-36404号公報に開示されている液状の樹脂組成物(アクリルエマルジョン)を用いて後述する製造方法により形成される。断熱粘着部材50の厚みtは、1μm以上、500μm以下であることが望ましい。上記厚み範囲の下限値を下回ると、凹形状の形成が困難になったり、凹形状の大きさが小さくなりすぎて、粘着(吸着)特性が低下したりする。また、上記厚み範囲の上限値を越えると、断熱粘着部材50の柔軟性が低下して、被着体である袋本体部4の変形に対する追従性が悪くなる。
さらに、断熱粘着部材50の両面に凹形状51を均等に設けるためには、断熱粘着部材50の厚みtは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましい。この点については、後述する。
断熱粘着部材50の凹形状51の大きさや密度は、後述する製造工程における各種条件を変更することにより、調整可能である。例えば、断熱粘着部材50は、凹形状51が含まれる程度を表す指標として、断熱粘着部材50の密度を用いることができる。この断熱粘着部材50の密度としては、特に限定されないが、例えば、0.1g/cm以上、0.6g/cm以下とすることができる。また、凹形状51の大きさは、特に限定されないが、例えば、1μm以上、300μm以下とすることができる。
本実施形態の断熱粘着部材50は、図4(a)に示すように、袋本体部4に貼付される前は、その表面及び裏面に剥離性基材シート55、56が貼付されている。具体的には、断熱粘着部材50の表面には、第1剥離性基材シート55が、断熱粘着部材50の裏面には、第2剥離性基材シート56が貼付されており、断熱粘着部材50の粘着面を保護している。剥離性基材シート55、56のうち一方は、袋本体部4に貼付される場合に、断熱粘着部材50から剥離される。他方の剥離性基材シートは、断熱粘着部材50が袋本体部4に貼付された後に剥離される。
剥離性基材シート55、56としては、従来公知の離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の各種形態のものを適宜使用できる。例えば、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の片面又は両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。離型層を備えた離型フィルムを用いる場合には、例えば、シリコーン離型タイプのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、未処理PETフィルム、PPフィルム、シリコーン離型タイプの紙等を用いることができる。
剥離性基材シート55、56の厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下とすることが望ましく、20μm以上、60μm以下とすることがさらに望ましい。上記厚み範囲の下限値を下回ると、コシがなく、剥離しづらくなる。また、上記厚み範囲の上限値を越えると、コシが強すぎて貼り付け時の作業性が低下するからである。
また、剥離性基材シート55、56としては、市販のものを使用してもよく、例えば、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(三井化学東セロ株式会社製、商品名:SP-PET-01)等が挙げられる。
図4は、袋本体部4上に断熱粘着部材50を設ける方法の一例を示す図である。
上述した断熱粘着部材50は、図4(a)に示すように、剥離性基材シート55、56を備えている。断熱粘着部材50を袋本体部4に貼り付けるときには、剥離性基材シート56を剥離する(図4(b))。そして、露出した断熱粘着部材50の粘着面を袋本体部4の容器外方側の面に貼り付けて、その面に適度な圧力を加えることにより、断熱粘着部材50の露出面に多数存在する凹形状51が弾性変形することにより従来のマイクロ吸盤と同様な作用によって袋本体部4に対して吸着(粘着)することとなる(図4(c))。
すなわち、凹形状51の周囲の弾性変形によって、凹形状51には、変形状態から元の形状に戻ろうとする力が働く。この力により、凹形状51内の密閉空間が負圧となって、袋本体部4への吸着作用が生じる。なお、凹形状51単体での吸着力は、弱いものであるが、多数の凹形状51が形成されているので、全体としては必要な吸着力を確保できる。また、断熱粘着部材50の作製時に、凹形状51が含まれる量を、例えば、密度をパラメータとして調整すれば、断熱粘着部材50の粘着力(吸着力)を調整可能である。
最後に、袋本体部4に貼付した断熱粘着部材50から剥離性基材シート55を剥離する。
なお、断熱粘着部材50の袋本体部4への貼付は、作業者による手作業で行ってもよく、また、専用の装置により自動的に行うようにしてもよい。
次に、断熱粘着部材50の製造方法について説明する。
図5は、断熱粘着部材50の製造装置を示す図である。
図6は、断熱粘着部材50の製造方法を説明する図である。
先ず、断熱粘着部材50を形成するための特開2017-36404号公報に開示されているアクリルエマルジョンの組成物を攪拌機に入れ、この組成物中に窒素ガスを混合しながら攪拌を行い、組成物中に気泡を含め、気泡含有組成物150を作製する(図中のP1:泡立て工程)。
次に、剥離性基材シート55上に気泡含有組成物150を塗工する(図中のP2:塗工工程)。塗工工程では、例えば、コンマコータを用いることができるが、その他の公知の塗工手法を用いてもよい。
剥離性基材シート55上に気泡含有組成物150を塗工したら、気泡含有組成物150を加熱しながら乾燥させて断熱粘着部材50を形成する(図中のP3:乾燥工程)。乾燥工程では、例えば、温度を60℃~140℃程度の乾燥炉を用いることができる。乾燥時間としては、例えば、30秒~10分程度を例示することができる。また、乾燥工程では、気泡含有組成物150に対して送風を行いながら乾燥を促進してもよい。乾燥工程を行うことにより、気泡含有組成物150の両面に凹形状51が形成されて、断熱粘着部材50が形成される。この凹形状51は、気泡含有組成物150中に含まれていた気泡が破泡して気泡の形状の一部が残ることにより形成される。ここで、気泡含有組成物150の硬化が不十分な状態で気泡が破泡すると凹形状51が残りにくくなる。一方、気泡が破泡する前に気泡含有組成物150が硬化してしまうと、凹形状51が形成されないおそれがある。よって、ある程度、気泡含有組成物150の硬化が進んだ状態で破泡が行われる条件で乾燥工程が行われることが望ましい。したがって、乾燥工程における温度や送風量が、凹形状51の状態に大きく影響を与える。
乾燥工程により断熱粘着部材50を形成した後、別途用意した剥離性基材シート56を断熱粘着部材50と接合させる(図中のP4:ラミネート工程)。このラミネート工程では、断熱粘着部材50の凹形状51による吸着力(粘着力)によってラミネートを行うので、加熱が不要であり、また、僅かな加圧力だけで接合が可能である。
上記ラミネート工程が完了すれば、粘着面が剥離性基材シート55、56に覆われた断熱粘着部材50が完成する。
なお、断熱粘着部材50は、直接、袋本体部4を構成する表面フィルム21、裏面フィルム22の容器外方側の面(基材層61側の面)上に形成されるようにしてもよい。例えば、表面フィルム21、及び、裏面フィルム22の所定の領域に、上述の気泡含有組成物150を断熱粘着部材50a、断熱粘着部材50bの外形形状に合わせてパターン状に塗工して、乾燥、硬化させることによって、表面フィルム21、裏面フィルム22上に直接、断熱粘着部材50を形成することができる。これにより、上述の剥離性基材シートを省略することができ、包装袋1に係る材料費等のコストを低減することができる。
次に、本実施形態の断熱粘着部材50を実際に作製した例を示し、比較例の部材と比較した結果を説明する。
実施例の断熱粘着部材50では、剥離性基材シート55に離型性を備えた2軸延伸PETフィルム上に、200μmのクリアランスを有するコンマコータを用いて泡立て工程済みの気泡含有組成物150を塗布した。これを100℃の乾燥路内で1分間乾燥を行って断熱粘着部材50を形成し、剥離性基材シート55と同様の剥離性基材シート56をラミネートした。なお、この場合の断熱粘着部材50の密度は、0.39g/cmであり、厚さ50μmであった。
図7は、実施例の断熱粘着部材50の粘着面を正面方向からみて拡大した写真である。
図8は、実施例の断熱粘着部材50のシート面に直交する方向の断面で拡大した図である。
図7及び図8に示すように、断熱粘着部材50には、多数の凹形状51が形成されていることが確認できる。
比較例1として、泡立て工程を行わない他は、上記実施例と同様にして作製した断熱粘着部材を作製した。作製後の断熱粘着部材の密度は、0.87g/cmであり、厚さ100μmであった。
比較例2として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK2094を用いて断熱粘着部材(アクリル粘着Aタイプとする)を用意した。
比較例3として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK1502Cを用いて断熱粘着部材(アクリル粘着Bタイプとする)を用意した。
以上の4種類の断熱粘着部材を用意し、剥離力について比較した。
図9は、実施例及び比較例の剥離力を示す図である。
剥離力の測定は、上述の実施例及び各比較例の断熱粘着部材の一方の剥離性基材シートを剥離して、各断熱粘着部材を被着体に貼り付けて行った。図9中の剥離力は、引っ張り試験機を用いて、引っ張り速度300mm/minで180°剥離を行って、そのときの剥離力を測定した結果である。また、剥離力の測定は、貼り付け直後(0時間)と、貼り付け後1000時間経過とについて行った。
実施例では、貼り付け直後及び1000時間経過後の双方において、比較的小さな剥離力で剥離できることがわかる。この程度の剥離力であれば、自然に剥がれてしまうことはなく、かつ、剥がそうとして力を加えれば簡単に剥がすことが可能である。しかも、凹形状51による吸着であることから、剥離後に被着体の表面に断熱粘着部材50の残留が無く、また、断熱粘着部材50自体の粘着力(剥離力)も実質上の変化は無く、再貼り付け可能であった。
比較例1は、小片であれば比較的小さな剥離力で剥離できるが、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であった。また、剥離後には被着体表面に粘着層の残留が見られ、完全な再貼り付けは不可能であった。
比較例2は、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であり、貼り付け直後であれば、剥がすことは可能であるが、1000時間経過後では、剥離力が大幅に上昇してしまっており、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと断熱粘着部材が破損したりするおそれがある状態になっていた。
比較例3は、貼り付け直後から剥離力が大きすぎて、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと断熱粘着部材が破損したりするおそれがある状態になっていた。
また、比較例2及び比較例3のいずれも、剥離後は、被着体に粘着材が一部残ってしまったり、粘着力の低下があったりして、再貼り付けには適していなかった。
(断熱粘着部材50の凹形状51について検証実験)
上述したように、本発明において、断熱粘着部材50の凹形状51が、粘着力に大きな影響を与える。凹形状51が断熱粘着部材50の両面に均等に設けられていないと、断熱粘着部材50の一方の面が他方の面に比べて粘着力(吸着力)が低下、又は、増加してしまうおそれがある。また、凹形状51が断熱粘着部材50の両面に均等に設けられることにより、断熱粘着部材50の物理的性質も均質になり、第1剥離性基材シート55と第2剥離性基材シート56との両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性の発現の上でも好ましい。凹形状51が断熱粘着部材50の両面に均等に設けられることにより、断熱粘着部材50の全体において均一な断熱機能を有することができる。更に、断熱粘着部材50の一方の粘着面により、断熱粘着部材50の被着体(包装袋1を構成する積層フィルム)に対する粘着力を発現するとともに、他方の粘着面により十分な滑り止めの機能を発揮することができる。
凹形状51を断熱粘着部材50の両面に均等に設けるためには、断熱粘着部材50の塗布量(厚さt)の管理が重要である。この点、特開2017-36404号公報においては、何ら考慮されておらず、単にマイクロ吸盤が形成されていればよいとされている。特開2017-36404号公報では、WET膜厚800μmとして形成した実施例1の断面写真である図2(特開2017-36404号公報の図2)において、マイクロ吸盤を有する面として示されている部分には、微細な吸盤構造が形成されているものの、ガラス基板から剥離した面として示されている部分には、先の微細な吸盤構造とは比べものにならない程巨大な気泡と思われる構成が確認できる。すなわち、特開2017-36404号公報の構成では、粘着層の一方の面にはマイクロ吸盤(本実施形態における凹形状51に相当)が形成されているが、他方の面には、マイクロ吸盤(凹形状51)が略形成されていない。
この点を本件出願人においても、検証実験を行なった。
検証実験として、4種類の粘着層のサンプルを作製し、その両面の凹形状51をSEMで観察した。サンプルは、以下の4種類である。
サンプル1:断熱粘着部材の厚みt=25μm
サンプル2:断熱粘着部材の厚みt=30μm
サンプル3:断熱粘着部材の厚みt=35μm
サンプル4:断熱粘着部材の厚みt≒2000μm
なお、上記サンプルの厚みは、乾燥後の厚みである。また、サンプル1~3については、コーターを用いてガラス面に発泡処理後の気泡含有組成物を塗工し、100度の乾燥炉を用いて乾燥処理を行なった。サンプル4については、ガラス面への滴下塗布とし、常温下の自然乾燥とした。なお、サンプル4について乾燥条件を変えたのは、特開2017-36404号公報における常温乾燥で十分であるとの記載についても検証するためである。また、いずれのサンプルも、発泡処理後の粘着層の密度は、0.4g/cmとした。
図10は、サンプル1の観察結果を示す図である。
図11は、サンプル2の観察結果を示す図である。
図12は、サンプル3の観察結果を示す図である。
図13は、サンプル4の観察結果を示す図である。
図10から図12のように、断熱粘着部材の厚みtを管理したサンプル1からサンプル3については、微細な凹形状51が両面に均等に形成されていることが確認できた。
これに対して、図13に示す厚みが厚いサンプル4では、乾燥面とガラス側面とで凹形状51の大きさに極端な差異が認められ、特開2017-36404号公報の図2と同様な結果が得られた。
よって、断熱粘着部材50の両面に凹形状51を均等に設けるためには、断熱粘着部材50の厚みtは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましいと判断できる。
ここで、この凹形状51が断熱粘着部材50の両面に均等に設けられている状態について、より詳しくは、以下に示すような関係を満たすことが望ましい。
断熱粘着部材50の一方の面(袋本体部4側の面)に開口する凹形状51の各開口部の直径の平均値をDave とし、他方の面(袋本体部4とは反対側の面)に開口する凹形状51の各開口部の直径の平均値をDave としたときに、
|Dave -Dave |/Dave ≦0.5
の関係を満たすことが望ましい。
また、
|Dave -Dave |/Dave ≦0.25
の関係を満たすことがさらに望ましい。
これらの関係を満たすことにより、断熱粘着部材50の両面における粘着力の差異を少なくすることができ、また、第1剥離性基材シート55と第2剥離性基材シート56とに対する十分な粘着力及び再剥離性を良好に発現させることができる。また、断熱粘着部材50の一方の粘着面により、断熱粘着部材50の被着体(包装袋1を構成する積層フィルム)に対する粘着力を発現するとともに、他方の粘着面により滑り止めの機能を発揮することができる。
なお、各開口部の直径の平均値とは、全ての開口部の平均を求めることは現実的には不可能であるので、ここでは、1500μm×1100μmの観察範囲内において、直径が大きい開口部から順に3個の開口部について直径の計測を行ない、その平均値とした。
ここで、図10から図13のサンプルについて、開口部の計測を行ない、|Dave -Dave |/Dave を求めたところ、サンプル1:0.04、サンプル2:0.06、サンプル3:0.12、サンプル4:0.69であった。
本発明の粘着部材は、多数の凹形状を有することに由来する吸盤粘着機能を発揮する。このため、相対的に粘着部材の材料由来の粘着性が小さく、凹形状を有しない通常の粘着部材に比べてタック性が低いという特徴を有する、このため、包装袋の最表面に粘着面が露出するような使用態様であっても、粘着面のべたつきを防止しつつ、被粘着面と粘着する際には十分な粘着性を発揮することが可能となる。このため、本発明のように粘着面が露出する態様に好適に使用することができる。
上述したように、断熱粘着部材50については、凹形状51の開口部の形成条件によって粘着性の調整が可能である。そして、断熱粘着部材50の凹形状51の開口部の形成状態を変えることによって、粘着作用の発現の仕方として、以下に示す2種類(Type A、Type Bと分類する)の断熱粘着部材を作製することができる。
Type A:粘着力が吸盤作用によって発現し、かつ、粘着剤自体の粘着性も粘着力に寄与する粘着部材。このType Aの粘着部材では、粘着剤自体の粘着性によって、若干の「べたつき」触感が生じる。
Type B:粘着力が吸盤作用によって発現するが、粘着剤自体の粘着性は粘着力に寄与しない、又は、粘着剤自体の粘着性が発現しない粘着部材。このType Bの粘着部材では、粘着剤自体の粘着性が粘着力として作用しないことから、「べたつき」触感は生じない。
上記「べたつき」の評価に有効な粘着性試験である傾斜式ボールタック試験(JIS Z 0237)を上記2種類の粘着部材について行った。傾斜式ボールタック試験の概要は、以下の通りである。
まず、得られた粘着部材を幅25mm、長さ100mmに裁断した試験体を準備した。次に、ボールタック試験機(テスター産業株式会社製)に、粘着面が表面になるように試験体をセットした(粘着面の傾斜角が30°)。さらに、23℃雰囲気下で、ボールタック試験機にセットされた試験体の粘着表面の測定面領域を通過するように鋼球を転がす(測定面の長さは、100mm)。このとき、鋼球は、直径が1/32インチから1インチまでの大きさのものを用いた。そして、これらの鋼球を転がした際に測定面の領域内で停止するような鋼球のうち、最大径のボールナンバーの値を特定した。ボールナンバーは、鋼球の直径を32倍することで求められる。下記のボールタック試験の各数値は、ボールナンバーの値を示す。
本実施形態の断熱粘着部材50についての傾斜式ボールタック試験の結果を以下に示す。
Type A:9(ボールNo.9)
Type B:粘着剤自体の粘着性がないため、ボールNo.1以上のボールは全て転がり落ちる。つまりボールタックの評価は1未満である。
粘着部材としての利用形態には様々な形態があることから、Type AとType Bに単純に優劣をつけることはできず、利用形態に応じて適宜選択するとよい。なお、Type Aについては、再剥離、再貼り付けの利便性を考慮すると、ボールタック試験結果として、5~10が好ましく、6~9がより好ましく、7~8がさらに好ましい。
上述の実施形態の包装袋1では、断熱粘着部材50の粘着面が表出しているので、「べたつき」触感は望ましくない。したがって、断熱粘着部材50としては、上述のType Bを用いることが望ましい。
以上説明したように、本実施形態の包装袋1は、袋本体部4の側部シール部43及び上部シール部41(シール予定部3a)に断熱粘着部材50が設けられているので、包装袋1を加熱した場合に、断熱粘着部材50を介して包装袋1を指で掴むことができ、火傷することなく包装袋1を取り扱うことができる。
また、本実施形態の包装袋1は、断熱粘着部材50の表面側(袋本体部4とは反対側)の凹形状51によって、加熱した包装袋1を持ち運んだりする際に、滑って包装袋1を落としたり、倒したりしてしまうのを抑制し、また、包装袋1の開封をより容易にすることができる。
更に、本実施形態の包装袋1の断熱粘着部材50は、粘着力が凹形状51の吸着力によるものであるから、リワーク性が高く、貼り付けを失敗したとしても再度の張り直しが容易であり、使い勝手がよい。また、包装袋1の使用後は、積層フィルム60から断熱粘着部材50を糊残りなく除去することができ、ゴミの分別を容易にすることができる。
本実施形態の包装袋1は、側部シール部43と重なる領域に設けられる断熱粘着部材50aが、側部シール部43と収容部2との境界から収容部2側に5mm以上重なるようにして設けられている。これにより、断熱粘着部材50aを介して袋本体部4を指で掴む際、親指等が側部シール部43から収容部2側にはみ出したとしても、袋本体部4自体に触れてしまうのを抑制することができ、利用者が火傷してしまうのをより効果的に抑制することができる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されるものではなく、後述する変形形態のように種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の技術的範囲内である。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、前述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
(変形形態)
(1)上述の実施形態の包装袋1において、電子レンジ等により加熱した際に収容部2に収容される内容物から生じる蒸気を収容部2外へと排出する蒸気排出部を設けるようにしてもよい。
図14は、蒸気排出部の一例を示す部分拡大図である。図14は、図1に示す袋本体部4の左側部シール部431のノッチ7の近傍を拡大して示す図である。
例えば、包装袋1は、図14に示すように、左側部シール部431のノッチ7の下側に蒸気排出部70を設けるようにしてもよい。ここで、蒸気排出部70は、袋本体部4の側縁に開口部70aを有し、開口部70a以外を側部シール部43(431)に囲まれるようにして、表面フィルム21及び裏面フィルム22がシールされていない未シール部71により形成されている。
未シール部71は、包装袋の加熱前は、側部シール部43(431)により囲まれ、収容部2に貫通していない。包装袋を加熱して、内容物から蒸気が発生することにより、収容部2内の圧力が上昇して、未シール部71を囲む側部シール部43の一部がその圧力により破れ、蒸気が収容部2から未シール部71の開口部70aを介して包装袋外へと放出される。
なお、蒸気排出部70は、上述の形態に限定されるものでなく、その他の公知の形態を適用してもよい。また、上述の例では、蒸気排出部70は、左側の側部シール部431に設ける例を示したが、これに限定されるものでなく、右側の側部シール部432や、左右両方の側部シール部43に設けられるようにしてもよい。
(2)上述の実施形態では、断熱粘着部材50は、図2(a)に示すように、表面フィルム21及び裏面フィルム22のそれぞれ個別に設けられる例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、断熱粘着部材50は、図2(b)に示すように、表面フィルム21及び裏面フィルム22を挟み込むようにして2つ折りにして設けられるようにしてもよい。この場合、断熱粘着部材50は、表面フィルム21及び裏面フィルム22の表面だけでなく、側部にも設けられる。このような形態にすることにより、表面フィルム21に設けられた断熱粘着部材50と、裏面フィルム22に設けられた断熱粘着部材50とで、配置位置がずれてしまうのを抑制することができる。
(3)上述の実施形態において、断熱粘着部材50は、袋本体部4の上部31及び側部33の両方に設けられる例を示したが、これに限定されるものでなく、いずれか一方に設けられるようにしてもよい。
(4)上述の実施形態において、袋本体部4に設けられた断熱粘着部材50は、図2(a)に示すように、積層フィルム60(表面フィルム21、裏面フィルム22)とは反対側の面の粘着面が表出している例を示したが、これに限定されるものでない。例えば、袋本体部4に設けられた断熱粘着部材50は、積層フィルム60とは反対側の面の粘着面に剥離性基材シート55等の基材が貼付された状態としてもよい。
(5)上述の実施形態において、断熱粘着部材50は、積層フィルム60(表面フィルム21、裏面フィルム22)の容器外方側の面上に設けられる例を示したが、これに限定されるものでなく、積層フィルム60の基材層61とシーラント層64との間に設けられるようにしてもよい。
1 包装袋
2 収容部
3 シール部
3a シール予定部
4 袋本体部
7 ノッチ
21 表面フィルム(表面部)
22 裏面フィルム(裏面部)
23 底部フィルム
31 上部
32 底部
33 側部
41 上部シール部
42 底部シール部
43 側部シール部
50 断熱粘着部材
51 凹形状
60 積層フィルム
61 基材層
62 絵柄層
63 中間層
64 シーラント層
65 接合層
70 蒸気排出部

Claims (8)

  1. 少なくとも基材層とシーラント層とを備える積層フィルムにより構成される表面部及び裏面部を有し、内容物を収容可能な収容部と、前記収容部の周囲に形成されるシール部と、前記内容物を収容後にシールされるシール予定部と、を有する袋本体部と、
    前記袋本体部に設けられる断熱粘着部材と、を備える包装袋であって、
    前記断熱粘着部材は、前記袋本体部の平面視において、前記表面部及び前記裏面部の、前記シール部及び/又は前記シール予定部の少なくとも一部に重なる領域に、設けられており、
    前記断熱粘着部材は、その両面に複数の凹形状を備えており、
    前記断熱粘着部材の厚みtが、20μm≦t≦40μmの範囲であり、
    前記凹形状は、前記断熱粘着部材の両面に均等に形成されており、
    前記袋本体部側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave とし、前記袋本体部とは反対側の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave としたときに、
    |Dave -Dave |/Dave ≦0.5
    の関係を満たす包装袋。
  2. 請求項1に記載の包装袋において、
    前記断熱粘着部材は、前記袋本体部の側面視において面対称位置となるように、前記表面部及び前記裏面部に設けられている、包装袋。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の包装袋において、
    前記断熱粘着部材は、前記シール部における側部シール部と重なる領域の少なくとも一部に設けられている、包装袋。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれかに記載の包装袋において、
    前記断熱粘着部材は、前記シール部及び/又は前記シール予定部から、前記収容部にわたって設けられている、包装袋。
  5. 請求項4に記載の包装袋において、
    前記断熱粘着部材は、前記シール部及び/又は前記シール予定部と前記収容部との境界から前記収容部側に5mm以上重なるようにして設けられている、包装袋。
  6. 請求項1から請求項5までのいずれかに記載の包装袋において、
    前記断熱粘着部材は、前記シール予定部における上部シール部と重なる領域の少なくとも一部に設けられている、包装袋。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれかに記載の包装袋において、
    前記断熱粘着部材は、前記表面部上及び前記裏面部上に設けられている、包装袋。
  8. 蒸気排出部を備えている請求項1から請求項7までのいずれかに記載の包装袋。
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