JP2021020731A - ピロー包装袋 - Google Patents

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Abstract

【課題】喫食容器として使用できるピロー包装袋を提供する。【解決手段】袋1は、少なくとも基材層とシーラント層とを備える積層フィルム30により構成され、上端部を封止する上端シール部111と、下端部を封止する下端シール部121とを有するピロー包装袋であり、袋1の外面上であって、少なくとも上端シール部111の両端部又は下端シール部121の両端部のいずれか一方の近傍に粘着部材21を備える。粘着部材21は、両面211,212に均等に形成された複数の凹形状21aを備えており、第1の面211に開口する凹形状21aの各開口部の直径の平均値をDave1とし、粘着部材21の厚み方向において第1の面211とは反対側となる第2の面212に開口する凹形状21aの各開口部の直径の平均値をDave2としたときに、|Dave1−Dave2|/Dave2≦0.5という関係を満たす。【選択図】図1

Description

本発明は、内容物が収容されるピロー包装袋に関するものである。
従来、食品等を内容物とする包装袋として様々なものが開発されてきた(例えば、特許文献1参照)。このような包装袋には、ピロー型と呼ばれるものがある。
一般的に、ピロー型の包装袋は、スナック菓子等を内容物とする場合が多い。このようなピロー型の包装袋は、これを形成する材料が可撓性を有しており、自立することが難しい。そのため、包装袋の上部等の端シール部を開封して開口部とした場合には、喫食時に包装袋を手で持ったり、開口部を横方向に向けて包装袋を寝かせて机の上等に配置したりする必要がある。そのため、複数人で喫食する際には不便であった。
実開昭60−96242号公報
そこで、複数人での喫食の際には、背シール部等のシール部を全て開封して装体をシート状に広げる場合があるが、その場合、内容物がこぼれやすいという問題や、再封できないという問題があった。
特許文献1に示した包装体は、再封可能を目的としたものであり、ピロー型の包装袋ではなく、ピロー包装袋を複数人での喫食に適するように自立させることに関しては、なんら対策が示されていない。
本発明の課題は、喫食容器として使用できるピロー包装袋を提供することである。
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
第1の発明は、少なくとも基材層とシーラント層とを備える積層フィルム(30)により構成され、前記積層フィルムの対向する一対の端縁のうち上端部(11)を封止する上端シール部(111)と、下端部(12)を封止する下端シール部とを有するピロー包装袋であって、該ピロー包装袋の外面上であって、少なくとも前記上端シール部の両端部又は前記下端シール部の両端部のいずれか一方の近傍に設けられた粘着部材(21)を備え、前記粘着部材は、その両面に複数の凹形状(21a)を備えており、前記凹形状は、前記粘着部材の両面(211、212)に均等に形成されており、前記粘着部材は、第1の面(211)に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave とし、前記粘着部材の厚み方向において前記第1の面とは反対側となる第2の面(212)に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave としたときに、|Dave −Dave |/Dave ≦0.5の関係を満たすピロー包装袋(1)である。
第2の発明は、第1の発明のピロー包装袋において、前記粘着部材(21)は、これが近接する前記上端シール部(111)又は前記下端シール部(121)からの距離が1mm以上50mm以下である、ピロー包装袋(1)である。
第3の発明は、第1の発明又は第2の発明のピロー包装袋において、前記粘着部材(21)は、前記上端シール部(111)又は前記下端シール部(121)の長さ方向において、前記上端シール部又は前記下端シール部の両端(121A,121B)から前記上端シール部又は前記下端シール部の長さの20%となる位置までの領域(R)に設けられている、ピロー包装袋(1)である。
第4の発明は、第1の発明から第3の発明までのいずれか1つのピロー包装袋において、前記粘着部材(21)上に、さらに剥離可能な保護部材(22)が積層されている、ピロー包装袋(1)である。
本発明によれば、喫食容器として使用できるピロー包装袋を提供できる。
実施形態の袋1を背面側から見た図である。 実施形態の袋1を、図1に示す矢印A−Aに沿って切断した断面を示す図である。 実施形態の粘着部20の断面を示す図である。 実施形態の袋1の使用方法を説明する図である 実施形態の袋1の使用方法を説明する図である 袋1に粘着部20を設ける方法の一例を示す図である。 粘着部材21の製造装置を示す図である。 粘着部材21の製造方法を説明する図である。 実施例の粘着部材21を被着体側(剥離性基材シート22側)の方向からみて拡大した写真である。 実施例の粘着部材21の面211に直交する方向の断面で拡大した図である。 実施例及び比較例の剥離力を示す図である。 サンプル1の観察結果を示す図である。 サンプル2の観察結果を示す図である。 サンプル3の観察結果を示す図である。 サンプル4の観察結果を示す図である。
以下、図面等を参照して、本発明の実施形態について説明する。
なお、図1を含め、以下に示す各図は、模式的に示した図であり、各部の大きさ、形状は、理解を容易にするために、適宜誇張している。したがって、図1を含め、以下に示す各図では、縮尺及び縦横の寸法比等は、実物のそれらから適宜変更されている。
本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値及び材料名等は、実施形態としての一例であり、これに限定されるものではなく、適宜選択して使用してよい。
本明細書中において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、平行や直交等の用語については、厳密に意味するところに加え、平行や直交と見なせる程度の誤差を有する状態も含むものとする。
(実施形態)
図1は、本実施形態の袋1を示す図である。図1では、袋1を背面側(後述する背シール部141が設けられた側)から見た様子を示している。
図2は、本実施形態の袋1を、図1に示す矢印A−Aに沿って切断した断面を示す図である。
図1及び図2を含め、以下に示す各図には、説明と理解を容易にするために、適宜、XYZ直交座標系を設けた。この座標系では、図1に示すように、袋1の縦方向(上下方向)をY方向とし、袋1の横方向(左右方向)をX方向とし、袋1の厚み方向をZ方向とする。
また、図1に示す袋1をその背面側から見て、右側に向かう方向をXプラス方向とし、上側に向かう方向をYプラス方向とし、背面側へ向かう方向をプラスZ方向とする。
袋(ピロー包装袋)1は、積層フィルム30をヒートシール等により製袋して形成されたピロー型の包装袋であり、その外面に粘着部20が設けられている。
袋1は、積層フィルム30の内面(袋1の内側となる面)同士を接合する複数のシール部(後述する背シール部141及び上端シール部111、下端シール部121)を備えている。これらのシール部は、袋1の内側に内容物18が収容される収容部17を形成し、この袋を封止するように構成されている。
収容部17に収容される内容物18は、例えば、食品を含む。食品の例としては、スナック菓子等の油で揚げた食品や、するめ等の乾燥させた食品を挙げることができる。
また、収容部17には、食品等の内容物18に加えて、気体が充填されていてもよい。気体の例としては、窒素等の不活性ガスを挙げることができる。収容部17に不活性ガスを充填することにより、食品が酸化して食品の風味等が劣化してしまうことを抑制することができる。
袋1は、図1において、上側(+Y側)となる上部11と、上部11に対向する下側(−Y側)となる下部12と、上部11から下部12へ延びる一対の側部13とを有する矩形状の外形を有する。また、袋1は、背面部15とその反対側(−Z側)に位置する表面部16とを有し、これらは、1枚の積層フィルム30を折り返すことによって形成されている。
さらに、袋1は、1枚の積層フィルム30の横方向(X方向)の側端縁をその内面(収容部17側となる面)同士が重ね合わされて形成された合掌部14が、背面側(+Z側)に設けられている。この合掌部14がヒートシールにより接合されることによって背シール部141が形成される。
合掌部14は、背面部15から飛び出るように形成されている。本実施形態では、図2に示すように、合掌部14は、左側(−X側)に倒され、合掌部14の左側に位置する背面部15上に重ねられている。なお、これに限らず、合掌部14は、図2において右側(+X側)に倒され、合掌部14の右側に位置する背面部15上に重ねられていてもよい。
背シール部141は、袋1の背面側(+Z側)に位置する合掌部14に形成され、1枚の積層フィルム30の横方向(X方向)の端縁を袋1の内面同士が重なり合うようして接合している(いわゆる、合掌貼りしている)。背シール部141は、合掌部14の端部142から基部143にまで及ぶようにして形成されている。
背シール部141は、袋1の縦方向(Y方向)に沿って上部11から下部12にかけて設けられている。背シール部141の延在方向は、積層フィルム30の上側端縁及び下側端縁の延在方向に略直交する。
上部11には、これに沿って延びる上端シール部111が設けられ、下部12には、これに沿って延びる下端シール部121が設けられている。これら上端シール部111及び下端シール部121は、積層フィルム30の内面同士をヒートシールにより接合し、表面部16及び背面部15を形成している。
ここで、袋1は、収容部17に内容物18が収容される前は、上端シール部111又は下端シール部112がヒートシールされていない未シール状態のシール予定部となる。本実施形態では、例えば、内容物18が収容される前は、袋1の上部11がシール予定部になっており、収容部17に内容物18が収容された後に、シール予定部がヒートシールされて上端シール部111が形成され、内容物が袋1に密閉される。
各シール部を形成する方法は、積層フィルム30の内面(袋1の内側を形成する面)同士を接合して袋1を封止することができる限りにおいて任意である。本実施形態では、加熱によって積層フィルム30の内面を構成するシーラント層を溶融させ、積層フィルム30の内面同士を溶着させる、いわゆるヒートシールにより各シール部が形成される。
図3は、本実施形態の粘着部20の断面を示す図である。
粘着部20は、粘着部材21及び剥離性基材シート(保護部材)22を備えている。
粘着部材21は、袋1の開口状態の維持及び再封に使用される部材である。粘着部材21は、剥離性基材シート22が積層される面211と、その厚み方向(Z方向)において面211の反対側であって袋1(積層フィルム30)の外面に接する面212とを有する。
粘着部20は、図1及び図2に示すように、袋1(積層フィルム30)の背面部15の外面上において、下端シール部121の長さ方向(X方向)の両端部121A,121Bの近傍にそれぞれ1つずつ設けられている。本実施形態では、粘着部20は、背面部15上であって、収容部17に重なる位置に設けられる。なお、粘着部20の配置位置は、収容部17に重なる位置に限定されるものでなく、下端シール部121上に配置されるようにしてもよい。
本実施形態の粘着部20は、図1に示すように、袋1の背面側(+Z側)から見て正方形形状である。なお、粘着部20の形状は、上述の例に限らず、例えば、三角形形状や長方形形状等の他の多角形形状、円形形状、長円形形状等としてよい。
粘着部材21は、弾性を備えており、図3に示すように、その表面等に複数の凹形状21aを有している。そして、この凹形状21aの吸着力により粘着性を発揮し、粘着部材21は、対象物に貼付可能であり、かつ、剥離して再貼付も可能となっている。また、粘着部材21自体は、粘着性(タック性)が低く、べたつき等がない。
本実施形態の粘着部材21は、袋1の背面部15の外面に、凹形状21aの吸着力により、貼付されている。
図1に示すように、袋1を背面側(+Z側)から見た場合、粘着部20(粘着部材21)は、下端シール部121から上側(+Y側)へ寸法d1[mm]離れた位置に配置されている。この寸法d1は、1mm以上50mm以下とすることが好ましい。これにより、粘着部材21が、下端シール部121形成の妨げにならず、また、下端シール部121を形成する際の熱の影響を受けにくくなる。
粘着部材21の下端シール部121からの距離となる寸法d1とは、上下方向(Y方向)において、粘着部材21の下側(−Y側)端と、下端シール部121の上側(+Y側)端との距離である。本実施形態では、寸法d1は、2mmである。
また、袋1を背面側(+Z側)から見た場合、粘着部材21(粘着部20)は、袋1の横方向(X方向)と一致する下端シール部121の長さ方向において、下端シール部121の両端部121A,121Bから下端シール部121の長さの20%となる位置までの領域Rに位置している。粘着部20をこの領域Rに設けることにより、後述する底部12C形成作業時に、袋1の下端シール部121の端部121A,121B(下部12の両端部)を十分に背面部15へ貼付できる。
本実施形態では、粘着部材21(粘着部20)は、いずれも上記領域内に位置し、かつ、袋1の横方向(X方向)において側部13からの寸法d2[mm]となる位置に設けられている。袋1の横方向(X方向)において、側部13は、端部121A,121Bに一致する。この寸法d2とは、横方向(X方向)において、側部13とこの側部13に近接する粘着部材21の側部13側の端部との距離である。本実施形態では、寸法d2は、例えば、2mmである。
剥離性基材シート22は、図2や図3に示すように、粘着部材21の厚み方向において袋1の背面部15側とは反対側(+Z側)の面211に積層されている。
剥離性基材シート22は、粘着部材21から容易に剥離可能である。また、剥離性基材シート22は、袋1を喫食容器とするために粘着部材21を使用するまでの間の取扱性を考慮して設けられるものであり、使用時に貼付対象物への粘着部材21の貼付面となる面211を保護する機能を有する保護部材である。
このような剥離性基材シート22としては、従来公知の離型フィルム、セパレート紙、セパレートフィルム、セパ紙、剥離フィルム、剥離紙等の各種形態のものを適宜使用できる。
なお、上述のように、粘着部材21自体が有する粘着性(タック性)が低いので、べたつき等がなく、粘着部20は、剥離性基材シート22を設けず、粘着部材21が露出する形態としてもよい。
この粘着部20の詳細については、後述する。
(積層フィルム30の層構成)
次に、袋1を構成する積層フィルム30の層構成について説明する。
積層フィルム30は、可撓性を有する軟包装材料であり、少なくとも基材層及びシーラント層を有している。積層フィルム30は、後述するように、さらに他の層を備えていてもよい。他の層としては、印刷層や、酸素ガスや水蒸気等の透過を阻止する(ガス)バリア層や、各層を接合する接着樹脂層等が挙げられる。バリア層としては、アルミ箔等の金属箔の他、基材上にアルミ等の金属、又は、アルミナ、シリカ等の金属酸化物を蒸着法等により薄膜形成した、蒸着フィルムが挙げられる。
基材層は、積層フィルム30の最も上側(袋1の外側)に位置している。基材層を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリプロピレン等の1軸又は2軸延伸フィルムや、紙等を用いることができる。基材層は1層でもよく、複数の層が積層されて構成されていてもよい。
シーラント層は、2つの積層フィルム30同士を重ね合わせて対向する縁部近傍をヒートシールにより接合する層である。シーラント層を構成する材料としては、ポリエチレンやポリプロピレン等を用いることができる。シーラント層は、複数の層から構成されていてもよい。シーラント層は、この積層フィルム30の厚み方向において、最も袋1の内面側となる位置に設けられる。
袋1を形成する積層フィルム30の層構成の具体例としては、以下の例が挙げられる。なお、「/」は、積層構成を列記する場合に、層と層との境界を示す表記として用いている。層構成として、外側から内側に向かってその層の略称を記載する。すなわち、最も左側に記載された層が最外層である。
また、層の略称の後の数値は、その層の層厚[μm]である。
また、層構成の具体例に記載された層の略称は、以下の通りである。
OPP:2軸延伸ポリプロピレン
AC:アンカーコート層
PE:ポリエチレン
AL:アルミニウム
AL蒸着PET:アルミニウム蒸着膜付きポリエチレンテレフタレート
CPP:未延伸ポリプロピレン
PET:ポリエチレンテレフタレート
具体例1:OPP20/印刷層/AC/PE10/AL蒸着PET12/AC/PE10/CPP18
この例は、基材層/バリア層/シーラント層の基本構成であり、OPP20が基材層を構成し、AL蒸着PET12がバリア層を構成し、CPP18がシーラント層を構成し、PE10が接着樹脂層となって、基材層/接着樹脂層/バリア層/接着樹脂層/シーラント層の5層構成となっている。この構成は、2カ所の溶融した接着樹脂層を介して、基材層とバリア層とシーラント層とを積層する、従来公知のポリエチレンサンドラミネーション法による積層構成の一例である。この場合、印刷層は、OPP/印刷層/AC/PE/AL蒸着PET/印刷層/AC/PE/CPP、の位置にも形成することができる。
具体例2:PET12/印刷層/AC/PE10/AL7/PE25
この例は、基材層/バリア層/シーラント層の基本構成であり、PET12が基材層を構成し、AL(箔)7がバリア層を構成し、PE25がシーラント層を構成している。上記同様にPE10が接着樹脂層となるが、シーラント層のPE25は押出コーティングによって形成されている、基材層/接着樹脂層/バリア層/シーラント層(押出コーティング)の4層構成となっている。
具体例3:OPP20/印刷層/PE10/CPP30
具体例4:PET16/印刷層/PE10/CPP40
この例は、基材層/シーラント層の基本構成であり、OPP20やPET16が基材層を構成し、PE10の接着樹脂層を介して、CPP30やCPP40がシーラント層を構成している、基材層/接着樹脂層/シーラント層の3層構成となっている。
積層フィルム30は、上記のポリサンドラミネーションや押出コーティングの積層構成のみならず、例えば、基材層/接着剤層/シーラント層や、基材層/接着剤層/バリア層/接着剤層/シーラント層のように、接着剤層を介して積層するドライラミネート法による積層構成であってもよい。
ここで、本実施形態の袋1の使用方法について説明する。
図4及び図5は、本実施形態の袋1の使用方法を説明する図である。図4(a)は、袋1を背面側から見た図であり、図4(b),(c)及び図5(a)は、袋1を下部12側(−Y側)から見た図であり、図4(d)及び図5(b)は、袋1を喫食容器とした場合の斜視図である。
まず、図4(a)に示すように、喫食者は、袋1の背面部15に設けられた粘着部20から剥離性基材シート22を剥離し、粘着部材21を露出させる。
次に、喫食者は、図4(b)に示すように、袋1の表面部16及び背面部15の下側をほぼ均等に折り込んで、袋1に底面を形成する。そして、喫食者は、底面の破線Bで示す直線に沿って、下部12の下端シール部121の両端部121A,121Bを、矢印Cに示すように下端シール部121の長さ方向の中央側(背シール部141側)へ折り返す。
そして、図4(c)に示すように、喫食者は、粘着部材21により、折り返した部分と、背面部15の背シール部141側(合掌部14側)の領域とを貼り合わせる。このとき、喫食者は、粘着部材21が設けられている領域を指で加圧する等して貼付する。そして、喫食者は、下端シール部121の両端部121A,121Bを指等で上部11側(+Y側)へ押し込む。
これにより、袋1には、机等への接地部分となる底部12Cが形成される。なお、この押し込む作業は、粘着部材21を背シール部141側の背面部15へ貼り付ける貼付作業を行いながら同時に行ってもよい。
次に、喫食者は、上部11近傍の背面部15及び表面部16を手で摘まむ等して、上部11の上端シール部111を開封し、図4(d)に示すように、開口部19を形成する。
袋1は、底部12Cが形成されたことにより、机の上等に安定して載置することができる。また、袋1は、開口部19が上向きであるので、多方向から内容物18を取り出しやすく、複数人での喫食に好適である。
また、粘着部材21は、背面部15の外面であって、下端シール部121の両端部121A,121Bから下端シール部121の長さの20%となる位置までの領域Rに設けられているので、上述のように下端シール部121の両端部121A,121Bを背シール部141側へ折り込んだ際に、十分に背シール部141側の背面部15に貼付できる。
これにより、袋1は、下端シール部121の両端部121A,121Bが下側(−Y側)に突出して底部12Cによる載置が不安定になることがなく、安定して机の上等に載置できる。
内容物18が少なくなった場合には、図5(a)に示すように、喫食者は、底部12Cの下端シール部121近傍となる領域D(図5(a)において破線で囲んだ領域)を、さらに上部11側(+Y側)へ押し込む。これにより、図5(b)に示すように、袋1の収容部17の深さが浅くなる。
したがって、袋1は、内容物18が少なくなった場合にも、内容物18が取り出しやすい形へ容易に変形できる。
本実施形態の粘着部材21は、再貼付及び再剥離可能である。したがって、喫食者は、袋1を喫食容器として使用する必要がなくなった場合には、粘着部材21を背シール部141(合掌部14)側の背面部15からそれぞれ剥離して、袋1を底部12Cが形成されていない状態に容易に戻すことができる。そして、再び袋1を喫食容器として使用する場合には、再度、上述のように下部12の両端部121A,121Bを背シール部141側へ折り、粘着部材21と背シール部141側の背面部15とを貼り合わせ、底部12Cを形成することが可能である。
また、袋1を廃棄する場合には、粘着部材21を背面部15から剥離して、袋1を平袋状態に戻して廃棄することができる。また、このとき、袋1から粘着部材21を容易に剥離して、分別して廃棄することができる。
なお、上述の説明では、底部12Cを形成した後に、上部11の上端シール部111を開封して開口部19を形成する例を説明したが、これに限らず、上端シール部111を開封して開口部19を形成してから、剥離性基材シート22を粘着部材21から剥離し、底部12Cを形成してもよい。
(粘着部材21の詳細について)
本実施形態の粘着部材21について詳細を説明する。
前述のように、粘着部材21は、弾性を備えており、その両面に開口した複数の凹形状21aがそれぞれ微細な吸盤として作用することから、様々な被着体に対して粘着力(吸着力)を発揮することができる。
粘着部材21は、例えば、特開2017−36404号公報に開示されている液状の樹脂組成物(アクリルエマルジョン)を用いて後述する製造方法により形成される。粘着部材21の層厚tは、1μm以上、500μm以下であることが望ましい。
上記層厚範囲の下限値を下回ると、凹形状の形成が困難になったり、凹形状の大きさが小さくなりすぎて、粘着(吸着)特性が低下したりする。また、上記層厚範囲の上限値を越えると、粘着部材21の柔軟性が低下して、被着体である積層フィルム30の変形に対する追従性が悪くなる。
さらに、粘着部材21の両面に凹形状21aを均等に設けるためには、粘着部材21の層厚tは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましい。この点については、後述する。
粘着部材21の凹形状21aの大きさや密度は、後述する製造工程における各種条件を変更することにより、調整可能である。例えば、粘着部材21は、凹形状21aが含まれる程度を表す指標として、粘着部材21の密度を用いることができる。
粘着部材21の密度としては、特に限定されないが、例えば、0.1g/cm以上、0.6g/cm以下とすることができる。また、凹形状21aの大きさは、特に限定されないが、例えば、1μm以上、300μm以下とすることができる。
剥離性基材シート22は、前述のように、従来公知の離型フィルム、セパレート等の各種形態のものを適宜使用できる。
例えば、剥離性基材シート22として、上質紙、コート紙、含浸紙、プラスチックフィルム等の片面又は両面に離型層を形成したものを用いてもよい。離型層としては、離型性を有する材料であれば、特に限定されないが、例えば、シリコーン樹脂、有機樹脂変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アミノアルキド樹脂、メラミン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂は、エマルジョン型、溶剤型又は無溶剤型のいずれもが使用できる。
離型層を備えた離型フィルムを用いる場合には、例えば、シリコーン離型タイプのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、未処理PETフィルム、PP(ポリプロピレン)フィルム、シリコーン離型タイプの紙等を用いることができる。
剥離性基材シート22の厚さは、例えば、10μm以上、100μm以下とすることが望ましく、20μm以上、60μm以下とすることがさらに望ましい。上記層厚範囲の下限値を下回ると、コシがなく、剥離しづらくなる。また、上記層厚範囲の上限値を越えると、コシが強すぎて貼り付け時の作業性が低下するからである。
また、剥離性基材シート22としては、市販のものを使用してもよく、例えば、片面にシリコーン系剥離剤による易剥離処理が施されている厚さ38μmのポリエステルフィルム(三井化学東セロ株式会社製、商品名:SP−PET−01)等が挙げられる。
図6は、袋1に粘着部20を設ける方法の一例を示す図である。図6では、粘着部20となる両面テープ40の厚み方向に沿った断面を示している。
粘着部材21は、図6(a)に示すように、面211に前述の剥離性基材シート22が積層され、面211に対向する面212に剥離性基材シート23が積層された状態の両面テープ40として用意される。この剥離性基材シート23は、剥離性基材シート22と同様の部材である。
粘着部20を袋1の外面に設ける際には、剥離性基材シート23を剥離する(図6(b)参照)。そして、露出した面212を、積層フィルム30(袋1)の外面の所定の位置に載置し、粘着部材21に適度な圧力を加える。これにより、粘着部材21の面212に多数存在する凹形状21aが弾性変形することにより、従来のマイクロ吸盤と同様な作用によって積層フィルム30に対して吸着(粘着)することとなる(図6(c))。
すなわち、凹形状21aの周囲の弾性変形によって、凹形状21aには、変形状態から元の形状に戻ろうとする力が働く。この力により、凹形状21a内の密閉空間が負圧となって、積層フィルム30への吸着作用が生じる。
なお、凹形状21a単体での吸着力は、弱いものであるが、多数の凹形状21aが形成されているので、全体としては必要な吸着力を確保できる。また、粘着部材21の作製時に、凹形状21aが含まれる量を、例えば、密度をパラメータとして調整すれば、粘着部材21の粘着力(吸着力)を調整可能である。
次に、粘着部材21の製造方法について説明する。
図7は、粘着部材21の製造装置を示す図である。
図8は、粘着部材21の製造方法を説明する図である。
先ず、粘着部材21を形成するための特開2017−36404号公報に開示されているアクリルエマルジョンの組成物を攪拌機に入れ、この組成物中に窒素ガスを混合しながら攪拌を行い、組成物中に気泡を含め、気泡含有組成物210を作製する(図中のP1:泡立て工程)。
次に、剥離性基材シート23上に気泡含有組成物210を塗工する(図中のP2:塗工工程)。塗工工程では、例えば、コンマコータを用いることができるが、その他の公知の塗工手法を用いてもよい。
剥離性基材シート23上に気泡含有組成物210を塗工したら、気泡含有組成物210を加熱しながら乾燥させて粘着部材21を形成する(図中のP3:乾燥工程)。
乾燥工程では、例えば、温度を60℃〜140℃程度の乾燥炉を用いることができる。乾燥時間としては、例えば、30秒〜10分程度を例示することができる。
また、乾燥工程では、気泡含有組成物210に対して送風を行いながら乾燥を促進してもよい。乾燥工程を行うことにより、気泡含有組成物210の両面に凹形状21aが形成されて、粘着部材21が形成される。この凹形状21aは、気泡含有組成物210中に含まれていた気泡が破泡して気泡の形状の一部が残ることにより形成される。
ここで、気泡含有組成物210の硬化が不十分な状態で気泡が破泡すると凹形状21aが残りにくくなる。一方、気泡が破泡する前に気泡含有組成物210が硬化してしまうと、凹形状21aが形成されないおそれがある。よって、ある程度、気泡含有組成物210の硬化が進んだ状態で破泡が行われる条件で乾燥工程が行われることが望ましい。したがって、乾燥工程における温度や送風量が、凹形状21aの状態に大きく影響を与える。
乾燥工程により粘着部材21を形成した後、別途用意した剥離性基材シート22を粘着部材21と接合させる(図中のP4:ラミネート工程)。
このラミネート工程では、粘着部材21の凹形状21aによる吸着力(粘着力)によってラミネートを行うので、加熱が不要であり、また、僅かな加圧力だけで接合が可能である。
上記ラミネート工程が完了すれば、粘着部材21を備える両面テープ40が完成する。なお、この両面テープ40は、その後、ロール状に巻き取られ、袋1(積層フィルム30)への貼付時に裁断されてもよいし、予め必要なサイズに裁断されてもよい。
上述のように製造された両面テープ40から剥離性基材シート23を外して粘着部材21の面212を露出させ、シール部形成前の積層フィルム30の背面部15となる領域の外面の所定の位置に貼付することにより、粘着部20が袋1(積層フィルム30)の外面に設けられる。
なお、粘着部材21は、直接、袋1を構成する積層フィルム30の外面(袋1の外面となる面)上に形成されるようにしてもよい。例えば、積層フィルム30の所定の領域に、上述の気泡含有組成物210を粘着部材21の外形形状に合わせてパターン状に塗工して、乾燥、硬化させることによって、積層フィルム30上に直接、粘着部材21を形成することができる。これにより、少なくとも上述の剥離性基材シート23を省略することができ、袋1に係る材料費等のコストを低減することができる。
次に、本実施形態の粘着部材21を実際に作製した例を示し、比較例と比較した結果を説明する。
実施例の粘着部材21では、剥離性基材シート22である離型性を備えた2軸延伸PETフィルム上に、200μmのクリアランスを有するコンマコータを用いて泡立て工程済みの気泡含有組成物210を塗布した。これを100℃の乾燥路内で1分間乾燥を行って粘着部材21を形成し、剥離性基材シート23をラミネートした。なお、この場合の粘着部材21の密度は、0.39g/cmであり、厚さ50μmであった。
図9は、実施例の粘着部材21を被着体側(剥離性基材シート22側)の方向からみて拡大した写真である。
図10は、実施例の粘着部材21の面211に直交する方向の断面で拡大した図である。
図9及び図10に示すように、粘着部材21には、多数の凹形状21aが形成されていることが確認できる。
比較例1として、泡だけ工程を行わない他は、上記実施例と同様にして作製した粘着部材を作製した。作製後の粘着層の密度は、0.87g/cmであり、厚さ100μmであった。
比較例2として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK2094を用いて粘着部材を作製した。
比較例3として、アクリル樹脂である綜研化学社製:SK1502Cを用いて粘着部材を作製した。
以上の4種類の粘着部材を用意し、剥離力について比較した。
図11は、実施例及び比較例の剥離力を示す図である。
図11中の剥離力は、引っ張り試験機を用いて、引っ張り速度300mm/minで180°剥離を行って、そのときの剥離力を測定した結果である。また、剥離力の測定は、貼り付け直後(0時間)と、貼り付け後1000時間経過とについて行った。
実施例では、貼り付け直後及び1000時間経過後の双方において、比較的小さな剥離力で剥離できることがわかる。この程度の剥離力であれば、自然に剥がれてしまうことはなく、かつ、剥がそうとして力を加えれば簡単に剥がすことが可能である。しかも、凹形状21aによる吸着であることから、剥離後に被着体表面に粘着部材21の残留が無く、また、粘着部材21自体の粘着力(剥離力)も実質上の変化は無く、再貼り付け可能であった。
比較例1は、小片であれば比較的小さな剥離力で剥離できるが、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であった。また、剥離後には被着体表面に粘着層の残留が見られ、完全な再貼り付けは不可能であった。
比較例2は、大サイズの場合は剥離にある程度の力が必要であり、貼り付け直後であれば、剥がすことは可能であるが、1000時間経過後では、剥離力が大幅に上昇してしまっており、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと粘着部材が破損したりするおそれがある状態になっていた。
比較例3は、貼り付け直後から剥離力が大きすぎて、手作業では剥離が困難であったり、無理に剥がすと粘着部材が破損したりするおそれがある状態になっていた。
また、比較例2及び比較例3のいずれも、剥離後は、被着体に粘着材が一部残ってしまったり、粘着力の低下があったりして、再貼り付けには適していなかった。
(粘着部材21の凹形状21aについて検証実験)
上述したように、本発明において、粘着部材21の凹形状21aが、粘着力に大きな影響を与える。凹形状21aが粘着部材21の両面に均等に設けられていないと、粘着部材21の一方の面が他方の面に比べて粘着力(吸着力)が低下、又は、増加してしまうおそれがある。また、凹形状21aが粘着部材21の両面に均等に設けられることにより、粘着部材21の物理的性質も均質になり、剥離性基材シート22と背面部15(積層フィルム30)、又は、合掌部14側の背面部15と側部13側の背面部15(いずれも積層フィルム30)との両者に対する十分な粘着力及び再剥離性の発現の上でも好ましい。
凹形状21aを粘着部材21の両面に均等に設けるためには、粘着部材21の塗布量(層厚t)の管理が重要である。この点、特開2017−36404号公報においては、何ら考慮されておらず、単にマイクロ吸盤が形成されていればよいとされている。特開2017−36404号公報では、WET膜厚800μmとして形成した実施例1の断面写真である図2(特開2017−36404号公報の図2)において、マイクロ吸盤を有する面として示されている部分には、微細な吸盤構造が形成されているものの、ガラス基板から剥離した面として示されている部分には、先の微細な吸盤構造とは比べものにならない程巨大な気泡と思われる構成が確認できる。すなわち、特開2017−36404号公報の構成では、粘着層の一方の面にはマイクロ吸盤(本実施形態における凹形状21aに相当)が形成されているが、他方の面には、マイクロ吸盤(凹形状21a)が略形成されていない。
この点を本件出願人においても、検証実験を行なった。
検証実験として、4種類の粘着層のサンプルを作製し、その両面の凹形状21aをSEMで観察した。サンプルは、以下の4種類である。
サンプル1:粘着層の層厚t=25μm
サンプル2:粘着層の層厚t=30μm
サンプル3:粘着層の層厚t=35μm
サンプル4:粘着層の層厚t≒2000μm
なお、上記サンプルの層厚は、乾燥後の層厚である。また、サンプル1〜3については、コーターを用いてガラス面に発泡処理後の気泡含有組成物を塗工し、100度の乾燥炉を用いて乾燥処理を行なった。サンプル4については、ガラス面への滴下塗布とし、常温下の自然乾燥とした。なお、サンプル4について乾燥条件を変えたのは、特開2017−36404号公報における常温乾燥で十分であるとの記載についても検証するためである。また、いずれのサンプルも、発泡処理後の粘着層の密度は、0.4g/cmとした。
図12は、サンプル1の観察結果を示す図である。
図13は、サンプル2の観察結果を示す図である。
図14は、サンプル3の観察結果を示す図である。
図15は、サンプル4の観察結果を示す図である。
図12から図14のように、粘着部材21の層厚tを管理したサンプル1からサンプル3については、微細な凹形状21aが両面に均等に形成されていることが確認できた。
これに対して、図15に示す膜厚が厚いサンプル4では、乾燥面とガラス側面とで凹形状21aの大きさに極端な差異が認められ、特開2017−36404号公報の図2と同様な結果が得られた。
よって、粘着部材21の両面に凹形状21aを均等に設けるためには、粘着部材21の層厚tは、20μm≦t≦40μmの範囲とすることが望ましいと判断できる。
ここで、この凹形状21aが粘着部材21の両面に均等に設けられている状態について、より詳しくは、以下に示すような関係を満たすことが望ましい。
粘着部材21の剥離性基材シート22側となる面211を第1の面とし、この第1の面に開口する凹形状21aの各開口部の直径の平均値をDave とし、剥離性基材シート23側(積層フィルム30側)となる面212を第2の面とし、この第2の面に開口する凹形状21aの各開口部の直径の平均値をDave としたときに、
|Dave −Dave |/Dave ≦0.5
の関係を満たすことが望ましい。
また、
|Dave −Dave |/Dave ≦0.25
の関係を満たすことがさらに望ましい。
これらの関係を満たすことにより、粘着部材21の両面における粘着力の差異を少なくすることができ、また、両面が面する剥離性基材シート22と剥離性基材シート22、又は、積層フィルム30と剥離性基材シート22、積層フィルム30と積層フィルム30の両者に対する十分な粘着力及び被着体との再剥離性を良好に発現させることができる。
なお、各開口部の直径の平均値とは、全ての開口部の平均を求めることは現実的には不可能であるので、ここでは、1500μm×1100μmの観察範囲内において、直径が大きい開口部から順に3個の開口部について直径の計測を行ない、その平均値とした。
ここで、図12から図15のサンプルについて、開口部の計測を行ない、|Dave −Dave |/Dave を求めたところ、サンプル1:0.04、サンプル2:0.06、サンプル3:0.12、サンプル4:0.69であった。
本発明の粘着部材21は、前述のように、多数の凹形状を有することに由来する吸盤粘着機能を発揮する。このため、相対的に粘着部材21の材料由来の粘着性が小さく、凹形状を有しない通常の粘着部材に比べてタック性が低いという特徴を有する。したがって、袋1の外面に粘着面となる面211が露出するような使用態様であっても、粘着面(面211)のべたつきを防止でき、かつ、側部13側の背面部15に粘着する際には十分な粘着性を発揮することが可能となる。このため、粘着部材21は、粘着面となる面211が露出する態様に好適に使用することができ、粘着部20は、剥離性基材シート22を備えない態様で、すなわち、面211が露出した状態で、袋1に設けられていてもよい。
上述したように、粘着部材21については、凹形状21aの開口部の形成条件によって粘着性の調整が可能である。そして、粘着部材21の凹形状21aの開口部の形成状態を変えることによって、粘着作用の発現の仕方として、以下に示す2種類(Type A、Type Bと分類する)の粘着部材を作製することができる。
Type A:粘着力が吸盤作用によって発現し、かつ、粘着剤自体の粘着性も粘着力に寄与する粘着部材。このType Aの粘着部材では、粘着剤自体の粘着性によって、若干の「べたつき」触感が生じる。
Type B:粘着力が吸盤作用によって発現するが、粘着剤自体の粘着性は粘着力に寄与しない、又は、粘着剤自体の粘着性が発現しない粘着部材。このType Bの粘着部材では、粘着剤自体の粘着性が粘着力として作用しないことから、「べたつき」触感は生じない。
上記「べたつき」の評価に有効な粘着性試験である傾斜式ボールタック試験(JIS Z 0237)を上記2種類の粘着部材について行った。傾斜式ボールタック試験の概要は、以下の通りである。
まず、得られた粘着部材を幅25mm、長さ100mmに裁断した試験体を準備した。次に、ボールタック試験機(テスター産業株式会社製)に、粘着面が表面になるように試験体をセットした(粘着面の傾斜角が30°)。さらに、23℃雰囲気下で、ボールタック試験機にセットされた試験体の粘着表面の測定面領域を通過するように鋼球を転がす(測定面の長さは、100mm)。このとき、鋼球は、直径が1/32インチから1インチまでの大きさのものを用いた。そして、これらの鋼球を転がした際に測定面の領域内で停止するような鋼球のうち、最大径のボールナンバーの値を特定した。ボールナンバーは、鋼球の直径を32倍することで求められる。下記のボールタック試験の各数値は、ボールナンバーの値を示す。
本実施形態の粘着部材21についての傾斜式ボールタック試験の結果を以下に示す。
Type A:9(ボールNo.9)
Type B:粘着剤自体の粘着性がないため、ボールNo.1以上のボールは全て転がり落ちる。つまりボールタックの評価は1未満である。
粘着部材としての利用形態には様々な形態があることから、Type AとType Bに単純に優劣をつけることはできず、利用形態に応じて適宜選択するとよい。なお、Type Aについては、再剥離、再貼り付けの利便性を考慮すると、ボールタック試験結果として、5〜10が好ましく、6〜9がより好ましく、7〜8がさらに好ましい。
上述の実施形態の袋1では、粘着部材21の粘着面を表出させた状態で使用する場合が多いので、「べたつき」触感は望ましくない。したがって、粘着部材21としては、上述のType Bを用いることが望ましい。
以上説明したように、本実施形態の袋1は、両面に気泡に基づく凹形状21aが複数形成された粘着部材21を、下端シール部121の両端部121A,121B近傍に備えている。この粘着部材21の粘着力は、凹形状21aの吸着力によるものであり、再剥離、再貼付が可能である。
したがって、本実施形態によれば、上述のように、下端シール部121の両端部121A,121Bを中央側(背シール部141側)へ折り込んで底部12Cを形成することにより、容易に袋1を喫食容器とすることができる。また、袋1を、元の底部12Cを備えていない状態へ戻し、再度底部12Cを形成して喫食容器とすることも可能である。
また、本実施形態によれば、凹形状21aは、微細なサイズであって多数設けられていることから、被着体(本実施形態では積層フィルム30)の表面に多少の凹凸が有ったとしても、粘着力(吸着力)を発揮することができる。
また、本実施形態によれば、粘着部材21の粘着力は、凹形状21aの吸着力によるものであり、粘着部材21自体は粘着性を有していないので、粘着部材21を剥離した後の背面部15(積層フィルム30)の表面には、糊残りのような現象は発生せず、そのまま再貼付を行うことができる。
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
(1)実施形態において、粘着部材21(粘着部20)は、下端シール部121の両端部121A,121Bの近傍に配置される例を示したが、これに限らず、上端シール部111の両端部近傍に配置し、下端シール部121を開封して開口部を形成してもよい。
また、粘着部材21は、下端シール部121の両端部121A,121B近傍と上端シール部111の両端部近傍との合計4か所に配置してもよい。このような形態とした場合には、上部11、下部12のどちらに開口部を形成するかを喫食者が選択できる。
(2)実施形態において、袋1は、1枚の積層フィルム30によって構成される例を示したが、これに限らず、複数枚の積層フィルム30を用いて構成されてもよい。
(3)実施形態において、2つの粘着部材21(粘着部20)は、袋1の左右方向(X方向)において、側部13からの寸法d2が同じである例を示したが、これに限らず、下端シール部121の端部121A又は端部121Bから下端シール部121の長さの20%となる位置までの領域R内に位置するのであれば、寸法d2が異なっていてもよい。
(4)実施形態において、粘着部20は、下端シール部121の両端部121A,121B近傍にそれぞれ1つずつ設けられる例を示したが、これに限らず、左右方向(X方向)に2つ以上ずつ配列して設ける等してもよい。
(5)実施形態において、袋1は、ピロー型の包装袋である例を示したが、このピロー型の包装袋とは、側面部を備えるガゼットピロー型の包装袋も含まれる。したがって、袋1は、ガゼットピロー型の包装袋としてもよい。
(6)実施形態において、袋1は、背シール部141が位置する背面部15の外面上に粘着部材21が設けられる例を示したが、これに限らず、表面部16の外面上に設けられる形態としてもよい。
なお、本実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。また、本発明は以上説明した実施形態等によって限定されることはない。
1 袋
11 上部
111 上端シール部
12 下部
121 下端シール部
121A、121B 端部
13 側部
14 合掌部
141 背シール部
15 背面部
16 表面部
17 収容部
18 内容物
19 開口部
20 粘着部
21 粘着部材
22,23 剥離性基材シート
30 積層フィルム

Claims (4)

  1. 少なくとも基材層とシーラント層とを備える積層フィルムにより構成され、前記積層フィルムの対向する一対の端縁のうち上端部を封止する上端シール部と、下端部を封止する下端シール部とを有するピロー包装袋であって、
    該ピロー包装袋の外面上であって、少なくとも前記上端シール部の両端部又は前記下端シール部の両端部のいずれか一方の近傍に設けられた粘着部材を備え、
    前記粘着部材は、その両面に複数の凹形状を備えており、
    前記凹形状は、前記粘着部材の両面に均等に形成されており、
    前記粘着部材は、第1の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave とし、前記粘着部材の厚み方向において前記第1の面とは反対側となる第2の面に開口する前記凹形状の各開口部の直径の平均値をDave としたときに、
    |Dave −Dave |/Dave ≦0.5
    の関係を満たすピロー包装袋。
  2. 請求項1に記載のピロー包装袋において、
    前記粘着部材は、これが近接する前記上端シール部又は前記下端シール部からの距離が1mm以上50mm以下である、ピロー包装袋。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のピロー包装袋において、
    前記粘着部材は、前記上端シール部又は前記下端シール部の長さ方向において、前記上端シール部又は前記下端シール部の両端から前記上端シール部又は前記下端シール部の長さの20%となる位置までの領域に設けられている、ピロー包装袋。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1つに記載のピロー包装袋において、
    前記粘着部材上に、さらに剥離可能な保護部材が積層されている、ピロー包装袋。
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