JP6719254B2 - リチウムイオン電池 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、軽量、高エネルギー及び長寿命であることが大きな特徴であり、例えばノートブックコンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の携帯用電子機器の電源として広範囲に用いられている。また、低環境負荷社会への移行に伴い、ハイブリッド型電気自動車(Hybrid Electric Vehicle:HEV)及びプラグインHEV(Plug−in Hybrid Electric Vehicle:PHEV)の電源、更には住宅用蓄電システム等の電力貯蔵分野においても注目されている。
ところで、従来、リチウムイオン二次電池の電解質には、リチウム塩を有機溶媒に溶解した有機電解液が用いられており、漏液に伴う安全性の懸念があった。
電解液の代わりに固体電解質を用いることで、正極材、電解質および負極材をすべて固体とした全固体電池は、可燃性の電解液が不要になり安全性が飛躍的に向上した技術として提案されている。
全固体電池に用いる固体電解質としては、例えば、高いリチウムイオン伝導性から硫化物系材料を用いた技術の開示がある。しかしながら、硫化物系材料は化学的安定性に乏しく、大気暴露において硫化水素が発生したり、硫化物系固体電解質と正極材とを直接接触させた場合、境界面に、リチウムの存在しない、厚さ数ナノメートルの「欠乏層」が出現し、出力特性が著しく低下したりするなどの課題がある。さらに、硫化物系固体電解質は柔軟性を有するため、加圧により粒子間の界面抵抗を減らして高いリチウムイオン伝導性を得ているが、加圧の際に短絡が発生しやすい。そのため、一定厚み以上を確保する必要があり、固体電解質層を薄くして活物質充てん量を増やすことで電池としての電気容量を増やす観点から問題があった。
上記課題に対して、リチウムイオン伝導性を有し、化学的に安定なガーネット型酸化物、LISICON型の酸化物など金属酸化物系の材料を固体電解質として用いる試みがなされている。しかしながら、酸化物系材料は柔軟性に乏しく加工が難しいため、硫化物系固体電解質のように加圧操作により粒界の抵抗を減少させてイオン伝導性を高めることは困難である。さらに、酸化物系材料は脆性材料であるため加工性に劣り、固体電解質層を薄くすることが難しく、そのため、全固体電池として活物質の充てん量を増やし電池としての電気容量を増やすことが困難であった。
上記したような、無機固体電解質の課題を解決するために、絶縁性の高分子を用いて無機固体電解質粒子を結着し、高いイオン伝導性と優れた加工性を得る試みがなされている。例えば特許文献1には、ポリエチレン、ポリプロピレン、スチレンブタジエンゴム、ネオプレンゴム、シリコンゴムの群から選ばれるいずれか一種以上の可塑性材料で無機固体電解質の粒子を結着した固体電解質の技術の開示がある。また、特許文献1に示されるような粒子1個の厚さからなる層を電極間の短絡を発生させずに製造することは困難であるために、特許文献2では、ホッピングサイトを高密度に有する高分子を用いることで、複数個の粒子が層の厚さ方向に充填されていてもイオン伝導経路が遮断されることが無く電極間の短絡発生が少ない技術の開示がある。
特開昭63−78405号公報 特開2001−297796号公報
前記したように、化学的安定性の高い結晶性酸化物系無機固体電解質の層を、加工性を維持しつつ、薄い層として得て、全固体リチウムイオン電池を作動させる技術はこれまでに無く、安全性の高い酸化物系無機固体電解質を用いた全固体リチウムイオン電池を得る技術が望まれていた。
本発明はこのような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、イオン伝導性を高めた酸化物系固体電解質を組み込んだリチウムイオン電池を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究し、実験を重ねた。その結果、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を有し、かつ、粒子界面にリチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物が被覆された固体電解質層を用いることで、安全性が高く固体電解質層を薄くでき、これにより電池としての高い電気容量を有する全固体リチウムイオン電池が得られることを見出し、本発明を成すに至ったものである。
すなわち、本発明は以下のとおりのものである。
[1]
正極と負極と固体電解質層とを備え、
前記固体電解質層は、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を有し、かつ、前記無機固体電解質粒子の表面の少なくとも一部が、リチウム塩を含んだポリエチレンオキシドで被覆されており、
前記無機固体電解質粒子が、γ−LiPO 型酸化物、逆蛍石型酸化物、NASICON型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、ガーネット型酸化物からなる群から選ばれることを特徴とするリチウムイオン電池。
[2]
前記固体電解質層がシート状である、[1]に記載のリチウムイオン電池。
[3]
前記リチウム塩を含んだポリエチレンオキシドが正極活物質と結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の間、および負極活物質と結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の間の両方に存在する、[1]または[2]に記載のリチウムイオン電池。
[4]
結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を有し、かつ、前記無機固体電解質粒子の表面の少なくとも一部が、リチウム塩を含んだポリエチレンオキシドで被覆されており、
前記無機固体電解質粒子が、γ−LiPO 型酸化物、逆蛍石型酸化物、NASICON型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、ガーネット型酸化物からなる群から選ばれることを特徴とする、リチウムイオン電池用の固体電解質。
本発明に係る形態を有する固体電解質層を用いることにより、安全性と高い電池容量を有する全固体リチウムイオン電池を提供することができる。
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池の一例を概略的に示す断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。尚、本明細書において「〜」を用いて記載される範囲は、その前後に記載される数値を含むものである。
図1は、本実施形態におけるリチウムイオン電池の一例を示す概略断面図である。
このリチウムイオン電池(リチウムイオン二次電池)100は、固体電解質層110と、その固体電解質層110を両側から挟む正極140および負極150と、さらにそれらの積層体を挟む正極集電体160(正極の外側に配置)と、負極集電体170(負極の外側に配置)と、それらを収容する電池外装180とを備える。
そして本発明のリチウムイオン電池100では、固体電解質層110が、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子120が一層に配列した構造を有し、かつ前記粒子120の表面の少なくとも一部が、リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物130で被覆されていることを特徴とする。
本発明では、固体電解質層を、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を有し、かつ、粒子表面にリチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物が被覆されたものとすることで、安全性が高く固体電解質層を薄くでき、これにより電池としての高い電気容量を有する全固体リチウムイオン電池を実現することができる。
[正極]
正極は、正極活物質を含み、必要に応じて導電助剤、バインダー、イオン伝導性を高めるための無機固体電解質、高分子ゲル電解質、高分子電解質、添加剤などを含めることができる。
正極活物質としては、一般的なリチウムイオン電池に用いられる正極活物質を用いることができる。具体的には、層状岩塩型正極材料であるLiCoOなどのLi−Co複合酸化物、LiNiOなどのLi−Ni複合酸化物、これらから派生したニッケル系化合物LiNi(Co、Al)O、三元系化合物LiNi1/3Mn1/3Co1/3、ニッケルマンガン系化合物であるLiNi0.5Mn0.5、リチウム過剰系化合物LiMnO−LiMO(M=Co、Ni、Mn)、スピネル型正極材料であるLiMn、LiMn1.5Ni0.5、オリビン系正極材料であるLiFeO、LiMnPO、LiMSiO(Mは遷移金属)、LiMPOF(Mは遷移金属)、高容量系正極材料である酸化バナジウム系、硫黄系の正極材を用いることができる。
正極は、リチウムイオン二次電池の正極として作用するものであれば特に限定されず、例えば、下記のようにして得られる。
先ず、上記正極活物質を、必要に応じて用いられる他の成分(例えば導電助剤、バインダー等)とともに混合した正極合剤を溶剤に分散させて正極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この正極合剤含有ペーストを正極集電体に塗布し、乾燥して正極合剤層を形成し、更に必要に応じて加圧して厚みを調整することにより、正極が作製される。
正極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助剤としては、例えば、グラファイト;アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック;炭素繊維等が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは10nm〜10μm、より好ましくは20nm〜1μmである。
バインダーとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
前記正極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。
前記正極集電体は、例えば、アルミニウム箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。これらの材料にカーボンコートが施されたもの、これらの材料をメッシュ状に加工されたものでもよい。
必要であれば、固体電解質とのリチウムイオン伝導性を保つためにリチウムイオン伝導性を有する物質で粒子間を満たす方法を用いることができる。リチウムイオン伝導性を有する物質としては、例えば、非晶質のリチウムイオン伝導性を有する物質を用いることができ、非晶質のリチウムイオン伝導性を有する物質としては、ポリマー電解質、非晶質でリチウムイオン伝導性を有する無機化合物を用いることができる。
[負極]
負極としては、リチウムイオン二次電池の負極として作用するものであれば特に限定されず、公知のものを用いることができる。
負極は、負極活物質としてリチウムイオンを吸蔵及び放出することが可能な材料及び金属リチウムからなる群より選ばれる1種以上の材料を含有することが好ましい。そのような材料としては、金属リチウム、リチウムと合金を形成することが可能な元素を含む材料等の金属材料の他;
例えば、アモルファスカーボン(ハードカーボン)、人造黒鉛、天然黒鉛、黒鉛、熱分解炭素、コークス、ガラス状炭素、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭、グラファイト、炭素コロイド、カーボンブラックに代表される炭素材料が挙げられる。これらのうち、コークスとしては、例えば、ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等が挙げられる。有機高分子化合物の焼成体とは、フェノール樹脂、フラン樹脂等の高分子材料を適当な温度で焼成して炭素化したものである。炭素材料には、炭素以外にも、O、B、P、N、S、SiC、BC等を含有する異種化合物が含まれていてもよい。異種化合物の含有量としては、負極活物質の全体に対して、0〜10質量%であることが好ましい。前記リチウムと合金を形成することが可能な金属材料は、金属又は半金属の単体であっても合金であっても化合物であってもよく、また、これらの1種又は2種以上の相を少なくとも一部に有するようなものであってもよい。
負極活物質の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。
負極は、例えば、下記のようにして得られる。
先ず、上記負極活物質を、必要に応じて用いられる他の成分(例えば導電助剤、バインダー等)とともに混合した負極合剤を溶剤に分散させて負極合剤含有ペーストを調製する。次いで、この負極合剤含有ペーストを負極集電体に塗布し、乾燥して負極合剤層を形成し、更に必要に応じて加圧して厚みを調整することにより、負極を作製する。
ここで、負極合剤含有ペースト中の固形分濃度は、好ましくは30〜80質量%であり、より好ましくは40〜70質量%である。負極集電体は、例えば、銅箔、ニッケル箔、ステンレス箔等の金属箔により構成される。
負極の作製にあたって、必要に応じて用いられる導電助剤としては、例えば、グラファイト;アセチレンブラック及びケッチェンブラックに代表されるカーボンブラック;炭素繊維等が挙げられる。導電助剤の数平均粒子径(一次粒子径)は、好ましくは0.1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜10μmである。バインダーとしては、例えば、PVDF、PTFE、ポリアクリル酸、スチレンブタジエンゴム、フッ素ゴム等が挙げられる。
必要であれば、固体電解質とのリチウムイオン伝導性を保つために、リチウムイオン伝導性を有する物質で粒子間を満たす方法を用いることができる。リチウムイオン伝導性を有する物質としては、例えば、非晶質のリチウムイオン伝導性を有する物質を用いることができ、非晶質のリチウムイオン伝導性を有する物質としては、ポリマー電解質、非晶質でリチウムイオン伝導性を有する無機化合物を用いることができる。
[固体電解質層]
本発明の固体電解質層は、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を有し、かつ、粒子表面の少なくとも一部にリチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物が被覆されたものとする。
なお、以下の説明では、「結晶性酸化物系無機固体電解質粒子」を「固体電解質粒子」あるいは単に「粒子」等と記す場合もある。
固体電解質粒子は、リチウムイオン伝導性を有する結晶性酸化物系無機固体電解質であればいずれのものも用いることができる。例えばγ−LiPO型酸化物、逆蛍石型酸化物、NASICON型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、ガーネット型酸化物が用いられ、NASICON型酸化物であるLi1.3Ti1.7(PO、ペロブスカイト型酸化物であるLa2/3−xLi3xTiO、ガーネット型酸化物であるLiLaZr12が好ましく用いられる。イオン伝導性を高める目的、化学的な安定性を高める目的、加工性を高める目的で、上記基本結晶構造に対して置換、ドープにより元素を置換した結晶性酸化物系固体電解質粒子も用いることができる。好ましくはNASICON型酸化物Li1.3Ti1.7(PO、ガーネット型酸化物LiLaZr12が用いられ、最も好ましくはガーネット型酸化物の元素置換体Li6.25Al0.25LaZr12、LiLaZr2−xNb12(0<X<0.95)、LiLaZr2−xTa12(0<X<0.95)が用いられる。
結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の形状としては球形、不定形いずれも用いることができる。結晶性酸化物系無機固体電解質粒子は、高いイオン伝導性を確保するために高い密度が好ましく、各結晶性酸化物系無機固体電解質の相対密度が80〜100%のものが用いられる。好ましくは相対密度90〜100%のものが用いられ、最も好ましくは相対密度95〜100%のものが用いられる。ここで相対密度とは、液体置換法、ガス置換法等の一般的な測定法で求めた試料の「真密度」を実測密度としてXRD測定法等から求めた格子定数値から得られた理論密度から、
相対密度(%)=(試料実測密度/理論密度)×100
により求められる。相対密度を80%以上とすることで、結晶粒子中の粒界に由来する抵抗やボイドに由来する抵抗が低減して、粒子自身のリチウムイオン伝導性が向上する。100%以下とすることで、粒子の粒界やボイドを低減させるための高い温度での加熱、高い圧力での圧縮になどの煩雑な操作の負荷を減らすことができる。
粒子が一層に配列した構造とは、その単一の粒子が層の厚み方向に1つ、層内方向に多数が配列した構造を意味するが、粒子が割れて複数の粒子となって存在したり、比較的扁平な粒子が重なったりする等、層の厚み方向の粒子が1つでない場合も、層内方向の全粒子数に対して最大で15%以下存在してもよく、5%以下存在することが好ましい。
固体電解質層は粒子が一層に配列した構造であれば良く、粒子同士は固着していても独立した状態で存在していても用いることもできる。独立した状態で存在した場合の粒子間の空間は何もない状態で用いることができるが、必要に応じてデンドライト生成に伴う電池短絡を防ぐために、非晶性の絶縁物、例えば絶縁性の樹脂等で満たして用いることもできる。粒子同士が固着した状態としてはシート状として用いることができる。シート状とは、例えば、長さおよび幅に比較して極めて薄い平面状のことをいう。通常、厚さ0.2mm以上のものをシート状、それ未満をフィルム状というが、本明細書では両方を含めてシート状とする。粒子同士の固着は、非晶質の樹脂、無機化合物などを用いることができる。
また、本発明の電解質層を用いることにより、セルの厚みは同じで電解質層を薄くすれば電極活物質を多く詰め込めるようになり、電池としての電気容量を高めることができる。
粒子を一層に配列させる方法としては、例えば、粘着層の上に粒子を載せ、粘着層に固定されていない粒子を除去することにより、粒子が一層に配列した構造とすることができる。粘着層としては、粘着テープ、基板の上に除去が容易なグリース等を塗布したものも用いられる。粘着層に固定されていない粒子の除去方法としては、粒子の載った粘着層ごと反転させることにより、固定されていない粒子を落下させて除去する方法、気体の噴射等により、粘着層に固定されていない粒子を吹き飛ばして除去する方法などを用いることができる。一層に配列させた粒子層の固定化方法としては、例えば、樹脂を用いてホットメルトで固定化する方法、溶媒に溶解させた樹脂を粒子層に塗布するキャストによる方法を用いることができる。イオン伝導性非晶性化合物をあらかじめ結晶性酸化物系無機固体電解質粒子に被覆し、粒子を一層に配列させた後、熱処理等により固定化させることもできる。短絡が生じなければ、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子は必ずしも粒子同士が結着している必要はなく、例えば正極または負極に単粒子層が形成された形態においても用いることができる。
一層に配列させた粒子層を、樹脂を用いて固定化することで、固体電解質層は可撓性を有するシート状となり、電池の変形にも追従することができる。
なお、一層に配列させた粒子層を、樹脂を用いて固定化する場合、固体電解質層のリチウムイオン伝導性を確保するために、シートの両側に粒子が露出している必要がある。粒子が樹脂で被覆されている場合、エッチング法等を用いて粒子を露出させることができる。
結晶性酸化物系無機固体電解質粒子のサイズは平均粒子径5〜100μmの粒子が用いられ、好ましくは平均粒子径10〜80μmが用いられ、20〜50μmの粒子が最も好ましく用いられる。粒子径を5μm以上とすることで、固体電解質層の物理的強度が高まり加工時の短絡を防ぐことができる。粒子径を100μm以下とすることで、正極および負極間の十分なリチウムイオン伝導性が得られるようになる。
固体電解質層の固体電解質単粒子による面内被覆率は、単位単粒子層面積の内、粒子で占める面積の比率で表される。被覆率は50〜98%の範囲で用いられ、好ましくは60〜90%の範囲で用いられる。被覆率50%以上とすることで、単位単粒子層面積当たりのリチウムイオン伝導性を十分高めることができ、被覆率98%以下とすることで膜に柔軟性を与え、脆化による膜の破損を防ぐことができる。
[リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物での被覆]
本発明では、固体電解質層の粒子の表面の少なくとも一部が、リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物が被覆された状態で用いることができる。粒子表面は粒子界面であることが好ましい。「粒子界面」とは、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の粒子同士が接する面、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子と負極および正極が接する面を指す。結晶性酸化物系無機固体粒子の表面に対する、リチウムイオン伝導性を有する非晶質化合物の被覆率は5〜100%で用いられ、10〜80%が好ましく用いられる。5%以上とすることで、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子と正極および負極との十分なリチウムイオン伝導性が得られるようになり、100%以下とすることで、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の結着性が高まり、短絡を防ぐことができるようになる。リチウムイオン伝導性を有する非晶質化合物の被覆に際しては、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を安定に保つために、同時に絶縁性の非晶質化合物が結晶性酸化物系無機固体電解質粒子に被覆されていても構わない。
リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物は、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の負極活物質との界面に存在すれば良く、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子と負極活物質の界面、および結晶性酸化物系無機固体電解質粒子と正極活物質の界面の両方に存在することがさらに好ましい。
結晶性酸化物系無機固体電解質粒子は、あらかじめイオン伝導性を有する非晶性の化合物を被覆させてから一層に配列させても良いし、一層に配列させた後、被覆させても良い。被覆の方法は、非晶性化合物がポリマー電解質であれば、溶剤で溶かしたポリマー溶液を用いて結晶性酸化物系無機固体電解質粒子に塗布した後、加熱、減圧等により溶剤を除去して被覆する方法、加熱によりポリマーを軟化させ圧着等により粒子に被覆する方法を用いることができる。非晶性化合物がゲルポリマーであればカーボネート系の電解液、モノマー、重合開始剤を混合した溶液を結晶性酸化物系無機固体電解質粒子に塗布し、熱等により重合を開始させゲルポリマーを被覆することができる。非晶性化合物が無機化合物であれば加圧、圧着により被覆する方法、スパッタ等の方法で被覆する方法を用いることができる。
リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物としては、リチウムイオン伝導性を有する非晶性の化合物であれば有機物でも無機物でもいずれも用いることができる。有機物のリチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物としては、ポリマー電解質、ゲルポリマー電解質が用いられる。ポリマー電解質としては、リチウム塩として例えばLiBr、LiCl、LiI、LiSCN、LiBF、LiAsF、LiClO、CHCOOLi、CFCOOLi、LiCFSO、LiPF、LiN(CFSO、LiC(CFSOを含んだポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリルなどのポリマーを用いることができる。ゲルポリマー電解質としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリエチレンオキシド(PEO)等のポリマーと、例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等のカーボネート類とを組み合わせたものを用いることができる。好ましくは、ポリマー電解質としてリチウム塩にLiClO、LiN(CFSOを用いたポリエチレンオキシドが用いられる。非晶性無機化合物としては酸化物系ガラス、硫化物ガラス、アモルファス薄膜などが用いられ、酸化物ガラスとしては42.5LiO・57.5B、40LiO・60SiO、60LiO・40SiO、50LiO・50Nb、39LiO・13B・48SiO、60LiPO・40LiF、70LiPO・30LiCl、67LiPO・33LiBr、67LiPO・33LiI、67LiPO・33LiSO、硫化物ガラスとしては50LiS・50GeS、50LiS・50SiS、60LiS・30SiS・10Al、37LiS・18P・45LiI、30LiS・26B・44LiI、30LiS・21SiS・9B・40LiI、57LiS・38SiS・5LiSiO、アモルファス薄膜としてLi3.6Si0.60.4、Li3.40.6Si0.4、Li3.3PO3.90.37(LIPON)を用いることができる。特に好ましくは、ポリマー電解質として、溶剤としてDMCを用い、リチウム塩としてLiPFを用い、多官能アクリレート重合開始剤を用いてゲル化させたゲルポリマー、ポリマー電解質として、リチウム塩としてLiClO、LiN(CFSOを用いたポリエチレンオキシド、非晶性無機化合物としてLIPONを用いることができる。
<電池の作製方法>
本実施形態におけるリチウムイオン二次電池は、上述の正極、負極、及び固体電解質粒子を用いて、公知の方法により作製される。例えば、正極と負極と固体電解質粒子層とを介在させた積層体とする態様、該積層体を交互に積層した複数の正極と負極との間に電子伝導体が介在する、多層構造の積層体に構成する態様等によって、電極積層体を構成する。次いで、該電極積層体を電池ケース(外装)内に収容して、封印することによって、本実施形態のリチウムイオン電池を作製することができる。
電池作製時に0.1〜4000kgf/cmの圧力を正極および負極の対向する面に対して加圧することが好ましく、さらに好ましくは0.1〜100kgf/cmの圧力で加圧することが好ましく、0.5〜15kgf/cmの圧力で加圧することが最も好ましい。圧力を0.1kgf/cm以上とすることで電極活物質と固体電解質粒子の接触状態が良くなり電池特性が向上する。圧力を4000kgf/cm以下とすることで電池内部損傷による短絡を防ぐことができる。電池は電池作製時の加圧状態を維持して作動させることもできるが充放電特性に問題が無ければ加圧の無い状態で作動させることもできる。
本実施形態のリチウムイオン二次電池の形状は、特に限定されず、例えば、円筒形、楕円形、角筒型、ボタン形、コイン形、扁平形、ラミネート形等が好適に採用される。
また、本実施形態の固体電解質は、上述したようなリチウムイオン二次電池だけでなく、その他の電池にも適用可能である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例および比較例について説明する。
[実施例1]
<単粒子膜の成膜>
結晶性酸化物系無機粒子として、豊島製作所製NASICON型酸化物であるLi1.3Ti1.7(PO(LATP)を用い、リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物として、ポリエチレンオキシド(PEO)とLiClOを組み合わせた化合物を用いて成膜した。
ステンレス平滑基板上に、水溶性の粘着テープ(3M製 Water Soluble Adhesive 水溶性テープ)を粘着面が上になるように、3cm×3cmの広さで張り付けた。あらかじめ38〜45μmの目開きでふるい分けにより分級したLATP粒子を粘着テープの粘着面上に載せ、ステンレス基板ごと反転させることで、粘着テープに固定化されていない余剰粒子を除去した。さらにLATP粒子を粘着テープに載せ反転させることで余剰粒子を除去する操作を数回繰り返し、単粒子が配列した状態とした。
日本ゼオン製ポリシクロオレフィン(COP)をデカリンに溶解し8wt%COP溶液を調製した。次いでCOP溶液を単粒子が配列した面に、表面が覆う量滴下し、MIKASA社製スピンコーターを用いて300rpm、60secの条件でスピンコートを実施した。コート終了後、アズワン製ホットスターラーを用いてステンレス基板ごと90℃で20分加熱した。同上のスピンコートおよび加熱操作を4回繰り返し単粒子膜と粘着テープが一体化した膜を得た。次いで単粒子膜と粘着テープが一体化した膜を100mlのエタノールが入ったビーカーへ入れ十分浸した。次いでビーカーを水浴上で65℃に加熱し、粘着テープを溶解させたところ、単粒子膜が分離した。得られた単粒子膜を80℃条件において減圧下、一晩乾燥させ片面が粒子の露出した単粒子膜とした。
<単粒子膜の表面露出操作>
得られた片面が粒子の露出した単粒子膜を、(株)モリエンジニアリングMPC−600装置のチャンバー内に、固体電解質粒子表面が露出していない面を上側として入れ、基板温度40℃、酸素ガス流量100CCM、RF出力100Wとしてプラズマ処理を10分間行った。処理後の膜をチャンバーから取り出し、固体電解質粒子両面が表面に露出した単粒子の配列した膜とした。
<単粒子膜の被覆率測定>
得られた膜のSEM観察
SEM観察
装置:KEYENCE社製 VE−9800
加速電圧:1.2KV
スポット径:6(装置の設定値)
真空度:3Pa
検出器:二次電子検出器
導電性両面テープを用いて試料を試料台に固定し、非蒸着の条件下、200倍の倍率にてエッチングを行っていない面を観察した。装置付属のソフトウエアで、粒子が占める面積を算出し、全体の面積で割り返すことで、単粒子膜の粒子の占める割合を算出し粒子の被覆率とした。視野を変えて同様の計算を3回繰り返し、平均を算出したところ、79.1%の被覆率となった。
<リチウムイオン伝導性非晶性化合物の被覆>
両面が粒子の露出した結晶性酸化物単粒子膜を、リチウムイオン伝導性の非晶性化合物で被覆するために、得られた単粒子膜を、ポリエチレンオキシド(PEO)とLiClOを組み合わせた化合物で被覆した。
アルドリッチ製Poly(ethylene oxide), average Mv 〜4,000,000と関東化学製LiClOを、ユニットモル比率で15:1(PEOの酸素モル:LiClOのLiモル)になるようにアルドリッチ製アセトニトリルに溶解し、10wt%ポリマー溶液を調製した。次いで、露点を−70℃に保ったドライルームにおいて、単粒子膜のエッチングを行った面にポリマー液を少量滴下し、徐々に減圧し室温で乾燥させる操作を、Mitutoyo 457−401型厚み計で測定し5μmの厚みでPEOの被覆された単粒子膜が得られるまで繰り返した。上記SEM装置を用いて観察した結果、単粒子膜のPEO塗布面はPEOにより覆われており、粒子の露出は無いことを確認した。
<電池評価>
(1)正極形成
PEOを塗布した単粒子膜14mm×20mmに、正極形成を行った。バナジウムアルコキサイド(トリイソプロポキシバナジウムオキサイド)を脱水エタノールに溶解して13wt%の溶液を調製した。次いで上記PEOで被覆した単粒子膜を、PEOを塗布していない面を上面としてガラス基板上へ載せ、調製したバナジウムアルコキサイド溶液を滴下後、水を滴下して加水分解した。その後室温で乾燥させた後、80℃、10時間乾燥を実施した。活物質の重量は0.50mg/cmであった。
(2)評価用電池の作製
電池は負極としてリチウム金属を用い、その上にリチウム金属とPEO被覆面が接し、バナジウム正極が上面になるように単粒子膜を載せ、これらをアルミラミネート外装に入れ、充放電が可能なように正極板、負極板に電源接続用のタブを取り付け密封した。平面板で正極および負極側を挟み込み1kg/cmに相当する圧力で加圧した。
(3)充放電容量の評価
全固体電池について、下記の手順に従って特定の放電電流における放電容量を測定し、電気容量をそれぞれ評価した。
測定は、アスカ電子(株)製の充放電装置ACD−01(商品名)及びヤマト科学(株)製の恒温槽IN−804(商品名)を用いて行った。
リチウムイオン二次電池について、電流値0.0028mA(0.01C Rate)において定電流放電を行って2.0Vに到達するまでの電気容量を求め、初回放電容量とした。前記放電後、電流値0.028mA(0.01C Rate)にて、4.0Vまで定電流充電を行なった。引き続き電流値0.0028mA(0.01C Rate)において定電流放電を行い2.0Vに到達するまでの電気容量を求め0.0028mA(0.01C Rate)にて4.0Vに到達するまで充電を行い、計6回充放電を繰り返した。
初回放電容量、6回目放電容量、容量維持率を示す。
容量維持率=[6回目放電容量]/[1回目放電容量]×100
初回充電容量は60mAh/gであり、6回目放電容量は58mAh/gであり、容量維持率は96.7%であった。
[実施例2]
実施例1のリチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物の被覆にPEOに組み合わせる塩にLiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)を用い、ユニットモル比を17:1(PEOの酸素モル:LiTFSIのLiモル)となる条件の化合物を用いること以外は同じ操作を行い、電池を作製し、評価を行ったところ初回充電容量は65mAh/gであり、6回目放電容量は62mAh/gであり、容量維持率は95.4%であった。
[実施例3]
<LiPONの被覆>
実施例1記載と同様の方法で作製した固体電解質粒子の表面の一部が膜の両面に露出した単粒子膜の表面に、RFスパッタ装置を用いて非晶質LIPONの被覆を行った。単粒子膜のエッチングを行った面を上側にして下記条件でLIPON膜の成膜を行った。膜厚は500nmであり、LIPONを成膜した面のXRDを測定したところ2θ=22°〜26°付近にハローパターンが見られ、LIPONは、非晶質であることを確認した。
RFスパッタ条件
ガス:N
圧力:1.0Pa
ターゲット:LiPO
ターゲット−基盤距離:6cm
Rf出力:30w
成膜時間:300min
<電池評価>
(1)正極形成
LiPONを被覆した単粒子膜14mm×20mmに対して正極形成を行った。方法は、実施例1記載の正極形成方法と同じ方法で行い、正極はLIPONを被覆していない面に形成した。活物質重量は0.51mg/cmであった。
(2)評価用電池の作製
負極は14mm×20mmのリチウム板を用い、リチウム板に上記単粒子膜をLIPON膜が接するように載せ、これらをアルミラミネート外装に入れ充放電が可能なように正極板、負極板に電源接続用のタブを取り付け密封した。平面板で正極および負極側を挟み込み1kg/cmに相当する圧力で加圧した。
(3)充放電容量の評価
実施例1と同様の評価を行い、初回放電容量は、51mAh/g、6回目放電容量は47mAh/g、容量維持率は92.2%であった。
[実施例4]
結晶性酸化物系無機固体電解質粒子としてLi6.25Al0.25LaZr12(LLZO)を用い、リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物として、ゲルポリマー用いてリチウムイオン電池を作製した。
(1)LLZO単粒子膜の成膜
結晶性酸化物系無機固体電解質粒子としてLLZOを用いて単粒子膜を成膜した。ステンレス平滑基板上に、水溶性の粘着テープ(3M製 Water Soluble Adhesive 水溶性テープ)を粘着面が上になるように、3cm×3cmの広さで張り付けた。あらかじめ38〜45μmの目開きでふるい分けにより分級したLLZO粒子を粘着テープの粘着面上に載せ、ステンレス基板ごと反転させることで、粘着テープに固定化されていない余剰粒子を除去した。さらにLLZO粒子を粘着テープに載せ反転させることで余剰粒子を除去する操作を数回繰り返し、単粒子が配列した状態とした。
日本ゼオン製ポリシクロオレフィン(COP)をデカリンに溶解し8wt%COP溶液を調製した。次いでCOP溶液を単粒子が配列した面に、表面が覆う量滴下し、MIKASA社製スピンコーターを用いて300rpm、60secの条件でスピンコートを実施した。コート終了後、アズワン製ホットスターラーを用いてステンレス基板ごと90℃で20分加熱した。同上のスピンコートおよび加熱操作を4回繰り返し単粒子膜と粘着テープが一体化した膜を得た。次いで単粒子膜と粘着テープが一体化した膜を100mlのエタノールが入ったビーカーへ入れ十分浸した。次いでビーカーを水浴上で65℃に加熱し、粘着テープを溶解させたところ、単粒子膜が分離した。得られた単粒子膜を80℃条件において減圧下、一晩乾燥させ片面が露出した単粒子膜とした。
単粒子膜の表面露出操作は実施例1記載と同様の操作を行い、固体電解質粒子の表面が膜の両面に露出した単粒子膜を得た。
(2)負極上へのゲルポリマーの形成
LiPFを1mol/L含み、EC:EMC比率が3:7(vol/vol%)であるキシダ化学製電解液92.8重量%とモノマーとして多官能性アクリレート(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)7重量%と重合開始剤として化薬アクゾ株式会社製パーカドックス16を0.2重量%含んだポリマー液を調製した。次いでリチウム金属板の上に20μm厚みのポリエチレン微多孔膜を載せて上部から上記ポリマー液を滴下してポリエチレン微多孔膜が液を保持できる量を添加した。次いでリチウム金属板およびポリマー液を含んだポリエチレン微多孔膜ごと100℃、20分の条件で加熱し、ポリマー液の重合を行った。加熱操作後はポリマー液を含んだポリエチレン微多孔膜のポリマー液は重合しておりゲル状になっていることを確認した。
(3)正極形成
14mm×20mmのアルミニウム板に正極形成を行った。バナジウムアルコキサイド(トリイソプロポキシバナジウムオキサイド)を脱水エタノールに溶解して13wt%の溶液を調製した。次いでアルミニウム基板上へ調製したバナジウムアルコキサイド溶液を滴下後、水を滴下して加水分解した。その後室温で乾燥させた後、80℃、10時間乾燥を実施した。活物質の重量は0.50mg/cmであった。
(4)評価用電池の作製
上記リチウム金属板上にゲル電解質を形成させた負極上に単粒子膜をゲル電解質と接するように載せ、その上に上記正極板を正極物質と単粒子膜が接するように重ねた。これらをアルミラミネート外装に入れ充放電が可能なように正極板、負極板に電源接続用のタブを取り付け密封した。平面板で正極および負極側を挟み込み1kg/cmに相当する圧力で加圧した。
(5)充放電容量の評価
実施例1と同様の方法により充放電の評価を実施した。初充放電容量は54mAh/gであり、6回目の放電容量は49mAh/g、容量維持率は90.7%であった。
[実施例5]
実施例2記載の単粒子膜を成膜後、実施例2記載と同様の方法によりエッチングを行っていない面にもLiTFSIを含んだPEOが5μmの厚みで被覆し、単粒子膜の両面にLiTFSIを含んだPEOが被覆された単粒子膜を成膜した。この膜を用いること以外は同様の方法を用いて充放電容量の評価を行ったところ初充放電容量は85mAh/gであり、6回目の放電容量は78mAh/g、容量維持率は91.8%であった。
[比較例1]
固体電解質層において、結晶性酸化物系無機粒子を非晶性化合物で被覆していないことだけが異なり、実施例1の条件で充放電評価を行ったところ、電気容量が得られず電池として作動しないことを確認した。
[比較例2]
<複粒子層膜>
結晶性酸化物系無機粒子として豊島製作所製NASICON型酸化物であるLi1.3Ti1.7(PO(LATP)を用い、リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物としてポリエチレンオキシド(PEO)とLiClOを組み合わせた化合物を用いて成膜した。
ステンレス平滑基板上に水溶性の粘着テープ(3M製 Water−Soluble Wave Solder Tape 5414)を、粘着面が上になるように2cmの広さで張り付け、あらかじめ38〜45μmの目開きでふるい分けにより分級したLATP粒子を粒子層が約100μmの厚みになるように載せ、表面を平滑にした。
日本ゼオン製ポリシクロオレフィン(COP)をデカリンに溶解し8wt%COP溶液を調製した。次いでCOP溶液を粒子が配列した面に表面が覆う量滴下し、MIKASA社製スピンコーターを用いて300rpm、60secの条件でスピンコートを実施した。コート終了後、アズワン製ホットスターラーを用いてステンレス基板ごと90℃で20分加熱した。同上のスピンコートおよび加熱操作を4回繰り返し、複数の粒子膜と粘着テープが一体化した膜を得た。次いで、複数の粒子膜と粘着テープが一体化した膜を、100mlのエタノールが入ったビーカーへ入れ十分浸した。次いでビーカーを水浴上で65℃に加熱し粘着テープを溶解させたところ複数粒子膜が分離した。得られた複数粒子膜を80℃条件において減圧下、一晩乾燥させ片面が露出した複数粒子膜とした。
<複粒子膜の表面露出操作>
実施例1と同様の方法を用いてエッチングを行い、粒子層の両面が露出した膜を形成した。
<正極形成、評価用電池の作製、放電容量の評価>
実施例と同様の方法を用いて正極形成、評価用電池の作製、放電容量の評価を行ったところ、初放電容量20mAh/gが得られ、6サイクル目は放電容量が得られなかった。
各実施例および比較例の電池の評価結果を表1にまとめて示す。
Figure 0006719254
表1から明らかなように、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子を非晶性化合物で被覆しなかった比較例1では電池として作動せず、固体電解質層を複粒子膜とした比較例2では、十分な放電容量が得られなかった。これに対し、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子を一層に配列し、かつ、粒子の表面をリチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物で被覆した実施例の電池では、いずれも高い初期放電容量が得られ、60サイクル充放電を繰り返しても高い容量を維持することができた。
本発明のリチウムイオン電池は、高い電池容量を有するものとなり、例えばノートブックコンピューター、携帯電話、デジタルカメラ、ビデオカメラ等の携帯用電子機器の電源として広範囲に適用可能である。
100 リチウムイオン二次電池
110 固体電解質層
120 結晶性酸化物系無機固体電解質粒子
130 リチウムイオン伝導性を有する非晶性化合物
140 正極
150 負極
160 正極集電体
170 負極集電体
180 外装

Claims (4)

  1. 正極と負極と固体電解質層とを備え、
    前記固体電解質層は、結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を有し、かつ、前記無機固体電解質粒子の表面の少なくとも一部が、リチウム塩を含んだポリエチレンオキシドで被覆されており、
    前記無機固体電解質粒子が、γ−LiPO 型酸化物、逆蛍石型酸化物、NASICON型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、ガーネット型酸化物からなる群から選ばれることを特徴とするリチウムイオン電池。
  2. 前記固体電解質層がシート状である、請求項1に記載のリチウムイオン電池。
  3. 前記リチウム塩を含んだポリエチレンオキシドが正極活物質と結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の間、および負極活物質と結晶性酸化物系無機固体電解質粒子の間の両方に存在する、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池。
  4. 結晶性酸化物系無機固体電解質粒子が一層に配列した構造を有し、かつ、前記無機固体電解質粒子の表面の少なくとも一部が、リチウム塩を含んだポリエチレンオキシドで被覆されており、
    前記無機固体電解質粒子が、γ−LiPO 型酸化物、逆蛍石型酸化物、NASICON型酸化物、ペロブスカイト型酸化物、ガーネット型酸化物からなる群から選ばれることを特徴とする、リチウムイオン電池用の固体電解質。
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