JP6718241B2 - 高香味の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料 - Google Patents
高香味の粉砕茶葉を含有する緑茶飲料 Download PDFInfo
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Description
本発明の高香味粉砕茶葉の原料は、被覆栽培した茶葉を揉捻工程を経て製造した荒茶からなる。被覆栽培とは、茶の栽培時に一定期間日光を遮って栽培することをいい、一般には、新芽が開き始めたころに茶園をヨシズや、ワラ、或いは寒冷紗などの化学繊維のような被覆材で覆って、日光をさえぎって、新芽を育てる栽培方法であり、アミノ酸(テアニン)からカテキンへの生成が抑えられ、渋味が少なく、旨味が豊富な味とすることが目的となる。20日ほどの覆い(被覆栽培)で、育てた茶を「玉露」と呼び、玉露より短い1週間前後の被覆期間で育てた茶を「かぶせ茶」と呼んでいる。被覆栽培した茶葉は、その茶葉中の、カテキン含量に対するアミノ酸含量は、通常の茶葉に比べて高いことが特徴である。
ボールミルとは、円筒等の容器内に粉砕対象物と粉砕媒体となるボールを一定量入れて、容器を回転させ、ボールが容器内で転がる衝撃によって、粉砕対象物を細かく粉砕する装置である。円筒容器の大きさ、使用するボールの大きさや数、回転速度、及び回転時間などの条件で、粉砕物の粒子径は変わってくるが、本発明においては、原料茶葉を対象として、メディアン径が1〜16μmとなるような条件で、乾式で粉砕処理を行う。好ましい粉砕条件としては、メディアン径が1〜16μmであって、かつメディアン径とモード径の差が5μm以下になるような条件を設定して、粉砕処理を行うことができる。
本発明の容器詰め緑茶飲料は、緑茶抽出液に、前記粉砕茶葉を添加して製造することができる。緑茶抽出液は、常法にしたがい、緑茶葉を抽出することで得ることができる。使用する茶葉は、緑茶葉であれば特に制限はなく、いずれも使用できるが、添加する粉砕茶葉の香味特徴を活かすためには、かぶせ茶或いは玉露を全部又は一部使用することが好ましい。抽出条件も特に制限はないが、テアニンやグルタミン酸の溶出量を高めるためにはより低温、たとえば50℃程度(例えば、40〜60℃)で抽出することが好ましい。なお、抽出の際には、アスコルビン酸など、通常の緑茶製造の際に使用される添加物は適宜使用できる。
<ボールミルによる粉砕1>
かぶせ茶の荒茶を、ボールミルを用いて表1の粒度分布となるように処理強度を調整し、粉砕した。
<ジェットミルによる粉砕>
実施例1においてボールミルの代わりに、ジェットミルを用いて、表1の粒度分布となるように処理強度を調整し、粉砕した。
<公知の粉砕茶葉(碾茶粉砕物、抹茶)>
実施例1においてかぶせ茶の代わりに碾茶の荒茶を、ボールミルの代わりに石臼を用いて、表1の粒度分布となるように処理強度を調整し、粉砕した。
<緑茶飲料の調製1>
緑茶抽出液に対して、前記の方法で調製した粉砕茶葉を添加して、緑茶飲料を調製し、その香味を官能評価した。具体的には、緑茶葉100gに対し50℃のイオン交換水を添加し、タンニン値が40mg/100mlとなるよう抽出した。抽出後に目開き100μmのメッシュを通し、冷却機を用いて10℃まで急速冷却し、緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液に対し、前記の実施例1、並びに比較例1及び参考例1の粉砕茶葉を、緑茶飲料の濁度がOD660で0.8となるように添加し、UHT殺菌してそれぞれ実施例2並びに比較例2及び参考例2の緑茶飲料を得た。なお、タンニン値は酒石酸鉄法で測定した。粉砕茶葉の粒度はShimadzu SALD-2200で測定した。本発明品は水溶解と殺菌後で粒度が大きく変わらなかった。(例えば実施例1、2)
官能評価は、緑茶飲料の商品開発に精通したパネラー6名で評価し、それぞれの項目について協議し、各項目について次の評価基準で評価点をつけた。なお、渋味については「弱い」(1点)のほうが「強い」(3点)よりも嗜好性が高い評価となる。「強い」=3点;「普通」=2点;「弱い」=1点
各緑茶飲料の官能評価結果、及び各緑茶飲料に含まれる粉砕茶葉の粒度分布は表1の通りであった。ボールミルによる粉砕茶葉を添加した実施例2の緑茶飲料は、甘味とコクが強く、不快な渋味が弱い、高香味の緑茶飲料であった。
<ボールミルによる粉砕2>
実施例1におけるボールミルの粉砕条件を、表2の粒度分布となるように処理強度を弱め比較例3の粉砕茶葉を得た。
<緑茶飲料の調製2>
抽出温度を60℃、タンニン値を35mg/100mlとした以外は緑茶飲料の調製1の場合と同じ条件で緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液に対して、実施例1及び比較例3で調製した粉砕茶葉を緑茶飲料の濁度がOD660で0.8となるように添加し、それぞれ実施例3及び比較例4の緑茶飲料とした。これらの緑茶飲料について、前記同様、官能評価をおこなった。結果を表2に示す。同じボールミルを用いた粉砕茶葉であっても、メディアン径が16μm以下の粉砕茶葉を添加した緑茶飲料は甘味が強く、不快な渋味が弱いという香味特徴を有していた。また、メディアン径が16μm以上の粉砕茶葉を用いた場合は、殺菌工程により粉砕茶葉同士が凝集し、単なる水溶解によるメディアン径よりも、メディアン径がより大きくなる傾向にあった。(比較例4)
<ボールミルによる粉砕3>
実施例1と同じ条件で、煎茶、秋冬番茶について、ボールミルによる粉砕をおこなって、それぞれ比較例5(煎茶)、比較例6(秋冬番茶)の粉砕茶葉を得た。
<緑茶飲料の調製3>
緑茶飲料の調製1と場合と同じ条件で緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液に対して、比較例5、6で調製した粉砕茶葉を緑茶飲料の濁度がOD660で0.8となるように添加し、それぞれ比較例7、8の緑茶飲料とした。これらの緑茶飲料について、前記同様、官能評価をおこなった。結果を表3に示す。ボールミルを用いて同様に粉砕しても、被覆栽培していない茶葉由来の荒茶の粉砕茶葉は、緑茶抽出液に添加しても、甘味やコクを増強することなく、また不快な渋味を低減させることもなかった。
緑茶飲料の調製1と同じ条件で緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液に対して、実施例1で調製した粉砕茶葉を緑茶飲料の濁度がOD660を0.34〜1.5の間となるように添加し、実施例4〜8の緑茶飲料とした。これらの緑茶飲料について、実施例2をコントロールとして、甘味・コク・渋味について同等の味覚評価が得られるかを確認した。評価軸は、『A:コントロール(実施例2)同等に嗜好性が優れている、B:コントロールと比較すると嗜好性は弱い』とした。結果を表4に示す。どの試験区でも粉砕茶葉の効果は見られたものの、OD660で0.4〜1.4の範囲となるように粉砕茶葉の添加量を調整すると、特に渋味がなく、甘味とコクを兼ね備えた飲料となった。
緑茶飲料の調製1において、茶葉とイオン交換水の量を調整することで、タンニン値が28〜58mg/100mlの緑茶抽出液を得た。この緑茶抽出液に対して、実施例1で調製した粉砕茶葉を緑茶飲料の濁度(OD660)が0.8となるように添加し、実施例9〜14の緑茶飲料とした。これらの緑茶飲料について、<濁度の影響>と同じ評価軸で実施例2をコントロールとして、甘味・コク・渋味について官能評価をおこなった。結果を表5に示す。どの試験区でも粉砕茶葉の効果は見られたものの、タンニン値が50mg/100ml以下、更には35〜50mg/100mlとなるように茶抽出液を調整すると、特に渋味がなく、甘味とコクを兼ね備えた飲料となった。
Claims (10)
- かぶせ茶又は玉露の荒茶を、ボールミルを用いて、メディアン径が1〜16μmとなるように粉砕した粉砕茶葉を含有させ、及び、
前記粉砕茶葉添加後の緑茶飲料の660nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD 660 )が0.34〜1.4となるように調整されたことを特徴とする粉砕茶葉由来の甘味とコクを強化した高香味緑茶飲料。 - 粉砕茶葉が、ボールミルを用いて、メディアン径が1〜16μmであって、かつメディアン径とモード径の差が5μm以下になるように、粉砕した粉砕茶葉であることを特徴とする請求項1に記載の高香味緑茶飲料。
- 粉砕茶葉のメディアン径が3〜11μmになるまで粉砕された粉砕茶葉であることを特徴とする請求項1又は2に記載の高香味緑茶飲料。
- 緑茶飲料が、ボールミルを用いて粉砕した粉砕茶葉を、タンニン値50mg/100ml以下の緑茶抽出液に混合したものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の高香味緑茶飲料。
- 粉砕茶葉添加後の緑茶飲料の660nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD660)が、0.4〜1.4となるように調整されたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の高香味緑茶飲料。
- 緑茶飲料が、容器詰め緑茶飲料であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の高香味緑茶飲料。
- かぶせ茶又は玉露の荒茶を、ボールミルを用いて、メディアン径が1〜16μmとなるように粉砕し、該粉砕茶葉を緑茶抽出液に混合、含有させ、及び、
前記粉砕茶葉添加後の緑茶飲料の660nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD 660 )が0.34〜1.4となるように調整されたことを特徴とする粉砕茶葉由来の甘味とコクを強化した高香味緑茶飲料の製造方法。 - かぶせ茶又は玉露の荒茶をボールミルを用いて、メディアン径が3〜11μmになるまで粉砕することを特徴とする請求項7に記載の高香味緑茶飲料の製造方法。
- 緑茶抽出液が、タンニン値50mg/100ml以下である緑茶抽出液であることを特徴とする請求項7又は8に記載の高香味緑茶飲料の製造方法。
- かぶせ茶又は玉露の荒茶を、ボールミルを用いて粉砕した粉砕茶葉を含有させ、
前記粉砕茶葉添加後の緑茶飲料の660nmにおける吸光度として表わされる濁度(OD 660 )が0.34〜1.4となるように調整され、及び、
飲料中にメディアン径が1〜16μmの粒子を含有することを特徴とする粉砕茶葉由来の甘味とコクを強化した高香味緑茶飲料。
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