JP6716723B2 - シリンダヘッド及びエンジン - Google Patents
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Description
特許文献1のシリンダヘッドでは、シリンダブロック側に位置して冷却流通空間を画成するシリンダヘッドのロアデッキ(下壁)に、ロアデッキを補強するリブを形成している。このリブは、冷却水流通空間における冷却水の流れを考慮して、所定の気筒に対応するバルブ孔形成壁(吸気ポート壁部)から、複数の気筒を配列した気筒列方向に延びている。
図1〜6においては、シリンダブロック2とシリンダヘッド3とが配列される方向をZ軸方向とする。また、Z軸方向に直交する第一直交方向をY軸方向とする。さらに、Z軸方向及びY軸方向に直交する第二直交方向をX軸方向とする。
図1,4に示すように、シリンダブロック2は、気筒11を形成するシリンダボア11aを有する。気筒11は、ピストン4(図1)が配される空間である。気筒11は、シリンダブロック2の上面2aに開口する。ピストン4は、気筒11内において燃焼した燃焼ガスの圧力を受けて上下方向(Z軸方向)に往復運動する。本実施形態のシリンダブロック2は、図2に示すように複数(図示例では3つ)の気筒11を有する。複数の気筒11は、上下方向に直交する第一直交方向(Y軸方向)に一列に並んでいる。以下の説明では、複数の気筒11が配列される第一直交方向を気筒列方向とも呼ぶ。
シリンダヘッド3は、気筒11の上方の開口を覆うように、シリンダブロック2の上面2aに重ねて配される。
図1,3〜6に示すように、シリンダヘッド3は、ロアデッキ21からアッパーデッキ22まで延びるバルブ孔形成壁40を備える。
図1,3,5に示すように、バルブ孔形成壁40には、ロアデッキ21の下面21bに開口する吸気バルブ孔41及び排気バルブ孔42が形成されている。ロアデッキ21の下面21bは、シリンダブロック2の上面2aに対向する面である。吸気バルブ孔41及び排気バルブ孔42は、ロアデッキ21側に位置するバルブ孔形成壁40の下端部に形成される。吸気バルブ孔41及び排気バルブ孔42は、それぞれシリンダブロック2の気筒11に連通する。
吸気バルブ45及び排気バルブ46は、それぞれアッパーデッキ22の上面22aに設けられたロッカアーム47を揺動させることで駆動される。ロッカアーム47は、前述したカムシャフト5の回転に伴ってシリンダヘッド3の上下方向に貫通するプッシュロッド48が上下方向に移動することで揺動する。
図1,3〜6に示すように、シリンダヘッド3は、バルブ孔形成壁40に接続される吸気ポート形成部51を備える。吸気ポート形成部51は、バルブ孔形成壁40に対して、上下方向及び第一直交方向に直交する第二直交方向の一方側(X軸正方向側)に位置する。吸気ポート形成部51は、アッパーデッキ22の下面に一体に形成され、ロアデッキ21の上方に間隔をあけて配置される。ロアデッキ21と吸気ポート形成部51との間の空間は、ヘッド側流通空間30を構成している。
吸気ポート形成部51は、複数のバルブ孔形成壁40のそれぞれに対応するように、第一直交方向に互いに間隔をあけて複数(図示例では3つ)配列されている。各吸気ポート形成部51には、各バルブ孔形成壁40に形成された2つの吸気バルブ孔41のそれぞれに連通する2つの吸気ポート53が形成されている。
図4,5に示すように、シリンダヘッド3は、各バルブ孔形成壁40に接続される排気ポート形成部52を備える。排気ポート形成部52は、バルブ孔形成壁40に対して、第二直交方向の他方側(X軸負方向側)に位置する。排気ポート形成部52は、ロアデッキ21の上方かつアッパーデッキ22の下方で、これらロアデッキ21及びアッパーデッキ22と間隔をあけて配置される。ロアデッキ21と排気ポート形成部52との間の空間、及び、アッパーデッキ22と排気ポート形成部52との間の空間は、それぞれヘッド側流通空間30を構成している。
排気ポート形成部52は、複数のバルブ孔形成壁40のそれぞれに対応するように、第一直交方向に互いに間隔をあけて複数(図示例では3つ)配列されている。
図3,5,6に示すように、シリンダヘッド3は、前述した複数のバルブ孔形成壁40の外周側に設けられた外周壁60をさらに備える。外周壁60は、複数のバルブ孔形成壁40を囲むようにロアデッキ21からアッパーデッキ22まで延び、ロアデッキ21及びアッパーデッキ22とともにヘッド側流通空間30を画成する。
図4,5に示すように、2つの側壁61,62は、第二直交方向(X軸方向)におけるシリンダヘッド3の両端において第一直交方向(Y軸方向)に延びる。2つの側壁61,62のうち吸気側(X軸正方向側)に位置する吸気側側壁61には、前述した吸気ポート形成部51が一体に形成される。吸気側側壁61には、吸気ポート53が貫通する。2つの側壁61,62のうち排気側(X軸正方向側)に位置する排気側側壁62には、前述した排気ポート形成部52が一体に形成される。排気側側壁62には、排気ポート54が貫通する。また、排気側側壁62には、前述したプッシュロッド48(図1)が上下方向に貫通する。プッシュロッド48は、第一直交方向に互いに間隔をあけて複数配列されている。
2つの側壁61,62の第二端側は開口している。2つの側壁61,62の第二端側(複数のバルブ孔形成壁40の配列方向の一方側の端部)には、冷却水排出部65が設けられている。冷却水排出部65には、ヘッド側流通空間30に流通する冷却水が排出される。
図3,5,6に示すように、シリンダヘッド3は、ロアデッキ21からアッパーデッキ22まで延びるボルト孔形成壁71,72をさらに備える。ボルト孔形成壁71,72には、シリンダヘッド3をシリンダブロック2に取り付けるためのボルト孔73が形成されている。ボルト孔73は、ロアデッキ21の下面21b及びアッパーデッキ22の上面22aに開口する。すなわち、ボルト孔73は、シリンダヘッド3をその上下方向に貫通する。本実施形態では、同一のボルト孔形成壁71,72に、1つのボルト孔73が形成されている。
複数のボルト孔形成壁71,72のうち一部のボルト孔形成壁71(第一ボルト孔形成壁71)は、前述した外周壁60と間隔をあけて位置する。本実施形態における第一ボルト孔形成壁71は、バルブ孔形成壁40の排気側で第一直交方向に隣り合う2つのバルブ孔形成壁40の間に位置する。第一ボルト孔形成壁71は、第二直交方向においてバルブ孔形成壁40と排気側側壁62との間に位置する。残りのボルト孔形成壁72(第二ボルト孔形成壁72)は、外周壁60に一体に形成されている。
図3に示すように、ロアデッキ21に形成された冷却水導入孔23は、平面視でバルブ孔形成壁40を囲う仮想円VCの周方向に延びている。本実施形態における仮想円VCは、気筒11のシリンダボア11aの平面視形状に対応する円である。また、仮想円VCは、バルブ孔形成壁40に形成された中心孔43(燃料噴射器44)を中心とした円である。冷却水導入孔23は、仮想円VC(シリンダボア)よりもその径方向外側に位置する。また、冷却水導入孔23は、バルブ孔形成壁40と間隔をあけて位置する。
図1,3に示すように、吸気側導入孔23Aは、上下方向において吸気ポート形成部51の下方に位置する。すなわち、吸気側導入孔23Aは吸気ポート形成部51によって覆われている。ただし、吸気側導入孔23Aの一部は、図3,5に例示するように吸気ポート形成部51によって覆われなくてもよい。
図3,4に示すように、排気側導入孔23Bは、上下方向において排気ポート形成部52の下方に位置する。すなわち、排気側導入孔23Bは排気ポート形成部52によって覆われている。なお、排気側導入孔23Bの一部は、例えば排気ポート形成部52によって覆われなくてもよい。
図3に示すように、ロアデッキ21の上面21aに形成されたリブ24は、冷却水導入孔23に対して仮想円VCの周方向に並ぶように設けられている。また、リブ24は、仮想円VCの周方向に延びるように設けられている。本実施形態では、リブ24の延在方向の両端が、壁部(バルブ孔形成壁40、外周壁60、ボルト孔形成壁71,72)に接している。以下、本実施形態のリブ24について、さらに詳しく説明する。
図示例のシリンダヘッド3では、バルブ孔形成壁40の数が3つであるため、吸気側リブ24Aの数は2つとなっている。
なお、吸気側リブ24Aの延在方向の第一端は、例えば第一直交方向に隣り合う2つのバルブ孔形成壁40のうち外周壁60の端壁63側に位置するバルブ孔形成壁40に接してもよい。また、吸気側リブ24Aの延在方向の第二端は、例えば第二ボルト孔形成壁72の代わりに吸気側側壁61に接してもよい。
また、図1,3,4に示すように、各排気側リブ24Bは、対応する排気ポート形成部52の下方に設けられている。
図1,3〜6に示すように、本実施形態のシリンダヘッド3において、ヘッド側流通空間30は、第一区画壁81(図3)及び第二区画壁82(図1,4)によって2つの区画空間31,32に区画されている。
図1,3,4に示すように、第一区画壁81は、上下方向においてロアデッキ21側に位置するヘッド側流通空間30の下側部分を、吸気側の空間と排気側の空間とに区画する。第一区画壁81は、隣り合うバルブ孔形成壁40同士をつなぐように、また、複数のバルブ孔形成壁40の配列方向の両端に位置するバルブ孔形成壁40と外周壁60とをつなぐように形成されている。
ヘッド側流通空間30は、これら第一区画壁81及び第二区画壁82によって、吸気側の空間及び排気側の上部空間を含む第一区画空間31と、排気側の下部空間からなる第二区画空間32とに区画される。
本実施形態において、冷却水排出部65内に流れ込んだ冷却水は、冷却水排出部65の上部に形成された排出口66を通して冷却水排出部65の外部に排出されるが、これに限ることはない。
また、図1,2,4〜6に示すように、本実施形態のシリンダヘッド3には、吸気マニホールド7が一体に成形されている。吸気マニホールド7は、シリンダヘッド3の吸気側側壁61に接続される。吸気マニホールド7は、その内部空間が第一直交方向に配列された複数の吸気ポート53のそれぞれに連通するように、第一直交方向に延びている。
本実施形態のシリンダヘッド3では、図3に示すように、排気側リブ24Bが排気側導入孔23Bに対して仮想円VCの周方向に並ぶように形成されている。このため、排気側導入孔23Bを通してヘッド側流通空間30のうち第二区画空間32に流入した冷却水は、排気側リブ24Bに誘導されてバルブ孔形成壁40の周囲において仮想円VCの周方向に流れやすくなる。このように冷却水が流れることで、バルブ孔形成壁40が冷却される。
また、排気側リブ24Bは第一直交方向(複数のバルブ孔形成壁40の配列方向)に延びている。このため、排気側導入孔23Bから第二区画空間32に流入した冷却水は、排気側リブ24Bに誘導されて第一直交方向に流れやすくなる。これにより、第二区画空間32に流通する冷却水は、冷却水排出部65に向けて流れやすくなる。このように流れる冷却水は、排気ポート形成部52の下側を通ることで、排気ポート形成部52を冷却する。
また、図3,5,6に示すように、吸気側リブ24Aは吸気側側壁61からバルブ孔形成壁40に向けて延びている。このため、吸気側導入孔23Aから吸気側の空間に流入した冷却水は、吸気側リブ24Aに沿って、第一区画空間31の排気側の上部空間に向けて流れやすくなる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
Claims (9)
- ロアデッキと、
前記ロアデッキの上方で前記ロアデッキに対向するように設けられているとともに、前記ロアデッキとの間に冷却水流通空間を画成するアッパーデッキと、
前記ロアデッキと前記アッパーデッキとにわたって形成され、前記ロアデッキの下面に開口する吸気バルブ孔及び排気バルブ孔を形成するバルブ孔形成壁を含む壁部と、
を備え、
前記ロアデッキは、
平面視で前記バルブ孔形成壁を囲う仮想円の周方向に延びるように前記ロアデッキを上下方向に貫通する冷却水導入孔と、
前記冷却水導入孔に対して前記仮想円の周方向に並ぶように設けられて、該周方向に延びるように前記ロアデッキの上面から突出するリブと、
を備えるシリンダヘッド。 - 前記バルブ孔形成壁には、燃料噴射器が上下方向に挿通する中心孔が形成され、
前記仮想円は、平面視にて前記中心孔を中心とした円である請求項1に記載のシリンダヘッド。 - 前記リブの延在方向の両端のうちの少なくとも一方が、前記壁部に接している請求項1又は2に記載のシリンダヘッド。
- 前記壁部は、前記バルブ孔形成壁の外周側に設けられた外周壁を含む請求項3に記載のシリンダヘッド。
- 前記壁部は、前記シリンダヘッドをシリンダブロックに取り付けるためのボルト孔を形成するボルト孔形成壁を含む請求項3又は4に記載のシリンダヘッド。
- 前記リブは、前記仮想円の径方向内側及び外側に跨って延びている請求項1から5のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。
- 複数の前記バルブ孔形成壁が、前記上下方向に直交する直交方向に互いに間隔をあけて一列に配列され、
複数の前記バルブ孔形成壁の配列方向の一方側の端部には、前記冷却水流通空間に流通する冷却水が排出される冷却水排出部が設けられ、
複数の前記リブは、複数の前記バルブ孔形成壁にそれぞれ対応するように設けられているとともに、それぞれ前記配列方向に延びている請求項1から6のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。 - 前記バルブ孔形成壁に接続されて、前記排気バルブ孔に連通する排気ポートを形成する排気ポート形成部を有し、
前記排気ポート形成部は、前記ロアデッキの上方かつ前記アッパーデッキの下方で、これら前記ロアデッキ及び前記アッパーデッキと間隔をあけて配置されており、
前記リブは、前記排気ポート形成部の下方に設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載のシリンダヘッド。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載のシリンダヘッドと、
気筒を形成するシリンダボアを有し、前記シリンダヘッドによって上方から覆われるシリンダブロックと、
を備え、
前記仮想円は、前記シリンダボアの平面視形状に対応する円であるエンジン。
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