JP6716486B2 - 耐火木製構造材及び耐火木製部材 - Google Patents

耐火木製構造材及び耐火木製部材 Download PDF

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Description

本発明は、耐火木製構造材及び耐火木製部材に関する。
木材は、火災時に外部から加熱されると表面が燃えて炭化層が形成される、この炭化層が木材の表面に均一に形成されると木材内部への熱の侵入が抑制され、木材内部の構造的な劣化が抑制される。この特性を利用し、柱や梁等に使用する木材を太くし、燃焼後の木材の内部に長期荷重を支持し得る健全な断面が確保されるように、木材の表面に、燃えて炭化層を形成すべき所定の厚みの燃えしろを設ける技術が知られている。このような燃えしろを設けた構造材等を主要構造部に用いて、木造建築物を準耐火建築物とすることも行われている。
木材や木材と他の材料との複合材の表面に燃えしろを設けて、耐火材の部材を得る技術は種々提案されており、例えば、特許文献1には、長期荷重を支持するに足る木材等からなる荷重支持層の外側に、不燃材にしてかつ断熱層を有する断熱材を有した燃えしろ層を設け、さらにその外側に、所定の燃えしろ厚さを有する木材からなる燃えしろ層を設けた構造材が提案されている。また、特許文献2には、荷重支持層の外側に、難燃薬剤を注入した木材からなる難燃薬剤注入層を設け、その外側に難燃薬剤を含まない表層を備えた耐火集成材が提案されている。
特開2005−36457号公報 特開2008−31743号公報
特許文献1の構造材のように、木材と不燃材等の異種材料を組み合わせた構造材や、特許文献2の耐火集成材のように、難燃薬剤を用いたものは、製造工程が複雑となり製造コストが高くなる。
本発明の目的は、燃えどまり性能を発現し、耐火性能に優れ、製造も容易な耐火木製構造材を提供することにある。
本発明の他の目的は、熱の流入抑制効果に優れた密な炭化層を形成でき、耐火又は準耐火建築物の建築等に好ましく用いられる耐火部材を提供することにある。
本発明は、荷重支持部と、該荷重支持部の周囲に配された燃えしろ層とを有する横断面四角形状の耐火木製構造材であって、
前記燃えしろ層は、複数本のラミナが積層接着されたラミナ積層体から構成されており、前記耐火木製構造材の横断面の一方向において前記荷重支持部を挟んでその両側に位置する一対の側部燃えしろ層が、それぞれ、前記一方向と直交する方向をラミナの積層方向とする側部ラミナ積層体から形成されており、該側部ラミナ積層体は、少なくとも、ラミナの積層方向における前記荷重支持部と同位置に存在する部分が、木表どうしの積層面を有しないように複数本のラミナが積層接着されたラミナの積層構造を有している、耐火木製構造材を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、荷重支持部と、該荷重支持部の周囲に配された燃えしろ層とを有する横断面四角形状の耐火木製構造材であって、
前記燃えしろ層は、複数本のラミナが積層接着されたラミナ積層体から構成されており、前記耐火木製構造材の横断面の一方向において前記荷重支持部を挟んでその両側に位置する一対の側部燃えしろ層が、それぞれ、前記一方向と直交する方向をラミナの積層方向とする側部ラミナ積層体から形成されており、該側部ラミナ積層体は、ラミナの積層方向における全体が、木表どうしの積層面を有しないように複数本のラミナが積層接着されたラミナの積層構造を有している、耐火木製構造材を提供することにより、上記目的を達成したものである。
また、本発明は、木表どうしの積層面を有しないように4本以上のラミナが積層接着されたラミナ積層体からなる、耐火木製部材を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明の耐火木製構造材は、燃えどまり性能を発現し、耐火性能に優れ、製造も容易である。
本発明の他耐火部材は、熱の流入抑制効果に優れた密な炭化層を形成でき、耐火又は準耐火建築物の建築等に好ましく用いられる。
図1(a)は、本発明の第1実施形態の耐火木製構造材を示す横断面図であり、図1(b)は、当該耐火木製構造材の構成の説明図である。 図2(a)は、本発明の第2実施形態の耐火木製構造材を示す横断面図であり、図2(b)は、当該耐火木製構造材の構成の説明図である。 図3は、ラミナの軸方向(長手方向)に直交する横断面を示す図である。 図4は、本発明の第3実施形態の耐火木製構造材を示す横断面図であり、図1(a)相当図である。 図5は、本発明の第4実施形態の耐火木製構造材を示す横断面図であり、図2(a)相当図である。 図6は、第1実施形態の耐火木製構造材の製造方法の一例の説明図である。 図7(a)は、晩材率及び晩材寸法の説明図であり、図7(b)は、耐火木製構造材を構成するラミナの年輪の形成状態の例を示す図である。 図8は、広葉樹の年輪を示す図である。 図9(a)及び図9(b)は、本発明の耐火木製構造材の更に他の実施形態を示す横断面図である。 図10は、実施例1における耐火木製構造材の製造方法を示す概略図である。 図11は、実施例1及び比較例1の燃焼試験の結果を示すグラフである。 図12は、実施例1及び比較例1の燃焼試験の結果を示す写真である。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態の耐火木製構造材1は、木造建築物の柱として使用される構造用の角材であり、図1(a)に示すように、軸方向(長手方向)に沿って延びる4側面a〜dを備えている。より具体的には、軸方向に直交する横断面形状が四角形状(より詳細には正方形状)を有し、使用時には、軸方向を鉛直方向として使用される。
本発明の第2実施形態の耐火木製構造材1Aは、木造建築物の梁として使用される構造用の角材であり、図2(a)に示すように、軸方向(長手方向)に沿って延びる4側面a1〜d1を備えている。より具体的には、軸方向に直交する横断面形状が四角形状(より詳細には長方形状)を有し、前記4側面a1〜d1として、使用時に、鉛直方向の上側に
配される上面a1、下側に配される下面c1、上下面間に配される2側面b1,d1を備えている。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aは、図1(a)及び図2(a)に示すように、長期荷重を支持する荷重支持部11と該荷重支持部11の周囲に配された燃えしろ層12と有している。
第1及び第2実施形態における荷重支持部11は、単独で、固定荷重、積載荷重等の長期に生ずる荷重(長期荷重)に対して構造耐力上安全であるようにその断面設計がなされており、斯かる断面設計は公知である。荷重支持部11の横断面形状は四角形状であり、該横断面形状における一方向Yの長さ及び該一方向Yに直交する方向Xの長さは、柱や梁の形状、或いは大きさ等によって適宜に変更することができる。
燃えしろ層12の厚みLa〜Ldは、公知の燃えしろ設計に基づき設定することができる。燃え代設計は、長期構造耐力や地震時等の短期構造耐力に対して必要な断面に、所定の燃え代分を足す設計手法であり、防耐火性能上の非損傷性(火災加熱を受けても建物を支える荷重に耐えたまま、崩壊しない性能)を荷重支持部11により確保した上で、その周囲に、要求される耐火性能に応じた厚みの燃えしろ層を設ける設計である。例えば、例えば1時間の準耐火性能に対しては45mmの木材被覆を設ける燃えしろ設計が行われている。
しかし、燃えしろ層を集成材で構成した場合、高い耐火性能、例えば、火災終了後、自然に火が消える燃えどまり性能を得るためには、燃えしろ層の厚さを増しただけでは、十分な燃えどまり性能が得られなかったり、燃えしろ層に難燃薬剤を配合したラミナを使用する等の工夫が必要となる。
これに対して、第1実施形態の耐火木製構造材1は、図1(a)及び図1(b)に示すように、軸方向(長手方向)に沿う4側面a〜dのうちの4側面a〜dに沿う燃えしろ層12a〜12dを有し、耐火木製構造材1の横断面における、断面四角形状の荷重支持部11の4方を燃えしろ層12が囲んでいる。そして、その燃えしろ層12は、複数本のラミナ2が積層接着されたラミナ積層体13〜15から構成されている。また、耐火木製構造材1の横断面の一方向Yにおいて荷重支持部11を挟んでその両側に位置する一対の側部燃えしろ層12b、12dが、それぞれ、該一方向Yと直交する方向Xをラミナの積層方向とする側部ラミナ積層体13から形成されており、該各側部ラミナ積層体13は、ラミナの積層方向Xにおける全体が、木表どうしの積層面を有しないように複数本のラミナ2が積層接着されたラミナの積層構造を有している。
そのため、耐火木製構造材1の側部ラミナ積層体13からなる一対の側面b,dが、火災時の火炎に晒された場合に、該側面b、dに形成される炭化層に、ラミナ2の木表どうしの積層面に沿って大きな割れが生じることや、そのような割れに起因して炭化層の一部が欠落することも抑制され、耐火木製構造材1の側面b、d付近に、熱伝導の抑制効果又は酸素遮断効果に優れた密な炭化層が形成される。それにより、耐火木製構造材1は、燃えしろ層が、難燃薬剤を配合しなくても燃えどまり機能を有し、優れた耐火性能を有するものとなっている。
なお、本発明者らは、燃えしろ層を、ラミナの積層体から構成しつつも高い耐火性能を有する耐火木製構造材を開発するべく、ラミナの積層状態を変化させた集成材からなる構造材の耐火性能をついて研究した結果、ラミナ積層体からなる燃えしろ層を設けた集成材を火炎に晒すと、その燃えしろ層の燃焼により生じる炭化層に、ラミナの木表どうしの積層面に沿って大きな割れが生じ、該割れに沿って燃焼が、耐火木製構造材の内部に進行しやすいこと、及びその割れの部分の燃焼が、燃えどまりを妨げる要因となっていることを知見し、斯かる知見に基づき更に研究を重ねて、本発明を完成させた。炭化層の割れは、急激な乾燥によって生じた割れが燃焼によりさらに拡大されたものである。
第1実施形態の耐火木製構造材1は、図2(a)に示すように、使用時に水平方向に沿う断面となる横断面の中央部に荷重支持部11を有し、その横断面における荷重支持部11の周囲に全周囲に亘って燃えしろ層12を有している。燃えしろ層12は、前述した側部燃えしろ層12b、12dと、側部燃えしろ層12b、12dのラミナの積層方向Xと同方向において荷重支持部11を挟んでいる第2側部燃えしろ層12a,12cを有している。耐火木製構造材1の燃えしろ層12は、耐火木製構造材1の4側面a〜dのいずれにおいても、少なくとも1時間の耐火性を有している。より具体的には、耐火木製構造材1は、側部燃えしろ層12b、12dを形成する側部ラミナ積層体13,13からなる一対の側面b,dを含む耐火木製構造材1の4側面a〜dを形成する燃えしろ層12a〜12dが、ISO834標準加熱曲線で1時間加熱後、5時間放冷したときに、前記側面からの深さ90mmの位置に燃焼が到達しない燃えどまり性能を有している。
荷重支持部11の周囲に設定する燃えしろ層の厚みLa〜Ldは、耐火性能の向上、特に燃えどまり機能が得られるようにする観点から、50mm以上が好ましく、70mm以上がより好ましく、90mm以上が更に好ましい。
第2実施形態の耐火木製構造材1Aは、図2(a)及び図2(b)に示すように、軸方向(長手方向)に沿う4側面a1〜d1のうちの3側面b1〜d1に沿う燃えしろ層12a〜12dを有し、耐火木製構造材1Aの横断面における、断面四角形状の荷重支持部11の3方を燃えしろ層12が囲んでいる。そして、その燃えしろ層12は、複数本のラミナ2が積層接着されたラミナ積層体13及び15から構成されている。また、耐火木製構造材1の横断面の一方向Yにおいて荷重支持部11を挟んでその両側に位置する一対の側部燃えしろ層12b、12dが、それぞれ、該一方向Yと直交する方向Xをラミナの積層方向とする側部ラミナ積層体13から形成されており、該各側部ラミナ積層体13は、それぞれ、該一方向Yと直交する方向Xをラミナの積層方向とする側部ラミナ積層体13から形成されており、該各側部ラミナ積層体13は、ラミナの積層方向Xにおける全体が、木表どうしの積層面を有しないように複数本のラミナ2が積層接着されたラミナの積層構造を有している。
そのため、耐火木製構造材1の側部ラミナ積層体13からなる一対の側面b1,d1が、火災時の火炎に晒された場合に、該側面b1、d1に形成される炭化層に、ラミナ2の木表どうしの積層面に沿って大きな割れが生じることや、そのような割れに起因して炭化層の一部が欠落することも抑制され、耐火木製構造材1Aの側面b1、d1付近に、熱伝導の抑制効果又は酸素遮断効果に優れた密な炭化層が形成される。それにより、耐火木製構造材1Aは、難燃薬剤を配合しなくても燃えどまり機能を有し、優れた耐火性能を有するものとなっている。
第2実施形態の耐火木製構造材1Aは、図2(a)に示すように、使用時に、荷重支持部11の水平方向の両側を被覆する側部燃えしろ層12b、12dと、荷重支持部11の下側を被覆する下部燃えしろ層12cとを有している。燃えしろ層12は、側部燃えしろ層12b,12dの厚みLb、Ld及び下部燃えしろ層12cの厚みLcのいずれについても、少なくとも1時間の耐火性を有している。より具体的には、耐火木製構造材1Aは、側部燃えしろ層12b、12dを形成する側部ラミナ積層体13,13からなる一対の側面1b,1dを含む耐火木製構造材1Aの3側面b1〜d1を形成する燃えしろ層12b〜12dが、ISO834標準加熱曲線で1時間加熱後、5時間放冷したときに、前記側面からの深さ90mmの位置に燃焼が到達しない燃えどまり性能を有している。
荷重支持部11の周囲に設定する燃えしろ層の厚みLb、Lc及びLdは、耐火性能の向上、特に燃えどまり機能が得られるようにする観点から、いずれも、50mm以上が好ましく、70mm以上が更に好ましい。また、下部燃えしろ層12cの厚みLcは、側部燃えしろ層12b、12dの厚みLb、Ldよりも厚いことが、熱の伝わりやすい角の部分を材積を抑えながら被覆できる点から好ましい。
第2実施形態の耐火木製構造材1Aは、梁用の構造材であり、使用時に上面aには、耐火性能を有する床が載ることにより、荷重支持部11が被覆されるため、荷重支持部11の上側を被覆する燃えしろ層は設けていない。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aにおいて、側部燃えしろ層12b、12dを形成するラミナ積層体13は、構成するラミナ2の全てが木表3及び木裏4を有するラミナである。図3は、ラミナの軸方向(長手方向)に直交する横断面を示す図であり、図3(a)及び図3(b)に示すラミナ2は、木表3及び木裏4を有するラミナである。ラミナの木表3は、幅が広い相対向する2面のうちの原木の樹芯5から遠い方の面であり、ラミナの木裏4は、当該2面のうち原木の樹芯5に近い方の面である。図3(c)及び図3(d)に示すラミナ2は、幅が広い相対向する2面に木表3及び木裏4の区別のないラミナであり、側部燃えしろ層12b、12dを形成するラミナ積層体13に含まれていても良いラミナである。耐火木製構造材製造上の品質管理の観点から、側部燃えしろ層12b、12dを形成するラミナ積層体(側部ラミナ積層体)13は、積層されたラミナの3分の2以上が、木表3と木裏4の区別のあるラミナであることが好ましく、4分の3以上が、木表3と木裏4の区別のあるラミナであることが好ましく、耐火木製構造材1,1Aのように、側部ラミナ積層体13を構成する全てのラミナが、木表3と木裏4の区別のあるラミナであることが更に好ましい。なお、耐火木製構造材1,1Aは、燃えしろ層12及び荷重支持部11を構成する全てのラミナが、木表3と木裏4の区別のあるラミナであるラミナとなっている。また、図3中、符号5は、原木の樹芯5の位置を示し、符号21は年輪を示している。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aのように、側部燃えしろ層12b、12dを形成する側部ラミナ積層体13が、そのラミナの積層方向Xにおいて、荷重支持部11と同位置に存在する部分13s(第1部分)と、該部分13sから延出する部分13e(第2部分)とを有する場合〔図1(a)及び図2(a)参照〕、少なくとも、荷重支持部11と同位置に存在する部分13s(第1部分)に位置するラミナが、木表どうしの積層面を有しないように積層されている必要がある。木表どうしの積層面が、荷重支持部11と同位置に存在する部分13sにあると、燃えしろ層がが燃焼したときに、木表どうしの積層面に沿って隙間が生じ、燃えしろ層が燃えどまり機能を発現しにくくなる。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aのように、側部ラミナ積層体13が、ラミナの積層方向Xに、荷重支持部11と同位置に存在する部分13s(第1部分)と該部分13sから延出する部分13e(第2部分)とを有する場合、耐火性能や側部燃えしろ層の燃えどまり機能を向上させる観点から、該側部ラミナ積層体13は、荷重支持部11と同位置に存在する部分13s(第1部分)に位置する全てのラミナと、該部分13sから延出する部分13e(第2部分)に位置するラミナのうちの前記部分13s(第1部分)のラミナに隣接する少なくとも一つのラミナとが、木表どうしの積層面を有しないように積層接着されていることが好ましい。
同様の観点から、側部ラミナ積層体13は、延出する部分13eのラミナを含めた全てのラミナが、木表どうしの積層面を有しないように積層されていることが好ましい。すなわち、側部ラミナ積層体13は、ラミナの積層方向Xにおける全体が、木表どうしの積層面を有しないように複数本のラミナが積層接着されたラミナの積層構造を有していることが好ましい。
本発明の耐火木製構造材において、側部ラミナ積層体13は、木表どうしの積層面を有しないように4本以上のラミナが積層接着されたラミナ積層体であることが好ましい。ここでいう「4本以上のラミナ」は、前記の延出する部分13eのラミナを含めて、積層されたラミナの本数が4本以上であれば良い。
側部燃えしろ層12b、12dを形成する各側部ラミナ積層体13は、荷重支持部11
と同位置に存在する部分13sに位置するラミナが、好ましくは2〜100本、より好ましくは3〜75本、更に好ましくは4〜50本である。また、側部燃えしろ層12b、12dを形成する各側部ラミナ積層体13は、延出する部分13eのラミナを含めた積層本数が、好ましくは4〜114本、より好ましくは5〜89本、更に好ましくは6〜64本である。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aは、図1(a)及び図2(a)に示すように、側部燃えしろ層12b、12dを形成する各側部ラミナ積層体13が、構成するラミナの全てが木表及び木裏を有するラミナであり、木裏どうしの積層面6を一か所のみ有している。これに代えて、図4に示す第3実施形態の耐火木製構造材1B及び図5に示す第4実施形態の耐火木製構造材1Cのように、側部燃えしろ層12b、12dを形成する各側部ラミナ積層体13を構成する全てのラミナ2が、木表及び木裏を有するラミナであり、全てのラミナ2の木表が、ラミナの積層方向Xにおいて同一方向を向いていることも好ましい。
木裏どうしの積層面6を一か所に有する実施形態は、木裏どうしの積層面6を一カ所も設けない実施形態に比べて、耐火木製構造材全体としての反りを抑制する観点から好ましい。
また、同様の観点から、木裏どうしの積層面6は、側部燃えしろ層12b、12dを形成するラミナ積層体13のラミナの積層方向Xにおける、荷重支持部11と同じ位置に位置する部分に存することが好ましい。例えば、木裏どうしの積層面6は、耐火木製構造材1,1Aを、側部燃えしろ層12b、12dを形成するラミナ積層体13のラミナの積層方向Xと同方向に3等分して3領域に区分したときに、中央の領域に存在することが好ましい。
第1実施形態の耐火木製構造材1は、その完成状態において、前述した側部燃えしろ層12b、12dを形成する2つのラミナ積層体13,13が、ラミナ積層体14〜16からなる中央ラミナ積層体17を間に挟んだ状態で、ラミナの積層方向Xに直交する方向Yに連結された構成を有しており、それぞれ4本以上のラミナ、好ましくは4本以上の同数のラミナ(図示例は12本)が積層接着された複数のラミナ積層体13,13,17によって、荷重支持部11及び荷重支持部11の周囲に配された燃えしろ層12の全体が形成されている。
第2実施形態の耐火木製構造材1Aも、その完成状態において、前述した側部燃えしろ層12b、12dを形成する2つのラミナ積層体13,13が、ラミナ積層体15及び16からなる中央ラミナ積層体17を間に挟んだ状態で、ラミナの積層方向Xに直交する方向Yに連結された構成を有しており、それぞれ4本以上のラミナ、好ましくは4本以上の同数のラミナ(図示例は13本)が積層接着された複数のラミナ積層体13,13,17によって、荷重支持部11及び荷重支持部11の周囲に配された燃えしろ層12の全体が形成されている。
荷重支持部11及び燃えしろ層12の全体を、側部燃えしろ層12b、12dを形成する一対の側部ラミナ積層体13、又は該側部ラミナ積層体13と該側部ラミナ積層体13と同様にラミナの積層体からなる中央ラミナ積層体17から構成することにより、荷重支持部11及び燃えしろ層12に必要な部材の種類を減らすことができ、簡易な製造工程により効率よく製造することができる。なお、荷重支持部11及び燃えしろ層12の全体を、側部燃えしろ層12b、12dを形成する一対のラミナ積層体13のみから形成することもでき、また、側部燃えしろ層12b、12dを形成する2つのラミナ積層体13とそれらの間に挟んで連結一体化した2以上の中央ラミナ積層体17とから形成することもできる。
第1実施形態の耐火木製構造材1を構成するラミナ2は、同一樹種の木材から構成され
たものである。第2実施形態の耐火木製構造材1Aを構成するラミナ2も、同一樹種の木材から構成されたものである。ただし、ラミナ2は、単一樹種に由来のもののみを用いても良いし、複数の樹種から得られたものを併用することもできる。ラミナ2の原料とする木材の樹種としては、任意のものを用いることができ、例えば、針葉樹であれば、カラマツ、ベイマツ、グイマツ、ツガ等、広葉樹であれば、ケヤキ、くり、ミズナラ、タモ等を用いることができる。また、個々のラミナ2は、耐火木製構造材1,1Aの長手方向(軸方向に同じ)と同方向に長い形状を有している。個々のラミナ2は、耐火木製構造材1,1Aの長手方向の全長に亘って連続する一枚の挽き板等であっても良いが、ラミナの全部又は一部は、複数の挽き板等をフィンガージョイント等の接合方法で長手方向に継いだものであっても良い。
第1実施形態の耐火木製構造材1におけるラミナ積層体13〜16、及び第2実施形態の耐火木製構造材1Aにおけるラミナ積層体13、15及び16は、それぞれに含まれるラミナどうし間が、接着剤により接合された状態で積層されており、且つラミナ積層体どうし間も、接着剤により接合されている。
ラミナどうし間又はラミナ積層体どうし間を接合する接着剤としては、集成材の製造に従来用いられている各種公知の接着剤を用いることができ、例えば、水性高分子−イソシアネート系接着剤、レゾルシノール樹脂接着剤、レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、メラミンユリア樹脂接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等が挙げられる。これらのなかでも、レゾルシノール樹脂接着剤又はレゾルシノール・フェノール樹脂接着剤が好ましい。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aは、例えば、ラミナ間に接着剤を配して積層加圧して、図1(b)又は図2(b)に示す各ラミナ積層体を製造した後、それらのラミナ積層体間に接着剤を配してラミナ積層体を積層加圧することにより製造することができるが、それに制限されるものではなく、それぞれ、任意の手順により製造することができる。
例えば、第1実施形態の耐火木製構造材1は、図10(a)〜図10(c)に示すように、前述した側部燃えしろ層12b、12dを形成する2つのラミナ積層体13,13を製造するとともに、全く同様にして、ラミナ積層体14〜16を含む中央ラミナ積層体17を製造し、それらを、接着剤を介して、ラミナの積層方向Xに直交する方向Yに連結して製造することができる。
また、図6(a)に示すように、木表3及び木裏4を有する複数のラミナ2を、ラミナ間に接着剤を配し且つ木表3側を同じ方向に向けて重ね、それらを熱盤プレス等により加圧して集成材ブロック18を形成した後、図6(b)に示すように、同様にして得られた複数の集成材ブロック18を、接着剤により結合して、複数の集成材ブロック18が、ラミナの積層方向Xに直交する方向Yに連結された中間ブロック19を得、次いで、図6(c)に示すように、同様にして得られた2つの中間ブロック19どうしを、木裏4どうしが接合されるように、重ねて接合剤を介して接合することで製造することができる。この製造方法は、ラミナ配列の管理および同寸法の部材で効率良い製造が可能な点で好ましい。
本発明(耐火木製構造材、耐火木製部材)は、燃えしろ層に優れた燃えどまり機能を付与して、耐火性能に優れたものとする観点から、燃えしろ層を構成するラミナの構成木材に、晩材率が20%以上且つ晩材寸法が0.6mm以上の木材を用いることが好ましい。晩材率が20%以上且つ晩材寸法が0.6mm以上の木材は、少なくとも、側部ラミナ積層体13を構成するラミナとして使用することが好ましい。斯かる木材を使用するラミナは、側部ラミナ積層体13を構成するラミナのうち、ラミナの積層方向Xにおいて、側部ラミナ積層体13のラミナ積層方向の全体であっても良い。
燃えしろ層を構成するラミナの構成木材に、晩材率が20%以上であり且つ晩材寸法が0.6mm以上である樹種の木材を用いることによって、燃えしろ層の燃焼時に形状保持性に優れた炭化層が形成され、優れた燃えどまり性能が得られる。
また、晩材率が20%以上であり且つ晩材寸法が0.6mm以上である樹種の木材は、一定の熱容量を有していることから、断熱を期待できる形状保持性に優れた炭化層下の熱容量を効率的にいかすことで、より高い耐火性能が得られる。
図7(a)は、針葉樹の横断面の一部を示す図である。晩材61とは、図7(a)に示すように、木材の木部(もくぶ)のうち、密度が高く色が濃色の部分で、年輪64の外縁を形成する部分であり、早材62とは、木材の木部のうち、晩材61に比して密度が低く色が淡色の部分であり、晩材に比べて細胞が大形で細胞壁も薄い。
晩材率(%)は、図7(a)に示すように、樹木の半径方向に延びる直線Lに沿って、晩材61の長さL1と早材62の長さL2と年輪の間隔L3とを測定したときに、下記式で表される。
晩材率(%)=(晩材の長さL1/年輪の間隔L3) ×100・・・(1)
晩材寸法とは、上記の晩材部分の長さL1自体である。
木材は、その横断面において、木裏側に近い部分と木表側に近い部分とで、晩材率(%)が異なる場合がある。そのような場合、木裏側に近い面65と木表側に近い面66との間の中央部付近に位置する年輪の間隔L3及びその年輪64に含まれる晩材61の長さL1から晩材率(%)を求める。「中央部付近に位置する年輪」とは、中央部に位置する年輪が明確であればその年輪、中央部に年輪間の境界が位置する等、中央部に位置する年輪が一義的に決まらない場合は、該中央部に最も近い年輪である。中央部からの距離が等しい2つの年輪がある場合は、2つの年輪から任意に選択した一方の年輪である。
晩材率や晩材寸法は、耐火木質構造材の横断面の対象部位(荷重支持部の周囲の燃えしろ部の全体、側部ラミナ積層体における前記部分13s又は該側部ラミナ積層体の全体)における10箇所以上で年輪の間隔L3及び晩材61の長さL1を測定し、その長さL1及び算出した晩材率の平均を、対象部位に存するラミナの晩材寸法及び晩材率とする。
長さL1及び晩材率を算出するラミナは、対象部位における特定の箇所のラミナに集中しないように選択する。図7(b)は、耐火木製構造材の全体又は一部がラミナ積層体からなる場合の個々のラミナの年輪の形成状態の例を示す図である。図7(b)中に示すラミナ2Aのように、樹芯67を含むラミナ2については、その樹芯67と、該樹芯67からの距離が最も遠い面66Aとの間の中央部に位置する年輪64Aの間隔L3及び晩材61の長さL1を、当該ラミナ2についての年輪の間隔L3及び晩材61の長さL1とする。
図8(a)及び図8(b)は、広葉樹のうちの環孔材であるクリとハリギリの顕微鏡写真である。環孔材は、年輪64の初めに他の部分と比べて直径が著しく大きい導管ができて、それらが年輪に沿って並んでいる材であり、その大きい導管が並んでいる部分62が、早材62であり、早材62間に位置する部分が晩材61である。広葉樹(環孔材)についての晩材率(%)も、上記の式(1)に従い算出される。
燃えしろ層12の燃焼時に形状保持性に優れた炭化層が形成されるようにする観点から、燃えしろ層12の構成木材の晩材率は20%以上が好ましく、更に好ましくは30%以上である。晩材率の上限は特にないが、例えば90%以下であり、80%以下が好ましい。また晩材寸法L1は、0.6mm以上が好ましく、0.7mm以上が更に好ましい。
晩材率が20%以上且つ晩材寸法が0.6mm以上である木材の例としては、針葉樹であれば、カラマツ、ベイマツ、グイマツ、ツガ等が挙げられ、広葉樹であれば、ケヤキ、くり、ミズナラ、タモ等が挙げられるが、これらに限られるものではない。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aにおいて、側部燃えしろ層を形成するラミナ積層体13は、本発明の耐火木製部材の一実施形態として使用することができる。例えば、前述した方法により製造したラミナ積層体13を、壁下地材や間柱、床下地材や根太等に固定して、壁や床の表面に、耐火構造を形成する耐火木製部材として使用することもできる。その場合においても、ラミナの積層方向Xに直交する方向の面に、ラミナの木表どうしの積層面が存在しないため、該面が、火災時の火炎に晒された場合に、該面に形成される炭化層に、大きな割れが生じたり、炭化層が欠落することが抑制され、耐火木製部材の火炎に晒される面付近に、熱伝導の抑制効果又は酸素遮断効果に優れた密な炭化層が形成される。このようにして、本発明の耐火木製部材の一実施形態によれば、壁や床、柱や梁等の表面に、熱の流入抑制効果に優れた密な炭化層を形成でき、耐火又は準耐火建築物の建築等に好ましく用いられる。耐火木製部材を取り付ける構造材、壁下地材、床下地材等は、無垢材や集成材等からなる木製であっても良く、金属製であっても良く、金属と木材との複合材等であっても良い。
本発明の耐火木製部材は、難燃薬剤を含んでおらず、ラミナの積層方向に直交する方向の片面側から、ISO834標準加熱曲線で1時間加熱後、5時間放冷したときに、前記片面からの深さ50mmの位置に燃焼が到達しない燃えどまり性能を有することが好ましく、前記片面からの深さ70mmの位置に燃焼が到達しない燃えどまり性能を有することが更に好ましい。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、斯かる実施形態に制限されず適宜変更可能である。
例えば、荷重支持部11とその両側に位置する側部燃えしろ層12との境界を、ラミナ積層体17とラミナ積層体13との境目に一致させても良い。
また、荷重支持部11を、その両側に位置するラミナ積層体13と同様のラミナ積層体から構成するのに代えて、無垢材や、木表どうしの積層面を有するラミナ積層体、側部燃えしろ層のラミナ積層体のラミナ積層方向と直交する方向をラミナの積層方向としたラミナ積層体等から構成することもできる。
また、本発明の耐火木製構造材は、横断面形状が長方形状の柱材であっても良く、横断面形状が正方形状の梁材であっても良い。
また、本発明の耐火木製構造材は、図9(a)又は図9(b)に示す横断面形状を有するものであっても良い。図9(a)及び図9(b)には、第1実施形態の耐火木製構造材と同様の構成要素に、第1実施形態と同様の符号を付した。図9(a)及び図9(b)に示す耐火木製構造材は、側部燃えしろ層12b、12dを形成する一対の側部ラミナ積層体13間に2本の中央ラミナ積層体17を有している。
本発明の耐火木製構造材において、一対の側部ラミナ積層体13は、ラミナの積層方向Xの両端に位置するラミナが、木表側が外側を向いたラミナであることが好ましい。また、側部ラミナ積層体13間に、中央ラミナ積層体17を有する場合の該中央ラミナ積層体17も、ラミナの積層方向Xの両端に位置するラミナが、木表側が外側を向いたラミナであることが好ましい。また、側部ラミナ積層体13間に位置する中央ラミナ積層体17は、無垢材等、集成材ではない荷重支持部11の構成部材によって、側部ラミナ積層体13のラミナの積層方向Xと同方向に2分割されていても良い。また、側部ラミナ積層体13間に、集成材ではない荷重支持部11の構成部材と、使用時に荷重支持部の下側に位置する単一の中央ラミナ積層体17のみが配されていても良い。
(実施例1)
カラマツから得られたラミナ2(密度:0.53g/cm3±10%、含水率8〜10%)を用いて、図10に示す手順により図1に示す断面構成を有する柱材である耐火木製構造材を得た。ラミナ間の接着には、レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤を用いた。
製造した耐火木製構造材は、断面寸法が350mm×350mm、荷重支持部の寸法が170mm×170mm、燃えしろ層12の厚みLa〜Ldが90mm、長さが4.3mであり、側部燃えしろ層を構成する2つのラミナ積層体13及びその間に位置するラミナ積層体17は、図1に示すように、ラミナの積層方向Xの中央部に、木裏どうしの積層面6を1か所有し、木表どうしの積層面を有しないものである。
(比較例1)
実施例1に用いたラミナと同一のラミナを、木裏の向きが交互に逆向きとなるように積層接着してラミナ積層体を製造し、それらを用いる以外は、実施例1と同様の手順で、比
較例1の耐火木製構造材を製造した。比較例1の耐火木製構造材も、断面寸法が350mm×350mm、荷重支持部の寸法が170mm×170mm、燃えしろ層12の厚みLa〜Ldが90mm、長さが4.3mであるが、側部燃えしろ層を構成する2つのラミナ積層体13及びその間に位置するラミナ積層体17は、いずれも、ラミナが、木裏の向きが交互に逆向きとなるように積層されており、ラミナの積層方向Xの両端に位置するラミナは木表側が外側を向いている。
(評価)
(燃焼試験)
実施例1及び比較例1で得られた耐火木製構造材を、直立状態として試験炉内に配置し、4側面のそれぞれに対して、通常の火災を想定したISO834標準加熱により1時間加熱を行い、加熱終了後5時間の炉内放冷を行った。
その際、ラミナの積層方向Xの端に位置する側面aを板目面、ラミナの積層方向に直交する方向の端に位置する側面dを柾目面として、板目面及び柾目面から荷重支持部11の中心に向かう深さが、30mm、60mm、90mmとなる各位置における温度変化を計測し、各深さにおける温度の経時的変化を記録した。板目面及び柾目面のいずれについても、90mmの深さは、荷重支持部と燃えしろ層との境界である。
結果を図11に示す。
柾目面からの深さの温度変化を見ると、比較例1においては、深さ30mmの温度が最大500℃を超え、放冷中も高い温度を維持しているのに対して、実施例1においては、深さ30mmの温度を最大で300℃以下に抑えることができ、放冷中も低い温度を維持し深さ60mm、90mmの温度上昇も抑制できていることがわかる。
このことから、比較例1の耐火木製構造材においては、燃焼継続に十分な温度を燃えしろ層内部に生じており、炭化層の割れ方で酸素が供給される状況になると放冷中も燃焼が継続し、そのまま放置すると燃焼が90mm以上の荷重支持層に到達する可能性があることが判る。
これに対して、実施例1の耐火木製構造材においては、燃焼継続に十分な温度を燃えしろ層内部に生じておらず、炭化層の割れ方で酸素の供給がより少ない状況であれば、放冷中に燃焼が継続しないことが判る。
5時間の炉内放冷後の試験体の柾目面の写真を図12に示す。
比較例1の試験体は、図12(a)に示すように、柾目面に生じた炭化層に、大きな割れが生じており、その割れの内部で燃焼が継続していることが確認された。また、大きな割れは、ラミナの木表どうしの積層面付近に生じており、その割れの内部で、燃焼が継続していることが確認された。また、炭化層に生じた大きな割れの付近で、炭化層の一部が脱落していることも確認された。
これに対して、実施例1の試験体においては、図12(b)に、柾目面に生じた炭化層に、大きな割れが生じず、密な炭化層が形成されていた。
これらの結果から、本発明の実施例である耐火木製構造材や耐火木製部材によれば、燃えしろ層に、難燃薬剤を使用しなくても、燃えどまり性能を発現し、高い耐火性能が得られることが判る。
1,1A〜1C 耐火木製構造材
11 荷重支持部
12 燃えしろ層
2 ラミナ
21 年輪
3 木表
4 木裏
6 木裏どうしの積層面
13 側部ラミナ積層体(ラミナ積層体)
14〜17 ラミナ積層体

Claims (6)

  1. 荷重支持部と、該荷重支持部の周囲に配された燃えしろ層とを有する横断面四角形状の耐火木製構造材であって、
    前記燃えしろ層は、複数本のラミナが積層接着されたラミナ積層体から構成されており、
    前記耐火木製構造材の横断面の一方向において前記荷重支持部を挟んでその両側に位置する一対の側部燃えしろ層が、それぞれ、該一方向と直交する方向をラミナの積層方向とする側部ラミナ積層体から形成されており、該側部ラミナ積層体は、ラミナの積層方向における全体が、木表どうしの積層面を有しないように複数本のラミナが積層接着されたラミナの積層構造を有しており、
    前記側部ラミナ積層体は、それぞれを構成する全てのラミナが、木表及び木裏を有する横断面長方形状のラミナであり且つその長方形の長辺を形成する面を積層面として積層されており、
    前記側部ラミナ積層体は、前記木裏どうしの積層面を、ラミナの積層方向における一か所のみに有しており、該木裏どうしの積層面が、耐火木製構造材を該側部ラミナ積層体のラミナの積層方向と同方向に3等分して3領域に区分したときの中央の領域に存在する、耐火木製構造材。
  2. 一対の前記側部ラミナ積層体が、直接又は中央ラミナ積層体を介して、前記一方向に連結されている、請求項1に記載の結合されている、耐火木製構造材。
  3. 前記荷重支持部が、複数本のラミナが積層接着されたラミナ積層体から構成されている、請求項1又は2に記載の耐火木製構造材。
  4. 軸方向に沿って延びる4側面を有し、該4側面のうちの3側面又は4側面に沿って燃えしろ層を有しており、
    4本以上のラミナが積層接着されたラミナ積層体が、前記一方向と直交する方向に複数連結された構成を有しており、それら複数のラミナ積層体によって、前記荷重支持部、及び前記3側面又は前記4側面に沿う前記燃えしろ層の全体が形成されている、請求項1〜の何れか1項に記載の耐火木製構造材。
  5. 前記耐火木製構造材が、木造建築物の柱材又は梁材である、請求項1〜の何れか1項に記載の耐火木製構造材。
  6. 難燃薬剤を含んでおらず、前記側部ラミナ積層体からなる一対の側面を含む耐火木製構造材の3側面又は4側面を形成する燃えしろ層が、ISO834標準加熱曲線で1時間加熱後、5時間放冷したときに、前記側面からの深さ90mmの位置に燃焼が到達しない燃えどまり性能を有する、請求項1〜の何れか1項に記載の耐火木製構造材。
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