JP6465495B2 - 耐火木材 - Google Patents

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Description

本発明は、耐火木材、特に、芯材の周囲を不燃木材で被覆した耐火木材に関する。
従来、建築物の耐火部材として、鉄骨造や鉄筋コンクリート造等の不燃性材料からなるものが用いられてきた。しかし、建築基準法の改正により、一定の耐火性能を満たすことを要件に、建築用の耐火部材として様々な材料を用いることが可能になった。
これを受けて、一定の耐火性能を満たす耐火木材や耐火集成材の研究開発が行われている。例えば、特許文献1の耐火集成材(耐火木材)(図6参照)は、難燃薬剤を実質的に含まない木材で構成された表面層120と、表面層120の隣接した内側に、木材に難燃薬剤を注入処理した難燃薬剤注入層130と、難燃薬剤注入層130の内側に配置された難燃処理されていない未処理層140(芯材)と、を備えている。この耐火集成材では、火災の火炎に晒される等によって表面温度が一定以上に上昇すると、表面層120から燃焼が始まる。しかしながら、表面層120の内側に配置された難燃薬剤注入層130によって、燃焼が未処理層140に到達するのが阻害される。
一方、特許文献2の木造耐火構造体(耐火木材)(図7参照)では、木質系材料からなるコア部230(芯材)と、コア部の表面を被覆して木造耐火構造体の外表面を構成する被覆部210と、を備え、被覆部210は発火温度が1000℃以上のユーカリ材で構成されている。この木造耐火構造体では、外表面の発火温度が1000℃以上となっており、通常の木材の発火温度である440℃よりも極めて高くなっている。すなわち、この木造耐火構造体では、被覆部210が不燃層として機能している。そのため、この木造耐火構造体が火災の火炎に晒されても、発火しにくくなっている。これにより、コア部230が燃焼しにくくなっている。
他方、特許文献3の耐火木質部材(耐火木材)(図8参照)では、矩形断面を有し荷重を支持する木製の心材300(芯材)と、心材300を取り囲む燃え止まり層310と、燃え止まり層310を取り囲む木製の燃え代層320と、を備え、交わる一方の燃え止まり層310は燃え代層320内に延びている。また、この燃え止まり層310は不燃木材311によって構成することができる。この耐火木質部材では、火災の火炎に晒される等することにより、表面温度が一定以上に上昇すると、燃え代層320から延焼が始まり、燃焼した燃え代層320は炭化する。このとき、この炭化した燃え代層320によって、内部への熱伝達が抑制され、また、燃え止まり層310によって吸熱される。これにより、心材300の温度上昇が抑制され、心材300の燃焼が阻害される。
また、特許文献3の耐火木質部材では、外方から加熱された際に、燃え代層320内に延びている燃え止まり層310の部分が吸熱するため、この部分の燃え代層320の温度上昇を抑制することができる。これにより、この部分の燃え代層320を燃焼温度よりも低い温度に保つことができ、耐火性能を向上させることができる。
特開2008−031743号公報 特開2012−052330号公報 特開2015−034437号公報
上述したように、特許文献1から3の耐火木材では、軸芯方向視において、芯材の周囲に不燃性または難燃性を有する部材を配置することにより、芯材への燃焼の到達を抑制している。しかしながら、図6から図8に示すように、これらの耐火木材では、各層は複数の部材を周方向に接合して構成されているため、これらの接合部を介して内部に燃焼が進むおそれがある。
図6は特許文献1の耐火集成材の軸芯方向における端面の図である。この耐火集成材は、複数のひき板100を積層することにより構成されている。図中最上位と最下位とのひき板100は難燃薬剤を注入しない板材101で構成されており、その他のひき板100は、難燃薬剤を注入しない板材101と、難燃薬剤を注入した板材102とを接合して構成されている。具体的には、上から2番目と下から2番目のひき板100は、難燃薬剤を注入した板材102の両端に難燃薬剤を注入しない板材101を接合して構成されている。その他のひき板100は、難燃薬剤を注入しない板材101の両端に難燃薬剤を注入した板材102を接合し、さらにそれらの両端に難燃薬剤を注入しない板材101を接合して構成されている。このような構成により、表面層120,難燃薬剤注入層130および未処理層140が構成されている。
上述したように、この耐火集成材は、複数のひき板100を積層して構成されている。そのため、表面層120には接合部121が形成されている。同様に、難燃薬剤注入層130にも接合部131が形成されている。図から明らかなように、表面層の接合部121と難燃薬剤注入層130の接合部131とは直線的に連続しており、接合部131は未処理層140の周縁にまで達している。そのため、火災等の火炎がこの接合部121および接合部131を介して未処理層140にまで達する可能性があり、その場合には未処理層140が燃焼し、耐火性能が低下する。
図7は特許文献2の木造耐火構造体の軸芯方向視における端面の図である。図に示すように、この木造耐火構造体では、被覆部210が4枚の板材201から構成されており、隣接する2枚の板材201は接合部220で接合されている。そのため、火災等の火炎がこの接合部220を介してコア部230にまで侵入する可能性があり、その場合にはコア部230が燃焼し、耐火性能が低下する。
図8は特許文献3の耐火木質部材の軸芯方向視における端面の図である。図に示すように、この耐火木質部材は、心材300の周囲に燃え止まり層310を形成し、燃え止まり層310の周囲に燃え代層320を形成している。燃え止まり層310は4枚の不燃木材311によって形成されている。燃え代層320も同様に4枚の木板321で構成されている。また、この耐火木質部材では、木板321どうしは直接接合されておらず、不燃木材311を介して接合されている。そのため、木板321と不燃木材311との間に接合部330が形成されている。一方、隣接する不燃木材311どうしは直接接合されており、これらの間に接合部340が形成されている。図から明らかなように、この耐火木質部材では、接合部330と接合部340とは直線的に連続し、心材300の周縁部にまで達している。そのため、燃え代層320が燃焼すると、その火炎が接合部330および接合部340を介して心材300にまで達する可能性があり、その場合には心材300が燃焼し、耐火性能が低下する。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、耐火性能の高い耐火木材を提供することにある。
本発明の耐火木材の好適な実施形態の一つでは、荷重を支持する芯材と、前記芯材の周面を覆う内側耐火層と、前記内側耐火層の周面を覆う外側耐火層と、を備え、前記内側耐火層は、周方向に連設し、互いに接合された複数の内側不燃板材から構成され、前記外側耐火層は、周方向に連設し、互いに接合された複数の外側不燃板材から構成され、前記内側不燃材と前記外側不燃材とは、不燃処理を施された木質板材であり、前記外側不燃板材どうしの接合部と、前記内側不燃板材どうしの接合部とが、離間するように構成されている。
この構成では、外側耐火層および内側耐火層には不連続となる接合部が形成されている。そのため、接合部を介して熱や炎が内部に侵入する可能性がある。しかしながら、外側不燃板材どうしの接合部と、内側不燃板材どうしの接合部とが、離間しているため、外側不燃板材どうしの接合部を介して熱や炎が内部に侵入したとしても、その熱や炎が内側不燃板材どうしの接合部に直接伝達されない。そのため、熱や炎が芯材にまで達しにくくなり、耐火性能を高めることができる。
本発明の耐火木材の好適な実施形態の一つでは、前記芯材の周面は、複数の側面から構成され、少なくとも1つの前記側面側には、2以上の前記内側不燃板材と2以上の前記外側不燃板材との少なくとも一方が設けられている。
この構成では、芯材の1つの側面に対応する内側不燃板材および/または外側不燃板材を複数とすることができる。すなわち、芯材の1つの側面に対応する内側不燃板材または外側不燃板材を1枚板で構成するのではなく、複数の板片によって構成することができる。これにより、安価に耐火木材を製造することができる。当然ながら、芯材の1つの側面に対応する内側不燃板材または外側不燃板材を複数の板片によって構成した場合でも、板片どうしの接合部は他の接合部と離間するように構成されているため、上述の構成と同様に、芯材にまで熱は炎が達しにくく、耐火性能を高めることができる。
内側不燃板材および外側不燃板材のそれぞれは、様々なもので構成することができるが、本発明の耐火木材の好適な実施形態の一つでは、前記内側不燃板材および前記外側不燃板材のそれぞれは、木材,圧縮木材,合板,LVLのいずれかである。
耐火木材の斜視図である。 実施例1における耐火木材の軸芯方向視端面図である。 耐火木材の製造工程を示す図である。 実施例2における耐火木材の軸芯方向視端面図である。 別実施形態における耐火木材の軸芯方向視端面図である。 特許文献1の耐火集成材の軸芯方向における端面の図である。 特許文献2の木造耐火構造体の軸芯方向視における端面の図である。 特許文献3の耐火木質部材の軸芯方向視における端面の図である。
以下に図面を用いて、本発明に係る耐火木材の実施形態を説明する。図1は本実施形態における耐火木材の斜視図である。本実施形態では、耐火木材Aを長尺の柱状に構成している。また、図2は本実施形態における耐火木材の軸芯方向視の端面図である。なお、本実施形態では、軸芯方向視断面図も図2と同様となる。
〔全体構成〕
これらの図に示すように、本実施形態における耐火木材Aは、木質材からなる芯材1と、芯材1の周面を被覆するように設けられた内側耐火層2と、内側耐火層2の周面を被覆する外側耐火層3と、を備えている。なお、周面とは、耐火木材Aの軸芯方向視における正面および背面以外の面を意味する。
本実施形態における芯材1は、四角形(正方形)の断面形状を有している。芯材1の素材としては、杉,ひのき、レッドウッド,ホワイトウッド等を用いることができる。また、芯材1は、集成材であっても、単一の木材であっても構わないが、高い強度が要求される場合には集成材とすることが望ましい。
上述したように、本実施形態における芯材1は、四角形の断面形状を有しているため、4つの側面を有している。内側耐火層2は、芯材1の側面のそれぞれに対応する4枚の平板からなる不燃板材21,22,23,24(本発明の内側不燃板材)から構成されている。すなわち、図2に示すように、芯材1のそれぞれの側面を覆うように各々の不燃板材21,22,23,24が配置されている。なお、不燃板材21,22,23,24のいずれかを特定する必要が無い場合には、内側不燃板材2と称する。
外側耐火層3も、内側耐火層2と同様に、芯材1の断面形状に対応して4枚の平板からなる不燃板材31,32,33,34(本発明の外側不燃板材)から構成されている。図2に示すように、不燃板材21,22,23,24のそれぞれの外方面を覆うように不燃板材31,32,33,34が配置されている。なお、不燃板材31,32,33,34のいずれかを特定する必要が無い場合には、外側不燃板材3と称する。
内側不燃板材2や外側不燃板材3としては、杉,ひのき,アカマツ,ベイマツ,カラマツ等の木材を用いることができる。ただし、板材に節があると不燃薬剤を含浸させるために加圧した際に星割れが生じ、耐火性能が低下するため、節のない板材または大きな節を有しない板材を用いるのが好ましい。また、内側不燃板材2および外側不燃板材3のそれぞれは、木材だけでなく、圧縮木材,合板,LVL(Laminated Veneer Lumber)を用いることもできる。本実施形態では、不燃薬剤を含浸させた杉またはひのきの木材からなる板材を用いている。
なお、以下の説明では、これらの板材を図1および図2のように配置した状態を軸芯方向に見て、径方向長さを厚み、周方向長さを横幅、軸芯方向長さを縦幅と称する。
〔製造工程〕
以下に、本実施形態における耐火木材Aの製造工程を説明する。先ず、芯材1,内側不燃板材2および外側不燃板材3を構成する木材を準備する。なお、本実施形態での各材の寸法(横幅x厚み)は、芯材1:LxL、不燃板材21,23:LxW、不燃板材22,24,32,34:(L+2W)xW、不燃板材31,33:(L+4W)xWとしている。
次に、不燃板材21,22,23,24,31,32,33,34を構成する板材に対して不燃薬剤を含浸させることによる耐火処理を施す。本実施形態では、不燃薬剤としてアドコスミック株式会社の「ファイヤーレターデント防燃水」(登録商標)を用いている。含浸の方法としては真空加圧含浸を用いている。一般的な真空加圧含浸は以下の工程からなる。先ず、容器の中に含浸材料(板材)を封入した後、減圧し真空状態とする。次に、含浸材料が完全に没するまで、容器に薬液(不燃薬剤)を注入する。この状態で薬液に圧力をかける。これにより、含浸材料の内部に薬液を含浸することができる。なお、出願人が使用している真空加圧含浸装置では、発明者らの研究開発により改良がなされ、含浸材料にインサイジング処理を施すことなく十分な量の薬剤を含浸させることが可能となっている。すなわち、出願人が製造する不燃板材は表面に孔が形成されていない。これにより、不燃板材の見栄えを保つことができ、また、燃焼が孔から内部に進行することによる耐火性能の低下を招くこともない。なお、不燃板材として圧縮木材を用いる場合には、木材に不燃薬剤を含浸させた後に圧縮を行う。
本実施形態では、含浸する不燃薬剤の量は水分を含め195Kg/mとしている。この程度の含浸量とすることにより、板材のいずれの部分でも135Kg/m以上の含浸量となり、板材のいずれの部分においても十分な耐火性能を確保することができる。
このようにして、不燃板材21,22,23,24,31,32,33,34の不燃処理が完了すると、これらを芯材1の周囲に貼り付け、内側耐火層2および外側耐火層3を形成する。図3を参照しつつ、具体的な工程を説明する。図3は、不燃板材21,22,23,24,31,32,33,34を芯材1の周囲に貼り付ける工程を軸芯方向から見た図である。なお、以下の説明中の上下左右は図3における上下左右を意味する。
先ず、芯材1の上下にそれぞれ不燃板材21,23を配置し、これらの左右端が整列した状態で上下からプレスを行う(図3(a))。次に、図3(a)の状態の耐火木材Aの左右にそれぞれ不燃板材24,22を配置し、これらの上下端が整列した状態で左右からプレスを行う(図3(b))。さらに、図3(b)の状態の耐火木材Aの左右にそれぞれ不燃板材34,32を配置し、これらの上下端が整列した状態で左右からプレスを行う(図3(c))。最後に、図3(c)の状態の耐火木材Aの上下にそれぞれ不燃板材31,33を配置し、これらの左右端が整列した状態で上下からプレスを行う(図3(d))。
芯材1と芯材1に貼り付けられる不燃板材のそれぞれの対向面および不燃板材とその不燃板材に貼り付けられる不燃板材のそれぞれの対向面には接着剤が塗布されており、この接着剤により、それぞれの材が接合される。そのため、各プレスの工程の後に、はみ出た接着剤をモルダで削り取る工程を入れることが望ましい。
このようにして図2に示すような耐火木材Aが製造される。この耐火木材Aでは、内側耐火層2および外側耐火層3はそれぞれ4枚の不燃板材で構成されているため、周方向に隣接する不燃板材の間には接合部が形成されている。例えば、不燃板材21と不燃板材22との間には接合部2aが形成されている。また、不燃板材33と不燃板材34とに間には、接合部3cが形成されている。なお、図2では、分かりやすくするために各接合部の厚みを大きく表現している。
〔耐火メカニズム〕
上述のようにして製造された耐火木材Aが火災の熱にさらされると、外側不燃板材3の内部の不燃薬剤が外方面に浮き出る。これにより、耐火木材Aの表面に不燃薬剤の保護膜が形成される。この不燃薬剤は熱にさらされると吸熱分解反応を起こすため、周囲の温度を下げるよう機能する。ここにさらに高い熱が加わると、耐火木材Aの表面が炭化することにより、耐火木材Aの内部からの酸素の供給を遮断する。これらの作用により、耐火木材Aが火災にさらされても内部(芯材1等)を燃焼から保護することができる。
上述したように、耐火木材Aが火災の熱にさらされると外側耐火層3の表面が保護膜として機能することにより、内部に燃焼が進むことを阻害している。しかしながら、外側耐火層3には不連続となる接合部3a,3b,3c,3dが形成されているため、熱や炎がこれらの接合部から内部に侵入する可能性がある。一方、外側耐火層3の内側に形成された内側耐火層2にも不連続となる接合部2a,2b,2c,2dが形成されている。そのため、接合部3a,3b,3c,3dから侵入した熱や炎が接合部2a,2b,2c,2dに達すると、熱や炎が接合部2a,2b,2c,2dを介して芯材1に達する可能性がある。この場合には、芯材1が燃焼し、耐火木材Aの耐火性能が低下する。
このような課題を解決すべく、本発明の耐火木材Aでは、外側耐火層3に形成された接合部3a,3b,3c,3dは、内側耐火層2に形成された接合部2a,2b,2c,2dと連続しない位置に形成されている。また、本実施形態では、外側耐火層3に形成された接合部の方向は、その接合部の近傍の内側耐火層2に形成された接合部の方向と直交する方向としている。なお、接合部の方向とは、軸芯方向から見て、接合面に平行な方向である。例えば、接合部3aの方向は左右方向であり、内側耐火層2に形成された接合部のうち接合部3aに最も近い接合部2aの方向は上下である。
内側耐火層2の接合部と外側耐火層3の接合部とをこのように構成することにより、例えば接合部3aから熱や炎が内部に侵入したとしても、接合部3aと接合部2aとは離間しているため、その炎や熱が接合部2aに直接達することはない。すなわち、炎や熱が接合部2aに達するためには内側耐火層2と外側耐火層3との境界面に沿って伝達されてゆく必要があり、その間に内側耐火層2内の不燃薬剤の効果により、火勢が弱まったり温度が低下したりする。そのため、接合部3aを介して炎や熱が内部に侵入したとしても、その炎や熱がさらに芯材1にまで達することを阻害することができ、耐火木材Aの耐火性能を高めることができる。
図4は、本実施例における耐火木材Aの軸芯方向視における端面図である。本実施例における耐火木材Aの基本構成は、実施例1における耐火木材Aの基本構成と同様であるが、実施例1では不燃板材が1枚板で構成されていたのに対し、本実施例では不燃板材が複数の板片で構成されている点において異なっている。
例えば、不燃板材22は、板片221と板片222と板片223とを周方向に接合して構成されている。同様に、不燃板材31は、板片311と板片312とを周方向に接合して構成されている。なお、本実施例では不燃板材21と不燃板材23とは1枚板で構成しているが、他の不燃板材と同様に複数の板材を周方向に接合して構成してもよい。また、各々の不燃板材を構成する板片の枚数は適宜変更可能である。
本実施例においては、不燃板材21,23,板片221,222,223,241,242,243が本発明の内側不燃板材に相当し、板片311,312,321,322,331,332,341,342が本発明の外側不燃板材に相当する。すなわち、不燃板材が1枚板で構成されている場合には、その不燃板材が本発明の内側不燃板材または外側不燃板材に相当し、不燃板材が複数の板片で構成されている場合には、その不燃板材を構成する板片が本発明の内側不燃板材または外側不燃板材に相当する。なお、これらの板片として、木材,圧縮木材,合板,LVLのいずれかを用いることができる。
このように、複数の板片を周方向に接合することによって不燃板材を形成すれば、耐火木材Aの断面寸法が大きくなった場合でも、実施例1のように不燃板材を1枚板で構成する場合と比較して、安価に耐火木材Aを製造することができる。
上述のように、各々の不燃板材は複数の板片を周方向に接合して構成しているため、隣接する板片の間には接合部が形成されている。例えば、不燃板材33を構成する板片331と板片332との間には接合部33aが形成されている。また、不燃板材24は板片241,板片242,板片243から構成されており、板片241と板片242との間には接合部24aが形成され、板片242と板片243との間には接合部24bが形成されている。なお、図4では、分かりやすくするために、これらの接合部の厚みを大きく表現している。
実施例1で説明した不燃板材間の接合部と同様に、これらの板片間の接合部を介して、炎や熱が内部に侵入する可能性がある。そのため、図4に示すように、本実施例の耐火木材Aでは、外側不燃板材3を構成する板片どうしの接合部と、内側不燃板材2どうしの接合部および内側不燃板材2を構成する板片どうしの接合部とが、離間するように構成されている。例えば、板片321と板片322との間の接合部32aは、不燃板材22を構成する板片221,222,223の間に形成された接合部22a,22bと離間している。また、接合部32aは不燃板材21,22,23の間に形成された接合部2a,2bとも離間している。
不燃板材を複数の板片によって構成した場合でも、板片どうしの接合部を他の接合部と離間するように構成することによって、例えば、接合部32aから熱や炎が内部に侵入したとしても、接合部32aは他の接合部、例えば、接合部22a,22bとは離間しているため、その炎や熱が接合部22aや接合部22bに直接達することはない。すなわち、炎や熱が接合部22aや接合部22bに達するためには内側耐火層2と外側耐火層3との境界面に沿って伝達されてゆく必要があり、その間に内側耐火層2内の不燃薬剤の効果により、火勢が弱まったり温度が低下したりする。そのため、接合部32aを介して炎や熱が内部に侵入したとしても、その炎や熱がさらに芯材1にまで達することを阻害することができ、耐火木材Aの耐火性能を高めることができる。
なお、本実施例における不燃板材を製造する際には、不燃処理を施した板片を接合して不燃板材としてもよいし、板片を接合した後に不燃処理を施して不燃板材としても構わない。
〔別実施形態〕
(1)各々の不燃板材の横幅は上述したものに限定されるものではなく、適宜変更である。その一例を図5に示す。不燃板材の横幅を変更しても、外側不燃板材3どうしの接合部は内側不燃板材2どうしの接合部と離間するように構成している。また、これらの場合においても、不燃板材を複数の板片で構成しても構わない。
(2)上述の実施形態では、耐火木材Aの断面形状を正方形としたが、長方形,円,楕円,他の多角形等、他の形状であっても構わない。断面形状を他の形状とする場合であっても、内側耐火層2の接合部と外側耐火層3の接合部とが離間するように構成すればよい。
(3)上述の実施形態において、複数の板材を軸芯方向に接合して不燃板材を構成しても構わない。この場合にも、内側耐火層2に形成された接合部と外側耐火層3に形成された接合部とが、離間するように構成すればよい。
(4)上述の実施形態では、耐火木材Aの最外層を外側耐火層3としたが、外側耐火層3を被覆する層を設けても構わない。このとき、外側耐火層3を被覆する層は不燃性を有する材であっても、不燃性を有しない材であっても構わない。
(5)上述の実施形態では、不燃板材の接合部は単一平面により構成されたが、巾はぎ,組み継ぎ等を用いても構わない。これらの場合には、いずれの断面位置においても、外側不燃板材どうしの接合部は、内側不燃板材どうしの接合部と離間するように構成すればよい。
(6)上述の実施形態では、芯材1の全周面を覆うように不燃板材を配置したが、用途に応じて芯材1の周面を部分的に覆うように不燃板材を配置しても構わない。例えば、耐火木材Aを梁等に使用する場合には、設置時の上面となる側面を不燃板材で覆う必要はない。すなわち、火災等の際に炎や熱にさらされる可能性が低い側面は不燃板材で覆う必要がない。これにより、耐火木材Aの軽量化と製造コストの削減が可能となる。
本発明は、芯材の周囲を不燃木材で被覆した耐火木材に利用することができる。
A:耐火木材
1:芯材
2:内側耐火層(内側不燃板材)
2a,2b,2c,2d:接合部
21,22,23,24:不燃板材(内側不燃板材)
22a,22b,24a,24b:接合部
221,222,223,241,242,243:板片(内側不燃板材)
3:外側耐火層(外側不燃板材)
3a,3b,3c,3d:接合部
31,32,33,34:耐火板材(外側不燃板材)
31a,32a,33a,34a:接合部
311,312,321,322,331,332,341,342:板片(外側不燃板材)


Claims (3)

  1. 荷重を支持する芯材と、
    前記芯材の周面を覆う内側耐火層と、
    前記内側耐火層の周面を覆う外側耐火層と、を備え、
    前記内側耐火層は、周方向に連設し、互いに接合された複数の内側不燃板材から構成され、
    前記外側耐火層は、周方向に連設し、互いに接合された複数の外側不燃板材から構成され、
    前記内側不燃材と前記外側不燃材とは、不燃処理を施された木質板材であり、
    前記外側不燃板材どうしの接合部と、前記内側不燃板材どうしの接合部とが、離間するように構成されている耐火木材。
  2. 前記芯材の周面は、複数の側面から構成され、
    少なくとも1つの前記側面側には、2以上の前記内側不燃板材と2以上の前記外側不燃板材との少なくとも一方が設けられている請求項1記載の耐火木材。
  3. 前記内側不燃板材および前記外側不燃板材のそれぞれは、木材,圧縮木材,合板,LVLのいずれかである請求項1または2記載の耐火木材。

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