JP2017218820A - 耐火木製構造材 - Google Patents

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弘之 石垣
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久美 須田
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Abstract

【課題】製造コストを抑制し、且つ耐火性能に優れ、製造も容易な耐火木製構造材を提供すること。【解決手段】本発明の耐火木製構造材1は、角柱状に形成され、長期荷重を支持する荷重支持部11と、該荷重支持部11の軸方向に沿う少なくとも3面を被覆する燃えどまり層12とを備え、燃えどまり層12は、無処理の無処理ラミナ14と、無処理木材に難燃薬剤を含浸させた難燃薬剤処理ラミナ15とを有し、無処理ラミナ14及び難燃薬剤処理ラミナ15は、荷重支持部11の周方向に積層配置された状態で荷重支持部11を被覆している。【選択図】図1

Description

本発明は、耐火木製構造材に関する。
木材は、火災時に外部から加熱されると表面が燃えて炭化層が形成される。この炭化層が木材の表面に均一に形成されると木材内部への熱の侵入が抑制され、木材内部の構造的な劣化が抑制される。この特性を利用し、柱や梁等に使用する木材を太くし、燃焼後の木材の内部に長期荷重を支持し得る健全な断面が確保されるように、木材の表面に、燃えて炭化層を形成すべき所定の厚みの燃えしろを設ける技術が知られている。このような燃えしろを設けた構造材等を主要構造部に用いて、木造建築物を準耐火建築物とすることも行われている。
木材や木材と他の材料との複合材の表面に燃えしろを設けて、耐火材の部材を得る技術は種々提案されており、例えば、特許文献1には、長期荷重を支持するに足る木材等からなる荷重支持層の外側に、不燃材にしてかつ断熱層を有する断熱材を有した燃えどまり層を設け、さらにその外側に、所定の燃えしろ厚さを有する木材からなる燃えしろ層とを設けた構造材が提案されている。また、特許文献2には、未処理層の外側に、難燃薬剤を注入した木材からなる難燃薬剤注入層を設け、その外側に難燃薬剤を含まない表面層を備えた耐火集成材が提案されている。
特開2005−36457号公報 特開2008−31743号公報
しかし、特許文献1の構造材は、荷重支持層を燃え止まり層で被覆し、更に燃え止まり層を燃えしろ層で被覆している。また、特許文献2の耐火集成材は、未処理層を難燃薬剤注入層で被覆し、更に難燃薬剤注入層を表面層で被覆している。このように、特許文献1の構造材及び特許文献2の耐火集成材は何れも3層構造となっているため、燃え止まり層に使用される無機系の不燃材や難燃薬剤注入層に使用される難燃薬剤処理木材の使用量が増加し、製造コストが高くなるという問題がある。特に、無機系の不燃材や難燃薬剤処理木材は製造も複雑であることから、結果として、製造工程も長く複雑になるという問題がある。
従って、本発明の目的は、製造コストを抑制し、且つ耐火性能に優れ、製造も容易な耐火木製構造材を提供することにある。
本発明は、角柱状に形成され、長期荷重を支持する荷重支持部と、該荷重支持部の軸方向に沿う少なくとも3側面を被覆する燃えどまり層とを備え、前記燃えどまり層は、無処理の無処理木材と、無処理木材に難燃薬剤を含浸させた難燃薬剤処理木材とを有し、前記無処理木材及び前記難燃薬剤処理木材は、前記荷重支持部の周方向に積層配置された状態で該荷重支持部を被覆している耐火木製構造材を提供することにより、上記目的を達成したものである。
本発明によれば、製造コストを抑制し、且つ耐火性能に優れ、製造も容易な耐火木製構造材を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態に係る柱仕様の耐火木製構造材を示す横断面図である。 図2は、図1に示す柱仕様の耐火木製構造材の構造部材の説明図である。 図3は、図1に示す柱仕様の耐火木製構造材の変形例を示す横断面図である。 図4は、本発明の第2実施形態に係る梁仕様の耐火木製構造材を示す横断面図である。 図5は、図4に示す梁仕様の耐火木製構造材の構造部材の説明図である。 図6は、実施例1、比較例1及び比較例2に用いた試験体の形状及び寸法を示す斜視図である。 図7は、燃焼試験1の結果を示すグラフであり、図7(a)は実施例1の結果を示すグラフであり、図7(b)は比較例1の結果を示すグラフであり、図7(c)は比較例2の結果を示すグラフである。 図8は、燃焼試験2の結果を示すグラフである。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の第1実施形態の耐火木製構造材1は、木造建築物の柱として使用される横断面形状が矩形状の角材であり、軸方向(長手方向)に延びて配される4側面a1〜a4を備えている。
本発明の第2実施形態の耐火木製構造材1Aは、木造建築物の梁として使用される横断面形状が矩形状の角材であり、使用時における上側(軸方向(長手方向)と直交する方向の上側)に配される上面b、下側に配される下面c、及び2つ側面d,dを備えている。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aは、図1及び図4に示すように、長期荷重を支持する木製の荷重支持部11と、該荷重支持部11を被覆する木製の燃えどまり層12とを備えている。
荷重支持部11は、単独で、固定荷重、積載荷重、積雪荷重等の長期に生ずる荷重(長期荷重)に対して構造耐力上安全であるようにその断面設計がなされており、斯かる断面設計は公知である。第1及び第2実施形態における荷重支持部11の横断面形状は矩形状であり、横断面形状における長辺及び短辺の長さは柱や梁の形状、或いは大きさによって適宜変更することができる。
図2及び図5に示すように、第1及び第2実施形態の荷重支持部11は、無処理の木材から形成された複数の無処理ラミナ13を、各無処理ラミナ13間に配した接着剤を介して、積層された状態で接着して得られたものである。
第1及び第2実施形態の荷重支持部11では、無処理ラミナ13は、耐火木製構造材1,1Aの長手方向(軸方向に同じ)と同方向に長い矩形形状を有しており、耐火木製構造材1,1Aの長手方向と直交する方向に積層された状態で接着されている。なお、個々の無処理ラミナ13は、耐火木製構造材1,1Aの長手方向の全長に亘って連続する一枚の挽き板等であっても良いが、無処理ラミナ13の全部又は一部は、複数の挽き板等をフィンガージョイント等の接合方法で長手方向に継いだものであっても良い。
無処理ラミナ13を接着する接着剤としては、水性高分子−イソシアネート系接着剤、レゾルシノール樹脂接着剤、レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、メラミンユリア樹脂接着剤、変性酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等が挙げられる。これらのなかでも、レゾルシノール樹脂接着剤又はレゾルシノール・フェノール樹脂接着剤が好ましい。
荷重支持部11の無処理ラミナ13に用いられる無処理の木材の例としては、針葉樹であれば、スギ、カラマツ、ベイマツ、グイマツ、ツガ等が挙げられ、広葉樹であれば、ケヤキ、クリ、ミズナラ、タモ等が挙げられるが、これらに限られるものではない。無処理ラミナ13に用いられる無処理木材としては、0.35g/cm3以上の密度の樹種の木材を用いることが好ましく、具体的には、スギ等の木材を用いることが好ましい。また、無処理ラミナ13に用いられる無処理の木材は、燃えどまり層12の後述する無処理ラミナ14に用いられる無処理木材及び燃えどまり層12の難燃薬剤処理ラミナ15に用いられる無処理の木材と同じ樹種の木材であっても良く、異なる樹種の木材であっても良い。
燃えどまり層12は、耐火木製構造材1,1Aの燃焼時に、形状保持特性に優れた炭化層を耐火木製構造材1,1Aに形成させるためのものである。火災時の木材の炭化速度は一般に毎分0.6〜1.0mmと言われており、例えば1時間の準耐火性能に対しては45mmの木材被覆を設ける燃えしろ設計が行われている。しかし、耐火性能になると火災終了後、自然に火が消えることが性能上要求されるため、厚さを増しただけの木材被覆では断熱層になる炭化層の形状保持性が十分ではなく、所定の耐火性能を確保することができない。
これに対して、第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aにおいては、燃えどまり層12の構成木材に、無処理木材から形成される無処理ラミナ14と、無処理木材に難燃薬剤を含浸させた難燃薬剤処理木材から形成される難燃薬剤処理ラミナ15とを用い、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とを、荷重支持部11の周方向に沿って交互に積層配置した状態で、荷重支持部11を被覆している。これにより、燃えどまり層12の燃焼時に形状保持特性に優れた炭化層が形成可能となる。
また、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とを荷重支持部11の周方向に沿って交互に積層配置することで、難燃薬剤処理ラミナ15の使用量を減らしながら、燃焼を効率的に停止させることができるようになる。例えば、第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aにおいては、無処理ラミナ14で熱を吸収しながら炭化して燃焼を止めると共に、難燃薬剤処理ラミナ15で化学的な熱分解により燃焼を止めている。つまり、第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aは、無処理ラミナ14及び難燃薬剤処理ラミナ15による前述の作用のコンビネーションで、形状保持特性に優れた炭化層を形成しながら燃焼を効率的に停止させている。
第1実施形態の耐火木製構造材1においては、耐火木製構造材1の燃えどまり層12は、耐火木製構造材1の4側面a1〜a4のいずれにおいても、少なくとも1時間の耐火性を有している。荷重支持部11の周囲に設定する燃えどまり層の厚みLa1〜La4は、安定した耐火性能の観点から、55mm以上が好ましく、60mm以上が更に好ましい。
同様に、第2実施形態の耐火木製構造材1Aにおいては、燃えどまり層12は、側部燃えどまり層12dの厚みLd及び下部燃えどまり層12cの厚みLcのいずれについても、少なくとも1時間の耐火性を有している。荷重支持部11の周囲に設定する燃えどまり層の厚みLc,Ldは、安定した耐火性能の観点から、55mm以上が好ましく、60mm以上が更に好ましい。また、下部燃えどまり層12cの厚みLcが、側部燃えどまり層12dの厚みLdよりも厚いことが、熱の伝わりやすい角の部分の材積を抑えながら被覆できる点から好ましい。
また、熱の伝わりやすい角の部分を好適に被覆する観点から、角部又は角部の近傍には、難燃薬剤処理ラミナ15を連続して積層配置することが好ましい。具体的には、側部燃えどまり層12dの下側の端部又は端部の近傍、或いは、下部燃えどまり層12cの両端部又は両端部の近傍には、難燃薬剤処理ラミナ15を連続して積層配置することが好ましい。
なお、第2実施形態の耐火木製構造材1Aは、梁用の構造材であり、使用時における上面bには、耐火性能を有する床が載ることにより荷重支持部11が被覆されるため、荷重支持部11の上側を被覆する上部燃えどまり層は設けていない。
また本実施形態においては、無処理ラミナ14等の無処理木材の無処理とは、難燃薬剤処理が施されていないことをいい、難燃薬剤処理の前処理等、例えば、難燃薬剤の含浸を促すインサイジング処理等が施されていないことを示すわけではない。即ち本実施形態に係る無処理ラミナ14等の無処理木材とは、難燃薬剤処理が施されていない木材をいい、難燃薬剤処理の前処理等、例えば、難燃薬剤の含浸を促すインサイジング処理等も施されていない木材を示すわけではない。
また、本実施形態における無処理ラミナ14等の無処理木材とは、全くの無処理の木材の他に、所定の機能を発揮させる含有量よりも少ない量の薬剤等を含有している木材も含み、例えば、難燃薬剤の難燃効果を発揮させる含有量よりも少ない量の難燃薬剤を含有している木材も含む。
図1及び図2に示すように、第1実施形態に係る耐火木製構造材1は、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とを交互に積層配置し、積層配置した無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15との間に配した接着剤を介して接着して4つのラミナ積層体20a1,20a2,20a3,20a4を得、得られた4つのラミナ積層体20a1〜20a4を荷重支持部11の4側面に接着剤を介して接合して得られたものである。
ラミナ積層体20a1(ラミナ積層体20a3)は、耐火木製構造材1の側面a1(側面a3)側で荷重支持部11を被覆しており、荷重支持部11と接触する部分に位置する積層体本体部21a1(積層体本体部21a3)と、積層体本体部21a1(積層体本体部21a3)の積層方向の両端に位置する一対の端部22a1,22a1(一対の端部22a3,22a3)とを備えている。
積層体本体部21a1(積層体本体部21a3)の積層方向における両端、即ち、荷重支持部11の角部と接触する部分には難燃薬剤処理ラミナ15が配されており、荷重支持部11の角部を燃え難くしている。図2に示すように、一対の端部22a1,22a1(一対の端部22a3,22a3)には、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とが交互に配されているが、図3に示すように、積層体本体部21a1(積層体本体部21a3)の両端と隣接する部分には、難燃薬剤処理ラミナ15を連続して配することが好ましい。難燃薬剤処理ラミナ15を、積層体本体部21a1(積層体本体部21a3)の両端の難燃薬剤処理ラミナ15と連続して配置することで、より一層、荷重支持部11の角部が燃え難くなる。
一方、ラミナ積層体20a2(ラミナ積層体20a4)は、耐火木製構造材1の側面a2(側面a4)側で荷重支持部11を被覆している。ラミナ積層体20a2(ラミナ積層体20a4)は、積層体本体部21a1の端部22a1と積層体本体部21a3の端部22a3との間に配されており、ラミナ積層体20a2(ラミナ積層体20a4)の両端、即ち、荷重支持部11の角部と接触する部分には難燃薬剤処理ラミナ15が配されることが好ましい。
また、図4及び図5に示すように、第2実施形態に係る耐火木製構造材1は、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とを交互に積層配置し、積層配置した無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15との間に配した接着剤を介して接着して3つのラミナ積層体20c,20d,20dを得、得られた3つのラミナ積層体20c,20d,20dを荷重支持部11の下面及び2側面に接着剤を介して接合して得られたものである。
ラミナ積層体20dは、耐火木製構造材1の側面d側で荷重支持部11を被覆しており、荷重支持部11と接触する部分に位置する積層体本体部21dと、積層体本体部21dの積層方向の下方側の端部に位置する下端部22dとを備えている。
積層体本体部21dの下端、即ち、荷重支持部11の角部と接触する部分には難燃薬剤処理ラミナ15が配されており、荷重支持部11の角部を燃え難くしている。図5に示すように、下端部22dには、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とが配されるが、積層体本体部21dの下端と隣接する部分には、難燃薬剤処理ラミナ15が配されている。難燃薬剤処理ラミナ15を、積層体本体部21dの下端の難燃薬剤処理ラミナ15と連続して配置することで、荷重支持部11の角部が燃え難くなる。
一方、ラミナ積層体20cは、耐火木製構造材1Aの下面c側で荷重支持部11を被覆している。ラミナ積層体20cは、積層体本体部21dの下端部22d間に配されており、ラミナ積層体20cの積層方向における両端、即ち、荷重支持部11の角部と接触する部分には難燃薬剤処理ラミナ15が配されることが好ましい。
無処理ラミナ14及び難燃薬剤処理ラミナ15は、耐火木製構造材1,1Aの長手方向(軸方向に同じ)と同方向に長い形状を有している。個々の無処理ラミナ14及び難燃薬剤処理ラミナ15は、耐火木製構造材1,1Aの長手方向の全長に亘って連続する一枚の挽き板等であっても良いが、無処理ラミナ14及び難燃薬剤処理ラミナ15の全部又は一部は、複数の挽き板等をフィンガージョイント等の接合方法で長手方向に継いだものであっても良い。
無処理ラミナ14及び難燃薬剤処理ラミナ15を接着する接着剤としては、水性高分子−イソシアネート系接着剤、レゾルシノール樹脂接着剤、レゾルシノール・フェノール樹脂接着剤、メラミン樹脂接着剤、メラミンユリア樹脂接着剤、変性酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、エチレン酢酸ビニル樹脂系エマルジョン形接着剤、ウレタン樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤等が挙げられる。これらのなかでも、レゾルシノール樹脂接着剤又はレゾルシノール・フェノール樹脂接着剤が好ましい。
燃えどまり層12の無処理ラミナ14に用いられる無処理木材の例としては、針葉樹であれば、カラマツ、ベイマツ、グイマツ、ツガ等が挙げられ、広葉樹であれば、ケヤキ、クリ、ミズナラ、タモ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。無処理ラミナ14に用いられる無処理木材としては、0.35g/cm3よりも高い密度の樹種の木材を用いることが好ましく、具体的には、カラマツ、ベイマツ等の木材を用いることが好ましい。また、燃えどまり層12の無処理ラミナ14に用いられる無処理の木材は、荷重支持部11の無処理ラミナ13に用いられる無処理の木材及び燃えどまり層12の難燃薬剤処理ラミナ15に用いられる無処理の木材と同じ樹種の木材であっても良く、異なる樹種の木材であっても良い。
また、無処理ラミナ14は、荷重支持部11の無処理ラミナ13に用いられる木材よりも高密度で熱容量の高い木材が用いられることが好ましい。無処理ラミナ14を、荷重支持部11の無処理ラミナ13よりも高密度で熱容量の大きい木材から構成することで、荷重支持部11への熱の流入を一層効果的に抑制できる。
無処理ラミナ14の密度としては、0.35g/cm3以上が好ましく、より好ましくは0.40g/cm3以上である。
荷重支持部11の無処理ラミナ13及び燃えどまり層12の無処理ラミナ14の密度は、以下のようにして測定することができる。
密度は、無処理ラミナの寸法を測定し、測定した寸法から容積を求め、更に無処理ラミナの質量を測定して単位容積あたりの質量を算出(JISZ2101)し、算出した質量から得ることができる。
荷重支持部11の無処理ラミナ13及び燃えどまり層12の無処理ラミナ14の熱容量は、以下のようにして測定することができる。熱容量は、物体の質量に比熱を乗じて算出することができる。すなわち、荷重支持部11及び燃えどまり層12に用いるラミナの質量を測定し、荷重支持部11及び燃えどまり層12を構成するラミナの合計質量に一般的な木材比熱を乗じて算出するか、荷重支持部11及び燃えどまり層12を構成する集成材の質量を測定し、一般的な木材比熱を乗じて算出することで得ることができる。
第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aは、燃えどまり層12の無処理ラミナ14が一定の熱容量を有していることから、断熱を期待できる形状保持性に優れた炭化層下の熱容量を効率的にいかすことで、より高い耐火性能が得られる。
難燃薬剤処理ラミナ15に用いられる無処理の木材の例としては、薬剤注入性が良い木材が好ましく、例えば、スギ、ヒバ、ハンノキ、アカマツ等が挙げられるが、これに限定されるものではない。難燃薬剤処理ラミナ15に用いられる無処理木材としては、0.35g/cm3以上の密度の樹種の木材を用いることが好ましく、具体的には、スギ等の木材を用いることが好ましい。また、無処理の木材への薬剤の注入性を向上させるために、刃物、針及びレーザ等によるインサイジングを施しても良い。また、難燃薬剤処理ラミナ15に用いられる無処理の木材は、荷重支持部11の無処理ラミナ13に用いられる無処理の木材及び燃えどまり層12の無処理ラミナ14に用いられる無処理の木材と同じ樹種の木材であっても良く、異なる樹種の木材であっても良い。
また、難燃薬剤処理ラミナ15に用いることができる難燃薬剤としては、リン系防火薬剤、窒素系防火薬剤、ホウ素系防火薬剤、ハロゲン系防火薬剤など一般的な難燃薬剤を使用することができる。具体的には、ノンネンW2−50(窒素リン酸系、丸菱油化工業株式会社製)等を挙げることができる。
また含浸させる難燃薬剤としては、木材に含浸させたとき、輻射熱強度50KW/m2でのコーンカロリーメータ試験(ISO−5660−1)で、準不燃材料級又は不燃材料級の防火性能を示すものであることが好ましい。
難燃薬剤の注入量としては、火災終了後、自然に火が消えることが性能上要求される観点から、固形分で100kg/m3以上が好ましく、より好ましくは150kg/m3以上である。
難燃薬剤の木材への含浸させる方法としては、浸漬法、塗布法、スプレー法などの様々な方法を採用することができるが、難燃薬剤の吸収量の調整が可能な減圧・加圧方式が好ましい。難燃薬剤が粉末等の個体の場合、水などの溶媒に溶解又は懸濁させた状態にして木材に含浸させることが好ましい。
以上説明したように、第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aによれば、燃えどまり層12の構成木材に、無処理木材から形成される無処理ラミナ14と、無処理木材に難燃薬剤を含浸させた難燃薬剤処理木材から形成される難燃薬剤処理ラミナ15とを用い、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とを、荷重支持部11の周方向に沿って交互に積層配置した状態で、荷重支持部11を被覆している。これにより、燃えどまり層12の燃焼時に形状保持特性に優れた炭化層が形成可能となる。また、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とを荷重支持部11の周方向に沿って交互に積層配置することで、難燃薬剤処理ラミナ15の使用量を減らしながら、燃焼を効率的に停止させることができるようになる。これにより、製造コストを抑制し、且つ耐火性能に優れ、製造も容易な耐火木製構造材を提供することができる。
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、本発明は、斯かる実施形態に制限されず適宜変更可能である。また、前記の各実施形態は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜に組み合わせることができる。
例えば、第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aの燃えどまり層12の無処理ラミナ14は、隣接する一方又は両方の難燃薬剤処理ラミナ15と同程度の厚さの無処理ラミナ14aの他に、隣接する一方又は両方の難燃薬剤処理ラミナ15よりも厚さが薄い無処理ラミナ14bであっても良い(図1参照)。この場合、複数の無処理ラミナ14bを積層することで、隣接する一方又は両方の難燃薬剤処理ラミナ15と同程度の厚さにしたものを1つの無処理ラミナ14とみなすことができる。例えば図1に示すように、3枚の無処理ラミナ14bを積層することで、隣接する難燃薬剤処理ラミナ15と同程度の厚さとなる場合には、3枚の無処理ラミナ14bを積層したものを1つの無処理ラミナ14とみなすことができる。
また、第1及び第2実施形態の耐火木製構造材1,1Aの荷重支持部11は、1つのラミナ積層体からなるものに代えて、2つのラミナ積層体から形成しても良く、1本の無垢材から形成しても良い。
また、本発明の耐火木製構造材は、その横断面形状が、長方形に代えて正方形状のものであっても良く、多角形のものであっても良い。つまり、本発明の耐火木製構造材は、四角柱以外にも多角柱形状であっても良い。
(実施例1)
スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ13を積層接着して荷重支持部を形成した。同様に、スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ14と、該無処理ラミナ14にノンネンW2−50(窒素リン酸系、丸菱油化工業株式会社製)を150kg/m3注入して得られる難燃薬剤処理ラミナ15とを積層接着して燃えどまり層を形成した。形成した荷重支持部と燃えどまり層とを接着して、図6に示す耐火木製構造材を得た。無処理ラミナ13どうしの接着及び無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15との接着等には、レゾルシノール樹脂接着剤を用いた。
製造した耐火木製構造材の断面構成は、高さ(図6参照)が420mm、幅(図6参照)が320mmの荷重支持部を設定し、その幅方向の一方側に、厚さが60mmの燃えどまり層を設けた構成とした。
(実施例2)
スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ13を積層接着して荷重支持部を形成した。同様に、カラマツ(密度0.45g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ14と、スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナにノンネンW2−50(窒素リン酸系、丸菱油化工業株式会社製)を150kg/m3注入して得られる難燃薬剤処理ラミナ15とを積層接着してラミナ積層体20a1,20a2,20a3,20a4を形成した。得られた4つのラミナ積層体20a1〜20a4を荷重支持部の4側面に接着剤を介して接合し、図1に示す耐火木製構造材を得た。
(比較例1)
スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ13を積層接着して荷重支持部を形成した。同様に、スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ14を積層接着して燃えどまり層を形成した。形成した荷重支持部と燃えどまり層とを接着して、図6に示す耐火木製構造材を得た。無処理ラミナ13どうしの接着には、レゾルシノール樹脂接着剤を用いた。
(比較例2)
スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ13を積層接着して荷重支持部を形成した。同様に、スギ(密度0.38g/cm3、含水率10%程度)から得られた無処理ラミナ14にノンネンW2−50(窒素リン酸系、丸菱油化工業株式会社製)を150kg/m3注入して得られる難燃薬剤処理ラミナ15を積層接着して燃えどまり層を形成した。形成した荷重支持部と燃えどまり層とを接着して、図6に示す耐火木製構造材を得た。無処理ラミナ13どうしの接着及び難燃薬剤処理ラミナ15どうしの接着には、レゾルシノール樹脂接着剤を用いた。
(評価)
(燃焼試験1)
実施例1、比較例1及び2で得られた耐火木製構造材を、燃えどまり層側からの1面加熱となるように燃焼炉に収容した。そして、燃えどまり層に通常の火災を想定したISO834標準加熱により1時間加熱を行い、加熱終了後3時間以上の炉内放冷を行った。その際、荷重支持部と燃えどまり層との境界(加熱面表面からの深さ60mmの位置)において、上面から、140mm(位置A)、280mm(位置B)となる各位置における温度変化を計測し、各深さにおける温度の経時的変化を記録した。結果を図7に示す。
実施例1及び比較例2の耐火木製構造材においては、図7(a)及び図7(c)に示すように、耐火木製構造材の位置A及び位置Bの何れにおいても炭化温度(260℃)を越えることなく燃え止まりが確認された。
一方、比較例1においては、燃え止まりが確認できず、耐火木製構造材の位置Bにおいて炭化温度(260℃)を越えていた。
(燃焼試験2)
実施例2で得られた耐火木製構造材を、その上面及び下面を不燃材の床板で断熱した状態に支持して燃焼炉に収容した。そして、4つのラミナ積層体20a1〜20a4側からの4面加熱となるように通常の火災を想定したISO834標準加熱により1時間加熱を行い、加熱終了後3時間以上の炉内放冷を行った。その際、荷重支持部と燃えどまり層との境界(加熱面表面からの深さ80mmの位置)において、上面から、600mmとなる点P1〜P8における温度変化を計測し、温度の経時的変化を記録した。結果を図8に示す。
実施例2の耐火木製構造材においては、図8に示すように、耐火木製構造材における荷重支持部と燃えどまり層との境界において炭化温度(260℃)を越えることなく燃え止まりが確認された。
図7及び図8に示す燃焼試験1及び2の結果から、無処理ラミナ14と難燃薬剤処理ラミナ15とを、荷重支持部11の周方向に沿って交互に積層配置した状態で、荷重支持部11を被覆している燃えどまり層に用いた本発明品(実施例1,2)によれば、燃焼後の表面に、炭化した燃えどまり層が略均一な状態に存在しており、その燃えどまり層が、内部の燃焼を阻止する優れた燃えどまり機能を発現することが判る。
1,1A 耐火木製構造材
11 荷重支持部
12 燃えどまり層
13 無処理ラミナ
14 無処理ラミナ
15 難燃薬剤処理ラミナ
La1〜La4 燃えどまり層の厚み
Lc,Ld 燃えどまり層の厚み

Claims (7)

  1. 角柱状に形成され、長期荷重を支持する荷重支持部と、該荷重支持部の軸方向に沿う少なくとも3側面を被覆する燃えどまり層とを備え、
    前記燃えどまり層は、無処理の無処理木材と、無処理木材に難燃薬剤を含浸させた難燃薬剤処理木材とを有し、
    前記無処理木材及び前記難燃薬剤処理木材は、前記荷重支持部の周方向に積層配置された状態で該荷重支持部を被覆している耐火木製構造材。
  2. 前記無処理木材及び前記難燃薬剤処理木材の積層方向における前記無処理木材に隣接する少なくとも一方は、前記難燃薬剤処理木材である請求項1に記載の耐火木製構造材。
  3. 前記燃えどまり層は、前記荷重支持部の各面を被覆する各部において、前記無処理木材と前記難燃薬剤処理木材とが交互に積層配置されている、請求項1又は2に記載の耐火木製構造材。
  4. 前記燃えどまり層は、50%以上が前記難燃薬剤処理木材により構成されている、請求項1〜3の何れか1項に記載の耐火木製構造材。
  5. 前記燃えどまり層は、角部又は角部の近傍に、前記難燃薬剤処理木材が連続して積層配置されている、請求項1〜4の何れか1項に記載の耐火木製構造材。
  6. 前記荷重支持部は、断面形状が矩形状であり、
    前記矩形状の各辺を形成する側面を被覆する前記燃えどまり層の、該側面と直交する方向の厚みは、55mm以上である、請求項1〜5の何れか1項に記載の耐火木製構造材。
  7. 前記燃えどまり層の前記無処理木材には、スギの密度(0.35g/cm3)よりも高い密度の樹種が用いられる、請求項1〜6の何れか1項に記載の耐火木製構造材。
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