図を参照しながら、本発明の第1実施形態を説明する。まず、本発明の第1実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法について説明する。
図1の横断面図には、本発明の第1実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法により製造される、耐火木質構造部材としての梁部材10が示されている。
梁部材10は、荷重を支持する木製の心材としての梁心材12と、梁心材12の周囲を取り囲む燃え止まり層14と、燃え止まり層14の周囲を取り囲む木製の燃え代層16とを備えている。
梁部材10は、コンクリート製の床スラブ(不図示)を支持する梁であり、梁部材10の上にコンクリート製の床スラブを設けることにより、梁部材10(梁心材12)の上面が床スラブのコンクリート面で覆われて耐火性が確保される。よって、梁部材10の上部には、燃え止まり層14及び燃え代層16が形成されていない。
梁心材12及び燃え代層16は、米松、唐松、檜、杉、あすなろ等の一般の木造建築に用いられる木材(以下、「一般木材」とする)によって形成されている。なお、梁心材12及び燃え代層16は、木材によって形成されていればよい。例えば、一般木材を板状に製材加工した板部材同士を接着剤により接着して一体化した集成材により形成されていてもよい。
燃え代層16は、燃え止まり層14の各外周面(左側面、右側面、及び底面)を覆うパネル部材18A、18B、18Cを有して構成されている。
燃え止まり層14は、一般木材を板状に加工した板部材により形成された木質部20と、燃え止まり材としてのモルタルMを硬化させて形成したモルタル部22とを、梁心材12の外周面に沿った周方向24(梁部材10の梁成方向26と梁幅方向28)へ交互に複数配置することによって形成されている。また、図1のA−A断面図である図2に示すように、木質部20及びモルタル部22は、長尺の板状に形成されており、梁部材10の梁長方向30に沿って設けられている。
また、図1に示すように、間隔をあけて隣り合う木質部20の間に形成されて溝を構成する、収容部としての凹部32の内には、梁心材12にねじ込まれて固定されたアンカー部材としてのネジ部材34が設けられている。ネジ部材34の、梁心材12の外周面から突出している突出部36は、モルタル部22中に埋設されている。
本発明の第1実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法による梁部材10の製造は、まず、図3(a)の横断面図に示すように、梁心材12の外周面に接着剤や釘等により木質部20を取り付ける。木質部20は、木質部20の間に凹部32を形成するようにして、周方向24に間隔をおいて複数配置する。これにより、梁心材12の外周面に、凹部32と木質部20とを備えた木質層38が形成される。
次に、図3(b)の横断面図に示すように、梁心材12の外周面から突出部36を突出させるようにして、梁心材12にネジ部材34をねじ込んで固定し、凹部32内にネジ部材34を設ける。
次に、図3(c)の横断面図に示すように、燃え止まり材としてのモルタルMを流動化した状態で凹部32にコテ等により塗り付けて、凹部32にモルタルMを充填する。そして、モルタルMが硬化してモルタル部22となり、梁心材12の外周面上に燃え止まり層14が形成される。
最後に、図3(d)の横断面図に示すように、燃え止まり層14の外周面に接着剤や釘等によりパネル部材18A、18B、18Cを取り付ける。これにより、燃え止まり層14の外周面に燃え代層16が形成されて、梁部材10が完成する。
次に、本発明の第1実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法、及びこの製造方法により製造された耐火木質構造部材の作用と効果について説明する。
本発明の第1実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法では、図3(c)に示すように、流動化した状態のモルタルMを凹部32に塗り付けて充填することによって燃え止まり層14を形成する。
これにより、燃え止まり層14を容易に形成することができる。また、燃え止まり部材としてのプレキャスト製のモルタルバーを木質層38に形成された凹部32に組み付ける従来の製造方法において必要とされていた、凹部32に隙間なくモルタルバーを組み付ける作業や、高い寸法精度でのモルタルバーの製作が不要となる。
すなわち、従来の製造方法よりも効率よく燃え止まり層14を形成することができる。これにより、燃え止まり層14の形成に係わる作業の工数を減らすことができ、コストダウンに貢献することができる。
また、図1に示すように、ネジ部材34により、凹部32に充填されたモルタルM(モルタルMが硬化したモルタル部22)が凹部32から脱落するのを防ぐことができる。
さらに、耐火木質構造部材としての梁部材10では、図1に示すように、火災が発生したときに火炎が燃え代層16に着火し、燃え代層16が燃焼する。そして、燃焼した燃え代層16は炭化する。これにより、梁部材10の外部から梁心材12への熱伝達と酸素供給とを炭化した燃え代層16が遮断し、燃え止まり層14が吸熱するので、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後における梁心材12の温度上昇を抑制することができる。これにより、火災(加熱)時の所定時間の間や、火災(加熱)が終了した後においてまで、梁部材10を構造部材として機能させることができる。例えば、1時間耐火の建築物の場合には、1時間の火災(加熱)が終了した後においても、梁部材10を構造部材として機能させることができる。
以上、本発明の第1実施形態について説明した。
なお、第1実施形態では、燃え止まり材としてのモルタルMを流動化した状態で凹部32にコテ等により塗り付けて、凹部32にモルタルMを充填する例を示したが、燃え止まり材としてのモルタルMを流動化した状態で凹部32に圧入することによって、凹部32に充填してもよい。
この場合の梁部材10の製造は、まず、図4(a)の横断面図に示すように、梁心材12の外周面に接着剤や釘等により木質部20を取り付ける。木質部20は、木質部20の間に凹部32を形成するようにして、周方向24に間隔をおいて複数配置する。これにより、梁心材12の外周面に、凹部32と木質部20とを備えた木質層38が形成される。
次に、図4(b)の横断面図に示すように、梁心材12の外周面から突出部36を突出させるようにして、梁心材12にネジ部材34をねじ込んで固定し、凹部32内にネジ部材34を設ける。
次に、図4(c)の横断面図に示すように、木質層38の外周面に接着剤や釘等によりパネル部材18A、18B、18Cを取り付ける。これにより、木質層38の外周面に燃え代層16が形成される。また、凹部32を燃え代層16で覆うことによって、空洞40が形成される。
次に、図4(d)の横断面図に示すように、燃え止まり材としてのモルタルMを流動化した状態で空洞40(凹部32)に圧入することにより、空洞40(凹部32)にモルタルMを充填する。そして、モルタルMが硬化してモルタル部22となり、梁心材12の外周面上に燃え止まり層14が形成されて、梁部材10が完成する。
モルタルMの空洞40(凹部32)への圧入は、図4(c)のB−B断面図である図5(a)に示すように、梁長方向30に対する空洞40(凹部32)の一方端部に形成された圧入孔46からモルタルMを圧入し、梁長方向30に対する空洞40(凹部32)の他方端部に形成された排出孔48からモルタルMを排出することによって行なう。排出孔48は、モルタルMを圧入する際の空気抜き、及びモルタルMの充填確認のために設けられている。空洞40(凹部32)の左右端面は、木質部20と同じ材料によって形成され木質部20と一体に設けられた閉塞部54、56によって塞がれており、閉塞部54に圧入孔46が形成され、閉塞部56に排出孔48が形成されている。梁心材12の下方に形成されている空洞40(凹部32)に対しても、同様の方法でモルタルMを圧入する。説明の都合上、図2には、閉塞部54、56、圧入孔46や、排出孔48が省略されている。なお、閉塞部54、56は、木質部20と違う材料によって形成してもよい。
圧入孔46及び排出孔48は、空洞40(凹部32)にモルタルMを圧入できれば、どのような位置に設けてもよい。例えば、図5(b)、(c)に示すように、圧入孔46及び排出孔48を設けてもよい。
図5(b)では、梁長方向30へ2つの空洞40(凹部32)を配置し、各空洞40(凹部32)において、梁長方向30に対する一方端部に形成された圧入孔46からモルタルMを圧入し、梁長方向30に対する他方端部に形成された排出孔48からモルタルMを排出することにより、空洞40(凹部32)にモルタルMを充填する。空洞40(凹部32)の左右端面は、木質部20と同じ材料によって形成され木質部20と一体に設けられた閉塞部54、56、58によって塞がれており、圧入孔46及び排出孔48は、燃え代層16に形成されている。梁心材12の下方に形成されている空洞40(凹部32)に対しても、同様の方法でモルタルMを圧入する。なお、閉塞部54、56、58は、木質部20と違う材料によって形成してもよい。
図5(c)では、図5(a)に示された空洞40(凹部32)を繋ぎ合わせて連通し、一続きの空洞42(凹部44)を形成している。そして、空洞42(凹部44)の一方端部(図5(c)の左下)に形成された圧入孔からモルタルMを圧入し、空洞42(凹部44)の他方端部(図5(c)の左上)に形成された排出孔48からモルタルMを排出することにより、空洞40(凹部32)にモルタルMを充填する。空洞42(凹部44)の左右端面は、木質部20と同じ材料によって形成され木質部20と一体に設けられた閉塞部54、56によって塞がれており、最下部に位置する空洞40(凹部32)の左端面を閉塞する閉塞部54に圧入孔46が形成され、最上部に位置する空洞40(凹部32)の左端面を閉塞する閉塞部54に排出孔48が形成されている。梁心材12の下方に形成されている空洞40(凹部32)に対しても、同様の方法でモルタルMを圧入する。なお、閉塞部54、56は、木質部20と違う材料によって形成してもよい。
次に、本発明の第2実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法について説明する。
第2実施形態の説明において、第1実施形態と同じ構成のものは、同符号を付すると共に、適宜省略して説明する。図6の横断面図には、本発明の第2実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法により製造される、耐火木質構造部材としての梁部材50が示されている。
梁部材50は、荷重を支持する木製の心材としての梁心材12と、梁心材12の周囲を取り囲む燃え止まり層52と、燃え止まり層52の周囲を取り囲む木製の燃え代層16とを備えている。
梁部材50は、コンクリート製の床スラブ(不図示)を支持する梁であり、梁部材50の上にコンクリート製の床スラブを設けることにより、梁部材50(梁心材12)の上面が床スラブのコンクリート面で覆われて耐火性が確保される。よって、梁部材50の上部には、燃え止まり層52及び燃え代層16が形成されていない。
燃え止まり層52は、図6のC−C断面図である図7に示すように、木質部20とモルタル部22とを、梁長方向30へ交互に複数配置することによって形成されている。木質部20及びモルタル部22は、長尺の板状に形成されており、梁部材50の周方向24(梁部材50の梁成方向26と梁幅方向28)に沿って設けられている。
また、間隔をあけて隣り合う木質部20の間に形成されて溝を構成する、収容部としての凹部32の内には、梁心材12にねじ込まれて固定されたアンカー部材としてのネジ部材34が設けられている。ネジ部材34の、梁心材12の外周面から突出している突出部36は、モルタル部22中に埋設されている。
本発明の第2実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法による梁部材50の製造は、梁部材10の製造方法(図3(a)〜(d)の製造手順)と略同じであるが、梁部材50の製造では、梁心材12の外周面に梁部材50の周方向24に沿って木質部20を取り付ける。
梁部材50の製造は、まず、梁心材12の外周面に接着剤や釘等により木質部20を取り付ける。木質部20は、図7に示すように、木質部20の間に凹部32を形成するようにして、梁長方向30に間隔をおいて複数配置する。これにより、梁心材12の外周面に、凹部32と木質部20とを備えた木質層が形成される。
次に、梁心材12の外周面から突出部36を突出させるようにして、梁心材12にネジ部材34をねじ込んで固定し、凹部32内にネジ部材34を設ける。
次に、燃え止まり材としてのモルタルMを流動化した状態で凹部32にコテ等により塗り付けて、凹部32にモルタルMを充填する。そして、モルタルMが硬化してモルタル部22となり、梁心材12の外周面上に燃え止まり層52が形成される。
最後に、燃え止まり層52の外周面に接着剤や釘等によりパネル部材18A、18B、18Cを取り付ける。これにより、燃え止まり層52の外周面に燃え代層16が形成されて、梁部材50が完成する。
次に、本発明の第2実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法、及びこの製造方法により製造された耐火木質構造部材の作用と効果について説明する。
本発明の第2実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法、及びこの製造方法により製造された耐火木質構造部材は、本発明の第1実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法、及びこの製造方法により製造された耐火木質構造部材と略同様の作用と効果を得ることができる。
すなわち、本発明の第2実施形態に係る耐火木質構造部材の製造方法では、流動化した状態のモルタルMを凹部32に塗り付けて充填することにより燃え止まり層52を形成するので、燃え止まり層52を容易に形成することができ、従来の製造方法よりも効率よく燃え止まり層52を形成することができる。
また、耐火木質構造部材としての梁部材50では、図6に示すように、火災が発生したときに、燃焼し炭化した燃え代層16が、梁部材50の外部から梁心材12への熱伝達と酸素供給とを遮断し、燃え止まり層52が吸熱するので、火災(加熱)時及び火災(加熱)終了後における梁心材12の温度上昇を抑制することができる。
以上、本発明の第2実施形態について説明した。
なお、第2実施形態では、燃え止まり材としてのモルタルMを流動化した状態で凹部32にコテ等により塗り付けて、凹部32にモルタルMを充填する例を示したが、燃え止まり材としてのモルタルMを流動化した状態で凹部32に圧入することによって、凹部32に充填してもよい。
例えば、図8の横断面図に示すように、凹部32を燃え代層16で覆うことによって形成された空洞40に、モルタルMを流動化した状態で圧入することにより、空洞40(凹部32)にモルタルMを充填する。
モルタルMの空洞40(凹部32)への圧入は、空洞40(凹部32)の、梁心材12下面中央部の下方付近に形成された圧入孔46からモルタルMを圧入し、梁成方向26に対する空洞40(凹部32)の上端部に形成された排出孔48からモルタルMを排出することによって行なう。排出孔48は、モルタルMを圧入する際の空気抜き、及びモルタルMの充填確認のために設けられている。
空洞40(凹部32)の上端面は、木質部20と同じ材料によって形成され木質部20と一体に設けられた閉塞部60によって塞がれている。また、空洞40(凹部32)の中間部(梁心材12下面中央部の下方付近)は、木質部20と同じ材料によって形成され木質部20と一体に設けられた閉塞部62によって塞がれており、空洞40(凹部32)が2つの空洞40A、40B(凹部32A、32B)に分けられている。圧入孔46及び排出孔48は、燃え代層16に形成されている。排出孔48は、閉塞部60に形成されていてもよい。説明の都合上、図7には、閉塞部60、62、圧入孔46や、排出孔48が省略されている。なお、閉塞部60、62は、木質部20と違う材料によって形成してもよい。
圧入孔46及び排出孔48は、空洞40(凹部32)にモルタルMを圧入できれば、どのような位置に設けてもよい。例えば、図9の横断面図に示すように、圧入孔46及び排出孔48を設けてもよい。排出孔48は、モルタルMを圧入する際の空気抜き、及びモルタルMの充填確認のために設けられている。
図9では、空洞40(凹部32)の上端面は、木質部20と同じ材料によって形成され木質部20と一体に設けられた閉塞部60によって塞がれている。また、空洞40(凹部32)の、梁心材12下面左右端部の下方付近は、木質部20と同じ材料によって形成され木質部20と一体に設けられた閉塞部64、66によって塞がれており、空洞40(凹部32)が3つの空洞40C、40D、40E(凹部32C、32D、32E)に分けられている。なお、閉塞部60、64、66は、木質部20と違う材料によって形成してもよい。
空洞40C、40D(凹部32C、32D)の下端部、及び空洞40E(凹部32E)の左端部には、圧入孔46が形成されており、空洞40C、40D(凹部32C、32D)の上端部、及び空洞40E(凹部32E)の右端部には、排出孔48が形成されている。圧入孔46及び排出孔48は、燃え代層16に形成されている。排出孔48は、天井部60に形成されていてもよい。
そして、各空洞40C、40D、40E(凹部32C、32D、32E)に形成された圧入孔46からモルタルMを圧入し、各空洞40C、40D、40E(凹部32C、32D、32E)に形成された排出孔48からモルタルMを排出して、各空洞40C、40D、40E(凹部32C、32D、32E)にモルタルMを充填する。
また、例えば、梁長方向30へ配置された複数の空洞40(凹部32)を繋ぎ合わせて連通し、一続きの空洞(凹部)を形成し、この空洞(凹部)の一方端部に形成された圧入孔からモルタルMを圧入し、この空洞(凹部)の他方端部に形成された排出孔からモルタルMを排出して、空洞40(凹部32)にモルタルMを充填してもよい。
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明した。
なお、第1及び第2実施形態では、図2及び図7に示すように、燃え止まり層14、52を、木質部20とモルタル部22とによって形成した例を示したが、木質部20は、木材によって形成されていればよい。また、モルタル部22は、モルタルM以外の燃え止まり材によって形成された燃え止まり部としてもよい。燃え止まり部を形成する燃え止まり材は、塗り付けや圧入によって凹部32に充填可能な材料であり、且つ、凹部32に充填することにより、火炎及び熱の進入を抑えて燃え止まり効果を発揮する燃え止まり層を形成できるものであればよい。例えば、凹部32に充填する燃え止まり材は、流動化した状態のモルタル、繊維補強セメント、石膏等の無機質材料等としてもよい。これらの材料は、一般木材よりも熱容量が大きいので、高い吸熱効果が期待できる。
また、第1及び第2実施形態では、収容部としての凹部32を溝により構成した例を示したが、収容部は、燃え止まり材が充填できるものであればよく、凹部32を穴によって構成してもよい。例えば、図10(a)に示すように、木質部20と同じ材料で形成された板部材68に、収容部としての円形の穴70を複数形成して木質層72を形成してもよいし、図10(b)に示すように、板部材68に収容部としての四角形の穴74を複数形成して木質層76を形成してもよいし、図10(c)に示すように、板部材68に、収容部としての溝78を格子状に形成して木質層80を形成してもよい。
さらに、第1及び第2実施形態では、図1及び図6に示すように、梁部材10、50が、梁心材12、燃え止まり層14、52、及び燃え代層16を備えている例を示したが、梁部材10、50は、荷重を支持する木製の梁心材と、この梁心材の外周を取り囲む燃え止まり層とを有していればよい。例えば、梁部材10、50は、荷重を支持する木製の心材と、この心材の外周を取り囲む燃え止まり層とのみによって構成してもよいし、荷重を支持する木製の心材と、この心材の外周を取り囲む燃え止まり層と、この燃え止まり層の外周を取り囲む燃え代層以外の層(例えば、薄い木製の仕上げ材)とによって構成してもよい。
また、第1及び第2実施形態では、図1及び図6に示すように、梁部材10、50の上部に、燃え止まり層14、52、及び燃え代層16が形成されていない例を示したが、梁の上部にも耐火性を確保させる必要があるときには、梁部材10、50の上部(梁心材12の上面)に、燃え止まり層14、52や燃え代層16を形成してもよい。
さらに、第1及び第2実施形態では、図1及び図6に示すように、アンカー部材をネジ部材34とした例を示したが、硬化したモルタルM(モルタル部22)が、凹部32から脱落するのを防ぐことができればよい。例えば、アンカー部材を釘やスタッドボルトとしてもよい。また、アンカー部材以外の方法で、硬化したモルタルM(モルタル部22)が凹部32から脱落するのを防ぐようにしてもよい。例えば、図11(a)及び図11(b)の断面図に示すように、木質部20の側面82に切欠き84、86を形成してもよいし、図11(c)及び図11(d)の断面図に示すように、梁心材12の外周面88に切欠き90、92を形成してもよい。また、例えば、木質部20の側面82や、梁心材12の外周面88に、粗面処理を施してもよいし、燃え止まり材に接着剤を混入してもよい。
また、第1及び第2実施形態では、図1及び図6に示すように、耐火木質構造部材の製造方法により製造される耐火木質構造部材を梁部材10、50とした例を示したが、図12の斜視図に示すような耐火木質構造部材としての柱部材94、図13の斜視図に示すような耐火木質構造部材としての壁部材96や、図14の斜視図に示すような耐火木質構造部材としての床部材98を、第1及び第2実施形態の耐火木質構造部材の製造方法により製造してもよい。
図12の柱部材94は、荷重を支持する木製の心材としての柱心材100と、梁心材100の周囲を取り囲む燃え止まり層102と、燃え止まり層102の周囲を取り囲む木製の燃え代層104とを備えており、燃え止まり層102は、木質部20とモルタル部22とを交互に複数配置することによって形成されているので、第1及び第2実施形態で示した燃え止まり層14の形成方法を用いて、柱部材94の燃え止まり層102を形成することができる。
図13の壁部材96は、荷重を支持する木製の心材としての壁心材106と、壁心材106の左右側面を覆う燃え止まり層108と、燃え止まり層108の左右側面を覆う木製の燃え代層110とを備えており、燃え止まり層108は、木質部20とモルタル部22とを交互に複数配置することによって形成されているので、第1及び第2実施形態で示した燃え止まり層14の形成方法を用いて、壁部材96の燃え止まり層108を形成することができる。
図14の床部材98は、荷重を支持する木製の心材としての床心材112と、床心材112の上下面を覆う燃え止まり層114と、燃え止まり層114の上下面を覆う木製の燃え代層116とを備えており、燃え止まり層114は、木質部20とモルタル部22とを交互に複数配置することによって形成されているので、第1及び第2実施形態で示した燃え止まり層14の形成方法を用いて、床部材98の燃え止まり層114を形成することができる。
以上、本発明の第1及び第2実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものでなく、第1及び第2実施形態を組み合わせて用いてもよいし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。