JP2010242331A - 集成木造部材 - Google Patents

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Masayuki Hirota
正之 広田
Masaaki Seki
正明 関
Yasuharu Kawamura
康晴 川村
Keiichi Kato
圭一 加藤
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Kikusui Kagaku Kogyo KK
Shimizu Construction Co Ltd
Shimizu Corp
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Kikusui Kagaku Kogyo KK
Shimizu Construction Co Ltd
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Abstract

【課題】通常時に木材の良さを確保でき、火災時に燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させることが可能な集成木造部材を提供する。
【解決手段】複数の木製の単板1を一体に積層してなる集成木造部材10を、隣り合う単板1の間に、加熱されるとともに発泡して断熱性を発現する耐火接着剤層4を介装して形成する。これにより、通常時には、表面10a、10b側に配された木製の単板1(1a、1b)によって調湿性、香り、見た目、肌触り等の木材の良さを確保できる。また、火災時には、集成木造部材10の表面10a、10b側の耐火接着剤層4から順次断熱性を連続的に発現させることができ、耐火接着剤層4によって燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えば建物の壁、床、柱、梁などとして用いる集成木造部材に関し、特に火災時に燃え止まり性能と遮熱性能を発揮する集成木造部材に関する。
従来、調湿性、衝撃安全性、断熱性に優れ、心身不調の低減、香りによるリラックス効果、わくわく感の向上、子供たちの情緒安定等に大きな効果をもたらすことから、住宅や児童福祉施設などの建物に木材が多用されている。また、建物などを木造にすると、鉄骨造と比較し、トータルとしての二酸化炭素排出量の削減にも効果があるため、木材を有効利用することが強く求められている。そして、特に、図7(a)に示すように、間伐材などから製材した単板1を一体に積層して形成した集成木造部材(集成材)2は、構造的な性能も一様になりやすく、安定した供給も可能であり、その活用が一段と増すものと考えられている。
一方、このような集成木造部材2などの木造部材は、図7(a)に示すように火災時に燃え、且つ燃え抜けてしまうことが最大の欠点であり、従来、壁、床、柱、梁などの構造部材として用いる木造部材2に対し、図7(b)に示すように燃え代3を見込んだ燃え代設計が行われてきた。この燃え代設計は、木造部材2の断面寸法の割り増しによって(燃え代3を設けることによって)、火災時の燃焼による構造強度の低下を遅延又は防止するようにし、火災に面していない裏面2aの温度上昇を抑えるようにしたものである。しかしながら、燃え代設計を採用した場合には、燃え代3の分だけ木造部材2の厚みが増すことになるため、コスト高や重量増が生じるという問題があった。また、最近では、木造部材2に対して火災時に燃え続けずに燃え止まることが要求されるようになり、一段と厳しい性能が求められているが、木造部材2の厚みを増すだけでは、火災時に燃え止まることがないため、このような要求に十分に対応することが難しい。
なお、非特許文献1には、耐火試験による柱、梁の試験結果から、木材の炭化速度が0.6mm/分となることが示されている。
これに対し、木材の表面を発泡耐火シートで被覆して遮熱性能を付与したり、木材に不燃性の薬液等を含浸定着させるなどして燃え止まり性能を付与した木造部材を用いることが提案、実施されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
田中哮義著、建築火災安全工学入門、日本建築センター、平成5年版
特開平9−256506号公報 特開平7−251405号公報
しかしながら、木材の表面に発泡耐火シートを被覆したり、薬液等を木材に含浸定着させて木造部材を形成した場合には、通常時(供用時)に木材の良さが失われてしまうという問題があった。なお、木材の良さとは、木材が本来有している性質のことであって、特には、住空間を快適に保つための性質である。例えば、調湿性、断熱性等がある。また、木材の持つ香り、見た目、肌触り等の性質も木材の良さであって、この性質により、人間が五感によって木を認識することができ、心身不調の低減、リラックス効果、子供たちの情緒安定等の効果が得られる。
本発明は、上記事情に鑑み、通常時に木材の良さを確保でき、火災時に燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させることが可能な集成木造部材を提供することを目的とする。
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
本発明の集成木造部材は、複数の木製の単板を一体に積層してなる集成木造部材であって、隣り合う前記単板の間に、加熱されるとともに発泡して断熱性を発現する耐火接着剤層を介装して形成されていることを特徴とする。
この発明においては、表面側に木製の単板を配して集成木造部材が形成されるため、通常時には、この表面側の単板によって調湿性、香り、見た目、肌触り等の木材の良さを確保できる。一方、火災時には、火災側から集成木造部材の内部に熱が伝わって耐火接着剤層が加熱されるとともに発泡して断熱性を発現し、集成木造部材の内部への熱移動が抑制される。これにより、通常時に木材の良さを確保しつつ、建築基準法第2条第7号(令第107条)の耐火構造の非耐力壁における30分耐火、60分耐火や、耐力壁における60分耐火等の要求に応じた燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させる(確保する)ことが可能になる。
また、このとき、単板と耐火接着剤層を交互に積層して集成木造部材を形成することができるため、火災時に、集成木造部材の表面側(火災側、加熱側)の耐火接着剤層から順次断熱性を連続的に発現させることができる。これにより、火災時に、耐火接着剤層によって燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させることが可能になる。
また、本発明の集成木造部材においては、前記単板の厚みが1〜5mmであり、前記耐火接着剤層の厚みが1〜5mmであることが望ましい。
この発明においては、集成木造部材の表面側の単板の厚みが1mm以上あることで、香り、見た目、肌触り等の木の良さを確保することができる。また、単板の厚みを5mm以下にすることで、燃焼する部分の厚み及び構造強度の低下を最小限に抑えることが可能になる。
さらに、耐火接着剤層の厚みを1mm以上にすることで、火災時に耐火接着剤層が発泡して十分な断熱性能(遮熱性能、耐火性能)を得ることができる。また、耐火接着剤層の厚みを5mm以下にすることで、集成木造部材の厚みを小さくでき、火災時に耐火接着剤層が発泡した際に単板から脱落することを防止でき、且つ集成木造部材の製造時に耐火接着剤層を十分に乾燥、硬化させて、好適に集成木造部材を形成することが可能になる。
さらに、本発明の集成木造部材においては、複数の前記単板と複数の前記耐火接着剤層を交互に積層して形成され、ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による30分耐火の性能が要求される場合には、前記耐火接着剤層の積層数を2層〜5層にして形成されていることを特徴とする。
耐火接着剤層の積層数を増やすほどに集成木造部材の耐火性能を向上させることが可能であるが、集成木造部材の厚みが厚くなるため、耐火接着剤層の積層数は、必要な性能が得られる最小限の範囲に留めることが望ましい。これに対し、この発明においては、耐火接着剤層の積層数を2層〜5層にして集成木造部材を形成することにより、ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による30分耐火の性能を得ることが可能になる。
また、本発明の集成木造部材においては、複数の前記単板と複数の前記耐火接着剤層を交互に積層して形成され、ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による60分耐火の性能が要求される場合には、前記耐火接着剤層の積層数を3層〜8層にして形成されていることを特徴とする。
この発明においては、耐火接着剤層の積層数を3層〜8層にして集成木造部材を形成することにより、ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による60分耐火の性能を得ることが可能になる。
本発明の集成木造部材によれば、通常時には、表面側に配された木製の単板によって調湿性、香り、見た目、肌触り等の木材の良さを確保でき、火災時には、集成木造部材の表面側(火災側、加熱側)の耐火接着剤層から順次断熱性を連続的に発現させることができ、耐火接着剤層によって燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させることが可能になる。
また、耐火接着剤層を通常の接着剤がわりにして集成木造部材をつくれるため、集成木造部材の耐火対策を別途設ける必要もない。
さらに、このような集成木造部材は、単板や耐火接着剤層の厚さを小さくして殆んど厚みを増すことなく形成でき、従来の燃え代設計による場合と比較し、大幅に低コスト化及び軽量化を図ることが可能である。そして、このように低コスト化及び軽量化を図り、木材の長所を消さずに火災時の燃え止まり性能と遮熱性能を確保できることで、建物への木材利用の促進を支援でき、環境に大きく貢献することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る集成木造部材を示す図である。 ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による試験に用いた本発明に係る外壁相当の集成木造部材を示す図である。 図2の集成木造部材の試験結果を示す図である。 ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による試験に用いた本発明に係る間仕切壁相当の集成木造部材を示す図である。 図4の木造部材の試験結果を示す図である。 本発明の一実施形態に係る床相当の集成木造部材を示す図である。 従来の集成木造部材を示す図である。
以下、図1から図5を参照し、本発明の一実施形態に係る集成木造部材について説明する。本実施形態は、例えば建物の壁、床、柱、梁などとして用いる集成木造部材に関し、特に火災時に燃え止まり性能と遮熱性能を発揮する集成木造部材に関するものである。
本実施形態の集成木造部材10は、図1に示すように、複数の木製の単板1を一体に積層してなる集成材であり、隣り合う単板1の間に耐火接着剤層4を介装して形成されている。
各単板1は、例えば間伐材などから製材した木材であり、数mm程度の厚さで形成されている。なお、集成木造部材10を建物の構造部材として用いる場合には、集成木造部材10の表面(一面10a及び他面(裏面)10b)を形成する単板1(表面木材部分1a、1b)の厚みも増して構造上の補強要素や燃え代分等にしてもよい。また、集成木造部材10が構造部材でない場合には、構造的な断面欠損を見込む必要はない。
一方、耐火接着剤層4は、通常時においては接着材として機能しているが、火災時には、火災の熱によって発泡して断熱層を形成するものである。また、菊水化学工業社製のウエスタ等の市販の耐火塗料で代用することができる場合もある。
耐火接着剤(発泡性耐火接着剤)としては、例えば、有機質結合材及び接着成分としての合成樹脂と、炭化層形成剤と、加熱により分解発泡する成分とを含有するものがある。また、耐火接着剤には、通常の塗料や接着剤等に用いられる添加剤を適宜添加することもできる。
前記合成樹脂とは、例えば、従来、塗料の結合材や接着材の接着成分として用いられる合成樹脂である。この合成樹脂成分は、耐火接着剤が火災に晒されて樹脂が溶融あるいは焼失するまでの間、下地に付着することのできる機能を有する。また、耐火接着剤が合成樹脂成分によって木製の単板同士を接着させることもできる。
合成樹脂の例として、メラミン樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、エチレン/酢ビ樹脂、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニルエステル樹脂、酢酸ビニル/エチレン樹脂、酢酸ビニル/ベオバ/アクリル樹脂、酢酸ビニル/アクリル樹脂、アクリル/スチレン樹脂、ポリブタジエン樹脂等がある。これらの樹脂は単独にて用いても良くあるいは共重合したものにして、またこれらを混合して用いることもできる。更に、これらの樹脂を耐火接着剤に配合するための形態として、溶媒に溶解させたものあるいはエマルションとして分散させたものも利用される。
前記炭化層形成剤とは、耐火接着剤中にあって火災に晒された時に、炭素骨格を発泡後の耐火接着剤中に存在させる為のものである。炭化層形成剤に利用されるものとして、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトールなどのイソパラフィンの多価アルコール、でんぷん、デキストリン、膨張性黒鉛から任意に選択されるもの等がある。
前記加熱により分解発泡する成分としては、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ポリペンタエリスリトール、トリエチレングリコール、ソルビトール、レゾルシノール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどの多価アルコール、澱粉、カゼインなどの炭水化物、ジシアンジアミド、アゾジカルボンアミド、ヘキサメトキシメチルメラミンを例とするその誘導体、尿素、メラミン、ブチルメラミンおよびトリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン、ウレア、ジメチルウレア、グアニルウレアフォスフェート、アミノグアニルウレア、尿素ホルムアルデヒド、アミノ酢酸、グアニジンなどの含窒素化合物、リン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸アルミニウム、ポリリン酸マグネシウムなどのリン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどのアルカリ金属の水酸化物および、これらをマイクロカプセル化したものが使用できる。このうち、分解温度のバランスからポリリン酸アンモニウム、メラミンの組み合わせを使うのが望ましい。
また、前記耐火接着剤は、無機繊維を含有することが好ましい。該無機繊維は、平均繊維径は1〜7μmが好ましく、平均繊維長は120〜800μmが好ましい。また、前記人造無機繊維は耐火接着剤の固形分中に2〜6質量%含有されていることが好ましい。
本発明の集成木造部材は、耐火接着剤層4を複数設けるために、加熱される面に対し裏面側の耐火接着剤が発泡することによって、その耐火接着剤層4より加熱される面の表面10aに近い発泡済みの耐火接着剤層4が押し広げられて、発泡済みの耐火接着剤層4に亀裂が入りやすい。これに対し、前記無機繊維を含有することで、耐火接着剤層4に亀裂が入るのを抑制することができる。
また、前記耐火接着剤は、その他、耐火性能を損なわない範囲において、不燃性ガス発生剤並びに吸熱剤、酸化チタン、アルミニウム粉末、アルミナ、シリカ、パーライト、バーミキュライト、カオリナイト、マイカ、シラスバルーン、セラミック軽量骨材、ガラス軽量骨材、発泡プラスチック粉、及び発泡プラスチック粒子などの充填材および消泡剤、分散剤、湿潤剤などの界面活性剤、造膜助剤、防凍剤などの溶剤、着色の為の顔料、粘度、粘性調整の為の増粘剤あるいは防腐剤、防黴剤など、通常の塗料や接着材に使用される成分を含んでいてもよい。
前記合成樹脂、炭化層形成剤、及び加熱により分解発泡する成分の配合割合は、耐火接着剤の固形分の全量に対し、それぞれ、例えば、5〜40質量%、5〜50質量%、5〜50質量%とすることが好ましい。また、合成樹脂、炭化層形成剤、及び加熱発泡成分の合計配合割合は、耐火接着剤の固形分の全量に対して30質量%以上であることが好ましい。
ついで、上記構成からなる本実施形態の集成木造部材10の作用及び効果について説明する。
まず、本実施形態の集成木造部材10は、単板1と耐火接着剤層4をそれぞれ数mmの小さな厚さにすることができるため、従来の燃え代設計のように集成木造部材10の厚みが大きく増すことがない。
そして、この集成木造部材10は、表面10a(裏面10b)が単板1(1a、1b)で形成されているため、すなわち、厚さ方向T外側に木製の単板1(1a、1b)が配されているため、通常時には、これら単板1(1a、1b)によって調湿性、香り、見た目、肌触り等の木材の良さが確保されている。
一方、火災時には、表面10a、10b側の単板1(火災側の単板1(1a、1b))が加熱されるとともに炭化し、亀裂が入って脱落し、集成木造部材10に欠損が生じる。このため、集成木造部材10の内部に熱が伝わりやすくなり、火災時の熱を受けて、表面10a、10b側の単板1(1a、1b)に接する耐火接着剤層4(火災側の耐火接着剤層4)が発泡して断熱性を発現する。このとき、火災側の耐火接着剤層4が発泡することにより、表面10a、10b側の単板1(1a、1b)の亀裂、脱落が促進されるため、これら単板1(1a、1b)によって耐火接着剤層4の発泡が抑え込まれることがなく、耐火接着剤層4が所望の発泡厚で発泡して所望の断熱性を発現することになる。
そして、発泡して熱移動を抑制する火災側の耐火接着剤層4が長時間継続的に加熱されて徐々に劣化した場合には、集成木造部材10が単板1と耐火接着剤層4を交互に積層して形成されているため、集成木造部材10の内部に配された単板1が火災側から順に、徐々に炭化して亀裂が生じる。これとともに、集成木造部材10の内部に配された火災側の耐火接着剤層4から順に連続的に発泡して断熱性を発現する。このとき、内部の各単板1は、耐火接着剤層4の間に挟み込まれた状態で配設されているため脱落することがなく、耐火接着剤層4とともに動くことになり、内部の耐火接着剤層4の発泡を阻害するようなことはない。
ここで、木の着火温度は約250℃であり、1000℃以上にもなる火災による加熱温度と比べて着火温度が低い。そのため、耐火接着剤層4が発泡して断熱層を形成しても、長時間にわたって加熱された場合には、断熱層の温度が上昇して、断熱層の裏側の単板1に着火してしまう。そして、一度、着火した単板1は、加熱中及び加熱終了後に、集成木造部材10の裏面に向かって燃え続けるが、着火した単板1の裏側に耐火接着剤層4があることにより、単板1の燃焼は耐火接着剤層4で燃え止まる。(このとき、着火した単板1の裏側に耐火接着剤層4がないと、加熱中又は加熱終了後に単板1が裏面まで燃え抜けてしまう。)また、耐火接着剤層4で燃え止まることによって、その耐火接着剤層4より裏側にある単板1や耐火接着剤層4は健全な状態で保たれるので、健全な部分による構造強度は維持される。
この一方で、単板1が厚すぎると、加熱を終了した後に単板1が燃え続けることで、構造強度が大きく低下してしまう。このため、耐火接着剤層4で挟まれた単板1(隣り合う耐火接着剤層4の間に配された単板1)は、その厚みを2〜5mmにすることが好ましく、3〜4mmにすることがより好ましい。すなわち、耐火接着剤層4で挟まれた単板1は、その厚みが薄すぎると殆んど構造強度に寄与しないので、その厚みを2mm以上にすることが好ましく、その厚みが厚すぎると燃え止まることによる構造強度を十分に維持することができないので(燃焼する部分の厚み及び構造強度の低下を最小限に抑えるために)、その厚みを5mm以下にすることが好ましい。
また、集成木造部材10の表面10a、10b側の単板1(1a、1b)は、その厚みを1〜5mmにすることが好ましく、2〜5mmにすることがより好ましい。すなわち、表面10a、10b側の単板1(1a、1b)の厚みが1mm以上あれば、香り、見た目、肌触り等の木の良さを確保することができる。一方、例えば、集成木造部材10の一方の表面10a側から火災加熱を受け、この一方の表面10aを形成する単板1(1a)から非加熱側の他方の表面10bを形成する単板1(1b)と耐火接着剤層4を挟んで隣り合う単板1まで燃焼が進行した場合には、非加熱側の単板1(1b)が耐火接着剤層4を保持しなければならない。このため、集成木造部材10の表面10a、10b側の単板1(1a、1b)は、その厚みが2mm以上あることがより好ましい。
さらに、耐火接着剤層4は、その厚みを1〜5mmにすることが好ましく、1.5〜3mmにすることがより好ましい。すなわち、耐火接着剤層4は、その厚みが薄すぎると火災時に形成する断熱層の断熱性能を十分に確保することができないので、その厚みを1mm以上にすることが好ましい。また、耐火接着剤層4は、厚みを5mm以下にすれば十分な耐火性能を得ることができるため、集成木造部材10の厚みを増やさないために、それ以上厚みを増やさない方がよい。さらに、耐火接着剤が発泡して形成される断熱層は脆弱であるために、5mm以上の耐火接着剤が発泡した場合には、断熱層の重みによって単板1から脱落するおそれがある。また、耐火接着剤の厚みが厚すぎると、製造時に耐火接着剤が十分に乾燥、硬化していない場合もある。このため、耐火接着剤層4の厚みを5mm以下にすることが好ましく、耐火接着剤層4の厚みを1〜5mmにすれば、集成木造部材10の厚みを最小限に抑えて、十分な耐火性能が得られる。また、集成木造部材10の製造時に、耐火接着剤を十分に乾燥、硬化させることができる。
また、耐火接着剤層4の数(積層数)は、30分耐火の性能を得るためには2層〜5層であることが好ましく、3層〜4層であることがより好ましい。また、60分耐火の性能を得るためには、3層〜8層であることが好ましく、4層〜6層であることがより好ましい。耐火接着剤層4の数を増やすほどに集成木造部材10の耐火性能は上がるが、集成木造部材10の厚みが厚くなるので、耐火接着剤層4の数は、必要な性能が得られる最小限の範囲、すなわち上記の範囲にすればよい。
そして、このような単板1と耐火接着剤層4を交互に積層することで、燃焼する部分の厚みを最小限に抑えることができ、また、表面10aからの加熱にも、裏面(表面10b)からの加熱にも同等の耐火性能を発揮させることが可能になる。すなわち、火災によって集成木造部材10が高温で長時間加熱された場合であっても、各耐火接着剤層4によって集成木造部材10の内部への熱移動が抑制され、集成木造部材10の燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させることが可能になる。
ここで、ISO834の標準加熱温度曲線の加熱を行い、本発明に係る集成木造部材10の優位性を確認した結果を示す。
図2は、試験に用いた外壁相当の集成木造部材10を示し、図3は、この外壁相当の集成木造部材10を一面(表面10a)側から標準加熱温度曲線の30分加熱で加熱し、非火災側の表面(裏面10b)を形成する単板1(1b)の両面側(計測点1と計測点2)で温度を計測した結果を示している。この試験で用いた図2の集成木造部材10は、4枚の単板1と3層の耐火接着剤層4を備えて形成されている。この集成木造部材10は、幅30cm、高さ30cmとし、単板1の厚さを3.2mm、耐火接着剤層4の厚さを1.8mmにして形成されている。また、耐火接着剤層4は、有機質結合材としての酢酸ビニル/アクリル樹脂と、炭化層形成剤としてのペンタエリスリトールと、加熱により分解発泡する成分としてのポリリン酸アンモニウム及びメラミンを含有する耐火接着剤によって形成したものである。
そして、図2の外壁相当の集成木造部材10に標準加熱温度曲線の30分加熱を行った場合には、図3に示すように、計測点1及び計測点2(集成木造部材10の裏面10b)の温度上昇が140℃以下に大幅に抑えられる。そして、表面10aから3枚目の単板1までが燃焼して燃え止まり、燃焼した部分の厚みは、3枚の単板1(各3.2mm)、2層の耐火接着剤層4(各1.8mm)の合計13.2mmとなった。これは、木材の炭化速度0.6mm/分としたときに、30分で燃焼(炭化)すると想定される木材の厚み18.0mm(0.6mm/分×30分)より薄い。これにより、集成木造部材10の内部から裏面10b側に燃焼が進まない優れた燃え止まり性能と遮熱性能が発揮されることが実証された。
また、図4は、試験に用いた間仕切壁相当の集成木造部材10を示し、図5は、この間仕切壁相当の集成木造部材10を一面(表面10a)側から標準加熱温度曲線の60分加熱で加熱し、非火災側の表面(裏面10b)を形成する単板1(1b)の両面側(計測点1と計測点2)で温度を計測した結果を示している。この試験で用いた図4の集成木造部材10は、6枚の単板1と5層の耐火接着剤層4を備えて形成されている。また、この集成木造部材10は、図2の外壁相当の集成木造部材10と同様、幅30cm、高さ30cmとし、単板1の厚さを3.2mm、耐火接着剤層4の厚さを1.8mmにして形成されている。
図4の間仕切壁相当の集成木造部材10に標準加熱温度曲線の60分加熱を行った場合においても、図5に示すように、計測点1及び計測点2(集成木造部材10の裏面10b)の温度上昇が140℃以下に大幅に抑えられる。そして、表面10aから5枚目の単板1までが燃焼して燃え止まり、燃焼した部分の厚みは23.2mmとなった。これにより、60分で燃焼すると想定される木材の厚み36.0mm(0.6mm/分×60分)より薄く、優れた燃え止まり性能と遮熱性能が発揮されることが実証された。
したがって、本実施形態の集成木造部材10においては、表面10a、10b側に木製の単板1を配して集成木造部材10が形成されるため、通常時には、この表面10a、10b側の単板1によって調湿性、香り、見た目、肌触り等の木材の良さを確保できる。一方、火災時には、火災側から集成木造部材10の内部に熱が伝わって耐火接着剤層4が加熱されるとともに発泡して断熱性を発現し、集成木造部材10の内部への熱移動が抑制される。これにより、通常時に木材の良さを確保しつつ、30分耐火や60分耐火等の要求に応じた燃え止まり性能と遮熱性能を発揮させる(確保する)ことが可能になる。
また、このとき、単板1と耐火接着剤層4を交互に積層して集成木造部材10が形成されているため、火災時に、集成木造部材10の表面10a(10b)側(火災側、加熱側)の耐火接着剤層4から順次断熱性を連続的に発現させることができる。これにより、火災時に、耐火接着剤層4によって燃え止まり性能と遮熱性能が発揮され、集成木造部材10が燃えることを抑制(防止)できる。
また、耐火接着剤層4を通常の接着剤がわりにして集成木造部材10をつくれるため、集成木造部材10の耐火対策を別途設ける必要もない。
さらに、このような集成木造部材10は、単板1や耐火接着剤層4の厚さを小さくして殆んど厚みを増すことなく形成でき、従来の燃え代設計による場合と比較し、大幅に低コスト化及び軽量化を図ることが可能である。そして、このように低コスト化及び軽量化を図り、木材の長所を消さずに火災時の燃え止まり性能と遮熱性能を確保できることで、建物への木材利用の促進を支援でき、環境に大きく貢献することが可能になる。
また、集成木造部材10の表面10a、10b側の単板1(1a、1b)の厚みが1mm以上あることで、香り、見た目、肌触り等の木の良さを確保することができる。さらに、単板1の厚みを5mm以下にすることで、燃焼する部分の厚み及び構造強度の低下を最小限に抑えることが可能になる。
さらに、耐火接着剤層4の厚みを1mm以上にすることで、火災時に耐火接着剤層4が発泡して十分な断熱性能(遮熱性能、耐火性能)を得ることができる。また、耐火接着剤層4の厚みを5mm以下にすることで、集成木造部材10の厚みを小さくでき、火災時に耐火接着剤層4が発泡した際に単板1から脱落することを防止でき、且つ集成木造部材10の製造時に耐火接着剤層4を十分に乾燥、硬化させて、好適に集成木造部材10を形成することが可能になる。
さらに、耐火接着剤層4の積層数を2層〜5層にして集成木造部材10を形成することにより、ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による30分耐火の性能を得ることが可能になる。また、耐火接着剤層4の積層数を3層〜8層にして集成木造部材10を形成することにより、ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による60分耐火の性能を得ることが可能になる。
以上、本発明に係る集成木造部材の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、本実施形態では、外壁や間仕切壁相当の集成木造部材10を例に挙げて説明を行ったが、図6に示す床などに本発明の集成木造部材10を適用しても同様の効果を得ることができ、特に本発明の集成木造部材10の用途、設置場所などを限定する必要はない。
1 単板
1a 表面側の単板
1b 表面(裏面)側の単板
2 従来の集成木造部材
3 燃え代
4 耐火接着剤層
10 集成木造部材
10a 表面(一面)
10b 表面(裏面、他面)
T 厚さ方向

Claims (4)

  1. 複数の木製の単板を一体に積層してなる集成木造部材であって、
    隣り合う前記単板の間に、加熱されるとともに発泡して断熱性を発現する耐火接着剤層を介装して形成されていることを特徴とする集成木造部材。
  2. 請求項1記載の集成木造部材において、
    前記単板の厚みが1〜5mmであり、前記耐火接着剤層の厚みが1〜5mmであることを特徴とする集成木造部材。
  3. 請求項2記載の集成木造部材において、
    複数の前記単板と複数の前記耐火接着剤層を交互に積層して形成され、
    ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による30分耐火の性能が要求される場合には、前記耐火接着剤層の積層数を2層〜5層にして形成されていることを特徴とする集成木造部材。
  4. 請求項2記載の集成木造部材において、
    複数の前記単板と複数の前記耐火接着剤層を交互に積層して形成され、
    ISO834の標準加熱温度曲線の加熱による60分耐火の性能が要求される場合には、前記耐火接着剤層の積層数を3層〜8層にして形成されていることを特徴とする集成木造部材。
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