JP2005120646A - 複合耐火建材 - Google Patents

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Abstract

【課題】可燃物を基材とする軽量な難燃性ないし不燃性の複合耐火建材を提供する。
【解決手段】本発明の複合耐火断熱ボードは、建材の本体部分を構成する可燃性基材2と、基材2の表面に防火性接着剤3を介してコーティングされた防火性ポルトランドセメント4の層からなり、前記防火性ポルトランドセメント4が、石灰質骨材を含んだ粉体成分に、樹脂溶剤と、火熱により不燃性ガスを発生する発泡剤と、火熱下の発泡で炭化層を形成する炭化層形成物質と、耐水性のある樹脂で薄く被覆されてマイクロカプセル化された被覆型炭化層形成触媒とを配合した液体成分を混練して得られるものである。
【選択図】 図1

Description

本発明は、建築物や建造物の内外装等に用いて好適な複合耐火建材に関する。
発泡ポリスチレンボード、木材、FRPなどの可燃性の断熱板はそのままでは、建築物の内外装板としては使用できない。
そこで、これらの難燃化、準不燃化ないしは不燃化が図られている。この一例として、断熱板に発泡ポリスチレンボードを用い、この発泡ポリスチレンボードの表面に塗布する接着剤層(樹脂モルタル)を、酢酸ビニル系の水溶性アクリル樹脂30〜40重量%,砂60〜70重量%,セメントを混合攪拌して形成し、この接着剤層を所定の厚みで塗布した後タイルなどの仕上げ材を貼り付けることが示されている(特許文献1)。
特開2000−281414号公報
しかし、上記従来の樹脂モルタルは、樹脂成分自体が燃焼してしまうし、また塗布厚が薄いと火災時には熱による膨脹・変形によって、亀裂や爆裂を起こし易く、防火性は全く期待できるものではなかった。即ち、火災時の熱によって亀裂や爆裂が生じてしまうと、当該仕上げ材が剥落したり亀裂から火炎が入り込んでしまう。
従って、木材や発泡スチロール、FRP(繊維強化樹脂)等の可燃物の表面に塗布して仕上げ材を貼り付けただけでは、防火対策上の効果は得られず、防火対策を施すには、施工現場において、更にセメントモルタルを数cmの厚みで塗布してから仕上げ材を貼り付けるしかなく、上記可燃物を基材とした複合化によるボード状製品単独としてもちいることはできず、専らモルタル塗布などの現場施工により難燃化を図る以外に方策はなかった。
本発明は以上の問題を解決するために創案されたものであり、その目的は、木材や発泡スチロール、FRP等の可燃物の表面に薄層状にコーティングして、これらの難燃化ないしは不燃化を容易に図ることができ、もってこれら可燃物を基材とする軽量な難燃性ないしは不燃性の複合耐火建材を得ることにある。
前記目的を達成するため、本発明の複合耐火建材は、建材の本体部分を構成する可燃性基材と、基材の表面に防火性接着剤を介してコーティングされた防火性ポルトランドセメントの層からなり、前記防火性ポルトランドセメントが、石灰質骨材を含んだ粉体成分に、樹脂溶剤と、火熱により不燃性ガスを発生する発泡剤と、火熱下の発泡で炭化層を形成する炭化層形成物質と、耐水性のある樹脂で薄く被覆されてマイクロカプセル化された被覆型炭化層形成触媒とを配合した液体成分を混練して得られるものであることを特徴とするものである。
したがって、本発明の複合耐火建材にあっては、モルタル塗布などの現場施工を施すことなく、建物の内外装用の複合耐火建材としてコンクリート躯体などに組付け可能である。
また、本発明における前記防火性接着剤が、エマルジョン系樹脂溶剤と、火熱により不燃性ガスを発生する発泡剤と、火熱下の発泡で炭化層を形成する炭化層形成物質と、耐水性のある樹脂で薄く被覆されてマイクロカプセル化された被覆型炭化層形成触媒とを配合した発泡耐火樹脂組成物において、平均粒径が150〜350μmの閉鎖型中空セラミックフィラーを20〜40重量%配合させたものであるからなることにより、防火性ポルトランドセメントと基材との接着性を充分に確保できるうえ、接着層部分における耐火性も確保できる。
さらに前記可燃性基材が、発泡ポリスチレンボードであることにより、軽量かつ断熱性に富んだ複合耐火建材を得ることができる。また、可燃性基材は木質系ボード、繊維強化樹脂ボードなどであっても同等な複合耐火性建材を得ることができる。
またさらに、前記防火性ポルトランドセメント層が、断面波形をなして形成されていることにより、表面の意匠性を得られ、実質的表面積を大きくとれるとともに、波形の突出部分で防火性ポルトランドセメント層による防火厚みを確保できる。
本発明による複合耐火建材にあっては、薄層であっても充分な防火性を備えた層を可燃物基材表面にコーティングすることで、軽量な難燃性ないしは不燃性の複合耐火建材を得ることができる。
以下本発明の好ましい実施の形態につき、添付図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明にかかる複合耐火性断熱ボードのカッティングモデルを示し、この耐火性断熱ボード1は発泡ポリスチレンボード2の片側表面に防火性接着剤3を介して防火性ポルトランドセメント4をコーティングした構造である。
前記発泡ポリスチレンボード2は、その厚みを75mm程度としたものが建材として好適に用いられる。防火性ポルトランドセメント4は、前記ボード2の表面を不燃化ないしは難燃化するための層であり、防火性のあるポルトランドセメント組成物を、波形断面形状をなしてボード2の表面にコーティングし、乾燥固化させたもので、壁面材としての意匠形状を得られる上に、実質面積を増加すると同時に、波形の山の厚みを最大厚みとすることで見かけ上の防火厚みを増すもので、その最大厚みは山部で2mm、谷部で1.5mmの厚み寸法が好適である。
これにより、従来のモルタル塗布による耐火性断熱ボードに比べて、同一耐火性能を得る上で、従来のモルタル層の場合には最低でも15mm厚みが必須であるのに対し、防火層厚みが極めて薄く、軽量となる。
次に以上の耐火性能を発揮するための防火性ポルトランドセメント4の組成物について詳述する。
この組成物は、主剤として用いられるポルトランドセメントと石灰質骨材とを含む粉体成分に、硬化液としての樹脂溶剤と、火熱により不燃性のアンモニアや二酸化炭素等のガスを発生する発泡剤と、糖類や多価アルコール等のような火熱下の発泡で炭化層を形成する炭化層形成物質と、耐水性のある樹脂で薄く被覆されてマイクロカプセル化されたリン酸アンモニウム等の被覆型炭化層形成触媒とを配合した液体成分を混練して得られるものが好ましい。
前記組成中、樹脂溶剤としては、水性のアクリル樹脂またはラテックス系、水性アルキド、メラミン、尿素フェノール樹脂系、塩化ビニール系等が採用できる。
また、発泡剤としては、ジンアンジアミド、メラミン、グリシン、グアニジン、尿素、塩化パラフィン等のような、火熱により不燃性のアンモニア、二酸化炭素、水、塩化水素等を発生するものを採用できる。
上記熱発泡により炭化層を形成させる物質としては、グルコースやマルトース等の糖類、ペンタエリスリトール、アラビトール等の多価アルコール、酢酸ビニル、アミド樹脂等を採用できる。
炭化層形成触媒としては、リン酸やリン酸アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等を採用できる。
前記ポリリン酸アンモニウム等は、炭化層形成触媒としてだけではなく不燃ガス発泡剤としても用いられるが、長時間放置しておくと塗料内で分解が起こりアンモニアガスを発生して経時劣化してしまい、初期性能に比して発泡炭化層が薄くなって防火性能の低下を起こしてしまう。
そこで、この経時変化を防ぐために、上記炭化層形成触媒には耐水性のある樹脂で薄く被覆してマイクロカプセル化した製品を用いる。このマイクロカプセル化した炭化層形成触媒を配合した防火塗料は、経時変化が殆どなく良い耐久性を発揮する。特にアンモニウム塩は、その塗布後にアンモニアガスとして揮発してしまうので、マイクロカプセル化した被覆型にすると性状変化がなく、製品として防火性能を長期に亘って維持できる。
防火性接着剤3は、前記発泡ポリスチレンボード2と防火性ポルトランドセメント4のそれぞれに接着性があり、かつ防火性に富んだ接着材組成物が用いられる。具体的には、アクリルエマルジョンなどのエマルジョン系樹脂溶剤と、火熱により不燃性のアンモニアや二酸化炭素等のガスを発生する発泡剤と、糖類や多価アルコール等のような火熱下の発泡で炭化層を形成する炭化層形成物質と、耐水性のある樹脂で薄く被覆されてマイクロカプセル化されたリン酸アンモニウム等の被覆型炭化層形成触媒とを配合した発泡耐火塗料において、平均粒径が150〜350μmの閉鎖型中空セラミックフィラーを20〜40重量%配合させた組成とすることにより、前記発泡ポリスチレンはもとより、他の例えば木質系ボード、FRPなどに対する接着性が良好であるとともに、接着部分における防火性も確保できることになる。
以上の耐火性断熱ボード1の成形方法は、例えば型面に波形の凹凸を形成した下型内に防火性ポルトランドセメント組成物を充填しておき、次いで表面に接着剤3を塗着した発泡ポリスチレンボード2を組成物上に配置し、上型を型締した状態で、組成物を養生固化させ、しかる後脱型することで、ポリスチレンボード2の表面に波形形状をなしてポルトランドセメント4を一体化した耐火性断熱ボード1を得られ、製品として工場出荷が可能となる(実際にどのように作っているのか示してください)。
なお、実施形態においては耐火性断熱ボード1を立設した状態で波形が横に連続し、その山が縦配列となっている場合を示しているが、その逆に山が横配列になる外観であってもよいことは勿論であり、その他求められる意匠形状に応じて型形状を選択することで、他の適宜な模様形状に形成できることも言うまでもない。
また、図では適宜形状のカットモデルとしているが、実際の耐火性断熱ボード1の縦横寸法は、例えば180×90cm、90×90cm、90×60cmなどの建材としての標準定尺寸法に形成されるとともに、施工現場などにおいて、スチロールカッターなどで現物にあわせて寸法カットされて用いられるほか、隣合うボード間の接合性を確保するために、一方の縁部に凹部及び他方の縁部に凸部を形成し、隣合うボード間を凹凸係合することもできる。
以上の耐火性断熱ボード1の用途としては、例えばコンクリート壁の外装ボードまたは内装ボードとして、防火性ポルトランドセメント4を表面に向けてコンクリート壁面に貼着されることにより耐火性の断熱層として機能する。
図2は、一例として(a)に示す既存コンクリート壁5に対する外装ボードとして(b)に示すように、耐火性断熱ボード1を施工した場合を示すもので、図中符号6はコンクリート壁5の室内側に空気層7を介して配置された合板などからなる内装壁、8は耐火性断熱ボード1の表面に設けた外装仕上げ材である。
この施工方法としては、コンクリート壁5の外面に塗着された旧塗装をはがし、定寸カットされた耐火性断熱ボード1を次々とコンクリート壁面に貼付け、次いで耐火性断熱ボード1の表面に外装仕上げ材8を施工することで断熱施工が完成する。
そして、図示のごとき温湿度条件(室内温度20℃、湿度75%RH、室外温度−20℃、湿度75%RH)で、単なるコンクリート壁5により室内外を隔離した場合には、(a)に示すように飽和蒸気圧に対し、実際の蒸気圧が高く、その差に応じて壁部分に結露が生ずることになるが、断熱ボード1を配置した場合には、(b)に示すように、飽和蒸気圧に対して実際の蒸気圧の方が常に低い値となり、結露を生ずることなく室内に生じた湿気を室外へと透湿する。これに加え耐火性断熱ボード1そのものの断熱効果により、室内保温効果も増すことは言うまでもない。
図3は、前記耐火性断熱ボードの他の実施形態を示す。この耐火性断熱ボード1は、前記発泡ポリスチレンボード2の両面に防火性接着剤3を介して防火性ポルトランドセメント4を一体に設けているほかは、前記第一実施形態と同じであり、ボード両面に対する難燃化、準不燃化ないしは不燃化を図ることができる。
なお、前記各実施形態では、可燃性基材として発泡ポリスチレンボードを用いたが、木材単板や合板、パーティクルボードなどの木質系ボード、FRPボードなどに置換えることが可能であり、その用途としても内外装用の壁面ボードのほか、内装天井材にも適用可能であることは勿論である。
次に本発明の具体的実施例について詳述する。但し、本発明は以下の実施例のみに限定されるものでない。
以下の表1に示す配合割合のポルトランドセメントと石灰質骨材とを主成分とする粉体成分(主剤)イに、発泡耐火性を有した水溶性樹脂などからなる液体成分(硬化液)ロを混合して練り、防火性ポルトランドセメント組成物を作製した。
Figure 2005120646
前記組成及び配合割合の粉体成分15kgと液体成分5kgとを混ぜ、その後1〜5kgの水を混ぜて練り、防火性ポルトランドセメント組成物を生成し、これを発泡ポリスチレンボードの表面に各種厚みでコーティングし、乾燥固化させた試験片を作製し、実施例1とした。
また、上記粉体成分(20kg)中にさらに補強繊維を10〜50g混入させて、防火性ポルトランドセメントを生成し、これを発泡ポリスチレンボードの表面に各種厚みでコーティングし、乾燥固化させた試験片を作製し、実施例2とした。なお、この補強繊維には長さ20mm程のナイロン繊維を用いたが、これに限らずグラス繊維や他のものであっても良い。
上記実施例1と実施例2の試験片に、燃焼試験としてバーナー試験とコーンカロリーメーター試験を行った。試験片の基材とした発泡スチロールには、スチレン密度が20,27,40の3種のものを用いた。防火性ポルトランドセメントの塗布量は2kg/mとした。その結果、実施例1,2のいずれのサンプルもバーナ試験、コーンカロリーメータ試験をクリアし、充分な耐火性を得られることを確認できた。
したがって、発泡ポリスチレンボードを基材とした複合耐火建材における防火性ポルトランドセメントのコーテイング量は2kg/m程度でよく、従来のモルタル塗布などによる難燃化ないしは不燃化施工に比べて、非常に少量で済み、軽量かつ、単独で耐火建材として商品化できることが確認できた。
なお、以上の各実施例では、防火性接着剤を用いることなく直接基材にコーティングしたが、防火性接着剤を用いた場合にはさらに耐火性が向上するものと思量される。
本発明にかかる複合耐火断熱ボードの一実施形態によるカットモデルの斜視図である。 同耐火断熱ボードを用いた断熱施工前後における蒸気圧力特性を示す説明図である。 同耐火断熱ボードの他の実施形態によるカットモデルの斜視図である。
符号の説明
1 複合耐火断熱ボード
2 基材(発泡ポリスチレンボード)
3 接着剤
4 防火性ポルトランドセメント

Claims (6)

  1. 建材の本体部分を構成する可燃性基材と、基材の表面に防火性接着剤を介してコーティングされた防火性ポルトランドセメントの層からなり、前記防火性ポルトランドセメントが、石灰質骨材を含んだ粉体成分に、樹脂溶剤と、火熱により不燃性ガスを発生する発泡剤と、火熱下の発泡で炭化層を形成する炭化層形成物質と、耐水性のある樹脂で薄く被覆されてマイクロカプセル化された被覆型炭化層形成触媒とを配合した液体成分を混練して得られるものであることを特徴とする複合耐火建材。
  2. 前記防火性接着剤が、エマルジョン系樹脂溶剤と、火熱により不燃性ガスを発生する発泡剤と、火熱下の発泡で炭化層を形成する炭化層形成物質と、耐水性のある樹脂で薄く被覆されてマイクロカプセル化された被覆型炭化層形成触媒とを配合した発泡耐火樹脂組成物において、平均粒径が150〜350μmの閉鎖型中空セラミックフィラーを20〜40重量%配合させたものであることを特徴とする請求項1記載の複合耐火建材。
  3. 前記可燃性基材が、発泡ポリスチレンボードであることを特徴とする請求項1または2記載の複合耐火建材。
  4. 前記可燃性基材が、木質系ボードであることを特徴とする請求項1または2記載の複合耐火建材。
  5. 前記可燃性基材が繊維強化樹脂ボードであることを特徴とする請求項1または2記載の複合耐火建材。
  6. 前記防火性ポルトランドセメント層が、断面波形をなして形成されていることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載の複合耐火建材。
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