JP6716440B2 - 自動車用電子制御装置及び自動車用電子制御装置のリセット方法 - Google Patents
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Description
上記構成の自動車用電子制御装置において、例えば、誤ったバージョンのプログラムが第1処理手段に書き込まれた場合、係るバージョンの誤りによって第2処理手段が第1処理手段の動作異常を判定し、第1処理手段にリセット要求信号を出力するようになることがあった。
このように、第2処理手段が第1処理手段にリセット要求信号を出力する状態では、第1処理手段が動作できず、プログラムの書き換えも不能になり、結果として、当該電子制御装置が使用できなくなるという問題が生じる。
図1は、本発明に係る自動車用電子制御装置の一態様を示す構成図である。
図1の自動車用電子制御装置100は、自動車200に搭載されるエンジンや自動変速機などの制御機器300を制御する装置であり、メインマイコン(第1処理手段)110とサブマイコン(第2処理手段)120とを含んで構成される。
サブマイコン120は、制御機器300の制御情報を出力する各種センサからの信号を読み込むためのA/D変換部122及びタイマ処理部123、メインマイコン110の動作を監視する監視部124、監視部124がメインマイコン110の動作異常を検知したときにメインマイコン110のリセット端子114にリセット要求信号を出力するリセット出力部125、A/D変換部122及びタイマ処理部123を介して読み込んだ信号に基づきリセット要求信号の出力を停止させるリセット出力停止部126などを備える。
また、タイマ処理部(入力手段)113,123には、制御情報に応じて周波数が異なるパルス信号を出力するセンサの信号が入力され、制御情報を示す周波数のデータを出力する。制御機器300が、例えば油圧式の自動変速機である場合、タイマ処理部113,123にパルス信号を出力するセンサ320は、自動変速機の回転部の回転に応じてパルスを発する回転センサなどである。
このようにして、メインマイコン110にリセット要求信号が出力される場合、メインマイコン110が動作せず、プログラムの書き換えもできない状態になる。
監視オフツール400は、センサ310に代えて既定電圧の信号を出力する定電圧回路401や、センサ320に代えて既定周波数のパルス信号を出力するパルス発生器402を含んで構成される。
つまり、監視オフツール400が自動車用電子制御装置100に接続され、サブマイコン120が既定入力を受けると、サブマイコン120は、メインマイコン110へのリセット要求信号の出力を停止する。これにより、メインマイコン110が動作状態に復活してプログラムの書き換えが可能な状態になり、作業者は、プログラム書き換え作業を実施して、メインマイコン110のメモリに格納されている誤ったバージョンのプログラムを正規のバージョンのプログラムに書き換えることができる。
監視オフツール400が、油温センサ310の出力に代わる既定信号を出力する場合、図3に示すように、油温センサ310の正常出力範囲に含まれず、かつ、油温センサ310の信号出力経路が天絡又は地絡したときの出力範囲に含まれない出力を、既定信号(疑似油温信号)として出力する。
なお、図3に示す油温センサ310の出力特性の一例では、−300℃〜+300℃の範囲に相当する信号域が正常出力範囲であり、−340℃〜−350℃の範囲に相当する信号域が天絡状態での出力範囲で、+300℃〜+350℃の範囲に相当する信号域が地絡状態での出力範囲である。
なお、図4に示す回転センサ320の出力特性の一例では、0rpm〜10000rpmの範囲に相当する信号域が正常出力範囲であり、0rpmを下回る範囲に相当する信号域が断線、天絡又は地絡したときの出力範囲である。
このように、監視オフツール400を自動車用電子制御装置100に接続していない状態で、リセット要求信号の出力停止条件が個々のセンサにおいて成立し、誤ってリセット要求信号の出力が停止されてしまう可能性がある。
係る構成であれば、センサの故障やセンサ出力の入力部(A/D変換部112、タイマ処理部123)の故障などによって、サブマイコン120がリセット要求信号の出力を誤って停止することを抑制できる。
まず、リセット出力停止部126は、ステップS11で油温信号及び回転信号を読み込む。
そして、油温信号が前記所定温度範囲内(既定信号、既定値)であって、リセット要求信号の出力停止条件を満たす場合、リセット出力停止部126はステップS13に進む。
ステップS13において、リセット出力停止部126は、タイマ処理部123を介して読み込んだ回転信号がリセット要求信号の出力停止条件として予め設定されている所定回転速度範囲(図4の例では10000rpmを超える回転域)内の信号であるか否かを判別する。
ここで、監視オフツール400が自動車用電子制御装置100に接続されている状態では、監視オフツール400がリセット要求信号の出力停止条件を満たす疑似回転信号をサブマイコン120に出力するので、リセット出力停止部126はステップS13からステップS14に進むことになる。
なお、サブマイコン120のリセット出力停止部126がリセット要求信号の出力を停止する処理は、監視部124がメインマイコン110の動作異常を検知している状態でリセット要求信号の出力を遮断する処理の他、監視部124におけるメインマイコン110の動作異常の検出処理を停止する処理とすることができ、メインマイコン110の動作異常状態でメインマイコン110のリセットが阻止される処理を適宜採用できる。
監視オフツール400は前記所定温度範囲内の疑似油温信号を出力するから、油温信号が前記所定温度範囲外の信号である場合は、少なくとも監視オフツール400が自動車用電子制御装置100に接続されていない状態であり、サブマイコン120は、メインマイコン110の動作異常状態でメインマイコン110のリセットする監視処理を通常に実施する。
この場合、サブマイコン120のリセット出力停止部126は、ステップS12からステップS13に進むが、回転センサ320の出力を処理するタイマ処理部113の故障などが発生していない状態では、回転センサ320が出力する回転信号が、リセット要求信号の出力停止条件を満たす前記所定回転速度範囲内の信号にならず(図4参照)、サブマイコン120は、ステップS13からステップS15進み、メインマイコン110へのリセット要求信号の出力を許可する監視オン状態に移行する。
上記のように、センサ310,320に代えて監視オフツール400を自動車用電子制御装置100に接続することで、サブマイコン120がメインマイコン110にリセット要求信号を出力することを停止させることができる。
そして、メインマイコン110に正規のバージョンのプログラムを格納させることができれば、自動車用電子制御装置100を自動車の制御に用いることができるようになる。
これに対し、監視オフツール400が生成する疑似センサ信号をサブマイコン120に入力させることでリセット要求信号の出力を停止させる構成であれば、作業者は、センサ出力を入力するためのコネクタ130を介して監視オフツール400を自動車用電子制御装置100に接続することでリセット要求信号の出力を停止させることができ、組み上げ済の自動車用電子制御装置100についてもリセット要求信号の出力を容易に停止させることができる。
例えば、メインマイコン110(第1処理手段)の動作に異常が生じたときにメインマイコン110にリセット要求信号を出力する第2処理手段を、ASIC(application specific integrated circuit)で構成することができる。
また、リセット要求信号の出力を停止させるために監視オフツール400が生成する疑似センサ信号は、油温信号や回転信号に限定されず、例えば自動車用電子制御装置100が自動変速機を制御対象とする場合、油温センサ、ストロークセンサ、シフトポジションセンサなどの出力を疑似する信号を監視オフツール400から自動車用電子制御装置100に出力させることができる。この場合、リセット出力停止部126は、監視オフツール400が出力する疑似センサ信号が既定値であるときに、リセット要求信号の出力を停止するよう予め構成される。
また、自動車用電子制御装置100がCAN(Controller Area Network)に接続される場合は、監視オフツール400がCAN入力を疑似する信号を出力することができ、リセット出力停止部126は、CAN入力が既定値であるときに、メインマイコン110へのリセット要求信号の出力を停止する構成とすることができる。
また、監視オフツール400を用いる構成に限定されず、作業者は、定電圧回路やパルスジェネレータなどを個別に自動車用電子制御装置100に接続し、サブマイコン120によるリセット要求信号の出力を停止させることができる。
また、自動車用電子制御装置100のプログラム書き換えを実施するプログラム書き換えツールが、監視オフツール400としての機能を一体的に備えることができる。
自動車用電子制御装置は、その一態様として、自動車に搭載される制御機器の制御処理を行う第1処理手段と、前記第1処理手段の動作に異常が生じたときに前記第1処理手段にリセット要求信号を出力する第2処理手段と、を含み、前記第2処理手段は外部から既定入力を受けたときに前記リセット要求信号の出力を停止する。
別の好ましい態様では、前記第2処理手段は、前記第1処理手段が入力する制御情報の信号を入力する入力手段を含み、前記既定入力を前記入力手段によって受ける。
さらに別の好ましい態様では、前記既定入力は前記制御情報の可変範囲から外れた値である。
Claims (5)
- 自動車用電子制御装置であって、
自動車に搭載される制御機器の制御処理を行う第1処理手段と、
前記第1処理手段の動作に異常が生じたときに前記第1処理手段にリセット要求信号を出力する第2処理手段と、
を含み、
前記第1処理手段は、センサ信号を入力する第1入力手段を備え、前記第1入力手段が入力した前記センサ信号に基づき前記制御機器の制御処理を行い、
前記第2処理手段は、前記第1入力手段が入力する前記センサ信号を入力する第2入力手段を備え、前記第2入力手段が入力した前記センサ信号が既定信号であるとき、前記リセット要求信号の出力を停止する、
自動車用電子制御装置。 - 前記既定信号は、前記センサ信号の正常出力範囲に含まれず、かつ、前記センサ信号の出力経路が天絡又は地絡したときの前記センサ信号の出力範囲に含まれない信号である、
請求項1記載の自動車用電子制御装置。 - 前記第2入力手段は、前記センサ信号を複数入力し、
前記第2処理手段は、前記第2入力手段が入力する複数の前記センサ信号がそれぞれに対応する前記既定信号であるとき、前記リセット要求信号の出力を停止する、
請求項1又は請求項2記載の自動車用電子制御装置。 - 前記センサ信号は、電圧レベルが変化するアナログ電圧信号又は周波数が変化するパルス信号であり、前記既定信号は、既定電圧のアナログ電圧信号又は既定周波数のパルス信号である、
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の自動車用電子制御装置。 - 自動車用電子制御装置のリセット方法であって、
前記自動車用電子制御装置は、自動車に搭載される制御機器の制御処理を行う第1処理手段と、前記第1処理手段の動作に異常が生じたときに前記第1処理手段にリセット要求信号を出力する第2処理手段と、を含み、
前記第1処理手段は、センサ信号を入力する第1入力手段を備え、前記第1入力手段が入力した前記センサ信号に基づき前記制御機器の制御処理を行い、
前記第2処理手段は、前記第1入力手段が入力する前記センサ信号を入力する第2入力手段を備え、
前記第2処理手段は、
前記第1処理手段の異常の有無を検出するステップと、
前記第2入力手段が入力する前記センサ信号が既定信号であるか否かを検出するステップと、
前記第1処理手段の異常を検出し、前記センサ信号が前記既定信号でないときに前記第1処理手段にリセット要求信号を出力するステップと、
前記第1処理手段の異常を検出し、前記センサ信号が前記既定信号であるときに前記第1処理手段への前記リセット要求信号の出力を停止するステップと、
を実施する、自動車用電子制御装置のリセット方法。
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