以下、図面を参照しつつ、本発明を実施するための最良の形態について詳述する。なお、明細書において、「上」とは後述する首部側を、「下」とは後述するフランジ部側を指すものとする。図1はこの発明の注出口部材の一例を示す斜視図であり、図2は図1における注出口部材の底面図であり、図3は図2における注出口部材のA−A線拡大断面図である。ここで、図1は後述するフランジ部側から見た斜視図である。また、底面図とは、フランジ部の下方側から見た(底面視)図である。注出口部材10は、筒状の首部20と、首部20の下端部に設けられたフランジ部30とからなり、首部20の上端部にはここでは図示せぬキャップ50が着脱自在に取り付けられる。
首部20は、中空の円筒形状であって、その中空部は内容物が通過する注出流路21となる。首部20の上部外周面には雄螺子22が設けられており、キャップ50は、外壁部の内面に設けられた雌螺子と首部20の雄螺子22との螺子構造によって注出口部材10に着脱自在に取り付けられる。首部20の外周面であり、キャップ50の着脱方向の中央部には、中間フランジ23が設けられている。首部20の下端部には、径方向の外方側に突出した基部24が設けられている。
なお、キャップ50の注出口部材10への取り付け構造は上述の構成に限定されるものではなく、注出流路21を密閉可能に取り付けられる構成であればよい。また、首部20は、注出流路21に逆止弁などが設けられた構成であってもよく、注出流路21の断面形状は四角形状などであってもよい。また、中間フランジ23は、後述する外装体70への嵌合に用いるものであるが、内容物を吸引する際の接続チューブの連結などに用いてもよく、複数の中間フランジを設ける構成であってもよく、形状、大きさ、数などは適宜設計できる。
例えば、中間フランジ23をダンボールなどによって構成される直方体の箱である外装体70への嵌合に用いる場合、外装体70に予め形成された中間フランジ23の外径よりも小さい穴に、注出口部材10の首部20を外装体70の内側から挿入する。そして、中間フランジ23と基部24との間に外装体70を嵌合させ、外装体70に注出口部材10を固定する。
このように注出口部材10を固定することで、注出口部材10は、中間フランジ23より上方部分のみが外装体70の外部に突出した状態で保持される。したがって、中間フランジ23がストッパーの役割を果たして注出口部材10が外装体70の内部に入り込むことを防止できる。なお、中間フランジ23を設けない構成であってもよい。
フランジ部30は、基部24を介して首部20の下端部に設けられている。フランジ部30は、円板形状であって、後述する袋体60と接合される平坦な天面31とこの天面31とは反対側の平坦な底面32とを有する。基部24を介してフランジ部30を首部20へ設けることによって、首部20とフランジ部30との連設部位の強度を上げている。なお、フランジ部30の形状は、上述の形状に限定されるものではなく、袋体60と接合される平坦な天面31とこの天面31とは反対側の平坦な底面32とを有するものであればよく、例えば、底面視の外形が四角形又は多角形などであってもよい。
フランジ部30の底面32には、首部20の内周面25の全周と連設する凹部33が設けられている。フランジ部30には、2つの閉塞防止部材40が設けられている。閉塞防止部材40は、角柱形状であり、その両端は、凹部33の底面34および外周面35に連設している。つまり、閉塞防止部材40の両端は、フランジ部30に連設している。
2つの閉塞防止部材40は、底面視において、平行に配設されるとともに、首部20の内周面25より内方側の領域を横切り、その領域を分割している。つまり、閉塞防止部材40は、注出流路21を横切るように設けられて、注出流路21の下側開口部を3つの開口26A,26B,26Cに分割している。
閉塞防止部材40は、注出流路21における流路断面の中心部近傍を避けて設けられている。つまり、注出流路21における流路断面の中心部近傍には、閉塞防止部材40が介在しない領域が形成されている。この領域は、底面視において、注出流路21の流路方向の中心軸Oを中心とする直径Rの円形領域27よりも広い領域である。
閉塞防止部材40の下面41は、フランジ部の底面32と同一面であり、連続した平坦面を形成している(図3参照)。そして、注出口部材10は、フランジ部の底面32より下方に突出する部材を有さない。
なお、閉塞防止部材40は、上述の構成に限定されるものではなく、首部20の内周面25より内方側に向かって突出するものであり、注出流路21内に介在していればよい。
フランジ部30の各構成の大きさは、凹部33の深さC1が1〜10mm、凹部33の幅C2が1〜10mm、閉塞防止部材40の幅Wが1〜10mm、領域27の直径Rが5mm以上であることが好ましいが、これに限定されるものではない。内容物の種類、注出流路の大きさ、袋体の材質などによって適宜設計するものである。
注出口部材10は、合成樹脂から構成されるが、後述する袋体60と熱融着可能なものであって、内容物の品質および内容物に接触しても衛生的に支障のないものであれば特に限定されない。なお、熱融着性、加圧加熱殺菌、耐熱性などに優れる点で、ポリプロピレン、中密度または高密度ポリエチレン、ポリエステル、ポリカーボネートなどを射出成形して形成したものであることが望ましい。
次に、図4および図5を用いて、この発明の注出口付き袋について説明する。注出口部材10が取り付けられる袋体60は、プラスチックフィルムで形成された4方シールの平袋であり、正面部61、背面部62を有し、その周縁部のトップシール部63、サイドシール部64,64、ボトムシール部65において、正面部61と背面部62とが熱融着等によって接合されている。
正面部61および背面部62は、袋体60の内面を形成する内層フィルム66と、袋体60の外面を形成する外層フィルム67とから構成され、2層構造となっている。
なお、袋体60は、上述の形状に限定されるものではなく、例えば、両側部に内側に折り込まれた折込部を有するガゼット型の袋などであってもよい。また、袋体60の構造は2層構造でなくてもよく、単層構造や2層以上の多層構造であってもよい。
内層フィルム66および外層フィルム67としては、特に限定されるプラスチックフィルムではなく、例えば、ヒートシール性を有するプラスチックフィルム、強度を有しかつ耐熱性に富むプラスチックフィルム、ガスバリヤー性を有するプラスチックフィルムおよび水蒸気バリヤー性を有するプラスチックフィルム、その他のプラスチックフィルムなどを使用することができる。
具体的には、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、メチルペンテン系樹脂、ポリブテン系樹脂などのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル系樹脂、ポリアクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物、フッ素系樹脂、ジエン系樹脂、ポリアセタール系樹脂などから構成される単層フィルムまたはそれらを積層した多層フィルムを適宜選択して使用することができる。
次に、注出口部材10を袋体60に取り付ける方法について説明する。袋体60の正面部61に予め形成された図示しない穴に、注出口部材60の首部20を内側から挿入し、フランジ部30の天面31と袋体60の正面部61の内面とを当接させる。不図示の圧着金型を用いて、フランジ部30の天面31と袋体60の正面部61の内面とを熱融着させる。
つまり、フランジ部30の天面31と袋体60の正面部61の内層フィルム66の内面とを熱融着させるととともに、この内層フィルム66の外面と外層フィルム67の内面とを融着させる。この時、フランジ部30の底面32側における凹部33には相当しない箇所を押圧して圧着させる。
したがって、圧着部位に相当する箇所は、溝や突出部材などがなく、全面が連続した平坦面であるため、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材40に嵌合する治具を用いて圧着する必要がなく、この治具と注出口部材10との位置合わせをすることがないため、既存の圧着装置を用いた従来の作業工程で圧着ができる。
ここで、フランジ部30の底面32より下方に突出する部材はなく、フランジ部30の底面32と閉塞防止部材40の下面41は同一面であり、連続した平坦面を形成している。したがって、注出口部材10と圧着金型との位置合わせは、フランジ部30の外周端部36を含めて行えるので、位置合わせ作業が省略化でき、作業時間の短縮が図れる。
次に、上述の注出口部材10を上述の袋体60に取り付けた注出口付き袋の使用について説明する。内部に内容物が収容された注出口付き袋は、ダンボールなどによって構成される直方体の箱である外装体70に収容される。上述のように、外装体70に予め形成された図示しない穴に、注出口部材10の首部20を外装体70の内側から挿入し、中間フランジ23と基部24との間に外装体70を嵌合させ、外装体70に注出口部材10が固定される。
したがって、注出口部材10の中間フランジ23より上方部分のみが外装体70の外部に突出した状態となり、バッグインボックス71として使用される。例えば、図6に示すように、飲料を提供するディスペンサー80で使用する場合、吸引ポンプ81に接続されたチューブを注出口部材10に接続する。内容物は、吸引ポンプ81によって吸引され、注出流路21から接続チューブおよび吸引ポンプ81を介してディスペンサー80へ供給される。
吸引ポンプ81によって内容物が吸引され、袋体60内の内容物が減少すると、注出口部材10に対向する位置である袋体60の背面部62の内面が注出口部材10のフランジ部30の底面32と密着する。つまり、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面が、注出口部材10のフランジ部30の底面32と密着する。この時、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面は、閉塞防止部材40の下面41と当接する。
内層フィルム66はある程度の剛性を有するため、注出流路21の下側の開口26A,26B,26Cに内層フィルム66が入り込んで注出流路21を閉塞することがない。つまり、閉塞防止部材40が内層フィルム66を支持することになり、内層フィルム66による注出流路21の下側開口部の閉塞を防止する。
また、内層フィルム66の剛性により、フランジ部30の底面32上の内層フィルム66には、シワが発生する。
内容物は、シワの隙間、凹部33、開口26A,26B,26Cを流路として注出流路21へ流出することができ、注出流路21へと続く流路が袋体60の背面部62における内層フィルム66によって閉塞されることがない。したがって、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
なお、内容物を吸引して注出する際、内容物が減少すると、閉塞防止部材40は、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面と当接する。したがって、袋体60を傷つけないために、当接する部位は曲面となるようにしてエッジを設けない形状が望ましく、適宜R取りや面取りを施すことが望ましい。
また、閉塞防止部材40は、底面視において、注出流路21の中心軸Oを中心として、対称に配設されることが望ましい。このような構成にすることで、内容物を吸引して注出する際、偏りがなく吸引することができ、より効率よく内容物を注出することが可能である。
また、閉塞防止部材40は、注出流路21における流路断面の中心部近傍を避けて設けられ、閉塞防止部材40が介在しない領域(開口26B)が形成されている。この領域は、注出口部材10を通して内容物を充填する際、内容物が通過する流路となる。したがって、閉塞防止部材40は、充填時の内容物の流入における抵抗とはならず、内容物の液はねなどを防止し、効率良く確実に内容物の充填を行うことができる。
ところで、図1〜図3に示される注出口部材10には、角柱形状であり、両端がフランジ部30に連設し、底面視において、平行に配設される2つの閉塞防止部材40が設けられている。そして、閉塞防止部材40の下面41は、フランジ部の底面32と同一面であり、連続した平坦面を形成している。しかし、閉塞防止部材40の数、形状、大きさ、配設位置などは、この構成に限定されるものではない。閉塞防止部材40は、首部20の内周面25より内方側に向かって突出するものであり、注出流路21内に介在するものであればよい。
例えば、図7〜図9に示すような閉塞防止部材140であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材110は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40の下面41をフランジ部30の底面32より下方に突出させたものである。ここで、この突出量Tは、1〜10mmが好ましいが、これに限定されるものではなく、内容物の種類、注出流路の大きさ、袋体の材質などによって適宜設計するものである。
このような構成にすると、内容物を吸引して注出する際、内容物が減少すると、閉塞防止部材140の下面141は、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面と当接する。閉塞防止部材140の下面141は、フランジ部130の底面132より下方に突出しているので、閉塞防止部材140が設けられている箇所で内層フィルム66はフランジ部130の底面132より下方に持ち上げられる。そして、内層フィルム66の剛性により、底面132上の内層フィルム66には、この閉塞防止部材140を起点としたシワが発生する。
また、内層フィルム66はある程度の剛性を有するため、注出流路121の下側の開口126A,126B,126Cに内層フィルム66が入り込んで注出流路121を閉塞することをより効果的に防止する。
内容物は、シワの隙間、凹部133、開口126A,126B,126Cを流路として注出流路121へ流出することができ、注出流路121へと続く流路が袋体60の背面部62における内層フィルム66によって閉塞されることがない。したがって、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
ここで、注出口部材110を袋体60に取り付けるには、不図示の圧着金型を用いて、フランジ部130の天面131と袋体60の正面部61の内面とを熱融着させる。この時、フランジ部130の底面132側における凹部133には相当しない箇所を押圧して圧着させる。
したがって、圧着部位に相当する箇所は全面が平坦面であるため、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材140におけるフランジ部130の底面132より下方に突出した部位に嵌合する治具を用いて圧着する必要はあるが、この治具と注出口部材110との位置合わせが容易にできるため、圧着作業が容易にできる。
ここで、閉塞防止部材140は、フランジ部130の底面132より下方に突出している。しかし、フランジ部130の底面132は、溝や突起を有さない平坦面である。したがって、注出口部材110と圧着金型との位置合わせは、フランジ部130の外周端部136を含めて行えるので、位置合わせ作業が簡素化でき、作業時間の短縮が図れる。
ここで、閉塞防止部材140の下面141は、フランジ部130の底面132より下方に突出しており、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面と当接する。したがって、袋体60を傷つけないために、閉塞防止部材140における、フランジ部30の底面32より下方に突出する部位には、適宜R取りや面取りを施すことが望ましい。
また、閉塞防止部材は、図10〜図12に示す構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材210は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40をフランジ部30の底面32に連設させたものである。つまり、注出口部材210の閉塞防止部材240は、その両端の上面242がフランジ部230の底面232に接合した状態で、凹部233の近傍に連設している。
ここで、閉塞防止部材240の厚みH1は、1〜10mmが好ましいが、これに限定されるものではなく、内容物の種類、注出流路の大きさ、袋体の材質などによって適宜設計するものである。
このような構成にすると、内容物を吸引して注出する際、内容物が減少すると、閉塞防止部材240の下面241は、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面と当接する。閉塞防止部材240の下面241は、フランジ部230の底面232より下方に突出しているので、閉塞防止部材240が設けられている箇所で内層フィルム66はフランジ部230の底面232より下方に持ち上げられる。そして、内層フィルム66の剛性により、底面232上の内層フィルム66には、この閉塞防止部材240を起点としたシワが発生する。
また、内層フィルム66はある程度の剛性を有するため、注出流路221の下側の開口226A,226B,226Cに内層フィルム66が入り込んで注出流路221を閉塞することをより効果的に防止する。
内容物は、シワの隙間、開口226A,226B,226C、凹部233を流路として注出流路221へ流出することができ、注出流路221へと続く流路が袋体60の背面部62における内層フィルム66によって閉塞されることがない。したがって、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
ここで、注出口部材210を袋体60に取り付けるには、不図示の圧着金型を用いて、フランジ部230の天面231と袋体60の正面部61の内面とを熱融着させる。この時、閉塞防止部材240の外方の領域に相当する箇所を押圧して圧着させる。
したがって、圧着部位に相当する箇所は全面が平坦面であるため、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であるので、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材240に嵌合する治具を用いて圧着する必要はあるが、この治具と注出口部材210との位置合わせが容易にできるため、圧着作業が容易にできる。
ここで、閉塞防止部材240は、フランジ部230の底面232より下方に突出している。しかし、フランジ230の底面232における閉塞防止部材240の外方の領域は、溝や突起を有さない平坦面である。したがって、注出口部材210と圧着金型との位置合わせは、フランジ部230の外周端部236を含めて行えるので、位置合わせ作業が簡素化でき、作業時間の短縮が図れる。
なお、閉塞防止部材240は、フランジ部230の底面232より下方に突出しており、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面と当接する。したがって、袋体60を傷つけないために、閉塞防止部材240には、適宜R取りや面取りを施すことが望ましい。
また、閉塞防止部材は、図13〜図15に示す構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材310は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40を首部20の内周面25に連設させたものである。つまり、注出口部材310の閉塞防止部材340は、その両端が首部320の内周面325に連設している。
また、閉塞防止部材340の下面341は、凹部333の底面334と同一面である(図15参照)。そして、注出口部材310は、フランジ部330の底面332より下方に突出する部材を有さない。ここで、閉塞防止部材340の厚みH2は、1〜10mmが好ましいが、これに限定されるものではなく、内容物の種類、注出流路の大きさ、袋体の材質などによって適宜設計するものである。
このような構成にすると、内容物を吸引して注出する際、内容物が減少すると、閉塞防止部材340の下面341は、袋体60の背面部62における内層フィルムの内面と当接する。内層フィルム66はある程度の剛性を有するため、注出流路321の下側の開口326A,326B,326Cに内層フィルム66が入り込んで注出流路321を閉塞することを防止する。
また、内層フィルム66の剛性により、フランジ部330の底面332上の内層フィルム66には、シワが発生する。
内容物は、シワの隙間、凹部333、開口326A,326B,326Cを流路として注出流路321へ流出することができ、注出流路321へと続く流路が袋体60の背面部62における内層フィルム66によって閉塞されることがない。したがって、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
ここで、注出口部材310を袋体60に取り付けるには、不図示の圧着金型を用いて、フランジ部330の天面331と袋体60の正面部61の内面とを熱融着させる。この時、フランジ部330の底面332側における凹部333には相当しない箇所を押圧して圧着させる。
したがって、圧着部位に相当する箇所は全面が平坦面であるため、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材340に嵌合する治具を用いて圧着する必要がなく、この治具と注出口部材310との位置合わせをすることがないため、既存の圧着装置を用いた従来の作業工程で圧着ができる。
ここで、フランジ部330の底面332より下方に突出する部材はないため、注出口部材310と圧着金型との位置合わせは、フランジ部330の外周端部336を含めて行えるので、位置合わせ作業が省略化でき、作業時間の短縮が図れる。
また、閉塞防止部材は、図16に示す構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材410は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40を、底面視において、V字状に配設させたものである。
このような構成であっても、上述の注出口部材10と同様の効果を有し、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。また、注出口部材410を袋体60に熱融着する際には、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材440に嵌合する治具を用いて圧着する必要がなく、この治具と注出口部材410との位置合わせをすることがないため、既存の圧着装置を用いた従来の作業工程で圧着ができる。
また、閉塞防止部材は、図17に示す構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材510は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40を3つ設けたものである。
注出口部材510の閉塞防止部材540は、底面視において、略三角形状に配設されている。3つの閉塞防止部材540は、注出流路521を横切り、注出流路521の下側開口部を4つの開口526A,526B,526C,526Dに分割している。
このような構成であっても、上述の注出口部材10と同様の効果を有し、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。また、注出口部材510を袋体60に熱融着する際には、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材540に嵌合する治具を用いて圧着する必要がなく、この治具と注出口部材510との位置合わせをすることがないため、既存の圧着装置を用いた従来の作業工程で圧着ができる。
ここで、注出流路521の下側開口部は、4つの開口526A,526B,526C,526Dに分割されているため、それぞれの開口面積は小さくなる。したがって、内層フィルム66は、開口526A,526B,526C,526Dにより更に入り込みにくくなり、注出流路521を閉塞することがない。そして、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
また、閉塞防止部材は、図18に示す構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材610は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40を4つ設けたものである。
注出口部材610の閉塞防止部材640は、底面視において、略四角形状に配設されている。隣接する閉塞防止部材640の端部は、互いに接合するとともに、この接合部643が凹部633の底面および外周面に連設している。4つの閉塞防止部材640は、注出流路621を横切り、注出流路621の下側開口部を5つの開口626A,626B,626C,626D,626Eに分割している。
このような構成であっても、上述の注出口部材10と同様の効果を有し、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。また、注出口部材610を袋体60に熱融着する際には、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材640に嵌合する治具を用いて圧着する必要がなく、この治具と注出口部材610との位置合わせをすることがないため、既存の圧着装置を用いた従来の作業工程で圧着ができる。
ここで、注出流路621の下側開口部は、5つの開口626A,626B,626C,626D,626Eに分割されているため、それぞれの開口面積は小さくなる。したがって、内層フィルム66は、開口626A,626B,626C,626D,626Eにより更に入り込みにくくなり、注出流路621を閉塞することがない。そして、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
また、閉塞防止部材640は、接合部644がフランジ部630に連設しているので、フランジ部630に強固に固定される。なお、閉塞防止部材640は、その両端をそれぞれフランジ部630に連設する構成であってもよい。
また、閉塞防止部材は、図19に示す構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材710は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40を、2つ一組のものを二組で計4つ設けたものである。
一組の閉塞防止部材740は、それぞれの中央部近傍で接合され、それぞれの両端は、凹部733の底面および外周面に連設している。また、もう一組の閉塞防止部材740は、同様に、それぞれの中央部近傍で接合され、それぞれの両端は、凹部733の底面および外周面に連設している。そして、2つの一組の閉塞防止部材740は、注出流路721の中心軸Oを中心として、対称に配設されている。これら4つの閉塞防止部材740は、注出流路721を横切り、注出流路721の下側開口部を7つの開口726A,726B,726C,726D,726E,726F,726Gに分割している。
このような構成であっても、上述の注出口部材10と同様の効果を有し、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。また、注出口部材710を袋体60に熱融着する際には、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材740に嵌合する治具を用いて圧着する必要がなく、この治具と注出口部材710との位置合わせをすることがないため、既存の圧着装置を用いた従来の作業工程で圧着ができる。
ここで、注出流路721の下側開口部は、7つの開口726A,726B,726C,726D,726E,726F,726Gに分割されているため、それぞれの開口面積は小さくなる。したがって、内層フィルム66は、開口726A,726B,726C,726D,726E,726F,726Gにより更に入り込みにくくなり、注出流路721を閉塞することがない。そして、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
また、一組の閉塞防止部材740は、それぞれの中央部近傍で接合され、フランジ部730に連設しているので、フランジ部730に強固に固定される。
また、閉塞防止部材は、図20に示す構成であってもよい。なお、上述の実施形態と同じ構成については説明を省略する。注出口部材810は、上述の注出口部材10における閉塞防止部材40を突起形状にするとともに、4つ設けたものである。
注出口部材810の閉塞防止部材840は、角柱形状であり、その一端は、凹部833の底面および外周面に連設している。閉塞防止部材840は、注出流路821の中心軸Oを中心として、径方向に略等間隔に配設されている。それぞれ4つの閉塞防止部材840は、首部の内周面より内方側に向かって突出し、その一部分が注出流路821内に介在している。
このような構成であっても、上述の注出口部材10と同様の効果を有し、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。ここで、内容物を吸引して注出する際、内容物が減少すると、閉塞防止部材840の下面は、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面と当接する。内層フィルム66はある程度の剛性を有するため、注出流路821の下側の開口部において、隣接する閉塞防止部材840の間に隙間が形成される。この隙間を流路として注出流路821へ流出することができるので、内層フィルム66によって注出流路821が閉塞されることがない。つまり、閉塞防止部材840が内層フィルム66を支持することになり、内層フィルム66による注出流路821の下側開口部の閉塞を防止する。そして、内容物を最後まで注出することができ、内容物を効率よく注出することが可能である。
また、上述の注出口部材10と同様に、注出口部材810を袋体60に熱融着する際には、均一な圧力と加熱によって圧着が可能であり、接着不良を防止することができる。また、閉塞防止部材840に嵌合する治具を用いて圧着する必要がなく、この治具と注出口部材810との位置合わせをすることがないため、既存の圧着装置を用いた従来の作業工程で圧着ができる。
また、閉塞防止部材840の構成が簡単であるので、注出口部材840の製造が容易に行える。なお、閉塞防止部材の形状は、図21に示すように、底面視において、略半円形状の平板状であってもよい。この閉塞防止部材940は、外方に彎曲した端部が注出流路921内に介在している。
なお、内容物を吸引して注出する際、内容物が減少すると、閉塞防止部材840,940の注出流路821,921側の先端部は、袋体60の背面部62における内層フィルム66の内面と強く当接する。したがって、袋体60を傷つけないために、閉塞防止部材840,940には、適宜R取りや面取りを施すことが望ましい。
ここで、図7〜図21に示される注出口部材110、210,310,410,510,610,710,810,910の閉塞防止部材は、注出流路における流路断面の中心部近傍を避けて設けられ、閉塞防止部材が介在しない領域が形成されている。この領域は、注出口部材を通して内容物を充填する際、内容物が通過する流路となる。したがって、閉塞防止部材は、充填時の内容物の流入における抵抗とはならず、内容物の液はねなどを防止し、効率良く確実に内容物の充填を行うことができる。
また、図16〜図21に示される注出口部材410,510,610,710,810,910の閉塞防止部材440,540,640,740,840,940は、いずれも凹部の底面および外周面に連設されているが、図12に示されるように、フランジ部の底面であって、凹部の近傍に連設する構成であってもよい。
また、これらの閉塞防止部材は、図15に示されるように、首部の内周面に連設する構成であってもよい。
また、これらの閉塞防止部材は、図9に示されるように、閉塞防止部材の下面をフランジ部の底面より下方に突出させたものであってもよい。
なお、注出口部材は、上述の実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲であらゆる形態をとることができる。上述の実施形態を組み合わせた構成としてもよい。例えば、図7〜図9に示す閉塞防止部材140と、図13〜図15に示す閉塞防止部材340とを組み合わせた構成であってもよい。
このような構成にすると、閉塞防止部材は、その下面がフランジ部の底面より下方に突出し、上面は凹部の底面より上方に突出した構成となる。つまり、閉塞防止部材の上下方向の厚みが増加し、閉塞防止部材の強度が増加するとともに、強固に固定される。
図1〜図3に示す注出口部材10を袋体60に取り付けた図4および図5に示す構成の注出口付き袋を作成し、図6に示す構成のバッグインボックス71とした。このバッグインボックスを用いてディスペンサー80へ内容物を供給した。
ここで、注出口部材10の各部の寸法は、フランジ部30の外径がφ63.5mm、注出流路21の断面がφ30mm、凹部33の深さC1が2.5mm、凹部33の幅C2が5mm、閉塞防止部材40の幅Wが4mm、閉塞防止部材40間の距離Lが15mmである。
袋体60の外形寸法は、縦480mm、横455mmであり、2層構造であった。内層フィルム66はLLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)の単層フィルムであり、外層フィルム67はONY(二軸延伸ナイロン)とLLDPEとの積層フィルムであった。内容物は濃縮果汁の原液を用いた。
注出口付き袋を作成する際に、注出部材10を袋体60に熱融着させたが、均一な圧力と加熱によって圧着することができ、接着不良は発生しなかった。また、ディスペンサー80へ内容物を供給したが、注出流路21へと続く流路が袋体60の背面部62の内面によって閉鎖されることなく、袋体60の内容物を最後まで注出することができた。そして、この注出口部材の上述した有効性が確認できた。