JP6708339B2 - 熱電変換素子、熱電変換モジュール - Google Patents

熱電変換素子、熱電変換モジュール Download PDF

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Description

本発明は、熱電変換素子に関し、より具体的には、熱電変換素子を用いた熱電変換モジュールに関する。
熱電変換とは、固体の熱電変換素子を用いて熱エネルギーと電気エネルギーを相互に変換する技術である。熱エネルギーを電気エネルギーに変換する技術は、熱電発電と呼ばれ、熱電効果の1つであるゼーベック効果に基づく。熱電発電では、熱電変換素子の両端間の温度差が電気エネルギーに直接変換される。この熱電発電を利用して、工場や自動車から排出されている膨大な未利用熱エネルギーを回収し、そこから電力を生み出すことで、化石燃料の消費量低減、更にはCO2削減と省エネルギーに大いに貢献できる。
一方、電気エネルギーから熱エネルギーへの変換はペルチェ効果に由来し、冷却や精密温調に応用されている。ここでは、ペルチェ効果に由来する電気エネルギーから熱エネルギーへの変換をペルチェ冷却と称する。ペルチェ冷却では、熱電変換素子に電流を通電した際に熱電変換素子の片端が冷却される現象を用いている。このペルチェ冷却は、フロンガスなどの冷媒を必要としない点、及び電流制御に基づく冷却温度を精密に制御できる点を長所としている。
熱電変換素子は、一般に熱電変換材料が2つの電極で挟持された構成を有する。その熱電変換素子を用いて熱電変換モジュール、すなわち熱電発電モジュール/ペルチェ冷却モジュールを構成することができる。具体的には、例えば、P型熱電変換素子(電荷を運ぶキャリアが正孔)と、N型熱電変換素子(電荷を運ぶキャリアが電子)を、上部接合電極と下部接合電極を用いて熱的には並列に電気的には直列に接続することにより、熱電変換モジュール(熱電発電モジュール/ペルチェ冷却モジュール)を得る。熱電変換モジュールはP-N熱電変換素子一対でも熱電変換モジュールとして機能するが、通常、より大きな出力あるいは高い冷却効果を得るために、複数のP-N対の熱電変換モジュールを組み合わせて、より大型の熱電変換モジュールを構成する。P-N一対から成る熱電変換モジュールおよびP-N複数対から成る熱電変換モジュール、いずれも熱電変換モジュールと呼ばれる。
熱電変換材料の性能は、熱電性能指数ZTとして表すことができ、このZTが高いほど性能が優れている。また、熱電変換素子の電極を構成する電極材料には、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高く、高温でも電極材料自体が化学的に安定であるとともに、熱電変換材料及び接続電極との間でも化学的反応を生じないことが求められる。
300℃から700℃付近で高い熱電性能指数ZTを示す熱電変換材料として鉛テルライド(PbTe)が知られている。PbTeは、P型とN型共に優れた熱電特性(高い熱電性能指数ZT)を示すが、一方で、N型PbTeでは適した電極材料の開発には至っていない。例えば、P型PbTeの電極材料として、Feが適していることが報告されているが(非特許文献1)、FeをN型PbTeの電極材料として用いると、FeとPbTeとの間の接合強度が弱く、熱膨張率に差があり、さらに、接合温度が800℃と高いために熱電変換材料に悪影響のあること等が報告されている(非特許文献2)。
また例えば、NbをN型PbTeの電極材料として用いると、界面においてNb3Te4が生成され、接合力を弱くすることが報告されている(非特許文献3)。さらに、NiをN型PbTeの電極材料として用いると、実際に使用する条件ではNiとPbTeとの間の反応が続くために、低温での短時間の使用に限られることが報告されている(非特許文献4)。
堀康彦、草野大介、「鉛・テルル系熱発電モジュールの素子−電極接合体の電気的特性」、電力中央研究所報告、W01006、2002年 Sima Aminorroaya Yamini, et al. "Rational design of p-type thermoelectric PbTe: Temperature dependent sodium solubility", Journal of Materials Chemistry A, pp 8725-8730, 2013 Haiyang Xia, et al. "Interfacial Reaction Between Nb Foil and n-Type PbTe Thermoelectric Materials During Thermoelectric Contact Fabrication", Journal of Electronic Materials, vol.43, pp 4064-4069, 2014 Haiyang Xia, et al. "Bonding and interfacial reaction between Ni foil and n-type PbTe thermoelectric materials for thermoelectric module applications", Journal of Materials Science, vol.49, pp 1716-1723, 2014
本発明は、N型PbTeを主な構成成分とする熱電変換材料と安定して接合可能で、高温環境下での使用時に熱電変換材料の変質が抑えられる電極材料を含む電極を有する熱電変換素子、およびそれを用いた熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
本発明の一態様では、Fe及びCoを含む2つの電極材料で挟持された、N型PbTeを含む熱電変換材料を含む、熱電変換素子を提供する。
本発明の他の一態様では、Fe及びCoを含む2つの電極材料で挟持された、N型PbTeを含む熱電変換材料を含むN型熱電変換素子を備える熱電変換モジュールを提供する。
本発明の一実施形態の熱電変換素子の構成を示す図である。 本発明の一実施形態の熱電変換モジュールの構成(一対のP-N熱電変換素子)を示す図である。 本発明の一実施形態の熱電変換素子の熱電変換材料と電極材料との積層構造体の焼結収縮曲線の一例を示す図である。 本発明の一実施形態の熱電変換素子の電極材料と熱電変換材料との間の電気的な接合状態と素子内の抵抗分布とを示す図である。 比較例の熱電変換素子の電極材料と熱電変換材料との間の電気的な接合状態と素子内の抵抗分布とを示す図である。 比較例の熱電変換素子の電極材料と熱電変換材料との間の電気的な接合状態と素子内の抵抗分布とを示す図である。
図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態の熱電変換素子10の構成を示す図である。熱電変換素子10は、熱電変換材料1が2つの電極材料2a、2bで挟持された構成とされる。電極材料2a、2bは、熱電変換材料1と、後述する接合電極とを電気的、熱的に接続して、電流や熱を良く伝える一方で、熱電変換材料1と接合電極との反応を抑制する役割、及び熱電変換材料1と接合電極と間の応力を緩和する役割を有する。
熱電変換材料1は、PbTe 1−x (0<x≦0.006)を含むことができる。この熱電変換材料はPbTeを基本としており、そこにN型のキャリアを与えるドナーであるヨウ素(I)が添加してある。熱電性能指数ZTに関し、本発明者らは、PbTe 1−x (0<x≦0.006)で表される熱電変換材料が300℃〜700℃の広い温度範囲において0.6〜1.2の高い無次元性能指数ZTを示すことを確認している。ヨウ素以外のドナーの種類としては、ClとBrとなどが知られており、これらは、ヨウ素と周期律表で同じ族に属しており、化学的・物理的性質が似ているので本発明が適用できる。さらに、I、Cl、Br以外のドナーでも、PbTeがn型であれば化学的・物理的性質が似ているので本発明が適用できる。そのすなわち、本発明は、ドナーの種類によらずN型の熱電特性を示すPbTeに適用可能である。
電極材料2a、2bは、yFe(1−y)Co(yは0.1〜0.8)の材料で形成できる。組成が少しずれても、物性値はほとんど変化しないので、y Fe(1−y)Co(yは0.1〜0.8)でも同様な効果を得ることができる。Fe及びCoは、PbTe系熱電変換材料の融点910℃より十分に高い融点(1000℃以上)を有し、後述する実施例での実施結果から、yFe(1−y)Coは、PbTe 1−x に対して化学的に安定であることが確認されている。また、yFe(1−y)Coを含む電極材料は、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高いため、電極2a、2bを形成する材料として好適であると言える。
電極材料2a、2bは、PbTe系熱電変換材料に対して化学的に安定で、電気抵抗が低ければ、Fe、及びCo以外の元素を含むこともできるが、Fe及びCoを主成分とすることが好ましい。また、電極材料2a、2bとしては、特に制限はなく、公知の製造方法で製造されたものや市販品を用いることができ、粉末状、箔状、板状等の状態に加工されたものを用いることができる。
図2は、本発明の一実施形態の熱電変換モジュール100の構成例を示す図である。熱電変換モジュール100は、熱電変換素子20と熱電変換素子30の2つの熱電変換素子と、上部にこれら2つの熱電変換素子を架け渡すように配される1つの上部接合電極13と、熱電変換素子20及び熱電変換素子30の下部にそれぞれ配される下部接合電極14、14’とを含む。図2に示すように熱電変換モジュール100は全体がπ型の形状とされる。
上部接合電極13及び下部接合電極14、14’は、前述の接合電極に相当する。これらの上部接合電極13及び下部接合電極14、14’には、電気的、熱的な伝導性の良い材料が使用される。例えばCuなどが使われる。その厚さは、機械的な強度も考慮して、例えば1mm程度である。また、熱電変換素子20は、図1の熱電変換素子10と同様、熱電変換材料11が2つの電極12a、12bで挟持された構成とされ、熱電変換素子30も熱電変換材料11’が2つの電極12a’、12b’で挟持された構成とされる。
熱電変換モジュール100においては、熱電変換素子20がP型熱電変換素子(電荷を運ぶキャリアが正孔)であるとともに、熱電変換素子30がN型熱電変換素子(電荷を運ぶキャリアが電子)である。上部接合電極13側を高温にし、下部接合電極14、14’側を低温にすると、下部接合電極14−14’間に電位差を生じさせる熱電発電モジュールとして利用することができる。また、熱電変換モジュール100においては、下部接合電極14’にプラス、下部接合電極14にマイナスの電圧を印加して、下部接合電極14’からモジュール中に電流を導入し、下部接合電極14から電流を送出させるように電圧を印加すると、上部接合電極13側では熱の吸収現象が発生し、下部接合電極14、14’側で放熱現象が発生して、上部接合電極13に接する対象の温度を低下させるペルチェ冷却モジュールとして利用することができる。
図1の熱電変換素子の製造方法について以下に説明する。本発明の熱電変換素子の製造方法は、(1)積層構造体形成工程と、(2)加熱工程とを含む。
(1)積層構造体形成工程は、熱電変換材料1と電極材料2a、2bとが積層された積層構造体を形成する工程である。積層構造体形成工程の実施方法としては、特に制限はなく、例えば、ペレット状に固めた熱電変換材料の上下両側に粉末状、箔状、板状等の電極材料を配する方法が挙げられる。なお、積層構造体形成工程の実施に際し、事前に熱電変換材料1を適当な加熱温度でアニール処理を行ってもよい。
(2)加熱工程は、積層構造体を加熱して熱電変換材料を焼結させるとともに熱電変換材料と電極材料とを接合させる工程である。加熱工程は、電極材料と接合された状態で焼結される熱電変換材料の密度を向上させる役割を有する。熱電変換材料(PbTe)の密度を向上させると、低い電気抵抗率が得られ、電気の良伝導体とすることができる。なお、低い電気抵抗率が得られる密度としては、PbTeの理論密度に対して90%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、98%以上が特に好ましい。
図3に積層構造体の焼結収縮曲線の一例を示す。この焼結収縮曲線は、熱電変換材料と電極材料とを積層させた状態で加熱し、積層構造体の長さが加熱温度によってどの程度収縮するかの測定結果を示したものである。図3に示すように、熱電変換材料を構成するPbTeは、電極材料を配した状態で100℃前後から収縮が始まり、粉末等の状態から焼結体に変わり始め、緻密化(密度の向上)が進む。したがって、加熱温度の下限としては、特に制限はないが、前記役割のため、100℃以上が好ましい。なお、加熱温度の上限としては、電極材料及びPbTeの融点よりも低い910℃以下である。
焼結体の製造方法として、外部からの圧力をかけずに焼成する常圧焼結法が広く知られており、一般に良く使用されている。この方法は、温度上昇(加熱)を駆動力として、材料を焼結させるとともに異種材料を接合させる工程である。加熱が焼結と接合を促進させるもっとも重要な駆動力である。また、加圧焼結法は、炭素化タングステンなどの難焼結体に対しては特に効果を有するが、PbTeは難焼結体ではないため、加圧焼結法は必須ではなく、焼結体と同様に常圧焼結法も適用可能である。加圧焼結法では、加熱とともに加圧が駆動力となり、焼結と接合を促進させる。駆動力が加熱だけでは足りない時に、加圧を行う。即ち、PbTeは外部からの圧力をかけないで、100℃以上、融点(910℃)以下の温度を駆動力として焼結と電極材料を接合させることが可能である。
前述の通り、焼結時の加圧は、前記熱電変換材料の密度を向上させる役割を有し、熱電変換材料を形成するうえで有利となる。即ち、PbTe系熱電変換材料の密度を向上させると、低い電気抵抗率が得られ、電気の良伝導体とすることができる。したがって、空隙が少なく高密度な熱電変換材料の焼結を実現するとともに、熱電変換材料と電極材料とを強固に接合させる観点から、加熱としては、加圧環境下で実施することが好ましく、10MPa以上の圧力をかけて実施することがより好ましい。なお、加圧加熱工程における圧力としては大きい程、PbTe焼結体の密度の向上が期待でき、更に、熱電変換材料と電極材料との接合が強固となることから、印加圧力の上限としては、特に制限はなく、例えば、一般的な加圧加熱装置の加圧限界である500MPa程度、コストなどを考慮すると200MPa程度である。
後述の実施例1に挙げた加熱温度及び圧力の数値範囲で、前記PbTeを焼結させると、PbTe系熱電変換材料の理論密度に対して、90%以上、更には95%以上、更には98%以上の密度を得ることができる。なお、加熱工程の実施方法としては、特に制限はなく、例えば、公知の加熱装置や加圧加熱装置中に積層構造体を配して、これを加熱や加圧加熱する方法が挙げられる。
<N型熱電変換素子の作製>
先ず、出発原料であるPb(7.4108g)、Te(4.5552g)、PbI2(0.033g)を石英管の中に真空封入し、1050℃で溶融させて、組成がPbTe0.9960.004のN型熱電変換材料の多結晶試料約12gを得た。なお、得られた多結晶試料の結晶構造は粉末X線回折により同定し、PbTe単相であることを確認した。次いで、グラファイト製の内径10mmの円柱状の型の中にて、得られたN型PbTe系熱電変換材料の粉末を、N型PbTe系熱電変換材料の融点より十分に高い融点(1000℃以上)を有し、電気抵抗率が低く、熱伝導率が高い20(%)Fe-80(%)Co粉末で両側から挟むように積層して、真空中(10-3Pa)、500℃、30MPa圧力印加、1時間保持の条件下で焼結操作を行った。ここで、20(%)Fe-80(%)Co粉末の混合には、メカニカルアロイング法を用いた。以上の結果、組成がPbTe0.9960.004、厚さ1.5〜2.2mmのN型熱電変換材料を、20(%)Fe-80(%)Coから成る厚さ0.3〜0.5mmの電極材料で挟持したN熱電変換素子を得た。
上記のようにして作製した20(%)Fe-80(%)Co粉末を電極に用いたN型熱電変換素子の両端に電圧を加えて、途中の電位をプローブで測定することで、図4に示すように素子内の電気抵抗分布を得て、その傾斜と素子断面積との積からN型熱電変換材料部分の電気抵抗率を得た。PbTe0.9960.004のN型熱電変換材料の電気抵抗率の2.53μΩmに対して、以上のようにして得られた20(%)Fe-80(%)Co粉末を電極に用いたN型熱電変換素子のN型PbTe系熱電変換材料部分の電気抵抗率は、図4に示すように、2.23μΩmとほとんど変化がなく、熱電変換材料と電極材料との間に、上記抵抗分布の不連続や勾配の異なる部分のない良好な接合が得られた。この結果は、後述する他の実施例と共に表4にまとめた。
なお、この熱電変換素子中の前記N型PbTe系熱電変換材料部分の密度を、乾式自動密度計(マイクロメリティクス社、アキュピックII 1340)を用いて測定したところ、8.1g・cm-3であった。これは、N型PbTe系熱電変換材料の理論密度8.2g・cm-3の99%に当たる。すなわち、N型PbTe系熱電変換材料PbTe0.9960.004においては、これを20(%)Fe-80(%)Coで挟むようにして積層焼結して得たN型PbTe系熱電変換素子において、熱電変換材料の抵抗増加を招くことなく、電極材料との間に高抵抗相を作ることなく、素子全体で抵抗の小さいN型熱電変換素子を得ることができた。
<P型熱電変換素子の作製>
出発原料であるPb(6.066g)、Te(3.891g)、Na(0.028g)、Mg(0.015g)を石英管の中に真空封入し、1050℃で溶融させて、組成がPb0.94Na0.04Mg0.02TeのP型PbTe系熱電変換材料の多結晶試料約10gを得た。なお、得られた多結晶試料の結晶構造は、粉末X線回折により同定し、PbTe単相であることを確認した。次いで、グラファイト製の内径10mmの円柱状の型の中にて、得られたP型PbTe系熱電変換材料の粉末を、Fe粉末で両側から挟むように積層して、真空中(10-3Pa)、500℃、30MPa圧力印加、1時間保持の条件下で焼結操作を行った。以上により、厚さ約2.2mmの前記P型PbTe系熱電変換材料が厚さ0.3mmのFe電極材料で挟持された構造の実施例1に係るP型熱電変換素子を製造できた。
P型PbTe系熱電変換材料単体の電気抵抗率の5.06μΩmに対して、以上のようにして得られたFe電極を持つP型熱電変換素子のP型PbTe系熱電変換材料の電気抵抗率は、5.04μΩmとほとんど変化がなく、また、熱電変換材料と電極材料との間に不連続や勾配の異なる部分のない良好な接合が得られた。
なお、この熱電変換素子中のP型PbTe系熱電変換材料部分の密度を、乾式自動密度計(マイクロメリティクス社、アキュピックII 1340)を用いて測定したところ、8.1g・cm-3であった。これは、P型PbTe系熱電変換材料の理論密度8.2g・cm-3の99%に当たる。すなわち、P型PbTe系熱電変換材料Pb0.94Na0.04Mg0.02Teにおいては、これをFeで挟むようにして積層焼結して得たP型PbTe系熱電変換素子において、熱電変換材料の抵抗増加を招くことなく、熱電変換材料と電極材料との間に高抵抗層を作ることなく、素子全体で抵抗の小さいP型熱電変換素子を得ることができた。
<熱電変換モジュールの作製>
以上により製造できたP型熱電変換素子と、およびN型熱電変換素子とを組み合わせて、熱電変換モジュールを作製した。図2の熱電変換モジュール100と同様に、P型熱電変換素子とN型熱電変換素子との2つの熱電変換素子と、上部にこれら2つの熱電変換素子を架け渡すように配される1つの上部接合電極と、P型熱電変換素子及びN型熱電変換素子の下部にそれぞれ配される下部接合電極とで構成され、全体がπ型の形状とした。上部接合電極及び下部接合電極は、前述の接合電極に相当する。ここでは、電気的・熱的に伝導性の良いCuを用い、機械的な強度を考慮して厚みを1mmとした。
本実施例では、以上のようにして作製したπ型の熱電変換モジュール8個を組み合わせた熱電変換モジュールを作製して、その性能を、以下に述べるようにして評価した。
<熱電変換特性の評価>
次に、熱電変換効率の測定装置を用い、所定の温度範囲(約400℃〜約600℃)において、実施例1に係る熱電変換モジュールの変換効率を測定した。測定では、真空中で熱電変換モジュールの上下の接合電極間に温度差を与えて、熱電変換モジュールの上下の接合電極間の温度、熱電変換モジュールから流出する熱流量、及び熱電変換モジュールに流れる電流、熱電変換モジュールの出力電圧、および起電力を精密に測定した。
測定装置において、実施例1に係る熱電変換モジュールに発生する起電力Pout、熱電変換モジュールの低温側の端部(低温側電極)から流出する熱量Qoutを精密に測定して、ヒーターから熱電変換モジュールの一端(高温側電極)に流入する熱量Qin(=Pout+Qout)を求めた。変換効率ηは、η=Pout/Qinから求めた。なお、熱量Qoutの測定には、低温側電極を冷却するCuブロックの上下の温度差を高精度に測定し、温度差とCuブロック熱容量の積から低温側電極に流入する熱量を算出する方法を用いた。
実施例1の熱電変換モジュールの測定結果を、下記の表1〜表3に示す。なお、表1は、真空中で、実施例1に係る熱電変換モジュールの上部(高温側電極)の温度が400℃、熱電変換モジュールのもう一方の下部(低温側電極)の温度が30℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示し、表2は、高温側電極の温度が500℃、低温側電極の温度が30℃の条件で測定を行った場合の測定結果を示し、表3は、高温側電極の温度が600℃、低温側電極の温度が30℃の測定条件で測定を行った場合の測定結果を示す。測定結果を得る際、実施例1に係る熱電変換モジュールの上下の電極における温度をそれぞれの電極の表面に接触させた温度測定用熱電対によって測定した。
Figure 0006708339
Figure 0006708339
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以上の通り、実施例1に係る熱電変換モジュールは、熱電変換素子の熱電変換材料と電極材料とが安定して接合可能で安定して製造可能であるとともに、所定の温度範囲(400℃〜600℃)において、高い熱電変換特性を有し、高温の環境で安定して使用可能な熱電変換モジュールとなり得ることが分かる。
20(%)Fe-80(%)Co粉末に代えて、FeとCoとを10:90、50:50、および80:20の割合で混合した粉末を用いたこと以外は実施例1と同様にして、PbTe0.9960.004で形成される熱電変換材料がFe-Co混合粉末電極材料で挟持された構造の実施例2に係る熱電変換素子を作製した。
厚さ約0.5mmの電極材料で厚さ約1.5mmの熱電変換材料を挟むように積層された熱電変換素子の両端に電圧を加えて、途中の電位をプローブで測定することで、素子内の電気抵抗分布を得て、その傾斜と素子断面積との積から得たN型熱電変換材料の電気抵抗率を、FeとCoの混合比10:90、50:50、および80:20の場合のそれぞれについて、求めることができた。
下記の表4に示すように、N型PbTe単体PbTe0.9960.004の電気抵抗率の2.53μΩmに対して、以上のようにして得られたFe-Co混合粉末を用いたN型熱電変換素子のN型PbTe系熱電変換材料の電気抵抗率はFe-Coの混合割合によって、わずかに変化したが、2.2〜2.9μΩmの範囲であった。すなわち、ヨウ素(I)を添加したN型PbTe系熱電変換材料においては、これをFe-Co混合粉末で挟むようにして積層焼結して得たN型PbTe系熱電変換素子においては、熱電変換材料の電気抵抗の変化は少なく、結果として素子全体で抵抗の変化の小さいN型熱電変換素子を得ることができた。
Figure 0006708339
<比較例>
20(%)Fe-80(%)Co粉末に代えてFe粉末および、Co粉末を用いたこと以外は実施例1および実施例2と同様にして、PbTe0.9960.004で形成される熱電変換材料が、これらのFe粉末、および、Co粉末で挟持された構造の比較例に係る熱電変換素子を製造することができた。
厚さ約0.5mmの電極材料で厚さ約1.5mmの熱電変換材料を挟むように積層された熱電変換素子の両端に電圧を加えて、途中の電位をプローブで測定することで、素子内部の抵抗分布を得て、その傾斜と素子断面積との積からN型熱電変換材料部分の抵抗率を得ることができた。N型PbTe系熱電変換材料単体の電気抵抗率の2.53μΩmに対して、Fe粉末を用いて電極を作った熱電変換素子のPbTe系熱電変換材料の電気抵抗率は、図5に示したように6.11μΩmと大きくなった。一方、Co粉末を用いた場合には、電変換素子のPbTe系熱電変換材料の電気抵抗率は、図6に示したように1.90μΩmと小さくなり、熱電変換材料の特性が所望の範囲から異なったものになったことが分かった。これらの結果は、他の実施例とともに表4にまとめた。
この結果、Iを添加したN型PbTe系熱電変換材料を用い、これを20(%)Fe-80(%)Co粉末に代えてFe粉末、および、Co粉末で挟むようにして積層焼結して得たN型PbTe系熱電変換素子においては、熱電変換材料の電気抵抗の増加、あるいは減少を招き、結果として素子全体で抵抗変化の小さいN型熱電変換素子を得ることができないため、性能の優れた熱電変換モジュールを形成することができなかった。
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明をした。しかし、本発明はこれらの実施形態に限られるものではない。さらに、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲で当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施できるものである。
本発明の熱電変換素子は、熱電変換モジュール(熱電発電モジュールまたはペルチェ冷却モジュール)として利用することができる。
1、11、11’ 熱電変換材料
2a、2b、12a、12b、12a’、12b’ 電極材料
10、20、30 熱電変換素子
13 上部接合電極
14、14’ 下部接合電極
100 熱電変換モジュール

Claims (5)

  1. yFe(1−y)Co(yは0.1〜0.8)を含む2つの電極材料で挟持されたN型PbTe1-x(I:ヨウ素、0<x≦0.006)を含む熱電変換材料を含み、
    前記熱電変換材料の電気抵抗率は、前記2つの電極材料で挟持されない場合の電気抵抗率の89〜113%の範囲にある、熱電変換素子。
  2. yFe(1−y)Co(yは0.1〜0.8)を含む2つの電極材料で挟持されたN型PbTe1-x(I:ヨウ素、0<x≦0.006)を含む熱電変換材料を含み、
    前記熱電変換材料の電気抵抗率は、前記2つの電極材料がCo単体の場合の電気抵抗率の118〜151%の範囲にある、熱電変換素子。
  3. yFe(1−y)Co(yは0.1〜0.8)を含む2つの電極材料で挟持されたN型PbTe1-x(I:ヨウ素、0<x≦0.006)を含む熱電変換材料を含み、
    前記熱電変換材料の電気抵抗率は、前記2つの電極材料がFe単体の場合の電気抵抗率の37〜47%の範囲にある、熱電変換素子。
  4. 請求項1〜のいずれか1項の前記熱電変換素子をN型熱電変換素子として含む、熱電変換モジュール。
  5. Feを含む2つの電極材料で挟持されたP型PbTeを含む熱電変換材料を含むP型熱電変換素子をさらに含む、請求項の熱電変換モジュール。
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