以下の各実施形態は、行動推定システム、情報端末の制御方法、プログラム及び行動推定方法に関し、特に需要家施設に出入りする推定対象者の行動を推定する行動推定システム、情報端末の制御方法、プログラム及び行動推定方法に関する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、以下の各実施形態に限定されることはなく、下記実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
(1)概要
本実施形態に係る行動推定システム1は、図1に示すように、第1取得部11と、第2取得部12と、第3取得部13と、推定部14とを備えている。
第1取得部11は、需要家施設2の開口部の施錠を行う電気錠3の状態の変化に関する情報D1を取得する。第2取得部12は、電気錠3の状態を変化させた個人を特定するための情報D2を取得する。第3取得部13は、需要家施設2における消費電力に関する情報D3を取得する。推定部14は、第1取得部11、第2取得部12及び第3取得部13で取得される情報D1,D2,D3に基づいて、推定対象者の行動を推定する。推定対象者は、第2取得部12で取得される情報D2から特定される個人である。
ここでいう需要家施設2は、電力の需要家の施設を意味しており、電力会社等の電気事業者から電力の供給を受ける施設だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から電力の供給を受ける施設も含む。以下では、戸建住宅を需要家施設2の一例として説明する。ここでいう需要家施設2の開口部とは、需要家施設2の内と外とを隔てる扉又は窓であって、例えば、玄関扉、勝手口又は窓などである。さらに、ここでいう電気錠3は、需要家施設2の開口部の施錠及び解錠を電気的に行うシステムである。電気錠3は、例えば鍵装置4との無線通信により施錠状態と解錠状態とが切替可能である。
また、第1取得部11が取得する電気錠3の状態の変化に関する情報D1は、例えば、電気錠3が操作されて電気錠3の状態(施錠状態及び解錠状態を含む)が変化したときに、電気錠3から出力される情報である。第2取得部12が取得する個人を特定するための情報D2は、例えば鍵装置4を用いて電気錠3を施錠又は解錠した個人の識別情報であって、例えば鍵装置4から出力される情報である。第3取得部13が取得する消費電力に関する情報D3は、例えば需要家施設2に設置されている電気負荷(電気機器及び電気設備)の消費電力の計測値であって、例えば計測装置5から出力される情報である。
要するに、行動推定システム1によれば、推定部14が、3種類の情報D1,D2,D3に基づいて、推定対象者の行動を推定する。推定対象者は、第2取得部12で取得される情報D2から特定される個人であるので、電気錠3の状態を変化させた個人、つまり電気錠3を施錠又は解錠した個人である。そのため、推定部14では、電気錠3を施錠又は解錠した個人を対象(推定対象者)とし、さらに電気錠3の状態の変化に関する情報D1、及び需要家施設2の消費電力に関する情報D3を用いて、推定対象者の行動を推定することができる。したがって、行動推定システム1では、例えば子供がいる家庭において、子供が帰宅したこと又は母親が外出したことなど、特定の人物の行動を推定することが可能になる。よって、行動推定システム1によれば、単に住人の在宅、留守、又は異常が判定される構成に比べて、対象者(推定対象者)の状況をより詳細に推定することができる。
(2)詳細
以下、本実施形態に係る行動推定システム1、情報端末6の制御方法、プログラム及び行動推定方法について詳しく説明する。
(2.1)構成
本実施形態に係る行動推定システム1は、図1に示すように、第1取得部11、第2取得部12、第3取得部13、推定部14、出力部15及び記憶部16を備えている。図1の例では、第1取得部11、第2取得部12、第3取得部13、推定部14、出力部15及び記憶部16は、サーバ101に設けられている。サーバ101は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを主構成としている。サーバ101は、ネットワーク21に接続されている。ネットワーク21には、需要家施設2に設けられているゲートウェイ7が接続されている。サーバ101は、需要家施設2のゲートウェイ7との間で、ネットワーク21を介して通信可能である。
需要家施設2には、ゲートウェイ7の他に、電気錠3、計測装置5、分電盤8、及び複数(図1の例では3つ)の個別回路91,92,93が設けられている。電気錠3及び計測装置5はゲートウェイ7に接続されている。さらに、電気錠3は、鍵装置4と通信可能に構成されている。電気錠3が鍵装置4との間で通信することにより、電気錠3の状態(施錠状態、解錠状態)が変化する。電気錠3、鍵装置4及び計測装置5は、行動推定システム1の構成要素ではない。ただし、電気錠3、鍵装置4及び計測装置5のうち少なくとも1つは、行動推定システム1の構成要素であってもよい。
電気錠3は、需要家施設2の開口部に設けられており、少なくとも施錠状態(閉まっている状態)と解錠状態(開いている状態)との2つの状態を切替可能である。電気錠3が鍵装置4との間で通信することにより、電気錠3の状態(施錠状態、解錠状態)が変化する。よって、需要家施設2の住人は、鍵装置4を用いて電気錠3の状態を変化させることが可能である。電気錠3は、電気錠3の状態の変化に関する情報D1を出力する。鍵装置4は、電気錠3の状態を変化させた個人を特定するための情報D2を出力する。電気錠3は、ゲートウェイ7に接続されている。
分電盤8は、主幹ブレーカ及び複数の分岐ブレーカを有しており、電源22から供給される電力を、複数の個別回路91,92,93に分配するように構成されている。複数の個別回路91,92,93は、需要家施設2を使用する複数の人に一対一で対応付けられている。
ここでいう複数の個別回路91,92,93の各々は、例えば分岐ブレーカの二次側端子に接続された複数の分岐回路の各々を単位とする回路である。つまり、複数の個別回路91,92,93の各々は1以上の分岐回路からなる。複数の分岐回路の各々には、分岐ブレーカの二次側端子に接続される配線路、配線器具(アウトレット、壁スイッチなど)、及び各種の電気負荷(照明器具、エアーコンディショナなど)が含まれている。例えば、需要家施設2を使用する人(住人)が父親、母親及び子供の三人家族である場合、複数の個別回路91,92,93は父親、母親及び子供にそれぞれ対応付けられる。この場合に、子供部屋の照明器具及びエアーコンディショナを含む個別回路は、子供に対応付けられる。
計測装置5は、分電盤8に付設されており、複数の個別回路91,92,93の各々について、消費電力を計測する。計測装置5は、消費電力の計測結果(計測値)を、需要家施設2における消費電力に関する情報D3として出力する。
以下では、電気錠3から出力される情報D1を「施解錠情報」と呼び、鍵装置4から出力される情報D2を「特定情報」と呼び、計測装置5から出力される情報D3を「電力情報」と呼ぶ。図1では、第1取得部11、第2取得部12、及び第3取得部13が、施解錠情報D1、特定情報D2及び電力情報D3をそれぞれ取得する様子を模式的に表している。
第1取得部11は、電気錠3から出力される施解錠情報D1を取得する。サーバ101と電気錠3との間には、ネットワーク21及びゲートウェイ7を含む通信経路が形成されている。そこで、第1取得部11は、ネットワーク21及びゲートウェイ7を介して、電気錠3から施解錠情報D1を取得する。第1取得部11は、電気錠3の施錠状態と解錠状態とが切り替わる度に、施解錠情報D1を電気錠3から取得するように構成される。第1取得部11は推定部14と電気的に接続されている。第1取得部11は、取得した施解錠情報D1を、推定部14に出力する。
第1取得部11が取得する施解錠情報D1は、電気錠3の状態の変化が、第1パターンと第2パターンとを含む、複数の変化パターンのいずれであるかを表す情報である。第1パターンは、電気錠3の施錠状態から解錠状態への変化を表すパターンである。第2パターンは、電気錠3の解錠状態から施錠状態への変化を表すパターンである。
第2取得部12は、鍵装置4から出力される特定情報D2を取得する。サーバ101と鍵装置4との間には、ネットワーク21、ゲートウェイ7及び電気錠3を含む通信経路が形成されている。そこで、第2取得部12は、ネットワーク21、ゲートウェイ7及び電気錠3を介して、鍵装置4から特定情報D2を取得する。第2取得部12は、電気錠3の施錠状態と解錠状態とが切り替わる度に、つまり第1取得部11が施解錠情報D1を電気錠3から取得する度に、鍵装置4から特定情報D2を取得するように構成される。第2取得部12は推定部14と電気的に接続されている。第2取得部12は、取得した特定情報D2を、推定部14に出力する。
第3取得部13は、計測装置5から出力される電力情報D3を取得する。サーバ101と計測装置5との間には、ネットワーク21及びゲートウェイ7を含む通信経路が形成されている。そこで、第3取得部13は、ネットワーク21及びゲートウェイ7を介して、計測装置5から電力情報D3を取得する。第3取得部13は、定期的に、計測装置5から電力情報D3を取得するように構成される。第3取得部13は推定部14と電気的に接続されている。第3取得部13は、取得した電力情報D3を、推定部14に出力する。
推定部14は、第1取得部11、第2取得部12及び第3取得部13で取得される情報(施解錠情報D1、特定情報D2及び電力情報D3)に基づいて、推定対象者の行動を推定する。このとき、推定部14は、特定情報D2から特定される個人を推定対象者として、推定対象者の行動を推定する。推定部14は、所定の推定条件を用いることにより、施解錠情報D1、特定情報D2及び電力情報D3に基づいて推定対象者の行動を推定する。推定部14にて推定可能な推定対象者の行動には、例えば推定対象者の帰宅、外出及び就寝などがある。
推定部14は、基本的な処理として、需要家施設2内に人が存在するか否かを判断する第1判断処理と、第1判断処理の判断結果を用いて、推定対象者の行動を判断する第2判断処理とを行う。第1判断処理は、第3取得部13が取得した電力情報D3に基づいて、推定部14が、需要家施設2内に人が存在するか否かを判断する処理である。推定部14は、例えば需要家施設2の消費電力が所定の閾値を超えていれば、需要家施設2内に人が存在すると判断し、需要家施設2の消費電力が閾値以下であれば、需要家施設2内に人が存在しないと判断する。第2判断処理は、第1判断処理の判断結果と、第1取得部11が取得した施解錠情報D1及び第2取得部12が取得した特定情報D2とに基づいて、推定部14が、推定対象者の特定及び行動の特定を行う処理である。推定部14における推定対象者の行動を推定するための具体的な処理については「(2.2)動作」の欄で説明する。推定部14は、推定結果(推定対象者の行動)を、出力部15へ出力する。
出力部15は、推定部14の推定結果を需要家施設2の住人に提示(報知)するように構成されている。ここでは、出力部15は、需要家施設2の住人が所持する情報端末6に、推定部14の推定結果を出力する。つまり、サーバ101は、ネットワーク21に接続されているので、出力部15は、ネットワーク21に接続された情報端末6に対して推定部14の推定結果を出力することができる。
ここにおいて、出力部15による推定部14の推定結果の出力先となる情報端末6は、予め登録可能である。具体的には、記憶部16には、出力先情報として、情報端末6に固有の識別情報(アドレス等)が記憶され、出力部15は、記憶部16に識別情報が記憶されている情報端末6に対して推定部14の推定結果の出力を行う。さらに、推定部14の推定結果の出力先としては、複数台の情報端末6が登録可能である。そのため、需要家施設2の複数の住人に一対一で対応付けられた複数台の情報端末6があれば、推定部14の推定結果は、これら複数台の情報端末6に対して出力可能となる。
本実施形態では、出力部15は、推定部14の推定結果の出力先となる複数台の情報端末6のうち、推定対象者以外の個人に対応する少なくとも1台の情報端末6に、推定部14の推定結果を出力するように構成されている。例えば、需要家施設2の住人が父親、母親及び子供の三人家族であって、推定対象者が子供である場合、出力部15は、父親及び母親の少なくとも一方の情報端末6に、推定部14の推定結果を出力する。
情報端末6は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等からなり、ネットワーク21を介してサーバ101と通信可能に構成されている。つまり、情報端末6は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを主構成としている。情報端末6は、サーバ101から推定部14の推定結果を取得(受信)し、推定部14の推定結果を表示することによって情報端末6を所持する住人へ提示する。情報端末6は、サーバ101からのプッシュ通知を受けて、推定部14の推定結果を取得する。情報端末6を所持する住人は、需要家施設2内にいるときだけでなく外出中であっても、推定部14の推定結果を確認することが可能である。
ここでは、情報端末6は表示部61を有している。情報端末6は、推定部14の推定結果を受信して、表示部61に表示させる画面を作成する。情報端末6は、作成した画面を表示部61に表示することにより、情報端末6を所持する住人に、推定部14の推定結果を提示する。
記憶部16には、推定部14が推定対象者の行動を推定する際に使用する推定条件が記憶されている。さらに記憶部16には、第1取得部11が電気錠3から取得した施解錠情報D1が、時系列に従って記憶される。ここで、記憶部16には、第2取得部12が鍵装置4から取得した特定情報D2が、施解錠情報D1に対応付けて記憶される。また、記憶部16には、第3取得部13が計測装置5から取得した電力情報D3が、時系列に従って記憶される。
本実施形態では一例として、ネットワーク21はインターネットである。電気錠3と鍵装置4との間の通信方式は、例えばBluetooth(登録商標)など、電波を媒体とした無線通信である。一方、電気錠3とゲートウェイ7との間の通信方式、及び計測装置5とゲートウェイ7との間の通信方式は、有線通信である。ただし、電気錠3と鍵装置4との間の通信方式、電気錠3とゲートウェイ7との間の通信方式、及び計測装置5とゲートウェイ7との間の通信方式は、無線通信、有線通信を問わず適宜の通信方式でよい。
さらに、ゲートウェイ7は、HEMS(Home Energy Management System)コントローラであって、電力情報D3をモニタに表示したり、電力情報D3に基づいて(HEMS対応)機器を制御したりする。ゲートウェイ7は、プロセッサ及びメモリを有するコンピュータを主構成としている。また、ゲートウェイ7は、ルータなどのネットワーク機器を介してネットワーク21に接続されていてもよい。
以下、電気錠3、鍵装置4及び計測装置5の各々の構成について、図2を参照しながらさらに詳しく説明する。図2では、第1取得部11、第2取得部12、及び第3取得部13が、施解錠情報D1、特定情報D2及び電力情報D3をそれぞれ取得する様子を模式的に表している。図2においては、第1取得部11、第2取得部12、第3取得部13、電気錠3、鍵装置4及び計測装置5以外の図示を省略している。
電気錠3は、検知部31と、(第1の)制御部32と、駆動部33と、(第1の)通信インタフェース(以下、インタフェースを「I/F」と表記する)34と、(第1の)無線I/F35とを有している。
検知部31は、電気錠3が施錠状態にあるときと解錠状態にあるときとで、電気的な状態(例えば接点のオン/オフ)が変化するセンサである。制御部32は、検知部31の電気的な状態の変化に基づいて施解錠情報D1を生成する。制御部32は、例えば検知部31の出力電圧が所定の判定閾値未満から、判定閾値以上へと変化することによって、電気錠3が施錠状態から解錠状態に変化したと判定して施解錠情報D1を生成する。電気錠3が施錠状態から解錠状態に変化したときには、制御部32は、電気錠3の状態の変化が第1パターンであることを表す施解錠情報D1を生成する。電気錠3が解錠状態から施錠状態に変化したときには、制御部32は、電気錠3の状態の変化が第2パターンであることを表す施解錠情報D1を生成する。
ただし、推定部14での行動の推定に用いられるのは、施解錠情報D1のうち、特定情報D2と一緒に得られる情報のみである。ここでは、特定情報D2は鍵装置4から出力される情報である。そのため、需要家施設2の住人が鍵装置4を用いて電気錠3の状態を変化させた場合にのみ、推定部14での行動の推定に必要な施解錠情報D1が生成されることになる。そこで、本実施形態では、鍵装置4によって電気錠3の状態が変化した場合にのみ、制御部32が施解錠情報D1を生成する。
例えば、電気錠3の仕様によっては、電気錠3が施錠状態から解錠状態に変化した後、一定時間以内に電気錠3が自動的に施錠されることがある。また、需要家施設2の住人によっては、在宅中は電気錠3を常に施錠していることもある。これらの場合においては、例えば需要家施設2の住人が帰宅した際、電気錠3が施錠状態から解錠状態に変化した後、すぐに電気錠3が施錠されることになるが、このときの施錠には鍵装置4が用いられない。そのため、制御部32は施解錠情報D1の生成を行わない。これにより、電気錠3が施錠状態から解錠状態に変化した後、鍵装置4を用いずに電気錠3が施錠されても、施解錠情報D1における電気錠3の状態は解錠状態のままとなる。
さらに、制御部32は、駆動部33を制御して、施錠状態と解錠状態とを切り替えるように電気錠3を駆動する。通信I/F34は、ゲートウェイ7との通信機能を有している。無線I/F35は、鍵装置4との無線通信機能を有している。
したがって、電気錠3の状態の変化に関する施解錠情報D1は、制御部32にて生成され、通信I/F34からゲートウェイ7を介してサーバ101に送信される。これにより、第1取得部11では、施解錠情報D1を取得可能になる。
鍵装置4は、メモリ41と、(第2の)制御部42と、(第2の)無線I/F43とを有している。鍵装置4は、例えばスマートフォン、又はICカード等からなり、需要家施設2の住人に所持される。需要家施設2の住人が複数人であれば、複数人の住人の各々が鍵装置4を所持する。
メモリ41には、鍵装置4に固有の識別情報(ID)が記憶されている。制御部42は、メモリ41から識別情報を読み出し、識別情報を基に特定情報D2を生成する。無線I/F43は、電気錠3の無線I/F35との無線通信機能を有している。需要家施設2の住人が鍵装置4を操作することで、鍵装置4と電気錠3との間で無線通信が行われ、鍵装置4から電気錠3に特定情報D2を含む操作信号が送信される。電気錠3にて特定情報D2の認証に成功すると、電気錠3の状態が変化する。
したがって、電気錠3の状態を変化させた個人を特定するための特定情報D2は、制御部42にて生成され、無線I/F43から電気錠3に送信され、さらに電気錠3からゲートウェイ7を介してサーバ101に送信(転送)される。これにより、第2取得部12では、特定情報D2を取得可能になる。
計測装置5は、計測部51と、(第3の)制御部52と、(第2の)通信I/F53とを有している。計測装置5は、分電盤8のキャビネット内に収納されている。
計測部51は、複数の分岐ブレーカの各々を流れる電流を計測する電流センサの出力を用いて、複数の分岐回路の各々について消費電力を計測する。電流センサとしては、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、貫通孔内を通過する電流に応じた出力を生じるロゴスキコイルが用いられる。また、電流センサは、例えばCT(Current Transformer)センサ、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、シャント抵抗などであってもよい。
制御部52は、計測部51による計測値(消費電力)を用いて、複数の個別回路91,92,93の各々についての消費電力を求める。制御部52は、複数の個別回路91,92,93の各々についての消費電力を基に、電力情報D3を生成する。通信I/F53は、ゲートウェイ7との通信機能を有している。
したがって、需要家施設2における消費電力に関する電力情報D3は、制御部52にて生成され、通信I/F53からゲートウェイ7を介してサーバ101に送信される。これにより、第3取得部13では、電力情報D3を取得可能になる。
(2.2)動作
次に、行動推定システム1の動作について、図3〜図6を参照して説明する。図3〜図6はいずれも、横軸を時間軸として、上から順に施解錠情報D1、電力情報D3、推定部14での行動の推定結果を表している。ここでは、施解錠情報D1として電気錠3が施錠状態と解錠状態とのいずれにあるかを示し、電力情報D3として消費電力をグラフ形式で示している。推定部14での行動の推定結果としては、推定対象者が検知対象となる行動をとったときにL(Low)レベルからH(High)レベルになる信号を示している。以下では、需要家施設2を使用する人(住人)が父親、母親及び子供の三人家族であって、このうちの子供が鍵装置4にて電気錠3を操作する場合、つまり推定対象者が子供である場合を例示する。
(2.2.1)帰宅の推定
まず、推定対象者の帰宅、つまり推定対象者が需要家施設2外から需要家施設2内へ移動したことを、推定対象者の行動として推定する場合の、行動推定システム1の動作について、図3を参照して説明する。図3では、子供(推定対象者)が時刻t1において帰宅した場合を例示する。
推定部14は、第1取得部11が第1パターンを表す施解錠情報D1を取得し、かつ第1監視期間T1に需要家施設2の消費電力が所定の閾値(第1閾値)P1を超えると、推定対象者が需要家施設2外から需要家施設2内へ移動したと推定する。ここでいう第1監視期間T1は、第1取得部11が第1パターンを表す施解錠情報D1を取得した時刻t1から所定時間(例えば10分)が経過した時刻t3までの期間である。
すなわち、時刻t1において子供が帰宅すると、子供が所持している鍵装置4によって電気錠3が操作されるため、時刻t1にて電気錠3の状態が施錠状態から解錠状態へと変化する。このとき、第1取得部11は、電気錠3の状態の変化が第1パターンであることを表す施解錠情報D1を取得する。さらに、第2取得部12は、電気錠3の状態を変化させた個人が子供であることを表す特定情報D2を取得する。
その後、子供が需要家施設2内へと移動して、需要家施設2内の電気機器を使用するため、時刻t1以降、需要家施設2の消費電力が上昇する。図3の例では、第1監視期間T1内の時刻t2にて需要家施設2の消費電力が第1閾値P1を超えるため、時刻t2において、推定部14は、子供(推定対象者)の行動として、帰宅という行動を検知する。つまり、推定部14は、子供が帰宅したと推定する。
出力部15は、子供が帰宅した、という推定部14の推定結果を、父親及び母親の少なくとも一方の所持する情報端末6に出力(送信)する。これにより、情報端末6を所持する父親及び母親の少なくとも一方は、子供が帰宅したことを知ることができる。
第1監視期間T1は、子供が帰宅したと推定部14が推定した時点(時刻t2)で終了してもよい。この場合、第1監視期間T1の時間の長さは可変長となる。
推定部14は、第1監視期間T1の開始時点から継続的に、需要家施設2の消費電力が第1閾値P1を超えるか否かを判断する構成に限らない。例えば、推定部14は、第1監視期間T1の終了時点において、需要家施設2の消費電力が第1閾値P1を超えるか否かを判断してもよい。この場合、第1監視期間T1の途中で需要家施設2の消費電力が第1閾値P1を超えても、第1監視期間T1の終了時点で、推定部14が帰宅という行動を推定する。又は、推定部14は、第1監視期間T1における消費電力の代表値(平均値、中央値、最頻値、最小値又は最大値)が第1閾値P1を超えるか否かを、第1監視期間T1の終了時点で判断してもよい。
(2.2.2)就寝の推定
次に、推定対象者の就寝を、推定対象者の行動として推定する場合の、行動推定システム1の動作について、図4を参照して説明する。図4では、時刻t1で帰宅した子供(推定対象者)が、時刻t4において就寝した場合を例示する。
推定部14は、推定対象者が需要家施設2外から需要家施設2内へ移動したとの推定後の第2監視期間T2に需要家施設2の消費電力が所定の閾値(第2閾値)P2以下になると、推定対象者が就寝したと推定する。ここでいう第2監視期間T2は、例えば第1監視期間T1が終了した時刻t3から所定時間(例えば6時間)が経過するまでの期間である。
すなわち、上記「(2.2.1)帰宅の推定」の欄で説明したように子供が帰宅したと推定された後、子供が需要家施設2内で活動するため、時刻t1以降、需要家施設2の消費電力が上昇する。その後、子供が就寝すると、各種電気負荷の電源がオフになるため、需要家施設2の消費電力が低下する。図4の例では、第2監視期間T2内の時刻t4にて需要家施設2の消費電力が第2閾値P2(=第1閾値P1)以下になるため、時刻t4において、推定部14は、子供(推定対象者)の行動として、就寝という行動を検知する。つまり、推定部14は、子供が就寝したと推定する。
出力部15は、子供が就寝した、という推定部14の推定結果を、父親及び母親の少なくとも一方の所持する情報端末6に出力(送信)する。これにより、情報端末6を所持する父親及び母親の少なくとも一方は、子供が就寝したことを知ることができる。
なお、第2監視期間T2は、第1監視期間T1の終了後の期間であればよく、例えば第1監視期間T1の終了後であって、かつ20時〜23時の期間、というように時間帯によって制限されていてもよい。
子供が帰宅したと推定部14が推定した時刻t2で第1監視期間T1が終了する場合には、時刻t2から第2監視期間T2が開始してもよい。また、第2監視期間T2は、子供が就寝したと推定部14が推定した時点(時刻t4)で終了してもよい。この場合、第2監視期間T2の時間の長さは可変長となる。
推定部14は、第2監視期間T2の開始時点から継続的に、需要家施設2の消費電力が第2閾値P2以下であるか否かを判断する構成に限らない。例えば、推定部14は、第2監視期間T2の終了時点において、需要家施設2の消費電力が第2閾値P2以下であるか否かを判断してもよい。この場合、第2監視期間T2の途中で需要家施設2の消費電力が第2閾値P2以下になっても、第2監視期間T2の終了時点で、推定部14が就寝という行動を推定する。又は、推定部14は、第2監視期間T2における消費電力の代表値(平均値、中央値、最頻値、最小値又は最大値)が第2閾値P2以下であるか否かを、第2監視期間T2の終了時点で判断してもよい。
(2.2.3)外出の推定
次に、推定対象者の外出、つまり推定対象者が需要家施設2内から需要家施設2外へ移動したことを、推定対象者の行動として推定する場合の、行動推定システム1の動作について、図5を参照して説明する。図5では、子供(推定対象者)が時刻t12において外出した場合を例示する。
推定部14は、第1取得部11が第2パターンを表す施解錠情報D1を取得し、かつ第3監視期間T3に需要家施設2の消費電力が所定の閾値(第3閾値)P3以下になると、推定対象者が需要家施設2内から需要家施設2外へ移動したと推定する。ここでいう第3監視期間T3は、第1取得部11が第2パターンを表す施解錠情報D1を取得した時刻t12から所定時間(例えば10分)が経過した時刻t13までの期間である。
すなわち、時刻t12において子供が外出すると、子供が所持している鍵装置4によって電気錠3が操作されるため、時刻t12にて電気錠3の状態が解錠状態から施錠状態へと変化する。このとき、第1取得部11は、電気錠3の状態の変化が第2パターンであることを表す施解錠情報D1を取得する。さらに、第2取得部12は、電気錠3の状態を変化させた個人が子供であることを表す特定情報D2を取得する。
また、この場合、子供が需要家施設2外へと移動するのに先立って、需要家施設2内の電気負荷の電源をオフにするので、需要家施設2の消費電力が低下する。図5の例では、時刻t12の直前の時刻t11にて需要家施設2の消費電力が第3閾値P3以下になるため、第3監視期間T3においても継続的に、需要家施設2の消費電力が第3閾値P3以下である。したがって、第3監視期間T3の終了時点である時刻t13において、推定部14は、子供(推定対象者)の行動として、外出という行動を検知する。つまり、推定部14は、子供が外出したと推定する。
出力部15は、子供が外出した、という推定部14の推定結果を、父親及び母親の少なくとも一方の所持する情報端末6に出力(送信)する。これにより、情報端末6を所持する父親及び母親の少なくとも一方は、子供が外出したことを知ることができる。
需要家施設2の消費電力が第3閾値P3以下であるか否かを推定部14にて判断するタイミングは、第3監視期間T3の終了時点に限らない。例えば、推定部14は、第3監視期間T3の開始時点から継続的に、需要家施設2の消費電力が第3閾値P3以下であるか否かを判断してもよい。この場合、第3監視期間T3の途中であっても、需要家施設2の消費電力が第3閾値P3以下になった時点で、推定部14が外出という行動を推定する。この場合には、第3監視期間T3は、外出という行動を推定部14が推定した時点で終了してもよい。又は、推定部14は、第3監視期間T3における消費電力の代表値(平均値、中央値、最頻値、最小値又は最大値)が第3閾値P3以下であるか否かを、第3監視期間T3の終了時点で判断してもよい。
(2.2.4)一時帰宅の推定
次に、推定対象者の一時帰宅を、推定対象者の行動として推定する場合の、行動推定システム1の動作について、図6を参照して説明する。ここでいう一時帰宅とは、外出した推定対象者が、例えば忘れ物を取るために、一旦帰宅してすぐに(例えば3分以内に)外出するような行動を意味する。図6では、子供(推定対象者)が時刻t21において一時帰宅した場合を例示する。
推定部14は、第1取得部11が第1パターンを表す情報と第2パターンを表す情報とを一定時間以内に取得した場合、第4監視期間T4における需要家施設2の消費電力に関する情報D3に基づいて、推定対象者が需要家施設2内に存在するか否かを推定する。ここでいう第4監視期間T4は、第1取得部11が第1パターンを表す情報及び第2パターンを表す情報の両方を取得し終えた時刻t22から所定時間(例えば10分)が経過した時刻t23までの期間である。
すなわち、時刻t21において子供が一時帰宅すると、子供が所持している鍵装置4によって電気錠3が操作されるため、時刻t21にて電気錠3の状態が施錠状態から解錠状態へと変化する。このとき、第1取得部11は、電気錠3の状態の変化が第1パターンであることを表す施解錠情報D1を取得する。さらに、第2取得部12は、電気錠3の状態を変化させた個人が子供であることを表す特定情報D2を取得する。
その後、時刻t22において子供が外出すると、子供が所持している鍵装置4によって電気錠3が操作されるため、時刻t22にて電気錠3の状態が解錠状態から施錠状態へと変化する。このとき、第1取得部11は、電気錠3の状態の変化が第2パターンであることを表す施解錠情報D1を取得する。さらに、第2取得部12は、電気錠3の状態を変化させた個人が子供であることを表す特定情報D2を取得する。
ここで、子供が帰宅してから外出するまで(時刻t21から時刻t22まで)の時間が一定時間(例えば3分)以内であれば、第1取得部11は、第1パターンを表す施解錠情報D1と第2パターンを表す施解錠情報D1とを一定時間以内に取得することになる。そして、図6の例では、第1取得部11が、最後に施解錠情報D1(第2パターンを表す施解錠情報D1)を取得した時刻t22以降、需要家施設2の消費電力の大きな上昇はない。そのため、第4監視期間T4においては、需要家施設2の消費電力が所定の閾値(第4閾値)P4を超えることはない。したがって、推定部14は、第4監視期間T4における需要家施設2の消費電力に関する情報に基づいて、推定対象者が需要家施設2内に存在しないと推定する。
結果的に、第4監視期間T4の終点となる時刻t23において、推定部14は、子供(推定対象者)の行動として、一時帰宅という行動を検知する。つまり、推定部14は、子供が一時帰宅した(一旦帰宅してすぐに外出した)と推定する。
出力部15は、子供が一時帰宅した、という推定部14の推定結果を、父親及び母親の少なくとも一方の所持する情報端末6に出力(送信)する。これにより、情報端末6を所持する父親及び母親の少なくとも一方は、子供が一時帰宅したことを知ることができる。
ここで、推定部14が、上記「(2.2.1)帰宅の推定」の欄で説明した帰宅の推定も行う場合、出力部15は、帰宅の通知後に一時帰宅を通知してもよいし、帰宅と一時帰宅とを択一的に選択して通知してもよい。前者の場合、出力部15は、推定部14が帰宅と推定した時点で、推定対象者が帰宅した、という推定結果を出力し、その後、推定部14が一時帰宅と推定した時点で、推定対象者が一時帰宅した、という推定結果を出力する。これにより、推定対象者の帰宅後、推定対象者の帰宅が情報端末6に通知されるまでの時間を短縮できる。一方、後者の場合、出力部15は、推定部14が帰宅と推定した時点では推定結果を出力せず、第4監視期間T4が経過して、一時帰宅か否かが判明した時点で、推定対象者が帰宅した、又は一時帰宅した、という推定結果を出力する。
需要家施設2の消費電力が第4閾値P4以下であるか否かを推定部14にて判断するタイミングは、第4監視期間T4の終了時点に限らない。例えば、推定部14は、第4監視期間T4の開始時点から継続的に、需要家施設2の消費電力が第4閾値P4以下であるか否かを判断してもよい。この場合、第4監視期間T4の途中であっても、需要家施設2の消費電力が第4閾値P4以下になった時点で、推定部14が一時帰宅という行動を推定する。この場合には、第4監視期間T4は、推定対象者が一時帰宅したと推定部14が推定した時点で終了してもよい。又は、推定部14は、第4監視期間T4における消費電力の代表値(平均値、中央値、最頻値、最小値又は最大値)が第4閾値P4以下であるか否かを、第4監視期間T4の終了時点で判断してもよい。
また、行動推定システム1は、推定対象者の一時外出についても、一時帰宅と同様の手順で検知(推定)することができる。ここでいう一時外出とは、推定対象者が、例えばゴミ出しのために、一旦外出してすぐに(例えば3分以内に)帰宅するような行動を意味する。この場合、第1取得部11は、第2パターンを表す施解錠情報D1と第1パターンを表す施解錠情報D1とを一定時間以内に取得することになる。そして、第1取得部11が、最後に施解錠情報D1(第1パターンを表す施解錠情報D1)を取得した時刻以降は、需要家施設2の消費電力は大きくなる。したがって、推定部14は、第4監視期間T4における需要家施設2の消費電力に関する情報に基づいて、推定対象者が需要家施設2内に存在すると推定する。結果的に、第4監視期間T4の終点において、推定部14は、推定対象者の行動として、一時外出という行動を検知する。つまり、推定部14は、推定対象者が一時外出した(一旦外出してすぐに帰宅した)と推定する。
ここで、推定部14が、上記「(2.2.3)外出の推定」の欄で説明した外出の推定も行う場合、出力部15は、外出の通知後に一時外出を通知してもよいし、外出と一時外出とを択一的に選択して通知してもよい。この点は、一時帰宅の場合と同様である。
(2.2.5)在宅又は不在の推定
推定部14は、推定対象者が需要家施設2内に存在する在宅状態と、推定対象者が需要家施設2内に存在しない不在状態とを、推定対象者の行動として推定してもよい。つまり、推定部14は、推定対象者が帰宅したとの推定後、推定対象者が在宅状態にあると推定する。推定部14は、推定対象者が外出したとの推定後、推定対象者が不在状態にあると推定する。また、推定部14は、推定対象者が一時帰宅したとの推定後、推定対象者が不在状態にあると推定する。推定部14は、推定対象者が一時外出したとの推定後、推定対象者が在宅状態にあると推定する。
ここにおいて、推定対象者が一時帰宅したと推定される場合には、推定部14は、推定対象者が一時帰宅する前の推定結果(つまり不在状態)を、継続させてもよい。要するに、推定対象者が一時帰宅した場合、推定部14は、推定対象者の帰宅前から外出後にかけて、継続的に不在状態と推定する。同様に、推定対象者が一時外出したと推定される場合にも、推定部14は、推定対象者が一時外出する前の推定結果(つまり在宅状態)を、継続させてもよい。要するに、推定対象者が一時外出した場合、推定部14は、推定対象者の外出前から帰宅後にかけて、継続的に在宅状態と推定する。
(2.2.6)その他
また、第3取得部13は、複数の個別回路91,92,93の各々について、消費電力に関する情報(電力情報D3)を取得してもよい。この場合、推定部14は、第3取得部13で取得される電力情報D3のうち、推定対象者に対応する個別回路の消費電力に関する情報に基づいて、推定対象者の行動を推定するように構成される。これにより、例えば、需要家施設2の住人が父親、母親及び子供の三人家族であって、推定対象者が子供である場合、推定部14は、電力情報D3のうち、子供に対応する個別回路の消費電力に関する情報に基づいて、子供の行動を推定する。
なお、第1閾値P1、第2閾値P2、第3閾値P3及び第4閾値P4は、同じ値であってもよいし、異なる値であってもよい。第1監視期間T1、第3監視期間T3及び第4監視期間T4は、時間の長さが同じであってもよいし、異なっていてもよい。
(2.3)方法及びプログラム
以下の行動推定方法を採用することで、専用のサーバ101等を用いなくても、本実施形態の行動推定システム1と同等の機能を実現できる。
すなわち、行動推定方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、第4ステップとを有している。第1ステップは、需要家施設2の開口部の施錠を行う電気錠3の状態の変化に関する情報(施解錠情報D1)を取得するステップである。第2ステップは、電気錠3の状態を変化させた個人を特定するための情報(特定情報D2)を取得するステップである。第3ステップは、需要家施設2における消費電力に関する情報(電力情報D3)を取得するステップである。第4ステップは、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップで取得される情報に基づいて、第2ステップで取得される情報から特定される個人である推定対象者の行動を推定するステップである。
また、所定のプログラムによれば、上記行動推定方法を、コンピュータに実行させることができる。言い換えれば、ここでいうプログラムは、行動推定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。つまり、上記行動推定方法は、第1ステップ、第2ステップ、第3ステップ及び第4ステップを、コンピュータに行わせる方法である。プログラムは、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよいが、この例に限らず、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよい。
次に、行動推定システム1に用いられて出力部15から推定部14の推定結果を受信する情報端末6の制御方法について説明する。すなわち、情報端末6の制御方法は、推定部14の推定結果を受信するステップ(受信ステップ)と、推定部14の推定結果を情報端末6の表示部61に表示させるステップ(表示ステップ)とを有する。これにより、情報端末6は、推定部14の推定結果を受信して、表示部61の表示によって情報端末6を所持する住人に、推定部14の推定結果を提示することができる。
また、情報端末6の制御方法は、推定対象者へ連絡するための情報を表示部61に表示させるステップ(連絡ステップ)をさらに有することが好ましい。例えば、情報端末6は、推定対象者の所持する携帯電話機に発呼するためのアイコン、又は推定対象者の所持する携帯電話機の電話番号などを表示部61に表示する。これにより、情報端末6を所持する住人は、容易に推定対象者に連絡をとることが可能である。表示部61に表示される、推定対象者へ連絡するための情報は、例えば「お帰り」、「おやつがあります」等の定型のメッセージを送信するためのアイコンでもよい。ただし、情報端末6は、推定対象者へ連絡するための情報を表示部61に表示させるにとどめ、情報端末6を所持する住人の操作をトリガにして推定対象者への連絡を実行することが好ましい。これにより、推定対象者においては、情報端末6を所持する住人が通知を見たということを、確認することができる。
情報端末6は、専用のアプリケーションソフトをインストールし、このアプリケーションソフトを起動することにより、上記制御方法によって制御される。つまり、所定のプログラムによれば、上記情報端末6の制御方法を、コンピュータに実行させることができる。言い換えれば、ここでいうプログラムは、情報端末6の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。情報端末6の制御方法は、受信ステップ、表示ステップ及び連絡ステップを、コンピュータに行わせる方法である。プログラムは、コンピュータのメモリに予め記録されていてもよいが、この例に限らず、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、メモリカードなどの記録媒体に記録されて提供されてもよい。
(3)効果
以上説明した行動推定システム1によれば、推定部14が、3種類の情報D1,D2,D3に基づいて、推定対象者の行動を推定する。推定対象者は、第2取得部12で取得される特定情報D2から特定される個人であるので、電気錠3の状態を変化させた個人、つまり電気錠3を施錠又は解錠した個人である。そのため、推定部14では、電気錠3を施錠又は解錠した個人を対象(推定対象者)とし、さらに電気錠3の状態の変化に関する施解錠情報D1、及び需要家施設2の消費電力に関する電力情報D3を用いて、推定対象者の行動を推定することができる。したがって、行動推定システム1では、例えば子供がいる家庭において、子供が帰宅したこと又は母親が外出したことなど、特定の人物の行動を推定することが可能になる。よって、行動推定システム1によれば、単に住人の在宅、留守、又は異常が判定される構成に比べて、対象者(推定対象者)の状況をより詳細に推定することができる、という利点がある。
また、行動推定システム1では、第3取得部13が取得した電力情報D3に基づいて、推定部14が、需要家施設2内に人が存在するか否かを判断するので、推定対象者が需要家施設2内に存在するか否かの推定が可能である。そのため、例えば電気錠3と鍵装置4との間の通信方式がBluetooth(登録商標)などである場合に、行動推定システム1はとくに有用である。すなわち、このような場合、施解錠情報D1だけでは、電気錠3が需要家施設2内から操作されたのか需要家施設2外から操作されたのかを判別できないことがある。推定部14では、施解錠情報D1と電力情報D3とを組み合わせることで、推定対象者が需要家施設2へ入ったのか需要家施設2から出たのかを精度よく推定できる。
また、本実施形態のように、第1取得部11が取得する情報D1は、電気錠3の状態の変化が、第1パターンと第2パターンとを含む、複数の変化パターンのいずれであるかを表す情報であることが好ましい。第1パターンは、電気錠3の施錠状態から解錠状態への変化を表すパターンである。第2パターンは、電気錠3の解錠状態から施錠状態への変化を表すパターンである。この構成によれば、第1取得部11が取得する情報D1から、電気錠3の施錠状態から解錠状態への変化と、電気錠3の解錠状態から施錠状態への変化とを、推定部14が区別可能である。したがって、推定部14での推定対象者の行動の推定精度が向上する。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、適宜省略されてもよい。
また、本実施形態のように、推定部14は、第1取得部11が第1パターンを表す情報D1を取得し、かつ第1監視期間に需要家施設2の消費電力が所定の閾値を超えると、推定対象者が需要家施設2外から需要家施設2内へ移動したと推定することが好ましい。ここでいう第1監視期間は、第1パターンを表す情報D1の取得時点から所定時間が経過するまでの期間である。この構成によれば、推定部14は、推定対象者の帰宅、つまり推定対象者が需要家施設2外から需要家施設2内へ移動したことを、推定対象者の行動として推定することができる。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、推定対象者の帰宅を推定対象者の行動として推定する機能は、適宜省略されてもよい。
この場合、本実施形態のように、推定部14は、第2監視期間に需要家施設2の消費電力が所定の閾値以下になると、推定対象者が就寝したと推定するように構成されていることが好ましい。ここでいう第2監視期間は、推定対象者が需要家施設2外から需要家施設2内へ移動したとの推定後の期間である。この構成によれば、推定部14は、推定対象者の就寝を、推定対象者の行動として推定することができる。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、推定対象者の就寝を推定対象者の行動として推定する機能は、適宜省略されてもよい。
また、本実施形態のように、推定部14は、第1取得部11が第2パターンを表す情報を取得し、かつ第3監視期間に需要家施設2の消費電力が所定の閾値以下になると、推定対象者が需要家施設2内から需要家施設2外へ移動したと推定することが好ましい。ここでいう第3監視期間は、第2パターンを表す情報D1の取得時点から所定時間が経過するまでの期間である。この構成によれば、推定部14は、推定対象者の外出、つまり推定対象者が需要家施設2内から需要家施設2外へ移動したことを、推定対象者の行動として推定することができる。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、推定対象者の外出を推定対象者の行動として推定する機能は、適宜省略されてもよい。
推定部14は、第1取得部11が第1パターンを表す情報と第2パターンを表す情報D1とを一定時間以内に取得した場合、第4監視期間の需要家施設2の消費電力に関する情報D3に基づいて、推定対象者が需要家施設2内に存在するか否かを推定してもよい。ここでいう第4監視期間は、第1パターンを表す情報及び第2パターンを表す情報の取得時点から所定時間が経過するまでの期間である。この構成によれば、推定部14は、推定対象者の一時帰宅及び一次外出を、推定対象者の行動として推定することができる。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、推定対象者の一時帰宅及び一次外出を推定対象者の行動として推定する機能は、適宜省略されてもよい。
また、本実施形態のように、第3取得部13は、需要家施設2を使用する複数の人に一対一で対応付けられた複数の個別回路91,92,93の各々について、消費電力に関する情報D3を取得することが好ましい。この場合に、推定部14は、第3取得部13で取得される情報D3のうち、推定対象者に対応する個別回路の消費電力に関する情報に基づいて、推定対象者の行動を推定することが好ましい。この構成によれば、推定部14では、電気錠3を操作した個人だけでなく、需要家施設2内で電気負荷を使用している個人までも特定することができるので、推定対象者の行動の推定精度が向上する。例えば、複数の住人が時間間隔を空けて帰宅するような場合でも、推定部14は、最初に帰宅した個人と2番目に帰宅した個人とを区別して、それぞれの行動を推定することができる。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、第3取得部13は、複数の個別回路91,92,93ごとではなく、需要家施設2全体での消費電力に関する情報D3を取得してもよい。
また、本実施形態のように、行動推定システム1は、推定部14の推定結果を出力する出力部15をさらに備えることが好ましい。この構成によれば、推定部14の推定結果が、例えば情報端末6にて確認可能になる。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、出力部15は適宜省略されてもよい。
この場合、本実施形態のように、出力部15は、需要家施設2を使用する複数の人に一対一で対応付けられた複数台の情報端末6のうち、推定対象者以外の個人に対応する少なくとも1台の情報端末6に、推定部14の推定結果を出力することが好ましい。この構成によれば、推定部14で推定された推定対象者の行動が、推定対象者自身ではなく、推定対象者以外の個人に通知されるので、例えば子供の帰宅を外出中の母親に通知することが可能になる。ただし、この構成は行動推定システム1に必須の構成ではなく、出力部15は推定対象者に対応する情報端末6に、推定部14の推定結果を出力してもよい。
また、本実施形態のように、行動推定システム1に用いられて出力部15から推定部14の推定結果を受信する情報端末6の制御方法は、受信ステップと、表示ステップとを有することが好ましい。受信ステップは、推定部14の推定結果を受信するステップである。表示ステップは、推定部14の推定結果を情報端末6の表示部61に表示させるステップである。この方法によれば、情報端末6は、推定部14の推定結果を受信して、表示部61の表示によって情報端末6を所持する住人に、推定部14の推定結果を提示することができる。
この場合、情報端末6の制御方法は、推定対象者へ連絡するための情報を表示部61に表示させるステップをさらに有することが好ましい。この方法によれば、情報端末6を所持する住人は、容易に推定対象者に連絡をとることが可能である。
また、行動推定方法は、第1ステップと、第2ステップと、第3ステップと、第4ステップとを有している。第1ステップは、需要家施設2の開口部の施錠を行う電気錠3の状態の変化に関する情報D1を取得するステップである。第2ステップは、電気錠3の状態を変化させた個人を特定するための情報D2を取得するステップである。第3ステップは、需要家施設2における消費電力に関する情報D3を取得するステップである。第4ステップは、第1ステップ、第2ステップ及び第3ステップで取得される情報に基づいて、第2ステップで取得される情報から特定される個人である推定対象者の行動を推定するステップである。この方法によれば、専用のサーバ101等を用いなくても、対象者(推定対象者)の状況をより詳細に推定することができる、という利点がある。
(4)変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。
図7に示す変形例では、施解錠情報D1及び特定情報D2の経路が実施形態1と相違する。すなわち、図7に示す変形例では、電気錠3がゲートウェイ7に接続されていない。また、鍵装置4が、例えばスマートフォンであってネットワーク21に接続されている。この変形例では、サーバ101と鍵装置4との間には、ネットワーク21によって通信経路が形成されている。そこで、第2取得部12は、ネットワーク21を介して、鍵装置4から特定情報D2を取得する。さらに、サーバ101と電気錠3との間には、ネットワーク21及び鍵装置4を含む通信経路が形成されている。そこで、第1取得部11は、ネットワーク21及び鍵装置4を介して、電気錠3から施解錠情報D1を取得する。つまり、サーバ101は、施解錠情報D1及び特定情報D2を、鍵装置4から取得することになる。なお、図7では、第1取得部11、第2取得部12、及び第3取得部13が、施解錠情報D1、特定情報D2及び電力情報D3をそれぞれ取得する様子を模式的に表している。
また、行動推定システム1は、サーバ101などの単体の装置に限らず、ネットワークを介して接続された複数の装置によって実現されてもよく、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
また、第3取得部13が取得する電力情報D3は、需要家施設2の消費電力に関する情報であればよく、消費電力(瞬時値)に限らず、例えば消費電力を一定時間(例えば1分間)積算した消費電力量を表す情報であってもよい。また、第3取得部13が取得する電力情報D3は、負荷での電力消費の有/無、つまり負荷の電源オン/オフを表す情報であってもよい。
また、推定部14は、需要家施設2の消費電力と閾値との大小比較によって、推定対象者の行動を推定する構成に限らず、例えば時間経過に伴う消費電力の変化パターンなどに基づいて、推定対象者の行動を推定してもよい。この場合、例えば推定対象者が夜間に帰宅して需要家施設2内の照明器具を点灯させてすぐに外出すれば、推定対象者の外出後に消費電力の変化が殆どないことから、推定部14は帰宅ではなく一時帰宅と推定できる。
また、推定部14は、少なくとも第1取得部11、第2取得部12及び第3取得部13で取得される情報(D1,D2,D3)に基づいて、推定対象者の行動を推定する機能を有していればよく、これらの情報(D1,D2,D3)以外の情報を用いてもよい。例えば、推定部14は、需要家施設2の住人の家族構成、又は過去の行動パターン等をさらに用いることにより、行動の推定精度を高めることができる。
また、実施形態1では、需要家施設2が戸建住宅である場合について説明したが、これに限らず、需要家施設2は、例えば集合住宅の各住戸、事務所、店舗、工場などであってもよい。
電気錠3の状態を検知する検知部31は、電気錠3とは別に設けられていてもよい。この場合、第1取得部11は、検知部31から施解錠情報D1を取得する。電気錠3と別体の検知部31は、例えばサムターンの位置に基づいて電気錠3の施錠状態と解錠状態とを区別する構成であってもよいし、電気錠3の機能を流用して施解錠情報D1を出力する構成であってもよい。
また、実施形態1では、一の需要家施設2について説明したが、ネットワーク21には、複数の需要家施設2のゲートウェイ7が接続されていてもよい。この場合、行動推定システム1は、複数の需要家施設2の各々について、推定対象者の行動を推定する。
また、実施形態1では、第1取得部11は、電気錠3の施錠状態と解錠状態とが切り替わる度に、施解錠情報D1を電気錠3から取得しているが、この構成に限らず、例えば第1取得部11は、定期的に施解錠情報D1を取得してもよい。
また、出力部15は、推定部14の推定結果をリアルタイムで出力する構成に限らず、推定部14の推定結果を記憶部16に記憶し、情報端末6からの要求を受けて、当該要求への返信として推定部14の推定結果を出力してもよい。
また、第1取得部11が取得する施解錠情報D1は、電気錠3の状態の変化を複数の変化パターンのいずれであるかを表す情報であればよく、電気錠3の状態の変化パターンは、第1パターン及び第2パターンの2つのパターンに限らない。例えば、電気錠3の施錠状態から解錠状態への変化を表すパターンには、需要家施設2内から電気錠3が操作されたことを表すパターンと、需要家施設2外から電気錠3が操作されたことを表すパターンとがあってもよい。同様に、電気錠3の解錠状態から施錠状態への変化を表すパターンには、需要家施設2内から電気錠3が操作されたことを表すパターンと、需要家施設2外から電気錠3が操作されたことを表すパターンとがあってもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る行動推定システム1Aは、図8に示すように、需要家施設2Aに設けられた装置(ゲートウェイ7A)にて構成されている点で、実施形態1に記載の行動推定システム1と相違する。本実施形態では、実施形態1と同様の構成については、実施形態1で用いた符号に「A」を付加した符号を付し、適宜説明を省略する。
本実施形態において、第1取得部11A、第2取得部12A、第3取得部13A、推定部14A、出力部15A及び記憶部16Aは、ゲートウェイ7Aに設けられている。ゲートウェイ7Aは、インターネットなどのネットワークに接続されていてもよいし、接続されていなくてもよい。
本実施形態では、施解錠情報D1、特定情報D2及び電力情報D3の経路が実施形態1と相違する。すなわち、ゲートウェイ7Aには電気錠3A及び計測装置5Aが接続されている。そのため、第1取得部11Aは、電気錠3Aから施解錠情報D1を直接的に取得する。第3取得部13Aは、計測装置5Aから電力情報D3を直接的に取得する。また、ゲートウェイ7Aと鍵装置4Aとの間には、電気錠3Aを含む通信経路が形成されている。そこで、第2取得部12Aは、電気錠3Aを介して、鍵装置4Aから特定情報D2を取得する。なお、図8では、第1取得部11A、第2取得部12A、及び第3取得部13Aが、施解錠情報D1、特定情報D2及び電力情報D3をそれぞれ取得する様子を模式的に表している。
出力部15Aは、ゲートウェイ7Aに接続されたモニタなどに、情報端末6Aに推定部14Aの推定結果を出力する。また、ゲートウェイ7Aがインターネットなどのネットワークに接続されている場合、出力部15Aは、ネットワークを介して、情報端末6Aに推定部14Aの推定結果を出力してもよい。
以上説明した本実施形態の行動推定システム1Aによれば、スタンドアローンのシステムを構築できるので、需要家施設2Aの情報が需要家施設2Aの外部に漏れにくいという利点がある。
なお、実施形態1で説明した構成(変形例を含む)と実施形態2で説明した構成とは、互いに組み合わせて適用可能である。実施形態1で説明した情報端末6の制御方法、プログラム及び行動推定方法についても、実施形態2で説明した技術と組み合わせて適用可能である。すなわち、実施形態2の行動推定システム1Aは、コンピュータに所定のプログラムを実行させることにより実現可能である。また、実施形態2の行動推定システム1Aは、所定の行動推定方法によって推定対象者の行動を推定する。