(実施形態1)
(1.1)全体概要
本実施形態に係る開閉制御装置10は、図1に示すように、生成部11と制御部12と判定部13と記憶部14とを備える。
生成部11は、複数の分岐回路4(図2参照、分岐回路48を除く)に流れる電流をそれぞれ計測する複数の電流センサ31(図2参照)の、所定の期間T1(図3参照)における計測結果を用いて第1の情報を生成する。制御部12は、複数の分岐回路4への電力の供給をそれぞれ接点100の開極により停止する複数の開閉器32(図2参照)を制御する。判定部13は、複数の開閉器32の各々が地震の発生時に開極すべきか否かを第1の情報に基づいて判定する。記憶部14は、判定部13の判定結果である第2の情報を記憶する。記憶部14の第2の情報は、一定の時間が経過する度に更新される。
制御部12は、地震の発生を示す信号を受信すると、記憶部14の第2の情報に基づいて、複数の開閉器32のうち開極すべき開閉器32に開極させるための制御信号S2を送信する。又は、制御部12は、地震の発生を示す信号を受信すると、記憶部14の第2の情報に基づいて、開閉器32を識別するための識別情報を外部へ出力する。
ここにおいて「複数の分岐回路4」とは、図2に示すように、需要家施設(consumer's facility)200内で、例えば商用電源のような交流電源に接続された電力線50から供給される電力が分岐される回路である。なお、「需要家施設200」は、電力の需要家の施設を意味しており、例として住宅(戸建住宅、集合住宅)、オフィスビル、商業施設、ホテル、病院、工場、及び学校などが挙げられる。ここでいう電力とは、電力会社等の電気事業者から供給される電力だけでなく、太陽光発電設備等の自家発電設備から供給される電力であってもよい。また、「地震の感知」とは所定の震度(例えば震度5)以上の地震を検知することを意味する。
また、ここにおいて「開閉器32」は、遮断器(ブレーカ)であってもよいし、リレーであってもよい。さらに、「接点100の開極」とは、各開閉器32自身が有する接点100を開極することを意味する。
また「制御信号S2を送信する、又は、識別情報を外部へ出力する」とは、地震の感知後に直ちに開極すべき開閉器32を開極するように制御するか、利便性も考慮して直ちに開極するのではなく開閉器32の識別情報を外部へ出力することを意味する。「識別情報を外部へ出力する」場合、外部(例えば報知器、表示端末)は、需要家が「開極すべき開閉器32」を特定できるように、受け取った識別情報を予め登録されている名称(例えば「リビングの電源コンセント」)に置き換えて通知することが好ましい。
この開閉制御装置10によれば、判定部13は、複数の開閉器32の各々が地震の発生時に開極すべきか否かを第1の情報(電流センサ31の計測結果)に基づいて判定し、第2の情報(判定結果)は、一定の時間が経過する度に更新される。つまり、判定部13は、地震の発生を示す信号を受信したことをトリガーとして電力の供給を停止すべき分岐回路4の判定を行うのではなく、一定の時間が経過する度に判定を行なっている。そして、制御部12は、地震の発生を示す信号を受信したときには、記憶部14に予め記憶されている第2の情報(判定結果)に応じて、制御信号S2を送信する、又は、識別情報を外部へ出力する。
したがって、早急に電力供給を停止させる必要がなく、停止させると不便になってしまう電気負荷8(照明器具、冷蔵庫など)が接続される分岐回路48に、単に電流センサを設置しないことで、分岐回路48に対応する第1の情報も第2の情報も生成されない。その結果、地震の発生時にこの種の電気負荷8への給電を継続させることができ、利用者の利便性を向上させることができる。さらに、地震を感知した瞬間における電流の電流値を用いて判定を行なっていた従来の技術に比べて、接点100を開極すべき開閉器32の選定精度を向上させることができる。特に、電気負荷8が電気暖房器具の場合、例えば需要家施設200(住宅)のリビングの壁付け電源コンセント(分岐回路4)に接続されていた電気負荷8を、住人が寝室へ移動させて寝室の電源コンセント(別の分岐回路4)に接続する可能性がある。しかし、第2の情報(判定結果)は、一定の時間が経過する度に更新されるので、接点100を開極すべき開閉器32の選定精度を向上させることができる。
なお、本実施形態では「所定の期間T1における計測結果」は、例えば1週間分の計測結果を想定しているが、特に限定されるものではない。例えば1日分の計測結果でもよいし、1ヶ月分の計測結果でもよい。
さらに、本実施形態では「一定の時間」は24時間を想定しているが、特に限定されるものではない。例えば所定の期間T1が1週間の場合、第2の情報は、所定の期間T1と同じ1週間が経過する度に更新されてもよい。
この開閉制御装置10において、開閉器32は、制御信号S2を受信すると、複数の分岐回路4のうち当該開閉器32が設けられている分岐回路4への電力の供給を開極により停止することが好ましい。この構成によれば、対象となる分岐回路4に接続された電気負荷8に対する電力の供給を停止することができる。
この開閉制御装置10において、第1の情報は、電流実効値であることが好ましい。この構成によれば、電流実効値のデータ量が比較的少ないという点に起因して、記憶部14が第2の情報だけでなく第1の情報も長期間(例えば一週間)記憶する場合でも、大容量の記憶部14を必要とせず、記憶部14に掛かるコストを抑えることができる。また、生成部11は、電流センサ31の計測結果だけを用いて第1の情報を生成することができるため、開閉制御装置10は、複雑な演算機能を有する必要がなく、装置全体としてのコストを抑えることができる。
この開閉制御装置10において、第1の情報は、力率であり、判定部13は、力率が所定の範囲内にあるか否かに基づいて、複数の開閉器32の各々が地震の発生時に開極すべきか否かを判定することが好ましい。この構成によれば、電気負荷8が電熱器(例えば電気暖房器具、電気アイロン、電気コンロなどを含む)の場合、さらに選定精度を向上させることができる。なお、この場合、開閉制御装置10、又は外部装置(後述の計測ユニット6)が、電流センサ31から得られる電流値に加えて電圧値も検出して力率を演算する機能を有することが好ましい。
本実施形態に係る開閉制御システム1は、図2に示すように、開閉制御装置10と感震センサ2と分電盤3とを備える。感震センサ2は、地震を感知すると地震の発生を示す信号(センサ信号S1)を開閉制御装置10に送信する。分電盤3は、複数の電流センサ31及び複数の開閉器32を備え、主幹回路となる電力線(導電体36)からの電力を複数の分岐回路4に分配する。この開閉制御システム1によれば、感震センサ2で地震を感知することができ、分電盤3の(分岐)開閉器32を通じて分岐回路4への電力供給を停止させることができる。また、開閉制御装置10を備えることで、利用者の利便性を向上させることができ、さらに、地震を感知した瞬間における電流の電流値を用いて判定を行なっていた従来の技術に比べて、接点100を開極すべき開閉器32の選定精度を向上させることができる。
ここにおいて、分電盤3の「複数の電流センサ31」は、全ての分岐回路4に対して電流を計測するように配置されることに限定されない。具体的には、図2に示すように、例えば8個の分岐回路4のうち7個の分岐回路4にだけそれぞれ一対一で対応するように、7個の電流センサ31が付設されていてもよい。つまり、電流センサ31の数と分岐回路4の数は一致していなくてもよい。
本実施形態に係る分電盤3は、開閉制御システム1に用いられ、さらに、複数の電流センサ31及び複数の開閉器32を収納するキャビネット33を備える。この分電盤3によれば、利用者の利便性を向上させることができる開閉制御システム1のための分電盤として提供することができる。さらに、開閉器32の選定精度を向上させることができる開閉制御システム1のための分電盤として提供することができる。
(1.2)詳細説明
(1.2.1)全体構成
以下、本実施形態に係る開閉制御システム1について詳しく説明する。ただし、以下に説明する構成は、本発明の一例に過ぎず、本発明は、下記実施形態に限定されることはなく、この実施形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態に係る開閉制御システム1は、図2に示すように、例えば(電力の)需要家施設200に設けられた、開閉制御装置10と感震センサ2と分電盤3とを備える。さらに開閉制御システム1は、表示端末9(図1参照)を備える。以下、需要家施設200を戸建住宅と想定して説明する。したがって、利用者を住人とよぶこともある。ただし、既述の通り、需要家施設200は、集合住宅、オフィスビル、商業施設、ホテル、病院、工場、又は学校などであってもよい。なお、開閉制御装置10の構成については、次の「(1.2.2)開閉制御装置の構成」の欄で詳しく説明する。
分電盤3は、図2に示すように、主幹側の開閉器(以下、主幹開閉器)35と、複数の開閉器321〜328(以下、分岐開閉器321〜328)と、第1及び第2のセンサユニット37,38と、導電体36と、キャビネット33と、を備える。さらに、分電盤3は、計測ユニット6を備える。キャビネット33は、主幹開閉器35と、複数の分岐開閉器321〜328と、第1及び第2のセンサユニット37,38と、導電体36と、計測ユニット6と、を収納する。なお、図2には、分電盤3のキャビネット33内に、開閉制御装置10及び感震センサ2も収納されている構成が図示されているがこの限りではない。すなわち、開閉制御装置10及び感震センサ2のいずれか一方、又は両方がキャビネット33外に設置されていてもよい。
分電盤3は、例えば単相三線式の配電方式の場合、図2に示すように、第1電圧線(L1相)51と第2電圧線(L2相)52と中性線(N相)53とを有する電力線50に電気的に接続される。具体的には、主幹開閉器35の一次側端子には、商用電源のような交流電源(図示せず)に電気的に接続された電力線50が電気的に接続されている。また、主幹開閉器35の二次側端子には、主幹回路となる導電体36が電気的に接続されている。ここでは、導電体36は、帯状に形成された金属板からなる導電バーによって構成されている。なお、図2では1本の導電体36として図示されているが、実際には導電体36は、第1電圧線51、第2電圧線52及び中性線53にそれぞれ電気的に接続された、L1相、L2相及びN相の3極の導電バーを備える。
そして、分電盤3は、導電体36からの交流電力を複数(本実施形態では8つ)の分岐回路41〜48に分配する。なお、以下では、複数の分岐回路41〜48をとくに区別しない場合には、複数の分岐回路41〜48の各々を「分岐回路4」ともいう。分岐回路41〜44は、(導電バーを介して)第1電圧線51と第2電圧線52との一方及び中性線53に電気的に接続されている。また、分岐回路45〜48は、(導電バーを介して)第1電圧線51及び第2電圧線52に電気的に接続されている。第1電圧線51又は第2電圧線52と、中性線53との間の電圧が100〔V〕(実効値)であるとすれば、分岐回路41〜44には100〔V〕が印加され、分岐回路45〜48には200〔V〕が印加されることになる。
本実施形態では、一例として、図2に示すように複数の分岐回路41〜48に、壁付けの電源コンセント(図示せず)を介して、又は、直接的に複数の電気負荷81〜88がそれぞれ一対一に接続されている。また、複数の電気負荷81〜88の一部は、壁付けの電源コンセントに取り外し可能な状態で取り付けられるプラグ付き電源コンセント(タップコンセント)を介して、対応する分岐回路4に接続されていてもよい。
本実施形態では、一例として、複数の電気負荷81〜87が、エアコン、テレビ、洗濯機及び電熱器(例えば電気暖房器具、電気アイロン、電気コンロなどを含む)などである。また、電気負荷88が、照明器具又は冷蔵庫などの地震の発生後に早急に電力供給を停止させる必要がなく、停止させると逆に不便になってしまう電気負荷である。以下では、複数の電気負荷81〜88をとくに区別しない場合には、複数の電気負荷81〜88の各々を「電気負荷8」ともいう。
なお、複数の分岐回路41〜48に複数の電気負荷81〜88がそれぞれ一対一に接続されることは開閉制御システム1に必須の構成ではなく、たとえば各分岐回路4に2つ以上の電気負荷8が接続されていてもよい。
複数の分岐開閉器321〜328の各々は、導電体36と、対応する分岐回路4との間に電気的に接続されている。以下では、複数の分岐開閉器321〜328をとくに区別しない場合には、複数の分岐開閉器321〜328の各々を「分岐開閉器32」ともいう。
本実施形態では、複数の分岐開閉器321〜328は、内部に接点101〜108(図2参照)をそれぞれ有し、例えば遠隔制御によって接点の開閉が可能なリモコンブレーカ、あるいはリモコンリレーによって構成されている。以下では、接点101〜108をとくに区別しない場合には、接点101〜108の各々を「接点100」ともいう。
各分岐開閉器32には、個別の識別情報が割り当てられており、信号線90を介して開閉制御装置10と通信可能としている。各分岐開閉器32の識別情報は、開閉制御装置10の後述する記憶部14に予め記憶される。そして、分岐開閉器32は、開閉制御装置10から制御信号S2を受信することで自身の接点100を開極し、対応する分岐回路4への電力の供給を停止させる。なお、信号線90以外にも、分岐開閉器32は、例えば、導電体36を介してPLC(Power Line Communication:電力線搬送通信)方式で開閉制御装置10と通信を行うように構成されていてもよい。あるいは、無線通信モジュールが設けられ、分岐開閉器32は、開閉制御装置10と無線で通信を行うように構成されていてもよい。
図2における上段の第1のセンサユニット37は、複数の電流センサ311〜314を備え、下段の第2のセンサユニット38は、複数の電流センサ315〜317を備える。複数の電流センサ311〜317は、例えば、コアを用いない(コアレスの)空芯コイルからなり、貫通孔内を通過する電流に応じた出力(電気信号)を生じるロゴスキコイルである。そして、複数の電流センサ311〜317は、複数の分岐回路41〜47にそれぞれ流れる電流を計測するように、複数の分岐開閉器321〜327とそれぞれ一対一に対応して取り付けられている。すなわち、電流センサ311〜317の各々は、対応する分岐開閉器32と、導電体36との間に設置されている。以下では、複数の電流センサ311〜317をとくに区別しない場合には、複数の電流センサ311〜317の各々を「電流センサ31」ともいう。
なお、照明器具又は冷蔵庫などである電気負荷88が接続された分岐回路48には、電流センサは設けられていない。
第1及び第2のセンサユニット37,38の出力端子は、計測ユニット6に電気的に接続され、計測ユニット6は、第1及び第2のセンサユニット37,38から複数の電流センサ311〜317で計測された電流の計測結果を電気信号として取得する。
計測ユニット6は、図2に示すように、例えば各電流センサ31に対応する計測結果を当該電流センサ31の識別情報と対応付けて履歴情報として記憶する記憶部60を備える。なお、記憶部60は、電流センサ311〜317の識別情報と分岐開閉器321〜327の識別情報との対応関係を示すテーブルを予め記憶していてもよい。この場合、計測ユニット6は、当該テーブルを用いて対応する分岐開閉器32を特定し、その分岐開閉器32の識別情報と計測結果とを対応付けて履歴情報として記憶部60に記憶してもよい。
計測ユニット6は、さらに信号線91を介して開閉制御装置10と通信可能に構成される。そして、計測ユニット6は、予め決められた時間(例えば毎日深夜0時)になると、所定の期間分(例えば直近の1週間分)の計測結果と、電流センサ31又は分岐開閉器32の識別情報とを開閉制御装置10に送信する。
なお、計測ユニット6は、消費電力(瞬間値)、及び消費電力量などを演算する機能も有していてもよい。
分電盤3は、複数の電流センサ311〜317以外にも、主幹側の電流を計測するための一対の電流センサ(図示せず)を備える。当該一対の電流センサは、例えば、CT(Current Transformer)センサ、ホール素子、GMR(Giant Magnetic Resistances)素子等の磁気抵抗素子、又はシャント抵抗などであって、主幹開閉器35の一次側端子に接続された電力線50の第1電圧線51及び第2電圧線52に取り付けられている。なお、当該一対の電流センサで計測される電流値は、後述する開閉制御装置10の判定処理では用いられないため具体的な説明を省略する。
本実施形態では、上述のように、分岐回路41〜48の全てに対応するように、電流センサ31が設けられているのではなく、分岐回路48を除く分岐回路41〜47にのみ設けられている。つまり、分岐回路41〜48のうち、開閉制御装置10の判定処理を行うことなく地震の感知と同時に電力供給を停止する必要がないと人(例えば施工者)が予め判断する分岐回路48には、電流センサは設置されない。
感震センサ2は、所定の震度(例えば震度5)以上の地震を感知するように構成され、また、信号線92を介して開閉制御装置10と通信可能に構成されている。感震センサ2は、例えば地震によって発生する加速度を計測するために加速度センサを備えている。すなわち、感震センサ2は、加速度センサの計測結果が所定の震度の地震に相当する所定の基準値以上になると、所定の震度以上の地震が発生したと感知する。そして、感震センサ2は、地震を感知すると、信号線92を通じて地震の発生を示すセンサ信号S1(図1及び図2参照)を開閉制御装置10に送信する。なお、感震センサ2は、無線通信によりセンサ信号S1を開閉制御装置10に送信するように構成されてもよい。
また、感震センサ2は、例えばラジオ局などの放送局、あるいは携帯電話事業者が配信する気象庁の緊急地震速報を受信する機能を備えてもよい。この場合、感震センサ2は、緊急地震速報を受信すると、地震の発生を示すセンサ信号S1を開閉制御装置10に送信してもよい。
表示端末9は、例えば、需要家施設200の利用者(住人)によって管理されるスマートフォンやタブレット端末のような汎用の表示端末である。表示端末9は、ネットワーク7を介して後述する開閉制御装置10の通信部17と通信可能に構成されている。ただし、表示端末9が、需要家施設200内の壁などに取付けられるタイプである場合、有線により通信部17と通信可能に構成されていてもよい。この場合、表示端末9は、需要家施設200の住人の目に留まり易い場所(例えばリビング)に設置されていることが望ましい。なお、開閉制御システム1は、表示端末9を必ずしも備える必要はない。
(1.2.2)開閉制御装置の構成
次に、開閉制御装置10の構成について、図1〜3を参照して説明する。開閉制御装置10は、図1に示すように、生成部11と制御部12と判定部13と記憶部14とを備える。さらに開閉制御装置10は、図1に示すように、第1の受信部15と第2の受信部16と通信部17と操作部18とを備える。
第1の受信部15は、対応する分岐回路4に流れる電流を計測する各電流センサ31の、所定の期間T1(図3参照、例えば直近の1週間)における計測結果を、信号線91を通じて計測ユニット6より受信可能に構成されている。第1の受信部15は、計測結果以外にも、分岐開閉器32の識別情報又は電流センサ31の識別情報を計測ユニット6から受信する。なお、第1の受信部15は、無線通信により計測結果及び識別情報を受信可能に構成されてもよい。
生成部11は、第1の受信部15で受信された計測結果を用いて、第1の情報を生成する。そして、本実施形態では、第1の情報は電流実効値である。つまり、生成部11は、図3に示すように、所定の期間T1についての電流(計測結果)を用いて、電流の電流値(積算値)を算出する(図3の斜線部分)。そして、生成部11は、第1の情報である所定の期間T1における電流値(積算値)と、対応する分岐開閉器32の識別情報とが対応付けられたデータ(第1データ)を生成する。生成部11は、第1データの生成を、計測ユニット6から取得した分岐開閉器32の識別情報の全件数分(又は電流センサ31の識別情報の全件数分)繰り返し行う。
なお、計測ユニット6から受信する識別情報が電流センサ31の識別情報である場合には、記憶部14が電流センサ31の識別情報と分岐開閉器32の識別情報との対応関係を示すテーブルを予め記憶することが好ましい。この場合、生成部11は、記憶部14の当該テーブルを参照して対応する分岐開閉器32の識別情報を特定し、その分岐開閉器32の識別情報と第1の情報とが対応付けられた第1データを生成する。
判定部13は、各分岐開閉器32が地震の感知時に開極すべきか否かを第1の情報に基づいて判定する処理を行う(以下、「判定処理」という)。具体的には、判定部13は、所定の期間T1における電流値(積算値)が所定の基準値以上の場合に、当該電流値に対応付けられている分岐開閉器32を開極すべきと判定する。そして、判定部13は、判定結果として第2の情報を作成する。
本実施形態では、第2の情報とは、開極すべきか否かを示す判定値である。すなわち、判定部13は、判定値として、開極すべき(電流値が所定の基準値以上)と判定した場合には例えば「1」を、開極すべきではない(電流値が所定の基準値未満)と判定した場合には例えば「0」を設定する。判定部13は、判定値である第2の情報に、対応する分岐開閉器32の識別情報が対応付けられたデータ(第2データ)を生成する。そして、判定部13は、第2データの生成を、生成部11で生成された第1データの件数分だけ繰り返し行う。
ただし、判定部13は、第2データの生成を、生成部11で生成された第1データの件数分だけ行うのではなく、分電盤3内の全ての分岐開閉器321〜328に対して行ってもよい。この場合には、記憶部14が、分電盤3内の全ての分岐開閉器321〜328の識別情報を予め記憶していることが好ましい。
つまり、本実施形態の分岐回路48のように電流センサが設置されていない可能性もあり、そのような分岐回路4に関する電流の計測結果は当然、計測ユニット6から送信されず、分岐開閉器328に対応した第1データも生成されない。
そこで、第1データが存在しない分岐開閉器32について、判定部13が一括で判定値「0」を設定するように構成されていれば、分電盤3内の全ての分岐開閉器321〜328に対して第2データを生成することができる。
また、各分岐開閉器32に対して、操作部18(図1参照)を通じて手動で予め判定値「0」(又は「1」)を個別に設定できるように構成されていてもよい。判定部13は、記憶部14内に予め入力された判定値が記憶されている場合、当該判定値を優先させて第2データを生成してもよい。
なお、操作部18は、例えば操作指示を検知する液晶のタッチパネルで構成されたものであってもよいし、ボタン式スイッチ等で構成されたものであってもよい。
記憶部14は、判定部13で生成された第2データを記憶する。記憶部14は、生成部11で生成された第1データ、及び分電盤3内の全ての分岐開閉器321〜328の識別情報を記憶してもよい。また、記憶部14は、操作部18を通じて予め入力された判定値及び対応する分岐開閉器32の識別情報も記憶してもよい。本実施形態では、記憶部14の第1の情報及び第2の情報(つまり、第1データ及び第2データ)は、一定の時間(例えば24時間)が経過する度に更新される。ただし、第1の情報の記憶及び更新は必須ではない。
第2の受信部16は、図1に示すように、信号線92を通じて感震センサ2から地震の発生を示すセンサ信号S1を受信可能に構成されている。なお、第2の受信部16は、無線通信によりセンサ信号S1を受信可能に構成されてもよい。
制御部12は、第2の受信部16で感震センサ2からセンサ信号S1を受信すると、記憶部14内の第2データに基づいて、分岐開閉器321〜327のうち開極すべき分岐開閉器32に開極させるための制御信号S2を生成する。そして、制御部12は、信号線90を介して開極すべき分岐開閉器32に制御信号S2(図1及び図2参照)を送信する(以下、「制御信号を送信する」処理を「第1の処理」ともいう)。つまり、制御部12は、記憶部14内の第2データを参照し、判定値として「1」が設定される分岐開閉器32の識別情報を抽出し、抽出した識別情報を有する分岐開閉器32に対して第1の処理を行う。以下、「抽出した識別情報を有する分岐開閉器32」を単に「対象の分岐開閉器32」ともいう。
あるいは、制御部12は、センサ信号S1を受信すると、対象の分岐開閉器32の識別情報を外部へ出力してもよい(以下、「識別情報を外部へ出力する」処理を「第2の処理」ともいう)。この場合、識別情報は、通信部17を通じて開閉制御装置10外に設けられた機器に出力されて、当該機器により周囲に報知されることが好ましい。これは、利便性も考慮して直ちに対象の分岐開閉器32を開極させずに、この識別情報を外部の機器から例えば需要家施設200の住人に報知させることを意味する。本実施形態では、識別情報は、図1に示すように、通信部17を通じてメッセージの表示等を行う機能を有した表示端末9に出力される。
また、制御部12は、対象の分岐開閉器32に関して「第1の処理」と「第2の処理」の両方を同時に行ってもよい。つまり、制御部12は、例えば分岐開閉器321に対して制御信号S2を送信し、さらに同時に当該分岐開閉器321の識別情報を外部へ出力してもよい。これにより、需要家施設200の住人は、表示端末9を通じて、当該分岐開閉器321に制御信号S2が送信されたことも把握することができる。
なお、各分岐開閉器32に対して「第1の処理」、「第2の処理」及び「第1の処理及び第2の処理の両方」のうちいずれの処理が実行されるかについては、操作部18で予め個別に設定可能であることが好ましい。さらに開閉制御システム1が人感センサ(図示せず)を備え、当該人感センサから受信する需要家施設200の住人の在・不在を示す信号に基づいて、制御部12がいずれの処理を実行するかを自動的に判定するように構成されていてもよい。例えば、上記人感センサから不在を示す信号を受信すると、制御部12は、全ての対象の分岐開閉器32に「第1の処理」のみを一括して行なってもよい。
通信部17は、例えばルータを介してインターネットなどのネットワーク7に接続されている。通信部17は、制御部12からの出力(分岐開閉器32の識別情報)を、ネットワーク7を介して表示端末9へ送信する機能を有している。なお、表示端末9は、分岐開閉器32の識別情報(例えば回路番号1,2,3・・・)をそのまま表示するのではなく、例えば、予め登録されている分岐開閉器32に対応した名称「リビングの電源コンセント」「エアコン」「テレビ」等を表示することが望ましい。
なお、本実施形態の開閉制御装置10は、例えばマイコン(マイクロコンピュータ)を主構成とし、マイコンのメモリに記録されたプログラムをCPU(Central Processing Unit)で実行することにより、種々の機能を実現する。プログラムは、予めマイコンのメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。
さらに、開閉制御装置10の機能のうちの少なくとも一部(例えば生成部11の機能)が、クラウド(クラウドコンピューティング)のように分散して存在するコンピュータによって実現されてもよい。
また、本実施形態の開閉制御装置10の機能が、分電盤3の外部に設けられたHEMS(Home Energy Management System)コントローラによって実現されてもよい。
(1.2.3)開閉制御装置の通常時の動作説明
次に、開閉制御装置10の通常時の動作について、図4のフローチャートを用いて説明する。なお、この「通常時の動作」とは、第2の受信部16が感震センサ2からセンサ信号S1を受信していないときの動作を意味する。
まず、第1の受信部15が、計測ユニット6から所定の期間T1における計測結果を受信すると(ステップST1)、生成部11が上記計測結果を用いて、電流センサ311〜317にそれぞれ対応する全ての第1の情報を生成する(ステップST2)。さらに生成部11は、第1の情報に分岐開閉器32の識別情報が対応付けられた第1データの生成を、計測ユニット6から取得した分岐開閉器32の識別情報の全件数分繰り返し行う。
そして、判定部13は、各第1データ内の第1の情報、すなわち所定の期間T1における電流値が所定の基準値以上か否かを判定する(ステップST3)。電流値が所定の基準値以上であるとき(ステップST3:YES)、判定部13は、開極すべきと判定して第2の情報である判定値に「1」を設定する(ステップST4)。一方、電流値が所定の基準値未満であるとき(ステップST3:NO)、判定部13は、開極すべきでないと判定して第2の情報である判定値に「0」を設定する(ステップST5)。この判定処理(ステップST3)は、各第1データについて繰り返し行われる。
そして、「1」又は「0」が設定された判定値(第2の情報)は、分岐開閉器32の識別情報と対応付けられて第2データとして記憶部14に記憶される(ステップST6)。その後処理は最初に戻り、一定の時間(例えば24時間)が経過すると再び第1の受信部15が、計測ユニット6から所定の期間T1における計測結果を受信する(ステップST1)。
ここで、従来の技術では、感震センサからセンサ信号を受信してから各遮断スイッチについて遮断すべきか否か判定を行なっていた。つまり、地震が発生した瞬間において回路に流れている電流の電流値を所定の電流値と比較して遮断スイッチの選定を行なっていた。しかし、例えば図3に示すように、電気負荷8の種類によっては、普段の動作では電流値が所定の電流値を超えていても、感震センサからセンサ信号S1が出力されたときに電流値が偶然に低い場合がある。従来の技術では、このような電気負荷8への電力供給が停止されない恐れがあった。
これに対して本実施形態の開閉制御装置10は、従来の技術とは違って、センサ信号S1を受信していないときの、所定の期間T1における計測結果を用いて予め開極すべきか否かの判定を行なっている。つまり、上述したステップST1〜ST6の処理は、センサ信号S1の受信をトリガーとして行われているのではなく、地震の発生の有無に関わらず定期的に行われている。したがって、図3に示すようにセンサ信号S1が出力されたときに電流値が偶然に低くなる可能性のある電気負荷8に対しても、対応する開極すべき分岐開閉器32をより高い精度で選定することができる。
特に、本実施形態では、第1の情報が、所定の期間T1についての電流実効値(積算値)であるため、判定処理(ステップST3)の精度をより高くすることできる。さらに、電流実効値のデータ量が比較的少ないという点に起因して、記憶部14が第1の情報を長期間(例えば一週間)記憶する場合でも、大容量の記憶部14を必要とせず、記憶部14に掛かるコストを抑えることができる。
(1.2.4)開閉制御装置の地震発生時の動作説明
次に、開閉制御装置10の地震発生時の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
まず、感震センサ2が所定の震度(例えば震度5)以上の地震を感知すると(又は気象庁の緊急地震速報を受信すると)、開閉制御装置10の第2の受信部16は、感震センサ2からセンサ信号S1を受信する(ステップST11)。そして、制御部12は、センサ信号S1の受信をトリガーとして、記憶部14に記憶されている判定値(第2の情報)を読み込み、判定値として「1」が設定される分岐開閉器32を抽出する(ステップST12)。
さらに制御部12は、抽出された各分岐開閉器32に対して、「第1の処理」又は「第2の処理」のいずれの処理を実行するかを決定する(ステップST13)。なお、図5のフローチャートでは図示されていないが、「第1の処理及び第2の処理の両方を実行」も選択肢の1つとして含まれていてもよい。
制御部12は、「第1の処理」が決定された分岐開閉器32に対して、接点100を開極させるための制御信号S2を送信する(ステップST14)。そして、制御信号S2を受信した分岐開閉器32は、自身の接点100を開極することで、対象となる分岐回路4に接続された電気負荷8に対する電力の供給を停止する。
また制御部12は、「第2の処理」が決定された分岐開閉器32については、通信部17を介して当該分岐開閉器32の識別情報を表示端末9へ送信する(ステップST15)。需要家施設200の住人は、地震の発生後に、表示端末9に表示されたメッセージ等を通じて、(電力供給は停止されていないけれども)電力供給の停止が望ましいと開閉制御装置10によって判断された分岐回路4を把握することができる。メッセージを確認した需要家施設200の住人は、自身の判断で適宜に対処すればよい(例えば対応する分岐回路4に接続されている電気機器8の電源をオフするなど)。
このように、本実施形態の開閉制御装置10は、従来の技術とは違って、地震発生時には開極すべきか否かの判定処理を行なっていない。つまり、開閉制御装置10は、地震発生時には予め記憶されている判定値(第2の情報)に基づいて制御信号S2の送信又は識別情報の送信を行うのみである。
(1.3)効果
以上説明した本実施形態の開閉制御装置10によれば、早急に電力供給を停止させる必要がなく、停止させると逆に不便になってしまう電気負荷88(照明器具、冷蔵庫など)への給電を継続させることができる。つまり、電気負荷88が接続される分岐回路48に対して、単に予め電流センサを設置しないことで、分岐回路48に対応する第1の情報も第2の情報も生成されない。その結果、地震発生時に分岐回路48が給電停止の対象から除外され、利用者の利便性を向上させることができる。
さらに、地震を感知した瞬間における電流の電流値を用いて判定を行なっていた従来の技術に比べて、接点100を開極すべき(分岐)開閉器32の選定精度を向上させることができる。特に、電気負荷8が電気暖房器具等の場合、需要家施設200(住宅)のリビングの壁付け電源コンセント(分岐回路4)に接続されていた電気負荷8を、住人が寝室へ移動させて寝室の電源コンセント(別の分岐回路4)に接続する可能性がある。しかし、第2の情報(判定結果)は、一定の時間が経過する度に更新されるので、接点100を開極すべき(分岐)開閉器32の選定精度を向上させることができる。
また、この開閉制御装置10において、(分岐)開閉器32は、制御信号S2を受信すると、複数の分岐回路4のうち当該開閉器32が設けられている分岐回路4への電力の供給を開極により停止することが好ましい。この構成によれば、対象となる分岐回路4に接続された電気負荷8に対する電力の供給を停止することができる。
この開閉制御装置10において、第1の情報は、電流実効値であることが好ましい。この構成によれば、電流実効値のデータ量が比較的少ないという点に起因して、記憶部14が第2の情報だけでなく第1の情報も長期間(例えば一週間)記憶する場合でも、大容量の記憶部14を必要とせず、記憶部14に掛かるコストを抑えることができる。また、生成部11は、電流センサ31の計測結果だけを用いて第1の情報を生成することができるため、開閉制御装置10は、複雑な演算機能を有する必要がなく、装置全体としてのコストを抑えることができる。
また、以上説明した本実施形態の開閉制御システム1によれば、感震センサ2で地震を感知することができ、分電盤3の(分岐)開閉器32を通じて分岐回路4への電力供給を停止させることができる。また、開閉制御装置10を備えることで、利用者の利便性を向上させることができ、さらに、地震を感知した瞬間における電流の電流値を用いて判定を行なっていた従来の技術に比べて、接点100を開極すべき開閉器32の選定精度を向上させることができる。
また、以上説明した本実施形態の分電盤3によれば、利用者の利便性を向上させることができる開閉制御システム1のための分電盤として提供することができる。さらに、開閉器32の選定精度を向上させることができる開閉制御システム1のための分電盤として提供することができる。
(1.4)変形例1
以下に、実施形態1の開閉制御システム1の変形例1について、図6A及び6Bを参照して説明する。
上述した実施形態1(以下、基本例という)では、第1の情報が電流実効値(積算値)であった。これに対して本変形例は、第1の情報が力率である点で実施形態1の基本例と相違する。
図6Aは、電気負荷8が光源としてLED(Light-Emitting diode)を有し調光点灯制御可能な照明器具である場合における電流及び電圧の波形図を示す。図6Aからも分かるように、この種の電気負荷8は電圧(波形C1)よりも電流(波形C2)が遅れるため、電圧と電流との位相差が比較的大きい。したがって、電気負荷8が照明器具等の場合、対応する分岐回路4で計測される力率は低いことが予想される。
一方、図6Bは、電気負荷8が電熱器(例えば電気暖房器具、電気アイロン、電気コンロなどを含む)の場合における電流及び電圧の波形図を示す。図6Bからも分かるように、この種の電気負荷8は電圧(波形C3)に対して電流(波形C4)がほとんど遅れることがなく(図6Bではほぼ一致)、電圧と電流との位相差が非常に小さい。したがって、電気負荷8が電熱器の場合、対応する分岐回路4で計測される力率は高いことが予想される。
ところで、電気暖房器具のような電熱器は、地震の発生に起因して転倒すると火災が発生する恐れがある。近年では転倒と同時に自動的に電源をオフにする機能を有した電気負荷も普及されているが、周辺物が電熱器上に落下したり、カーテン等が接触したりすることも考慮すれば防ぎきれない場合もある。したがって、地震の発生時には、電熱器への給電を停止させるために、電熱器が接続されている分岐回路4に対応する分岐開閉器32を開極させることが望まれる。
そこで本変形例では、開閉制御装置10の生成部11は、所定の期間T1における計測結果を用いて、すなわち電流値に加えて電圧値を用いて力率(第1の情報)を演算する。開閉制御装置10の判定部13は、力率(第1の情報)が所定の範囲内(例えば0.8〜0.9の範囲内)にあるか否かに基づいて、分岐開閉器32の各々が地震の発生時に開極すべきか否かを判定する。具体的には、力率が所定の範囲内にある場合、開極すべきと判定して判定値に例えば「1」を設定し、力率が所定の範囲外にある場合、開極すべきではないと判定して判定値に例えば「0」を設定する。
この場合、計測ユニット6は、予め決められた時間(例えば毎日深夜0時)になると、所定の期間T1(直近の1週間)分の電流値に加えて電圧値を、電流センサ31(又は分岐開閉器32)の識別情報と一緒に開閉制御装置10の第1の受信部15に送信する。
なお、他の構成要素及び動作は、実施形態1の基本例と同じため説明を省略する。
以上説明した変形例1の構成によれば、電気負荷8が電熱器の場合、さらに選定精度を向上させることができる。特に、実施形態1の基本例では、照明器具などの電気負荷88が接続される分岐回路48には、給電停止の対象から除外するために電流センサが予め設置されていなかった。しかし、本変形例ではたとえ分岐回路48に電流センサが設置されていても、判定部13による判定処理の中で分岐回路48が給電停止の対象から除外される可能性が高くなる。
なお、開閉制御装置10の判定部13は、第1の情報として基本例の電流実効値(積算値)と変形例1の力率の両方を用いて、分岐開閉器32の各々が地震の発生時に開極すべきか否かを判定するように構成されてもよい。この場合、さらに選定精度を向上させることができる。
(1.5)変形例2
以下に、実施形態1の開閉制御システム1の変形例2について説明する。
実施形態1の基本例及び変形例1では、開閉制御装置10は、計測ユニット6を介して電流センサ31の所定の期間T1における計測結果を取得していた。つまり、計測ユニット6の記憶部60内で所定の期間T1における計測結果を記憶していた。
これに対して本変形例は、開閉制御装置10が直接第1のセンサユニット37及び第2のセンサユニット38に電気的に接続され、記憶部14が所定の期間T1における計測結果を記憶する。なお、他の構成要素及び動作は、実施形態1の基本例又は変形例1と同じため説明を省略する。
以上説明した変形例2の構成によれば、開閉制御システム1全体としての部品点数を減らすことができ、また分電盤3のキャビネット33内の配線を簡素化することができる。
(実施形態2)
(2.1)全体構成
以下、実施形態2に係る開閉制御システム1について、図7、8A及び8Bを用いて説明する。なお、実施形態1と同様の構成については共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態の開閉制御装置10Aは、第1の情報が電流波形の特徴量である点で実施形態1の開閉制御装置10と相違する。また本実施形態の判定部13は、電流波形の特徴量に基づいて複数の分岐回路4に接続されている電気負荷8の種類を推定し、推定結果に基づいて複数の開閉器32の各々が地震の発生時に開極すべきか否かを判定する点で実施形態1の判定部13と相違する。すなわち、本実施形態の判定部13は、図7に示すように、推定部130を備える。
(2.2)開閉制御装置の構成
以下、本実施形態の開閉制御装置10Aの構成について具体的に説明する。
開閉制御装置10Aの生成部11は、第1の受信部15で受信された計測結果を用いて第1の情報を生成する。そして、本実施形態では、第1の情報は電流波形の特徴量である。つまり、生成部11は、所定の期間T1についての電流(計測結果)を用いて、電流波形の特徴量を算出する。具体的には、生成部11は、まず所定の期間T1における電流波形を周波数成分に分解(フーリエ変換)する。
ここで、図8Aは、電気負荷8がLEDを有し調光点灯制御可能な照明器具における電流波形を周波数成分に分解して得られた、周波数と電流の振幅の関係を示すグラフの一例である。また、図8Bは、電気負荷8が電熱器(例えば電気暖房器具、電気アイロン、電気コンロなどを含む)における電流波形を周波数成分に分解して得られた、周波数と電流の振幅の関係を示すグラフの一例である。図8A及び8Bから、照明器具と電熱器とでは、2次以上(図中の点線より右側)の高調波成分の電流値の大きさ(振幅)が顕著に異なることが分かる。
この見地から、生成部11は、第1の情報として例えば2次以上の高調波成分の電流値の大きさ(振幅)の合計値を演算する。そして、生成部11は、第1の情報であるこの合計値と分岐開閉器32の識別情報とが対応付けられた第1データを生成する。
判定部13は、各分岐開閉器32が地震の発生時に開極すべきか否かを第1の情報に基づいて判定する処理を行う(「判定処理」)。
具体的には、まず判定部13の推定部130は、所定の期間における上記合計値が所定の閾値以上の場合に、分岐回路4に接続されている電気負荷8の種類を第1の種類と推定する。また、判定部13の推定部130は、所定の期間における上記合計値が所定の閾値未満の場合に、分岐回路4に接続されている電気負荷8の種類を第2の種類と推定する。
本実施形態では、第1の種類の電気負荷8が照明器具に相当し、第2の種類の電気負荷8が電熱器に相当する。ただし、2種類(第1の種類及び第2の種類)に限定されるものではなく、3種類以上の電気負荷を推定できるように閾値を複数段階で設定してもよい。
ここで、本実施形態の記憶部14は、第1の種類の電気負荷8に対応する判定値と第2の種類の電気負荷8に対応する判定値とを示すテーブルを予め記憶する。本実施形態の当該テーブルでは、第1の種類の電気負荷8(照明器具)の判定値に、開極すべきでないことを示す「0」が設定され、第2の種類の電気負荷8(電熱器)の判定値に、開極すべきであることを示す「1」が設定されている。当該テーブル内の判定値の変更は、例えば操作部18を通じて設定可能とする。
そして、判定部13は、推定部130の推定結果が「第1の種類」であるとき、記憶部14内に記憶される上記テーブルの「第1の種類」に対応した判定値「0」を、分岐開閉器32の判定値(第2の情報)に設定する。また、判定部13は、推定部130の推定結果が「第2の種類」であるとき、記憶部14内に記憶される上記テーブルの「第2の種類」に対応した判定値「1」を、分岐開閉器32の判定値(第2の情報)に設定する。判定部13は、判定値である第2の情報に、分岐開閉器32の識別情報が対応付けられた第2データを生成する。
なお、他の構成要素及び動作は、実施形態1と同じため説明を省略する。
(2.3)効果
以上説明した本実施形態の開閉制御装置10Aによれば、さらに接点100を開極すべき(分岐)開閉器32の選定精度を向上させることができる。特に、実施形態1の基本例では、照明器具などの電気負荷88が接続される分岐回路48には、給電停止の対象から除外するために電流センサが予め設置されていなかった。しかし、本実施形態ではたとえ分岐回路48に電流センサが設置されていても、推定部130の推定によって分岐回路48が給電停止の対象から除外される可能性が高くなる。