JP5108414B2 - 電力遮断装置 - Google Patents

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本発明は、宅内、或いは事業所内などへの電力引込み線(給電線)とフロア毎や部屋毎などの複数の各配電線との間に介在され、前記各配電線に対して個別に遮断器を備え、分電盤などとして実現される電力遮断装置に関する。
前記電力遮断装置には、従来から、過電流、漏電、中性線の浮きなどを検知して配電線による給電を遮断する遮断器が設けられている。特許文献1には、そのような電力遮断装置に、振動を検知する感震器と、該感震器によって所定の振動が検知されたとき、前記遮断器を遮断する制御手段とを設けることが開示されている。この構成によれば、地震などの災害時に電気ストーブなどへの通電を停止することで、火災などの2次災害を未然に防ぐことができるとされている。
特開2005−102498号公報
上述の従来技術は、電力遮断装置自身に設けた感震器によって実際の地震の主要動(S波)を検知してから遮断するものである。すなわち、実際の揺れが感知された後に、事後的に遮断動作を行わせるものである。従って、配電線を遮断した時点で既に電気ストーブが倒れていたり、余熱によって発火したりする可能性がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、現に災害事象が発生する前駆段階で、実際に遮断を要する配電線を的確に遮断できる電力遮断装置を提供することを目的とする。
本発明に係る電力遮断装置は、電力引込み線と複数の各配電線との間に介在され、前記各配電線に対して個別の遮断器を備える電力遮断装置において、前記各配電線の負荷を検出する負荷検出手段と、災害が発生する可能性があるときに発せられる警告情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段および負荷検出手段からの出力に応答し、前記情報取得手段で警告情報が取得されたとき、所定レベル以上の負荷が生じている配電線の遮断器を遮断する制御手段と、を含み、前記情報取得手段は、誤報であるとき、或いは災害が発生する可能性が解消したときに発生される復帰情報を取得可能とされ、前記制御手段は、前記情報取得手段が前記警告情報を取得後に前記復帰情報を取得したとき、前記警告情報に応じて遮断した遮断器を再投入することを特徴とする。
上記の構成によれば、電力遮断装置自体で災害が発生したことを検知するのではなく、情報取得手段により災害が発生する可能性があるときに発せられる警告情報が取得されたときに、制御手段がその警告情報に応答して、前記遮断器を遮断する。このときさらに、負荷検出手段によって検出されている負荷が予め定めるレベル以上である配電線の遮断器のみが遮断される。
したがって、熱源になりそうな電力消費が大きな負荷を遮断することで、火災や感電などを未然に防止して安全性を向上する(予防安全の措置を講じる)ことができるとともに、実際に災害によって停電が発生し、給電が再開される際に、大きな負荷を遮断しておくことで、再開時の系統の安定性を高めることができる。また、熱源になりそうな電力消費が大きな負荷だけ遮断することで、前記の安全面を確保しながら、タイマ負荷(ビデオデッキなど)やバックアップ負荷(パソコンなど)などの電力消費が小さな負荷に対しては給電し続けることができ、実際に災害による停電が発生しなかった際の不利益の拡大を抑えることができる。
また、前記情報取得手段は、誤報であるとき、或いは災害が発生する可能性が解消したときに発生される復帰情報を取得可能とされ、前記制御手段は、前記情報取得手段が前記警告情報を取得後に前記復帰情報を取得したとき、前記警告情報に応じて遮断した遮断器を再投入するので、災害が発生しなかった場合に、自動的に給電を再開することができる。
上記構成において、前記警告情報は、地震の初期微動に関連付けられた情報であることは、望ましい形態の一つである。この構成によれば、地震の初期微動(P波)の発生後、主要動(S波)が到達する前に、遮断器の遮断動作を行わせることが可能となる。
本発明に係る他の電力遮断装置は、電力引込み線と複数の各配電線との間に介在され、前記各配電線に対して個別の遮断器を備える電力遮断装置において、前記各配電線の負荷を検出する負荷検出手段と、災害が発生する可能性があるときに発せられる警告情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段および負荷検出手段からの出力に応答し、前記情報取得手段で警告情報が取得されたとき、所定レベル以上の負荷が生じている配電線の遮断器を遮断する制御手段と、を含み、前記制御手段は、前記負荷検出手段の検出結果を監視する監視機能を有することを特徴とする。この構成によれば、前記制御手段を、負荷機器の使用状況を記録したり、負荷機器の点けっぱなしに対する警告などを行ったりする監視手段と兼用することができる。
本発明の電力遮断装置によれば、現に災害事象が発生する直前の段階で、大きな電流が流れており遮断状態とすることが望ましい配電線を的確に遮断できる。すなわち、電力消費が大きな負荷につき、災害事象が実際に到来する前に遮断できる。このため、火災や感電などを未然に防止する予防安全の措置を講じることができるとともに、実際に災害によって停電が発生し、給電が再開される際にも、大きな負荷は遮断された状態とできるので、再開時の系統の安定性を高めることができる。また、電力消費が大きな負荷だけ遮断することで、前記の安全面を確保しながら、タイマ負荷(ビデオデッキなど)やバックアップ負荷(パソコンなど)などの電力消費が小さな負荷に対しては給電し続けることができ、実際に災害による停電が発生しなかった際の不利益の拡大を抑えることができる。
図1は、本発明の実施の一形態に係る電力遮断装置1の構成を示すブロック図であり、図2は電力系統を説明するための図である。この電力遮断装置1は、大略的に、分電盤2と、それに接続されるパーソナルコンピュータ3と、前記パーソナルコンピュータ3に外部ネットワーク4を介して接続される情報提供装置5とを備えて構成される。
分電盤2は、一般住居や事業所等の電力需要家6に設置され、電力需要家6に備えられている電灯、AV機器、家電機器等の負荷10に、配電線23を介して電力を分電するものである。この分電盤2には、商用配電系統7の高圧電力が、変圧器8により降圧された状態で、電力計9を介する電力引込み線(給電線)20によって引込まれている。
分電盤2内には、通常の分電盤と同様に、給電線20(図1および図2の例では単相3線で示している)に接続される主遮断器21、およびその主遮断器21からのBUSバー22に適宜接続され、フロア毎や部屋毎などの複数の各配電線23(この図1の例では単相2線で示している)への電力供給を個別に制御することができる遮断器24が設けられている。なお、主遮断器21が、過電流、漏電、中性線の浮きなどを検知し、負荷10への電力供給を遮断する機能を有していてもよい。
給電線20および各配電線23のホット側には、カレントトランス25(負荷検出手段)が設けられている。このカレントトランス25を介して、給電線20および各配電線23を流れる電流が電流検出回路26によって検出される。また、BUSバー22に印加されている電圧が、電圧検出回路27によって検出されるようになっている。電流検出回路26および電圧検出回路27の検出結果は、通信インタフェイス28を介してパーソナルコンピュータ3に逐次送信される。
パーソナルコンピュータ3(制御手段)は、検出された電圧、電流およびそれらの位相(力率)から、消費電力量や電気代を算出する処理、並びに画面表示を行う。また、負荷10の点けっぱなし等に対する警告なども行う。これに加えて、本実施形態では、パーソナルコンピュータ3は、通信インタフェイス28から駆動回路29を介して、各遮断器24の開閉を制御することが可能とされている。したがって、これらの構成によって、各配電線23に接続される負荷10の消費電力を検出する負荷検出手段が構成されるとともに、制御手段であるパーソナルコンピュータ3は、負荷10を監視する監視手段としての機能も有し、遠隔監視装置を実現することができる。
外部ネットワーク4は、パーソナルコンピュータ3が接続される、例えばインターネットやイーサーネットなどの通信ネットワークである。情報提供装置5は、災害が発生する可能性があるときに警告情報を発する情報源であり、例えば外部ネットワーク4に接続されたサーバ装置である。本実施形態では、パーソナルコンピュータ3は、情報提供装置5が警告情報を発したときにこれを取得する情報取得手段としても機能する。
ここで、地震災害を想定したシステムを構築する場合、気象庁が提供する、地震の初期微動(P波)を検知して、主要動(S波)の到達を予告する緊急地震速報を利用することが好ましい。この場合、情報提供装置5としては、前記緊急地震速報を配信する業者や携帯電話会社などのサーバを挙げることができ、パーソナルコンピュータ3は、前記サーバから警告信号(警告情報)を受信することとなる。
なお、このような警告信号の受信は、インターネットやイーサーネットなどのような外部ネットワーク4を介して行われるだけでなく、前記緊急地震速報が流されるNHKのラジオやテレビジョン等の受信機を介して行われるようにしても良い。前記警告信号を受信したパーソナルコンピュータ3は、そのときに予め定める遮断閾値、たとえば6A以上の電力消費が生じている配電線の遮断器を、通信インタフェイス28から駆動回路29を介して遮断する。
なお、地震災害以外に、洪水や土石流などの災害を想定したシステムとすることができる。この場合、洪水や土石流などの発生を報知する防災行政無線の受信機などを介して、パーソナルコンピュータ3が警告信号を受信するように構成すれば良い。
図3は、パーソナルコンピュータ3の機能的構成を示すブロック図である。本実施形態では、パーソナルコンピュータ3は機能的に、通信インタフェイス31、演算部32、表示部33、記憶部34、操作部35及び遮断制御部36を備えて構成される。
通信インタフェイス31は、外部ネットワーク4を介して情報提供装置5とデータ通信を行うとともに、分電盤2の通信インタフェイス28と通信を行うためのものである。
演算部32は、マイクロプロセッサ等からなり、電力需要家6における消費電力の演算を行うために設けられている。演算部32は、上述した電流検出回路26及び電圧検出回路27の検出結果を、通信インタフェイス31を介して取得し、その電流値と電圧値とから各配電線23における消費電力を演算する。これにより、配電線23(負荷10)毎に現状の負荷状態を把握することが可能とされている。
表示部33は、液晶ディスプレイパネル等からなり、演算部32での演算結果や、その他の制御情報等を表示する。記憶部34は、制御プログラム等を記憶するROM(Read Only Memory)、上述の負荷状態の演算結果や制御処理などのデータを一時的に格納するRAM(Random Access Memory)等を含んで構成されている。操作部35は、キーボードやマウス等からなり、ユーザが主遮断器21及び遮断器24の開閉を入力操作で制御したり、前記遮断閾値の入力を行ったりするために用いられる。
遮断制御部36は、通信インタフェイス31を介して、情報提供装置5からパーソナルコンピュータ3に与えられる警告信号を取得する。そして、警告信号が与えられた場合、遮断制御部36は、そのときに各配電線23が負担している電力消費状態から、遮断すべき遮断器24を特定し、当該特定された遮断器24を直ちに遮断する制御を行う。
図4は、遮断制御部36による、情報提供装置5からの警告信号に応答した遮断制御動作を説明するためのフローチャートである。処理が開始されると、遮断制御部36は、通信インタフェイス31が警告信号を受信するまで待機する(ステップS1)。なお、この待機状態において、演算部32により各配電線23における消費電力が常時演算されている。
前記警告信号が受信された場合(ステップS1でYES)、遮断制御部36は演算部32から、各配電線23についての消費電力の情報を取得する(ステップS2)。続いて遮断制御部36は、消費電力が前記遮断閾値以上となっている配電線23が存在するか否かを判定する(ステップS3)。そして、遮断閾値以上の電流が流れている配電線23が存在した場合(ステップS3でYES)、遮断制御部36は、その配電線23が接続されている遮断器24を遮断する(ステップS4)。なお、遮断閾値以上の配電線23が存在しない場合(ステップS3でNO)は、このステップS4はスキップされる。
その後、前記警告信号が誤報であるとき、或いは地震の発生する可能性が解消したとき等に、情報提供装置5から送信される復帰信号をパーソナルコンピュータ3受信したか否かが判断される(ステップS5)。復帰信号を受信したとき(ステップS5でYES)、遮断制御部36は、前記ステップS4で遮断した遮断器24を再投入し(ステップS6)、処理を終了する(ステップS1に戻って処理を繰り返す)。
一方、復帰信号を受信しないとき(ステップS5でNO)、前記警告信号を受信してから所定時間、たとえば1時間が経過したか否かが判断される(ステップS7)。所定時間が経過していないときには、前記ステップS5に戻って復帰信号の待受けを継続し(ステップS7でNO)、所定時間が経過すると(ステップS7でYES)、タイムアウトとして処理を終了する。
以上説明した本実施形態に係る電力遮断装置1によれば、地震の発生する可能性がるときに発せられる警告信号に応答して、遮断制御部36が、熱源になりそうな電力消費が大きな負荷を選択的に遮断する。これにより、火災や感電などを未然に防止して安全性を向上する(予防安全の措置を講じる)ことができる。また、実際に地震によって停電が発生し、その後に給電が再開される際に、大きな負荷を遮断しておくことで、再開時の系統の安定性を高めることができる。また、熱源になりそうな電力消費が大きな負荷だけが遮断されるので、前記の安全面を確保しながら、タイマ負荷(ビデオデッキなど)やバックアップ負荷(パソコンなど)などの電力消費が小さな負荷に対しては給電し続けることができ、実際に地震による停電が発生しなかった際の不利益の拡大を抑えることができる。
また、警告信号が誤報であるとき、或いは地震の発生する可能性が解消したときに送信される復帰信号に応答して、前記遮断制御部36が、遮断した遮断器24を再投入するする。従って、地震が発生しなかった場合に、自動的に給電を再開させることができる。
本発明は、地震に限らず、その発生が予想され、或いは実際に発生してもその発生地点から影響が及ぶまでに時間差があり、前記警告信号が配信される自然災害に対して、広く適用することができる。
本発明の実施の一形態に係る電力遮断装置の構成を示すブロック図である。 電力系統を説明するための図である。 本発明による緊急地震速報に応答した遮断制御動作を実現する構成の機能ブロック図である。 本発明による緊急地震速報に応答した遮断制御動作を説明するためのフローチャートである。
符号の説明
1 電力遮断装置
2 分電盤
3 パーソナルコンピュータ(制御手段/情報取得手段)
4 外部ネットワーク
5 情報提供装置
6 電力重要家
10 負荷
20 電力引込み線(給電線)
21 主遮断器
23 配電線
24 遮断器
25 カレントトランス(負荷検出手段)
26 電流検出回路
27 電圧検出回路
28,31 通信インタフェイス
29 駆動回路
32 演算部
33 表示部
34 記憶部
35 操作部
36 遮断制御部(制御手段)

Claims (3)

  1. 電力引込み線と複数の各配電線との間に介在され、前記各配電線に対して個別の遮断器を備える電力遮断装置において、
    前記各配電線の負荷を検出する負荷検出手段と、
    災害が発生する可能性があるときに発せられる警告情報を取得する情報取得手段と、
    前記情報取得手段および負荷検出手段からの出力に応答し、前記情報取得手段で警告情報が取得されたとき、所定レベル以上の負荷が生じている配電線の遮断器を遮断する制御手段と、を含み、
    前記情報取得手段は、誤報であるとき、或いは災害が発生する可能性が解消したときに発生される復帰情報を取得可能とされ、
    前記制御手段は、前記情報取得手段が前記警告情報を取得後に前記復帰情報を取得したとき、前記警告情報に応じて遮断した遮断器を再投入する
    ことを特徴とする電力遮断装置。
  2. 前記警告情報は、地震の初期微動に関連付けられた情報であることを特徴とする請求項1に記載の電力遮断装置。
  3. 電力引込み線と複数の各配電線との間に介在され、前記各配電線に対して個別の遮断器を備える電力遮断装置において、
    前記各配電線の負荷を検出する負荷検出手段と、
    災害が発生する可能性があるときに発せられる警告情報を取得する情報取得手段と、
    前記情報取得手段および負荷検出手段からの出力に応答し、前記情報取得手段で警告情報が取得されたとき、所定レベル以上の負荷が生じている配電線の遮断器を遮断する制御手段と、を含み、
    前記制御手段は、前記負荷検出手段の検出結果を監視する監視機能を有することを特徴とする電力遮断装置。
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