本発明は、粉体の濃度もしくは粉体の残量を検知する手段を現像剤容器側の予め設定した箇所に、外側からカバーによって押さえ付けて固定することを特徴としている。以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態では、電子写真方式の画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像を現像する現像器(現像装置)と、現像剤であるトナーの供給元である容器との間でトナーを保持するサブホッパーにおけるトナーの残量検知を例として説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100に含まれる画像形成出力のための機構の概略を示す図である。同図において、本実施形態に係る画像形成装置100は、搬送ベルト105の回転方向に沿って各色の画像形成部106K,106C、106M,106Yが並べられた、所謂タンデムタイプと称されるものである。タンデムタイプでは、中間転写ベルトとしての搬送ベルト105に各色の画像形成部106K,106C、106M,106Yで形成されたY,M,C,Kの各色の画像がこの順で搬送ベルト105に重畳して転写される。そして、4色重畳されたフルカラーの画像が給紙トレイ101から給紙ローラ102により分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に一括転写され、定着器116で定着され、機外に排出される。
なお、以下の説明において、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106Y、106M、106C、106Kは適宜画像形成部106と総称する。
給紙トレイ101から給紙された用紙104は、レジストローラ103によって先端が一旦停止させられ、搬送ベルト105上で重畳された画像先端とタイミングを取って、搬送ベルト105とのニップ位置(転写位置)に送り出される。
各画像形成部106Y,106M,106C,106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成はとも通である。K画像形成部106KはブラックKの画像を、M画像形成部106MはマゼンタMの画像を、C画像形成部106CはシアンCの画像を、Y画像形成部106YはイエローYの画像をそれぞれ形成する。なお、以下の説明においては、Y画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他のM,CおよびKの画像形成部106M,106C,106KはY画像形成部106Yと同様である。そこで、各色の画像形成部106M,106C,106Kの各構成要素については、図では、Y画像形成部106Yの各構成要素に付したYに代えて、M,C,Kによって区別した符号を付し、説明は省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、すなわち無端状ベルトである。駆動ローラ107は、駆動モータにより駆動力を得て回転する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初のY画像形成部106Yが、イエローYのトナー画像を転写する。Y画像形成部106Yは、Y感光体ドラム109Y、このY感光体ドラム109Yの周囲に配置されたY帯電器110Y、光書き込み装置111、Y現像器112Y、Y感光体クリーナ113Y、除電器等から構成されている。光書き込み装置111は、各色の感光体ドラム109Y,109M,109C,109K(以降、適宜感光体ドラム109と総称する。)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、Y感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にてY帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのイエロー画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。Y現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、Y感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像を形成する。
このトナー画像は、Y感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接もしくは最も接近する位置(転写位置)で、Y転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yの外周面に残留した不要なトナーは、Y感光体クリーナ113Yによりクリーニングされ、Y感光体ドラム109Yの表面が除電器により除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、Y画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次のM画像形成部106Mに搬送される。M画像形成部106Mでは、Y画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスによりM感光体ドラム109M上にマゼンタMのトナー画像が形成され、そのトナー画像がすでに形成されたイエローYの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたイエローY、マゼンタMのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンCのトナー画像と、K感光体ドラム109K上に形成されたブラックKのトナー画像とが、すでに転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置もしくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104はさらに搬送され、定着器116にて画像を定着された後、100画像形成装置の外部に排紙される。
また、搬送ベルト105に対してベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、図1に示すように、搬送ベルト105から用紙104への画像の転写位置の下流側であって、感光体ドラム109よりも上流側において搬送ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードである。また、ベルトクリーナ118は、クリーニングブレードによって搬送ベルト105の表面に付着したトナーを掻き取る顕色剤除去部でもある。
図2は、本実施形態に係るトナーの供給構成を示す斜視図である。トナーの補給構成とは、現像器112に対してトナーを供給するための構成である。CMYK各色においてトナーの供給構成は概ねとも通しており、図2においては1つの現像器112に対する供給構成を示す。トナーはトナーボトル117に収容されており、図2に示すように、トナーボトル117からボトル側供給路120を介してサブホッパー200にトナーが供給される。
サブホッパー200は、トナーボトル117から供給されるトナーを一時的に保持し、現像器112内部のトナー残量に応じて現像器112にトナーを供給する。サブホッパー200からサブホッパー側供給路119を介して現像器112にトナーが供給される。トナーボトル117内部のトナーがなくなると、サブホッパー200にトナーが供給されなくなる。そこで、サブホッパー200内部のトナー量が少なくなった状態を検知する必要があり、このため、後述するトナー検知機構が設けられている。
図3は、本実施形態に係るサブホッパー200の外観を示す斜視図である。図3に示すように、サブホッパー200を構成する筐体200aの外面には磁束センサ10(透磁率センサ)が取り付けられている。磁束センサ10は後述の実施例で詳述するが、カバー250により磁束センサ10の基板10bの背面側を押さえ付けて所定の検出位置に保持される。
図3においてサブホッパー200の上部は開口しており、この開口に対してボトル側供給路120のカバーが取り付けられる。なお、カバーの取り付け個所は、サブホッパー200の開口の形状と合うように成形され、トナーが外部に飛散することのないようにされている。また、サブホッパー200内部に保持されたトナーは図3に示すサブホッパー側供給路119から現像器112に送り出される。
図4は、サブホッパー200の内部構成を示す図で、同図(a)は斜視図、同図(b)は平面図である。図4に示すように、サブホッパー200の筐体200aの内面には振動板201が設けられている。振動板201が設けられた内面は図3において磁束センサ10が取り付けられている外面の裏側である。したがって、振動板201は筐体200aを介して磁束センサ10に対向するように配置されている。
振動板201は、長方形の板状の部品であり、長手方向の一端がサブホッパー200の筐体200aに固定された片持ち状態で配置されている。また、振動板201の長手方向において固定されていない側の端部には重り202が取り付けられている。重り202は、振動板201が振動した場合の振動数を調整する機能、あるいは振動板201を振動させるための機能を備えている。
サブホッパー200内部においては、内部のトナーを撹拌するための構成として、回転軸204および撹拌部材205が設けられている。回転軸204は、サブホッパー200内部で回転する軸である。この回転軸204に撹拌部材205が固定されており、回転軸204の回転に伴って撹拌部材205が回転してサブホッパー200内部の顕色剤としてのトナーが撹拌される。また、振動板201の長手方向は、回転軸204の軸方向とほぼ平行に配置されている。
また、撹拌部材205は、トナーの撹拌に加えて、回転により振動板201に設けられた重り202を弾く機能を担う。これにより、撹拌部材205が一周回転する毎に重り202が弾かれて振動板201が振動する。すなわち、振動板201が振動部として機能するとともに、撹拌部材205が振動付与部として機能する。また、撹拌機能と弾く機能を確実にするため、本実施形態では、撹拌部材205の中央部近傍に切り込み205aが形成され、この切り込み205aを境に振動付与部205cと撹拌部205dが設けられている。
図5は本実施形態に係る磁束センサの回路構成を示す図である。同図に示すように、本実施形態に係る磁束センサ10は、コルピッツ型のLC発振回路を基本とする発振回路である。この発振回路は、平面パターンコイル11、パターン抵抗12、第1コンデンサ13、第2コンデンサ14、フィードバック抵抗15、第1アンバッファIC16、第2アンバッファIC17および出力端子18を含む構成となっている。
平面パターンコイル11は、磁束センサ10を構成する基板上に平面状にパターニングされた信号線によって構成される平面状のコイルである。図5に示すように、平面パターンコイル11は、コイルによって得られるインダクタンスLを有する。平面パターンコイル11は、コイルが形成された平面に対向する空間を通る磁束によってインダクタンスLの値が変化する。その結果、本実施形態に係る磁束センサ10は、平面パターンコイル11のコイル面が対向する空間を通る磁束に応じた周波数の信号を発振する発振部として用いられる。また、磁束センサ10は、信号線の長さによって抵抗値が定まる回路抵抗RLを有する。本実施形態の磁束センサ10では、ほとんどの信号線が平面パターンコイル11を形成するのに用いられている。したがって、回路抵抗RLは、平面パターンコイル11の信号線による抵抗値とほぼ一致する。
パターン抵抗12は、平面パターンコイル11と同様に基板上に平面状にパターニングされた信号線によって構成される抵抗である。本実施形態に係るパターン抵抗12は、つづら折り状に形成されたパターンであり、これによって直線状のパターンよりも電流の流れにくい状態を作り出している。なお、つづら折り状とは、所定の方向に対して複数回往復させるように折り曲げた形状である。図5に示すように、パターン抵抗12は、抵抗値RPを有する。図5に示すように、平面パターンコイル11とパターン抵抗12とは直列に接続されている。
第1コンデンサ13および第2コンデンサ14は、平面パターンコイル11とともにコルピッツ型LC発振回路を構成する容量である。したがって、第1コンデンサ13および第2コンデンサ14は、平面パターンコイル11およびパターン抵抗12と直列に接続されている。平面パターンコイル11、パターン抵抗12、第1コンデンサ13および第2コンデンサ14によって構成されるループによって共振電流ループが構成される。
フィードバック抵抗15は、バイアス電圧を安定化させるために挿入される。第1アンバッファIC16および第2アンバッファIC17の機能により、共振電流ループの一部の電位の変動が、共振周波数に応じた矩形波として出力端子18から出力される。
このような構成により、本実施形態に係る磁束センサ10は、インダクタンスL、抵抗値RP、第1コンデンサ13および第2コンデンサ14の静電容量Cに応じた周波数fで発振する。周波数fは、以下の式(1)によって表すことができる。
インダクタンスLは、平面パターンコイル11の近傍における磁性体の存在やその濃度によっても変化する。したがって、磁束センサ10の発振周波数により、平面パターンコイル11近傍の空間における透磁率を判断することが可能となる。
また、上述したように、本実施形態に係るサブホッパー200における磁束センサ10は、筐体200aを介して振動板201と対向して配置されている。したがって、平面パターンコイル11によって発生する磁束は振動板201を通ることとなる。すなわち、振動板201が平面パターンコイル11によって生成される磁束に影響し、インダクタンスLに影響を与える。結果的に、振動板201の存在が磁束センサ10の発振信号の周波数に影響することとなる。
図6は、本実施形態に係る磁束センサ10の出力信号のカウント値の態様を示す図である。磁束センサ10に含まれる平面パターンコイル11によって発生する磁束に変化がなければ、原則として磁束センサ10は同一の周波数で発振を続ける。その結果、図6に示すように、時間経過に応じてカウンタのカウント値は一様に増加し、図6に示すように、t1、t2、t3、t4、t5夫々のタイミングにおいて、aaaah、bbbbh、cccch、ddddh、AAAAhといったカウント値が取得される。
夫々のタイミングにおけるカウント値を、図6に示すT1、T2、T3、T4夫々の期間に基づいて計算することにより、夫々の期間における周波数が算出される。例えば、2(msec)に相当する基準クロックをカウントすると割込み信号を出力して周波数を計算する場合、夫々の期間におけるカウント値を2(msec)で割ることにより、図6に示すT1、T2、T3、T4夫々の期間における磁束センサ10の発振周波数f(Hz)を算出する。
また、図6に示すように、カウンタのカウント値の上限がFFFFhである場合、期間T4における周波数の算出に際して、FFFFhからddddhを引いた値と、AAAAhとの値の合計値を2(msec)で割ることにより発振周波数f(Hz)を算出することができる。
このように、本実施形態に係る画像形成装置100においては、磁束センサ10が発振する信号の周波数を取得し、その取得結果に基づいて磁束センサ10の発振周波数に対応する事象を判断することができる。そして、本実施形態に係る磁束センサ10においては、平面パターンコイル11に対向して配置されている振動板201の状態に応じてインダクタンスLが変化し、結果として出力端子18から出力される信号の周波数が変化する。
その結果、信号を取得するコントローラにおいては、平面パターンコイル11に対向して配置された振動板201の状態を確認することが可能となる。このようにして確認された振動板201の状態に基づいてサブホッパー200内部の顕色剤の状態を判断することもできる。
なお、上述したように、発振信号のカウント値を期間で割ることにより周波数が求められるが、カウント値を取得する期間が固定であれば、周波数を示すためのパラメータとして、取得されたカウント値をそのまま用いることも可能である。
図7は、本実施形態に係る磁束センサ10の概観を示す斜視図である。図7においては、図5において説明した平面パターンコイル11およびパターン抵抗12が形成されている面、すなわち、透磁率を検知するべき空間に対向させる検知面が上面に向けられている。
図7に示すように、平面パターンコイル11が形成された検知面においては、平面パターンコイル11と直列に接続されるパターン抵抗12がパターニングされている。図5において説明したように、平面パターンコイル11は平面上に螺旋状に形成された信号線のパターンである。また、パターン抵抗12は、平面上につづら折状に形成された信号のパターンであり、これらのパターンによって上述したような磁束センサ10の機能が実現される。
この平面パターンコイル11およびパターン抵抗12によって形成される部分が、本実施形態に係る磁束センサ10における透磁率の検知部である。磁束センサ10をサブホッパー200に取り付ける際には、この検知部が振動板201に対向するように取り付けられる。
図8は、磁束センサ10の出力値を取得するコントローラ20および磁束センサ10の構成を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係るコントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)21、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)22、タイマ23、水晶発振回路24、撹拌モータ制御部25および入出力制御ASIC30を含む。
CPU21は演算手段であり、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体に記憶されたプログラムにしたがって演算を行うことにより、コントローラ20全体の動作を制御する。ASIC22は、CPU21やRAM(Random Access Memory)等が接続されたシステムバスと他の機器との接続インターフェースとして機能する。
タイマ23は、水晶発振回路24から入力される基準クロックのカウント値が所定の値になる度に割込み信号を生成してCPU21に対して出力する。CPU21は、タイマ23から入力される割込み信号に応じて、磁束センサ10の出力値を取得するためのリード信号を出力する。水晶発振回路24は、コントローラ20内部の各デバイスを動作させるための基準クロックを発振する。
撹拌モータ制御部25は、撹拌部材205の回転軸204を回転させるための動力源である撹拌モータ204aの回転を制御する制御部であり、ASIC22を介してCPU21からの命令を受け付けて撹拌モータ204aの回転を制御する。すなわち、CPU21および撹拌モータ制御部25が連動して、撹拌部材205の回転を制御する回転制御部として機能する。
入出力制御ASIC30は、磁束センサ10が出力する検知信号を取得して、コントローラ20内部において処理可能な情報に変換する。図8に示すように入出力制御ASIC30は、透磁率カウンタ31、リード信号取得部32およびカウント値出力部33を含む。本実施形態に係る磁束センサ10は、検知対象の空間における透磁率に応じた周波数の矩形波を出力する発振回路である。
透磁率カウンタ31は、そのような磁束センサ10が出力する矩形波に応じて値をインクリメントするカウンタである。すなわち、透磁率カウンタ31が、周波数を算出する対象の信号の信号数をカウントする対象信号カウンタとして機能する。なお、本実施形態に係る磁束センサ10はCMYK各色の現像器112に接続される夫々のサブホッパー200毎に設けられており、それに伴って透磁率カウンタ31も複数設けられている。
リード信号取得部32は、CPU21からの透磁率カウンタ31のカウント値の取得命令であるリード信号を、ASIC22を介して取得する。リード信号取得部32は、CPU21からのリード信号を取得すると、カウント値出力部33にカウント値を出力させるための信号を入力する。カウント値出力部33は、リード信号取得部32からの信号に応じて、透磁率カウンタ31のカウント値を出力する。
なお、入出力制御ASIC30へのCPU21からのアクセスは、例えばレジスタを介して行われる。そのため、前述のリード信号は、入出力制御ASIC30に含まれる所定のレジスタにCPU21によって値が書き込まれることによって行われる。また、カウント値出力部33によるカウント値の出力は、入出力制御ASIC30に含まれる所定のレジスタにカウント値が格納され、その値をCPU21が取得することによって行われる。
図8に示すコントローラ20は、磁束センサ10とは別個に設けられても良いし、CPU21を含む回路として磁束センサ10の基板上に実装されても良い。
このような構成において、CPU21がカウント値出力部33から取得したカウント値に基づいて振動板201の振動状態を検知し、その検知結果に基づいてサブホッパー200内部のトナー残量を検知する。すなわち、所定のプログラムにしたがってCPU21が演算を行うことにより、検知処理部が構成される。また、カウント値出力部33から取得されるカウント値が、振動板201の振動に応じて変化する磁束センサ10の周波数を示す周波数関連情報として用いられる。
図9は、本実施形態に係る磁束センサと振動板との配置関係を示す図、図10は振動板を磁束が通る際の作用を示す図である。図9に示すように、磁束センサ10において平面パターンコイル11が形成されている面と振動板201とは、サブホッパー200の筐体200aを介して対向して配置されている。そして、図9に示すように、平面パターンコイル11の中央を中心とした磁束が発生し、その磁束が振動板201を貫くこととなる。
振動板201は、例えばSUS板によって構成されており、図10に示すように磁束G1が振動板201を貫くことによって振動板201内に渦電流が発生する。この渦電流が磁束G2を発生させ、平面パターンコイル11による磁束G1を打ち消すように作用する。このように磁束G1が打ち消されることにより、磁束センサ10におけるインダクタンスLが減少する。前記式(1)において示すように、インダクタンスLが減少すると発振周波数fは増大する。
平面パターンコイル11による磁束を受けて振動板201内部において発生する渦電流の強さは、磁束の強さの他、平面パターンコイル11と振動板201との間隔によっても変化する。図11は、平面パターンコイル11と振動板201との間隔に応じた磁束センサ10の発振周波数を示す図である。
振動板201内部に発生する渦電流の強さは、平面パターンコイル11と振動板201との間隔に反比例する。したがって、図11に示すように、平面パターンコイル11と振動板201との間隔が狭くなるほど、磁束センサ10の発振周波数は高くなり、所定の間隔g0よりも狭くなると、インダクタンスLが低くなり過ぎて発振しなくなる。
そのため、g0以下の間隔における発振周波数はゼロである。他方、平面パターンコイル11と振動板201との間隔が広くなると、磁束センサ10の発振周波数は、振動板201内部において発生する渦電流の影響を受けない周波数に収束していく。
本実施形態に係るサブホッパー200では、図11に示すような特性を利用することにより、磁束センサ10の発振周波数に基づいて振動板201の振動を検知する。そのようにして検知した振動板201の振動に基づいてサブホッパー200内部のトナー残量を検知する。また、図11に示す間隔g0、すなわち、磁束センサ10の発振が止まる間隔g0を利用して振動板201の振動開始タイミングを判断する。このg0が、磁束センサ10と振動板201との間隔であって、磁束センサ10が発振を停止する所定の閾値として用いられる。
すなわち、図9に示す振動板201および磁束センサ10、並びに磁束センサ10の出力信号を処理する構成が本実施形態に係る粉体検知装置として用いられる。この粉体検知装置は、トナー残量の検知に用いれば顕色剤残量検知装置である。また、磁束センサ10が振動検知部として機能する。
撹拌部材205によって弾かれた振動板201の振動は、振動板201の剛性や重り202の重量によって定まる固有振動数と、その振動エネルギーを吸収する外的な要因によって定まる減衰率によって表される。振動エネルギーを吸収する外的な要因としては、振動板201を片持ち状態で固定する固定部の固定強度、空気抵抗等の固定要因に加えて、サブホッパー200内部において振動板201に接触するトナーの存在がある。
サブホッパー200内部において振動板201に接触するトナーは、サブホッパー200内部のトナー残量によって変動する。したがって、振動板201の振動を検知することにより、サブホッパー200内部のトナー残量を検知することが可能となる。そのため、本実施形態に係るサブホッパー200内部においては、内部のトナーを撹拌するための撹拌部材205が振動板201を弾き、回転に応じて定期的に振動板201を振動させる。
図12は、振動板201の周辺の配置関係を示す斜視図である。図12に示すように、振動板201は固定部201aを介してサブホッパー200の筐体200aに固定されている。図13は、回転軸204の回転状態として、撹拌部材205が振動板201に取り付けられた重り202に接触する前の状態を示す側面図である。図13において、回転軸204は、撹拌部材205が図において時計回り方向に回転する。
図13に示すように、重り202は、振動板201の板面から突出した突出部であるとともに、側面から見た状態において振動板201の板面に対して傾斜を有する形状となっている。この傾斜は、撹拌部材205の回転方向に沿って斜面が回転軸204に近づくように構成されている。この重り202の傾斜面は、撹拌部材205が振動板201を弾いて振動させる際に撹拌部材205によって押される部分である。図14は、図13に示す状態から撹拌部材205がさらに回転した状態を示す側面図である。
撹拌部材205が重り202に接触した状態でさらに回転することにより、重り202に設けられた傾斜に伴って振動板201が押し込まれて変形することとなる。図14においては、外力が加わっていない状態(以降、「定常状態」とする)の振動板201および重り202の位置を破線で示している。図14に示すように、回転軸204の回転に伴って振動板201および重り202が撹拌部材205によって押し込まれる。
図15は、図14に示す状態を示す上面図である。振動板201は固定部201aを介してサブホッパー200の筐体200a内面に固定されているため、固定部201a側の位置は変化しない。これに対して、重り202が設けられて自由端となっている反対側の端部は、撹拌部材205によって押し込まれることにより回転軸204が設けられた側とは反対側に移動する。結果的に、振動板201は固定部201aを基点として図15に示すように撓む。このように撓んだ状態において、振動板201を振動させるためのエネルギーが蓄えられる。
なお、図15に示すように、本実施形態に係る撹拌部材205は、重り202に接触する部分(振動付与部205c)とそれ以外の部分(撹拌部205d)との間に切り込み205aが設けられている。これにより、撹拌部材205が重り202を押し込む際に無理な力が加わって撹拌部材205が破損してしまうことを防ぐことができる。
また、切り込み205aの始点には丸孔205bが設けられている。これにより、切り込み205aを境に撹拌部材205の撓み量が異なった場合に切り込み205aの始点に加わる応力を分散して応力集中を抑制し、撹拌部材205の破損を防ぐようにしている。
図16は、図14に示す状態からさらに撹拌部材205が回転した状態を示す側面図である。図16においては、定常状態における振動板201の位置を破線で、図14に示す振動板201の位置を一転鎖線で示している。そして、撹拌部材205によって押し込まれて蓄えられた振動エネルギーが解放されることにより反対側に撓んだ振動板201の位置を実線で示している。
図17は、図16に示す状態を示す上面図である。図16に示すように、撹拌部材205による重り202の押圧が解除されると、振動板201に蓄えられた撓みのエネルギーにより、自由端である重り202が設けられた側の端部が反対側に撓むように移動する。
図16、図17に示す状態において、振動板201は、サブホッパー200の筐体200aを介して対向している磁束センサ10から遠ざかった状態となる。以降、振動板201は振動することにより、磁束センサ10に対して定常状態よりも近づいた状態と、定常状態よりも遠ざかった状態とを繰り返しながら、振動の減衰によって定常状態に戻ることとなる。
図18は、サブホッパー200内部に保持されているトナーの状態を模式的にドットで示した図である。図18に示すようにサブホッパー200内部にトナー206が存在すると、振動板201や重り202が振動しながらトナー206に接触する。そのため、サブホッパー200内部にトナー206が存在しない場合に比べて早く振動板201の振動が減衰する。この振動の減衰の変化に基づいてサブホッパー200内部のトナー残量を検知することができる。
図19は、撹拌部材205によって重り202が弾かれた後、振動板201の振動が減衰して振動が止まるまでの、所定期間毎の磁束センサ10の発振信号のカウント値の変化を示す図である。磁束センサ10の発振信号のカウント値は、発振周波数が高い程多くなる。したがって、図19の縦軸は、カウント値ではなく発振周波数に置き換えることもできる。
図19に示すように、タイミングt1において撹拌部材205が重り202に接触して重り202を押し込むことにより、振動板201が磁束センサ10に近づいていく。これにより、磁束センサ10の発振周波数が上昇して所定期間毎のカウント値が上昇する。
そして、タイミングt2において振動板201と磁束センサ10との距離が前記間隔g0(図11)を下回り、磁束センサ10の発振が停止する。換言すると、撹拌部材205は、振動板201に対して磁束センサ10に近づく方向に力を加え、磁束センサ10との間隔がg0以下となるように振動板201を移動させる。これにより、上昇傾向であったカウント値は即座にゼロとなる。
そして、タイミングt3において撹拌部材205による重り202の押圧が解除され、振動板201は押し込まれた状態から解放され、蓄えられた振動エネルギーによって振動する。これにより、振動板201と磁束センサ10との距離は間隔g0以上となり、磁束センサ10は再び発振を開始する。その結果、カウント値は、ゼロの状態から急激に上昇することとなる。そこで、このカウント値の急激な上昇に基づいて振動板201の振動の開始タイミングを判断する。
振動板201が振動することにより、振動板201と磁束センサ10との間隔が定常状態を中心として、それよりも広い状態と狭い状態とが繰り返される。その結果、磁束センサ10の発振信号の周波数が振動板201の振動に伴って振動することとなり、所定期間毎のカウント値も同様に振動する。
振動板201の振動の振幅は、振動エネルギーの消費に伴って狭くなっていく。すなわち、振動板201の振動は時間とともに減衰する。そのため、振動板201と磁束センサ10との間隔の変化も時間経過とともに小さくなっていき、図19に示すように、カウント値の時間変化も同様に変化する。
ここで、上述したように、振動板201の振動は、サブホッパー200内部のトナー残量が多い程早く減衰する。したがって、図19に示すような磁束センサ10の発振信号の振動の減衰の態様を解析することにより振動板201の振動がどのように減衰したかを認識し、それによってサブホッパー200内部のトナー残量を知ることができる。
そのため、図19に示すように、カウント値の振動のピークを夫々P1、P2、P3、P4、・・・とすると、例えば、以下の式(2)により、振動板201の振動の減衰率ζを求めることができる。式(2)に示すようにタイミングの異なるピーク値の割合を参照することにより、環境変動による誤差をキャンセルして正確な減衰率を求めることができる。換言すると、本実施形態に係るCPU21は、異なるタイミングにおいて取得されたカウント値の比率に基づいて減衰率ζを求める。
なお、上記式(2)においては、図19に示すピークのうちP1、P2およびP5、P6を用いたが、これは一例であり、他のピークを用いても良い。但し、振動板201が振動を開始したタイミングt3におけるピーク値は、振動の振幅に対応した値ではないため、計算対象とはしないことが好ましい。
仮に図18に示すようにサブホッパー200内部のトナー206の存在によって振動の減衰が早められる場合であっても、振動板201の振動数は大きくは変わらない。そのため、上記式(2)に示すように特定のピークの振幅の割合を計算することにより、所定期間における振幅の減衰を計算することができる。
図20は、実施形態に係るサブホッパー200におけるトナー残量検知の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、図8に示すCPU21によって実行される。
図20に示すように、CPU21は、まず撹拌部材205によって図14に示すように重り202が押し込まれ、振動が発生することを検知する(S101、なお、図ではステップを省略し、Sのみで示す。)。前述のように、CPU21は所定期間毎にカウント値出力部33から磁束センサ10の出力信号のカウント値を取得している。このカウント値は、定常状態であれば図19に示すようにC0である。これに対して、図14に示すように重り202が押し込まれると、振動板201が磁束センサ10に近づくにつれてカウント値は上昇することとなる。
そして、上述したように振動板201と磁束センサ10との間隔がg0を下回ると、磁束センサ10の発振が停止し、カウント値がゼロとなる。CPU21は、カウント値がゼロとなったことを検知すると(S101/YES)、次に、図19のタイミングt3のようにカウント値が急増するタイミングまで待機する(S102/NO)。
振動板201が弾かれて振動を開始すると、磁束センサ10が発振を開始し、カウント値が急増する。CPU21は、カウント値がゼロから急増したことを検知すると(S102/YES)、振動板201に振動が発生したことを検知する(S103)。
ステップS101〜S103の処理に拘わらず、CPU21は通常の処理として所定期間毎のカウント値の取得処理は継続して行う。そして、ステップS103の後、CPU21は、図19に示すような振動板201の振動に応じたカウント値の振動のピーク値を取得する(S104)。ステップS104においてCPU21は、継続して所定期間毎に取得されるカウント値を解析することにより、ピーク値を特定する。
図21は、カウント値の解析態様を示す図である。所定期間毎に取得されるカウント値について、夫々のカウント値の“番号n”、“カウント値Sn”に加えて、直前のカウント値との差分の符号“Sn−1−Sn”が、取得順に示されている。図21に示すような結果において、“Sn−1−Sn”の符号が反転した1つ前の値がピーク値である。図21の場合、5番および10番がピーク値として採用される。
すなわち、CPU21は、S103以降、順番に取得されたカウント値について、図21に示す“Sn−1−Sn”を計算する。そして、計算結果として得られる符号が反転したタイミングにおける“カウント値Sn”を図19に示すP1、P2、P3・・・といったピーク値として採用する。
また、実際に得られるカウント値は、高周波成分のノイズを含んでいる可能性があり、振動板201の振動によるピークではない位置において“Sn−1−Sn”の符号が反転するタイミングが生じる場合がある。そのような場合の誤検知を回避するため、CPU21は、カウント値出力部33から取得した値を平滑化処理した上で図21に示す解析を行うことが好ましい。平滑化処理においては移動平均法などの一般的な処理を採用することができる。
このようにしてピーク値を取得すると、CPU21は上記式(2)の計算により減衰率ζを計算する(S105)。このため、ステップS104においては、減衰率の計算に用いるピーク値が得られるまで、図21に示す態様によりカウント値の解析を行う。上記式(2)を用いる場合、CPU21は、P6に相当するピーク値が得られるまでカウント値の解析を行う。
このようにして減衰率ζを算出すると、CPU21は、算出した減衰率ζが所定の閾値以下であるか否かを判断する(S106)。すなわち、CPU21は、異なるタイミングにおいて取得されたカウント値の比率と所定の閾値との大小関係に基づいて、サブホッパー200内部のトナー206が所定の量を下回ったことを判断する。図18において説明したように、サブホッパー200内部に十分なトナー206が残っている場合、振動板201の振動は早く減衰する。したがって、減衰率ζは小さくなる。
他方、サブホッパー200内部のトナー206が減少すると、それに応じて振動板201の振動の減衰が遅くなり、減衰率ζは大きくなる。したがって、検知するべきトナー残量に応じた減衰率ζSを閾値とすることにより、算出された減衰率ζに基づいて、サブホッパー200内部のトナー残量が検知するべき残量(以降、「規定量」とする)にまで減少したことを判断することが可能である。
なお、サブホッパー200内部のトナー残量が、振動板201の振動の減衰態様に直接影響するのではなく、トナー残量に応じて振動板201に対するトナーの接触状態が変化し、それによって振動板201の振動の減衰態様が定まる。したがって、サブホッパー200内部のトナー残量が同量であっても、振動板201に対するトナー206の接触態様が異なれば、振動板201の減衰態様は異なってしまう。
これに対して、本実施形態に係るサブホッパー200内部のトナー残量の検知に際しては、常に撹拌部材205によってサブホッパー200内部のトナー206は撹拌されている。したがって、振動板201に対するトナー206の接触状態を、ある程度はトナー残量に応じて定まるようにすることができる。これにより、トナー残量が同量であっても振動板201に対するトナー206の接触態様が異なることにより、検知結果が異なってしまうという弊害を回避することができる。
ステップS104の判断の結果、算出した減衰率ζが閾値未満であれば(S106/NO)、CPU21は、サブホッパー200内部には十分な量のトナー206が保持されていると判断し、そのまま処理を終了する。他方、算出した減衰率ζが閾値以上であれば(S106/YES)、CPU21は、サブホッパー200内部のトナー量が規定量を下回っていると判断し、トナー切れ検知を行って処理を終了する(S107)。
ステップS107の処理によりトナー切れ検知を行ったCPU21は、画像形成装置100を制御するより上位のコントローラに対して、トナー残量が規定量を下回ったことを示す信号を出力する。これにより、画像形成装置100のコントローラは、特定の色についてのトナー切れを認識し、トナーボトル117からトナー206の供給を行うことが可能となる。
次に、本実施形態に係る磁束センサ10の発振信号の周波数、CPU21によるカウント値の取得周期(以降、「サンプリング周期」とする)、振動板201の固有振動数の関係について説明する。図22は、振動板201の1周期分における振動について、サンプリングされたカウント値を示す図である。図22において、振動板201の振動の周期はTplateであり、サンプリング周期はTsampleである。
図19〜図21において説明した態様により振動板201の減衰率ζを高精度に算出すためには、振動板201の振動のピーク値を高精度に取得する必要がある。そのためには、Tplateに対して十分なカウント値のサンプル数が必要であり、そのためにTsampleはTplateに対して十分小さい必要がある。
図22の例においては、Tplateの1周期に対してカウント値のサンプル数は10個である。すなわち、TsampleはTplateの1/10である。図22の態様によれば、図中のTpeakの期間内に必ずサンプリングを行うこととなり、ピーク値を高精度に取得することが可能である。
したがって、仮にCPU21のサンプリング周期Tsampleを1msとすると、振動板201の振動周期Tplateは10ms以上とすることが好ましい。換言すると、CPU21のサンプリング周波数1000Hzに対して、振動板201の固有振動数は100Hz程度であることが好ましく、より好適にはそれ以下であることが好ましい。このような振動板201の固有振動数は、振動板201の材質、振動板201の厚みをはじめとした寸法および重り202の重量を調整することによって実現される。
他方、サンプリング周期毎にサンプリングされるカウント値の値が小さすぎると、振動板201の振動に応じたサンプル毎のカウント値の変化が小さくなり、減衰率ζを精度よく算出することができなくなる。ここで、サンプリングされるカウント値の値は磁束センサ10の発振周波数に準じた値となる。
一般的に磁束センサ10の発振周波数は数MHzのオーダーであり、1000Hzのサンプリング周波数でサンプリングを行う場合、サンプリングタイミング毎に1000以上のカウント値を得ることができる。したがって、上述したようなTplate、Tsampleのオーダーにより、減衰率ζを高精度に算出することが可能である。
但し、振動板201の振動による磁束センサ10と振動板201との間隔の変化に対して、磁束センサ10の発振周波数の変化量が十分になければ、図19に示すような時間に対するカウント値の振動の振幅が小さくなってしまう。その結果、減衰率ζの変化も小さくなってしまい、振動板201の振動によるトナー残量検知の精度も低下してしまう。
磁束センサ10と振動板201との間隔の変化に対する磁束センサ10の発振周波数の変化量を大きくするためには、図11に示すような特性に基づいて、磁束センサ10と振動板201との配置間隔を決定する必要がある。例えば、図中の矢印の区間に示すように、磁束センサ10と振動板201との間隔の変化に対する発振周波数の変化が急峻な範囲に含まれる間隔を、磁束センサ10と振動板201との配置間隔として決定することが好ましい。
以上、本実施形態に係る画像形成装置100に設けられるサブホッパー200におけるトナーの残量検知の原理および基本構成を説明した。以下、本実施形態のサブホッパー200の具体的構成について説明する。
図23は本実施例に係る磁束センサの正面図である。同図は、磁束センサ10の検知部10aを正面側、つまりサブホッパー200に対して設置する側から見た図である。検知部10aは、基板10bに図7に示した平面パターンコイル11が少なくとも形成された部分である。なお、基板10bの検知部の背面側(正面側とは逆側となる面)には、例えば図5の平面パターンコイル11とパターン抵抗12以外の回路が搭載されている(図30(a))。基板10bには、また、サブホッパー200に対する位置決め用の切り欠き10cが設けられている。なお、図23に示した正面側がサブホッパー200に取り付けたときに、振動板201と対向する前面側となる。
図24はカバーを背面側から見た斜視図、図25はカバーをサブホッパー側(正面側)から見た斜視図、図26はカバーを背面側から見た図である。
これらの図において、カバー250は、コネクタ挿入口251、軸状突起252a,252b、押さえ253、ハーネスガイド254、固定用突起255a,255b、弾性付与用の切り欠き256、距離保持用の突起257a,257bを備えている。
カバー250は絶縁性の合成樹脂材から一体に成型され、サブホッパー200の筐体200aの外側に配置される。カバー250の磁束センサ10の検知部10aの下部の背面に当たる部分にはコネクタ挿入口251が設けられている。コネクタ挿入口251は、磁束センサ10の検知部10aの出力端子18が接続され、背面側に突出するように設けられたコネクタ10d(図3)を、カバー250の前面側から背面側に通過させ、背面側に露出させる部分である。
このコネクタ10dには、メス側のコネクタ10eが接続され、当該メス側のコネクタ10eにつながるハーネス10fがハーネスガイド254の内側を通ってコントローラ20側に導かれる(図31)。図32は、磁束センサ10のコネクタ10dに接続されたハーネスの這い回し状態を示す図である。図32に示すように、ハーネス10fはコネクタ10dからハーネスガイド254を通る際に検知部10aから規定の距離離れた状態に配置され、検知部10aに対してハーネス10fによる信号障害が発生しないように意図されている。前記規定の距離は、コネクタ10dとハーネスガイド254によって設定される。
軸状突起252a,252bは、サブホッパー200の磁束センサ保持部210の縦リブ212a,212bの上端の溝部211a,211bに嵌め込まれる(図30A、図30B)。そして、カバー250の両端部の下方に設けられた固定用突起255a,255bを縦リブ212a,212bに設けられた溝213a,213bにそれぞれ弾性的に押し込む(図28)。これにより磁束センサ10をサブホッパー200の筐体200aの磁束センサ保持部210の外面に押し付けて固定する。
弾性付与用の切り欠き256は、固定用突起255a,255bを縦リブ212a,212bの溝213a,2113bに嵌め込む際に、カバー250の図26において左右方向の弾性変形を許容するためのものである。これにより、固定用突起255a,255bは縦リブ212a,212bの溝213a,213bに、その手前側の部分を乗り越えて嵌まり込む。この嵌め込みによる取り付けは、所謂、スナップフィットである。
押さえ253は図25に示すようにカバー250の内側(磁束センサ10側)の上方に一対設けられている。押さえ253は、一方が自由端で、他方が固定端となっている片持ち梁形状(もしくはフック状)に形成され、磁束センサ10の背面側との当接によって撓んで磁束センサ10の検知部領域内を押す構成になっている。そのため確実に検知部10aを固定することができる。これは、磁束センサ10と振動板201の微少な動作による磁界の変化を検知するため、検知部10aの固定が不安定になると検知できなくなるおそれがあるからである。このようにして弾性的に押さえて磁束センサ10を筐体200aに固定、保持することにより、検知部10aの固定の不安定さに起因する誤検知あるいは検知不能をなくすことができる。
また、一対の押さえ253は、軸状突起252a,252bを支点としてカバー250を回動させる際の回動軸(軸状突起252aと252bの回動中心を結ぶ仮想直線)に対して直交する方向に延在させて形成されており、この回動軸側、つまり軸状突起252a,252bに近い側が自由端となっている。カバー250は、磁束センサ10を背面側から弾性的に押圧することで、その反力によって押し戻されるが、この押し戻される方向の力を固定用突起255a,255bと縦リブ212a,212bの溝213a,213bとのスナップフィットで受ける構造となっている。
ここで、カバー250をスナップフィット構造で保持するためには、上述した回転軸回りの力のモーメントを考えると、回転軸位置から反力を受ける位置までの距離と当該反力との積よりも、回転軸位置から固定用突起255a,255bまでの距離とスナップフィット構造によるカバー250の保持力との積の方が大きい必要があるといえる。そのため、一対の押さえ253を回動軸側である軸状突起252a,252bに近い側が自由端となるように構成すると、回動軸から遠い側に自由端が形成されている構成に比べ大きな反力を、同じスナップフィット構造を用いて受けることができる。言い換えれば、回転軸位置から反力を受ける位置までの距離が短くなる分だけ、カバー250によって磁束センサ10を背面側から弾性的により強く押圧することができるようになる。
なお、押さえ253には、上部に押さえ面253aが形成されている。カバー250の取り付け動作に伴って、この押さえ面253aが磁束センサ10の基板10bの背面側に接触し、基板10bをサブホッパー200の筐体200aに押し付ける(図30C→図30D)。押さえ面253aは面的に基板10bを押さえるので、磁束センサ10は応力集中を伴うことなく確実に磁束センサ保持部210の筐体200aに固定、保持することができる。
距離保持用の突起257a,257bは、磁束センサ10の基板10bの裏面側(反振動板201側)の面に形成された基板10bのパターンおよび回路要素を保護するための突起である。前記突起257a,257bは、基板10bの裏面からの離間距離を所定距離に保持し、カバー250が基板10bのパターンおよび回路要素に対して接触することのないようにしている。
図27は、カバーが取り付けられたサブホッパー200をカバーの背面側から見た正面図である。同図からカバー250の上部では、軸状突起252a,252bが縦リブ212a,212bの上端の2箇所の溝部211a,211bにそれぞれ嵌め込まれて位置決めされていることが分かる。また、同図から、一対の押さえ253により基板10bの背面側を押さえた状態で、縦リブ212a,212bの下部の2箇所で固定用突起255a,255bにより固定されていることが分かる。
図28A〜図28Dは、磁束センサ10をサブホッパー200の筐体200aに取り付けるときのカバー250の取り付け動作を示す説明図である。
磁束センサ10をサブホッパー200の筐体200aに取り付ける場合には、まず両面テープによって磁束センサ10の基板10bを筐体200aの磁束センサ保持部210側の面に取り付ける。図28Aは磁束センサ10を両面テープによって取り付けたときの状態を示す図である。その際、基板10bに形成された位置決め用の切り欠き10c(図23参照)が磁束センサ保持部210の筐体200a側に設けられた突起に挿入され、基板10b、すなわち磁束センサ10の筐体200aに対する位置決めがなされる。この位置決めにより、筐体200aを隔てて振動板201と対向する位置が規定される。
この状態から図28Aに示すカバー250の軸状突起252a,252bを図28Bに示すように縦リブ212a,212bの上端に形成された溝部211a,211bに挿入する。図28Cは挿入を完了したときの状態を示す。なお、図28Cでは、カバー250はほぼ水平な状態で挿入されているが、軸状突起252a,252bの溝部211a,211bに嵌まり込む部分は円柱形であり、溝部211a,211bは角溝なので、斜めの状態でもスムーズに挿入することができる。
図28Cの状態から、軸状突起252a,252bを支点としてカバー250を図において時計回り方向に回動させ、固定用突起255a,255bが縦リブ212a,212bに突き当たった後、さらに押し込む。これにより前述のスナップフィットにより固定用突起255a,255bが縦リブ212a,212bに形成された溝213a,213bに嵌まり込み、カバー250が磁束センサ保持部210に固定される。この状態を図28Dに示す。この過程で、押さえ253が基板10bの背面側に当り、押さえ253を弾性変形させながら回動し、前記スナップフィットにより固定する。したがって、基板10bには、押さえ253の弾性変形による反力に相当する押圧力が作用し、基板10bは筐体200aの外面に確実に固定され、その状態が保持される。
図29は図28Dの状態における振動板201と磁束センサ10とカバー250との関係を示す側面図、図30は同平面図である。これらの図から、距離保持用の突起257a,257bによって所定の間隔が保持された状態で、押さえ253が基板10bの背面側に当って押さえていることが分かる。なお、磁束センサ10と振動板201との間のサブホッパー200の筐体200aは、図29および図30では省略されている。
このように磁束センサ10は初期では、両面テープでサブホッパー200の筐体200aに固定されている。そのため、両面テープの接着不良、あるいは誤って磁束センサ10の剥がれ方向に負荷をかけてしまう等の粘着力が低下される要因があった場合、固定が不安定になる。しかし、本実施例のように、両面テープの粘着力を保持するために押さえ253を設けると、磁束センサ10の位置を初期の取り付け位置に確実に保持することができる。
図31は、押さえによって磁束センサを押圧したときの押さえと磁束センサの押圧状態を示す図である。押さえ253は前述のように撓むことができる片持ち梁形状に形成されていることから、本実施例では磁束センサ10と押さえ253とを0.2mm干渉させて磁束センサ10を押し付けるようにしている。ここでいう0.2mmの干渉とは、基板10bの押圧による撓み(歪)量と押さえ253の撓み量との合計が0.2mmという意である。なお、この数値は、基板10bの厚さや材質、押さえ253の厚さ、材質、腕の長さなどの各要素によって異なる。損ため、前記数値は、単なる例示であり、この数値に限定されるものではない。また、押さえは弾性的に撓むことができるので、磁束センサ10を押さえる際に、カバー250の取り付けが困難になることはない。
以上のように、本実施形態によれば、次のような効果を奏する。なお、以下の説明では、特許請求の範囲における各構成要素と本実施形態の各部について対応を取り、両者の用語が異なる場合には後者をかっこ書きで示し、両者の対応関係を明確にした。
(1) 流動性を有する粉体(トナー206)の容器(サブホッパー200)内における残量を検知する本実施形態に係る粉体検知装置(振動板201、磁束センサ10、コントローラ20)が、対向する空間を通る磁束の状態に応じた周波数の信号を出力する発振部(磁束センサ10)と、前記容器(サブホッパー200)内に配置され、前記容器(サブホッパー200)の筐体200aを介して前記発振部(磁束センサ10)と対向するとともに、前記発振部(磁束センサ10)と対向する方向に振動し、磁束に影響する素材によって形成された振動部(振動板201)と、回転駆動手段(撹拌モータ204a)によって回転駆動され、前記振動部(振動板201)を振動させるとともに、前記粉体(トナー)を撹拌する撹拌部材(205)と、前記発振部(磁束センサ10)の発振信号の周波数に関する周波数関連情報を所定の周期で取得し、前記振動部(振動板201)の振動に応じて変化する前記周波数関連情報の変化に基づいて前記振動部(振動板201)の振動状態を検知し、その検知結果に基づいて前記容器(サブホッパー200)内の粉体(トナー206)の残量を検知する検知処理部(CPU21)と、前記発振部(磁束センサ10)を前記容器(サブホッパー200)の筐体200aに押し付けて固定するカバー250と、を備えたので、カバー250によって発振部(磁束センサ10)を押さえるだけで発振部(磁束センサ10)を容器(サブホッパー200)の筐体200aに固定することができる。
その際、発振部(磁束センサ10)は、画像形成装置本体側ではなく、容器(サブホッパー200)側に取り付けられるので、画像形成装置本体側に粉体検知装置を取り付けるスペースが不要となり、省スペース化を図ることができる。
また、カバー250によって押さえた状態が維持できるので、発振部(磁束センサ10)が筐体200aから脱落するおそれがなくなり、信頼性の向上を図ることができる。
さらに、カバー250で発振部(磁束センサ10)押さえ付けるだけで固定するので、簡単な作業で確実に発振部(磁束センサ10)を容器(サブホッパー200)に取り付けることができる。
(2) 前記(1)に係る粉体検知装置において、前記カバー250が、前記発振部(磁束センサ10)の検知部10a領域内の基板10bの背面側を弾性的に押圧する押圧部材(押さえ253)を備えたので、確実に検知部10aを固定することができる。このようにして弾性的に押さえて磁束センサ10を筐体200aに固定、保持することにより、検知部10aの固定の不安定さに起因する誤検知あるいは検知不能をなくすことができる。
(3) 前記(2)に係る粉体検知装置において、前記押圧部材(押さえ253)の前記基板10bの背面側と接触する部分(押さえ面253a)が面接触なので、応力集中を伴うことなく基板10bを確実に磁束センサ保持部210の筐体200aに固定、保持することができる。
なお、特許文献1記載の技術では、ボス部は磁気ブリッジセンサの検知ヘッドの中心の真裏にくるように設けられている。そして、センサホルダを装置本体に取り付けた際に、点接触で接触させ、この点を中心として2方向の傾きに対して自由度を持つ構成となっており、本実施形態とは構成が明らかに相違する。
(4) 前記(2)または(3)に係る粉体検知装置において、前記カバー250が前記発振部(磁束センサ)から導出されるハーネス10fを保持するハーネス保持部(ハーネスガイド254)を備えたので、ハーネス10fを確実にカバー250側で保持することができる。
(5) 前記(4)に係る粉体検知装置において、前記カバー250が、前記ハーネス10fが接続される前記基板10bのコネクタ10dを通すコネクタ挿入口251を備えたので、突出したコネクタ10d部分をよけて基板10bを押すことができる。
(6) 前記(4)または(5)に記載の粉体検知装置において、前記ハーネス保持部(ハーネスガイド254)は、前記ハーネス10fを前記発振部が形成された検知部10aから外れた位置を通す位置に形成されているので、検知部10aに対してハーネス10fによる信号障害の発生を防止することができる。
(7) 前記(2)ないし(6)のいずれかに記載の粉体検知装置において、前記カバー250が、前記容器(サブホッパー200)の筐体200aに回動可能に支持される軸状突起252a,252bと、前記容器(サブホッパー200)の筐体200aに弾性的に嵌め合わされる嵌め合い部(固定用突起255a,255b)と、を備え、前記カバー250が前記軸状突起252a,252bによって支持された状態で前記嵌め合い部(固定用突起255a,255b)が前記筐体200aに嵌め合わされたとき、前記押圧部材(押さえ253)が前記基板10bの背面側を弾性的に押圧した状態となるので、カバー250を軸状突起252a,252bと嵌め合い部(固定用突起255a,255b)により筐体200aの所定の部分に取り付けるだけで、基板10bを確実に筐体200a側に固定し、保持させることができる。
(8) 前記(1)ないし(7)のいずれかに係る粉体検知装置(振動板201、磁束センサ10、コントローラ20)と、現像装置(現像器)112によって潜像を顕像化する画像形成手段(画像形成部106)と、を備え、前記現像器112が前記粉体検知装置を含む本実施形態に係る画像形成装置によれば、前記(1)ないし(7)に記載した効果をそうする画像形成装置を構成することができる。
(9) 対向する空間を通る磁束の状態に応じた周波数の信号を出力する発振部(磁束センサ10)と、容器(サブホッパー200)内に配置され、前記容器(サブホッパー200)の筐体200aを介して前記発振部(磁束センサ10)と対向するとともに、前記発振部(磁束センサ10)と対向する方向に振動し、磁束に影響する素材によって形成された振動部(振動板201)と、回転駆動手段(撹拌モータ204a)によって回転駆動され、前記振動部(振動板201)を振動させるとともに、前記粉体(トナー206)を撹拌する撹拌部材205と、前記発振部(磁束センサ10)の発振信号の周波数に関する周波数関連情報を所定の周期で取得し、前記振動部の振動に応じて変化する前記周波数関連情報の変化に基づいて前記振動部(振動板201)の振動状態を検知し、その検知結果に基づいて前記容器(サブホッパー200)内の粉体(トナー206)の残量を検知する検知処理部(CPU21)と、を備え、流動性を有する粉体(トナー206)の容器(サブホッパー200)内における残量を検知する粉体検知装置(振動板201、磁束センサ10、コントローラ20)の前記発振部(磁束センサ10)の取り付け方法であって、前記発振部(磁束センサ10)をカバー250により前記容器(サブホッパー200)の筐体200aに押し付けて固定するので、カバー250によって発振部(磁束センサ10)を押さえるだけで発振部(磁束センサ10)を容器(サブホッパー200)の筐体200aに固定することができる。その他、前記(1)と同様の効果を奏する。
(10) 前記(9)に係る粉体検知装置の発振部(磁束センサ10)の取り付け方法であって、前記発振部(磁束センサ10)が形成された基板10bを、当該発振部(磁束センサ10)の検知部10aが形成された側を前記容器(サブホッパー200)の筐体200aに対向させて両面テープによって貼り付け、前記カバー250の前記基板10bの前記検知部10aが形成されていない側で、前記カバー250の上部側に形成された軸状突起252a,252bを前記筐体200aに回動可能に支持させ、前記カバー250の下部側に形成された嵌め合い部(固定用突起255a,255b)を前記筐体200aの嵌め合い溝(溝213a,213b)に弾性的に嵌め合わせ、前記カバー250が前記軸状突起252a,252bによって支持された状態で前記嵌め合い部(固定用突起255a,255b)が前記筐体200aの嵌め合い溝(溝213a,213b)に嵌め合わされたとき、前記カバー250に形成された押圧部材(押さえ)253が前記基板10bの背面側を弾性的に押圧し、前記基板10bを前記筐体200aに固定するので、カバー250を軸状突起252a,252bと嵌め合い部(固定用突起255a,255b)により筐体200aの所定の部分に取り付けるだけで、基板10bを確実に筐体200a側に固定し、保持させることができる。
また、本実施形態では、磁束センサ10をカバー250によって押さえるように構成したので、
・誤って磁束センサ10に剥がれ方向の負荷をかけることがない。
・磁束センサ10の基板10bを保護することができる。
・磁束センサ10の基板10bにおけるショートを防止することができる。
・磁束センサ10から延びるハーネス10fを束ね、ハーネスガイド254にハーネス10fを固定することができる。
などの効果も奏する。
なお、本発明は前述した実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。前記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。