以下、図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。本実施形態においては、電子写真方式の画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像を現像する現像器と、現像剤であるトナーの供給元である容器との間でトナーを保持するサブホッパーにおけるトナーの残量検知を例として説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置100に含まれる画像形成出力のための機構を示す側面図である。図1に示すように、本実施形態に係る画像形成装置100は、無端状移動手段である搬送ベルト105に沿って各色の画像形成部106K〜106Yが並べられた構成を備えるものであり、所謂タンデムタイプといわれるものである。すなわち、給紙トレイ101から給紙ローラ102により分離給紙される用紙(記録媒体の一例)104に転写するための中間転写画像が形成される中間転写ベルトである搬送ベルト105に沿って、この搬送ベルト105の搬送方向の上流側から順に、複数の画像形成部(電子写真プロセス部)106Y、106M、106C、106K(以降、総じて画像形成部106とする)が配列されている。
また、給紙トレイ101から給紙された用紙104は、レジストローラ103によって一度止められ、画像形成部106における画像形成のタイミングに応じて搬送ベルト105からの画像の転写位置に送り出される。
複数の画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像をそれぞれ形成する。尚、以下の説明においては、画像形成部106Yについて具体的に説明するが、他の画像形成部106M、106C、106Kは画像形成部106Yと同様であるので、その画像形成部106M、106C、106Kの各構成要素については、画像形成部106Yの各構成要素に付したYに替えて、M、C、Kによって区別した符号を図に表示するにとどめ、説明を省略する。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、即ち無端状ベルトである。この駆動ローラ107は、不図示の駆動モータにより回転駆動させられ、この駆動モータと、駆動ローラ107と、従動ローラ108とが、無端状移動手段である搬送ベルト105を移動させる駆動手段として機能する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yが、ブラックのトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体としての感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み装置111、現像器112Y、感光体クリーナ113Y、除電器(図示せず)等から構成されている。光書き込み装置111は、夫々の感光体ドラム109Y、109M、109C、109K(以降、総じて「感光体ドラム109」という)に対して光を照射するように構成されている。
画像形成に際し、感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのイエロー画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をイエロートナーにより可視像化し、このことにより感光体ドラム109Y上にイエローのトナー画像が形成される。
このトナー画像は、感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接若しくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にイエローのトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yは、外周面に残留した不要なトナーを感光体クリーナ113Yにより払拭された後、除電器により除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたイエローのトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にマゼンタのトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたイエローの画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたイエロー、マゼンタのトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたシアンのトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたブラックのトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された用紙104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置若しくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104は更に搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置の外部に排紙される。
また、搬送ベルト105に対してベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、図1に示すように、搬送ベルト105から用紙104への画像の転写位置の下流側であって、感光体ドラム109よりも上流側において搬送ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードであり、搬送ベルト105の表面に付着したトナーを掻きとる顕色剤除去部である。
次に、現像器112に対してトナーを供給するための構成について図2を参照して説明する。CMYK各色においてトナーの供給構成は概ね共通しており、図2においては1つの現像器112に対する供給構成を示す。トナーはトナーボトル117に収容されており、図2に示すように、トナーボトル117からトナーボトル供給路120を介してサブホッパー200にトナーが供給される。
サブホッパー200は、トナーボトル117から供給されるトナーを一時的に保持し、現像器112内部のトナー残量に応じて現像器112にトナーを供給する。サブホッパー200からサブホッパー供給路119を介して現像器112にトナーが供給される。トナーボトル117内部のトナーが無くなってサブホッパー200にトナー画供給されなくなり、サブホッパー200内部のトナー量が少なくなった状態を検知することが本実施形態に係る要旨である。
図3は、本実施形態に係るサブホッパー200の概観を示す斜視図である。図3に示すように、サブホッパー200を構成する筐体の外壁には磁束センサ10が取り付けられている。図3においてサブホッパー200の上部は開口となっており、この開口に対してトナーボトル供給路120の形成されたカバーが取り付けられる。また、サブホッパー200内部に保持されているトナーは図3に示すサブホッパー供給路119から送り出される。
図4は、サブホッパー200の内部を示す斜視図である。図4に示すように、サブホッパー200内部の内壁には振動板201が設けられている。振動板201が設けられた内壁は図3において磁束センサ10が取り付けられている外壁の裏側である。従って、振動板201は磁束センサ10に対向するように配置されている。
振動板201は、長方形の板状の部品であり、長手方向の一端がサブホッパー200の筐体に固定された片持ち状態で配置されている。また、振動板201の長手方向において固定されていない側の端部には重り202が配置されている。
重り202は、振動板201が振動した場合の振動数を調整する機能や、振動板201を振動させるための機能を担う。また、振動板201の近傍には金属棒203が配置されている。金属棒203の機能については後述する。
サブホッパー200内部においては、内部のトナーを撹拌するための構成として、回転軸204及び撹拌部材205が設けられている。回転軸204は、サブホッパー200内部で回転する軸である。この回転軸204に撹拌部材205が固定されており、回転軸204の回転に伴って撹拌部材205が回転してサブホッパー200内部のトナーが撹拌される。また、振動板201の長手方向は、回転軸204の軸方向と略平行に配置されている。
また、撹拌部材205は、トナーの撹拌に加えて、回転により振動板201に設けられた重り202を弾く機能を担う。これにより、撹拌部材205が1周回転する毎に重り202が弾かれて振動板201が振動する。即ち、振動板201が振動部として機能すると共に、撹拌部材205が振動付与部として機能する。この振動板201の振動を検知することによりサブホッパー200内部におけるトナーの残量を検知することが本実施形態に係る要旨である。
次に、本実施形態に係る磁束センサ10の内部構成について図5を参照して説明する。図5に示すように、本実施形態に係る磁束センサ10は、コルピッツ型のLC発振回路を基本とする発振回路であり、平面パターンコイル11、パターン抵抗12、第一コンデンサ13、第二コンデンサ14、フィードバック抵抗15、アンバッファIC16、17及び出力端子18を含む。
平面パターンコイル11は、磁束センサ10を構成する基板上に平面状にパターニングされた信号線によって構成される平面状のコイルである。図5に示すように、平面パターンコイル11は、コイルによって得られるインダクタンスLを有する。平面パターンコイル11は、コイルが形成された平面に対向する空間を通る磁束によってインダクタンスLの値が変化する。その結果、本実施形態に係る磁束センサ10は、平面パターンコイル11のコイル面が対向する空間を通る磁束に応じた周波数の信号を発振する発振部として用いられる。
パターン抵抗12は、平面パターンコイル11と同様に基板上に平面状にパターニングされた信号線によって構成される抵抗である。本実施形態に係るパターン抵抗12は、つづら折り状に形成されたパターンであり、これによって直線状のパターンよりも電流の流れにくい状態を作り出している。このパターン抵抗12を設けることが本実施形態に係る要旨の1つである。尚、つづら折り状とは、換言すると、所定の方向に対して複数回往復させるように折り曲げた形状である。図5に示すように、パターン抵抗12は、抵抗値RPを有する。図5に示すように、平面パターンコイル11とパターン抵抗12とは直列に接続されている。
第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14は、平面パターンコイル11と共にコルピッツ型LC発振回路を構成する容量である。従って、第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14は、平面パターンコイル11及びパターン抵抗12と直列に接続されている。平面パターンコイル11、パターン抵抗12、第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14によって構成されるループによって共振電流ループが構成される。
フィードバック抵抗15は、バイアス電圧を安定化させるために挿入される。アンバッファIC16及びアンバッファIC17の機能により、共振電流ループの一部の電位の変動が、共振周波数に応じた矩形波として出力端子18から出力される。
このような構成により、本実施形態に係る磁束センサ10は、インダクタンスL、抵抗値RP、第一コンデンサ13及び第二コンデンサ14の静電容量Cに応じた周波数fで発振する。周波数fは、以下の式(1)によって表すことが出来る。
そして、インダクタンスLは、平面パターンコイル11の近傍における磁性体の存在やその濃度によっても変化する。従って、磁束センサ10の発振周波数により、平面パターンコイル11近傍の空間における透磁率を判断することが可能となる。
また、上述したように、本実施形態に係るサブホッパー200における磁束センサ10は、筐体を介して振動板201と対向して配置されている。従って、平面パターンコイル11によって発生する磁束は振動板201を通ることとなる。即ち、振動板201が平面パターンコイル11によって生成される磁束に影響し、インダクタンスLに影響を与える。結果的に、振動板201の存在が磁束センサ10の発振信号の周波数に影響することとなる。これが、本実施形態に係る要旨の1つである。詳細は後述する。
図6は、本実施形態に係る磁束センサ10の出力信号のカウント値の態様を示す図である。磁束センサ10に含まれる平面パターンコイル11によって発生する磁束に変化がなければ、原則として磁束センサ10は同一の周波数で発振を続ける。その結果、図6に示すように、時間経過に応じてカウンタのカウント値は一様に増加し、図6に示すように、t1、t2、t3、t4、t5夫々のタイミングにおいて、aaaah、bbbbh、cccch、ddddh、AAAAhといったカウント値が取得される。
夫々のタイミングにおけるカウント値を、図6に示すT1、T2、T3、T4夫々の期間に基づいて計算することにより、夫々の期間における周波数が算出される。例えば、2(msec)に相当する基準クロックをカウントすると割込み信号を出力して周波数を計算する場合、夫々の期間におけるカウント値を2(msec)で割ることにより、図6に示すT1、T2、T3、T4夫々の期間における磁束センサ10の発振周波数f(Hz)を算出する。
また、図6に示すように、カウンタのカウント値の上限がFFFFhである場合、期間T4における周波数の算出に際して、FFFFhからddddhを引いた値と、AAAAhとの値の合計値を2(msec)で割ることにより発振周波数f(Hz)を算出することができる。
このように、本実施形態に係る画像形成装置100においては、磁束センサ10が発振する信号の周波数を取得し、その取得結果に基づいて磁束センサ10の発振周波数に対応する事象を判断することができる。そして、本実施形態に係る磁束センサ10においては、平面パターンコイル11に対向して配置されている振動板201の状態に応じてインダクタンスLが変化し、結果として出力端子18から出力される信号の周波数が変化する。
その結果、信号を取得するコントローラにおいては、平面パターンコイル11に対向して配置された振動板201の状態を確認することが可能となる。このようにして確認された振動板201の状態に基づいてサブホッパー200内部の顕色剤の状態を判断することが本実施形態に係る要旨の1つである。
尚、上述したように、発振信号のカウント値を期間で割ることにより周波数が求められるが、カウント値を取得する期間が固定であれば、周波数を示すためのパラメータとして、取得されたカウント値をそのまま用いることも可能である。
図7は、本実施形態に係る磁束センサ10の概観を示す斜視図である。図7においては、図5において説明した平面パターンコイル11及びパターン抵抗12が形成されている面、即ち、透磁率を検知するべき空間に対向させる検知面が上面に向けられている。
図7に示すように、平面パターンコイル11が形成された検知面においては、平面パターンコイル11と直列に接続されるパターン抵抗12がパターニングされている。図5において説明したように、平面パターンコイル11は平面上に螺旋状に形成された信号線のパターンである。また、パターン抵抗12は、平面上につづら折状に形成された信号のパターンであり、これらのパターンによって上述したような磁束センサ10の機能が実現される。
この平面パターンコイル11及びパターン抵抗12によって形成される部分が、本実施形態に係る磁束センサ10における透磁率の検知部である。磁束センサ10をサブホッパー200に取り付ける際には、この検知部が振動板201に対向するように取り付けられる。
次に、本実施形態に係る画像形成装置100において磁束センサ10の出力値を取得する構成について図8を参照して説明する。図8は、磁束センサ10の出力値を取得するコントローラ20及び磁束センサ10の構成を示す図である。図8に示すように、本実施形態に係るコントローラ20は、CPU(Central Processing Unit)21、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)22、タイマ23、水晶発振回路24、接触信号取得部25及び入出力制御ASIC30を含む。
CPU21は演算手段であり、ROM(Read Only Memory)等の記憶媒体に記憶されたプログラムに従って演算を行うことにより、コントローラ20全体の動作を制御する。ASIC22は、CPU21やRAM(Random Access Memory)等が接続されたシステムバスと他の機器との接続インタフェースとして機能する。
タイマ23は、水晶発振回路24から入力される基準クロックのカウント値が所定の値になる度に割込み信号を生成してCPU21に対して出力する。CPU21は、タイマ23から入力される割込み信号に応じて、磁束センサ10の出力値を取得するためのリード信号を出力する。水晶発振回路24は、コントローラ20内部の各デバイスを動作させるための基準クロックを発振する。
接触信号取得部25は、上述した撹拌部材205と振動板201に設けられた重り202との接触状態を示す信号を外部から取得する。この接触信号取得部25を含む撹拌部材05と重り202との接触状態の検知が、本実施形態に係る要旨の1つである。
入出力制御ASIC30は、磁束センサ10が出力する検知信号を取得して、コントローラ20内部において処理可能な情報に変換する。即ち、入出力制御ASIC30が、周波数関連情報生成部として機能する。図8に示すように入出力制御ASIC30は、透磁率カウンタ31、リード信号取得部32及びカウント値出力部33を含む。上述したように、本実施形態に係る磁束センサ10は、検知対象の空間における透磁率に応じた周波数の矩形波を出力する発振回路である。
透磁率カウンタ31は、そのような磁束センサ10が出力する矩形波に応じて値をインクリメントするカウンタである。即ち、透磁率カウンタ31が、周波数を算出する対象の信号の信号数をカウントする対象信号カウンタとして機能する。尚、本実施形態に係る磁束センサ10はCMYK各色の現像器112に接続される夫々のサブホッパー200毎に設けられており、それに伴って透磁率カウンタ31も複数設けられている。
リード信号取得部32は、CPU21からの透磁率カウンタ31のカウント値の取得命令であるリード信号を、ASIC22を介して取得する。リード信号取得部32は、CPU21からのリード信号を取得すると、カウント値出力部33にカウント値を出力させるための信号を入力する。カウント値出力部33は、リード信号取得部32からの信号に応じて、透磁率カウンタ31のカウント値を出力する。
尚、入出力制御ASIC30へのCPU21からのアクセスは、例えばレジスタを介して行われる。そのため、上述したリード信号は、入出力制御ASIC30に含まれる所定のレジスタにCPU21によって値が書き込まれることによって行われる。また、カウント値出力部33によるカウント値の出力は、入出力制御ASIC30に含まれる所定のレジスタにカウント値が格納され、その値をCPU21が取得することによって行われる。図8に示すコントローラ20は、磁束センサ10とは別個に設けられても良いし、CPU21を含む回路として磁束センサ10の基板上に実装されても良い。
このような構成において、CPU21がカウント値出力部33から取得したカウント値に基づいて振動板201の振動状態を検知し、その検知結果に基づいてサブホッパー200内部のトナー残量を検知する。即ち、所定のプログラムに従ってCPU21が演算を行うことにより、検知処理部が構成される。また、カウント値出力部33から取得されるカウント値が、振動板201の振動に応じて変化する磁束センサ10の周波数を示す周波数関連情報として用いられる。
次に、本実施形態に係る磁束センサ10の発振周波数に対する振動板201による影響について説明する。図9に示すように、磁束センサ10において平面パターンコイル11が形成されている面と振動板201とは、サブホッパー200の筐体を介して対向して配置されている。そして、図9に示すように、平面パターンコイル11の中央を中心とした磁束が発生し、その磁束が振動板201を貫くこととなる。
振動板201は、例えばSUS板によって構成されており、図10に示すように磁束G1が振動板201を貫くことによって振動板201内に渦電流が発生する。この渦電流が磁束G2を発生させ、平面パターンコイル11による磁束G1を打ち消すように作用する。このように磁束G1が打ち消されることにより、磁束センサ10におけるインダクタンスLが減少する。上記式(1)において示すように、インダクタンスLが減少すると発振周波数fは増大する。
平面パターンコイル11による磁束を受けて振動板201内部において発生する渦電流の強さは、磁束の強さの他、平面パターンコイル11と振動板201との間隔によっても変化する。図11は、平面パターンコイル11と振動板201との間隔に応じた磁束センサ10の発振周波数を示す図である。
振動板201内部に発生する渦電流の強さは、平面パターンコイル11と振動板201との間隔に反比例する。従って、図11に示すように、平面パターンコイル11と振動板201との間隔が狭くなるほど、磁束センサ10の発振周波数は高くなり、所定の間隔よりも狭くなると、インダクタンスLが低くなり過ぎて発振しなくなる。
本実施形態に係るサブホッパー200においては、図11に示すような特性を利用することにより、磁束センサ10の発振周波数に基づいて振動板201の振動を検知する。そのようにして検知した振動板201の振動に基づいてサブホッパー200内部のトナー残量を検知することが本実施形態に係る要旨である。即ち、図9に示す振動板201及び磁束センサ10、並びに磁束センサ10の出力信号を処理する構成が本実施形態に係る粉体検知装置として用いられる。この粉体検知装置は、トナー残量の検知に用いられれば顕色剤残量検知装置である。また、磁束センサ10が振動検知部として機能する。
撹拌部材205によって弾かれた振動板201の振動は、振動板201の剛性や重り202の重量によって定まる固有振動数と、その振動エネルギーを吸収する外的な要因によって定まる減衰率によって表される。振動エネルギーを吸収する外的な要因としては、振動板201を片持ち状態で固定する固定部の固定強度、空気抵抗等の固定要因に加えて、サブホッパー200内部において振動板201に接触するトナーの存在がある。
サブホッパー200内部において振動板201に接触するトナーは、サブホッパー200内部のトナー残量によって変動する。従って、振動板201の振動を検知することにより、サブホッパー200内部のトナー残量を検知することが可能となる。そのため、本実施形態に係るサブホッパー200内部においては、内部のトナーを撹拌するための撹拌部材205が振動板201を弾き、回転に応じて定期的に振動板201を振動させる。
次に、サブホッパー200内部における振動板201周辺の部品の配置や、撹拌部材205が振動板201を弾くための構成について説明する。図12は、振動板201の周辺の配置関係を示す斜視図である。図12に示すように、振動板201は固定部201aを介してサブホッパー200の筐体に固定されている。
図13は、回転軸204の回転状態として、撹拌部材205が振動板201に取り付けられた重り202に接触する前の状態を示す側面図である。図13において、回転軸204は、撹拌部材205が時計回りに回転するように回転する。
図13に示すように、重り202は、振動板201の板面から突出した突出部であると共に、側面から見た状態において振動板201の板面に対して傾斜を有する形状となっている。この傾斜は、撹拌部材205の回転方向に沿って斜面が回転軸204に近づくように構成されている。この重り202の傾斜面は、撹拌部材205が振動板201を弾いて振動させる際に撹拌部材205によって押される部分である。図14は、図13に示す状態から撹拌部材205が更に回転した状態を示す側面図である。
撹拌部材205が重り202に接触した状態で更に回転することにより、重り202に設けられた傾斜に伴って振動板201が押し込まれて変形することとなる。図14においては、外力が加わっていない状態(以降、「定常状態」とする)の振動板201及び重り202の位置を破線で示している。図14に示すように、振動板201及び重り202が撹拌部材205によって押し込まれる。
図15は、図14に示す状態を示す上面図である。振動板201は固定部201aを介してサブホッパー200の筐体内壁に固定されているため、固定部201a側の位置は変化しない。これに対して、重り202が設けられて自由端となっている反対側の端部は、撹拌部材205によって押し込まれることにより回転軸204が設けられた側とは反対側に移動する。結果的に、振動板201は固定部201aを基点として図15に示すように撓む。このように撓んだ状態において、振動板201を振動させるためのエネルギーが蓄えられる。
尚、図15に示すように、本実施形態に係る撹拌部材205は、重り202に接触する部分とそれ以外の部分との間に切り込み205aが設けられている。これにより、撹拌部材205が重り202を押し込む際に無理な力が加わって撹拌部材205が破損してしまうことを防ぐことが出来る。
また、切り込み205aの始点には丸型部205bが設けられている。これにより、切り込み205aを境に撹拌部材205の撓み量が異なった場合に切り込み205aの始点に加わる応力を分散し、撹拌部材205の破損を防ぐことが出来る。
図16は、図14に示す状態から更に撹拌部材205が回転した状態を示す側面図である。図16においては、定常状態における振動板201の位置を破線で、図14に示す振動板201の位置を一転鎖線で示している。そして、撹拌部材205によって押し込まれて蓄えられた振動エネルギーが解放されることにより反対側に撓んだ振動板201の位置を実線で示している。
図17は、図16に示す状態を示す上面図である。図16に示すように、撹拌部材205による重り202の押圧が解除されると、振動板201に蓄えられた撓みのエネルギーにより、自由端である重り202が設けられた側の端部が反対側に撓むように移動する。
図16、図17に示す状態において、振動板201は、サブホッパー200の筐体を介して対向している磁束センサ10から遠ざかった状態となる。以降、振動板201は振動することにより、磁束センサ10に対して定常状態よりも近づいた状態と、定常状態よりも遠ざかった状態とを繰り返しながら、振動の減衰によって定常状態に戻ることとなる。
図18は、サブホッパー200内部に保持されているトナーの状態を模式的にドットで示した図である。図18に示すようにサブホッパー200内部にトナーが存在すると、振動板201や重り202が振動しながらトナーに接触する。そのため、サブホッパー200内部にトナーが存在しない場合に比べて早く振動板201の振動が減衰する。この振動の減衰の変化に基づいてサブホッパー200内部のトナー残量を検知することが出来る。
図19は、撹拌部材205によって重り202が弾かれた後、振動板201の振動が減衰して振動が止まるまでの、所定期間毎の磁束センサ10の発振信号のカウント値の変化を示す図である。磁束センサ10の発振信号のカウント値は、発振周波数が高い程多くなる。従って、図19の縦軸は、カウント値ではなく発振周波数に置き換えることもできる。
図19に示すように、タイミングt1において撹拌部材205が重り202に接触して重り202を押し込むことにより、振動板201が磁束センサ10に近づいていく。これにより、磁束センサ10の発振周波数が上昇して所定期間毎のカウント値が上昇する。
そして、タイミングt2において撹拌部材205による重り202の押圧が解除され、以降、振動板201は蓄えられた振動エネルギーによって振動する。振動板201が振動することにより、振動板201と磁束センサ10との間隔が定常状態を中心として、それよりも広い状態と狭い状態とが繰り返される。その結果、磁束センサ10の発振信号の周波数が振動板201の振動に伴って振動することとなり、所定期間毎のカウント値も同様に振動する。
振動板201の振動の振幅は、振動エネルギーの消費に伴って狭くなっていく。即ち、振動板201の振動は時間と共に減衰する。そのため、振動板201と磁束センサ10との間隔の変化も時間経過と共に小さくなっていき、図19に示すように、カウント値の時間変化も同様に変化する。
ここで、上述したように、振動板201の振動は、サブホッパー200内部のトナー残量が多い程早く減衰する。従って、図19に示すような磁束センサ10の発振信号の振動の減衰の態様を解析することにより振動板201の振動がどのように減衰したかを認識し、それによってサブホッパー200内部のトナー残量を知ることが出来る。
そのため、図19に示すように、カウント値の振動のピークを夫々P1、P2、P3、P4、・・・とすると、例えば、以下の式(2)により、振動板201の振動の減衰率ζを求めることが出来る。式(2)に示すようにタイミングの異なるピーク値の割合を参照することにより、環境変動による誤差をキャンセルして正確な減衰率を求めることが出来る。換言すると、本実施形態に係るCPU21は、異なるタイミングにおいて取得されたカウント値の比率に基づいて減衰率ζを求める。
尚、上記式(2)においては、図19に示すピークのうちP1、P2及びP5、P6を用いたが、これは一例であり、他のピークを用いても良い。但し、振動板201が撹拌部材205によって押し込まれて磁束センサ10に最も近付いた状態であるタイミングt2におけるピーク値は、撹拌部材205と重り202との摩擦による摺動ノイズが重畳した誤差等を含むため、計算対象とはしないことが好ましい。
仮に図18に示すようにサブホッパー200内部のトナーの存在によって振動の減衰が早められる場合であっても、振動板201の振動数は大きくは変わらない。そのため、上記式(2)に示すように特定のピークの振幅の割合を計算することにより、所定期間における振幅の減衰を計算することが出来る。
このような構成において、正確に減衰率ζを求めるためには、図14に示す状態から図16に示す状態に遷移した後、振動板201が最も反対側に撓んだ状態におけるカウント値、即ち、図19に示すP1の値を正確に検知することが求められる。本実施形態においては、P1の値を正確に検知するため、撹拌部材205が振動板201を弾いたタイミングを正確に検知するための構成を含む。
図20は、撹拌部材205が振動板201を弾いたタイミングを正確に検知するための構成を示す図である。まず、本実施形態に係る構成の前提として、固定部201a、振動板201、重り202、撹拌部材205及び回転軸204は、導電性の部材で構成されている。
そして、振動板201には信号線201bが接続されており、信号線201bはコントローラ20に接続されている。他方、回転軸204は、アース40に接続されている。このような構成により、撹拌部材205が重り202に接触している間は、図20において破線で示すような経路で電流が流れ、コントローラ20に接続された信号線201bは接地されることとなる。
尚、図20においては、撹拌部材205が振動板201自体にも接触しているため、振動板201全体を導電性を有する部材で構成すると、撹拌部材205と振動板201との間にも電流が流れることとなる。
これに対して、図20に破線で示すような電流経路を実現するためには、例えば、撹拌部材205のうち重り202と接触する部分のみを導電性を有する素材で構成することが考えられる。また、振動板201自体を導電性を有する部材で構成するのではなく、振動板201に外側が絶縁された信号線を添付し、その信号線によって重り202と固定部201aとの間に電流が流れるようにしても良い。
撹拌部材205が振動板201を弾いて、撹拌部材205と重り202との接触が解除されると、振動板201、重り202側から、撹拌部材205、回転軸204側に電流が流れなくなる。その結果、信号線201bの接地が解除される。従って、コントローラ20は、信号線201bの電圧を参照することにより、撹拌部材205と重り202との接触状態を検知することが可能となる。即ち、信号線201bが、振動板201に付加された重り202と撹拌部材205との導通状態に応じた信号である接触信号を出力する接触信号出力部として機能する。このような構成が本実施形態に係る要旨の1つである。
尚、図20においては図示していないが、振動線201bには何らかの方法によって電圧が供給される。これにより、重り202と撹拌部材205とが接触していない状態においては信号線201bの電圧は供給された電圧となる。
他方、重り202と撹拌部材205とが接触すると、信号線201bが、固定部201a、振動板201、重り202、撹拌部材205及び回転軸204を介してアース40に設置されることにより、信号線201bの電圧が降下する。これにより、コントローラ20が上述したような検知を行うことが可能となる。尚、信号線201bへの電圧の供給は、コントローラ20から行ってもよいし、図示しない他の電源から行っても良い。
コントローラ20に接続された信号線201bの信号は、図8において説明した接触信号取得部25によって取得される。これにより、接触信号取得部25は、信号線201bの電圧を信号として取得し、CPU21が認識可能な情報に変換する。これにより、CPU21は、撹拌部材205と重り202との接触状態を検知する。
尚、固定部201aは、筐体の内側に配置される部材であるが、コントローラ20は筐体の外側に配置される。従って、信号線201bは、筐体の内側の電気信号を筐体の外側に出す必要がある。これは、例えば固定部201aを筐体に固定するビス孔を用いて筐体の外側に信号を出す態様を用いることが出来る。この場合、実際にビス孔に信号線を通す態様の他、金属で形成されたビスを信号経路として用いても良い。
次に、本実施形態に係るサブホッパー200におけるトナー残量検知の動作について図21のフローチャートを参照して説明する。図21に示すフローチャートの動作は、図8に示すCPU21の動作である。図21に示すように、CPU21は、上述した接触信号取得部25の検知に結果に基づき、撹拌部材205と重り202との接触が解除され、振動板201が弾かれたことを判断する(S2101)。
接触信号取得部25に入力される信号の電圧が設置された状態の電圧であれば、CPU21は、撹拌部材205と重り202とが接触していると判断する(S2101/NO)。そして、接触信号取得部25に入力される信号の電圧が変化すると、CPU21は、撹拌部材205と重り202との接触が解除されたと判断する(S2101/YES)。
接触解除の判断をしたCPU21は、図8において説明したように入出力制御ASIC30からのカウント値の取得を開始する(S2102)。そして、取得したカウント値に基づき、図19において説明したようなピーク値を取得する(S2103)
仮に、CPU21が常に入出力制御ASIC30からのカウント値を取得しているとすると、CPU21は所定期間毎にカウント値出力部33から磁束センサ10の出力信号のカウント値を取得する。このカウント値は、定常状態であれば図19に示すようにC0である。これに対して、図14に示すように重り202が押し込まれると、振動板201が磁束センサ10に近づくにつれてカウント値は上昇することとなる。
ここで、図19に示すようなカウント値の時系列変化に基づいてピーク値を取得した上で、上述した式(2)に示すような計算により減衰率ζを求める場合、重り202が弾かれた後の最初のピークであるP1を正確に判断することが重要となる。この判断は、例えばマイナス方向の振幅の絶対値が最も大きくなる点を採用することとなる。
しかしながら、図19に示すようなカウント値の波形は、重り202が撹拌部材205によって弾かれる度に、即ち、回転軸204の回転に応じて周期的に発生する。そのため、検知されたタイミングが本当にP1のタイミングであるか否かを判断するための確認処理が重要となる。
そのような確認の一例として、例えば、P1のタイミングとして認識されたタイミングよりも前の所定期間のカウント値を参照し、認識されたタイミングのカウント値との差分を算出することが考えられる。認識されたタイミングが真にP1のタイミングであれば、図19に示すように、算出された差分は相応に大きな値となる。従って、そのように算出された差分が所定の閾値以上であれば、認識されたタイミングが真にP1のタイミグであることを確認することが出来る。
しかしながら、撹拌部材205は撓む性質を有する部材であるため、重り202を押し込む過程において振動板201に大きな振動が生じる可能性がある。その結果、上述したP1として認識されたタイミングよりも前の所定期間のカウント値が図19に示すC0よりも小さくなってしまう場合もある。そのような場合、認識されたタイミングが真にP1のタイミングであるにも関わらず、誤認識であったと判断されてしまう。
これに対して、本実施形態に係るコントローラ20においては、S2101において撹拌部材205と重り202との接触が解除されたと判断されたタイミング、即ち、図19におけるタイミングt2以降のカウント値のみが取得される。従って、取得されたカウント値のうち、マイナス方向の振幅の絶対値が最も大きいタイミングの値をP1として認識することにより、P1を正確に検知することが出来る。
図22は、S2103におけるピーク値の取得処理におけるカウント値の解析態様を示す図である。図22においては、所定期間毎に取得されるカウント値について、夫々のカウント値の“番号n”、“カウント値Sn”に加えて、直前のカウント値との差分の符号“Sn−1−Sn”が、取得順に示されている。図22に示すような結果において、“Sn−1−Sn”の符号が反転した1つ前の値がピーク値である。図22の場合、5番及び10番がピーク値として採用される。
即ち、CPU21は、S2102以降、順番に取得されたカウント値について、図22に示す“Sn−1−Sn”を計算する。そして、計算結果として得られる符号が反転したタイミングにおける“カウント値Sn”を図19に示すP1、P2、P3・・・といったピーク値として採用する。
尚、上述したように、タイミングt2における値は避けることが好ましい。タイミングt2の値は、S2102の後の最初のピークである。そのため、CPU21は、図22に示すような解析を行って抽出したピーク値のうち、最初の値は破棄する。
また、実際に得られるカウント値は、高周波成分のノイズを含んでいる可能性があり、振動板201の振動によるピークではない位置において“Sn−1−Sn”の符号が反転するタイミングが生じる場合がある。そのような場合の誤検知を回避するため、CPU21は、カウント値出力部33から取得した値を平滑化処理した上で図22に示す解析を行うことが好ましい。平滑化処理においては移動平均法などの一般的な処理を採用することができる。
このようにしてピーク値を取得すると、CPU21は上記式(2)の計算により減衰率ζを計算する(S2104)。このため、S2103においては、減衰率の計算に用いるピーク値が得られるまで、図22に示す態様によりカウント値の解析を行う。上記式(2)を用いる場合、CPU21は、P6に相当するピーク値が得られるまでカウント値の解析を行う。
このようにして減衰率ζを算出すると、CPU21は、算出した減衰率ζが所定の閾値以下であるか否かを判断する(S2105)。即ち、CPU21は、異なるタイミングにおいて取得されたカウント値の比率と所定の閾値との大小関係に基づいて、サブホッパー200内部のトナーが所定の量を下回ったことを判断する。図18において説明したように、サブホッパー200内部に十分なトナーが残っている場合、振動板201の振動は早く減衰する。従って、減衰率ζは小さくなる。
他方、サブホッパー200内部のトナーが減少すると、それに応じて振動板201の振動の減衰が遅くなり、減衰率ζは大きくなる。従って、検知するべきトナー残量に応じた減衰率ζSを閾値とすることにより、算出された減衰率ζに基づいて、サブホッパー200内部のトナー残量が検知するべき残量(以降、「規定量」とする)にまで減少したことを判断することが可能である。
尚、サブホッパー200内部のトナー残量が、振動板201の振動の減衰態様に直接影響するのではなく、トナー残量に応じて振動板201に対するトナーの接触状態が変化し、それによって振動板201の振動の減衰態様が定まる。従って、サブホッパー200内部のトナー残量が同量であっても、振動板201に対するトナーの接触態様が異なれば、振動板201の減衰態様は異なってしまう。
これに対して、本実施形態に係るサブホッパー200内部のトナー残量の検知に際しては、常に撹拌部材205によってサブホッパー200内部のトナーは撹拌されている。従って、振動板201に対するトナーの接触状態を、ある程度はトナー残量に応じて定まるようにすることが出来る。これにより、トナー残量が同量であっても振動板201に対するトナーの接触態様が異なることにより、検知結果が異なってしまうという弊害を回避することが出来る。
S2105の判断の結果、算出した減衰率ζが閾値未満であれば(S2105/NO)、CPU21は、サブホッパー200内部には十分な量のトナーが保持されていると判断し、そのまま処理を終了する。他方、算出した減衰率ζが閾値以上であれば(S2105/YES)、CPU21は、サブホッパー200内部のトナー量が規定量を下回っていると判断し、トナー切れ検知を行って処理を終了する(S2106)。
S2106の処理によりトナー切れ検知を行ったCPU21は、画像形成装置100を制御するより上位のコントローラに対して、トナー残量が規定量を下回ったことを示す信号を出力する。これにより、画像形成装置100のコントローラは、特定の色についてのトナー切れを認識し、トナーボトル117からトナーの供給を行うことが可能となる。
次に、本実施形態に係る磁束センサ10の発振信号の周波数、CPU21によるカウント値の取得周期(以降、「サンプリング周期」とする)、振動板201の固有振動数の関係について説明する。図23は、振動板201の1周期分における振動について、サンプリングされたカウント値を示す図である。図23において、振動板201の振動の周期はTplateであり、サンプリング周期はTsampleである。
図19、図21、図22において説明した態様により振動板201の減衰率ζを高精度に算出すためには、振動板201の振動のピーク値を高精度に取得する必要がある。そのためには、Tplateに対して十分なカウント値のサンプル数が必要であり、そのためにTsampleはTplateに対して十分小さい必要がある。
図23の例においては、Tplateの1周期に対してカウント値のサンプル数は10個である。即ち、TsampleはTplateの1/10である。図23の態様によれば、図中のTpeakの期間内に必ずサンプリングを行うこととなり、ピーク値を高精度に取得することが可能である。
従って、仮にCPU21のサンプリング周期Tsampleを1msとすると、振動板201の振動周期Tplateは10ms以上とすることが好ましい。換言すると、CPU21のサンプリング周波数1000Hzに対して、振動板201の固有振動数は100Hz程度であることが好ましく、より好適にはそれ以下であることが好ましい。このような振動板201の固有振動数は、振動板201の材質、振動板201の厚みをはじめとした寸法及び重り202の重量を調整することによって実現される。
他方、サンプリング周期毎にサンプリングされるカウント値の値が小さすぎると、振動板201の振動に応じたサンプルごとのカウント値の変化が小さくなり、減衰率ζを精度よく算出することが出来なくなる。ここで、サンプリングされるカウント値の値は磁束センサ10の発振周波数に準じた値となる。
一般的に磁束センサ10の発振周波数は数MHzのオーダーであり、1000Hzのサンプリング周波数でサンプリングを行う場合、サンプリングタイミング毎に1000以上のカウント値を得ることが出来る。従って、上述したようなTplate、Tsampleのオーダーにより、減衰率ζを高精度に算出することが可能である。
但し、振動板201の振動による磁束センサ10と振動板201との間隔の変化に対して、磁束センサ10の発振周波数の変化量が十分になければ、図19に示すような時間に対するカウント値の振動の振幅が小さくなってしまう。その結果、減衰率ζの変化も小さくなってしまい、振動板201の振動によるトナー残量検知の精度も低下してしまう。
磁束センサ10と振動板201との間隔の変化に対する磁束センサ10の発振周波数の変化量を大きくするためには、図11に示すような特性に基づいて、磁束センサ10と振動板201との配置間隔を決定する必要がある。例えば、図中の矢印の区間に示すように、磁束センサ10と振動板201との間隔の変化に対する発振周波数の変化が急峻な範囲に含まれる間隔を、磁束センサ10と振動板201との配置間隔として決定することが好ましい。
図24は、磁束センサ10と振動板201との配置間隔の調整態様を示す図である。図24に示すように、磁束センサ10と振動板201との配置間隔gの調整は、磁束センサ10及び振動板201が取り付けられるサブホッパー200の筐体200aの厚みや、振動板201が固定される固定部201aの厚みによって調整することが可能である。
以上、説明したように、本実施形態に係るトナーの残量検知の方法によれば、振動板201の振動というデリケートな事象に対するトナーの影響を検知する。また、トナーの圧力等を直接検知する態様とは異なり、振動板の振動を介して検知するため、精度の向上が困難な圧力センサなどを用いることがなく、容器内のトナーの残量を高精度に検知することが可能となる。
そして、図20に示すような構成を用いて撹拌部材205が重り202を弾いたタイミングt2を判断し、そのタイミング以降のカウント値を取得して解析対象とする。これにより、減衰率ζの算出に際して重要なピーク値であるP1及びそのタイミングを高精度に検知することが可能となる。
また、本実施形態においてセンサとして用いられる磁束センサ10によるセンシングの対象となる振動板201は振動していることが前提である。そのため、仮に振動板201にトナーが付着したとしても、振動によって付着したトナーが振り落されることとなり、トナーの付着による検知精度の低下を避けることが可能である。
また、本実施形態においてセンサとして用いられる磁束センサ10とセンシングの対象である振動板201との間には物理的な接触が不要である。そのため、磁束センサ10をトナーの容器の外側に設けたとしても、容器の筐体に穴をあけて物理的なアクセスを確保する必要がない。そのため、容易に取り付け可能であり生産性を向上することが可能である。
また、本実施形態に係る態様によれば、トナー残量の検知は、S2101において撹拌部材205と重り202との接触が解除されたことをトリガとし、その後のピーク値を取得した上で実行される。従って、振動板201が撹拌部材205によって図14に示すように押し込まれている状態ではトナー残量の検知結果は得られない。
これに対して、圧力センサ等によりトナー残量に応じた圧力を検知する態様の場合、容器内においてトナーを撹拌する撹拌部材によって押し付けられた圧力と、トナー残量に応じて発生する圧力との区別が困難であり、検知精度の向上が困難である。本実施形態に係る態様によれば、このような課題を解決することができる。
尚、上記実施形態においては、磁束センサ10によるセンシングの対象として、金属素材の板状部材である振動板201を用いる場合を例として説明した。しかしながらこれは一例である。振動板201に求められる条件は、図23において説明したような所定の振動数による振動を生じること、磁束センサ10との間隔の変化に応じて磁束に影響を与え、磁束センサ10の発振信号の周波数に影響を与えることである。
上記実施形態においては、磁束センサ10に近づくほど磁束を打ち消してインダクタンスLを減少させる金属材料を用いているが、逆に磁束センサ10に近づくほど磁束を増大させてインダクタンスLを増大させる強磁性体の材料でも良い。
上記実施形態においては、磁束センサ10の平面パターンコイル11によって生じる磁束に影響を与える観点や固有振動数の観点から板状の部材である振動板201を磁束センサ10のセンシング対象としている。しかしながらこれは一例であり、振動すること及び磁束に影響することという条件を満たす限り、板状に限らず棒状の部品であっても良い。
また、上記実施形態においては、磁束に影響を与える素材を用いて振動板201を形成し、磁束センサ10によって振動板201の振動の減衰を検知する態様を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、板状の部材の振動の減衰というデリケートな事象に対するトナーの影響により容器内のトナーの残量を検知する態様であれば良い。
従って、磁束センサ10を設けると共に振動板201を磁束に影響を与える素材で形成する態様に限らず、容器内に設けられた振動板201の振動を検知する機能を設けることにより上記と同様の効果を得ることが可能である。そのような態様としては、例えは、振動板201の振動が伝わる位置に振動を直接検知するためのセンサを設ける態様が考えられる。センサを設ける位置としては、例えば固定部201aや重り202等が考えられる。
また、サブホッパー200における振動板201及び磁束センサ10の配置により上述した規定量を調整することが可能である。図25、図26は、サブホッパー200における振動板201及び磁束センサ10の配置と規定量との関係を示す図である。図25の場合、サブホッパー200内部に保持されているトナーの高さが、図中に示す破線Aの高さよりも低くなるとトナーが振動板201に接触しなくなる。従って、図中の破線Aの高さ近辺において、トナー残量が規定量を下回ったことが検知される。
他方、図26の場合、振動板201及び磁束センサ10の配置高さは図25よりも低くなっている。そして、サブホッパー200内部に保持されているトナーの高さが、図中に示す破線Bの高さよりも低くなるとトナーが振動板201に接触しなくなる。従って、図中の破線Bの高さ近辺において、トナー残量が規定量を下回ったことが検知される。
このように振動板201及び磁束センサ10の配置により規定量を調整する態様は、例えばCMYK各色のトナーの供給状態を調整するために用いることが可能である。例えばCMYKのうち使用頻度の高い色については、図25に示すように振動板201及び磁束センサ10を比較的高めに配置する。他方、使用頻度の低い色については、図26に示すように振動板201及び磁束センサ10を比較的低めに配置する。このような調整により、使用頻度に応じて効率的にトナーを供給することが可能となる。
また、上記実施形態においては、図2に示すサブホッパー200内部のトナー残量を検知するための機構として磁束センサ10及び振動板201よりなる構成を用いることを例として説明した。しかしながら、上記構成は粉体であるトナー量を検知するための構成として幅広く用いることが可能であり、例えば現像器112内部のトナー残量を検知するための構成として用いることも可能である。
図27は、現像器112に採用した場合の断面図である。現像器112内部においては、主走査方向の全体にわたってトナーを搬送するためのスクリューである供給室搬送部材112b及び回収室搬送部材112cが回転してトナーを搬送している。
磁束センサ10及び振動板201よりなる構成を現像器112に採用する場合、図27に示すように、磁束センサ10は、平面パターンコイル11が形成された面を現像器112におけるセンサ取り付け位置112aに対向させて取り付けられる。これにより、図27に示すように、回収室搬送部材112cによる搬送経路と供給室搬送部材112bによる搬送経路とが連結されている現像剤移動空間に対向するように平面パターンコイル11が配置される。
現像器112内部においては、この現像剤移動空間に振動板201が配置されている。現像器112内部に配置された振動板201は、サブホッパー200に設けられる場合と同様に、回転する回収室搬送部材112cによって弾かれて振動する。これにより、上記と同様に、磁束センサ10によって振動板201の振動を検知することが可能となる。
現像剤移動空間においては、回収室搬送部材112cによる搬送経路と供給室搬送部材112bによる搬送経路との間でトナーが移動するため、夫々の搬送経路に比べて比較的トナーの滞留時間が長く、トナーの密度が高くなる。従って、図27に示すように現像剤移動空間に振動板201を配置することにより、トナーによる振動板201の振動に対する影響を大きくし、現像器112内部のトナー残量を高精度に検知することが可能となる。
また、上記実施形態においては残量を検知する対象の粉体として、電子写真方式の画像形成装置において用いられる顕色剤であるトナーを例として説明した。しかしながらこれは一例であり、流動性を有することによって残量に応じて振動板201の振動に影響を与える粉体であれば同様に適用可能であり、例えば予めトナーと現像剤が混合されたプリミックス剤などに適用可能である。また、粉体に限らず、流動性を有することにより残量に応じて振動板201の振動に影響を与える物質であれば同様に残量の検知対象とすることが可能であり、対象として液体を採用することも可能である。
また、上記実施形態においては、上記式(2)により減衰率ζを算出する場合を例として説明した。しかしながらこれは一例であり、例えば以下の式(3)のように、複数のピーク間の減衰率の平均値を用いても良い。
また、以下の式(4)に示すように、単純にピーク値の割合としても良い。
また、上記実施形態においては、基板上にパターンニングされて形成された平面パターンコイルを用いる場合を例として説明した。コイルを平面上に形成することにより、センシングの対象である振動板201に対向する方向の厚みを薄くすることが可能であり、装置の小型化を好適に達成することが可能である。
しかしながら、コイルを平面パターンによって形成しなくとも、振動板201に対向する方向に対して平行に磁束が発生するようにコイルを形成することにより、同様の効果を得ることが可能である。コイルの形成態様の他の例を図28、図29に示す。図28は、磁束センサ10を構成する基板の板面に平行な方向から見た図であり、図29は、磁束センサ10を構成する基板の板面に垂直な方向から見た図である。
図28、29の例においては、磁束センサ10を構成する基板上に、表面が絶縁された配線を巻いて配置することによりコイル11´が形成されている。図28、29の例においても、図28に示すように、振動板201に対向する方向に対して平行な方向の厚みを十分に薄くすることが可能であり、装置の小型化を図ることが可能である。
図30は、図4において説明した振動板201を示す斜視図である。図30に示すように、上記実施形態においては、振動板201において固定部201aによって固定される端部とは反対側の端部に重り202が設けられている場合を例として説明した。これにより、撹拌部材205が振動板201を弾くための傾斜面を重り202によって形成することが出来る。
ここで、図30の例においては、振動板201において撹拌部材205が接触して移動する方向の幅全体にわたって重り202が設けられているが、図31に示すように、一部にのみ重り202を設けても良い。但し、重り202のうち、撹拌部材205が接触する範囲における傾斜角度が図31に示すように途中で変化すると、図14に示すように振動板201が押し込まれる過程において押し込む力が変化し、弾かれた後の振動に影響する可能性がある。従って、重り202に設けられた斜面の傾斜角度は、撹拌部材205が接触する範囲において同一であることが好ましい。
また、振動板201とは異なる部材によって構成される重り202を先端に配置する態様の他、図32に示すように、振動板201の端部において延びている金属片201bを折り曲げることにより傾斜部分を形成しても良い。また、図33に示すように、金属片201bが設けられていない振動板201の構成であっても、端部を立体的に折り曲げることによって傾斜部分を構成しても良い。
このような態様は、振動板201とは異なる部材を取り付けることにより、振動板201の固有振動数として上述したような好適な値が得られない場合に特に有効である。
また、上記実施形態においては、撹拌部材205と重り202との接触状態によって変化する信号をコントローラ20に入力し、その信号状態の変化に応じてカウント値の取得を開始する態様を例として説明した。しかしながら、これは一例であり、図20に示すように、撹拌部材205と重り202との接触状態によって変化する信号を用い、撹拌部材205によって振動板201に振動が与えられたタイミング以降のカウント値を取得する態様であれば様々な態様を用いることが出来る。
図34は、撹拌部材205と重り202との接触状態によって変化する信号を用いる他の態様を示す図である。コントローラ20に入力される透磁率センサ10の出力信号は論理積回路41を介して入力される。論理積回路41のもう一方の入力には、信号線201bを介して出力される、撹拌部材205と重り202との接触状態によって変化する信号が入力される。
このような構成によれば、透磁率センサ10が出力する信号は、信号線201bの信号状態が“High”の場合にのみ論理積回路41を介してコントローラ20に入力される。その結果、透磁率センサ10の出力信号は、撹拌部材205と重り202とが接触していない場合、即ち、図19のタイミングt2以降にのみコントローラ20に入力されることとなる。この場合、論理積回路41が、撹拌部材205と振動板201の重り202とが非導通である状態においてのみ透磁率センサ10の出力信号を出力する信号出力制御部として機能する。
そのため、CPU21は、図21のS2101の判断を行う必要がなく、常に入出力制御ASIC30からのカウント値の取得を所定のサンプリング周期で行っていれば良い。撹拌部材205と重り202とが接触している場合、信号線201bの信号状態が“Low”となり、透磁率センサ10の出力信号は論理積回路41から出力されない。
その結果、CPU21が取得するカウント値はゼロとなり、CPU21は、取得されるカウント値がゼロであることをもって、取得されたカウント値が解析対象ではないことを判断することが出来る。そして、取得されたカウント値がゼロでなくなった場合、図21のS2101において“YES”となった場合と同様の処理を行うことにより、上記と同様の効果を得ることが可能である。