以下に添付図面を参照して、粉体検知装置、粉体検知装置の制御方法および画像形成装置の実施形態を詳細に説明する。実施形態では、流動性を有する粉体であるトナーを回転する撹拌板にて撹拌する際に、撹拌板により振動板を弾き、その振動板の変位に基づき撹拌対象のトナー量を推定する。また、振動板の変位に基づき撹拌板が振動板を弾いた位置を検出し、検出した位置に基づき、電源オフ時や印刷休止時などに撹拌板を停留させるために予め設定した停留位置に、撹拌板を移動させる。
本実施形態では、電子写真方式の画像形成装置において、感光体上に形成された静電潜像を現像する現像器と、現像剤であるトナーの供給元である容器との間でトナーを保持する容器(サブホッパと呼ぶ)におけるトナーの残量検知を例として説明する。
図1は、実施形態に適用可能な画像形成装置に含まれる、画像形成出力のための機構を概略的に示す図である。図1において、画像形成装置100は、搬送ベルト105の回転方向に沿ってY(Yellow)、M(Magenta)、C(Cyan)、K(blacK)各色の画像形成部106K、106C、106M、106Yが並べられた、所謂タンデムタイプと称されるものである。以下、イエロー、シアン、マゼンタ、ブラックの各色を、それぞれY色、C色、M色、K色と呼ぶ。
タンデムタイプでは、中間転写ベルトとしての搬送ベルト105に対し、各色の画像形成部106K、106C、106M、106Yで形成されたY、M、C、K各色の画像がこの順で重畳して転写される。そして、Y、C、M、K各色が重畳されたフルカラーの画像が給紙トレイ101から給紙ローラ102により分離給紙される印刷媒体104に一括転写され、定着器116で定着され、機外に排出される。
なお、以下の説明において、複数の画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、適宜、画像形成部106と総称する。
給紙トレイ101から給紙された印刷媒体104は、レジストローラ103によって先端が一旦停止させられ、搬送ベルト105上で重畳された画像先端とタイミングを取って、搬送ベルト105とのニップ位置(転写位置)に送り出される。
各画像形成部106Y、106M、106C、106Kは、形成するトナー画像の色が異なるだけで内部構成は共通である。画像形成部106Kはブラックの画像を、画像形成部106Mはマゼンタの画像を、画像形成部106Cはシアンの画像を、画像形成部106Yはイエローの画像を、それぞれ形成する。なお、以下では、各画像形成部106Y、106M、106C、106Kのうち、画像形成部106Yを例にとって説明を行う。
搬送ベルト105は、回転駆動される駆動ローラ107と従動ローラ108とに架け渡されたエンドレスのベルト、すなわち無端状ベルトである。駆動ローラ107は、駆動モータにより駆動力を得て回転する。
画像形成に際しては、回転駆動される搬送ベルト105に対して、最初の画像形成部106Yが、Y色のトナー画像を転写する。画像形成部106Yは、感光体ドラム109Y、この感光体ドラム109Yの周囲に配置された帯電器110Y、光書き込み装置111、現像器112Y、感光体クリーナ113Y、除電器などを含む。光書き込み装置111は、Y、M、C、K各色の感光体ドラム109Y、109M、109C、109Kに対して光を照射するように構成されている。
なお、画像形成部106M、106Cおよび106Kは、それぞれ、画像形成部106Yと同様に、帯電器110M、110Cおよび110K、現像器112M、112Cおよび112K、感光体クリーナ113M、113Cおよび113K、除電器などを含む。これら画像形成部106M、106Cおよび106Kについては、特に記載の無い限り、画像形成部106Yと同様の構成とし、詳細な説明を省略する。また、光書き込み装置111は、画像形成部106Y、106M、106Cおよび106Kについて共通である。
画像形成に際し、例えば感光体ドラム109Yの外周面は、暗中にて帯電器110Yにより一様に帯電された後、光書き込み装置111からのY色の画像に対応した光源からの光により書き込みが行われ、静電潜像が形成される。現像器112Yは、この静電潜像をY色のトナーにより可視像化し、感光体ドラム109Y上にY色のトナー画像を形成する。
このトナー画像は、感光体ドラム109Yと搬送ベルト105とが当接もしくは最も接近する位置(転写位置)で、転写器115Yの働きにより搬送ベルト105上に転写される。この転写により、搬送ベルト105上にY色のトナーによる画像が形成される。トナー画像の転写が終了した感光体ドラム109Yの外周面に残留した不要なトナーは、感光体クリーナ113Yによりクリーニングされ、感光体ドラム109Yの表面が除電器により除電され、次の画像形成のために待機する。
以上のようにして、画像形成部106Yにより搬送ベルト105上に転写されたY色のトナー画像は、搬送ベルト105のローラ駆動により次の画像形成部106Mに搬送される。画像形成部106Mでは、画像形成部106Yでの画像形成プロセスと同様のプロセスにより感光体ドラム109M上にM色のトナー画像が形成され、そのトナー画像が既に形成されたY色の画像に重畳されて転写される。
搬送ベルト105上に転写されたY色、M色のトナー画像は、さらに次の画像形成部106C、106Kに搬送され、同様の動作により、感光体ドラム109C上に形成されたC色のトナー画像と、感光体ドラム109K上に形成されたK色のトナー画像とが、既に転写されている画像上に重畳されて転写される。こうして、搬送ベルト105上にフルカラーの中間転写画像が形成される。
給紙トレイ101に収納された印刷媒体104は最も上のものから順に送り出され、その搬送経路が搬送ベルト105と接触する位置もしくは最も接近する位置において、搬送ベルト105上に形成された中間転写画像がその紙面上に転写される。これにより、用紙104の紙面上に画像が形成される。紙面上に画像が形成された用紙104はさらに搬送され、定着器116にて画像を定着された後、画像形成装置100の外部に排紙される。
また、搬送ベルト105に対してベルトクリーナ118が設けられている。ベルトクリーナ118は、図1に示すように、搬送ベルト105から用紙104への画像の転写位置の下流側であって、感光体ドラム109Yよりも上流側において搬送ベルト105に押し当てられたクリーニングブレードである。また、ベルトクリーナ118は、クリーニングブレードによって搬送ベルト105の表面に付着したトナーを掻き取るトナー除去部でもある。
図2は、実施形態に係るトナーの補給構成の例を示す斜視図である。なお、以下においては、現像器112Y、112M、112Cおよび112Kを纏めて、現像器112として纏めて説明する。トナーの補給構成とは、現像器112に対してトナーを供給するための構成である。Y、M、C、K各色においてトナーの供給構成は概ね共通しており、図2においては、1つの現像器112に対する供給構成を示している。トナーは、所定の容器(トナーボトル117)に収容されており、図2に示すように、トナーボトル117からボトル側供給路120を介してサブホッパ200に供給される。
サブホッパ200は、トナーボトル117から供給されるトナーを一時的に保持し、現像器112内部のトナー残量に応じて現像器112にトナーを供給するための容器である。サブホッパ200からサブホッパ側供給路119を介して現像器112にトナーが供給される。トナーボトル117内部のトナーがなくなると、サブホッパ200にトナーが供給されなくなる。そこで、サブホッパ200内部のトナー量が少なくなった状態を検知する必要があり、このため、後述するトナー検知機構が設けられている。
図3は、実施形態に係るサブホッパ200の外観を示す斜視図である。図3に示すように、サブホッパ200を構成する筐体の外面にはセンサ10が取り付けられている。図3においてサブホッパ200の上部は開口しており、この開口に対してボトル側供給路120のカバーが取り付けられる。なお、カバーの取り付け個所は、サブホッパ200の開口の形状と合うように成形され、トナーが外部に飛散することのないようにされている。また、サブホッパ200内部に保持されたトナーは、図2に示すサブホッパ側供給路119から現像器112に送り出される。
図4は、実施形態に係るサブホッパ200の内部構成の例を示す図であって、図4(a)は斜視図、図4(b)は平面図である。図4(a)および図4(b)に示すように、サブホッパ200の筐体の内面には振動板201が設けられている。振動板201が設けられた内面は、図3においてセンサ10が取り付けられている外面の裏側である。したがって、振動板201は、サブホッパ200の筐体を介してセンサ10に対向するように配置されている。
振動板201は、弾性のある材質(例えばステンレス鋼板)で形成された長方形の板状の部品であり、長手方向の一端がサブホッパ200の筐体に固定された片持ち状態で配置されている。振動板201の長手方向において固定されていない側の端部に、重り202が取り付けられている。重り202は、振動板201が振動した場合の振動数を調整する機能、あるいは振動板201を振動させるための機能を備えている。
サブホッパ200内部においては、内部のトナーを撹拌するための構成として、回転軸204および撹拌部材205が設けられている。回転軸204は、サブホッパ200内部で回転する軸である。この回転軸204に撹拌部材205が固定されており、回転軸204の回転に伴って撹拌部材205が回転してサブホッパ200内部のトナーが撹拌される。また、振動板201の長手方向は、回転軸204の軸方向とほぼ平行に配置されている。サブホッパ200内部のトナーは、撹拌部材205によりスクリュ230に送られ、スクリュ230により現像器112に供給される。
また、撹拌部材205は、トナーの撹拌に加えて、回転により振動板201に設けられた重り202を弾く機能を担う。これにより、撹拌部材205が一周回転する毎に重り202が弾かれて振動板201が振動する。また、撹拌機能と弾く機能をより確実にするため、実施形態では、撹拌部材205の中央部近傍に切り込み205aが形成され、この切り込み205aを境に振動付与部205cと撹拌部205dが設けられている。また、撹拌部材205は、可撓性を有する非磁性体の素材により構成することが好ましい。このような素材としては、樹脂があり、より具体的には、PET(Polyethylene terephthalate)を適用することができる。
センサ10は、振動板201の変位を検知するためのセンサである。センサ10は、振動板10の変位を検知可能であれば、特に構成は限定されないが、例えば、振動板201との距離に応じて変化する磁束を検出することが可能な磁束センサを用いることができる。
このような磁束センサの例として、特許文献1に開示されるような、コルピッツ型のLC発振回路を基本とする発振回路を利用した磁束センサを適用することができる。この場合、振動板201を例えばSUS(ステンレス鋼)製とする。磁束センサは、発振回路において、平面パターンコイルにより形成されるインダクタンスLと、抵抗値Rと、静電容量Cと、に応じた共振周波数で発振することで、磁束を発生させる。磁束は、振動板201を透過する際に、振動板201において渦電流を発生させる。
振動板201において発生した渦電流は、磁束センサからの磁束に対して逆方向の磁束を発生させ、この磁束が平面パターンコイルを透過することで、発振回路のインダクタンスLが変化し、発振回路の共振周波数が変化する。具体的には、発振回路の共振周波数は、振動板201と平面パターンコイルとの間の距離が近付くと高くなり、遠ざかると低くなる。また、振動板201が振動せず定常状態にある場合には、発振回路は、一定の共振周波数で発振する。
ここで、特許文献1に記載されるように、発振回路を、共振周波数に応じた矩形波を出力するように構成することができる。このように構成された磁束センサから出力された矩形波を所定の時間単位でカウントしたカウント値に基づき、振動板201の振動を検知することができる。
すなわち、振動板201の変位が無く振動板201が定常状態にある場合には、カウント値は、一定の増加率で増加する。また、振動板201の変位が周期的に変化し、振動板201が振動状態にある場合には、カウント値は、変位の周期に応じて増減する増加率に従い増加する。時系列に従いカウント値の差分を順次求める。差分は、振動板201が定常状態にある場合には一定値(例えば「0」)となり、振動状態にある場合には、当該一定値を跨いで振動する値となる。この差分の値に基づき、振動板201の定常状態および振動状態を検知することができる。すなわち、この差分の値は、定常状態では一定値であり、振動状態では、当該一定値より高い値と低い値とを繰り返すことになる。以下、この差分の値をセンサ10の出力に基づく出力値として説明を行う。
特許文献1では、このようにして共振周波数の変化を検知することで、振動板201の振動を検知し、撹拌部材205が振動板201を弾いたタイミングを検出している。
これに限らず、センサ10として、検知された磁束に応じた電圧を出力するものを適用してもよい。このようなセンサ10としては、ホール素子を用いた構成や、磁気抵抗効果素子、磁気インピーダンス素子を用いた構成、コイルを用いた構成など、様々な構成が適用可能である。この場合、重り202を磁束を発生させるように構成し、重り202で発生された磁束がセンサ10に検知されるようにすることが考えられる。例えば、重り202は、磁石を用いて構成することができる。
図5~図11を用いて、実施形態に係る振動板201および撹拌部材205の動作および作用について説明する。図5は、実施形態に係るサブホッパ200の構成を、振動板201およびセンサ10に注目して概略的に示す図である。
図5において、サブホッパ200内に、所定の厚みのスペーサ201aを介して振動板201が設けられる。振動板201の先端部分には、重り202が設けられている。一方、サブホッパ200の筐体を介して、振動板201と対向する位置に、センサ10が設けられる。センサ10は、例えば両面テープといった固定手段11により、サブホッパ200に固定される。
図6は、振動板201が、加えられた力に応じて動作する様子を模式的に示す模式図である。なお、図6(a)~図6(c)において、上述した図5と共通する部分には同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。
図6(a)は、振動板201に対して力が加えられていない状態を示している。この状態では、振動板201は、センサ10に対して平行が保たれている(定常状態)。したがって、振動板201とセンサ10との距離が一定距離となり、センサ10による共振周波数が一定周波数となる。この状態におけるセンサ10の出力に基づく出力値を、基準値とする。
図6(b)は、振動板201に対して、図中に矢印Aで示されるように、サブホッパ200の筐体の内側から外側に向けた力が加えられた状態を示している。この状態では、振動板201が筐体側に撓み、図6(a)の状態に比べて振動板201がセンサ10に接近している。したがって、センサ10による共振周波数が定常状態よりも高くなり、センサ10の出力に基づく出力値が定常状態よりも高くなる。
図6(c)は、上述の図6(b)の状態から振動板201に加えられた力が開放された状態を示している。この状態では、振動板201は、図中に矢印Bで示されるように、振動板201の弾性により振動し、定常状態の位置に対してサブホッパ200の筐体の外側方向および内側方向に交互に撓む(振動状態)。したがって、センサ10の出力に基づく出力値は、定常状態より高い値と低い値とを所定の周期で繰り返す。
図7および図8を用いて、実施形態に係る、撹拌部材205の回転と振動板201の動作との関係について、概略的に説明する。図7は、実施形態に係る振動板201の周辺の配置関係を示す斜視図である。図7に示すように、振動板201は、固定部201aを介してサブホッパ200の筐体に固定されている。
図8は、実施形態に係る、撹拌部材205の回転軸204を回転中心とした回転動作と、振動板201の動作との関係を概略的に示す図である。ここで、図8(a)~図8(c)は、それぞれ、上述の図6(a)~図6(c)に示した各状態に対応する。撹拌部材205は、回転軸204を回転中心として、図において時計回り(右回り)に回転する。
図8(a)は、上述の図6(a)の状態に対応し、撹拌部材205が振動板201(重り202)に接触しておらず、振動板201が定常状態となっている例を示す。ここで、重り202は、振動板201の板面から突出した突出部であると共に、側面から見た状態において振動板201の板面に対して傾斜を有する形状となっている。この傾斜は、撹拌部材205の回転方向に沿って斜面が回転軸204に近付くように構成されている。この重り202の傾斜面は、撹拌部材205が振動板201を弾いて振動させる際に、撹拌部材205の回転中心に対する半径方向の先端部分により押される部分である。
図8(b)は、上述の図6(b)の状態に対応し、図8(a)に示す状態から撹拌部材205がさらに回転した状態を示す。撹拌部材205が、撹拌部材205の回転中心に対する半径方向の先端部分(以降、単に撹拌部材205の先端、と記載する)が重り202に接触した状態でさらに回転することにより、重り202に設けられた傾斜に伴って振動板201が、図中矢印Aで示される方向に押し込まれて変形することとなる。図8(b)においては、定常状態の振動板201および重り202の位置を破線で示している。
図9は、図8(b)に示す状態を示す上面図であって、実施形態に係る、撹拌部材205の先端部が重り202に接触して振動板201が押し込まれた状態を模式的に示す模式図である。振動板201は、固定部201aを介してサブホッパ200の筐体内面に固定されているため、固定部201a側の位置は変化しない。これに対して、重り202が設けられて自由端となっている反対側の端部は、撹拌部材205によって押し込まれることにより回転軸204が設けられた側とは反対側に移動する。そのため、図9に例示されるように、振動板201は、固定部201aを基点として回転軸204と反対方向に撓む。このように撓んだ状態により、振動板201に、振動板201を振動させるためのエネルギが蓄えられる。
なお、図9に示すように、撹拌部材205は、重り202に接触する振動付与部205cと、それ以外の撹拌部205dとの間に切り込み205aが設けられている。これにより、撹拌部材205が重り202を押し込む際に無理な力が加わって撹拌部材205が破損してしまうことを防ぐことができる。また、切り込み205aの始点には丸孔205bが設けられている。これにより、切り込み205aを境に撹拌部材205の撓み量が異なった場合に切り込み205aの始点に加わる応力を分散して応力集中を抑制し、撹拌部材205の破損を防ぐようにしている。
図8(c)は、上述の図6(c)の状態に対応し、図8(b)に示す状態からさらに撹拌部材205が回転し、撹拌部材205の先端が重り202の斜面から離脱した状態を示す。図8(c)においては、定常状態における振動板201の位置を破線で、図8(b)に示した、撹拌部材205により押し込まれ変形した振動板201の位置を1点鎖線で、それぞれ示している。そして、撹拌部材205によって押し込まれて蓄えられたエネルギが解放されることにより反対側に撓んだ振動板201の位置を、実線で示している。図中に矢印Bで示されるように、振動板201(重り202)は、定常状態の位置を跨いで振動する振動状態となる。
このように、撹拌部材205を回転させることで、撹拌部材205の1回転毎に、撹拌部材205の先端部により振動板201が弾かれ、振動板201が振動する。
ここで、サブホッパ200内部にトナーが保持された状態で、撹拌部材205を回転させた場合について考える。
図10は、サブホッパ200内部にトナーが保持されている状態を模式的に示す模式図である。図10に示すように、サブホッパ200内部にトナー206(図中にドットを付して示す)が存在すると、振動板201が振動しながらトナー206に接触する。そのため、振動板201の振動に対して、トナー206による抵抗が加わり、振動板201の振動(図中に矢印B’を付して示す)が、サブホッパ200内部にトナー206が存在しない場合と比較して早く減衰する。この振動の減衰の変化に基づいて、サブホッパ200内部のトナー残量を検知することができる。
図11は、実施形態に係る、サブホッパ200内部のトナー206の有無に応じたセンサ10の出力の変化について説明するための図である。図11は、実施形態に係る、センサ10の出力の例を概略的に示す。図11(a)および図11(b)において、縦軸はセンサ10の出力に基づく出力値、横軸は時間tを示している。また、縦軸において、定常状態における基準値V0が示されている。
なお、図11(a)および図11(b)の例では、縦軸に示されるセンサ10の出力に基づく出力値は、センサ10と振動板201との距離に応じた値として示されている。すなわち、センサ10と振動板201との距離が定常状態の場合より遠い場合は、出力値が基準値V0より小さくなり、近い場合は、出力値が基準値V0より大きくなる。
図11(a)は、サブホッパ200内にトナー206が保持されていない場合の、センサ10の出力の例を示す。時間taにおいて、撹拌部材205の先端部分が重り202に接触し、撹拌部材205が回転されるに連れ、重り202の傾斜に沿って振動板201が押し込まれ、時間tcにおいて、撹拌部材205の先頭部分が重り202から離脱する。時間taから時間tcまでの期間Tpは、振動板201がセンサ10に徐々に近付くため、センサ10の出力に基づく出力値が振動板201とセンサ10との距離に応じて上昇する。
時間tcにおいて撹拌部材205の先頭部分が重り202から離脱すると、振動板201が弾性率および重り202の重量に従い振動する。この振動により、振動板201は、定常状態の位置からセンサ10に近付く動作と、遠ざかる動作とを、変位を減少させながら繰り返す。センサ10の出力に基づく出力値は、振動板201のこの動作に応じて、基準値V0を跨いだ増減を、増減幅を減少させながら繰り返す。図11(a)の例では、時間tcから期間Tg1を経過した時間tbにおいてセンサ10の出力に基づく出力値が基準値V0に収束し、振動板201の振動が収まったことが分かる。
図11(b)は、図10に示した如く、サブホッパ200内にトナー206が保持されている場合の、センサ10の出力の例を示す。この例では、期間Tpの経過は、上述の図11(a)の例と同様となっている。ここで、図11(b)の例では、時間tcに撹拌部材205の先端部が重り202から離脱した後、振動板201がトナー206の抵抗を受け、時間tbより早い時間tb’にて、にてセンサ10の出力に基づく出力値が基準値V0に収束している。この時間tcから時間tb’までの期間Tg2を計測することで、サブホッパ200内に保持されるトナー206の量を推測できる。
[実施形態に係る処理の詳細]
次に、実施形態に係る処理について、より詳細に説明する。実施形態に係る粉体検知装置は、一定時間範囲のセンサ10の出力を監視し、当該出力に基づき振動板201の変位が閾値を超えた場合に、撹拌部材205の先端が振動板201を弾いたと判定すると共に、そのタイミングにおける撹拌部材205の位置(回転軸204の回転角)をホームポジションとして設定する。当該粉体検知装置は、このホームポジションを起点として振動板201の振動の減衰を検出する。それと共に、当該粉体検知装置は、撹拌部材205の回転を一定時間以上停止させる場合の撹拌部材205の停止位置を、ホームポジションを起点として設定する。
このような構成とすることで、実施形態に係る粉体検知装置は、サブホッパ200内のトナー量の検出を行うために振動板201の振動の検知を開始する位置を、簡易な構成で決定することが可能である。また、ホームポジションを起点として、撹拌部材205の回転を一定時間以上停止させる場合の撹拌部材205の停止位置を設定することで、撹拌部材205を、先端部がサブホッパ200の他の部位に接触しない位置まで回転させることが容易となり、撹拌部材205の他の部位への接触による変形を抑制できる。
図12は、実施形態に適用可能な粉体検知装置の一例のハードウェア構成を示すブロック図である。図12において、粉体検知装置30は、信号処理部3000と、カウンタ3001と、RAM(Random Access Memory)3010と、ROM(Read Only Memory)3011と、MPU(Micro Processing Unit)3012と、データI/F3013と、駆動部3014と、タイマ3015と、通信I/F3016と、を含む。なお、ここでは、センサ10として、上述した、コルピッツ型のLC発振回路を用いた構成を適用する。
信号処理部3000は、センサ10から出力された矩形波によるセンサ出力に対して、ノイズ除去など所定の信号処理を施す。カウンタ3001は、信号処理部3000において信号処理された矩形波を、所定の時間単位毎にカウントし、カウント値を出力する。なお、カウンタ3001がセンサ10の出力をカウントする時間単位は、例えば、振動板201および重り202による振動の1周期よりも短いものとする。
RAM3010は、揮発的にデータを記憶する記憶媒体であり、ROM3011は、不揮発的にデータを記憶する記憶媒体である。MPU3012は、例えばROM3011に予め記憶されたプログラムに従い、RAM3010をワークメモリとして用いて動作し、この粉体検知装置30の全体の動作を制御する。
データI/F(インタフェース)3013は、粉体検知装置30外部とのデータの入出力を行うためのインタフェースである。データI/F3013としては、粉体検知装置30が組み込まれる画像形成装置100に独自のインタフェースを用いてもよいし、USB(Universal Serial Bus)といった汎用のインタフェースを用いてもよい。
駆動部3014は、MPU3012の指示に従いモータ210(図では「M」と表示)を駆動する。モータ210は、撹拌部材205が取り付けられる回転軸204を回転させるためのモータである。モータ210は、例えばステッピングモータであって、駆動部3014は、例えば、MPU3012の指示に従い、モータ210の回転方向を指示するCW/CCW信号と、モータ210を所定の回転角毎に回転駆動させるための駆動パルスとを生成し、生成したCW/CCW信号および駆動パルスをモータ210に供給する。
タイマ3015は、MPU3012の指示に従い時間を計測し、計測結果を出力する。通信I/F3016は、この粉体検知装置30の外部の装置との通信を行うためのインタフェースである。通信I/F3016は、例えば、この粉体検知装置30が組み込まれる画像形成装置100に含まれる、粉体検知装置30に対する上位装置との通信を行う。
図13は、実施形態に係る粉体検知装置30の機能を説明するための一例の機能ブロック図である。図13において、粉体検知装置30は、取得部300と、検知部301と、推測部302と、制御部303と、を含む。これら取得部300、検知部301、推測部302および制御部303は、MPU3012上で動作する制御プログラムにより実現される。これに限らず、取得部300、検知部301、推測部302および制御部303の一部または全部を、互いに協働して動作するハードウェア回路により構成してもよい。
取得部300は、センサ10の出力に基づく出力値を取得する。この出力値は上述したように、センサ10から出力された矩形波をカウントしたカウント値について、時系列に従い順次に求めた差分の値である。すなわち、センサ10の出力に基づく出力値は、振動板201が定常状態にある場合には一定値(例えば「0」)となり、振動状態にある場合には、当該一定値を跨いで振動する値となる。換言すれば、センサ10の出力に基づく出力値は、定常状態では一定値であり、振動状態では、当該一定値より高い値と低い値とを繰り返すことになる。
検知部301は、取得部300に取得された出力値に基づき、振動板201の振動を検知する。推測部302は、検知部301により検知された振動板201の振動に基づき、サブホッパ200内に保持されるトナー206の量を推測する。例えば、推測部302は、当該振動が収まるまでの時間に基づき、少なくともサブホッパ200内に保持されるトナー206の有無を推測する。
制御部303は、駆動部3014に対して駆動パルスを出力させて、モータ210の回転駆動を制御する。制御部303は、駆動部3014に対して出力する駆動パルス数を指定することで、モータ210を所望の回転角だけ回転させる回転駆動を実現できる。また、制御部303は、検知部301が振動板201の振動を検知したタイミングに応じたモータ210の回転角を、ホームポジションとして記憶する。さらに、制御部303は、モータ210を一定時間以上停止させる場合、ホームポジションを起点として、モータ210を停止させる回転角を設定する。
なお、以下では、モータ210を一定時間以上停止させることを「モータ210を停留させる」、撹拌部材205を1箇所に留まらせることを「撹拌部材205を停留させる」などのように、それぞれ「停留」の文言を用いて記述する。
なお、実施形態の粉体検知装置30で実行される制御プログラムは、ROM3011などに予め組み込まれて提供される。実施形態の粉体検知装置30で実行される制御プログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)、フレキシブルディスク(FD)、DVD(Digital Versatile Disk)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
さらに、実施形態の粉体検知装置30で実行される制御プログラムを、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成してもよい。また、実施形態の粉体検知装置30で実行される制御プログラムを、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
実施形態の粉体検知装置30で実行される制御プログラムは、上述した各部(取得部300、検知部301、推測部302および制御部303)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、MPU3012がROM3011から当該制御プログラムを読み出して実行することにより、上述の各部が主記憶装置上にロードされ、取得部300、検知部301、推測部302および制御部303が主記憶装置上に生成されるようになっている。
図14~図17を用いて、実施形態に係る粉体検知装置30における処理を、より詳細に説明する。図14は、実施形態に係る粉体検知装置30における処理を示す一例のフローチャートである。また、図15は、実施形態に係る粉体検知装置30における処理を時系列上に示したシーケンス図である。図15において、図15(a)は、粉体検知装置30の全体の制御の流れを概略的に示し、図15(b)は、センサ10の出力に基づく出力値の例を示す。また、図15(c)は、モータ210を駆動する駆動パルスの例を示している。
図14(a)は、センサ10のセンサ出力に基づく検知処理の一例のフローチャートである。また、図14(b)は、実施形態に係るトナー量推定およびモータ210の回転制御処理を示す一例のフローチャートである。なお、この図14(b)のフローチャートによる処理は、上述した図14(a)のフローチャートによる処理と並行して実行される。図14(b)に示される処理は、図15のシーケンス図における各時間と関連している。
先ず、図14(a)のフローチャートによる処理について説明する。ステップS100で、取得部300は、センサ10から一定時間範囲に出力されたセンサ出力に基づく出力値を取得する。取得部300は、一定時間範囲に含まれる複数の出力値を検知部301に渡す。なお、取得部300がセンサ10の出力に基づく出力値を取得する一定時間範囲は、振動板201の振動特性を考慮した上で、モータ210の回転によるセンサ10によるセンサ出力の上昇値や、振動板201によるセンサ出力の変動を誤検出しない範囲で設定することが好ましい。
次のステップS101で、検知部301は、取得部300から渡された出力値に基づき、取得部300がセンサ10の出力に基づく出力値を取得した時間範囲内における出力値の極大および極小のピークを検知し、検知されたピークに基づき振動板201の変位の振幅を求める。より具体的には、検知部301は、出力値の、時系列で隣接するピークの差分の絶対値を、振動板201の変位の振幅に対応する値として求める。
ステップS101の処理の後、処理がステップS100に戻され、次の一定時間範囲について、処理が実行される。この、次の一定時間範囲は、処理が終了した一定時間範囲と重複する期間を含んでいてもよい。このように、検知処理は、循環的に実行される。
次に、図14(b)に示されるフローチャートによる処理について、図15と関連させて説明する。ステップS200で、制御部303は、モータ210の回転制御を行う。ここで、制御部303は、モータ210が停止し撹拌部材205が停留している場合、停止位置からモータ210の回転を開始させる。モータ210が停止していない場合は、そのまま継続してモータ210を回転させる。
次のステップS201で、制御部303は、図14(a)のフローチャートのステップS101において、センサ10の出力に基づく振動板201の変位の振幅について、予め定められた閾値Wthを超える振幅Wxが検知されたか否かを判定する。制御部303は、検知されていないと判定した場合(ステップS201、「No」)、処理をステップS200に戻す。
一方、制御部303は、ステップS201で閾値Wthを超える振幅Wxが検知されたと判定した場合(ステップS201、「Yes」)、処理をステップS202に移行させる。この、閾値Wthを超える振幅Wxが検知されたことで、撹拌部材205が振動板201を弾いたと判定できる。また、この振幅Wxが検知された位置(時間)が、撹拌部材205が振動板201を弾いたタイミングであると見做すことができる。
図15(b)および図16を用いて、実施形態に係る、ステップS201での閾値Wthに基づく判定について説明する。図16は、上述した図11(a)および図11(b)と対応する図であって、縦軸はセンサ10のセンサ出力に基づく出力値、横軸は時間tを示している。また、縦軸において、定常状態における基準値V0が示されている。
図15(b)および図16の時間taは、この、撹拌部材205の先端部が重り202に接触したタイミングを示している。時間taにおいて、撹拌部材205の回転に伴い、重り202が撹拌部材205の先端部によりセンサ10の方向に押し込まれ、センサ10の出力に基づく出力値が基準値V0から上昇を開始する。すなわち、センサ10の出力に基づく出力値は、時間taを変位開始点として変位を開始する。
検知部301は、現在(時間t1とする)と、現在から一定時間遡った時間t0との間の時間範囲の出力値の極大および極小のピークを求める。
検知部301によるセンサ10の出力に基づく出力値のピークを求める処理について、図16を参照してより具体的に説明する。例えば、検知部301は、取得部300から渡された、時間t0と時間t1との間の各出力値について、時系列で隣接する出力値の差分を時系列に沿って計算して求める。検知部301は、求めた差分の正負の符号が反転する位置を、出力値の極大点あるいは極小点として取得し、これら極大点および極小点の出力値を取得する。図16の例では、時間t0と時間t1との間において、点P0およびP2がそれぞれ極大点として取得され、点P1およびP3がそれぞれ極小点として取得されている。
検知部301は、時系列上で隣接する極大点および極小点それぞれの出力値の差分を求め、この差分の絶対値を、振動による振動板201の変位の振幅として検知する。図16の例では、振動による振動板201の変位の振幅として、差分|P0-P1|、|P1-P2|および|P2-P3|が検知されている。制御部303は、これら差分|P0-P1|、|P1-P2|および|P2-P3|のうち、閾値Wthを超える振幅Wxを検知する。図16の例では、差分|P0-P1|が振幅Wxとして検知される。
なお、制御部303は、1の期間内において、閾値Wthを超える振幅Wxが複数、検知された場合、検知された複数の振幅Wxのうち時系列上で最も時間の早い振幅Wxを採用する。
センサ10の出力に基づく出力値の変位開始点である時間taから、ピーク検出のために一定時間を遡る起点とする時間t1までの期間が、粉体検知装置30において撹拌部材205による振動板201(重り202)の時期動作を検出する弾き検出期間となる(図15(a)参照)。
図14の説明に戻り、ステップS202で、制御部303は、この閾値Wthを超える振幅Wxの位置に基づき、ホームポジションHPを設定する。例えば、制御部303は、点P0および点P1の中間点の時間t11に対応する位置を、ホームポジションHPとして設定する。なお、ここでいう位置は、モータ210の回転角により示される位置である。制御部303は、このホームポジションHPにおけるモータ210の回転角を記憶する。
これに限らず、制御部303は、振幅Wxにおける極大点である点P0に対応する位置や、極小点である点P1をホームポジションHPとしてもよい。
次のステップS203で、制御部303は、モータ210をホームポジションHPから所定回転角だけ回転させて、停止させる(図15(b)の時間t12)。これは、振動板201を弾いた撹拌部材205が、振動板201に接触したまま停止されてしまうことを回避するための制御である。
また、撹拌部材205が振動板201(重り202)を弾いたことを検出した後に撹拌部材205の回転を停止させておき、センサ10によるセンサ出力の出力値のピークを継続して検知することで、撹拌部材205が振動板201を弾いたタイミングをより高精度に検出できる。
次のステップS204で、検知部301は、センサ10によるセンサ出力が安定したか否かを判定する。例えば、検知部301は、センサ出力の出力値における極大点および極小点の差分が所定値以下になった場合に、センサ出力が安定したと判定する。これは、振動板201の振動が収まったことを意味する。検知部301は、センサ出力が安定してないと判定した場合(ステップS204、「No」)、処理をステップS204に戻す。
一方、検知部301は、センサ出力が安定したと判定した場合(ステップS204、「Yes」)、処理をステップS205に移行させる。図15(b)および図16の例では、検知部301は、センサ出力の出力値が基準値V0に収束する時間tbで、センサ出力が安定したと判定する。
センサ10の出力に基づく出力値のピーク検出のために一定時間を遡る起点とする時間t1から、センサ出力が安定したと判定される時間tbまでの期間が、粉体検知装置30においてセンサ出力の安定状態を待機する期間となる(図15(a)参照)。
ステップS205で、推測部302は、ステップS201で検知された振幅Wxに対応する時間から、ステップS204でセンサ出力が安定したと判定されるまでの時間Txを取得する。次のステップS206で、推測部302は、ステップS205で取得した時間Txが、予め定められた閾値時間Tth以下であるか否かを判定する。推測部302は、ステップS206で時間Txが閾値時間Tthを超えると判定した場合(ステップS206、「No」)、処理をステップS208に移行させる。
一方、推測部302は、時間Txが閾値時間Tth以下であると判定した場合(ステップS206、「Yes」)、処理をステップS207に移行させる。ステップS207で、推測部302は、サブホッパ200内のトナー206が無くなったと判定し、これにより、トナーボトル117内のトナーも無くなったとして、トナー切れ通知を出力する。このトナー切れ通知は、例えばデータI/F3013を介して粉体検知装置30の外部に出力される。
このように、実施形態に係る粉体検知装置30は、振動板201が撹拌部材205に弾かれて振動を開始するタイミングを、振動板201の変位を検知するセンサ10の出力値に基づき、振動板201の変位の振幅Wxが閾値Wthを超えたか否かに応じて決定している。これにより、実施形態に係る粉体検知装置30は、サブホッパ200内のトナー量の検出を行うために振動板201の振動の検知を開始する位置を、そのための構成を追加することなく、簡易な構成で決定することが可能である。
なお、ここでは、推測部302がサブホッパ200内のトナー206の有無の判定を行うように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、推測部302は、時間Txに基づきサブホッパ200内のトナー206の量を判定することも可能である。
また、上述では、推測部302は、センサ10の出力に基づく出力値が所定以内に収まったか否かに基づき、サブホッパ200内のトナー206の有無の判定を行うように説明したが、これはこの例に限定されない。例えば、特許文献1に記載されるように、当該出力値の減衰率に基づきトナー206の有無の判定を行ってもよい。
ステップS208で、制御部303は、ステップS203で回転が停止されていたモータ210の回転を再開させる(図15(b)の時間t13)。次のステップS209で、制御部303は、上位装置から撹拌部材205の停留指示を受け取っているか否かを判定する。
例えば、この粉体検知装置30が含まれる画像形成装置100の電源がオフとされた場合に、上位装置から粉体検知装置30に対して撹拌部材205の停留指示が出される。また、画像形成装置100は、現在印刷されている印刷内容に応じて、現像器112に対するトナー206の供給を調整する必要がある。一例として、1ページに数文字乃至数行しか印刷しない場合、現像器112に対するトナー206の供給量を少なくする。また、C、M、Y、K各色のうち、印刷に関与しない色がある場合、その色に対応する現像器112に対するトナー206の供給量を少なくする。このような場合、サブホッパ200における撹拌部材205の回転を、間欠的な動作とし、撹拌部材205の例えば1回転毎にモータ210を停止させ、撹拌部材205を停留させる。
制御部303は、上位装置から撹拌部材205の停留指示を受け取っていないと判定した場合(ステップS209、「No」)、処理をステップS200に戻す。一方、制御部303は、上位装置から撹拌部材205の停留指示を受け取っていると判定した場合(ステップS209、「Yes」)、処理をステップS210に移行させる。
ステップS210で、制御部303は、モータ210を、ホームポジションHPにおける回転角に基づき撹拌部材205の停留位置に対応する回転角まで回転させ、モータ210を停止させる(図15(b)の時間t14)。詳細は後述するが、撹拌部材205の停留位置は、撹拌部材205がサブホッパ200内の他の部位に接触しない位置に設定する。
制御部303は、ステップS210にて撹拌部材205の停留位置においてモータ210を停止させた後、次の動作を待機する。制御部303は、例えば上位装置から撹拌部材205の回転指示を受け取ると、処理をステップS200に戻す。
図17は、実施形態に係る撹拌部材205の停留位置の設定方法について、より具体的に説明するための図である。なお、図17において、上述した図2~図4および図10と共通する部分については同一の符号を付して、詳細な説明を省略する。また、図17に示されるように、サブホッパ200において、撹拌部材205に係るエリアを第1室、スクリュ230に係るエリアを第2室とし、撹拌部材205は、図中に矢印Cにて示されるように、図内において時計回り(右回り)に回転するものとする。
図17において、トナーボトル117内のトナー206は、ボトル側供給路120を介してサブホッパ200の第1室に供給される。第1室に供給されたトナー206は、モータ210により回転される撹拌部材205により撹拌されると共に、第1室からスクリュ230が設けられる第2室に掻き出される。第2室において、トナー206は、スクリュ230によりサブホッパ200から排出され、現像器112に供給される。図17の例では、サブホッパ200の第1室において、撹拌部材205の回転中心に対して第2室と対向する側に振動板201が設けられ、その外側に、センサ10が設けられる。
図17に示すように、サブホッパ200は、撹拌部材205が回転することにより、撹拌部材205の先端部がサブホッパ200の底部の湾曲面をなぞっていき、底部に滞留しているトナー206が第1室から第2室に掻き出される。この状態からさらに撹拌部材205が回転すると、撹拌部材205の先端部により重り202(振動板201)が押し込まれ、センサ10により重り202が押し込まれる様子が検知される構成となっている。
このように、撹拌部材205は、トナー206を掻き出している間は、サブホッパ200の内壁に当接し、重り202を押し込んでいる間は、重り202に当接している。ここで、撹拌部材205を可撓性などを考慮して樹脂により構成した場合、サブホッパ200の内壁や重り202に当接させたまま撹拌部材205の回転を停止させてしまうと、撹拌部材205が不可塑に変形してしまうおそれがある。このように撹拌部材205が変形すると、撹拌部材205により重り202を十分に押し込むことができず、撹拌部材205が振動板201を弾いたタイミングを高精度に検出することが困難となる。
そこで、実施形態に係る粉体検知装置30では、撹拌部材205の停留位置を、撹拌部材205の先端部がサブホッパ200の他の部位に接触しない位置に設定する。例えば、図17に矢印Dにより範囲が示される、第1室と第2室との間の開口部と、ボトル側供給路120のための開口部と、これら2つの開口部の間と、を含む範囲内に、撹拌部材205の停留位置を設定することが考えられる。
このとき、それぞれの開口部の回転軸204方向の両端が撹拌部材205に接触しないものとする。また、サブホッパ200の上面における当該2つの開口部の間が、開口部、もしくは、撹拌部材205の回転中心から、撹拌部材205の先端部の回転半径より高い位置にあるものとする。
また、モータ210の次回の回転開始後に、停留位置から回転開始された撹拌部材205の先端部が振動板201(重り202)を弾くまでの間、ある程度サブホッパ200内のトナー206を撹拌しないと、トナー切れの通知が遅れてしまうおそれがある。そのため、撹拌部材205の停留位置は、振動板201から所定距離以上離れている位置が好ましい。図17の構成では、例えば、撹拌部材205の停留位置を、よりスクリュ230に近い位置とすることが考えられる。また例えば、図17に位置Eとして示されるように、回転軸204を中心として振動板201に対して点対称の位置を、撹拌部材205の停留位置に設定することも考えられる。
なお、モータ210としてステッピングモータなどを用いている場合、モータ210の停止後に励磁解除、あるいは、電源オフなどの状態へ推移させると、停止位置が多少ずれてしまう場合がある。そのため、停留位置に関しては、前後にマージンを持たせて設定することが好ましい。
この、撹拌部材205の停留位置は、予め設定しておく。また、振動板201の位置、および、モータ210の1回転における駆動パルス数は、既知である。したがって、撹拌部材205の停留位置を、振動板201の位置からの駆動パルス数として例えばROM3011などに予め記憶させておくことで、撹拌部材205を停留位置にて停留させた後、次に撹拌部材205を回転させた際に、撹拌部材205が振動板201(重り202)を弾くタイミングを精度良く予測することが可能となる。これにより、振動による振動板201の変位の振幅の誤検知を抑制することが可能となり、トナー切れ通知の精度を向上させることができる。
また、装置の電源オフなどによりモータ210の初期位置がリセットされる場合であっても、振動板201(重り202)が撹拌部材205の先端部に弾かれたタイミングを起点として、予め記憶された、撹拌部材205の滞留位置を示す駆動パルスに従いモータ210を駆動することで、撹拌部材205を、設定した停留位置に容易に移動させることが可能となる。
[実施形態に適用可能な画像形成装置の全体的な構成]
図18は、実施形態に係る画像形成装置100の全体的なハードウェア構成の例を示すブロック図である。なお、図18において、画像形成装置100(図18の例ではプリンタとしている)は、画像形成装置100本体の制御を行うプリンタコントローラ1000と、印刷媒体の画像を形成するためのプリンタエンジン1021と、ユーザが入力を行い画像形成装置100本体の状態などを表示する操作パネル1020と、を含み、ネットワークNTと接続することができる。画像形成装置100は、ネットワークNTを介して、例えば、印刷指示を行うホストコンピュータと通信を行うことが可能である。
プリンタエンジン1021は、プリンタコントローラ1000からの信号により画像形成部106K、106C、106M、106Yを制御し、また給紙部より印刷媒体である転写紙を給紙することで、給紙された転写紙に対して画像を形成する。操作パネル1020は、ユーザ入力を受け付ける入力デバイスと、画像形成装置100本体の状態などを表示するための表示デバイスと、を備えたユーザI/Fである。
プリンタコントローラ1000は、そのとき設定されている制御モードおよびホストから受け取った制御コードに従って、ホストからの印字データを画像データに変換してプリンタエンジン1021へ出力する制御機構の総称である。プリンタコントローラ1000は、ネットワークI/F1010、プログラムROM(Programmable Read Only Memory)1011、フォント(FONT)ROM1012、操作部I/F1013、CPU(Central Processing Unit)1015、RAM1016、NV-RAM(Non-Volatile RAM)1017、エンジンI/F1018およびHDD(ハードディスクドライブ)1014の各モジュールを含み、上述した上位装置に相当する。HDD1014は、これに限らず、フラッシュメモリといった不揮発性の半導体メモリでもよい。
各モジュールの機能は、次の通りである。ネットワークI/F1010は、ネットワークNTを介した通信を行うためのインタフェースである。プログラムROM1011は、プリンタコントローラ1000内でのデータの管理および周辺モジュールを制御するためのプログラムを格納している。フォントROM1012は、印字に使用される様々な種類のフォントを格納している。操作部I/F1013は、操作パネル1020に対するインタフェースである。
CPU1015は、プログラムROM1011に格納されたプログラムに従い、ホストコンピュータからネットワークNTを介して送信された、印字データ、制御データといった印刷指示を含むデータを処理する。RAM1016は、CPU1015が実行時に用いるワークメモリであり、ホストコンピュータからのデータを一時記憶するバッファおよびバッファに記憶されたデータを処理するメモリなどに使われる。
NV-RAM1017は、電源を切っても保持したいデータ(設定データなど)を格納しておくための不揮発性RAMである。エンジンI/F1018は、プリンタコントローラ1000からプリンタエンジン1021を制御するインタフェースである。HDD1014は、大容量のデータを読み書き可能に保持する大容量記憶媒体である。
[実施形態の変形例]
実施形態の変形例について説明する。上述の実施形態では、モータ210としてステッピングモータを用いるものとして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、モータ210としては、回転の位相を制御可能であれば、他の方式のモータを適用させることができる。例えば、モータ210として、直流電源により駆動されるブラシレスDCモータを適用することができる。一例として、モータ210を、モータ極ペア数N、2N極(N=1,2,…)のモータとし、駆動部3014は、モータ210に対して3相(U相、V相およびW相)の駆動信号を供給してモータ210を回転駆動する。制御部303は、この駆動信号によりモータ210の回転を制御し、撹拌部材205の停留位置への移動などを行う。
なお、上述の実施形態は、本発明の好適な実施の例ではあるがこれに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変形による実施が可能である。