JP6700072B2 - 工事用エレベータ - Google Patents

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Description

本明細書に開示される技術は、工事用エレベータに関する。
建築物や土木構造物等の構造物が建設される工事現場では、構造物の複数の作業階のそれぞれに資材や人員を運搬する工事用エレベータが使用される。工事用エレベータは、昇降路を昇降可能な搬器と、搬器に設けられた内扉とを備える。内扉は、搬器の側面の乗降口を開閉する扉であり、搬器に設けられた電動機により開閉駆動される。また、複数の作業階のそれぞれにおいて、安全のために、搬器の昇降路に通じる開口部を開閉する外扉が設けられる。
従来、外扉の開閉に必要な労力を軽減するため、構造物の各作業階に外扉用の電動機を設け、その電動機によって外扉を開閉駆動する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
実開平3−49279号公報
上記従来技術では、構造物の各作業階に外扉用の電動機を設ける必要があることから、工事用エレベータの設置に労力や費用を要するという問題がある。
本明細書では、上述した課題の少なくとも一部を解決することが可能な技術を開示する。
(1)本明細書に開示される工事用エレベータは、工事中の構造物の複数階に亘って設けられる工事用エレベータであって、上下方向に延びる支柱と、前記支柱に沿って昇降路を昇降可能であり、内側に収容空間が形成され、前記収容空間を取り囲む側面に乗降口が形成された搬器と、前記搬器を昇降させる昇降駆動装置と、前記搬器に設けられ、前記乗降口を開閉する内扉と、前記搬器に設けられ、前記内扉を開閉駆動する電動機と、前記複数階のそれぞれに設けられ、前記昇降路に通じる開口部を開閉する外扉を含む外扉機構と、前記内扉に取り付けられ、前記外扉が開閉される開閉方向視で前記外扉機構の少なくとも一部と重なる第1位置と、前記開閉方向視で前記外扉機構と重ならない第2位置とに移動可能であり、前記第1位置に位置する状態では、前記内扉の開動作に伴い前記外扉機構の少なくとも一部に係合して前記外扉を開扉させる可動部材を含む可動係合装置と、を備える。本工事用エレベータによれば、内扉に第1位置と第2位置とに移動可能な可動部材を含む可動係合装置が取り付けられており、外扉は、内扉の開動作に伴い、第1の位置に位置する可動部材に係合して開扉される。そのため、外扉を人力で開閉させる必要がなく、また、外扉を開閉させる外扉用の電動機を構造物の複数階のそれぞれに設ける必要もないため、工事用エレベータの設置に必要な労力や費用を抑制することができる。
(2)上記工事用エレベータにおいて、前記内扉と前記外扉とは縦開き型の扉である構成としてもよい。本工事用エレベータによれば、外扉を下降させる際に、外扉の自重を利用して外扉を下降させることができる。そのため、外扉を下降させることに対応する外扉の開動作と閉動作とのいずれか一方において、外扉と可動部材とを係合させる必要がなく、外扉の開動作と閉動作とのいずれにおいても外扉と可動部材とを係合させる必要がある横開き型に比べて、可動係合装置の構成を簡素化することができる。
(3)上記工事用エレベータにおいて、前記可動係合装置は、さらに、前記可動部材を電動で前記第1位置と前記第2位置とに移動させる電動駆動部を含む構成としてもよい。本工事用エレベータによれば、可動係合装置は電動で可動部材を移動させるので、手動で可動部材を移動させる場合に比べて、工事用エレベータの稼動に必要な労力を抑制することができる。
(4)上記工事用エレベータにおいて、前記電動駆動部は、前記可動部材を平行移動させることにより、前記第1位置と前記第2位置とに移動させる構成としてもよい。本工事用エレベータによれば、可動部材を回転移動させる場合に比べて、可動部材を回転中心部分以外でも支持することができ、可動部材の支持強度を高くすることができる。また、電動駆動部が実行する移動動作は、可動部材を平行移動させる単純動作であるため、回転移動動作に比べて、動作信頼性が高い。
(5)また、上記工事用エレベータにおいて、前記電動駆動部は、前記可動部材を回転移動させることにより、前記第1位置と前記第2位置とに移動させる構成としてもよい。本工事用エレベータによれば、可動部材を平行移動させる場合に比べて、電動駆動部が可動部材を移動させるのに必要な駆動力を少なくすることができ、電動駆動部の構成を簡素化することができる。
(6)上記工事用エレベータにおいて、前記内扉と前記外扉とは、上昇することで開く扉であり、前記可動係合装置は、前記内扉の下端付近に配置され、前記可動部材は、前記外扉の下端付近に設けられた係合部に係合可能である構成としてもよい。本工事用エレベータによれば、内扉の下端付近に配置された可動係合装置に含まれる可動部材を、外扉の下端付近に設けられた係合部に係合させる単純な構成により、外扉と可動部材とを係合させることができる。
(7)上記工事用エレベータにおいて、前記内扉は、第1内扉と、前記第1内扉よりも下側に配置された第2内扉とを含み、前記第1内扉は、上昇することで開く扉であり、前記第2内扉は、下降することで開く扉であり、前記電動機は、前記第1内扉と前記第2内扉とを同時に開扉し、前記可動係合装置は、前記第1内扉の下端付近に配置され、前記外扉機構は、さらに、前記可動部材に係合可能な係合部材と、前記外扉と前記係合部材とを連結し、前記第1内扉の開動作に伴い、前記可動部材に係合して上昇する前記係合部材の速度よりも大きい速度で前記外扉を開扉させる連結機構と、を含む構成としてもよい。本工事用エレベータによれば、内扉が第1内扉と第2内扉とを含み、第1内扉と第2内扉とが離間する方向に同時に開扉されるので、第1内扉と第2内扉とが順次開扉される場合に比べて、内扉の開扉に必要な時間を短縮することができる。また、外扉は、第1内扉の速度よりも大きい速度で開扉されることから、第1内扉の速度以下の速度で開扉される場合に比べて、外扉の開扉に必要な時間を短縮することができる。これにより、内扉と外扉との開扉に必要な時間を短縮することができる。
(8)上記工事用エレベータにおいて、前記乗降口は横長である構成としてもよい。本工事用エレベータによれば、内扉と外扉とが縦開き型であるため、乗降口が横長であることで、乗降口が縦長である場合に比べて、内扉と外扉との開閉に必要な時間を短縮することができる。
第1実施形態における工事用エレベータ10が配設された建築物1の構成の一部を概略的に示す説明図 工事用エレベータ10の概略的な正面図 工事用エレベータ10の外扉機構400と可動係合装置500との構成を示す概略的な側面図 工事用エレベータ10の電気的構成を示すブロック図 外扉410の開動作を説明するための概略図 外扉410の開動作を説明するための概略図 開扉処理を示すフローチャート 閉扉処理を示すフローチャート 第2実施形態における工事用エレベータ10Aの概略的な正面図 工事用エレベータ10Aの外扉機構400Aと可動係合装置500との構成を示す概略的な側面図 外扉410の開動作を説明するための概略図 変形例における可動係合装置500Aの概略的な上面図
A.第1実施形態:
A−1.工事用エレベータ10の構成:
図1は、第1実施形態における工事用エレベータ10が配設された建築物1の構成の一部を概略的に示す説明図である。建築物1は、工事中の複数階建の建築物である。建築物1には、複数階に亘る工事用エレベータ10が設けられている。図1には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、X軸正方向を右方向と呼び、X軸負方向を左方向と呼び、Y軸正方向を前方向と呼び、Y軸負方向を後方向と呼び、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとする。図2以降についても同様である。
図2は、第1実施形態における工事用エレベータ10の概略的な正面図である。図1、2に示すように、工事用エレベータ10は、支柱100と、搬器210と、電動機230と、ガバナー245と、内扉300と、電動機235と、外扉機構400と、一対の可動係合装置500とを備える。支柱100は、建築物1の各階の床スラブ20に設けられた開口30を連通する昇降路40内に設けられ、上下方向に延びている。搬器210は、昇降路40内に配置された箱体であり、内側に資材や人員を収容する収容空間212が形成されている。搬器210の収容空間212を取り囲む側面216の一部には、収容空間212に資材や人員を乗降させるための乗降口214が形成されている。乗降口214は、横長の開口である。電動機230は、搬器210に設けられ、支柱100に沿って昇降路40を昇降可能な搬器210を昇降させる。ガバナー245は、搬器210に設けられ、昇降路40の昇降移動を停止させる非常ブレーキである。電動機230は、昇降駆動装置の一例である。
内扉300は、搬器210の乗降口214付近に設けられ、搬器210の乗降口214を開閉する。内扉300は、縦開き型の一枚扉であり、上昇することで開き、下降することで閉じる。なお、図1、2には内扉300が全開した状態が示されている。電動機235は、搬器210に設けられ、搬器210に設けられたレール部302に沿って内扉300を昇降駆動することにより、内扉300を開閉駆動する。
外扉機構400は、建築物1の各階の床スラブ20に設けられ、詳細には、搬器210の昇降路40に通じる開口部50付近に設けられる。外扉機構400は、外扉410と、一対の外扉用支柱420と、一対の係合部材440とを含む。一対の外扉用支柱420は、開口部50の左右方向(X軸方向)の両端にそれぞれ配設され、外扉410を支持する。外扉410は、一対の外扉用支柱420の間に設けられ、開口部50を開閉する。なお、図1、2には外扉410が全開した状態が示されている。
図3は、工事用エレベータ10の外扉機構400と可動係合装置500との構成を示す概略的な側面図である。なお、図3には内扉300と外扉410とが全閉した状態が示されている。図3に示すように、外扉410は、縦開き型のブラインドカーテン型の扉であり、水平方向に延びる偶数個の扉体412が、蝶番等の接続部材により上下方向に連設されている。外扉410の最も上側に配置された扉体412Aの上端部414Aは、外扉用支柱420により移動不能、かつ、揺動可能に支持されている。上側から偶数番目の扉体412Bと上側から奇数番目の扉体412Cとの間の接続部材414Bは、外扉用支柱420に設けられたレール部422に沿って上下方向にのみ移動可能となるように支持されている。また、上側から奇数番目の扉体412Cと上側から偶数番目の扉体412Bとの間の接続部材414Cは、外扉用支柱420に設けられたレール部422よりも後側(Y軸負方向)にのみ移動可能となるように規制されている。
外扉410は、最も下側に配置された扉体412Dが上昇することで、隣り合う扉体412B、412Cの一方を他方に対して逆方向へ回動するようにして全ての扉体412が折り畳まれ、開く(図6参照)。また、外扉410は、最も下側に配置された扉体412Dが下降することで、全ての扉体412が垂直方向に略一直線上に配列され、閉じる(図3参照)。
一対の係合部材440は、外扉410の下端部付近に取り付けられており、具体的には、最も下側に配置された扉体412Dの下端部414Dに揺動可能に取り付けられている。一対の係合部材440は、外扉410の前側、すなわち、内扉300側に取り付けられている。係合部材440は、係合部の一例である。
一対の可動係合装置500は、内扉300の左右方向(X軸方向)の両端面の下端部付近に取り付けられている。各可動係合装置500は、可動部材510と、電動駆動部520とを含む。可動部材510は、金属製の棒体である。電動駆動部520は、可動部材510を支持しており、電動で可動部材510を前後方向(Y軸方向)に直進移動させることにより、突出位置と収容位置とに移動させる。なお、図3には可動部材510が収容位置に位置する状態が示されている。突出位置は、第1位置の一例であり、収容位置は、第2位置の一例である。
図2に示すように、工事用エレベータ10は、さらに、ロック装置600と、着床センサ610と、リミットセンサ620とを備える。ロック装置600は、一方の外扉用支柱420におけるレール部422の下端近傍に配置されている。ロック装置600は、後述するコントローラ700からの命令により、閉状態の外扉410に向けて突出し、外扉410を固定するロック状態と、外扉用支柱420に収容され、外扉410を固定しない非ロック状態とに切り替わる。
着床センサ610は、外扉410の前側(Y軸正方向)のうち、閉状態の内扉300と対向する位置に配置されている。着床センサ610は、搬器210が建築物1の対応する階に着床している場合と、着床していない場合とで異なる着床信号STを出力する。コントローラ700は、この着床信号STから、搬器210が着床したか否かを判断することができる。
リミットセンサ620は、一方の外扉用支柱420における下端近傍に配置されており、詳細には、外扉410に取り付けられた係合部材440の下側に配置されている。リミットセンサ620は、外扉410が閉状態である場合に係合部材440が存在する位置に係合部材440が存在する場合と、存在しない場合とで異なる閉扉信号SHを出力する。コントローラ700は、この閉扉信号SHから、外扉410が閉状態であるか否かを判断することができる。
図4は、工事用エレベータ10の電気的構成を示すブロック図である。工事用エレベータ10は、上述の電動機230、電動機235、可動係合装置500等に加え、コントローラ700と、操作部750とを備える。
コントローラ700は、CPU701と、記憶部702と、入出力部703とを有する。記憶部702には、工事用エレベータ10を制御するための制御プログラムや各種設定情報等が記憶されている。CPU701は、記憶部702から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って、工事用エレベータ10の各構成要素を制御する。入出力部703は、ロック装置600、着床センサ610、リミットセンサ620等から入力される信号を受信し、また、ロック装置600に信号を送信する。操作部750は、ユーザによる操作を受け付ける各種のボタン等を有する。
A−2.外扉410の開閉動作の仕組み:
外扉410は、可動部材510と係合部材440との係合を利用して開閉動作される。図3に示すように、可動部材510が収容位置に位置するときに、可動部材510は電動駆動部520に収容されている。また、可動部材510は上下方向視で係合部材440と重ならない。そのため、可動部材510が収容位置に位置するときに、内扉300が開いても、可動部材510と係合部材440とが係合せず、外扉410は開閉動作しない。上下方向視は、開閉方向視の一例である。
図5、6は、外扉410の開動作を説明するための概略図である。図5には可動部材510が突出位置に位置する状態が示されている。図5に示すように、可動部材510が突出位置に位置するときに、可動部材510の後端が電動駆動部520から突出しており、可動部材510は上下方向視で係合部材440と重なる。具体的には、突出位置の可動部材510の一部が、係合部材440の下側に位置している。そのため、可動部材510が突出位置に位置するときに、内扉300が開くと、可動部材510と係合部材440とが係合する。
従って、可動部材510が突出位置に位置するときに、内扉300が開くと、可動部材510に係合する係合部材440が持ち上げられることによって、外扉410が開く(図6参照)。また、可動部材510が突出位置に位置するときに、内扉300が閉じると、可動部材510の下降により外扉410が自重で下降し、外扉410が閉じる。
なお、可動部材510が収容位置に位置するときには、可動部材510と係合部材440とが係合しない。そのため、可動部材510が収容位置に位置するときに、搬器210が昇降されることで、搬器210の昇降時における可動部材510と係合部材440との干渉が抑制されている。
A−3.内扉300と外扉410との開扉処理および閉扉処理:
次に、コントローラ700による内扉300と外扉410との開扉処理について説明する。図7は、開扉処理を示すフローチャートであり、図8は、閉扉処理を示すフローチャートである。コントローラ700は、操作部750を介したユーザの操作により、搬器210の第1指定階への着床指示が入力されると、電動機230に搬器210を第1指定階へと昇降させるとともに、図7に示す開扉処理を開始する。
図7に示すように、コントローラ700は、開扉処理を開始すると、着床センサ610を用いて搬器210が第1指定階に着床したか否かを判断する(S110)。コントローラ700は、搬器210が第1指定階に着床していないと判断した場合(S110:NO)には、S110の処理を繰り返す。
コントローラ700は、搬器210が第1指定階に着床したと判断した場合(S110:YES)には、ロック装置600を外扉用支柱420に収容させることによって、外扉410をロック状態から非ロック状態に切り替える(S120)。次に、コントローラ700は、電動駆動部520を用いて可動部材510を収容位置から突出位置に移動させる(S130)。コントローラ700は、可動部材510が突出位置に移動した後に、電動機235に内扉300を上昇駆動させる(S140)。これにより、内扉300に連動して上昇する突出位置の可動部材510によって係合部材440が持ち上げられ、内扉300と外扉410とが同時に開扉される。以上により、開扉処理が終了する。
開扉処理後、コントローラ700は、例えば操作部750を介したユーザの操作により、搬器210の第1指定階とは異なる第2指定階への着床指示が入力されると、図8に示す閉扉処理を開始する。
図8に示すように、コントローラ700は、閉扉処理を開始すると、電動機235に内扉300を下降駆動させる(S210)。これにより、内扉300に連動して第1位置の可動部材510が下降することによって外扉410が自重により下降し、内扉300と外扉410とが同時に閉扉される。
コントローラ700は、リミットセンサ620を用いて内扉300と外扉410とが閉扉されたか否かを判断する(S220)。コントローラ700は、内扉300と外扉410とが閉扉されていないと判断した場合(S220:NO)には、S220の処理を繰り返す。コントローラ700は、内扉300と外扉410とが閉扉されたと判断した場合(S220:YES)には、ロック装置600を閉状態の外扉410に向けて突出させることによって、外扉410を非ロック状態からロック状態に切り替える(S230)。コントローラ700は、外扉410がロック状態に切り替えられた後に、電動駆動部520を用いて可動部材510を突出位置から収容位置に移動させ(S240)、閉扉処理を終了する。閉扉処理の終了後、コントローラ700は、電動機230に搬器210を第2指定階へと昇降させる。
以上説明したように、第1実施形態の工事用エレベータ10では、内扉300に突出位置と収容位置とに移動可能な可動部材510を含む可動係合装置500が取り付けられており、外扉410は、内扉300の開動作に伴い、第1の位置に位置する可動部材510に係合して開扉される。そのため、外扉410を人力で開閉させる必要がなく、また、外扉410を開閉させる外扉410用の電動機を建築物1の複数階のそれぞれに設ける必要もないため、工事用エレベータ10の設置に必要な労力や費用を抑制することができる。
また、第1実施形態の工事用エレベータ10では、内扉300と外扉410とが縦開き型の扉であるため、内扉300の閉動作に伴い、外扉410を閉扉させる際に、外扉410の自重を利用して外扉410を閉扉させることができる。そのため、外扉410を閉扉させる際に、外扉410と可動部材510とを係合させる必要もなければ、外扉410を閉扉させるための動力も必要なく、外扉の開動作と閉動作とのいずれにおいても外扉と可動部材とを係合させる必要があり、外扉410を開扉および閉扉させるための動力が必要となる横開き型に比べて、可動係合装置500の構成を簡素化することができる。
また、第1実施形態の工事用エレベータ10では、内扉300と外扉410とが縦開き型の扉であり、かつ、搬器210の乗降口214が横長であるため、乗降口214が縦長である場合に比べて、内扉300の開閉に必要な時間、および、内扉300とともに開閉される外扉410の開閉に必要な時間を短縮することができる。
また、第1実施形態の工事用エレベータ10では、外扉410がブラインドカーテン型の扉であり、複数個の扉体412が接続部材により上下方向に連設されている。そのため、複数個の扉体が、機械的な接点により連接されているスライド型の扉に比べて、機械的な摺動部が少なく、動作信頼性が高い。
また、第1実施形態の工事用エレベータ10では、電動駆動部520が電動で可動部材510を移動させるので、手動で可動部材510を移動させる場合に比べて、工事用エレベータ10の稼動に必要な労力を抑制することができる。
また、第1実施形態の工事用エレベータ10では、電動駆動部520が可動部材510を直進移動させることにより、突出位置と収容位置とに移動させる。そのため、可動部材510を回転移動させる場合に比べて、電動駆動部520は可動部材510を回転中心以外の部分でも支持することができ、可動部材510の支持強度を高くすることができる。また、電動駆動部520が実行する直進駆動は、可動部材510を前後に直進移動させる単純駆動であるため、可動部材510を回転移動させる回転駆動に比べて、動作信頼性が高い。
また、第1実施形態の工事用エレベータ10では、内扉300と外扉410とが、上昇することで開き、可動係合装置500が、内扉300の下端付近に配置され、可動係合装置500の可動部材510に係合する係合部材440が、外扉410の下端付近に設けられる。そのため、内扉300の下端付近に配置された可動係合装置500に含まれる可動部材510を、外扉410の下端付近に設けられた係合部材440に係合させる単純な構成により、外扉410と可動部材510とを係合させることができる。
B.第2実施形態:
B−1.工事用エレベータ10の構成:
図9は、第2実施形態における工事用エレベータ10Aの概略的な正面図である。以下では、第2実施形態における工事用エレベータ10Aの構成の内、上述した第1実施形態における工事用エレベータ10の構成と同一の構成については、同一の符号を付すことによってその説明を適宜省略する。
第2実施形態における工事用エレベータ10Aでは、内扉300が上下方向に分割された第1内扉300Aと第2内扉300Bとから構成されている。第1内扉300Aと第2内扉300Bとは、略同一の形状をしている。第1内扉300Aの高さ、および、第2内扉300Bの高さは、外扉410の高さの略半分である。第1内扉300Aは、上昇することで開き、下降することで閉じる。第2内扉300Bは、第1内扉300Aよりも下側に配置されており、下降することで開き、上昇することで閉じる。電動機235は、第1内扉300Aと第2内扉300Bとの両方を同時に昇降駆動する。具体的には、電動機235は、図示されていないギアを介して第1内扉300Aに駆動力を伝達して第1内扉300Aを昇降駆動するとともに、チェーンを介して第2内扉300Bに駆動力を伝達して第2内扉300Bを昇降駆動する。なお、図9には第1内扉300Aと第2内扉300Bと外扉410とが示されている。
図10は、工事用エレベータ10Aの外扉機構400Aと可動係合装置500との構成を示す概略的な側面図である。なお、図10には、第1内扉300Aと第2内扉300Bと外扉410とが全開した状態が示されている。図10に示すように、可動係合装置500は、第1内扉300Aの左右方向(X軸方向)の両端面の下端部付近に取り付けられている。係合部材440Aは、外扉410の前側、すなわち、内扉300側に配置され、外扉用支柱420に設けられたレール部424に沿って上下方向にのみ移動可能となるように支持されている。
外扉機構400Aは、さらに、連結機構450を含む。連結機構450は、軸体452と、一対の第1上側プーリ454と、一対の第1ケーブル456と、一対の下側プーリ458と、一対の第2上側プーリ460と、一対の第2ケーブル462とを含む。軸体452は、円柱状の部材であり、軸方向が左右方向(X軸方向)となる向きで、一対の外扉用支柱420の間に架け渡されている。軸体452は、各外扉用支柱420において、外扉410の最も上側に配置された扉体412Aの上端部414Aよりも上側に配置されている。
一対の第1上側プーリ454と、一対の第1ケーブル456と、一対の下側プーリ458と、一対の第2上側プーリ460と、一対の第2ケーブル462とのそれぞれの一方は、一方の外扉用支柱420内に配置され、それぞれの他方は、他方の外扉用支柱420内に配置される。第1上側プーリ454は、円筒状の部材であり、軸体452を中心に回転可能に設けられている。第1ケーブル456は、金属性のワイヤであり、一端が第1上側プーリ454に巻きつけられており、他端が係合部材440Aに固定されている。下側プーリ458は、円柱状の部材であり、軸方向が左右方向(X軸方向)となる向きで、外扉用支柱420の下端付近に配置されている。下側プーリ458は、第1ケーブル456と係合し、第1ケーブル456が伸長する方向を変更する。具体的には、第1ケーブル456は、第1上側プーリ454から下側プーリ458に向けて下降し、下側プーリ458から係合部材440Aに向けて上昇する。
第2上側プーリ460は、円筒状の部材であり、軸体452を中心に回転可能に設けられている。第2上側プーリ460は、第1上側プーリ454に対して固定されており、第1上側プーリ454と第2上側プーリ460とが、軸体452の周りに一体に回転する。また、第2上側プーリ460の外径は、第1上側プーリ454の外径の略2倍である。第2ケーブル462は、金属性のワイヤであり、一端が第2上側プーリ460に巻きつけられており、他端が外扉410の最も下側に配置された扉体412Dの下端部414Dに固定されている。なお、第1ケーブル456が第1上側プーリ454に巻き付けられる向きと、第2ケーブル462が第2上側プーリ460に巻き付けられる向きとは逆である。
B−2.外扉410の開閉動作の仕組み:
図10には、可動部材510が突出位置に位置する状態が示されている。図10に示すように、可動部材510が突出位置に位置するときに、可動部材510は上下方向視で係合部材440と重なる。そのため、可動部材510が突出位置に位置するときに、内扉300が開くと、可動部材510と係合部材440とが係合する。
従って、可動部材510が突出位置に位置するときに、内扉300が開くと、可動部材510に係合する係合部材440が持ち上げられる。これにより、第1上側プーリ454の外周に巻き付けられた第1ケーブル456が解放されるとともに、第2ケーブル462が巻き取られ、外扉410が上昇して開く。
第2実施形態における工事用エレベータ10Aでは、第2上側プーリ460の外径が、第1上側プーリ454の外径の略2倍であるため、第2ケーブル462が巻き取られる速度が、第1ケーブル456が解放される速度の略2倍となる。そのため、外扉410は第1内扉300Aの2倍の速度で上昇し、第1内扉300Aの高さの略2倍の高さを有する外扉410の開動作に必要な時間と、第1内扉300Aの開動作に必要な時間とが、略同一となる。
また、可動部材510が突出位置に位置するときに、内扉300が閉じると、可動部材510の下降により係合部材440と外扉410とが自重で下降し、外扉410が閉じる。
以上説明したように、第2実施形態の工事用エレベータ10Aでは、内扉300が上下方向に配置された第1内扉300Aと第2内扉300Bとにより構成されており、第1内扉300Aと第2内扉300Bとが上下方向に離間するように同時に開扉されるので、第1内扉300Aと第2内扉300Bとが順次開扉される場合に比べて、内扉300の開扉に必要な時間を短縮することができる。また、外扉410は、第1内扉300Aの速度よりも大きい速度で開扉されることから、第1内扉300Aの速度以下の速度で開扉される場合に比べて、外扉410の開扉に必要な時間を短縮することができる。これにより、内扉300と外扉410との開扉に必要な時間を短縮することができる。
また、第2実施形態の工事用エレベータ10Aでは、連結機構450に下側プーリ458を設け、外扉410が上昇した場合に、係合部材440Aが持ち上げられた状態としている。第2実施形態の工事用エレベータ10Aでは、連結機構450に下側プーリ458を設けなくても、例えば、可動係合装置500が第2内扉300Bの上端部付近に取り付けられ、第2内扉300Bの開動作による下降に伴って係合部材440が押し下げられる構成とすることができる。上記の構成では、係合部材440が押し下げに伴って、第1ケーブル456が解放されるとともに、第2ケーブル462が巻き取られ、外扉410が上昇して開くこととなる。しかし、外扉410が上昇した場合に、係合部材440が押し下げられていると、係合部材440が搬器210の乗降口214の一部を覆っていると、搬器210への資材等の昇降作業の障害となる。
第2実施形態の工事用エレベータ10Aでは、連結機構450に下側プーリ458を設け、外扉410が上昇した場合に、係合部材440Aが持ち上げられた状態としているので、係合部材440が搬器210への資材等の昇降作業の障害となることを抑制することができる。
C.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
上記実施形態では、構造物として建築物を例示したが、構造物は建築物以外の構造物でもよい。また、上記実施形態では、工事用エレベータの搬器が建築物の各階の床スラブ20に設けられた開口30を連通する昇降路内を昇降する例を示したが、工事用エレベータの搬器は建築物の周囲に配置された組立足場の外側を昇降するように配置されていてもよい。
上記実施形態では、突出位置の可動部材が外扉機構の少なくとも一部に接触して係合する例を示したが、これに限られず、突出位置の可動部材が、機械的に、あるいは、電磁石等により外扉機構の少なくとも一部に連結して係合してもよい。
上記第1実施形態では、突出位置の可動部材510が外扉機構400の少なくとも一部に係合する際に、突出位置の可動部材510が係合部材440に係合する例を示したが、これに限られない。例えば、突出位置の可動部材510が外扉410の下端面に係合してもよければ、外扉機構400を構成する他の部材に係合してもよい。この場合、収容位置は、上下方向視で外扉機構400と重ならない位置ということができる。
上記実施形態では、内扉と外扉とが縦開き型の扉である例を示したが、これに限られず、横開き型の扉であってもよい。例えば、内扉と外扉とが横開き型の扉である場合には、可動部材が突出位置に位置するときに、可動部材は左右方向視で係合部材と重なり、突出位置の可動部材の一部が、係合部材の右側(X軸正方向)に位置しており、突出位置の可動部材の他の一部が、係合部材の左側(X軸負方向)に位置している。
上記実施形態では、電動駆動部が、可動部材を突出位置と収容位置とに平行移動させる際に、可動部材を直進移動させる例を示したが、平行移動は直進移動に限られない。さらに、電動駆動部が、可動部材を突出位置と収容位置とに移動させる方式は、可動部材を平行移動させる方式に限られず、可動部材を回転移動させてもよい。
図12は、変形例における可動係合装置500Aの概略的な上面図である。図12に示すように、可動部材510Aは、その一端が回転軸512によって移動不能、かつ、水平方向に回転可能に支持されている。可動部材510Aの一端と回転軸512とは、内扉300の後側(Y軸負方向)の表面に形成された凹部302内に配置されている。
図12に二点鎖線で示すように、可動部材510Aが収容位置に位置するときに、可動部材510Aは凹部302に収容されている。また、可動部材510Aは上下方向視で外扉機構400と重ならない。さらに、可動部材510Aが収容位置に位置するときに、可動部材510Aの少なくとも一部が内扉300よりも前側(Y軸正方向)に位置していない。そのため、収容位置の可動部材510Aが工事用エレベータ10の他の部材と干渉するのを抑制することができる。
一方、図12に実線で示すように、可動部材510Aが突出位置に位置するときに、回転軸512によって支持されていない可動部材510Aの他端が、凹部302から突出しており、可動部材510Aは上下方向視で係合部材440と重なる。具体的には、突出位置の可動部材510Aの一部が、係合部材440の下側に位置している。そのため、可動部材510Aが突出位置に位置するときに、内扉300が開くと、可動部材510Aと係合部材440とが係合する。
電動駆動部520Aは、凹部302に収容されており、可動部材510Aを水平方向に90度回転させて、可動部材510Aを突出位置と収容位置とに移動させる。電動駆動部520Aは可動部材510Aを回転移動させるので、可動部材510Aを平行移動させる場合に比べて、電動駆動部520Aが可動部材510Aを移動させるのに必要な駆動力を少なくすることができ、電動駆動部520Aの構成を簡素化することができる。
上記実施形態では、外扉410がブラインドカーテン型の扉である例を示したが、これに限られない。例えば、外扉がスライド型の扉であってもよい。スライド型の扉は、複数個の扉体が、機械的な接点により連接されているため、蝶番等の接続部により上下方向に連設されているブラインドカーテン型の扉に比べて、機械的強度を高くすることができる。
また、例えば、外扉410が軸体452周りに巻き取られる巻取型の扉であってもよい。巻取型の扉は、複数個の扉体が上下方向に連設されているブラインドカーテン型の扉に比べて、機械的な接点が少なく、動作信頼性を高くすることができる。
上記第1実施形態では、ユーザからの着床指示が入力された場合に閉扉処理が開始される例を示したが、これに限られない。例えば、開扉処理の終了から所定時間後に閉扉処理が開始されてもよい。
1:建築物 10、10A:工事用エレベータ 100:支柱 210:搬器 214:乗降口 230:電動機 235:電動機 300:内扉 300A:第1内扉 300B:第2内扉 400、400A:外扉機構 410:外扉 412:扉体 420:外扉用支柱 440、440A:係合部材 450:連結機構 452:軸体 454:第1上側プーリ 456:第1ケーブル 458:下側プーリ 460:第2上側プーリ 462:第2ケーブル 500、500A:可動係合装置 510、510A:可動部材 520、520A:電動駆動部

Claims (5)

  1. 工事中の構造物の複数階に亘って設けられる工事用エレベータであって、
    上下方向に延びる支柱と、
    前記支柱に沿って昇降路を昇降可能であり、内側に収容空間が形成され、前記収容空間を取り囲む側面に乗降口が形成された搬器と、
    前記搬器を昇降させる昇降駆動装置と、
    前記搬器に設けられ、前記乗降口を開閉する内扉と、
    前記搬器に設けられ、前記内扉を開閉駆動する電動機と、
    前記複数階のそれぞれに設けられ、前記昇降路に通じる開口部を開閉する外扉を含む外扉機構と、
    前記内扉に取り付けられ、前記外扉が開閉される開閉方向視で前記外扉機構の少なくとも一部と重なる第1位置と、前記開閉方向視で前記外扉機構と重ならない第2位置とに移動可能であり、前記第1位置に位置する状態では、前記内扉の開動作に伴い前記外扉機構の少なくとも一部に係合して前記外扉を開扉させる可動部材を含む可動係合装置と、
    前記外扉を固定するロック状態と前記外扉を固定しない非ロック状態とに切り替わるロック装置であって、前記搬器が指定階に着床した際に前記ロック状態から前記非ロック状態に切り替わり、前記内扉と前記外扉とが閉扉された際に前記非ロック状態から前記ロック状態に切り替わる、ロック装置と、を備え
    前記内扉と前記外扉とは縦開き型の扉であり、
    前記可動係合装置は、さらに、前記可動部材を電動で前記第1位置と前記第2位置とに移動させる電動駆動部を含み、
    前記内扉は、第1内扉と、前記第1内扉よりも下側に配置された第2内扉とを含み、
    前記第1内扉は、上昇することで開く扉であり、
    前記第2内扉は、下降することで開く扉であり、
    前記電動機は、前記第1内扉と前記第2内扉とを同時に開扉し、
    前記可動係合装置は、前記第1内扉の下端付近に配置され、
    前記外扉機構は、さらに、
    前記可動部材に係合可能な係合部材と、
    前記外扉と前記係合部材とを連結し、前記第1内扉の開動作に伴い、前記可動部材に係合して上昇する前記係合部材の速度よりも大きい速度で前記外扉を開扉させる連結機構と、を含む、工事用エレベータ。
  2. 請求項に記載の工事用エレベータであって、
    前記電動駆動部は、前記可動部材を平行移動させることにより、前記第1位置と前記第2位置とに移動させる、工事用エレベータ。
  3. 請求項に記載の工事用エレベータであって、
    前記電動駆動部は、前記可動部材を回転移動させることにより、前記第1位置と前記第2位置とに移動させる、工事用エレベータ。
  4. 請求項から請求項までのいずれか一項に記載の工事用エレベータであって、
    前記内扉と前記外扉とは、上昇することで開く扉であり、
    前記可動係合装置は、前記内扉の下端付近に配置され、
    前記可動部材は、前記外扉の下端付近に設けられた係合部に係合可能である、工事用エレベータ。
  5. 請求項から請求項までのいずれか一項に記載の工事用エレベータであって、
    前記乗降口は横長である、工事用エレベータ。
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