JP6699767B2 - 乗物用シートの流体袋装置 - Google Patents

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本発明は、乗物用シートの流体袋装置に関する。
従来、着座者が着座するシート本体に着座者に向けて流体袋を設け、該流体袋に流体を供給して膨張することにより着座者の体の所望部位を押圧する乗物用シートの流体袋装置は、流体袋の膨張高さを稼ぎたいという要望がある。その一策としては、流体袋の容積を大きくすることが考えられる。ところが、流体袋の容積を大きくする態様は、流体袋に流体を供給する装置の能力を大きくする必要があるため改善が必要であった。また、流体袋は、シート内部に内装することから大型化に伴って配設スペースの確保が困難となる。そこで、流体袋装置の一技術として特許文献1のような技術が知られている。係る特許文献1は、給排気口が設けられた空気袋本体を備え、給排気口を介して空気が給排気されて膨張・収縮する空気袋装置であって、空気袋本体は、中間部で折り畳まれて第一袋部と第二袋部とに分けられると共に、この第一、第二袋部は互いに重ねられ、且つ、中間部で互いに連通している技術が開示されている。
特開2004−201942号公報
しかしながら、上記特許文献1における空気袋本体は、膨張時に第一袋部と第二袋部の相互の位置ずれが生じ意図しない方向へ膨張してしまうおそれがあった。また、意図しない膨張時には、所望の膨張高さを得られないという懸念がある。
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、乗物用シートの流体袋装置において、流体袋の膨張による膨張高さを確保すると共に、意図しない方向への膨張を抑制することにある。
上記課題を解決するために、本発明の乗物用シートの流体袋装置は次の手段をとる。先ず、第1の発明は、着座者が着座するシート本体に着座者に向けて流体袋を設け、該流体袋に流体を供給して膨張することにより着座者の体の所望部位を押圧する乗物用シートの流体袋装置であって、前記流体袋は、熱可塑性の合成樹脂による面状部材と、該面状部材を重ね合わせて周囲を固着する固着部と、該固着部によって囲まれた部位に流体を流入及び流出させる袋部と、該袋部内に流体を流入及び流出する流入出路と、前記固着部を境界として前記袋部とは反対側に延在する縁部と、を備え、前記流体袋は、少なくとも3つ構成され互いに重ねられており、互いの前記縁部が重ねられた状態で連結される連結部を有し、前記連結部によって膨張状態における複数の流体袋の相互の位置ずれが抑制される。
この第1の発明によれば、流体袋は、少なくとも3つ構成され互いに重ねられている。そのため、流体袋の膨張の際、膨張する高さ方向と交差する方向の膨張を抑制することができる。例えば、小さい容積の流体袋でも膨張による膨張高さを確保し得る。また、流体袋は、互いの縁部が重ねられた状態で連結される連結部を有し、連結部によって膨張状態における複数の流体袋の相互の位置ずれが抑制される構成である。そのため、流体袋が膨張する際に意図しない方向への膨張を抑制することができ得る。もって、乗物用シートの流体袋装置において、流体袋の膨張による膨張高さを確保すると共に、意図しない方向への膨張を抑制することができる。
次に、第2の発明に係る乗物用シートの流体袋装置は、第1の発明において、前記複数の流体袋は、直線状に隣接するように一体的に構成され、前記複数の流体袋は、隣接する流体袋の間が接続される接続部で折り曲げられて波状に折重ねられている。
この第2の発明によれば、複数の流体袋は、直線状に隣接するように一体的に構成されている。そのため、流体袋装置の部品点数を抑制し得る。また、複数の流体袋は、隣接する流体袋の間が接続される接続部で折り曲げられて波状に折重ねられている構成である。そのため、流体袋が一体的に構成されていても他の流体袋と干渉しないで膨張し得る。また、流体袋をコンパクトに構成し得る。
次に、第3の発明に係る乗物用シートの流体袋装置は、第2の発明において、前記複数の流体袋は、前記接続部に前記流体を連通する連通路が構成されている。
この第3の発明によれば、接続部に流体を連通する連通路を設けることで、流体袋をより一層コンパクトに構成し得る。
次に、第4の発明に係る乗物用シートの流体袋装置は、第1の発明から第3の発明のいずれかにおいて、前記連結部は、隣接する流体袋の前記縁部を連結する第1連結部と、離れた前記流体袋における前記縁部を連結する第2連結部と、を有し、前記第2連結部は、前記固着部から見て、前記第1連結部よりも前記袋部から離れた位置に設けられている。
この第4の発明によれば、3つの流体袋それぞれについて、相互の位置ずれを抑制することができる。また、第2連結部は、固着部から見て、第1連結部よりも袋部から離れた位置に設けられている。これにより、流体袋の膨張時に第2連結部が膨張を遮ることを抑制し得る。
本発明は上記各発明の手段をとることにより、乗物用シートの流体袋装置において、流体袋の膨張による膨張高さを確保すると共に、意図しない方向への膨張を抑制することができる。
実施形態に係る車両用シートの斜視図である。 実施形態に係る流体袋装置のシステム構成図である。 実施形態に係る流体袋の正面図である。 図3のIV−IV線断面図である。 実施形態に係る流体袋装置における流体袋の収縮時を示す断面図である。 実施形態に係る流体袋装置における流体袋の膨張時を示す断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図1〜5を用いて説明する。なお、本実施形態では、乗物用シートのうち車両用シートの前部座席を例示して説明する。本実施形態では、着座者が着座するシート本体に着座者に向けて流体袋を設け、流体袋に流体を供給して膨張することにより着座者の体の所望部位を押圧してマッサージする乗物用シートの流体袋装置である。各図に適宜矢印で示す方向は、車両用シートに着座した着座者から見た前方、後方、上方、下方、左方、右方とそれぞれ一致する方向である。
車両用シート(乗物用シート)におけるシート本体1は、図1に示されるように背凭れ部となるシートバック2と、着座部となるシートクッション3と、頭もたれとなるヘッドレスト4とを有する。マッサージの機能を有する流体袋装置10は、シートバック2にバックフレーム(不図示)とバックパッド(不図示)の間に挟んで設けられる。
流体袋装置10は、図1に示すように着座者に向けて流体袋12を備え、流体袋12に流体を供給して膨張することにより着座者の体の所望部位を押圧してマッサージする装置である。ここで、流体袋12に供給する流体は空気を例示する。なお、流体は、種々の流体を適用できるものであり、例えば空気以外の気体でも良いし、液体であっても良い。流体袋12は、支持板(不図示)上に支持されて、その支持板がシートバック2のバックフレーム(不図示)に固定される。なお、流体袋装置10は、図1においてシートバック2に2つ構成される態様を図示しているが、これに限られず2個以上の複数構成されてもよい。また、流体袋装置10は、シートクッション3、ヘッドレスト4に構成され得る。また、シート本体1に脚部を支持するオットマンを備える場合は、係るオットマンに流体袋装置10が構成され得る。
流体袋12の詳細構成を図2、3に示す。流体袋12は、略四角形の熱可塑性ポリウレタンシートからなる2枚のシート状部材14、16(面状部材)を一対として、これらを面合せに重ねて構成されている。シート状部材14、16は、熱可塑性の合成樹脂の面状部材であれば種々の素材を適用し得る。2枚のシート状部材14、16は、重ね合された状態で略矩形に区画するように周囲を熱溶着によって固着する熱溶着部20(固着部)が形成される。係る熱溶着部20によって囲まれた部位が袋部22として構成される。また、熱溶着部20の外周には、熱溶着部20を境界として袋部22とは反対側に延在する縁部24が構成される。流体袋12は、3つ構成されている。3つの流体袋12は、隣接する流体袋12の間を接続する接続部26が構成される。この接続部26により、2枚のシート状部材14、16に3つの流体袋12を一体に形成できる。この3つの流体袋12は、直線状に隣接するように一体的に構成されている。接続部26の部位の熱溶着部20は、連続して形成されず一部が離間することで各流体袋12間を空気が連通する連通路28が形成される。また、3つの流体袋12の一つには、熱溶着部20を横切ってパイプが接続され、空気が給排気する給排気パイプ30(流体を流入及び流出する流入出路)が形成される。3つの流体袋12は、接続部26で折り曲げられて波状に折重ねられている。2枚のシート状部材14、16の連通路28が形成される部位には、互いの合せ面のうちシート状部材14側に4本の溝32が形成されている(図4参照)。この溝32があることによって、接続部26が折り曲げられた状態でも、円滑に空気を連通することができる。また、各流体袋12は、互いの縁部24が重ねられた状態で連結される連結部40を有する。この連結部40は、隣接する流体袋12の縁部24を連結する第1連結部41と、離れた流体袋12における縁部24を連結する第2連結部42と、を有する。第2連結部42は、熱溶着部20から見て、第1連結部41よりも袋部22から離れた位置に設けられている。具体的には、第1連結部41と熱溶着部20の間の距離41Lより、第2連結部42と熱溶着部20の間の距離42Lの方が大きい関係である。ここで、本実施形態において連結部40は、互いの縁部24が重ねられた状態で熱溶着することで連結されている。
なお、本実施形態では、流体袋12は3つ構成される態様について説明したが、流体袋12は少なくとも3つ構成されるものであればよく3つ以上構成されるものでもよい。これら複数の流体袋は、一体の構成以外に、それぞれ分割されて別体に構成されてもよい。上記態様では3つの流体袋12が接続部26で接続されると共に、接続部26に連通路28を設けることで各流体袋12間を空気が連通する。そのため、給排気パイプ30のいずれか一つの流体袋12に設ける態様である。ここで、3つの流体袋12がそれぞれ接続されずに分割される態様では、給排気パイプ30が各流体袋12にそれぞれ設けられる。また、3つの流体袋12を接続する接続部26に連通路28が形成されない態様においても、給排気パイプ30が各流体袋12にそれぞれ設けられる。また、連結部40の態様は、種々適用できる。例えば、接着剤による連結でも良いし、ボルトとナットの締結結合による連結でも良いし、クリップなどによる係止による連結でも良いし、合成樹脂製のピンを超音波溶着することで連結する態様であってもよい。本実施形態では、第2連結部42は、熱溶着部20から見て、第1連結部41よりも袋部22から離れた位置に設けられている。ここで、第2連結部42の位置は、第2連結部42で連結された各流体袋12の膨張高さに影響しない位置であればよく種々の位置に設定できる。縁部24は、袋部22の外周の全周に設ける態様を示したが、連結部40が構成される近傍のみに形成されるものであってもよい。なお溝32は、2枚のシート状部材14、16の少なくとも一方側の面に設ける態様でもよいし、両面に設けられるものであってもよい。また溝32は、4本に限られず3本以下でも5本以上でもよい。
なお、本実施形態では、2枚のシート状部材14、16(面上部材)を一対として、これらを面合せに重ねて構成する態様を示した。しかしながら、一枚のシート状部材を折り重ねて一対として面合せに重ねて袋部を構成する態様であってもよい。また、本実施形態では、シート状部材14、16を重ね合された状態で略矩形に区画するように周囲を熱溶着によって固着する熱溶着部20(固着部)が形成される態様を示した。しかし固着部は、熱溶着に限られず接着剤等の固着方法であってもよい。
図2のように、流体袋12の給排気パイプ30は、切換弁50を介してポンプPに接続されている。切換弁50は、電磁弁であり、給排気パイプ30がポンプPに連通された給気状態と大気開放ポートに連通された排気状態とに交互に切換えられる。切換弁50は、通電時には排気状態とされ、非通電時には給気状態とされる。ポンプPは、通電されることによって圧縮空気を発生して、切換弁50を介して流体袋12に圧縮空気を供給する。切換弁50とポンプPの間には、逆止弁52が介装されている。逆止弁52は、ポンプPから切換弁50へ向かう空気の流れは許容し、それとは逆の空気の流れを阻止するものとされている。
図2、5は、流体袋12が収縮状態を示している。切換弁50が非通電とされるとともに、ポンプPが通電されて圧縮空気が発生されると、ポンプPからの圧縮空気が給排気パイプ30を介して流体袋12に供給される。その結果、図2、図6のように流体袋12が膨張され着座者の体の所望部位を押圧してマッサージする。このとき、3つの流体袋12は、連結部40によって膨張状態における相互の位置ずれが抑制される。すなわち、流体袋12が重ねられた方向に交差する方向において相互の位置ずれが抑制される。この状態で、ポンプPが非通電とされ、切換弁50が非通電のまま維持されると、流体袋12に供給された空気は逆止弁52によって保持され、着座者の体の所望部位への押圧を維持する。
その後、切換弁50が通電状態とされると、流体袋12に供給されていた空気は、給排気パイプ30及び切換弁50を介して排気される。その結果、図5のように流体袋12は収縮する。
このように、実施形態の乗物用シートの流体袋装置10によれば、流体袋12は、少なくとも3つ構成され互いに重ねられている。そのため、流体袋12の膨張の際、膨張する高さ(ストローク)方向と交差する方向の膨張を抑制することができる。例えば、小さい容積の流体袋12でも膨張による膨張高さを確保し得る。また、流体袋12は、互いの縁部24が重ねられた状態で連結される連結部40を有し、連結部40によって膨張状態における複数の流体袋12の相互の位置ずれが抑制される構成である。そのため、流体袋12が膨張する際に意図しない方向への膨張を抑制することができ得る。もって、乗物用シートの流体袋装置10において、流体袋12の膨張による膨張高さを確保すると共に、意図しない方向への膨張を抑制することができる。
また、複数の流体袋12は、直線状に隣接するように一体的に構成されている。そのため、流体袋装置10の部品点数を抑制し得る。また、複数の流体袋12は、隣接する流体袋12の間が接続される接続部26で折り曲げられて波状に折重ねられている構成である。そのため、流体袋12が一体的に構成されていても他の流体袋12と干渉しないで膨張し得る。また、流体袋12をコンパクトに構成し得る。
また、接続部26に流体を連通する連通路28を設けることで、流体袋12をより一層コンパクトに構成し得る。
また、3つの流体袋12それぞれについて、相互の位置ずれを抑制することができる。また、第2連結部42は、熱溶着部20から見て、第1連結部41よりも袋部22から離れた位置に設けられている。これにより、流体袋12の膨張時に第2連結部42が膨張を遮ることを抑制し得る。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されず、その他各種の形態で実施することができるものである。例えば、乗物用シートの例示として車両用シートを例示して説明したが、乗物は、車両に限定されず、船舶、航空機等の各種の乗物に適用し得る。
1 シート本体
2 シートバック
3 シートクッション
4 ヘッドレスト
10 流体袋装置
12 流体袋
14、16 シート状部材(面状部材)
20 熱溶着部(固着部)
22 袋部
24 縁部
26 接続部
28 連通路
30 給排気パイプ(流入出路)
32 溝
40 連結部
41 第1連結部
42 第2連結部
50 切換弁
52 逆止弁
P ポンプ

Claims (2)

  1. 着座者が着座するシート本体に着座者に向けて流体袋を設け、該流体袋に流体を供給して膨張することにより着座者の体の所望部位を押圧する乗物用シートの流体袋装置であって、
    前記流体袋は、
    熱可塑性の合成樹脂による面状部材と、
    該面状部材を重ね合わせて周囲を固着する固着部と、
    該固着部によって囲まれた部位に流体を流入及び流出させる袋部と、
    該袋部内に流体を流入及び流出する流入出路と、
    前記固着部を境界として前記袋部とは反対側に延在する縁部と、
    を備え、
    前記流体袋は、少なくとも3つの前記袋部が面方向に隣接するように一体に構成され、隣接する前記袋部の間が接続される接続部で折り曲げられて波状に折り重ねられており、互いの前記縁部が重ねられた状態で連結される連結部を有し、
    前記連結部は、前記袋部同士が折り重なった状態において、前記縁部のうち接続部で折り曲げられて重ねられた部位で連結されることで、前記袋部を挟んで対向した位置に配置されており、
    前記連結部によって膨張状態における複数の前記袋部の相互の位置ずれが抑制される乗物用シートの流体袋装置。
  2. 請求項1に記載の乗物用シートの流体袋装置であって、
    前記接続部の部位は、前記袋部の間を空気が連通する連通路が設けられており、
    前記連通路の開口幅が前記袋部の開口幅より狭く構成されており、
    前記接続部の縁部における前記面状部材の外端部から前記固着部までの長さは、前記袋部の周囲の縁部における前記面状部材の外端部から前記固着部までの長さより大きい関係である乗物用シートの流体袋装置。
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