JP6699195B2 - 電子デバイスの製造方法 - Google Patents

電子デバイスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6699195B2
JP6699195B2 JP2016010394A JP2016010394A JP6699195B2 JP 6699195 B2 JP6699195 B2 JP 6699195B2 JP 2016010394 A JP2016010394 A JP 2016010394A JP 2016010394 A JP2016010394 A JP 2016010394A JP 6699195 B2 JP6699195 B2 JP 6699195B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
barrier layer
liquid crystal
light
sealing material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016010394A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017129799A (ja
JP2017129799A5 (ja
Inventor
清水 雄一
雄一 清水
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2016010394A priority Critical patent/JP6699195B2/ja
Publication of JP2017129799A publication Critical patent/JP2017129799A/ja
Publication of JP2017129799A5 publication Critical patent/JP2017129799A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6699195B2 publication Critical patent/JP6699195B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Devices For Indicating Variable Information By Combining Individual Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Projection Apparatus (AREA)

Description

本発明は、電子デバイスの製造方法に関する。
電子デバイスの一例である液晶装置(液晶パネル)は、例えばプロジェクターなどの光変調装置(ライトバルブ)に使用されている。当該液晶パネルでは、一対の基板がシール材によって所定の間隙を有するように貼り合わされ、シール材で囲まれた領域に液晶が封入(充填)されている。当該液晶パネルを駆動すると、一対の基板のそれぞれの近傍で液晶に一方向の流れ(フロー)が生じ、液晶中に混入したイオン性不純物も液晶と一緒に移動する。イオン性不純物が表示領域の特定箇所に偏在すると、焼き付きなどの表示不具合を招くおそれがあった。
このイオン性不純物の偏在を抑制するために、例えば特許文献1の方法が提案されている。特許文献1では、表示領域の周辺に複数の電極を隣接して設け、隣接する電極の電位を変化させて横方向の電界を発生させ、当該横方向の電界によって、イオン性不純物を表示領域内から表示領域の外にすばやく移動させることで、表示領域におけるイオン性不純物の偏在を抑制できるとしている。
特開2008−58497号公報
しかしながら、特許文献1の方法では、シール材を通過して液晶の中に混入する水分の影響を抑制することが難しいという課題を有している。
詳しくは、シール材は、例えばアクリル樹脂やエポキシ樹脂などの有機材料で構成され、僅かな透湿性を有している。このため、僅かな水分がシール材の中を通過し、液晶中に混入(侵入)する。液晶中に混入した水分は、表示領域に拡散(移動)し、表示領域の親水性の高い部分に吸着し、偏在する。表示領域に偏在した水分は、液晶中のイオン性不純物を引き寄せトラップし、イオン性不純物も偏在するようになる。イオン性不純物は、表示領域における水分が偏在した部分にトラップ(拘束)されるので、表示領域の周辺に設けられた横方向の電界によって、イオン性不純物を表示領域の外に排出することが難しくなる。さらに、イオン性不純物が偏在した部分で、焼き付きなどの表示不具合を招くおそれがあった。
すなわち、シール材を通過して液晶の中に混入する水分によって、液晶パネルの表示性能や信頼性が低下するおそれがあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る電子デバイスは、第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面及び前記第2面に交差する第1の端とを有する第1基板と、第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第3面及び前記第4面に交差する第2の端とを有する第2基板と、前記第2面と前記第4面との間に配置される機能層と、前記第2面と前記第4面との間に配置され、前記機能層を大気から隔離する樹脂層と、バリア層と、を含み、前記バリア層は、前記樹脂層の前記機能層が配置される側と反対側の第5面を覆うことを特徴とする。
機能層は、第1基板の第2面と第2基板の第4面との間に配置され、樹脂層によって大気から隔離されている。樹脂層(樹脂)は僅かな透湿性を有するため、僅かな水分(大気中の湿気)が樹脂層の中を通過し、機能層が配置されている側に水分が侵入し、水分によって機能層が劣化するおそれがある。
本適用例では、樹脂層の機能層が配置される側と反対側の第5面がバリア層で覆われ、バリア層によって機能層が配置されている側への水分の侵入が抑制される。よって、機能層が配置されている側に水分が侵入しにくくなり、水分による機能層の劣化を抑制することができる。従って、電子デバイスの性能低下を抑制し、電子デバイスの信頼性を高めることができる。
[適用例2]上記適用例に係る電子デバイスでは、前記バリア層の厚さは、略均一であることが好ましい。
バリア層は第5面を均一な厚さで覆っているので、第5面の全体に対して均一に水分の侵入を抑制することができる。例えば、バリア層が部分的に薄くなり、バリア層が薄くなった部分から水分が侵入しやすくなるという不具合を抑制することができる。
[適用例3]上記適用例に係る電子デバイスでは、前記バリア層は、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルであることが好ましい。
酸化ハフニウムの理論密度は9.68g/cm3であり、酸化タンタルの理論密度は8.73g/cm3である。例えば、酸化アルミニウムの理論密度は4g/cm3であるので、酸化ハフニウム及び酸化タンタルは、酸化アルミニウムと比べて膜密度が高い。膜密度が高くなると、膜が緻密になり、大気中の水分(湿気)が透過しにくくなり、大気中の水分(湿気)に対するバリア性が強くなる。
従って、バリア層を酸化ハフニウムまたは酸化タンタルで構成することによって、バリア層を酸化アルミニウムで構成する場合と比べて、バリア層の大気中の水分(湿気)に対するバリア性を強くし、機能層が配置されている側への水分侵入をより強く抑制することができる。
[適用例4]上記適用例に係る電子デバイスでは、前記第1の端及び前記第2の端は、前記樹脂層から前記機能層の反対側に張り出して配置され、前記バリア層は、前記第1面及び前記第3面の少なくとも一部を覆わず、前記第5面を覆うことが好ましい。
第1面及び第3面の少なくとも一部、すなわち電子デバイスの性能に影響する部分はバリア層で覆われていないので、電子デバイスの性能に影響する部分がバリア層で覆われることによる悪影響を抑制することができる。
例えば、電子デバイスが画像を表示する性能を有する場合、第1面及び第3面がバリア層で覆われると、第1面とバリア層との界面及び第3面とバリア層との界面で、表示に寄与する光の反射が生じる(反射光が発生する)。このため、第1面及び第3面がバリア層で覆われると、表示に寄与する光と反射光とが干渉し、表示に寄与する光が減衰し、表示に寄与する光の強度が弱くなるという悪影響が生じるおそれがある。第1面及び第3面がバリア層で覆われないようにすることで、このような悪影響を抑制することができる。
[適用例5]上記適用例に係る電子デバイスでは、前記機能層は、電気的に光学特性が変化することが好ましい。
機能層の光学特性が電気的に変化すると、機能層に印加される信号を変化させることによって、機能層の光学特性を変化させ、さまざまな表示を提供することができる。
[適用例6]本適用例に係る電子機器は、上記適用例に係る電子デバイスを有していることを特徴とする。
上記適用例に係る電子デバイスは、バリア層によって機能層が配置されている側に水分が侵入しにくくなり、水分による性能劣化が抑制されているので、高信頼性を有する。従って、当該電子デバイスを有する電子機器も高信頼性を有する。
[適用例7]本適用例に係る電子デバイスの製造方法は、第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面及び前記第2面に交差する第1の端とを有する第1基板と、第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第3面及び前記第4面に交差する第2の端とを有する第2基板と、前記第2面と前記第4面との間に配置される機能層と、前記第2面と前記第4面との間に配置され、前記機能層を大気から隔離する樹脂層と、前記樹脂層の前記機能層が配置される側と反対側の第5面を覆うバリア層と、を含む電子デバイスの製造方法であって、前記第2面と前記第4面との間に前記樹脂層を形成した以降の工程において、材料ガスを導入し、前記第5面に前記材料ガスを吸着させ、前記バリア層の原子層堆積膜の前駆体を形成する工程と、反応性ガスを導入し、前記前駆体と前記反応性ガスとを反応させ、前記第5面を覆う前記原子層堆積膜を形成する工程と、を繰り返し、前記バリア層を形成することを特徴とする。
材料ガスが第5面に吸着すると、第5面にはそれ以上の材料ガスが吸着しにくくなる。このため、第5面は材料ガスの単分子層(前駆体)で覆われる。続いて、材料ガスの単分子層(前駆体)と反応性ガスとを反応させると、材料ガスの単分子層と反応性ガスとの反応で生じた化合物の単分子層(以降、化合物の単分子層と称す)が形成される。よって、前駆体を形成する工程と、原子層堆積膜を形成する工程とによって、第5面を覆う化合物の単分子層(原子層堆積膜)が形成される。
さらに、前駆体を形成する工程と、原子層堆積膜を形成する工程とを繰り返すと、化合物の単分子層(原子層堆積膜)が一層ずつ積層され、化合物の単分子層が一層ずつ積層された積層膜(バリア層)が形成される。
本適用例に係る電子デバイスの製造方法では、化合物の単分子層(原子層堆積膜)を一層ずつ積層させてバリア層を形成するので、バリア層の膜厚を高精度に制御することができ、且つバリア層の膜厚の均一性を高めることができる。さらに、材料ガスや反応性ガスが入り込める隙間があれば成膜が可能であるので、例えば第5面が凹部の底面に配置される場合であっても、第5面を覆うバリア層を均一な厚さで形成し、機能層が配置されている側への水分侵入を安定して抑制することができる。
[適用例8]本適用例に係る電子デバイスの製造方法は、第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面及び前記第2面に交差する第1の端とを有する第1基板と、第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第3面及び前記第4面に交差する第2の端とを有する第2基板と、前記第2面と前記第4面との間に配置される機能層と、前記第2面と前記第4面との間に配置され、前記機能層を大気から隔離する樹脂層と、前記樹脂層の前記機能層が配置される側と反対側の第5面を覆うバリア層と、を含み、前記第1の端及び前記第2の端が、前記樹脂層から前記機能層の反対側に張り出して配置される電子デバイスの製造方法であって、前記第2面から前記第4面に向かう方向の寸法が、前記第1の端からの離間距離及び前記第2の端からの離間距離の1/50以下となるように、前記樹脂層を形成した以降の工程において、前記第1面と前記第3面と前記第5面とに材料ガスを吸着させて前記バリア層の原子層堆積膜の前駆体を形成する工程と、前記前駆体と反応性ガスとを反応させて前記第1面と前記第3面と前記第5面とを覆う前記原子層堆積膜を形成する工程と、を繰り返して前記バリア層を形成する工程と、前記バリア層をエッチングする反応種を導入し、前記第1面及び前記第3面を覆う前記バリア層を除去する工程と、を含むことを特徴とする。
本適用例に係る電子デバイスの製造方法では、バリア層の膜厚の均一性を高めることができる。さらに、第1の端及び第2の端は、バリア層(樹脂層)から機能層の反対側に張り出して配置されているので、バリア層は、第1の端及び第2の端によって保護され、傷つきにくい。従って、バリア層は、機能層が配置される側への水分侵入を安定して抑制することができる。
さらに、第1面及び第3面を覆うバリア層を除去する工程によって、第1面及び第3面(電子デバイスの性能に影響する部分)はバリア層で覆われないので、電子デバイスの性能に影響する部分がバリア層で覆われることによる悪影響を抑制することができる。
[適用例9]本適用例に係る電子デバイスの製造方法は、第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面及び前記第2面に交差する第1の端とを有する第1基板と、第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第3面及び前記第4面に交差する第2の端とを有する第2基板と、前記第2面と前記第4面との間に配置される機能層と、前記第2面と前記第4面との間に配置され、前記機能層を大気から隔離する樹脂層と、前記樹脂層の前記機能層が配置される側と反対側の第5面を覆うバリア層と、を含み、前記第1の端及び前記第2の端が、前記樹脂層から前記機能層の反対側に張り出して配置される電子デバイスの製造方法であって、前記第2面から前記第4面に向かう方向の寸法が、前記第1の端からの離間距離及び前記第2の端からの離間距離の1/50以下となるように、前記樹脂層を形成した以降の工程において、材料ガスを導入し、前記第1面と前記第3面と前記第5面とに前記材料ガスを吸着させ、前記バリア層の原子層堆積膜の前駆体を形成する工程と、反応性ガスを導入し、前記前駆体と前記反応性ガスとを反応させ、前記第1面と前記第3面と前記第5面とを覆う前記原子層堆積膜を形成する工程と、前記原子層堆積膜をエッチングする反応種を導入し、前記第1面及び前記第3面を覆う前記原子層堆積膜を除去する工程と、を繰り返し、前記バリア層を形成することを特徴とする。
第1の端及び第2の端は樹脂層の第5面から機能層の反対側に張り出して配置されるので、第2面と第5面と第4面とによって凹部が形成される。また、第5面は凹部の底面をなし、第2面及び第4面は凹部の側面をなす。
さらに、樹脂層(第5面)の第2面から第4面に向かう方向の寸法(凹部の底面の寸法)が、樹脂層(第5面)の第1の端からの離間距離(凹部の側面の寸法)、及び樹脂層(第5面)の第2の端からの離間距離(凹部の側面の寸法)の1/50以下となるように設定されている。すなわち、凹部の側面の寸法に対する凹部の底面の寸法の割合が、1/50以下となるように、凹部が形成されている。
凹部の側面の寸法に対する凹部の底面の寸法の割合が大きくなると、原子層堆積膜をエッチングする反応種は、第5面に進行(到達)しやすくなる。凹部の側面の寸法に対する凹部の底面の寸法の割合が小さくなると、原子層堆積膜をエッチングする反応種は、第5面に進行(到達)しにくくなる。
凹部の側面の寸法に対する凹部の底面の寸法の割合を1/50以下に設定すると、原子層堆積膜をエッチングする反応種は第5面に極めて進行(到達)しにくくなり、第1面及び第3面を覆う原子層堆積膜は反応種によってエッチングされ、第5面を覆う原子層堆積膜は反応種によってエッチングされないという選択エッチングを実現することができる。
従って、第1面と第3面と第5面とに材料ガスを吸着させ原子層堆積膜の前駆体を形成する工程と、第1面と第3面と第5面とを覆う原子層堆積膜を形成する工程と、原子層堆積膜をエッチングする反応種を導入し原子層堆積膜を除去する工程と、を繰り返すことによって、原子層堆積膜を第5面に一層ずつ積層させ、第5面を覆い且つ第1面及び第3面を覆わないバリア層を安定して形成することができる。
本適用例に係る電子デバイスの製造方法では、バリア層の膜厚の均一性を高めることができる。さらに、第1の端及び第2の端は、バリア層(樹脂層)から機能層の反対側に張り出して配置されているので、バリア層は、第1の端及び第2の端によって保護され、傷つきにくい。従って、バリア層は、機能層が配置される側への水分侵入を安定して抑制することができる。
さらに、第1面及び第3面(電子デバイスの性能に影響する部分)はバリア層で覆われないので、電子デバイスの性能に影響する部分がバリア層で覆われることによる悪影響を抑制することができる。
本実施形態に係る液晶パネルの構成を示す概略平面図。 図1のA−A線に沿った液晶パネルの概略断面図。 液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図。 図1のA−A線に沿った液晶パネルの概略断面図。 実施形態1に係る液晶パネルの製造方法を示す工程フロー。 バリア層を形成する薄膜形成装置の概略図。 図5に示す主要な工程を経た後の液晶パネルの状態を示す概略断面図。 図5に示す主要な工程を経た後の液晶パネルの状態を示す概略断面図。 図5に示す主要な工程を経た後の液晶パネルの状態を示す概略断面図。 図5に示す主要な工程を経た後の液晶パネルの状態を示す概略断面図。 反応種の拡散の状態を示す模式図。 反応種の拡散の状態を示す模式図。 ステップS5を経た後の状態を示す模式図。 材料ガス及び反応性ガスの処理温度と、ALD法によって形成されたバリア層の膜密度との関係を示すグラフ。 液晶パネルを高温高湿の環境で保存した場合の液晶層の比抵抗の経時変化を示すグラフ。 実施形態2に係る液晶パネルの製造方法を示す工程フロー。 ステップS12の処理の状態を示す模式図。 実施形態3に係る液晶パネルの概略断面図。 実施形態3に係る液晶パネルの製造方法を示す工程フロー。 投射型表示装置の構成を示す概略図。 変形例1に係る有機ELパネルの概要を示す概略平面図。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。かかる実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、この発明を限定するものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の各図においては、各層や各部位を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部位の縮尺を実際とは異ならせしめてある。
(実施形態1)
「液晶パネルの概要」
実施形態1に係る液晶パネル1は、薄膜トランジスター(以降、TFTと称す)30を備えた透過型液晶パネルであり、例えば液晶プロジェクターの光変調素子として好適に用いることができるものである。
なお、液晶パネル1は、「電子デバイス」の一例である。
図1は、本実施形態に係る液晶パネルの構成を示す概略平面図である。図2は、図1のA−A線に沿った液晶パネルの概略断面図である。図3は液晶パネルの電気的な構成を示す等価回路図である。
以下、図1乃至図3を参照し、本実施形態に係る液晶パネル1の概要について説明する。
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る液晶パネル1は、互いに対向するように配置された素子基板10及び対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有している。
なお、素子基板10は「第1基板」の一例であり、対向基板20は「第2基板」の一例であり、液晶層50は「機能層」の一例である。
素子基板10は、対向基板20よりも大きく、一辺が対向基板20から張り出している。詳しくは、対向基板20から素子基板10に向かう方向から見た場合、素子基板10の一辺は対向基板20から張り出し、素子基板10の他の辺は対向基板20の辺と重なっている。
素子基板10は、対向基板20の外周に沿って配置されたシール材54を介して、対向基板20に接着されている。シール材54としては、例えば熱硬化性または紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤を使用することができる。シール材54には、素子基板10と対向基板20とを一定の間隔(ギャップ)に保持するスペーサー(図示省略)が混入されている。シール材54によって囲まれた領域の内側に液晶層50が封入(密封)されている。シール材54は、素子基板10と対向基板20との間に配置され、素子基板10と対向基板20とを接着すると共に、液晶層50を大気から隔離する。
なお、シール材54は「樹脂層」の一例である。
液晶層50は、負の誘電異方性を有し、素子基板10の第1配向層41と、対向基板20の第2配向層42とに対してプレチルトが与えられた1軸垂直配向となっている。さらに、素子基板10の画素電極9(図2参照)と対向基板20の共通電極22(図2参照)との間に印加される電圧によって、液晶層50の配向状態が変化し、液晶層50の中を通過する光が変調される。すなわち、液晶層50は、画素電極9と共通電極22との間に印加される電圧によって、電気的に光学特性が変化する。
なお、液晶層50は、「電気的に光学特性が変化する機能層」の一例である。
素子基板10と対向基板20との間への液晶層50の配置(充填)では、一対の基板のうちの一方の基板の外周に沿ってシール材54を配置し、シール材54の内側に所定量の液晶層50を滴下し、液晶層50が滴下された一方の基板と他方の基板とを減圧下で貼り合わせるODF(One Drop Fill)方式が採用されている。
なお、液晶層50の配置(充填)では、シール材54に注入孔を設け、当該注入孔を介して素子基板10と対向基板20との間に液晶層50を充填(注入)してもよい。注入孔を介して素子基板10と対向基板20との間に液晶層50を配置(充填)する場合、注入孔を封止材によって封止する必要がある。この場合、シール材54及び封止材は、本願における「樹脂層」に対応する。
額縁状に配置されたシール材54の内側には、同じく額縁状の遮光膜53が設けられている。額縁状の遮光膜53で囲まれた領域の内側が表示領域Vとなる。表示領域Vには、画素Pがマトリックス状に複数配置されている。
素子基板10の第1辺部と第1辺部に沿ったシール材54との間には、データ線駆動回路101が設けられている。該第1辺部と直交し互いに対向する他の第2辺部、第3辺部に沿ったシール材54と表示領域Vとの間には、走査線駆動回路102が設けられている。該第1辺部と対向する他の第4辺部に沿ったシール材54と表示領域Vとの間には、二つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。素子基板10のデータ線駆動回路101が設けられた側の端部には、複数の外部接続用端子103が設けられている。複数の外部接続用端子103と、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路102との間には、それぞれを電気的に接続する配線が設けられている。
さらに、対向基板20の四隅には、対向基板20側に設けられた共通電極22(図2参照)と、素子基板10側に設けられた引き回し配線(図示省略)とを電気的に接続する上下導通部106が設けられている。
上下導通部106は、例えば金などの導電性粒子が分散された樹脂であり、導電性を有する。
なお、上下導通部106は「樹脂層」の一例である。
図2に示すように、素子基板10は、素子基板本体10a、並びに素子基板本体10aの液晶層50側の面に設けられた薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;以降TFTと称す)30、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、層間絶縁層31、画素電極9、外部接続用端子103、第1配向層41などを有している。
素子基板本体10aは、例えば石英基板やガラス基板などの透光性の絶縁基板で構成されている。
TFT30、データ線駆動回路101、及び走査線駆動回路102は、素子基板本体10aの上に形成され、半導体層、複数の導電層、及び複数の絶縁層を有している。TFT30は、例えばnチャネル型TFTで構成されている。データ線駆動回路101及び走査線駆動回路102は、例えばnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを備えたCMOS型TFTで構成されている。
層間絶縁層31は、例えば酸化シリコンなどの透光性の絶縁膜で構成され、TFT30、データ線駆動回路101、及び走査線駆動回路102などを覆う。層間絶縁層31の上には、画素電極9や外部接続用端子103などが設けられている。画素電極9は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電材料で構成されている。
第1配向層41は、例えば酸化シリコンで構成される無機配向層であり、画素電極9を覆う。
対向基板20は、対向基板本体20a、並びに対向基板本体20aの液晶層50側の面に順に積層された遮光膜53、絶縁膜21、共通電極22、第2配向層42などを有している。
対向基板本体20aは、例えば石英基板やガラス基板などの透光性の絶縁基板で構成されている。
遮光膜53は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などで構成されている。遮光膜53は、不必要な迷光が表示領域Vに入射しないように遮光して、表示領域Vにおける表示コントラストを高めている。
絶縁膜21は、透光性の無機絶縁材料からなり、対向基板本体20aの上に遮光膜53が形成されることで生ずる表面の凹凸を緩和する役割を有する。共通電極22は、絶縁膜21の上に形成され、ITOなどの透明導電材料で構成される。第2配向層42は、例えば酸化シリコンで構成される無機配向層であり、共通電極22を覆う。
図3に示すように、液晶パネル1は、少なくとも表示領域Vにおいて互いに絶縁されて直交する複数の走査線5及び複数のデータ線6と、走査線5に対して平行する容量線7とを有する。
走査線5とデータ線6とで区分された領域には、画素電極9と、TFT30と、蓄積容量60とが設けられ、これらが画素Pの画素回路を構成している。
走査線5はTFT30のゲートに電気的に接続され、データ線6はTFT30のソースに電気的に接続されている。画素電極9はTFT30のドレインに電気的に接続されている。
データ線駆動回路101の画像信号D1,D2,…,Dnはデータ線6を介して、走査線駆動回路102の走査信号SC1,SC2,…,SCmは走査線5を介して、それぞれ各画素Pに供給される。
液晶パネル1では、走査信号SC1〜SCmの入力によりTFT30が一定期間だけオン状態になったタイミングに同期して、データ線6から画像信号D1〜Dnが供給され、画像信号D1〜Dnに対応する電荷が画素電極9と共通電極22との間の容量に蓄積され、一定期間保持される。
画素電極9と共通電極22との間の容量に蓄積された電荷のリークの影響を軽減するために、画素電極9と共通電極22との間に、液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。蓄積容量60は、TFT30のドレインと容量線7との間に設けられている。
液晶パネル1では、画素電極9と共通電極22との間に印加された電圧によって、液晶層50の配向状態が変化し、表示領域Vを透過する光が変調され、ノーマリーホワイトモードの表示またはノーマリーブラックモードの表示が提供される。
エポキシ樹脂で構成されるシール材54は、僅かな透湿性を有し、大気中の水分(湿気)が、シール材54の中を通過し、液晶層50の中に混入(侵入)するおそれがある。さらに、液晶層50を充填する工程やシール材54からの溶出などによって、液晶層50の中にイオン性不純物が混入するおそれもある。
酸化シリコンなどの無機配向層(配向層41,42)は、ポリイミドなどの有機配向層と比べて、水分を吸着しやすい。このため、シール材54の中を通過して液晶層50の中に混入した水分は、シール材54の遠くに配置される配向層41,42と比べて、シール材54の近くに配置される配向層41,42に吸着されやすい。その結果、シール材54の遠くに配置される配向層41,42と比べて、シール材54の近くに配置される配向層41,42に多くの水分が吸着され、水分の偏在が生じやすい。さらに、水分はイオン性不純物を引き寄せトラップ(拘束)するので、水分が偏在した部分にイオン性不純物が偏在するようになる。
このため、シール材54の遠くに配置される配向層41,42と比べて、シール材54の近くに配置される配向層41,42にイオン性不純物が偏在しやすく、イオン性不純物が偏在した部分に焼き付きなどの表示不具合が発生しやすくなる。
さらに、酸化シリコンなどの無機配向層(配向層41,42)は、ポリイミドなどの有機配向層と比べて、耐熱性や耐光性に優れているが、アンカリング力が弱く、水分の吸着によって配向力が低下しやすい。このため、配向層41,42に対して水分が偏在して吸着すると、配向層41,42の配向力(アンカリング力)が不均一になり、表示ムラなどの表示不具合が生じるおそれがある。
さらに、液晶層50の中に水分が混入すると、液晶層50の比抵抗が低下し、画素電極9と共通電極22との間の容量に蓄積された電荷がリークしやすくなり、表示ムラなどの表示不具合が生じるおそれがある。
このように、大気中の水分(湿気)が、シール材54の中を通過し、液晶層50の中に混入(侵入)すると、焼き付きや表示ムラなどの表示不具合が生じやすくなる。このため、大気中の水分(湿気)が液晶層50の中に侵入しにくくすること、すなわち、シール材54の耐湿性を高め、大気中の水分(湿気)がシール材54の中を通過しにくくすることが重要である。
本実施形態は、シール材54の耐湿性を高め、大気中の水分(湿気)を液晶層50の中に侵入しにくくする優れた構成を有しているので、以下にその詳細(液晶パネル1の特長)を説明する。
「液晶パネルの特長」
図4は、図2に対応する図であり、図1のA−A線に沿った液晶パネルの概略断面図である。なお、同図では、本実施形態に係る液晶パネル1の特長を分かりやすくするため、素子基板10の構成要素や、対向基板20の構成要素の図示が省略されている。さらに、同図では、液晶パネル1(液晶層50)によって変調される光51が一点鎖線の矢印で示されている。
図4に示すように、光51は、対向基板20の側から入射し、液晶層50によって変調され、素子基板10の側から射出される。なお、光51は、素子基板10の側から入射し、対向基板20の側から射出される構成であってもよい。
素子基板10は、光51が射出される側に配置される第1面11と、第1面11に対向する第2面(液晶層50の側に配置される面)12と、第1面11及び第2面12に交差する第1の端13とを有する。また、第1の端13は、素子基板10の外縁をなす。
対向基板20は、光51が入射する側に配置される第3面23と、第3面23に対向する第4面(液晶層50の側に配置される面)24と、第3面23及び第4面24に交差する第2の端25とを有する。また、第2の端25は、対向基板20の外縁をなす。
液晶層50は、素子基板10の第2面12と対向基板20の第4面24との間に配置されている。液晶パネル1では、光51が入射する方向に沿って、第3面23と、第4面24と、液晶層50と、第2面12と、第1面11とが順に配置されている。
シール材54は、素子基板10の第2面12と対向基板20の第4面24との間で、液晶層50を囲むように配置され、液晶層50を大気から隔離する。シール材54は、液晶層50が配置される側の面と反対側に配置される第5面55を有している。また、第5面55は、大気側(液晶層50と反対側)に配置され、シール材54の外周面である。
素子基板10の第1の端13、及び対向基板20の第2の端25は、シール材54から液晶層50の反対側に張り出して配置されている。素子基板10の第1の端13、及び対向基板20の第2の端25は、共にシール材54から同程度張り出している。
第2面12から第4面24に向かう方向において、シール材54の寸法(シール材54の厚さ)はL1である。
第2面12から第4面24に向かう方向において、素子基板10の第1の端13とシール材54との間の寸法(離間距離)、及び対向基板20の第2の端25とシール材54との間の寸法(離間距離)は、共にL2である。すなわち、シール材54の第1の端13からの離間距離、及びシール材54の第2の端25からの離間距離は、共にL2である。
本実施形態では、シール材54の寸法L1が、シール材54の第1の端13からの離間距離L2の1/50以下、及びシール材54の第2の端25からの離間距離L2の1/50以下となるように設定されている。
以降の説明では、シール材54の寸法L1に対する離間距離L2の割合をアスペクト比と称す。本実施形態では、シール材54は、アスペクト比が50以上となるように、第1の端13及び第2の端25の内側(液晶層50の側)に配置されている。
なお、アスペクト比が50以上となるようにシール材54が配置されていれば、シール材54の第1の端13からの離間距離と、シール材54の第2の端25からの離間距離L2とが異なる構成であってもよい。
素子基板10の第1の端13、及び対向基板20の第2の端25は、シール材54の第5面55から液晶層50の反対側に張り出して配置されているので、素子基板10の第2面12と、シール材54の第5面55と、対向基板20の第4面24とによって凹部65が形成される。シール材54の第5面55は、凹部65の底面である。素子基板10の第2面12及び対向基板20の第4面24は、凹部65の側面である。また、凹部65のアスペクト比はL2/L1であり、凹部65のアスペクト比は50以上である。
シール材54の第5面55は、バリア層57によって覆われている。詳細は後述するが、バリア層57は、原子層堆積法(ALD法:Atomic Layer Deposition(以降、ALD法と称す))によって形成された酸化ハフニウムまたは酸化タンタルである。ALD法によって形成された酸化ハフニウムまたは酸化タンタルは、シール材54を構成するエポキシ樹脂と比べて、高い密度を有し、大気中の水分(湿気)を透過しにくい。
さらに、第1の端13及び第2の端25は、バリア層57から液晶層50の反対側に張り出して配置されているので、バリア層57は第1の端13及び第2の端25によって保護され、機械的衝撃によって傷つきにくくなっている。従って、シール材54の第5面55をバリア層57で覆うと、バリア層57がシール材54への水分侵入を安定して抑制し、大気中の水分(湿気)が液晶層50の中に侵入しにくくなる。
すなわち、シール材54の第5面55をバリア層57で覆うことによって、シール材54の耐湿性が高められ、焼き付きや表示ムラなどの表示不具合を抑制することができる。
バリア層57の構成材料としては、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルの他に、高融点金属の酸化膜(例えば、タングステン酸化物)、窒化膜(例えば、窒化シリコン、窒化タンタル、窒化アルミニウムなど)などを使用することができる。
上述したように、素子基板本体10a及び対向基板本体20aの構成材料は酸化シリコン(石英、またはガラス)である。バリア層57の膜密度は素子基板本体10a及び対向基板本体20a(酸化シリコン)の密度よりも高いため、バリア層57の屈折率は素子基板本体10a(酸化シリコン)及び対向基板本体20a(酸化シリコン)の屈折率よりも高い。
仮に、表示領域Vの第3面23がバリア層57で覆われると、第3面23とバリア層57との界面、及びバリア層57と大気との界面で光の反射が生じる。このため、バリア層57を透過する光51は、第3面23とバリア層57との界面で反射される。さらに、第3面23とバリア層57との界面で反射される光は、バリア層57と大気との界面で反射される。そして、バリア層57を透過する光51とこれら反射光とが、バリア層57の中で干渉(多重干渉)し、バリア層57を透過する光51の強度(輝度)が減衰(低下)する。
なお、光51の強度を低下させる光の干渉(多重干渉)は、バリア層57の光路長(膜厚×屈折率)や、光51の波長などによって変化する。
同様に、表示領域Vの第1面11がバリア層57で覆われると、第1面11とバリア層57との界面、及びバリア層57と大気との界面で光の反射が生じる。このため、バリア層57を透過する光51は、第1面11とバリア層57との界面で反射される。さらに、第1面11とバリア層57との界面で反射される光は、バリア層57と大気との界面で反射される。そして、バリア層57を透過する光51とこれら反射光とが、バリア層57の中で干渉(多重干渉)し、バリア層57を透過する光51の強度(輝度)が低下する。
このように、表示領域Vの第3面23及び表示領域Vの第1面11が、素子基板本体10a及び対向基板本体20aと異なる屈折率で覆われると、屈折率が異なる界面で光の反射が生じ、バリア層57を透過する光51と反射光とが干渉(多重干渉)し、素子基板10から射出される光51の強度が低下するという不具合が生じるおそれがある。
本実施形態では、バリア層57は、表示領域Vの第1面11及び表示領域Vの第3面23を覆わず、シール材54の第5面55を覆うように形成されている。表示領域Vの第1面11及び表示領域Vの第3面23は、バリア層57で覆われていないので、上述したバリア層57を透過する光51と反射光とが干渉(多重干渉)し、素子基板10から射出される光51の強度が低下するという不具合が生じるおそれがない。
なお、バリア層57が表示領域V以外の領域の第1面11及び表示領域V以外の領域の第3面23を覆っても、バリア層57が表示領域Vの第1面11の及び表示領域Vの第3面23を覆っていなければ、上述した素子基板10から射出される光51の強度が低下するという不具合が生じるおそれがない。
従って、バリア層57は、表示領域Vの第1面11及び表示領域Vの第3面23を覆わず、表示領域V以外の領域の第1面11及び表示領域V以外の領域の第3面23を覆う構成であってもよい。
換言すれば、本実施形態は、バリア層57が、第1面11及び第3面23の少なくとも一部(表示領域Vの第1面11及び表示領域Vの第3面23)を覆わず、第5面55を覆う構成を有している。
なお、図示を省略するが、バリア層57は、上下導通部106の大気側の面(液晶層50と反対側に配置される面)を覆っている。上下導通部106の大気側の面はバリア層57によって覆われているので、バリア層57が上下導通部106における水分侵入を抑制し、上下導通部106が形成された部分においても大気中の水分(湿気)が液晶層50の中に侵入しにくい。
また、素子基板10の外部接続用端子103が形成される部分は、バリア層57で覆われていなく、外部接続用端子103は露出している。
「液晶パネルの製造方法」
図5は、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法を示す工程フローである。図6は、バリア層を形成する薄膜形成装置の概略図である。図7A乃至図7Dは、図4に対応する図であり、図5に示す主要な工程を経た後の液晶パネルの状態を示す概略断面図である。図8A及び図8Bは、図7Bの二点鎖線で囲まれた領域Aの概略断面図であり、反応種の拡散の状態を示す模式図である。図8Cは、図7Bの二点鎖線で囲まれた領域Aの概略断面図であり、ステップS5を経た後の状態を示す模式図である。
なお、図8A及び図8Bでは、反応種72の拡散方向や拡散距離が、図中の矢印で模式的に示されている。
次に、図5と、図6と、図7A乃至図7Dと、図8A乃至図8Cとを参照し、本実施形態に係る液晶パネル1の製造方法について説明する。なお、以降の説明では、バリア層57が形成されていない状態の液晶パネル1を、液晶パネル1Aと称する。
図5に示すように、本実施形態に係る液晶パネル1の製造方法は、液晶パネル1Aを準備する工程(ステップS1)と、原子層堆積膜71の前駆体70を形成する工程(ステップS2)と、前駆体70と反応性ガスとを反応させ原子層堆積膜71を形成する工程(ステップS3)と、第1面11及び第3面23を覆う原子層堆積膜71を除去する工程(ステップS4)と、ステップS2とステップS3とステップS4とを繰り返しバリア層57を形成する工程(ステップS5)とを含む。
なお、ステップS2は、「材料ガスを導入し、第1面と第3面と第5面とに材料ガスを吸着させ、バリア層の原子層堆積膜の前駆体を形成する工程」の一例である。ステップS3は、「反応性ガスを導入し、前駆体と反応性ガスとを反応させ、第1面と第3面と第5面とを覆う原子層堆積膜を形成する工程」の一例である。ステップS4は、「原子層堆積膜をエッチングする反応種を導入し、第1面及び第3面を覆う原子層堆積膜を除去する工程」の一例である。
ステップS1では、シールディスペンサーを用いて素子基板10の第1の端13の内側に枠形状のシール材54を形成する。続いて、シールディスペンサーを用いて金などの導電性粒子が分散された樹脂ペーストを、枠形状のシール材54の外側の四隅に滴下する。
枠形状のシール材54の内側に液晶層50を滴下した後、対向基板20を貼りあわせ、紫外線の照射と熱処理とを施し、シール材54を硬化させて液晶パネル1Aを形成する。なお、枠形状のシール材54の外側の四隅に滴下された樹脂ペーストは、当該熱処理によって硬化され、上下導通部106(図1参照)となる。また、液晶パネル1Aは、図4に示す液晶パネル1からバリア層57が削除された構成を有している。
ステップS1では、第2面12から第4面24に向かう方向の寸法がL1であり、第1の端13からの離間距離がL2であり、第2の端25からの離間距離がL2であり、寸法L1が離間距離L2の1/50以下となるように、シール材54を形成する。換言すれば、ステップS1では、素子基板10の第1の端13、及び対向基板20の第2の端25が、シール材54から液晶層50の反対側に張り出して配置され、凹部65のアスペクト比(L2/L1)が50以上となるように、シール材54を形成する。
本実施形態に係る液晶パネル1の製造方法では、第2面12から第4面24に向かう方向の寸法L1が、第1の端13からの離間距離L2及び第2の端25からの離間距離L2の1/50以下となるようにシール材54を形成した以降の工程において、薄膜形成装置80を用いて、ステップS2とステップS3とステップS4とを繰り返し、バリア層57を形成する。
すなわち、ステップS2とステップS3とステップS4とは、ステップS1以降に処理されている。なお、ステップS1とステップS2との間に他の工程を有していてもよい。
図6に示すように、薄膜形成装置80は、反応室81と、材料ガスを格納する格納室82と、反応性ガスを格納する格納室83と、リモートプラズマ室84と、ドライポンプ85とを有している。格納室82と反応室81との間の配管にはパルシングバルブ92が設けられ、格納室83と反応室81との間の配管にはパルシングバルブ93が設けられ、リモートプラズマ室84と反応室81との間にはゲートバルブ94が設けられている。反応室81には、配管86を介してキャリアガスが導入されるようになっている。ドライポンプ85は、反応室81に導入された材料ガスや反応性ガスやキャリアガスなどを排気する。
材料ガスは、例えばTDMAH(テトラキスジメチルアミノハフニウム(Hf[(CH32N]4)である。反応性ガスは、例えば水やオゾンなどの気体で構成される酸化剤であり、本実施形態では反応性ガスとして水を使用している。キャリアガスは、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの不活性ガスを使用することができる。
反応室81には、液晶パネル1Aを固定する把持部88が設けられている。把持部88は、対向基板20から張り出し部分の素子基板10を把持し、反応室81の中に液晶パネル1Aを固定する。把持部88は、シール材54の第5面55の全域に後述する材料ガスや反応性ガスが供給されるように、液晶パネル1Aを把持(固定)する。詳しくは、把持部88は、対向基板20から張り出した部分の素子基板10(外部接続用端子103が形成された部分)を把持する。
ステップS2では、パルシングバルブ92を開けて、材料ガスを反応室81に導入する。すると、図7Aに示すように、材料ガスは、素子基板10の表面(材料ガスの雰囲気に曝される面(第1面11、第2面12の一部、第1の端13))、対向基板20の表面(材料ガスの雰囲気に曝される面(第3面23、第4面24の一部、第2の端25))と、シール材54の表面(材料ガスの雰囲気に曝される面(第5面55))とに吸着し、素子基板10の表面と対向基板20の表面とシール材54の表面とを覆う前駆体70が形成される。
例えば、材料ガスが素子基板10の表面に吸着し、素子基板10の表面を覆うと、素子基板10の表面にそれ以上の材料ガスの吸着が生じないというセルフリミティング効果が働く。このため、素子基板10の表面は、材料ガスの構成材料であるTDMAHの単分子層(ハフニウム原子の単原子層)で覆われる。同様に、セルフリミティング効果によって、対向基板20の表面及びシール材54の表面は、材料ガスの構成材料であるTDMAHの単分子層(ハフニウム原子の単原子層)で覆われる。
すなわち、前駆体70は、材料ガスの表面吸着によって形成されたTDMAHの単分子層である。
ステップS3では、ドライポンプ85を動作させながらキャリアガスをパージし、表面吸着に寄与しない余分な材料ガスを反応室81から排気した後に、パルシングバルブ93を開けて、反応性ガス(酸化剤)を反応室81に導入する。例えば50℃〜200℃の低温で反応室81を加熱することによって、前駆体70と反応性ガスとが反応し、前駆体70が酸化させる。すると、図7Bに示すように、素子基板10の表面と対向基板20の表面とシール材54の表面とを覆う原子層堆積膜71が形成される。詳しくは、前駆体70の構成要素であるTDMAHの単分子層を酸化し、酸化ハフニウムの単分子層を形成する。
すなわち、原子層堆積膜71は、前駆体70を酸化することによって形成された酸化ハフニウムの単分子層である。
なお、把持部88で把持された部分(把持部88で把持された部分の素子基板10)には、前駆体70や原子層堆積膜71は形成されない。
ステップS4では、ドライポンプ85を動作させながらキャリアガスをパージし、反応に寄与しない余分な反応性ガスを反応室81から排気した後に、ゲートバルブ94を開けて、反応種72を反応室81に導入する。
反応種72は、リモートプラズマ室84の中に、例えば三塩化ホウ素や塩素ガスなどの塩素系ガスを導入し、高周波放電によってプラズマ化して形成された塩素ラジカル(励起種)である。反応種72は、反応室81の中で酸化ハフニウム(原子層堆積膜71)と反応し、揮発性が高い(蒸気圧が高い)ハフニウムの塩化物を形成し、酸化ハフニウム(原子層堆積膜71)をエッチング除去する。
反応種72は、反応室81と別のチャンバー(リモートプラズマ室84)で形成され、イオン種の影響やプラズマを発生させる電界の影響が抑制されているので、反応室81に導入された反応種72は、特定方向に拡散(進行)するのでなく、等方的に拡散(進行)する。
図8Aでは、第1面11と第1の端13と第3面23と第2の端25とに直交する方向に拡散する反応種72が反応種72Aとして図示され、第1面11と第1の端13と第3面23と第2の端25とに交差する方向に拡散する反応種72の図示が省略されている。
図8Aに示すように、反応種72Aは、第1面11と第1の端13と第3面23と第2の端25とを覆う原子層堆積膜71に略同時期に到達し、第1面11と第1の端13と第3面23と第2の端25とを覆う原子層堆積膜71をエッチングする。
図8Bでは、第5面55に直交する方向に拡散する反応種72が反応種72Bとして図示され、第5面55に交差する方向に拡散する反応種72が反応種72Cとして図示されている。
図8Bに示すように、反応種72Cの一部は、第2面12を覆う原子層堆積膜71に進行し、第2面12を覆う原子層堆積膜71をエッチングする。反応種72Cの一部は、第4面24を覆う原子層堆積膜71に進行し、第4面24を覆う原子層堆積膜71をエッチングする。このため、第5面55に交差する方向に拡散する反応種72Cは、第2面12を覆う原子層堆積膜71のエッチングまたは第4面24を覆う原子層堆積膜71のエッチングによって消費され、第5面55を覆う原子層堆積膜71に進行しにくく、原子層堆積膜71は、反応種72Cによってエッチングされにくい。
このため、第5面55を覆う原子層堆積膜71は、第5面55に直交する方向に拡散する反応種72Bによってエッチングされる。ところが、第5面55に直交する方向に拡散する反応種72Bは、第5面55に交差する方向に拡散する反応種72Cや反応種72Aと比べて極めて微量であるので、第5面55を覆う原子層堆積膜71は反応種72Bによって殆どエッチングされない。その結果、ステップS4において、第5面55を覆う原子層堆積膜71のエッチングが進行しない状態で、第1面11及び第3面23を覆う原子層堆積膜71をエッチング除去する選択エッチングを実現することができる。
凹部65のアスペクト比が小さくなると、反応種72Bが第5面55に進行しやすくなるので、第5面55を覆う原子層堆積膜71は、反応種72Bによってエッチングされやすくなる。凹部65のアスペクト比が大きくなると、反応種72Bが第5面55に進行しにくくなるので、第5面55を覆う原子層堆積膜71は、反応種72Bによってエッチングされにくくなる。
このため、第5面55を覆う原子層堆積膜71のエッチングが進行しない状態で、第1面11及び第3面23を覆う原子層堆積膜71をエッチング除去する選択エッチングを実現するためには、凹部65のアスペクト比を50以上に大きくする必要がある。仮に、凹部65のアスペクト比を50よりも小さくすると、ステップS4によって第5面55を覆う原子層堆積膜71が局所的にエッチングされるという不具合が生じるおそれがある。
従って、第5面55を覆う原子層堆積膜71のエッチングが進行しない状態で、第1面11及び第3面23を覆う原子層堆積膜71をエッチング除去する選択エッチングを実現するためには、ステップS1において、第2面12から第4面24に向かう方向の寸法がL1であり、第1の端13からの離間距離がL2であり、第2の端25からの離間距離がL2であり、寸法L1が離間距離L2の1/50以下となるように、シール材54を形成することが重要である。
換言すれば、ステップS4では、第5面55を覆う原子層堆積膜71が反応種72によってエッチングされる前に、第1面11及び第3面23を覆う原子層堆積膜71を反応種72によってエッチング除去する。その結果、図7Cに示すように、第1面11及び第3面23を覆わず、第5面55を覆うように原子層堆積膜71をパターニングすることができる。
なお、ステップS4では、第2面12を覆う原子層堆積膜71及び、第4面24を覆う原子層堆積膜71は、反応種72Cによって部分的にエッチングされる。第2面12を覆う原子層堆積膜71及び第4面24を覆う原子層堆積膜71のエッチングの進行のしやすさは、凹部65の形状や、反応種72に曝される時間(エッチング時間)によって変化する。例えば、第2面12を覆う原子層堆積膜71及び第4面24を覆う原子層堆積膜71は、第1の端13及び第2の端25の側でエッチングされやすく、第5面55の側でエッチングされにくい。
このため、ステップS4を経た後の第2面12及び第4面24を覆う原子層堆積膜71の状態は、凹部65の形状や、反応種72に曝される時間(エッチング時間)によって変化する。
ステップS4では、第5面55を覆う原子層堆積膜71がエッチングされないように、凹部65の形状や、反応種72に曝される時間(エッチング時間)を制御することが重要である。
なお、図示を省略するが、外部接続用端子103(図1参照)は、素子基板10の第2面12に形成されている。外部接続用端子103を覆うように形成された原子層堆積膜71も、ステップS4によってエッチング除去される。
ステップS5では、図7Dに示すように、ALD法によって酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)を形成する工程(ステップS2,S3)と、酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)が第5面55に残存するように選択エッチングを施す工程(ステップS4)とを繰り返し、第5面55に酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)を一層ずつ積層することによって、第5面を覆うバリア層57を形成する。
より詳しくは、ステップS5では、図8Cに示すように、第2面12の一部と、第4面24の一部と、第5面55の全体を覆うように、バリア層57を形成する。このため、バリア層57は、第2面12の一部を覆うバリア層57Aと、第4面24の一部を覆うバリア層57Bと、バリア層57Aとバリア層57Bとの間に配置され第5面55を覆うバリア層57C(図中のハッチングされた部分)とに区分される。
バリア層57Cの第5面55に直交する方向の寸法(膜厚)はD1である。バリア層57Aの第5面55に直交する方向の寸法、及びバリア層57Bの第5面55に直交する方向の寸法は、バリア層57Cの第5面55に直交する方向の寸法D1よりも大きい。
上述したように、ステップS4を経た後の第2面12及び第4面24を覆う原子層堆積膜71の状態は、凹部65の形状や、反応種72に曝される時間(エッチング時間)によって変化する。このため、バリア層57Aの第5面55に直交する方向の寸法、及びバリア層57Bの第5面55に直交する方向の寸法は、凹部65の形状や、反応種72に曝される時間(エッチング時間)によって変化する。
バリア層57が大気中の水分(湿気)に対して優れたバリア性を有するためには、バリア層57Aの第5面55に直交する方向の寸法、及びバリア層57Bの第5面55に直交する方向の寸法を、バリア層57Cの第5面55に直交する方向の寸法D1以上に制御することが重要である。従って、本実施形態では、バリア層57Aの第5面55に直交する方向の寸法、及びバリア層57Bの第5面55に直交する方向の寸法は、バリア層57Cの第5面55に直交する方向の寸法D1以上となっている。
なお、本願における「バリア層の厚さは略均一である」とは、バリア層57Cの第5面55に直交する方向の寸法(膜厚)の状態に対応する。本実施形態に係る製造方法では、原子レベルで一層ずつ薄膜を成長させてバリア層57Cを形成するので、バリア層57Cの膜厚を原子レベルで高精度に制御し、バリア層57Cの厚さを均一にすることができる。従って、バリア層57Cの第5面55に直交する方向の寸法は、D1であり、略均一である。
なお、上述した図4及び図7Dでは、バリア層57A及びバリア層57Bの図示が省略され、第5面55を覆うバリア層57Cの厚さが略均一である状態が、模式的に図示されている。
このように、バリア層57は、表面に吸着した材料ガス(TDMAH)と反応性ガス(水)との化学反応で形成された酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)を一層ずつ積層するというALD法によって形成された酸化ハフニウムである。
ALD法は、材料ガスや反応性ガスが入り込める隙間があれば成膜が可能であり、原子レベルで一層ずつ薄膜を成長させることができる。ALD法では、薄膜を二次元的に成長させるので、例えば化学反応で形成された粒子を堆積させて薄膜を形成する熱CVDや、粒子を飛散させて薄膜を形成するスパッタ法などと比べて、バリア層57の欠陥密度を極めて低くすることができる。
従って、本実施形態に係る製造方法によって、高アスペクト比の凹部65であっても、均一な厚さでシール材54の第5面55を覆い、欠陥密度が極めて低くバリア性に優れたバリア層57を形成することができる。さらに、原子レベルで一層ずつ薄膜を成長させてバリア層57を形成するので、バリア層57の膜厚を原子レベルで高精度に制御することができる。
さらに、本実施形態に係る製造方法では、50℃〜200℃の低温でバリア層57を形成するので、シール材54や液晶層50に対する熱的な劣化(ダメージ)を抑制することができる。従って、シール材54の第5面55を覆うバリア層57を形成しても、液晶パネル1の表示性能が劣化せず、優れた表示性能を維持することができる。
さらに、バリア層57は、シール材54の第5面55を覆い、素子基板10の第1面11と対向基板20の第3面23とを覆わないように形成されている。表示領域Vの第1面11及び表示領域Vの第3面23は、バリア層57で覆われていないので、上述したバリア層57を透過する光51と反射光とが干渉(多重干渉)し、素子基板10から射出される光51の強度が低下するという不具合が生じるおそれがない。すなわち、表示領域Vに異なる屈折率の薄膜が配置されることによる表示性能の低下を抑制することができる
次に、本実施形態に係る製造方法で形成されたバリア層57の物性(膜密度)、及び本実施形態に係る製造方法で形成された液晶パネル1の信頼性に関して説明する。
本実施形態では、上述した材料ガスにTDMAHを使用して形成された酸化ハフニウムをバリア層57とする場合以外に、材料ガスにTBTEMT(トリス(エチルメチルアミノ)ターシャリーブチルイミノタンタル(Ta[NC(CH33][N(C25)CH33))を使用して形成された酸化タンタルをバリア層57とする場合、及び材料ガスにTMA(トリメチルアルミニウム(Al(CH33))を使用して形成された酸化アルミニウムをバリア層57とする場合に関しても同様の評価を行った。
また、酸化タンタル及び酸化アルミニウムを形成する場合の反応性ガス(酸化剤)は、酸化ハフニウムを形成する場合の反応性ガス(酸化剤)と同じ水である。
さらに、バリア層57(酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化アルミニウム)を形成する場合の材料ガスと反応性ガスとの処理温度は概略120℃であり、バリア層57(酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化アルミニウム)の膜厚は概略20〜30nmである。
図9は、材料ガス及び反応性ガスの処理温度と、ALD法によって形成されたバリア層(酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化アルミニウム)の膜密度との関係を示すグラフである。同図の縦軸は膜密度であり、同図の横軸は処理温度である。なお、膜密度の評価では、原子層堆積膜71に選択エッチングを施す工程(ステップS4)が省略されている。
図10は、液晶パネルを高温高湿の環境(温度85℃、湿度85%)で保存した場合の液晶層の比抵抗の経時変化を示すグラフである。同図の縦軸は液晶層50の比抵抗の逆数であり、同図の横軸は保存時間である。
また、図10では、バリア層57を酸化ハフニウム、酸化タンタル、または酸化アルミニウムのいずれかで形成した場合の液晶パネル1と、バリア層57を形成していない場合の液晶パネルとが図示されている。
図9に示すように、処理温度80〜200℃の範囲で形成された酸化ハフニウムの膜密度は、9〜9.3g/cm3である。処理温度80〜200℃の範囲で形成された酸化タンタルの膜密度は、6.8〜7.9g/cm3である。処理温度60〜150℃の範囲で形成された酸化アルミニウムの膜密度は、2.8〜3.3g/cm3である。
酸化ハフニウムの理論密度は9.68g/cm3であり、酸化タンタルの理論密度は8.73g/cm3であり、酸化アルミニウムの理論密度は4g/cm3である。処理温度80〜200℃の範囲で形成された酸化ハフニウムは、処理温度80〜200℃の範囲で形成された酸化タンタルや処理温度60〜150℃の範囲で形成された酸化アルミニウムと比べて、理論密度に近い膜密度を有しているので、理想的な結晶構造に近く、結晶欠陥が少ないものと推定される。処理温度80〜200℃の範囲で形成された酸化タンタルは、処理温度60〜150℃の範囲で形成された酸化アルミニウムと比べて、理論密度に近い膜密度を有しているので、理想的な結晶構造に近く、結晶欠陥が少ないものと推定される。
さらに、膜密度が高くなると、膜が緻密になり、例えば大気中の水分(湿気)を透過させにくく、大気中の水分(湿気)に対するバリア性が強くなる。このため、ALD法によって形成された酸化ハフニウムは、ALD法によって形成された酸化タンタル及びALD法によって形成された酸化アルミニウムと比べて、膜密度が高いので、大気中の水分(湿気)に対するバリア性が強い。ALD法によって形成された酸化タンタルは、ALD法によって形成された酸化アルミニウムと比べて、膜密度が高いので、大気中の水分(湿気)に対するバリア性が強い。
バリア層57の大気中の水分(湿気)に対するバリア性が弱い場合、液晶パネル1を高温高湿の環境(温度85℃、湿度85%)で保存すると、大気中の水分(湿気)がバリア層57とシール材54とを通過して液晶層50の中に侵入し、液晶層50の比抵抗が低下する。液晶層50の中に水分が侵入すると、上述したように表示ムラや焼き付きなどの表示不具合が発生する。詳しくは、液晶層50の比抵抗の逆数が図10における値Yを超えると、表示ムラや焼き付きなどの表示不具合が発生しやすくなる。
高温高湿の環境(温度85℃、湿度85%)での加速試験を実施することによって、液晶パネル1の信頼性を予測することができる。図10における保存時間Xは、実使用状態で要求される寿命に相当する。従って、保存時間Xを超えるまでは、液晶層50の比抵抗の逆数が値Y以下となるように、シール材54の耐湿性を強くする必要がある。すなわち、図10の網掛けが施された領域の中に、液晶層50の比抵抗の逆数の経時変化が収まるように、シール材54の耐湿性を強くする必要がある。
図10に示すように、図中の短い破線で示されたバリア層57が形成されていない液晶パネルは、実使用状態で要求される寿命(値X)よりも短い時間で、液晶層50の比抵抗の逆数が値Yを超えているので、要求される信頼性を満足することができない。
図中の長い破線で示されたバリア層57が酸化タンタルである液晶パネル1は、実使用状態で要求される寿命(値X)よりも長い時間であっても、液晶層50の比抵抗の逆数は値Yよりも小さいので、要求される信頼性を満足することができる。
図中の実線で示されたバリア層57が酸化ハフニウムである液晶パネル1は、実使用状態で要求される寿命(値X)よりも長い時間であっても、液晶層50の比抵抗の逆数は値Yよりも小さいので、要求される信頼性を満足することができる。
なお、バリア層57が酸化ハフニウムである液晶パネル1は、バリア層57が酸化タンタルである液晶パネル1と比べて、液晶層50の比抵抗の逆数は値が小さいので、より高い信頼性を有している。
図中の二点鎖線で示されたバリア層57が酸化アルミニウムである液晶パネル1は、バリア層57が形成されていない液晶パネルと比べて、液晶層50の比抵抗の逆数が値Yを超えるまで保存時間が長くなり、信頼性が改善されている。しかしながら、バリア層57が酸化アルミニウムである液晶パネル1は、実使用状態で要求される寿命(値X)よりも短い条件で、液晶層50の比抵抗の逆数が値Yを超えているので、要求される信頼性を満足することができない。
従って、液晶パネル1が実使用状態で要求される信頼性を満足するためには、バリア層57は、ALD法によって形成された酸化ハフニウム、またはALD法によって形成された酸化タンタルであることが好ましい。
このように、シール材54の第5面55を、ALD法によって形成された酸化ハフニウムからなるバリア層57、またはALD法によって形成された酸化タンタルからなるバリア層57で覆うことによって、液晶層50への水分侵入による焼き付きや表示ムラなどの表示不具合を抑制し、液晶パネル1の信頼性を高め、実使用状態で要求される信頼性を満足することができる。
(実施形態2)
図11は、実施形態2に係る液晶パネルの製造方法を示す工程フローである。図12は、図4に対応する図であり、ステップS12の処理の状態を示す模式図である。
本実施形態では、液晶パネル1の製造方法が実施形態1と異なる。
以下、図11及び図12を参照し、本実施形態に係る液晶パネル1の製造方法を、実施形態1との相違点を中心に説明する。また、実施形態1と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
図11に示すように、本実施形態に係る液晶パネル1の製造方法は、液晶パネル1Aを準備する工程(ステップS1)と、原子層堆積膜71の前駆体70を形成する工程(ステップS2)と、前駆体70と反応性ガスとを反応させ原子層堆積膜71を形成する工程(ステップS3)と、ステップS2とステップS3とを繰り返しバリア層57を形成する工程(ステップS11)と、第1面11及び第3面23を覆うバリア層57を除去する工程(ステップS12)とを含む。
なお、ステップS11は、「第1面と第3面と第5面とに材料ガスを吸着させてバリア層の原子層堆積膜の前駆体を形成する工程と、前駆体と反応性ガスとを反応させて第1面と第3面と第5面とを覆う原子層堆積膜を形成する工程と、を繰り返してバリア層を形成する工程」の一例である。ステップS12は、「バリア層をエッチングする反応種を導入し、第1面及び第3面を覆うバリア層を除去する工程」の一例である。
また、ステップS1乃至ステップS3は、実施形態1と同じであるので、説明を省略する。
本実施形態に係る液晶パネル1の製造方法では、第2面12から第4面24に向かう方向の寸法L1が、第1の端13からの離間距離L2及び第2の端25からの離間距離L2の1/50以下となるようにシール材54を形成した以降の工程において、ステップS2とステップS3とを繰り返してバリア層57を形成した後、第1面11及び第3面23を覆うバリア層57を除去する。
すなわち、ステップS2とステップS3とステップS11とステップS12とは、ステップS1以降に処理されている。なお、ステップS1とステップS2との間に他の工程を有していてもよい。
ステップS11では、TDMAHからなる材料ガスを表面吸着させ原子層堆積膜71の前駆体70を形成する工程(ステップS2)と、水からなる反応性ガス(酸化剤)を導入し、前駆体70と反応性ガスとを反応させ酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)を形成する工程(ステップS3)とを繰り返し、酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)を一層ずつ積層させて、第1面11と第3面23と第5面55とを覆うバリア層57を形成する。
ステップS12では、図12に示すように、第5面55がレジスト75で覆われた状態で反応種72を導入し、第1面11及び第3面23を覆うバリア層57をエッチング除去し、第5面55を覆うバリア層57を残存させる。
なお、図示を省略するが、素子基板10の外部接続用端子103が形成される部分は、レジスト75で覆われていなく、素子基板10の外部接続用端子103を覆うバリア層57は、ステップS12によってエッチング除去される。
本実施形態に係る液晶パネル1の製造方法によれば、シール材54の第5面55は、ALD法によって形成された酸化ハフニウムからなるバリア層57で覆われ、液晶層50への大気中の水分(湿気)侵入がバリア層57によって抑制されるので、液晶層50への水分侵入による焼き付きや表示ムラなどの表示不具合を抑制し、液晶パネル1の信頼性を高めることができる。
(実施形態3)
図13は、図4に対応する図であり、実施形態3に係る液晶パネルの概略断面図である。図14は、本実施形態に係る液晶パネルの製造方法を示す工程フローである。
本実施形態では、第5面55に加えて、第1面11及び第3面23もバリア層57で覆われている。この点が、本実施形態と、実施形態1及び実施形態2との主な相違点である。
以下、図13及び図14を参照し、本実施形態に係る液晶パネル2の概要を、実施形態1及び実施形態2との相違点を中心に説明する。また、実施形態1及び実施形態2と同一の構成部位については、同一の符号を附し、重複する説明を省略する。
図13に示すように、本実施形態に係る液晶パネル2では、素子基板10の表面(第1面11、第2面12の一部、第1の端13)、対向基板20の表面(第3面23、第4面24の一部、第2の端25)と、シール材54の表面(第5面55)とが、バリア層57で覆われている。
なお、図示を省略するが、素子基板10の外部接続用端子103が形成される部分は、バリア層57で覆われていなく、外部接続用端子103は露出している。
図14に示すように、本実施形態に係る液晶パネル2の製造方法は、液晶パネル1Aを準備する工程(ステップS1)と、原子層堆積膜71の前駆体70を形成する工程(ステップS2)と、前駆体70と反応性ガスとを反応させ原子層堆積膜71を形成する工程(ステップS3)と、ステップS2とステップS3とを繰り返しバリア層57を形成する工程(ステップS11)とを含む。
ステップS1乃至ステップS3は、実施形態1と同じである。ステップS11は、実施形態2と同じである。すなわち、本実施形態に係る液晶パネル2の製造方法は、実施形態2に係る液晶パネル1の製造方法から、第1面11及び第3面23を覆うバリア層57を除去する工程(ステップS12)が削除された構成を有している。
ステップS1では、シールディスペンサーを用いて素子基板10に形成された枠形状のシール材54の内側に液晶層50を滴下した後、対向基板20を貼りあわせ、紫外線の照射と熱処理とを施し、シール材54を硬化させて液晶パネル1Aを形成する。
ステップS2では、TDMAHからなる材料ガスを、素子基板10の表面(第1面11、第2面12の一部、第1の端13)、対向基板20の表面(第3面23、第4面24の一部、第2の端25)と、シール材54の表面(第5面55)とに吸着させ、素子基板10の表面と対向基板20の表面とシール材54の表面とを覆う前駆体70を形成する。
なお、素子基板10の外部接続用端子103が形成される部分は、マスキングテープによって保護され、前駆体70によって覆われないようになっている。
ステップS3では、水からなる反応性ガス(酸化剤)を導入し、例えば50℃〜200℃の低温で加熱することによって、前駆体70と反応性ガスとを反応させ、前駆体70を酸化させ、素子基板10の表面と対向基板20の表面とシール材54の表面とを覆う原子層堆積膜71を形成する。
ステップS11では、TDMAHからなる材料ガスを表面吸着させ原子層堆積膜71の前駆体70を形成する工程(ステップS2)と、水からなる反応性ガス(酸化剤)を導入し、前駆体70と反応性ガスとを反応させ酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)を形成する工程(ステップS3)とを繰り返し、酸化ハフニウムの単原子層(原子層堆積膜71)を一層ずつ積層させて、第1面11と第3面23と第5面55とを覆うバリア層57を形成する。
上述したように、第3面23がバリア層57で覆われると、第3面23とバリア層57との界面、及びバリア層57と大気との界面で光の反射が生じる。第1面11がバリア層57で覆われると、第1面11とバリア層57との界面、及びバリア層57と大気との界面で光の反射が生じる。そして、バリア層57を透過する光51と、屈折率が異なる界面で反射された反射光とが、バリア層57の中で干渉(多重干渉)し、バリア層57を透過する光51の強度(輝度)が低下するおそれがある。
この光の干渉(多重干渉)は、バリア層57の光路長(膜厚×屈折率)や、光の波長などによって変化する。本実施形態では、バリア層57を透過する光51と、屈折率が異なる界面で反射された反射光との干渉(多重干渉)による影響が最小となるように、バリア層57の光路長(膜厚×屈折率)が調整(最適化)されている。
従って、第3面23及び第1面11がバリア層57で覆われても、バリア層57における光の干渉(多重干渉)の影響が小さくなり、バリア層57を透過する光51の強度(輝度)の低下を抑制することができる。
本実施形態に係る液晶パネル2の製造方法によれば、シール材54の第5面55は、ALD法によって形成された酸化ハフニウムからなるバリア層57で覆われ、液晶層50への大気中の水分(湿気)侵入がバリア層57によって抑制されるので、液晶層50への水分侵入による焼き付きや表示ムラなどの表示不具合を抑制し、液晶パネル2の信頼性を高めることができる。
さらに、本実施形態に係る液晶パネル2の製造方法は、実施形態2に係る液晶パネル1の製造方法から、第1面11及び第3面23を覆うバリア層57を除去する工程(ステップS12)が削除された構成を有しているので、実施形態2に係る液晶パネル1の製造方法と比べて製造工程が簡略化され、生産性を高めることができる。
<電子機器>
図15は、電子機器としての投射型表示装置(液晶プロジェクター)の構成を示す概略図である。次に、図15を参照し、本実施形態に係る電子機器について説明する。
図15に示すように、電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調素子としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、実施形態1に係る液晶パネル1、実施形態2に係る液晶パネル1、または実施形態3に係る液晶パネル2のいずれかが適用されたものである。液晶パネル1または液晶パネル2のいずれかは、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。
他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
上述したように、液晶パネル1,2では、液晶層50への水分の侵入が抑制され、液晶パネル1,2の表示品位や信頼性が高められている。従って、液晶パネル1,2が適用された投射型表示装置1000は、優れた表示品位や高い信頼性を有するようになる。
また、電子機器としては、投射型表示装置1000の他に、直視型テレビ、携帯電話、携帯用オーディオ機器、パーソナルコンピューター、モニター付きビデオカメラ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどの各種電子機器に、本発明に係る液晶パネル1,2を適用させることができる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電子デバイス及び当該電子デバイスが搭載された電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれる。
上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)
図16は、本変形例に係る有機エレクトロルミネッセンス(以降、有機ELと称す)パネルの概要を示す概略平面図である。
本変形例に係る有機ELパネル200は、電子デバイスの一例であり、自発光型の表示装置である。
図16に示すように、有機ELパネル200は、素子基板210と、素子基板210に対向配置された対向基板220とを有している。両基板は、枠形状のシール材54によって接着されている。
素子基板210は、青色の光を発する画素18Bと、緑色の光を発する画素18Gと、赤色の光を発する画素18Rとが、マトリックス状に配置された表示領域Vを有している。有機ELパネル200では、画素18Bと画素18Gと画素18Rとが表示単位19となって、フルカラーの表示が提供される。
画素18B,18G,18Rは、有機EL素子270と、有機EL素子270の駆動を制御する画素回路290とを有している。
有機EL素子270は、画素電極と、発光機能層280と、対向電極とを有している。画素電極は、発光機能層280に正孔を供給する陽極として機能する。対向電極は、発光機能層280に電子を供給する陰極として機能する。画素電極から供給される正孔と、対向電極から供給される電子とが発光機能層280で結合し、発光機能層280が白色に発光する。
なお、発光機能層280は、「電気的に光学特性が変化する機能層」の一例である。
素子基板210の第1辺に沿って、複数の外部接続用端子240が配置されている。複数の外部接続用端子240と表示領域Vとの間には、データ線駆動回路250が設けられている。該第1辺と直交し互いに対向する他の2辺(第2辺、第3辺)と表示領域Vとの間には、走査線駆動回路260が設けられている。
対向基板220は、透光性のガラス基板であり、素子基板210に対向配置されている。対向基板220は、表示領域Vを覆い、表示領域Vに配置されている有機EL素子270が傷つかないように保護している。
シール材54は、素子基板210と対向基板220との間に配置され、表示領域Vを囲み、発光機能層280を大気から隔離する。シール材54では、画素18B,18G,18Rが配置される側の面と反対側に配置される面が、バリア層57で覆われている。すなわち、シール材54の大気側の面は、バリア層57で覆われている。
シール材54及びバリア層57は、上述した実施形態1,2と同じ構成を有し、バリア層57によって大気中の水分(湿気)は発光機能層280(有機EL素子270)が配置される側に侵入しにくくなる。その結果、水分による発光機能層280の劣化が抑制され、有機ELパネル200の表示品位や信頼性を高めることができる。
また、本変形例に係る有機ELパネル200が適用された電子機器も本発明の技術的範囲に含まれる。例えば、直視型テレビ、携帯電話、携帯用オーディオ機器、パーソナルコンピューター、モニター付きビデオカメラ、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、ディジタルスチルカメラなどの各種電子機器に、本変形例に係る有機ELパネル200を適用させることができる。
(変形例2)
さらに、本発明は、「電子デバイス」の一例である圧電素子を有する液体吐出ヘッドに適用することができる。液体吐出ヘッドは、圧電素子を有し、圧電素子の変位によってノズルから液滴を吐出することができる。液体吐出ヘッドは、例えば「電子機器」の一例である液体吐出装置(プリンター)に適用させることができる。
詳しくは、圧電素子は、下電極層と、「機能層」の一例である圧電体層と、上電極層とが順に積層された構成を有している。下電極層と上電極層との間の電位差に応じた電界が圧電体層に付与されると圧電体層が変形し、圧電素子が変位し、当該圧電体層の変位によってノズルから液滴を吐出することができる。
圧電体層は、例えば、鉛(Pb)とチタン(Ti)とジルコニウム(Zr)とを含むチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)で構成される。チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)は、水分によって劣化しやすく、圧電体層の変位の状態が変化しやすい。このため、液体吐出ヘッドでは、大気中の水分(湿気)が圧電体層が配置された領域に侵入し、水分による圧電体層の劣化を抑制することが重要である。
液体吐出ヘッドに本発明を適用することによって、大気中の水分(湿気)が圧電体層が配置された領域に侵入し、水分による圧電体層の劣化を抑制することができる。
詳しくは、圧電体層が配置された領域を囲むようにシール材54を形成し、圧電体層をシール材54によって大気から隔離する。さらに、シール材54の圧電体層と反対側の面(大気側の面)を、上述した実施形態1,2と同じ構成のバリア層57で覆う。すると、バリア層57によって大気中の水分(湿気)は圧電体層が配置された領域に配置される側に侵入しにくくなるので、水分による圧電体層の劣化が抑制され、液体吐出ヘッドの液滴吐出性能や信頼性を高めることができる。
(変形例3)
さらに、本発明は、例えばプリンターなどの画像記録装置に用いられる液体吐出ヘッド以外に、例えば液晶ディスプレイなどのカラーフィルターの製造に用いられる色材噴射ヘッド、例えば有機ELディスプレイ、FED(電界放出ディスプレイ)などの電極形成に用いられる電極材料噴射ヘッド、例えばバイオchip製造に用いられる生体有機物噴射ヘッドなどにも適用させることができる。
(変形例4)
さらに、本発明は、上述した液体吐出ヘッド以外のMEMSデバイスにも適用可能である。すなわち、バリア層57によって大気中の水分(湿気)を、MEMSデバイスの機能層が配置された領域に配置される側に侵入しにくくし、水分によるMEMSデバイスの機能層の劣化を抑制し、MEMSデバイスの信頼性を高めることができる。
例えば、SAWデバイス(表面弾性波デバイス)、超音波デバイス、モーター、圧力センサー、焦電素子、及び強誘電体素子などのMEMSデバイスに対して、本発明を適用させることができる。
また、これらのMEMSデバイスを利用した完成体(電子機器)も本発明の技術的適用範囲に含まれる。例えば上記液体吐出ヘッドを利用した液体吐出装置、例えば上記SAWデバイスを利用したSAW発振器、上記超音波デバイスを利用した超音波センサー、上記モーターを駆動源として利用したロボット、上記焦電素子を利用したIRセンサー、及び上記強誘電体素子を利用した強誘電体メモリーなどは、本発明の技術的範囲である。
10…素子基板、11…第1面、12…第2面、13…第1の端、20…対向基板、23…第3面、24…第4面、25…第2の端、50…液晶層、54…シール材、55…第5面、57…バリア層。

Claims (2)

  1. 第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面及び前記第2面に交差する第1の端とを有する第1基板と、
    第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第3面及び前記第4面に交差する第2の端とを有する第2基板と、
    前記第2面と前記第4面との間に配置される機能層と、
    前記第2面と前記第4面との間に配置され、前記機能層を大気から隔離する樹脂層と、
    前記樹脂層の前記機能層が配置される側と反対側の第5面を覆うバリア層と、
    を含み、
    前記第1の端及び前記第2の端が、前記樹脂層から前記機能層の反対側に張り出して配置される電子デバイスの製造方法であって、
    前記第2面と前記第4面との間の寸法が、前記第1の端からの離間距離及び前記第2の端からの離間距離の1/50以下となるように、前記樹脂層を形成した以降の工程において、
    前記第1面と前記第3面と前記第5面とに材料ガスを吸着させて前記バリア層の原子層堆積膜の前駆体を形成する工程と、前記前駆体と反応性ガスとを反応させて前記第1面と前記第3面と前記第5面とを覆う前記原子層堆積膜を形成する工程と、を繰り返して前記バリア層を形成する工程と、
    前記バリア層をエッチングする反応種を導入し、前記第1面及び前記第3面を覆う前記バリア層を除去する工程と、
    を含むことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  2. 第1面と、前記第1面に対向する第2面と、前記第1面及び前記第2面に交差する第1の端とを有する第1基板と、
    第3面と、前記第3面に対向する第4面と、前記第3面及び前記第4面に交差する第2の端とを有する第2基板と、
    前記第2面と前記第4面との間に配置される機能層と、
    前記第2面と前記第4面との間に配置され、前記機能層を大気から隔離する樹脂層と、
    前記樹脂層の前記機能層が配置される側と反対側の第5面を覆うバリア層と、
    を含み、
    前記第1の端及び前記第2の端が、前記樹脂層から前記機能層の反対側に張り出して配置される電子デバイスの製造方法であって、
    前記第2面と前記第4面との間の寸法が、前記第1の端からの離間距離及び前記第2の端からの離間距離の1/50以下となるように、前記樹脂層を形成した以降の工程において、
    材料ガスを導入し、前記第1面と前記第3面と前記第5面とに前記材料ガスを吸着させ、前記バリア層の原子層堆積膜の前駆体を形成する工程と、
    反応性ガスを導入し、前記前駆体と前記反応性ガスとを反応させ、前記第1面と前記第3面と前記第5面とを覆う前記原子層堆積膜を形成する工程と、
    前記原子層堆積膜をエッチングする反応種を導入し、前記第1面及び前記第3面を覆う前記原子層堆積膜を除去する工程と、
    を繰り返し、前記バリア層を形成することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
JP2016010394A 2016-01-22 2016-01-22 電子デバイスの製造方法 Active JP6699195B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016010394A JP6699195B2 (ja) 2016-01-22 2016-01-22 電子デバイスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016010394A JP6699195B2 (ja) 2016-01-22 2016-01-22 電子デバイスの製造方法

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2017129799A JP2017129799A (ja) 2017-07-27
JP2017129799A5 JP2017129799A5 (ja) 2018-10-18
JP6699195B2 true JP6699195B2 (ja) 2020-05-27

Family

ID=59396164

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016010394A Active JP6699195B2 (ja) 2016-01-22 2016-01-22 電子デバイスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6699195B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7106410B2 (ja) * 2018-09-24 2022-07-26 シチズンファインデバイス株式会社 強誘電性液晶セルの製造方法
CN111190310B (zh) * 2018-11-15 2022-11-18 立景光电股份有限公司 显示面板
JP2021001966A (ja) * 2019-06-21 2021-01-07 セイコーエプソン株式会社 電気光学装置、及び電子機器
KR102448198B1 (ko) * 2020-11-09 2022-09-29 솔루스첨단소재 주식회사 배리어 실란트 조성물 및 이를 이용한 표시패널의 제조방법

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4082239B2 (ja) * 2003-02-27 2008-04-30 セイコーエプソン株式会社 電気光学装置の製造方法、電気光学装置、および電子機器
JP2011059374A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Seiko Epson Corp 電気光学装置、その製造方法、および電子機器
KR101977708B1 (ko) * 2012-09-04 2019-08-29 삼성디스플레이 주식회사 표시 장치 및 그 제조 방법
KR20140122910A (ko) * 2013-04-11 2014-10-21 삼성디스플레이 주식회사 액정 표시 장치
JP6361327B2 (ja) * 2014-07-02 2018-07-25 セイコーエプソン株式会社 電気光学装置、及び電子機器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017129799A (ja) 2017-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6699195B2 (ja) 電子デバイスの製造方法
TWI283142B (en) Display apparatus
KR100794841B1 (ko) 시일 구조체, 시일 방법, 액정 장치, 그 제조 방법 및프로젝터
TW201547081A (zh) 密封構造之形成方法、密封構造之製造裝置和有機el元件構造、其製造方法及其製造裝置
JP2008145461A (ja) 液晶表示装置
JP2007240690A (ja) 液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器
US9812470B2 (en) Electro-optical apparatus and electronic apparatus
US10852600B2 (en) Electrooptical device and electronic apparatus
US8698967B2 (en) Electro-optic device, electronic device, and method of manufacturing electro-optic device
JP2011221435A (ja) 液晶装置および電子機器
JP2007219364A (ja) 液晶装置の製造方法、液晶装置及び電子機器
JP6123250B2 (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器
JP2012058562A (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器
JP2012255960A (ja) 電気光学装置の製造方法
JP6229295B2 (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器
US10948783B2 (en) Liquid crystal apparatus and electronic device
JP2014010211A (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器
WO2018150910A1 (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器
JP2014010210A (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器
JP2014211592A (ja) 液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器
JP7302398B2 (ja) 電気光学装置および電子機器
US11656504B2 (en) Liquid crystal apparatus and electronic device
JP5604477B2 (ja) 表示装置
JP2008083327A (ja) 液晶装置の製造方法
JP2008083222A (ja) 液晶装置の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20180906

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180910

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180910

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20181119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190702

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190628

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190806

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191210

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191223

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200331

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200413

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6699195

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150