JP2014010211A - 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器 - Google Patents

液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】液晶中の不純物を効率的にトラップ可能な液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器を提供すること。
【解決手段】液晶装置100は、一対の基板と、対向配置された一対の基板を接着し、一対の基板の隙間に液晶を注入するための第1注入口42が設けられた第1シール部41と、第1シール部41よりも内側に配置され、第1シール部41の第1注入口42が設けられた辺部以外の辺部側において画素領域Eに連通する第2注入口44を有して液晶の迂回進入経路45を第1シール部41との間で構成する第2シール部43と、一対の基板にそれぞれ設けられた無機配向膜18,24と、を有し、一対の基板の少なくとも一方において、迂回進入経路45の無機配向膜18,24は、画素領域Eにおける無機配向膜18,24よりも表面の粗さが大きい部分を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、液晶装置、液晶装置の製造方法、液晶装置を備えた電子機器に関する。
液晶装置は、一対の基板間に挟持された液晶層を有している。液晶装置の製造過程において液晶層に不純物が混じると、不純物の影響で初期的な表示欠陥が生じたり、焼き付きなど長期間に渡っての表示品質の確保が困難になったりするといった信頼性に纏わる課題が生ずるおそれがあった。
このような不純物による液晶層の汚染を低減するために、特許文献1〜特許文献3には、一対の基板間に液晶を注入するにあたって、専用の流入経路を設け、流入経路の配向膜に不純物をトラップさせ、表示領域に不純物を到達させ難くする方法が開示されている。
特開平1−237620号公報 特開平6−175142号公報 特開2002−350882号公報
しかしながら、例えば液晶装置が小型化すると十分な専用の流入経路を設けることが困難になり、流入経路の配向膜に不純物を効率的にトラップさせることができなくなるという課題があった。
また、不純物をトラップさせる配向膜として上記特許文献に示されているポリイミド系の有機配向膜を用いた場合、有機配向膜は外光や照明装置などの光によって劣化し易く、有機配向膜の劣化に伴って一旦トラップされた不純物が表示領域に拡散して、表示品質を低下させるおそれがあった。
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
[適用例1]本適用例に係る液晶装置は、一対の基板と、対向配置された前記一対の基板を接着し、前記一対の基板の隙間に液晶を注入するための第1注入口が設けられた第1シール部と、前記第1シール部よりも内側に配置され、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において画素領域に連通する第2注入口を有して前記液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部と、前記一対の基板のそれぞれに設けられた無機配向膜と、を有し、前記一対の基板の少なくとも一方において、前記迂回進入経路の前記無機配向膜は、前記画素領域における前記無機配向膜よりも表面の粗さが大きい部分を有することを特徴とする。
本適用例によれば、液晶注入時に迂回進入経路の無機配向膜において液晶中に含まれる不純物を効率的にトラップさせることができる。これにより、画素領域には不純物が少ない状態の液晶が充填される。また、無機配向膜は有機配向膜に比べて耐光性が優れているので、一旦トラップされた不純物が再び拡散することを抑制できる。すなわち、安定した表示品質を有する液晶装置を提供できる。
[適用例2]上記適用例に係る液晶装置において、前記迂回進入経路のうち前記第1注入口に近い側に前記無機配向膜の表面の粗さが大きい部分を有することが好ましい。
この構成によれば、液晶注入時の早い段階で液晶中に含まれる不純物をトラップできる。
[適用例3]上記適用例に係る液晶装置において、前記迂回進入経路の前記無機配向膜における表面の粗さが大きい部分には、複数の微孔が形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、複数の微孔によって不純物を効率的にトラップできる。
[適用例4]上記適用例に係る液晶装置において、前記画素領域と前記迂回進入経路とに亘って配置された電極を有し、前記電極は前記無機配向膜によって被覆され、前記迂回進入経路の前記電極は、前記画素領域の前記電極よりも表面の粗さが大きい部分を有するとしてもよい。
この構成によれば、迂回進入経路の電極を覆う無機配向膜の表面に粗さが大きい部分を間接的に構成することができる。また、無機配向膜を表面処理してその表面を荒す必要がなく、電極は無機配向膜で覆われるので、該表面処理による残渣が液晶の配向に影響を及ぼし難い。
[適用例5]本適用例に係る液晶装置の製造方法は、一対の基板の少なくとも一方において、画素領域と前記画素領域の周辺に亘って無機配向膜を形成する工程と、前記画素領域の周辺の無機配向膜の少なくとも一部の表面を荒す表面処理工程と、前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、液晶注入時に迂回進入経路の無機配向膜において液晶中に含まれる不純物を効率的にトラップすることができる。これにより、画素領域には不純物が少ない状態の液晶が充填される。また、無機配向膜は有機配向膜に比べて耐光性が優れているので、一旦トラップされた不純物が再び拡散することを抑制できる。すなわち、安定した表示品質を有する液晶装置を製造することができる。
[適用例6]本適用例に係る液晶装置の製造方法は、一対の基板の少なくとも一方において、画素領域と前記画素領域の周辺に第1無機配向膜を形成する工程と、前記第1無機配向膜の表面を荒す表面処理工程と、前記第1無機配向膜に積層して、少なくとも前記画素領域に第2無機配向膜を形成する工程と、前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、液晶注入時に迂回進入経路の第1無機配向膜において液晶中に含まれる不純物を効率的にトラップすることができる。これにより、画素領域には不純物が少ない状態の液晶が充填される。また、無機配向膜は有機配向膜に比べて耐光性が優れているので、一旦トラップされた不純物が再び拡散することを抑制できる。すなわち、安定した表示品質を有する液晶装置を製造することができる。
また、画素領域では、表面処理が施された第1無機配向膜に積層して第2無機配向膜が形成されるので、該表面処理の残渣の影響が画素領域に及び難い。
[適用例7]本適用例に係る液晶装置の製造方法は、一対の基板の少なくとも一方において、画素領域と前記画素領域の周辺に電極を形成する工程と、前記画素領域の周辺の前記電極の少なくとも一部の表面を荒す表面処理工程と、前記電極を覆って無機配向膜を形成する工程と、前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする。
本適用例によれば、迂回進入経路の電極を覆う無機配向膜に表面の粗さが画素領域よりも大きい部分が生ずる。したがって、液晶注入時に迂回進入経路の電極を覆う無機配向膜において液晶中に含まれる不純物を効率的にトラップすることができる。これにより、画素領域には不純物が少ない状態の液晶が充填される。また、無機配向膜は有機配向膜に比べて耐光性が優れているので、一旦トラップされた不純物が再び拡散することを抑制できる。すなわち、安定した表示品質を有する液晶装置を製造することができる。
[適用例8]上記適用例に係る液晶装置の製造方法において、前記表面処理工程は、被処理部にイオンビームを照射して複数の微孔を形成することが好ましい。
この方法によれば、表面処理を施さない部分をマスキングすることなく、被処理部に複数の微孔を形成することができる。つまり、選択的な表面処理を容易に行うことができる。
[適用例9]本適用例に係る液晶装置の製造方法は、一対の基板の少なくとも一方において、画素領域をマスキングして前記画素領域の周辺に第1の成膜条件で第1のITO膜を成膜する工程と、前記第1のITO膜が形成された領域をマスキングして、前記画素領域に前記第1の成膜条件よりも酸素ガス流量が多い条件で第2のITO膜を成膜する工程と、前記第1のITO膜及び前記第2のITO膜を覆って無機配向膜を形成する工程と、前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする。
例えば真空蒸着法を用いてITO膜を成膜する際に、酸素ガス流量を制御することで成膜後のITO結晶の成長度合いすなわちITO膜の表面の粗さを制御することができる。
本適用例によれば、第1のITO膜は、画素領域に形成される第2のITO膜に比べて酸素ガス流量が少ない条件で成膜される。したがって、第1のITO膜の表面の粗さは第2のITO膜よりも大きくなる。よって、迂回進入経路の第1のITO膜を覆う無機配向膜の表面に画素領域よりも粗さが大きい部分が生じ、当該部分において液晶中に含まれる不純物を効率的にトラップすることができる。これにより、画素領域には不純物が少ない状態の液晶が充填される。また、無機配向膜は有機配向膜に比べて耐光性が優れているので、一旦トラップされた不純物が再び拡散することを抑制できる。すなわち、安定した表示品質を有する液晶装置を製造することができる。
[適用例10]本適用例に係る電子機器は、上記適用例の液晶装置を備えたことを特徴とする。
これによれば、安定した表示品質が得られる電子機器を提供することができる。
(a)は第1実施形態の液晶装置の構成を示す概略平面図、(b)は(a)に示す液晶装置のH−H’線に沿う概略断面図。 (a)及び(b)は第1実施形態の液晶装置における無機配向膜を示す概略平面図。 画素領域における無機配向膜及び液晶分子の配向状態を示す概略断面図。 第1実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャート。 斜方蒸着装置の構成を示す概略図。 (a)〜(d)は表面処理工程を示す概略図。 (a)及び(b)は貼り合わせ工程と液晶注入・封止工程を説明する概略図。 (a)はマザー基板の構成を示す概略平面図、(b)は(a)のJ−J’線に沿った概略断面図。 表面処理工程におけるイオンビームの照射条件と膜密度との関係を示す表。 (a)及び(b)は無機配向膜の表面が示された電子顕微鏡写真。 第2実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャート。 第2実施形態の液晶装置の製造方法を示す概略断面図。 第3実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャート。 第3実施形態の液晶装置の製造方法を示す概略断面図。 第4実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャート。 (a)〜(e)は第4実施形態の液晶装置の製造方法を示す概略図。 電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図。 (a)〜(c)は変形例の無機配向膜を示す概略平面図。
以下、本発明を具体化した実施形態について図面に従って説明する。なお、使用する図面は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
なお、以下の形態において、「基板上に」と記載された場合、基板の上に接するように配置される場合、または基板の上に他の構成物を介して配置される場合、または基板の上に一部が接するように配置され、一部が他の構成物を介して配置される場合を表すものとする。
(第1実施形態)
本実施形態では、薄膜トランジスター(Thin Film Transistor;TFT)を画素のスイッチング素子として備えたアクティブマトリックス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えば後述する投射型表示装置(液晶プロジェクター)の光変調素子(液晶ライトバルブ)として好適に用いることができるものである。
<液晶装置>
まず、本実施形態の液晶装置について、図1〜図3を参照して説明する。図1(a)は第1実施形態の液晶装置の構成を示す概略平面図、図1(b)は図1(a)に示す液晶装置のH−H’線に沿う概略断面図、図2(a)及び(b)は第1実施形態の液晶装置における無機配向膜を示す概略平面図、図3は画素領域における無機配向膜及び液晶分子の配向状態を示す概略断面図である。
図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態の液晶装置100は、対向配置された素子基板10及び対向基板20と、これら一対の基板によって挟持された液晶層50とを有する。素子基板10の基材10a及び対向基板20の基材20aは、いずれも透明な例えば石英基板やガラス基板が用いられている。
本発明における一方の基板としての素子基板10は他方の基板としての対向基板20よりも大きく、両基板は、対向基板20の外縁に沿って配置された第1シール部41と、第1シール部41よりも内側に配置された第2シール部43とを介して接着され、その隙間に負の誘電異方性を有する液晶が封入されて液晶層50が構成されている。第1シール部41及び第2シール部43は、例えば熱硬化性又は紫外線硬化性のエポキシ樹脂などの接着剤が採用されている。第1シール部41及び第2シール部43には、一対の基板の間隔を一定に保持するためのスペーサー(図示省略)が混入されている。
第2シール部43の内側に複数の画素Pが配列した画素領域Eが設けられている。また、第1シール部41と画素領域Eとの間に画素領域Eを取り囲んで見切り部21が設けられている。見切り部21は、例えば遮光性の金属あるいは金属酸化物などからなる。なお、画素領域Eは、表示に寄与する複数の画素Pに加えて、複数の画素Pを囲むように配置されたダミー画素を含むとしてもよい。また、図1では図示省略したが、画素領域Eにおいて複数の画素Pをそれぞれ平面的に区分する遮光部(ブラックマトリックス;BM)が対向基板20に設けられている。
素子基板10には、複数の外部接続端子104が設けられている。複数の外部接続端子104が配列した素子基板10の部分を第1の辺部と呼ぶ。
素子基板10の上記第1の辺部と上記第1の辺部に沿った第1シール部41との間にデータ線駆動回路101が設けられている。また、第1の辺部に対向する第2の辺部に沿った第1シール部41と第2シール部43との間に検査回路103が設けられている。さらに、第1の辺部と直交し互いに対向する第3及び第4の辺部に沿った第1シール部41と第2シール部43との間にそれぞれ走査線駆動回路102が設けられている。第2の辺部の第1シール部41と第2シール部43との間には、2つの走査線駆動回路102を繋ぐ複数の配線105が設けられている。
これらデータ線駆動回路101、走査線駆動回路102に繋がる配線は、第1の辺部に沿って配列した複数の外部接続端子104に接続されている。以降、第1の辺部に沿った方向をX方向とし、第3の辺部に沿った方向をY方向として説明する。なお、検査回路103の配置はこれに限定されず、データ線駆動回路101と画素領域Eとの間において第1シール部41と第2シール部43との間に設けてもよい。
図1(b)に示すように、基材10aの液晶層50側の表面には、画素Pごとに設けられた、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなる透光性の画素電極15及びスイッチング素子である薄膜トランジスター(以降、TFTと呼称する)30と、信号配線と、これらを覆う無機配向膜18とが形成されている。また、TFT30における半導体層に光が入射してスイッチング動作が不安定になることを防ぐ遮光構造が採用されている。本発明における基板としての素子基板10は、少なくとも基材10aと、基材10a上に形成された画素電極15、TFT30、信号配線、無機配向膜18を含むものである。
素子基板10に対向配置される対向基板20は、少なくとも基材20aと、基材20a上に形成された見切り部21と、これを覆うように成膜された平坦化層22と、平坦化層22を覆うように設けられた共通電極23と、共通電極23を覆う無機配向膜24とを含むものである。
見切り部21は、図1(a)に示すように画素領域Eを取り囲むと共に、平面的に走査線駆動回路102、検査回路103と重なる位置に設けられている。これにより対向基板20側からこれらの駆動回路を含む周辺回路に入射する光を遮蔽して、周辺回路が光によって誤動作することを防止する役目を果たしている。また、不必要な迷光が画素領域Eに入射しないように遮蔽して、画素領域Eの表示における高いコントラストを確保している。
平坦化層22は、例えば酸化シリコンなどの無機材料からなり、光透過性を有して見切り部21を覆うように設けられている。このような平坦化層22の形成方法としては、例えばプラズマCVD法などを用いて成膜する方法が挙げられる。
共通電極23は、例えばITO(Indium Tin Oxide)などの透明導電膜からなり、平坦化層22を覆うと共に、図1(a)に示すように対向基板20の四隅に設けられた上下導通部106により素子基板10側の配線に電気的に接続している。
画素電極15を覆う無機配向膜18及び共通電極23を覆う無機配向膜24は、SiOx(酸化シリコン)などの無機材料を気相成長法(蒸着法やスパッタ法など)を用いて成膜することで得られ、負の誘電異方性を有する液晶分子を膜面に対して略垂直配向させるものである。
このような液晶装置100は透過型であって、画素Pが非駆動時に明表示となるノーマリーホワイトモードや、非駆動時に暗表示となるノーマリーブラックモードの光学設計が採用される。光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子が光学設計に応じて配置されて用いられる。本実施形態ではノーマリーブラックモードが採用されている。
本実施形態の液晶装置100は、上述したように一対の基板が第1シール部41と第2シール部43とによって接着された二重シール構造が採用されている。外側の第1シール部41のデータ線駆動回路101に沿った長辺部に第1注入口42が設けられている。内側の第2シール部43の検査回路103に沿った長辺部に第2注入口44が設けられている。第1シール部41と第2シール部43とにより画素領域Eを取り囲んだ液晶の迂回進入経路45が構成されている。負の誘電異方性を有する液晶(液晶分子)は、真空注入法を用いて第1注入口42から注入され、迂回進入経路45を経て第2注入口44から画素領域Eに充填される。液晶が注入された後に、第1注入口42は、例えば紫外線硬化型のアクリル系樹脂からなる封止材108によって封止される。
また、本実施形態では、画素領域Eにおける無機配向膜18,24の表面の粗さに対して、迂回進入経路45における無機配向膜18,24の表面の粗さを大きくしている。迂回進入経路45における無機配向膜18,24の表面の粗さが大きい部分は、画素領域Eの無機配向膜18,24に比べて凹凸が多くなり、実質的な表面積を増やすことができる。これにより、液晶中に不純物が含まれていた場合、液晶注入時に当該不純物を上記迂回進入経路45の無機配向膜18,24で効率的にトラップすることが可能となる。
なお、「不純物」とは、液晶自体に本来含まれない金属などの無機物や樹脂などの有機物、またはこれらの混合物、あるいはこれらのイオン性物質を指し、主に液晶装置100の製造の過程で注入前の液晶に含まれるものを指す。
次に、図2を参照して無機配向膜について説明する。図2(a)に示すように、素子基板10側では、画素領域Eとその周辺に亘って無機配向膜18が形成されている。無機配向膜18の配向処理方向は、四角形の基材10aの右上から左下に向かう実線の矢印で示す方向である。Y方向と当該配向処理方向とがなす角度θaはおよそ45度である。当該配向処理方向は、無機配向膜18を成膜するときの成膜方向における方位にほぼ合致している。
画素領域Eを含む第1領域E1における無機配向膜18に対して、第1領域E1を取り囲む周辺領域である第2領域E2における無機配向膜18の表面の粗さが大きくなっている。
図2(b)に示すように、対向基板20側では、画素領域Eよりも一回り大きな第3領域E3と、第3領域E3を取り囲む周辺領域である第4領域E4とに亘って無機配向膜24が形成されている。無機配向膜24の配向処理方向は、四角形の基材20aの左下から右上に向かう破線の矢印で示す方向である。Y方向と当該配向処理方向とがなす角度θaは素子基板10側と同じくおよそ45度である。当該配向処理方向は、無機配向膜24を成膜するときの成膜方向における方位にほぼ合致している。
第3領域E3における無機配向膜24に対して、第4領域E4における無機配向膜24の表面の粗さが大きくなっている。
前述した迂回進入経路45は、素子基板10側では第2領域E2に形成され、対向基板20側では第4領域E4に形成される。本実施形態では、第1領域E1と第2領域E2との境界(あるいは第3領域E3と第4領域E4の境界)に第2シール部43(図1(a)参照)が配置されている。
素子基板10側の無機配向膜18と対向基板20側の無機配向膜24とは互いに180度反転した配向処理方向を有するものであって、1軸垂直配向処理と呼ばれている。それぞれの配向処理方向は、上述した方向に限定されない。例えば、無機配向膜18と無機配向膜24の配向処理方向を入れ替えてもよい。また、基材10a,20aの左上から右下に向かう、あるいは右下から左上に向かう配向処理方向として、当該配向処理方向とY方向とがなす角度θaを45度としてもよい。
図3は画素領域Eにおける無機配向膜18,24と液晶層50における液晶分子LCの配向状態を示すものである。図3に示すように、素子基板10の画素電極15を覆う無機配向膜18は、例えば酸化シリコンを斜方蒸着して得られた酸化シリコンの柱状結晶体18aの集合体である。基材10aの法線と実線の矢印で示した成膜方向とがなす角度θbは、およそ45度である。柱状結晶体18aが基材10aの表面から成長する方向と法線とがなす角度θcは必ずしも上記角度θbと同じにならず、この場合は、およそ20度である。このような無機配向膜18の膜面において負の誘電異方性を有する液晶分子LCは長軸が上記成膜方向側に傾いたプレチルトを有して略垂直配向している。基材10aの法線と液晶分子LCの長軸とがなすプレチルト角θpはおよそ4度である。言い換えれば、液晶分子LCのプレチルト角θpがおよそ4度となるように、柱状結晶体18aの基材10aに対する成長の角度θcが制御されている。つまり成膜時の角度θbが制御されている。
同様に、対向基板20側の共通電極23を覆う無機配向膜24は、例えば酸化シリコンを斜方蒸着して得られた酸化シリコンの柱状結晶体24aの集合体である。基材20aの法線と破線の矢印で示した成膜方向とがなす角度θbは、およそ45度である。無機配向膜24の膜面(柱状結晶体24a)に対して液晶分子LCは成膜方向側にプレチルトを有した状態で略垂直配向している。柱状結晶体18a,24aの成長方向は断面視で平行しており交差していない。以降、柱状結晶体をカラムと称して説明する。
このような無機配向膜18,24を有する一対の基板によって液晶層50が挟持されたものを液晶パネル110と呼ぶ。液晶パネル110の光の入射側と射出側とにそれぞれ偏光素子81,82が配置されて用いられる。
基材10a(あるいは基材20a)の法線方向から見た液晶分子LCのプレチルトの所定の方向は、図2(a)及び(b)に示したように無機配向膜18,24における斜方蒸着の平面的な成膜方向と同じである。このような1軸垂直配向処理の上記所定の方向は、液晶装置100の光学設計条件に基づいて適宜設定される。本実施形態では、上記所定の方向は光の入射方向と射出方向とに配置される偏光素子81,82の透過軸または吸収軸に対して45°の角度で交わっている。これにより、画素電極15と共通電極23との間に所定電位を与えて液晶層50を駆動したときに最大のコントラストが得られる構成となっている。
迂回進入経路45における無機配向膜18,24の表面の粗さを画素領域Eよりも大きくする方法について、液晶装置の製造方法において詳しく説明する。
<液晶装置の製造方法>
次に、本実施形態の液晶装置100の製造方法について、図4〜図8を参照して説明する。素子基板10における画素電極15、TFT30、データ線駆動回路101、走査線駆動回路102、検査回路103、信号配線などは、公知の方法を用いて形成することができる。同様に、対向基板20における見切り部21、平坦化層22、共通電極23も公知の方法を用いて形成することができる。ここでは、本発明の特徴部分である無機配向膜18,24の表面を荒す表面処理について説明する。
図4は第1実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。図4に示すように、本実施形態の液晶装置100の製造方法は、素子基板10側における画素電極形成工程(ステップS1)と、対向基板20側における共通電極形成工程(ステップS2)と、無機配向膜形成工程(ステップS3)と、表面処理工程(ステップS4)と、シール形成工程(ステップS5)とを有している。また、素子基板10と対向基板20とを貼り合わせる工程(ステップS6)と、貼り合わされた素子基板10と対向基板20との間に真空注入法を用いて液晶を注入・封止する液晶注入・封止工程(ステップS7)とを有している。
前述したように、画素電極15や共通電極23を形成する工程(ステップS1やステップS2)は、ITOなどの透明導電膜を成膜して、フォトリソグラフィ法により所望の形状にパターニングする公知の方法を適用することができる。
無機配向膜形成工程(ステップS3)は、酸化シリコンなどの無機材料を気相成長法を用いて成膜する方法を採用することができる。
図5は斜方蒸着装置の構成を示す概略図である。気相成長法の1つである斜方蒸着法では、例えば図5に示すような斜方蒸着装置300を用いる。
斜方蒸着装置300は、内部を減圧可能なチャンバー301と、チャンバー301の底部に設けられた蒸着源302とを有している。蒸着源302には、無機配向膜を構成するところの酸化シリコンなどの無機材料が例えばペレットとして装着され、これを減圧下で加熱して蒸発させる。チャンバー301の蒸着源302の上方には、複数のワークWを配置することが可能となっている。具体的には、ワークWの被蒸着面が蒸着源302に向かう垂線に対して傾斜するように、ワークWはチャンバー301に配置される。蒸着源302に向かう垂線と、被蒸着面の法線とがなす角を仰角と呼ぶ。もちろん、前述した蒸着方向における平面的な方位の角度θa(45度;図2(a)及び(b)参照)と、被蒸着面に対する蒸着方向の角度θb(45度;図3、図4参照)とが得られるようにワークWは上記仰角が設定されて配置される。本実施形態では、蒸着方向の角度θbと上記仰角とが同じとなるように設定されている。
蒸着源302から蒸発した無機材料はワークWに到達して結晶化する。このような斜方蒸着を所定の時間行うことで、無機材料の結晶が成長して柱状結晶体(カラム)となり、カラムの集合体である無機配向膜が形成される。
なお、蒸着源302の垂線に対して所定の仰角θbを与えてワークWを傾斜させるので、被蒸着面に対する蒸着方向の角度θbは、ワークWの大きさにもよるが蒸着源302から遠ざかるほど小さくなる。言い換えれば、ワークWに対する蒸着方向の角度θbは必ずしも一定ではない。蒸着方向の角度θbを一定とするために、例えば、ワークWの被蒸着面に対向するように配置されたスリット状の開口部を有する遮蔽板(図示省略)を設け、蒸着源302から飛来する膜成分のビーム平行度を上げる手段がとられる。
図4の無機配向膜形成工程(ステップS3)では、前述した斜方蒸着装置300を用い、膜厚が50nm〜100nmとなるように素子基板10側には無機配向膜18を形成する。また、対向基板20側には無機配向膜24を形成する。素子基板10側における斜方蒸着の平面的な方位は、基材10aのY方向となす角度がθaであって右上から左下に向かう方向である。基材10aに対する蒸着方向の角度θbは前述したように45度である(図2(a)参照)。
対向基板20側における斜方蒸着の平面的な方位は、基材20aのY方向となす角度がθaであって左下から右上に向かう方向である。基材20aに対する蒸着方向の角度θbは前述したように45度である(図2(b)参照)。そして、ステップS4へ進む。
図6(a)〜(d)は表面処理工程を示す概略図である。
図4の表面処理工程(ステップS4)は、素子基板10側では第1領域E1を囲む第2領域E2(対向基板20側では第3領域E3を囲む第4領域E4)の無機配向膜18(24)の表面の粗さが第1領域E1(第3領域E3)に比べて大きくなるように、表面処理を施す工程である。
具体的には、図6(a)に示すように、イオンビーム照射装置400を用い、ワークWの被処理部に向けてイオンビームを照射して、被処理部をエッチング(ミーリング)して被処理部の表面を荒す表面処理を行う。イオンビーム照射装置400は、イオンビームを照射可能なイオン銃410と、ワークWが載置されるステージ420とを備えている。イオン銃410は、ガス導入部411から供給される処理ガスとしてのAr(アルゴン)ガスをその内部においてプラズマ化し、プラズマ中のArイオンを加速してイオンビームとして放射するイオン源である。ステージ420はワークWを載置して、ワークWの被処理部に対してイオンビームが照射されるように、ワークWをイオン銃410に対して移動させる装置である。なお、ステージ420に載置されたワークWに対して、イオン銃410を移動させてもよい。
本実施形態の表面処理工程(ステップS4)では、図6(b)に示すように、例えば、素子基板10側では、基材10aに形成された無機配向膜18に対して、第2領域E2にイオンビームを照射することにより、無機配向膜18をエッチング(ミーリング)して微孔18hを形成する。イオン銃410に対して、ワークW(基材10a)が載置されたステージ420を移動させることにより、第2領域E2に亘って複数の微孔18hを形成する。
対向基板20においても素子基板10と同様な方法により、基材20aに形成された無機配向膜24に対して、第4領域E4にイオンビームを照射することにより、無機配向膜24をエッチング(ミーリング)して複数の微孔24hを形成する。
なお、微孔18h(24h)の深さは、イオンビームの照射時間を制御することにより調整することができる。図6(b)に示すように、無機配向膜18(24)の表面からわずかに掘り下げた状態や、図6(c)に示すように、無機配向膜18(24)を貫通させた状態としてもよい。あるいは、図6(d)に示すように、ワークW(基材10a,20a)に対して、90度未満の入射角度でイオンビームを入射させれば、無機配向膜18(24)の表面に対して傾斜した微孔18h(24h)を形成することもできる。
このように複数の微孔18h(24h)を形成することにより、第1領域E1(第3領域E3)に比べて第2領域E2(第3領域E3)の無機配向膜18(24)の表面を荒すことができる。そして、ステップS5へ進む。
次に、図4のシール形成工程(ステップS5)では、無機配向膜18が形成された素子基板10側に第1シール部41と第2シール部43とを形成する。第1シール部41は、後に貼り合わされる対向基板20の外縁と重なる位置に形成する。第2シール部43は、第1領域E1と第2領域E2の境界と重なる位置に形成する。あるいは第1領域E1と第2領域E2の境界に沿った第2領域E2側に形成する。第1シール部41及び第2シール部43の形成方法としては、スクリーンなどを用いた印刷方式やシール部材をノズルから吐出しながらシールパターンを描画する定量吐出方式(ディスペンサー方式)などを採用できる。無機配向膜18にスクリーンなどが接触することによる配向不良などの欠陥が生じない点では、定量吐出方式(ディスペンサー方式)のほうが望ましい。なお、第1シール部41や第2シール部43を対向基板20側に形成してもよい。あるいは、第1シール部41と第2シール部43とをそれぞれ異なる基板に対して形成してもよい。そして、ステップS6へ進む。
図7(a)及び(b)は貼り合わせ工程と液晶注入・封止工程を説明する概略図である。図4の貼り合わせ工程(ステップS6)では、図7(a)及び(b)に示すように、第1シール部41及び第2シール部43が形成された素子基板10と対向基板20とを所定の位置に対向配置し貼り合わせて接着する。第1シール部41及び第2シール部43にはスペーサー(図示省略)が含まれているので、例えば一対の基板のうち他方の基板を一方の基板に押しつけて圧着すれば、素子基板10と対向基板20とを所望の間隔をおいて接着することができる。
次に、図4の液晶注入・封止工程(ステップS7)では、まず、貼り合わされた素子基板10と対向基板20との隙間に液晶を注入する。具体的には、貼り合わされた一対の基板を素子基板10が下方に位置するようにチャンバー内にセットして減圧することにより、上記隙間を略真空状態とする。そして、図7(a)及び(b)に示すように、対向基板20からはみ出した素子基板10の端子部10bに液晶50aを滴下する。液晶50aは第1シール部41の第1注入口42を塞ぐように所定量が滴下される。そして、チャンバー内を減圧した状態から大気に開放する。そうすると、上記隙間と大気との圧力差により液晶50aは、第1注入口42から迂回進入経路45に進入し、第2シール部43の第2注入口44から画素領域E内に充填される。
先の表面処理工程(ステップS4)において、迂回進入経路45における無機配向膜18,24の表面の粗さが画素領域Eよりも大きくなるように複数の微孔18h,24hが形成されている。これにより、迂回進入経路45における無機配向膜18,24の実質的な表面積が画素領域Eよりも増大し、迂回進入経路45を液晶50aが進入する間に、液晶50aに含まれた不純物は、素子基板10側の無機配向膜18と対向基板20側の無機配向膜24とによって十分にトラップされる。したがって、画素領域Eには不純物をほとんど含まない液晶50aが充填される。
画素領域Eが液晶50aによって十分に満たされるまで液晶注入が続行され、その後、第1注入口42を封止材108によって封止する(図1(a)参照)。これにより、液晶パネル110ができ上がる。
図8(a)はマザー基板の構成を示す概略平面図、図8(b)は(a)のJ−J’線に沿った概略断面図である。なお、図8(a)及び(b)は素子基板10と対向基板20とが貼り合わされた後のマザー基板を示すものである。
図8(a)及び(b)に示すように、上記のような液晶装置100の製造方法は、実際には複数の素子基板10が面付けされたマザー基板10Wを用いて行われる。
本実施形態のマザー基板10Wは、ウェハ状の例えば石英基板やガラス基板であって、一部が切り欠かれたオリフラに沿ったX方向と、X方向に直交するY方向とにマトリクッス状に素子基板10が面付けされて加工が進められる。
素子基板10側における無機配向膜18の形成は、マザー基板10Wを用いて実施される。一方、対向基板20側における無機配向膜24の形成は、複数の対向基板20を支持体上に吸着固定して斜方蒸着装置300にセットする方法が挙げられる。また、素子基板10と同様にマザー基板に面付けした状態で無機配向膜24を形成した後に、個別の対向基板20に分割してからマザー基板10Wに面付けされた素子基板10と個々に貼り合わせる方法が挙げられる。
液晶注入・封止工程(ステップS7)では、チャンバー内にマザー基板10Wが下方になるように配置し、Y方向に配列した複数の対向基板20の間に液晶50aを滴下することになる。
図9は表面処理工程におけるイオンビームの照射条件と膜密度との関係を示す表、図10(a)及び(b)は無機配向膜の表面が示された電子顕微鏡写真である。図10(a)は膜密度が1.941g/cm3であり、図10(b)は膜密度が1.835g/cm3である。
無機配向膜18,24の表面の粗さを示す指標として、例えば膜密度を採用することができる。前述したように無機配向膜18,24は、斜方蒸着により酸化シリコンなどの無機材料が基材10a,20a上において成長したカラム(柱状結晶体)18a,24aの集合体である。液晶分子の安定した配向状態を実現するにはカラム18a,24aが緻密に形成されることが望ましい。これに対して、イオンビームが照射された部分の無機配向膜18,24は、カラム18a,24aの少なくとも一部が消失して空隙が生ずるため、照射前に比べて膜密度が低下する。
無機配向膜18,24の膜密度を求める方法としては、例えば、XRR法(X線反射率法)を挙げることができる。XRR法は、X線を試料表面に極浅い角度で入射させ、その入射角対鏡面方向に反射したX線強度プロファイルを測定する。この測定で得られたプロファイルをシミュレーション結果と比較し、シミュレーションパラメーターを最適化することによって、試料の膜厚や密度を求める手法である。
図9の表に示すように、条件1では、ビームエネルギーを700evとして、ドーズ量が2.0×1016ion/cm2となるようにArイオンビームを照射した。このときの、無機配向膜における膜密度は1.941g/cm3であった。
条件2では、ビームエネルギーを700evとして、ドーズ量が4.0×1016ion/cm2となるようにArイオンビームを照射した。このときの、無機配向膜における膜密度は1.835g/cm3であった。つまり、ドーズ量(イオンビームの照射量)を増やすと膜密度が低下する。
そして、図10(a)及び(b)に示すように、ドーズ量を増やすことで無機配向膜のエッチング(ミーリング)が進んで空隙が大きくなり、表面の粗さが大きくなることが分かる。
また、無機配向膜の表面の粗さを膜密度のように間接的に求める方法以外に直接的に求める方法もある。例えば、AFM(Atomic Force Microscopy;原子間力顕微鏡法)は、微細な探針で試料表面を走査し、ナノスケールの凹凸形状を三次元的に計測することができる。この方法によれば、画素領域Eにおける安定的な液晶分子の配向状態が得られる無機配向膜の平均面粗さ(Ra)は、およそ1.5nm〜3.5nmである。
これに対して、迂回進入経路45において液晶中の不純物を効率的にトラップするには、無機配向膜の平均面粗さ(Ra)を5.0nm〜12.0nmとすることが好ましい。平均面粗さ(Ra)を12.0nmよりも大きくすると、表面処理を施した部分の無機配向膜が脆くなって、基材10a,20aに対する密着性が損なわれるおそれがある。
上記条件1でイオンビームを照射したときの膜密度が1.835g/cm3である無機配向膜の平均面粗さ(Ra)はおよそ5.0nmであった。また、上記条件2でイオンビームを照射したときの膜密度が1.835g/cm3である無機配向膜の平均面粗さ(Ra)はおよそ8.0nmであった。したがって、膜密度と平均表面粗さとの間に相関関係が成り立つので、Arイオンビームのドーズ量は1.0×1016ion/cm2以上6.0×1016ion/cm2以下とすることが好ましい。
本実施形態の液晶装置100及びその製造方法の効果は、以下の通りである。
(1)液晶50aの迂回進入経路45における無機配向膜18,24の表面の粗さは、画素領域Eにおける無機配向膜18,24よりも大きい。したがって、迂回進入経路45の無機配向膜18,24の実質的な表面積が画素領域Eよりも大きくなる。よって、液晶50a中に含まれる不純物は、迂回進入経路45において無機配向膜18,24に効率的にトラップされる。それゆえに、画素領域Eには不純物をほとんど含まない液晶50aが充填される。
また、不純物を無機配向膜18,24にトラップさせるので有機配向膜にトラップさせる場合に比べて、照射された光による劣化を防ぎ、優れた耐光性を有する。すなわち、不純物による初期的な表示不具合を低減すると共に、高い信頼性を有する液晶装置100及びその製造方法を提供することができる。
(2)液晶装置100の製造方法では、迂回進入経路45の無機配向膜18,24にArイオンビームを照射して複数の微孔を形成するので、基材10a,20a上に形成された無機配向膜18,24のうち必要な部分の表面を選択的に荒すことができる。言い換えれば、画素領域Eの無機配向膜18,24が表面処置の影響を受け難いので、画素領域Eにおいて安定した液晶分子LCの配向状態を実現できる。
(3)液晶装置100の製造方法において、液晶注入は、チャンバー内において液晶パネル110を素子基板10側を下方にして略水平に配置して行うので、画素領域Eよりも実質的な表面積が大きい迂回進入経路45の無機配向膜18に不純物を効果的にトラップさせることができる。
(第2実施形態)
<液晶装置の製造方法>
次に、第2実施形態の液晶装置の製造方法について、図11、図12を参照して説明する。図11は第2実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャート、図12は第2実施形態の液晶装置の製造方法を示す概略断面図である。
第2実施形態の液晶装置の製造方法は、第1実施形態の液晶装置100の製造方法に対して、無機配向膜の形成方法及び表面処理の方法を異ならせたものである。したがって、第1実施形態の液晶装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図11に示すように、本実施形態の液晶装置の製造方法は、画素電極形成工程(ステップS11)と、共通電極形成工程(ステップS12)と、第1無機配向膜形成工程(ステップS13)と、表面処理工程(ステップS14)と、第2無機配向膜形成工程(ステップS15)とを有している。また、シール形成工程(ステップS16)と、貼り合わせ工程(ステップS17)と、液晶注入・封止工程(ステップS18)とを有している。
第1実施形態と異なる工程は、ステップS13〜ステップS15であって、他の工程は第1実施形態と同じである。したがって、以降、異なる工程について説明してゆく。
図11の第1無機配向膜形成工程(ステップS13)では、図12(a)に示すように、素子基板10側では、基材10aの第1領域E1と第2領域E2とに亘って第1無機配向膜としての無機配向膜18a1を形成する。対向基板20側では、基材20aの第3領域E3と第4領域E4とに亘って第1無機配向膜としての無機配向膜24a1を形成する。無機配向膜18a1,24a1の膜厚は、第1実施形態の無機配向膜18,24と同じく50nm〜100nmである。そして、ステップS14へ進む。
図11の表面処理工程(ステップS14)では、前述したイオンビーム照射装置400を用いて、素子基板10側では、無機配向膜18a1の全面に亘ってArイオンビームを照射して、複数の微孔18hを形成する。同様に、対向基板20側では、無機配向膜24a1の全面に亘ってArイオンビームを照射して、複数の微孔24hを形成する。なお、微孔18h(24h)の形成方法は、ドーズ量を制御することによって、厚み方向に途中まで掘り下げたり、貫通させたりしてもよい。さらには、Arイオンビームを傾けて照射して、第1無機配向膜の表面に対して傾斜した微孔18h(24h)を形成してもよい。無機配向膜18a1(24a1)に複数の微孔18h(24h)を形成することにより、無機配向膜18a1(24a1)の表面の粗さが大きくなる。そして、ステップS15へ進む。
図11の第2無機配向膜形成工程(ステップS15)では、図12(c)に示すように、素子基板10側では、第1領域E1に第2無機配向膜としての無機配向膜18a2を形成する。対向基板20側では、第3領域E3に第2無機配向膜としての無機配向膜24a2を形成する。このように、第1領域E1あるいは第3領域E3に第2無機配向膜を形成する方法としては、第1領域E1あるいは第3領域E3に対応した開口部を有する蒸着用マスクとワークWとしての基材10a,20aとを所定の位置で重ね合わせて、斜方蒸着する方法が挙げられる。無機配向膜18a2,24a2の膜厚も50nm〜100nmである。
上記第2実施形態によれば、第1実施形態の効果(1)、(3)に加えて、以下の効果が得られる。
(4)表面処理工程(ステップS14)において、Arイオンビームの照射により、第1無機配向膜としての無機配向膜18a1,24a1の残渣が第1領域E1や第3領域E3に残っていたとしても、第2無機配向膜としての無機配向膜18a2,24a2によって覆われてしまうので、画素領域Eにおいて安定した液晶分子の配向状態を実現できる。
上記第1実施形態の表面処理工程(ステップS4)あるいは上記第2実施形態の表面処理工程(ステップS14)において、無機配向膜を部分的あるいは全面的に荒す方法は、Arイオンビームを照射する方法に限定されない。例えば、フッ素系の処理ガス(CF4、SF6など)を用いたドライエッチングや、HF(フッ化水素)溶液を用いたウェットエッチングを採用することもできる。特にウェットエッチングを用いれば、ドライエッチングに比べ容易に無機配向膜を全面的に荒すことができる。ウェットエッチングの条件としては、0.5wt%〜10wt%程度のHF溶液に無機配向膜が形成された基材10a,20aを1分〜5分程度浸漬すれば、無機配向膜の表面を荒すことができる。
(第3実施形態)
次に、第3実施形態の液晶装置の製造方法について、図13、図14を参照して説明する。図13は第3実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャート、図14は第3実施形態の液晶装置の製造方法を示す概略断面図である。
第3実施形態の液晶装置の製造方法は、第1実施形態の液晶装置100の製造方法に対して、表面処理の方法を異ならせたものである。したがって、第1実施形態の液晶装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図13に示すように、本実施形態の液晶装置の製造方法は、画素電極形成工程(ステップS21)と、共通電極形成工程(ステップS22)と、表面処理工程(ステップS23)と、無機配向膜形成工程(ステップS24)と、を有している。また、シール形成工程(ステップS25)と、貼り合わせ工程(ステップS26)と、液晶注入・封止工程(ステップS27)とを有している。
第1実施形態と異なる工程は、ステップS23であって、他の工程は第1実施形態と同じである。したがって、以降、異なる工程について説明してゆく。
図13の表面処理工程(ステップS23)は、対向基板20側の共通電極23の表面を荒す表面処理を行う工程である。具体的には、図14(a)に示すように、対向基板20の基材20a上には、見切り部21、平坦化層22、共通電極23が順に形成されている。
表面処理工程(ステップS23)では、図14(b)に示すように、共通電極23の第3領域E3を覆うようにレジスト層70を形成する。続いて、レジスト層70で覆われていない共通電極23の第4領域E4の部分をエッチングして、その表面を荒す。
エッチング方法としては、共通電極23を構成する透明導電膜(ITO膜)のエッチング液に基材20aを浸漬するウェットエッチングやフッ素系の処理ガス(CF4、SF6など)を用いたドライエッチングを挙げることができる。なお、前述したArイオンビームを照射する方法を採用することも可能だが、上記ウェットエッチングや上記ドライエッチングに比べて、エッチング速度が遅くなる。そして、ステップS24へ進む。
図13の無機配向膜形成工程(ステップS24)では、素子基板10側の基材10aにおいて第1領域E1と第1領域E1を囲む第2領域E2に亘って斜方蒸着により無機配向膜18を形成する。対向基板20側では、図14(c)に示すように、第3領域E3と第3領域E3を囲む第4領域E4に亘って斜方蒸着により無機配向膜24を形成する。すると、第4領域E4の無機配向膜24は、エッチングされて表面が荒された共通電極23を覆うことでやはりその表面が、第3領域E3よりも荒れた状態となる。
したがって、先の表面処理工程(ステップS23)では、第1実施形態で述べたように、第4領域E4の共通電極23を覆う無機配向膜24の表面の平均面粗さ(Ra)が5.0nm〜12.0nmとなるように共通電極23をエッチングすることが好ましい。
上記第3実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(5)共通電極23の表面を部分的にエッチングして荒すことにより、迂回進入経路45の対向基板20側の無機配向膜24の表面の粗さを、画素領域Eよりも大きくした。これにより、液晶注入時に液晶中に含まれた不純物を無機配向膜18,24によって効率よくトラップすること可能な液晶装置を提供できる。言い換えれば、迂回進入経路45の無機配向膜18,24の双方の表面を荒さなくても片方の無機配向膜24の表面を荒すことで不純物を効率よくトラップできる。
(6)表面処理工程(ステップS23)では、上記第1実施形態や第2実施形態のように無機配向膜18,24の表面を直接荒さずに、無機配向膜24によって覆われる共通電極23の表面を荒すので、無機配向膜24に表面処理の残渣などの異物等が付着することに起因する配向不良が発生しない。したがって、液晶中の不純物を迂回進入経路45の無機配向膜18,24で効率よくトラップ可能な液晶装置を歩留まりよく製造することができる。
(7)上記第3実施形態の液晶装置の製造方法では、上記第1実施形態や第2実施形態のように無機配向膜18,24の表面を荒すために、イオンビーム照射装置400などの専用エッチング装置を必要としない。共通電極23を構成するところの透明導電膜をパターニングするウェットエッチング装置やドライエッチング装置を使って共通電極23の表面を部分的にエッチングして荒すことにより、最終的には無機配向膜24の第4領域E4の表面の粗さを画素領域Eに比べて大きくすることができる。
なお、上記第3実施形態で述べたように無機配向膜24の第4領域E4の表面の粗さを画素領域Eよりも大きくする方法は、下層の共通電極23の表面を部分的に荒すことに限定されない。例えば、共通電極23を第1電極と第2電極との積層構造として、第1電極の表面を全面的に荒した後に、第4領域E4に相当する部分をマスキングして第3領域E3に相当する部分に上記第2電極を形成してもよい。
(第4実施形態)
次に、第4実施形態の液晶装置の製造方法について、図15、図16を参照して説明する。図15は第4実施形態の液晶装置の製造方法を示すフローチャート、図16(a)〜(e)は第4実施形態の液晶装置の製造方法を示す概略図である。第4実施形態の液晶装置の製造方法は、上記第3実施形態に対して、エッチング以外の方法で、無機配向膜24の表面を部分的に荒す方法を示すものである。したがって、上記第1実施形態の液晶装置100と同じ構成には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図15に示すように、本実施形態の液晶装置の製造方法は、画素電極形成工程(ステップS31)と、第1のITO膜形成工程(ステップS32)と、第2のITO膜形成工程(ステップS33)と、無機配向膜形成工程(ステップS34)と、を有している。また、シール形成工程(ステップS35)と、貼り合わせ工程(ステップS36)と、液晶注入・封止工程(ステップS37)とを有している。
第1実施形態と異なる工程は、ステップS32とステップS33であって、他の工程は第3実施形態と同じである。したがって、以降、異なる工程について説明してゆく。
図15の第1のITO膜形成工程(ステップS32)では、図16(a)に示すように、対向基板20の基材20aに、成膜用マスクM1を所定の位置で重ね合わせて真空蒸着法あるいはスッパタ法によりITO膜を成膜する。成膜用マスクM1は画素領域Eを含む第3領域E3に対応したマスク部M11と、第3領域E3を囲む第4領域E4に対応した開口部OP1とを有している。したがって、図16(b)に示すように、見切り部21と平坦化層22とが形成された基材20a上において、第4領域E4に対応する部分に第1のITO膜23aを形成することができる。そして、ステップS33へ進む。
図15の第2のITO膜形成工程(ステップS33)では、図16(c)に示すように、第1のITO膜23aが形成された基材20aに、成膜用マスクM2を所定の位置で重ね合わせて真空蒸着法によりITO膜を成膜する。成膜用マスクM2は画素領域Eを含む第3領域E3に対応した開口部OP2を有している。したがって、図16(d)及び(e)に示すように、見切り部21と平坦化層22とが形成された基材20a上において、第3領域E3に対応する部分に第2のITO膜23bを形成することができる。これにより、第1のITO膜23aと第2のITO膜23bとからなる共通電極23が形成された。
本実施形態の液晶装置の製造方法では、ステップS32における第1のITO膜23aの形成条件とステップS33における第2のITO膜23bの成膜条件を異ならせている。ITO膜を真空蒸着法やスパッタ法を用いて成膜する際にチャンバー内に導入される酸素ガス流量を変えることで、成膜後のITO膜の表面の粗さを変えることができる。チャンバー内に導入される酸素ガス流量が少ないほどITO膜の表面の粗さが大きく(荒く)なる。具体的には、ステップS32では真空蒸着法により酸素ガス流量を0sccmとして第1のITO膜23aを成膜した。AFM法で計測した第1のITO膜23aの平均表面粗さ(Ra)はおよそ10.5nmであった。これに対して、ステップS33では真空蒸着法により酸素ガス流量を3sccmとして第2のITO膜23bを成膜した。同じくAFM法で計測した第2のITO膜23bの平均表面粗さ(Ra)はおよそ2,2nmであった。そして、ステップS34へ進む。
図15の無機配向膜形成工程(ステップS34)では、素子基板10側において基材10aの第1領域E1と第2領域E2に亘って無機配向膜18を斜方蒸着により形成した。また、対向基板20側において基材20aの共通電極23を覆うように、第3領域E3と第4領域E4に亘って無機配向膜24を斜方蒸着により形成した。第4領域E4の無機配向膜24の表面には、下層の第1のITO膜23aの表面状態を反映した凹凸が生じた。つまり、第4領域E4の無機配向膜24の表面の粗さがおよそ10nmとなった。
上記第4実施形態の効果は、以下の通りである。
(8)共通電極23の成膜条件を部分的に変えることにより表面の粗さを異ならせて、迂回進入経路45の対向基板20側の無機配向膜24の表面の粗さを、画素領域Eよりも大きくした。これにより、液晶注入時に液晶中に含まれた不純物を無機配向膜18,24によって効率よくトラップすること可能な液晶装置を提供できる。言い換えれば、迂回進入経路45の無機配向膜18,24の双方の表面を荒さなくても片方の無機配向膜24の表面を荒すことで不純物を効率よくトラップできる。
(9)共通電極23を構成する第1のITO膜23aと第2のITO膜23bの成膜条件を異ならせて、第1のITO膜23aの表面の粗さを第2のITO膜23bよりも大きくするので、Arイオンビームの照射やエッチングなどの表面処理によって表面を荒す場合に比べて、表面処理による残渣の影響を受け難い。
(第5実施形態)
<電子機器>
次に、本実施形態の電子機器について、図17を参照して説明する。図17は電子機器としての投射型表示装置の構成を示す概略図である。
図17に示すように、本実施形態の電子機器としての投射型表示装置1000は、システム光軸Lに沿って配置された偏光照明装置1100と、光分離素子としての2つのダイクロイックミラー1104,1105と、3つの反射ミラー1106,1107,1108と、5つのリレーレンズ1201,1202,1203,1204,1205と、3つの光変調手段としての透過型の液晶ライトバルブ1210,1220,1230と、光合成素子としてのクロスダイクロイックプリズム1206と、投射レンズ1207とを備えている。
偏光照明装置1100は、超高圧水銀灯やハロゲンランプなどの白色光源からなる光源としてのランプユニット1101と、インテグレーターレンズ1102と、偏光変換素子1103とから概略構成されている。
ダイクロイックミラー1104は、偏光照明装置1100から射出された偏光光束のうち、赤色光(R)を反射させ、緑色光(G)と青色光(B)とを透過させる。もう1つのダイクロイックミラー1105は、ダイクロイックミラー1104を透過した緑色光(G)を反射させ、青色光(B)を透過させる。
ダイクロイックミラー1104で反射した赤色光(R)は、反射ミラー1106で反射した後にリレーレンズ1205を経由して液晶ライトバルブ1210に入射する。
ダイクロイックミラー1105で反射した緑色光(G)は、リレーレンズ1204を経由して液晶ライトバルブ1220に入射する。
ダイクロイックミラー1105を透過した青色光(B)は、3つのリレーレンズ1201,1202,1203と2つの反射ミラー1107,1108とからなる導光系を経由して液晶ライトバルブ1230に入射する。
液晶ライトバルブ1210,1220,1230は、クロスダイクロイックプリズム1206の色光ごとの入射面に対してそれぞれ対向配置されている。液晶ライトバルブ1210,1220,1230に入射した色光は、映像情報(映像信号)に基づいて変調されクロスダイクロイックプリズム1206に向けて射出される。このプリズムは、4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が合成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ1207によってスクリーン1300上に投射され、画像が拡大されて表示される。
液晶ライトバルブ1210は、上述した液晶装置100が適用されたものである。液晶装置100は、色光の入射側と射出側とにおいてクロスニコルに配置された一対の偏光素子の間に隙間を置いて配置されている。他の液晶ライトバルブ1220,1230も同様である。
このような投射型表示装置1000によれば、液晶ライトバルブ1210,1220,1230として、製造工程中で液晶に含まれる不純物が画素領域Eに拡散しないように迂回進入経路45においてトラップされた液晶装置100を用いているので、優れた表示品質と高い耐光性とが実現されている。
本発明は、上記した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置及び該液晶装置の製造方法ならびに該液晶装置を適用する電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。上記実施形態以外にも様々な変形例が考えられる。以下、変形例を挙げて説明する。
(変形例1)迂回進入経路45の無機配向膜の表面の粗さを画素領域Eよりも大きくする構成は、画素領域Eを含む第1領域E1(第3領域E3)を囲む第2領域E2(第4領域E4)の全体に亘って行われることに限定されない。図18(a)〜(c)は変形例の無機配向膜を示す概略平面図である。詳しくは、対向基板20側の無機配向膜24の変形例を示すものである。
例えば、図18(a)に示すように、第3領域E3のX方向に沿った2つの長辺部のうちの一方と、Y方向に沿った2つの短辺部に接する部分、すなわち第3領域E3を3方向から囲む領域E5の無機配向膜24に表面を荒す表面処理を施してもよい。
また、図18(b)に示すように、第3領域E3のY方向に沿った2つの短辺部に接する領域E6の無機配向膜24に表面を荒す表面処理を施してもよい。
また、例えば、図18(c)に示すように、第3領域E3のX方向に沿った2つの長辺部のうち一方に接する領域E7の無機配向膜24に表面処理を施してよい。
前述したように、部分的に表面を荒す表面処理の方法としては、Arイオンビームを照射する方法を採用できる。また、全面的に表面を荒したのちに、第3領域E3を覆って新たに無機配向膜を形成してもよい。
さらには、無機配向膜24の下層に位置する共通電極23において、上記領域E5,E6,E7のそれぞれの表面を荒す方法を用いてもよい。
また、前述したように第1シール部41の第1注入口42は、第3領域E3の長辺部に沿った部分に形成されているので、図18(a)や図18(c)のように無機配向膜24の表面の粗さが大きい領域を形成することで、液晶50aの注入開始時点から不純物を迂回進入経路45においてトラップすることができる(図7参照)。言い換えれば、迂回進入経路45の無機配向膜18,24において表面の粗さが大きい部分は第1注入口42に近い側に配置されていることが好ましい。
(変形例2)図18(a)〜(c)では、対向基板20側における無機配向膜24の表面の粗さについて示したが、迂回進入経路45において表面の粗さが大きい無機配向膜を設ける構成は、一対の基板の両方において実施することが好ましい。その一方で、液晶装置の製造における生産性を考慮すると、一対の基板のうち一方の基板において迂回進入経路45の無機配向膜に表面の粗さが大きい部分を形成しても、液晶中の不純物をトラップできる。その際には、上記実施形態でも述べたように、液晶注入時に下方に配置される基板側の迂回進入経路45の無機配向膜において表面の粗さが大きい部分を形成することが望ましい。
(変形例3)上記第3実施形態及び上記第4実施形態のように、迂回進入経路45に設けられた電極の表面の粗さが画素領域Eよりも大きくなるようにする液晶装置の製造方法は、対向基板20側の共通電極23を対象とすることに限定されない。例えば、素子基板10側において画素領域Eには画素電極15が存在し、迂回進入経路45に画素電極15よりも表面の粗さが大きいダミー電極を設けてもよい。
(変形例4)上記実施形態の液晶装置100では、第1シール部41の第1注入口42を対向基板20の2つの長辺のうちの一方に沿った位置に設けたが、これに限定されない。例えば、対向基板20の2つの短辺のうちの一方に沿った位置に第1注入口42を設け、他方に第2シール部43の第2注入口44を設けてもよい。液晶の迂回進入経路45が実質的に長くなるように第1注入口42、第2注入口44を設ければ、不純物のトラップ性能を向上させることができる。
(変形例5)上記実施形態の迂回進入経路45を適用可能な液晶装置は、透過型に限定されない。光反射性を有する画素電極15を備えた反射型や半透過反射型の液晶装置にも適用可能である。
(変形例6)液晶装置100を適用可能な電子機器は、上記実施形態の投射型表示装置1000に限定されない。例えば、投射型のHUD(ヘッドアップディスプレイ)や直視型のHMD(ヘッドマウントディプレイ)、または電子ブック、パーソナルコンピューター、デジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダー型あるいはモニター直視型のビデオレコーダー、カーナビゲーションシステム、電子手帳、POSなどの情報端末機器の表示部として好適に用いることができる。
10…素子基板、18,24…無機配向膜、18a1,24a1…第1無機配向膜としての無機配向膜、18a2,24a2…第2無機配向膜としての無機配向膜、20…対向基板、23…共通電極、23a…第1のITO膜、23b…第2のITO膜、41…第1シール部、42…第1注入口、43…第2シール部、44…第2注入口、45…迂回進入経路、100…液晶装置、1000…電子機器としての投射型表示装置、E…画素領域。

Claims (10)

  1. 一対の基板と、
    対向配置された前記一対の基板を接着し、前記一対の基板の隙間に液晶を注入するための第1注入口が設けられた第1シール部と、
    前記第1シール部よりも内側に配置され、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において画素領域に連通する第2注入口を有して前記液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部と、
    前記一対の基板のそれぞれに設けられた無機配向膜と、を有し、
    前記一対の基板の少なくとも一方において、前記迂回進入経路の前記無機配向膜は、前記画素領域における前記無機配向膜よりも表面の粗さが大きい部分を有することを特徴とする液晶装置。
  2. 前記迂回進入経路のうち前記第1注入口に近い側に前記無機配向膜の表面の粗さが大きい部分を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  3. 前記迂回進入経路の前記無機配向膜における表面の粗さが大きい部分には、複数の微孔が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
  4. 前記画素領域と前記迂回進入経路とに亘って配置された電極を有し、
    前記電極は前記無機配向膜によって被覆され、
    前記迂回進入経路の前記電極は、前記画素領域の前記電極よりも表面の粗さが大きい部分を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
  5. 一対の基板の少なくとも一方において、画素領域と前記画素領域の周辺に亘って無機配向膜を形成する工程と、
    前記画素領域の周辺の無機配向膜の少なくとも一部の表面を荒す表面処理工程と、
    前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、
    前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、
    前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、
    前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
  6. 一対の基板の少なくとも一方において、画素領域と前記画素領域の周辺に第1無機配向膜を形成する工程と、
    前記第1無機配向膜の表面を荒す表面処理工程と、
    前記第1無機配向膜に積層して、少なくとも前記画素領域に第2無機配向膜を形成する工程と、
    前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、
    前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、
    前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、
    前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
  7. 一対の基板の少なくとも一方において、画素領域と前記画素領域の周辺に電極を形成する工程と、
    前記画素領域の周辺の前記電極の少なくとも一部の表面を荒す表面処理工程と、
    前記電極を覆って無機配向膜を形成する工程と、
    前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、
    前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、
    前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、
    前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
  8. 前記表面処理工程は、被処理部にイオンビームを照射して複数の微孔を形成することを特徴とする請求項5乃至7のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
  9. 一対の基板の少なくとも一方において、画素領域をマスキングして前記画素領域の周辺に第1の成膜条件で第1のITO膜を成膜する工程と、
    前記第1のITO膜が形成された領域をマスキングして、前記画素領域に前記第1の成膜条件よりも酸素ガス流量が多い条件で第2のITO膜を成膜する工程と、
    前記第1のITO膜及び前記第2のITO膜を覆って無機配向膜を形成する工程と、
    前記一対の基板うちいずれか一方に、第1注入口を有する第1シール部を形成する工程と、
    前記第1シール部よりも内側であって、前記第1シール部の前記第1注入口が設けられた辺部以外の辺部側において前記画素領域に連通する第2注入口を有して液晶の迂回進入経路を前記第1シール部との間で構成する第2シール部を形成する工程と、
    前記一対の基板を対向配置し、前記第1シール部と前記第2シール部とにより接着する工程と、
    前記第1注入口から前記迂回進入経路を経由して前記一対の基板の隙間に前記液晶を注入する液晶注入工程と、を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
  10. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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