JP6698403B2 - モータの駆動回路、プリンタ装置 - Google Patents

モータの駆動回路、プリンタ装置 Download PDF

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Description

本発明は、ブラシレスモータの制御技術に関する。
ブラシレスモータがさまざまな用途で使用される。図1は、ブラシレスモータ(単にモータという)の駆動システムの制御ブロック図である。駆動システム600は、モータ602およびそれを駆動する駆動回路604を備える。
駆動回路604は、速度検出器606、誤差検出器608、速度コントローラ610、駆動電圧コントローラ612を含む。速度検出器606は、モータ602の回転数の検出値ωFBを生成する。誤差検出器608は、回転数の検出値ωFBとその目標値ωREFの誤差(偏差)にもとづく誤差信号δωを生成する。速度コントローラ610は、誤差信号δωに応じた指令値VCTRLを生成する。駆動電圧コントローラ612は、指令値VCTRLに応じた駆動電圧Vmをモータ602に印加する。制御システム600においては、回転数の検出値ωFBが目標値ωREFに近づくように、駆動電圧Vmがフィードバック制御され、外乱の影響が除去される。
特開2001−186790号公報
本発明者は、図1の制御システム600の起動シーケンスについて検討した結果、以下の課題を認識するに至った。図2は、図1の制御システム600において、モータ602を停止状態ω=0から目標回転数ωREFに向けて起動するときの動作波形図である。回転数ωは、目標値ωREFに向かって緩やかに収束していく。
モータのトルクに寄与するコイル電流Imは、以下の式で与えられる。
Im=(Vm−Kω)/(sL+Ra)
Lはコイルのインダクタンスであり、Raはモータの内部抵抗である。Kωは、逆起電力を表し、回転数ωに比例する。
図2に示す加速過程においては、回転数ωはゼロから目標値ωREFに向かって増加していくため、モータの起動直後と、その後では、Kωの項が大きく変化する。つまり安定ループゲインは、回転数ωに応じて変化する。一方、図1の制御システム600では、ループゲインは一定であり、これにより図2に示すように、駆動電圧Vmが振動する。駆動電圧Vmの振動が可聴周波数で発生すると、騒音(音響的なノイズ)が発生する。
本発明はかかる課題に鑑みてなされたものであり、そのある態様の例示的な目的のひとつは、起動時の騒音を抑制あるいは低減可能なモータ駆動回路の提供にある。
本発明のある態様は、モータを駆動するモータ駆動回路に関する。モータ駆動回路は、モータの回転数の検出値が目標値に近づくようにフィードバック制御により制御指令値を調節するフィードバックコントローラと、モータをオープンループで制御したときに、定常状態においてモータの回転数を目標値に安定しうる一定の起動指令値を生成するオープンループコントローラと、(ii)第1モードにおいて制御指令値に応じた駆動電圧をモータに印加するとともに、(ii)第2モードにおいて起動指令値に応じた駆動電圧をモータに印加する駆動電圧コントローラと、を備える。駆動電圧コントローラは、モータの停止状態からモータを起動する際に、第2モードにセットされる。
第2モードの期間、駆動電圧は起動指令に応じた実質的に一定値に保たれる。よって駆動電圧にはフィードバックによる振動が生じないため、起動時の騒音を抑制あるいは低減できる。
オープンループコントローラは、モータの回転数ωの応答波形が、
ω=Vm/Kt×{1−e(−t/τ)
で表されるとき、
Vm=Kt×ωREF
を満たす駆動電圧Vmが得られるように、起動指令値を生成してもよい。ただしKtはモータに固有のパラメータである。
モータは一次遅れの系として表され、駆動電圧を一定に保ったとき、モータの回転数は、一次遅れ系のステップ応答にしたがって増加していく。この態様によれば、回転数ωを、目標値ωREFに向かって緩やかに上昇させることができる。
駆動電圧コントローラは、モータの回転数の目標値が、第1値から第2値に変更されたとき、第2モードにセットされてもよい。停止からの起動のみでなく、回転数の変更時においても、騒音を低減あるいは抑制できる。
駆動電圧コントローラは、モータを起動開始後、所定時間の経過後に第1モードにセットされてもよい。駆動電圧コントローラは、モータを起動開始後、回転数の検出値と目標値の誤差が許容値より小さくなると、第1モードにセットされてもよい。
モータは、三相モータであってもよい。駆動電圧コントローラは、120度通電方式と180度通電方式が切り替え可能であり、モータの起動開始後、第1期間において第2モードにセットされ、120度通電方式でモータを駆動し、それに続く第2期間において第2モードにセットされ、180度通電方式でモータを駆動し、第2期間につづく第3期間において、第1モードにセットされ、180度通電方式でモータを駆動し、オープンループコントローラは、第1期間の間、起動指令値を、モータをオープンループで制御したときに、定常状態においてモータの回転数を目標値より低いサブ目標値に安定しうる値にセットし、第2期間の間、起動指令値を、モータをオープンループで制御したときに、定常状態においてモータの回転数を目標値に安定しうる値にセットしてもよい。
第1期間は、起動開始から所定時間の経過するまでの期間であってもよい。第1期間は、起動開始から、回転数の検出値が所定値に達するまでの期間であってもよい。
フィードバックコントローラは、回転数の検出値と目標値の誤差に応じた誤差信号を生成する誤差検出器と、誤差信号に応じた制御指令値を生成する速度コントローラと、を備えてもよい。
駆動電圧コントローラは、モータをPWM(Pulse Width Modulation)駆動し、制御指令値および起動指令値は、PWM駆動のデューティ指令値であってもよい。
誤差検出器は、モータの回転数に応じた周波数を有する内部クロック信号と、目標値に応じた周波数を有する入力クロックを受け、誤差信号として、それらの周波数の誤差に応じた加速信号および減速信号を生成する速度ディスクリミネータを含んでもよい。速度コントローラは、加速信号および減速信号を積分する積分アンプを含んでもよい。
モータは、FG着磁されてもよい。モータから得られるFG信号を周波数逓倍することにより、内部クロックが生成されてもよい。
駆動電圧コントローラは、制御指令値または起動指令値に応じたデューティ比を有するパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調器と、パルス幅変調信号に応じてモータに駆動電圧を印加するインバータと、を含んでもよい。
駆動回路は、1つの半導体基板に一体集積化されてもよい。
「一体集積化」とは、回路の構成要素のすべてが半導体基板上に形成される場合や、回路の主要構成要素が一体集積化される場合が含まれ、回路定数の調節用に一部の抵抗やキャパシタなどが半導体基板の外部に設けられていてもよい。
回路を1つのチップ上に集積化することにより、回路面積を削減することができるとともに、回路素子の特性を均一に保つことができる。
本発明の別の態様は、プリンタ装置に関する。プリンタ装置は、三相モータと、三相モータを駆動する上述のいずれかのモータ駆動回路と、三相モータが取り付けられる紙送り機構と、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、起動時の騒音を抑制あるいは低減できる。
三相ブラシレスモータの駆動システムの制御ブロック図である。 図1の制御システムにおいて、モータを停止状態ω=0から目標回転数ωREFに向けて起動するときの動作波形図である。 実施の形態に係る駆動回路を備える制御システムのブロック図である。 図3の駆動回路の動作波形図である。 図3の駆動回路の別の動作波形図である。 三相モータを駆動する駆動回路を備える制御システムの回路図である。 120度通電方式を示す波形図である。 120度通電方式と180度通電方式を切りかえてモータを駆動する駆動回路の回路図である。 180度通電方式を示す波形図である。 図6あるいは図8の駆動回路を備えるプリンタ装置の斜視図である。
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合のほか、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
図3は、実施の形態に係る駆動回路100を備える制御システム200のブロック図である。制御システム200は、モータ202および駆動回路100を備える。
駆動回路100は、モータ202の回転数の目標値ωREFを受け、モータ202の回転数を目標値ωREFに安定化する。駆動回路100は、ひとつの半導体基板に一体集積化された機能IC(Integrated Circuit)であってもよい。駆動回路100は、フィードバックコントローラ102、オープンループコントローラ104、駆動電圧コントローラ112を備える。
フィードバックコントローラ102は、モータ202の回転数ωの検出値ωFBが目標値ωREFに近づくようにフィードバック制御により制御指令値VCTRLを調節する。たとえばフィードバックコントローラ102は、速度検出器106、誤差検出器108、速度コントローラ110を含む。速度検出器106は、モータ202の回転数をモニタし、その検出値ωFBを生成する。
速度検出器106は、FG着磁されたモータからのFG信号をモニタしてもよいし、ホール素子からのホール信号をモニタしてもよいし、ロータリーエンコーダからの信号をモニタしてもよい。速度検出器106の一部あるいは全部は、駆動回路100のICの外部に設けられてもよい。誤差検出器108は、回転数の検出値ωFBと目標値ωREFの誤差に応じた誤差信号δωを生成する。速度コントローラ110は、誤差信号δωに応じた制御指令値VCTRLを生成する。
オープンループコントローラ104は、モータ202をオープンループで制御したときに、定常状態においてモータ202の回転数を目標値ωREFに安定しうる一定の起動指令値VSTARTを生成する。
駆動電圧コントローラ112は、(ii)第1モードφ1において制御指令値VCTRLに応じた駆動電圧Vmをモータ202に印加するとともに、(ii)第2モードφ2において起動指令値VSTARTに応じた駆動電圧Vmをモータ202に印加する。
駆動電圧コントローラ112は、モータ202の停止状態からモータ202を起動する際に、第2モードφ2にセットされ、オープンループでモータ202の回転数を上昇させる。そしてモータ202の回転数をある程度上昇させた後に、駆動電圧コントローラ112は第1モードφ1にセットされ、フィードバック制御によりモータ202の回転数を目標値ωREFに近づける。
なお、駆動電圧コントローラ112が第2モードφ2にセットされる間も、フィードバックコントローラ102を動作させておき、制御指令値VCTRLを生成しておくことが望ましい。
モータ202が一次遅れシステムとして表されるとき、一定の駆動電圧Vmを与えたときのモータ202の回転数ωは、ステップ応答に対応する以下の式(1)にしたがって上昇する。
ω=Vm/Kt×{1−e(−t/τ)} …(1)
Ktは、モータ202および駆動方式に固有のパラメータである。
オープンループコントローラ104は、式(2)を満たす駆動電圧Vmが得られるように、起動指令値VSTARTを生成してもよい。
Vm=Kt×ωREF …(2)
駆動電圧コントローラ112が生成する駆動電圧Vmと、制御指令値VCTRL(あるいは起動指令値VSTART)の間に、以下の関係式(3)が成り立つとする。
Vm=α×VSTART …(3)
αは比例定数である。この場合、オープンループコントローラ104は、式(4)にもとづいて起動指令値VSTARTを生成すればよい。
START=Vm/α=Kt×ωREF/α …(4)
以上が駆動回路100の構成である。続いてその動作を説明する。図4は、図3の駆動回路100の動作波形図である。時刻t0より前にモータ202は停止しており回転数ωはゼロである。時刻t0に、目標回転数ωREFが非ゼロのある値にセットされる。オープンループコントローラ104は、目標回転数ωREFに応じた起動指令値VSTARTを生成する。駆動電圧コントローラ112は、時刻t0から第1期間Tの間、第2モードφ2にセットされ、オープンループでモータ202を駆動する。第1期間Tにおいて、モータ202の回転数は、式(1)にしたがって上昇する。
モータの回転数が安定すると、時刻t2に駆動電圧コントローラ112は、第1モードにセットされる。時刻t2以降の第2期間Tにおいて、駆動電圧コントローラ112は制御指令値VCTRLにもとづいて、モータ202の回転数を安定化する。
第1期間Tの間、フィードバックコントローラ102は動作しており、回転数の検出値ωFBと目標値ωREFの誤差に応じた制御指令値VCTRLが生成されている。したがって時刻t1において、起動指令値VSTARTから制御指令値VCTRLは近い値をとることとなり、第2モードφ2から第1モードφ1へとシームレスに移行することができ、回転数ωがリンギングするのを防止できる。
なお駆動電圧コントローラ112は、モータ202を起動開始後、所定時間τの経過後に第1モードφ1にセットされてもよいし、モータ202を起動開始後、回転数の検出値ωFBと目標値ωREFの誤差が許容値より小さくなると、第1モードφ1にセットされてもよい。
以上が駆動回路100の動作である。このように実施の形態に係る駆動回路100によれば、モータ202を加速する第1期間Tにおいて、駆動電圧Vmは起動指令VSTARTに応じた実質的に一定値に保たれる。よって駆動電圧Vmにはフィードバックによる振動が生じないため、起動時の騒音を抑制あるいは低減できる。
続いて、起動シーケンスの変形例を説明する。
図4では、停止状態のモータを回転させる場合を説明したが、目標回転数ωREFを変更する際にも、第2モードφ2を利用することができる。すなわち駆動電圧コントローラ112は、モータ202の回転数の目標値ωREFが、第1値ωREF1から第2値ωREF2に変更されたとき、第2モードφ2にセットされる。オープンループコントローラ104は、変更後の第2値ωREF2にもとづいて、式(4)の起動指令値VSTARTを生成する。これにより、速度を変更する際にも、騒音を抑制、低減することができる。上述した図4の起動時のシーケンスは、ωREF1=0とした場合と把握することができる。
図5は、図3の駆動回路100の別の動作波形図である。ここでは、モータ202は、三相モータ202であり、駆動電圧コントローラ112は、矩形波通電(120度通電)方式と正弦波通電(180度通電)方式が切り替え可能となっている。
時刻t0より前にモータ202は停止しており回転数ωはゼロである。時刻t0に、目標回転数ωREFが非ゼロのある値(最終目標値ωREFという)にセットされる。モータ202の起動開始後、第1期間Tにおいて駆動電圧コントローラ112は第2モードφ2にセットされ、120度通電方式でモータ202を駆動する。それに続く第2期間Tにおいても引き続き第2モードφ2にセットされ、180度通電方式でモータ202を駆動する。第2期間Tにつづく第3期間Tにおいて、駆動電圧コントローラ112は第1モードφ1にセットされ、180度通電方式でモータ202を駆動する。
オープンループコントローラ104は、第1期間Tの間、起動指令値VSTARTを、モータ202をオープンループで制御したときに、定常状態においてモータ202の回転数を最終目標値ωREFより低いサブ目標値ωSUBに安定しうる値VSTART1にセットする。
START1=Vm/α=Kt(120°)×ωSUB/α
Kt(120°)は120度通電に対応するパラメータである。
またオープンループコントローラ104は、第2期間Tの間、起動指令値VSTARTを、モータ202をオープンループで制御したときに、定常状態においてモータ202の回転数を最終目標値ωREFに安定しうる値VSTART2にセットする。
START2=Vm/α=Kt(180°)×ωREF/α
第1期間Tは、起動開始から所定時間τの経過するまでの期間であってもよいし、起動開始から、回転数の検出値ωFBが所定値ωTHに達するまでの期間であってもよい。所定時間τあるいは所定値ωTHは、120度通電の波形と180度通電の波形との交点Pから求めることができる。
以上の起動シーケンスによれば、120度通電方式と180度通電方式を切り替え可能な駆動回路100においても、騒音を低減することができる。
本発明は、図3のブロック図や回路図として把握され、あるいは上述の説明から導かれるさまざまな装置、回路、方法に及ぶものであり、特定の構成に限定されるものではない。以下、本発明の範囲を狭めるためではなく、発明の本質や回路動作の理解を助け、またそれらを明確化するために、より具体的な構成例を説明する。
図6は、三相モータを駆動する駆動回路100aを備える制御システム200aの回路図である。制御システム200aは、駆動回路100a、ブラシレス三相モータ(単にモータという)202に加えて、ホール素子204〜208を備える。ホール素子204〜208はそれぞれ、モータ202のロータの位置に応じた周期的なホール信号S1〜S1を生成する。各ホール信号S1は、逆極性の一対の信号を含む。
駆動回路100aは、外部から、モータ202の目標回転数ωREFに応じた周波数を有する入力クロックCLKREFを受け、モータ202の回転数を、目標回転数ωREFに安定化する。
駆動電圧コントローラ112は、パルス幅変調器14、ロジック回路16、駆動段20を備える。駆動段20は、ロジック回路16からの制御信号S2にもとづいて、モータ202の三相のコイル(不図示)に駆動電圧S3〜S3を印加し、モータ202を駆動する。駆動段20は、三相インバータ22と、そのドライバ24を含む。
ホールコンパレータHCMP1は、U相のホール素子204からのホール信号S1を比較し、U相の矩形信号S5を生成する。同様にしてホールコンパレータHCMP2、HCMP3は、V相、W相の矩形信号S5V、S5Wを生成する。矩形信号S5〜S5は、モータ202のロータの位置を示しており、駆動電圧コントローラ112のロジック回路16に供給される。
駆動電圧コントローラ112は、120度通電方式によりモータ202を駆動する。ロジック回路16は、ホールコンパレータHCMP1〜HCMP3からの矩形信号S5にもとづいて、制御信号S2を生成し、駆動電流を供給するコイルを切り替えかえる(転流制御)。
駆動電圧コントローラ112は、モータ202をPWM(Pulse Width Modulation)駆動する。フィードバックコントローラ102からの制御指令値VCTRLおよびオープンループコントローラ104からの起動指令値VSTARTは、PWM駆動のデューティ指令値である。
パルス幅変調器14は、第1モードφ1において制御指令値VCTRLに、第2モードφ2において起動指令値VSTARTに応じたデューティ比を有するPWM信号SPWMを生成する。ロジック回路16は、インバータ22を構成するトランジスタがPWM信号SPWMに応じてスイッチングするように、制御信号S2を生成する。
フィードバックコントローラ102は、速度検出器106、誤差検出器108、速度コントローラ110を含む。誤差検出器108は、速度ディスクリミネータ76を含む。速度ディスクリミネータ76は、モータ202の実際の回転数に応じた周波数を有する内部クロック信号CLKINTと、目標値ωREFに応じた周波数を有する入力クロックCLKREFを受け、誤差信号δωとして、それらの周波数の誤差に応じた加速信号ACCおよび減速信号DECを生成する。
本実施の形態においてモータ202はFG着磁されており、モータ202の1回転当たり、所定数(たとえば45回)のFG信号が生成される。速度検出器106は、モータ202から得られるFG信号を周波数逓倍(たとえば1024倍)することにより、内部クロックCLKINTを生成する。速度検出器106は、FG信号を増幅するFGアンプと、FGアンプの出力を周波数逓倍するPLL回路とを含んでもよい。この場合、内部クロックCLKINTは、モータ202の実際の回転数に比例した周波数を有し、したがって回転数の検出値ωFBとなる。
速度コントローラ110は、加速信号ACCおよび減速信号DECを積分する積分アンプ110を含む。速度コントローラ110の出力は制御指令値VCTRLであり、その値はデューティ比の指令値となる。
オープンループコントローラ104は、入力クロックCLKREFを受け、その周波数に応じた起動指令値VSTARTを生成する。たとえばオープンループコントローラ104は、入力クロックCLKREFの周波数を測定する周波数カウンタと、周波数カウンタのカウント値をアナログ電圧(起動指令値VSTART)に変換するA/Dコンバータと、を含んでもよい。周波数カウンタのカウント速度や、A/Dコンバータの基準電圧を最適化することで、式(4)を満たす起動指令値VSTARTを生成することができる。なおオープンループコントローラ104の構成は特に限定されない。
シーケンサ30は、駆動電圧コントローラ112のモードを制御するためのモード設定信号S7を生成する。シーケンサ30は、アナログタイマ、デジタルタイマ、ステートマシンなどの組み合わせで構成することができるが、その構成は特に限定されない。
図7は、120度通電方式を示す波形図である。各相のインバータのハイサイドアームのゲート信号UH,VH,WHならびにローサイドアームのゲート信号UL,VL,WLは、矩形信号S5のエッジのタイミングで所定の順序でオン、オフが切り替えられ、それぞれは電気角で120度の間、オンを維持する。各相のハイサイドアームは、そのオン期間においてPWM制御されてもよい。
以上が駆動回路100aの構成である。この駆動回路100aによれば、三相モータ202を、低騒音で起動することができる。
図8は、120度通電方式と180度通電方式を切りかえてモータ202を駆動する駆動回路100bの回路図である。なお図8において、図6と共通の回路ブロックは省略可している。フィードバックコントローラ102bは、波形データ生成部12、セレクタ13、パルス幅変調器14および回転数検出回路50を備える。
180度通電方式では、駆動電圧S3〜S3を、正弦波に応じて変化させる。波形データ生成部12は、モータ202の回転数にあわせて、波形データSINU〜SINWを生成する。なお図8にはU相に関する構成のみが示されるが、V相、W相についても同様である。
波形データ生成部12は、波形メモリ60、読み出し部62を含む。波形メモリ60は、正規化された振幅を有する波形データSINUを保持する。波形データSINU〜SINWは同じであるから、波形メモリ60はU,V,W相で共有してもよい。波形データSINU〜SINWの形状は特に限定されず、公知の技術を用いればよい。
読み出し部62は、矩形信号S5〜S5と同期しながら、波形データSINUを、電気角60°を単位として読み出す。読み出し部62には回転数検出回路50からの回転数検出情報S6が入力される。回転数検出情報S6は、モータ202のロータが、所定の電気角(たとえば60度)回転するのに要する時間を示すデータであってもよい。回転数検出回路50は、矩形信号S5〜S5にもとづいて、回転数検出情報S6を生成してもよい。読み出し部62は、波形データSINUのうち電気角60°分のデータを、回転数検出情報S6が示す電気角60°の長さとなるように読み出す。
パルス幅変調器14は、波形データSINUに応じたデューティ比を有するPWM(パルス幅変調)信号SPWMUに変換する。たとえばパルス幅変調器14は、D/Aコンバータ66、オシレータ68、コンパレータ70を含む。D/Aコンバータ66は、読み出し部62から読み出された波形データSINUをアナログの波形信号VSINUに変換する。オシレータ68は、三角波あるいはのこぎり波の周期信号VOSCを生成する。コンパレータ70は、周期信号VOSCと波形信号VSINUを比較し、PWM信号SPWMUを生成する。なおパルス幅変調器14はデジタル回路で構成してもよい。
セレクタ13は、速度コントローラ110からの制御指令値VCTRLと、オープンループコントローラ104からの起動指令値VSTARTを受け、モード設定信号S7に応じた一方を選択する。セレクタ13の出力信号は、D/Aコンバータ66の基準電圧として与えられる。したがってD/Aコンバータ66の出力電圧VSINUは、波形データSINUに応じた波形を有し、かつその振幅が、制御指令値VCTRLもしくは起動指令値VSTART
に応じて変化する。
ロジック回路16は、PWM信号SPWMUと、矩形信号S5〜S5にもとづいて、U相のゲート信号UH,ULを生成する。V相、W相についても同様である。
図9は、180度通電方式を示す波形図である。ここでは波形データSINU〜SINWとして理想的な正弦波を示すが、その波形は変調方式(2相変調、3相変調)によって異なる。たとえば2相変調では、双コブの正弦波が用いられる場合がある。また正弦波に代えて、それを簡略化した台形波やステップ波が用いられる場合もある。
波形データSINU〜SINWそれぞれの周期は、ホール信号の周期と一致していなければならず、したがって波形データSINU〜SINWの生成には、現在のモータの回転数を示す回転数検出情報S6が必要となり、これは回転数検出回路50により生成されている。回転数検出回路50は、電気角で60度の時間を単位として、波形データSINU〜SINWの生成を行う。この場合、波形データ生成部12は、電気角60度の時間を、モータの回転数を示す回転数情報として取得し、回転数情報に応じた時間スケールで、波形データSINU〜SINWを生成する。
続いて駆動回路100の用途を説明する。図10は、図6あるいは図8の駆動回路100を備えるプリンタ装置300の斜視図である。プリンタ装置300は、紙304を給紙するための紙送り機構(シートフィーダともいう)302を備える。実施の形態に係る駆動回路100は、紙送り機構302を制御するためのモータ202の駆動に好適である。
以上、本発明について、実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例について説明する。
(第1変形例)
図6の駆動回路100aにおいて、積分アンプ78に代えて、チャージポンプ回路を設けてもよい。この場合、速度ディスクリミネータ76は、速度誤差に応じて加速パルスACC、減速パルスDECを生成する。チャージポンプ回路は、キャパシタと、加速パルスACCに応答してキャパシタを充電し、減速パルスDECに応じてキャパシタを放電する充放電回路と、を含みうる。キャパシタに生ずる電圧が、速度制御信号S9に対応する。
チャージポンプ回路より前段の速度ディスクリミネータ76、セレクタ64、FGアンプ72を駆動回路100aの外部に設けてもよい。すなわち駆動回路100aは、加速パルスACC、減速パルスDECを受ける端子を備えてもよい。
(第2変形例)
実施の形態ではホール素子204〜208を備える制御システム200について説明したが本発明はそれには限定されない。ホール素子は、U〜W相のいずれか1相のみに設けられてもよい。
あるいはホール素子204〜208を省略したセンサレス方式の制御システム200にも本発明は適用可能である。この場合、ホール素子204〜208の代わりに、コイルの端子電圧と中点電圧の比較にもとづきゼロクロス点を検出する逆起電力(BEMF)検出用のBEMFコンパレータを設ければよい。
(第3変形例)
回転数検出回路50による回転数の検出方法は特に限定されない。図7に示したようにモータ202がFG着磁され、FG信号が生成される場合、回転数検出回路50は、FG信号にもとづいて回転数検出情報S6を生成してもよい。あるいは駆動回路100が、逆起電力にもとづくゼロクロスを検出するためのコンパレータを備える場合、BEMFコンパレータの出力の周期にもとづいて回転数検出情報S6を生成してもよい。
(第4変形例)
モータ202は単相モータであってもよい。また実施の形態では、図6を参照して、モータ202をPMW駆動する駆動回路100aを説明したが、本発明はそれに限定されず、モータ202をリニア駆動してもよい。
(第5変形例)
実施の形態では、120度通電方式から180度通電方式への切りかえを説明したが本発明はそれに限定されない。たとえば、正弦波通電方式として、150度通電方式を採用してもよい。
(第6変形例)
モータ202の種類は特に限定されず、冷却装置に用いられるファンモータでもよい。
実施の形態にもとづき、具体的な語句を用いて本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示しているにすぎず、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が認められる。
100…駆動回路、102…フィードバックコントローラ、104…オープンループコントローラ、106…速度検出器、108…誤差検出器、110…速度コントローラ、112…駆動電圧コントローラ、200…制御システム、202…モータ、204,206,208…ホール素子、10…制御信号発生器、12…波形データ生成部、13…セレクタ、14…パルス幅変調器、16…ロジック回路、20…駆動段、22…インバータ、24…ドライバ、30…シーケンサ、50…回転数検出回路、HCMP…ホールコンパレータ、S1…ホール信号、S2…制御信号、S3…駆動電圧、S5…矩形信号、S6…回転数検出情報、S7…モード設定信号、S8…パルス信号、S9…速度制御信号、60…波形メモリ、62…読み出し部、64…セレクタ、66…D/Aコンバータ、68…オシレータ、70…コンパレータ、76…速度ディスクリミネータ、78…積分アンプ、300…プリンタ装置、302…紙送り機構、304…紙。

Claims (14)

  1. モータを駆動するモータ駆動回路であって、
    前記モータの回転数の検出値が目標値に近づくようにフィードバック制御により制御指令値を調節するフィードバックコントローラと、
    前記モータをオープンループで制御したときに、定常状態において前記モータの回転数を前記目標値に安定しうる一定の起動指令値を生成するオープンループコントローラと、
    (ii)第1モードにおいて前記制御指令値に応じた駆動電圧を前記モータに印加するとともに、(ii)第2モードにおいて前記起動指令値に応じた駆動電圧を前記モータに印加する駆動電圧コントローラと、
    を備え、
    前記駆動電圧コントローラは、(i)前記モータの停止状態から前記モータを起動するときおよび(ii)前記モータの回転数の目標値が、第1値から第2値に変更されたときに、前記第2モードにセットされることを特徴とするモータ駆動回路。
  2. 前記オープンループコントローラは、固有のパラメータKtを用いて、前記モータの回転数ωの応答波形が、
    ω=Vm/Kt×{1−e(−t/τ)
    で表されるとき、
    Vm=Kt×ωREF
    を満たす駆動電圧Vmが得られるように、前記起動指令値を生成することを特徴とする請求項1に記載のモータ駆動回路。
  3. 前記駆動電圧コントローラは、前記モータを起動開始後、所定時間の経過後に前記第1モードにセットされることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ駆動回路。
  4. 前記駆動電圧コントローラは、前記モータを起動開始後、前記回転数の検出値と前記目標値の誤差が許容値より小さくなると、前記第1モードにセットされることを特徴とする請求項1または2に記載のモータ駆動回路。
  5. 前記モータは、三相モータであり、
    前記駆動電圧コントローラは、120度通電方式と180度通電方式または150度通電方式が切り替え可能であり、前記モータの起動開始後、第1期間において前記第2モードにセットされ、120度通電方式で前記モータを駆動し、それに続く第2期間において前記第2モードにセットされ、180度通電方式または150度通電方式で前記モータを駆動し、前記第2期間につづく第3期間において、前記第1モードにセットされ、180度通電方式または150度通電方式で前記モータを駆動し、
    前記オープンループコントローラは、
    前記第1期間の間、前記起動指令値を、前記モータをオープンループで制御したときに、定常状態において前記モータの回転数を前記目標値より低いサブ目標値に安定しうる値にセットし、
    前記第2期間の間、前記起動指令値を、前記モータをオープンループで制御したときに、定常状態において前記モータの回転数を前記目標値に安定しうる値にセットすることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のモータ駆動回路。
  6. 前記第1期間は、起動開始から所定時間の経過するまでの期間であることを特徴とする請求項に記載のモータ駆動回路。
  7. 前記第1期間は、起動開始から、前記回転数の検出値が所定値に達するまでの期間であることを特徴とする請求項に記載のモータ駆動回路。
  8. 前記フィードバックコントローラは、
    前記回転数の検出値と前記目標値の誤差に応じた誤差信号を生成する誤差検出器と、
    前記誤差信号に応じた前記制御指令値を生成する速度コントローラと、
    を備えることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のモータ駆動回路。
  9. 前記駆動電圧コントローラは、前記モータをPWM(Pulse Width Modulation)駆動し、
    前記制御指令値および前記起動指令値は、PWM駆動のデューティ指令値であることを特徴とする請求項1からのいずれかに記載のモータ駆動回路。
  10. 前記誤差検出器は、前記モータの回転数に応じた周波数を有する内部クロック信号と、前記目標値に応じた周波数を有する入力クロックを受け、前記誤差信号として、それらの周波数の誤差に応じた加速信号および減速信号を生成する速度ディスクリミネータを含み、
    前記速度コントローラは、前記加速信号および減速信号を積分する積分アンプを含むことを特徴とする請求項に記載のモータ駆動回路。
  11. 前記モータは、FG着磁されており、前記モータから得られるFG信号を周波数逓倍することにより、前記内部クロック信号が生成されることを特徴とする請求項10に記載のモータ駆動回路。
  12. 前記駆動電圧コントローラは、
    前記制御指令値または前記起動指令値に応じたデューティ比を有するパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調器と、
    前記パルス幅変調信号に応じて前記モータに駆動電圧を印加するインバータと、
    を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれかに記載のモータ駆動回路。
  13. 1つの半導体基板に一体集積化されることを特徴とする請求項1から12のいずれかに記載のモータ駆動回路。
  14. 三相モータと、
    前記三相モータを駆動する請求項1から13のいずれかに記載のモータ駆動回路と、
    前記三相モータが取り付けられる紙送り機構と、
    を備えることを特徴とするプリンタ装置。
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