JP6698282B2 - フィルムの製造方法、フィルムの製造装置、及び一軸延伸フィルム - Google Patents

フィルムの製造方法、フィルムの製造装置、及び一軸延伸フィルム Download PDF

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Description

本発明は、フィルムの製造方法、フィルムの製造装置、及び一軸延伸フィルムに関する。
偏光子を保護するための偏光子保護フィルムや、液晶表示装置用のフィルム基板等に代表される光学フィルムには、機械的強度、外観、透明性に優れ、位相差精度及び厚み精度が高いことが要求される。
このようなフィルムの製造方法としては、溶融押出法等で成形し得られたフィルム原反を二軸延伸することで上記フィルムを得る製造方法が挙げられる。この場合の二軸延伸としては、縦横の逐次延伸からなる逐次二軸延伸が一般的である。ここで、逐次二軸延伸における一軸目の縦延伸の方法として、ロール縦延伸法が用いられる。フィルムを近接した低周速ロール及び高周速ロールによって所定の温度に加熱しながら進行方向に延伸する方法であるロール延伸により、フィルムに傷なく外観美麗なフィルムを容易に製造する方法が報告されている(特許文献1〜2を参照)。
特開平11−170353 特開2008−307888
しかしながら、本発明者の検討によれば、延伸の際ネックインが生じることで、フィルムの端部が中央部に比べ厚くなり、幅方向の厚み精度が悪くなる問題が生じた。特に、高倍率の場合にこの傾向は顕著になり、倍率2.0倍以上では、厚み薄い中央部が搬送ロールに接触せずに浮きが生じてしまい、結果として中央部に顕著なしわが発生する問題があった。
本発明は、上記現状に鑑み、ロール縦延伸時等の一軸方向への延伸時に、上記一軸方向に対する垂直方向(以下、幅方向ともいう。)における厚みむらが小さく、厚みむらに起因するしわの生じにくいフィルムを得ることを目的とする。
そこで、本発明者が鋭意検討した結果、本発明に至った。即ち、本発明は、以下のものを提供する。
(i) 熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
前記延伸工程において、前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体におけるフィルム弾性率を低下させた後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部におけるフィルム弾性率を更に低下させ、
前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であることを特徴とするフィルムの製造方法。
(ii) 熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
前記延伸工程において、前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとした後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとし、
前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であり、
前記温度Tc及びTeは、下記式(1):
Te−Tc>0℃ (1)
を満たすことを特徴とするフィルムの製造方法。
(iii) 前記延伸工程における延伸は、前記一軸方向に前記原反フィルムを搬送しながら行い、
前記フィルム幅全体を加熱する第1加熱手段のフィルム搬送方向下流側に、前記フィルム周縁部を加熱する第2加熱手段を配置することを特徴とする(ii)に記載のフィルムの製造方法。
(iv) 前記フィルム幅全体の加熱と前記フィルム周縁部の加熱を、輻射加熱装置によって行うことを特徴とする(ii)又は(iii)に記載のフィルムの製造方法。
(v) 延伸倍率が1.1倍以上3.0倍以下である(i)〜(iv)のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
(vi) 前記延伸工程における延伸は、前記一軸方向に離間して配置された一対の挟持部で前記原反フィルムを挟持しながら行い、
前記原反フィルムの幅をw、前記一対の挟持部間の距離をLとしたとき、L/wが0.1以上2.0以下であることを特徴とする(i)〜(v)のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
(vii) 前記原反フィルムの幅が900mm以上2000mm以下であることを特徴とする(i)〜(vi)のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
(viii) 熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸手段と、
前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体におけるフィルム弾性率を低下させる第1弾性率低下手段と、
第1弾性率低下手段による弾性率低下の後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部におけるフィルム弾性率を更に低下させる第2弾性率低下手段と、
を備えるフィルムの製造装置であって、
前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であることを特徴とするフィルムの製造装置。
(ix) 熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸手段と、
前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとする第1加熱手段と、
第1加熱手段による加熱の後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとする第2加熱手段と、
を備えるフィルムの製造装置であって、
前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であり、
前記温度Tc及びTeは、下記式(1):
Te−Tc>0℃ (1)
を満たすことを特徴とするフィルムの製造装置。
(x) 熱可塑性樹脂を含む一軸延伸フィルムであって、延伸方向に対する垂直方向のフィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%の位置におけるフィルム厚みと、前記フィルム幅中央におけるフィルム厚みとの差の平均値が10.0μm以下であることを特徴とする一軸延伸フィルム。
本発明によれば、幅方向における厚み精度が良好で、しわの生じにくい外観美麗なフィルムの製造方法を提供することができる。本発明の製造方法により、光学用途においても好適に用いることができるフィルムを製造することができる。
本発明の製造方法におけるロール縦延伸方法の一例を示す概略図である。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
本発明に係るフィルムの製造方法は、第1の実施形態において、熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸工程を含み、
前記延伸工程において、前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体におけるフィルム弾性率を低下させた後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部におけるフィルム弾性率を更に低下させ、
前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であることを特徴とする。
上記の通りにフィルム弾性率を低下させることにより、フィルム中央部に比較してフィルム周縁部の弾性率が小さくなり、フィルム周縁部の延伸を促進する効果がある。その結果、ネックインによる端部の肉厚化の影響を抑制し、前記垂直方向の厚みむらがより小さなフィルムを得ることができる。
上記の効果を達成するためには、前記垂直方向のフィルム幅全体におけるフィルム弾性率を低下させた後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部におけるフィルム弾性率を更に低下させることが必要である。前記垂直方向におけるフィルム周縁部におけるフィルム弾性率を低下させた後、前記垂直方向のフィルム幅全体におけるフィルム弾性率を更に低下させても、上記フィルム周縁部におけるフィルム弾性率の低下が十分となりにくく、上記の効果を達成しにくい。予め前記フィルム幅全体におけるフィルム弾性率を低下させておいてから、上記フィルム周縁部におけるフィルム弾性率を低下させることで、上記フィルム周縁部におけるフィルム弾性率の低下が十分となりやすく、上記の効果を達成しやすい。フィルム弾性率は、例えば、フィルムを加熱することで、所望の値に低下させることができる。
上記の通り、前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域である。上記距離が5%より小さい場合、周縁部の弾性率を下げ延伸を促進し厚みむらを小さくする効果が十分となりにくい。上記距離が30%より大きい場合、中央部に対して周縁部の弾性率を下げ延伸を促進し厚みむらを小さくする効果が十分となりにくい。
本発明に係るフィルムの製造方法は、第2の実施形態において、熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸工程を含み、
前記延伸工程において、前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとした後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとし、
前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であり、
前記温度Tc及びTeは、下記式(1):
Te−Tc>0℃ (1)
を満たすことを特徴とする。
以下、第2の実施形態に係るフィルムの製造方法について、図1を参照しながら説明する。図1は、本発明のフィルムの製造方法におけるロール縦延伸方法を示す図である。延伸前のフィルムを、数本の予熱ロール1により加熱する。その後、延伸前ロール2にて、延伸可能な温度領域までフィルム温度を更に上げ、低周速の延伸前ロール2と高周速の延伸後ロール3間で縦延伸を行う。その後、冷却ロール4によりフィルムを冷却固化し縦延伸後フィルムを得る。図1中、矢印は、フィルムの流れ方向を示す。
フィルムを延伸する、延伸前ロールと延伸後ロールとの間に、加熱手段を設け、延伸時のフィルムを加熱する。このフィルム幅全体を加熱する手段5により、延伸時ロール間でフィルム全幅を加熱し、所望の延伸温度にすることができる。また、フィルム周縁部を加熱する加熱手段6により、フィルム周縁部の温度をフィルム中央部に比べ高くし、延伸を促進させることができる。
本発明によると、幅方向における厚み精度に優れ、しわの生じにくい延伸フィルム、特に縦延伸フィルムを得るには、以下の2つの条件を満たす必要がある。
(1)延伸時のフィルム中央部の温度Tcと延伸時のフィルム周縁部の温度Te
延伸時のフィルム中央部の温度Tcは、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度を、放射式非接触式温度計を用いて測定した温度とする。図1の場合、Tcは、フィルム幅全体を加熱する加熱手段5の幅方向・流れ方向の中央地点直下のフィルム温度を、放射式非接触式温度計を用いて測定した温度とする。フィルム延伸時のフィルム周縁部の温度Teは、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域の、前記垂直方向の中央地点のフィルム温度を、放射式非接触式温度計を用いて測定した温度とする。図1の場合、Teは、フィルム周縁部を加熱する加熱手段6の幅方向・流れ方向の中央地点直下のフィルム温度を、放射式非接触式温度計を用いて測定した温度とする。TcとTeが以下の関係式を満たす必要がある。
Te−Tc>0℃
上式によって、延伸時のフィルム周縁部の温度Teは延伸時のフィルム中央部の温度Tcに比べて高く設定される。その差の上限は、特に限定されず、好ましくは40℃以下である。Te−Tcの値は、好ましくは0℃超40℃以下、より好ましくは5℃以上30℃以下、更に好ましくは10℃以上20℃以下である。
上記関係式を満たすようにフィルム周縁部の温度とフィルム中央部の温度を設定することで、フィルム中央部に比較してフィルム周縁部の弾性率が小さくなり、フィルム周縁部の延伸を促進する効果がある。その結果、フィルム中央部に比較してフィルム周縁部の温度を高くした場合、ネックインによる周縁部の肉厚化の影響を抑制し、幅方向の厚みむらがより小さなフィルムを得ることができる。
なお、延伸時の幅方向における厚みむらの悪化は、フィルムの中央部とフィルムの周縁部で延伸時の伸長の形態が異なることに起因する。フィルム中央部では幅方向にはほぼ変形せず、長手方向(引っ張り方向)のみに変形される。一方、フィルム周縁部は、フィルムの最端部が自由端であるため、延伸時幅方向に収縮(ネックイン)しながら伸張される。その結果、フィルム周縁部は、フィルム中央部よりフィルム厚みが厚くなる。
フィルム周縁部の温度が中央部の温度と同じか低い場合、フィルム周縁部の弾性率が中央部に比べて高く、フィルム周縁部はネックインの影響で極端に厚くなり、結果として幅方向にU字型の厚みプロファイルとなり厚み精度が悪くなる。また、厚み精度が悪い場合、延伸後ロール4から冷却ロール4上を搬送される過程で、厚いフィルム周縁部のみでロールと接しフィルム中央部で浮きが生じてしまうため、しわが発生する。
フィルム周縁部の温度が中央部の温度と比べて40℃以下である場合、フィルムの周縁部が大きく軟化しにくく、延伸後ロールから剥離する際に粘着が生じにくく、フィルム周縁部に横ダン模様が生じにくい。
(2)フィルムの加熱方法
上記のように、延伸時のフィルム中央部の温度Tcと延伸時のフィルム周縁部の温度Teを調整するためには、前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとした後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとする必要があり、装置の作製のしやすさ等の観点から、フィルム幅方向全体を加熱する手段の下流側に、フィルム周縁部を加熱する手段を設けることが好ましい。
フィルム温度は予熱ロールや延伸前ロールによって幅全体方向に対してTg付近まで加温される。延伸前ロールを通過後、延伸ロール間においてフィルム幅方向全体を加熱する手段の上流側に周縁部を温めるヒーターを設置した場合、熱量が十分でなく、TeをTcより高い温度に上げることはできない。
フィルム幅方向全体を加熱する手段の下流側に周縁部を加熱する手段を設置した場合、フィルム幅方向全体を加熱する手段にてフィルム全幅に対し温度Tcに加熱した後に、周縁部を加熱する手段にて周縁部を加熱するため、必然的にTeをTcより大きくすることができる。なお、フィルム幅方向全体を加熱する手段と周縁部を加熱する手段の間隔は特に限定されないが、10mm〜200mmであることが好ましい。
上記の通り、前記フィルム周縁部は、フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%の領域である。上記距離が5%より小さい場合、周縁部の弾性率を下げ延伸を促進し厚みむらを小さくする効果が十分となりにくい。上記距離が30%より大きい場合、フィルム幅に対して温度がTeである領域が広く、中央部に対して周縁部の弾性率を下げ延伸を促進し厚みむらを小さくする効果が十分となりにくい。
更に、本発明においては、フィルム幅全体の加熱とフィルム周縁部の局所的な加熱を、赤外線ヒーター等の輻射加熱装置によって行うことが好ましい。赤外線ヒーター等の輻射加熱装置は、輻射の効果によってラインスピードが速い場合でも、短時間で効率的にフィルム内部まで加熱することが可能である。また、フィルムと輻射加熱装置の距離や、出力、輻射加熱装置の照射時間を変えることで、所望の温度に制御することが可能である。赤外線ヒーターの延伸温度制御の具体例としては、短波長赤外線ヒーター(ヘレウス製:ZKB2400/340G)を用いた際、フィルムとヒーター管との距離が40mmで照射時間0.2秒とした場合フィルム温度を約20℃、フィルムとヒーター管との距離が20mmで照射時間0.2秒とした場合フィルム温度を約30℃上昇させることが可能である。
更に、本発明においては、延伸倍率を1.1倍以上3.0倍以下とすることが好ましく、1.5倍以上2.7倍以下とすることがより好ましく、2.0倍以上2.4倍以下とすることが更により好ましい。延伸倍率が1.1倍以上である場合、十分なフィルム長手方向(即ち、延伸方向)の機械的強度を付与しやすい。また、延伸倍率が3.0倍以下である場合、ネックイン量が増えにくく、極端に周縁部が厚くなりにくいため、フィルム幅全体におけるフィルム弾性率を低下させた後、フィルム周縁部におけるフィルム弾性率を更に低下させたり、フィルム周縁部温度Teをフィルム中央部温度Tcに比べて高くしたりすることで幅方向厚みむらを小さくする効果が十分に発揮されやすい。
更に、本発明において、延伸工程における延伸は、前記一軸方向に離間して配置された一対の挟持部(例えば、一対の延伸ロール)で前記原反フィルムを挟持しながら行い、原反フィルムの幅をw、前記一対の挟持部間の距離をLとしたとき、L/wが0.1以上2.0以下であることが好ましく、0.2以上1.0以下であることがより好ましく、0.3以上0.5以下であることが更により好ましい。挟持部間距離Lの定義について図1を用いて説明する。本発明では、例えば、一定間隔を置いて配置された両延伸ロールと両延伸ロールに個々近接したニップロールによってそれぞれフィルムを挟持することで、フィルムの搬送と縦延伸を行っている。このとき両挟持部間9の距離をLとする。ここで、フィルムの搬送経路が両延伸ロールの回転軸を含む面と平行になるように延伸ロール及びニップロールを配置しているため、下記の関係が成り立つ。
(挟持部間距離)=(ロール延伸間距離)
即ち、ロール間の距離を変化させることで挟持部間距離を直接変化させることができる。
L/wが0.1以上の場合、極端に周縁部が厚くなりにくいため、フィルム幅全体におけるフィルム弾性率を低下させた後、フィルム周縁部におけるフィルム弾性率を更に低下させたり、フィルム周縁部温度Teをフィルム中央部温度Tcに比べて高くしたりすることで幅方向厚みむらを小さくする効果が十分に発揮されやすい。L/wが2.0以下である場合、ネックイン量が大きくなりにくく、幅収率が悪くなりにくいとともに、延伸間距離が長くなりにくく、延伸間での温度むらによる流れ方向の厚みむらが問題となりにくい。
更に、本発明においては、原反フィルム(延伸前のフィルム)の幅を900mm以上2000mm以下とすることが好ましく、1000mm以上2000mm以下とすることがより好ましい。
本発明において、使用するロール延伸機は、予熱ロール1、延伸ロール2、3、冷却ロール4から構成される。予熱ロールは、フィルムを加熱するため、50℃以上、より好ましくはガラス転移点以上の温度で設定される。予熱ロール設定値まで、充分な加熱時間が得られる構成であれば、いかなるロール径・本数であっても本発明の範囲内である。冷却ロールは、フィルムを冷却するため、ガラス転移点以下で設定される。冷却ロール設定値まで、充分な冷却時間が得られる構成であれば、いかなるロール径・本数であっても本発明の範囲内である。なお、各冷却ロール間同士のドロー比に関しては、特に限定されないが、100.01%以上であることが好ましい。各冷却ロール間同士のドロー比を100.01%以上とすることで、しわの発生をより効果的に抑制することができる。延伸ロールは、フィルムを近接した低周速ロール及び高周速ロールによって所定の温度に加熱しながら進行方向に延伸する方法である。ロール縦延伸の方法としては、特に制限されないが、前記周速差の異なる一組のロールによって延伸を行う一段延伸と、二組以上の延伸ロールによって延伸を行う多段延伸等があげられ、前者の一段延伸により延伸を行うことが好ましい。
一段延伸には、例えば、延伸前ロール、延伸後ロールとそれぞれ近接するニップロール、ニップロールによってフィルムが挟持される間においてフィルムが各ロールに接触するような方法と、図1のように前記挟持部間においてフィルムが各ロールに接触しないような方法があげられるが、本発明においては、後者に示すような挟持部間においてフィルムが各ロールに接触しないような方法、即ち、低周速ロール及び前記高周速ロールによるフィルム挟持部間において、フィルムは各ロールに接触することなく縦延伸する方法を用いる。なかでも、図1に示すように、延伸前ロール2と延伸後ロール3の回転軸を含む面とフィルムの搬送面が平行になるように且つ、延伸前ロール2と延伸後ロール3の回転方向が同一方向となるような延伸方法を用いることが好ましい。
多段延伸であっても、一組の延伸ロールが上記のように挟持部間においてフィルムが各ロールに接触しないような構成であれば、本発明の範囲内である。
次に縦延伸時のフィルム幅全体を加熱する手段について説明する。本発明において、フィルム幅全体を加熱する手段はロールによる接触加熱やヒーターによる非接触加熱が挙げられるが、非接触である赤外線ヒーターによる加熱が好ましい。赤外線ヒーターは特に限定されないが、最大エネルギー波長域1.2〜1.7μmの短波長、幅1mmあたり7.0W以上の出力が可能なヒーターが好ましい。ヒーター管内のコイルの温度は1000℃以上と高温になるため、ヒーターユニットは、空冷や水冷による冷却機構を備えていることが好ましい。特に、厚み精度の観点からフィルムの搬送に影響を及ばさない水冷による冷却機構が好ましい。
上記赤外線ヒーターの大きさは特に限定されないが、幅方向には、フィルム幅全てを照射できるように、フィルム幅Wより充分に長く、流れ方向には速いラインスピードにおいても十分な照射時間を確保できる長さ(本数)のヒーターを用いることが好ましい。特に、照射時間Tについては、ヒーターの流れ方向の長さLh、延伸前ロール周速V1、延伸後ロール周速V2とした場合、T=2×Lh/(V1+V2)で表され、0.05秒≦T≦1秒であることが好ましく、0.1秒≦T≦0.5秒であることがより好ましく、0.15秒≦T≦0.3秒であることが更により好ましい。
上記赤外線ヒーターの設置位置としては、図1のようにフィルム上面、もしくはフィルム下面に設置することが好ましい。また流れ方向の位置は、延伸前ロールと延伸後ロール間であれば、特に制限されない。フィルムとヒーター管の距離は、特に限定されないが、20mm以上100mm以下であることが好ましい。フィルムとヒーター管の距離が20mm以上の場合、フィルム搬送の際の振れでフィルムがヒーター管に接触する可能性が高まりにくい。また、フィルムとヒーター管の距離が100mm以下の場合、加熱の効果が十分となりやすい。
延伸時のフィルム中央部の温度Tcはガラス転移温度Tg−10℃以上Tg+40℃以下、更に好ましくはTg−5℃以上Tg+10℃以下である。TcがTg−10℃以上である場合、フィルムが塑性変形しやすく破断する可能性が低い。また、フィルムがTg+40℃以下である場合、延伸後ロール3から剥離する際に、剥離紋が生じる可能性が低い。なお、中央部の温度TcがTg−5℃以上Tg+10℃以下とTgに近い温度領域である場合、フィルム中央部の弾性率が大きく、フィルム周縁部の温度をフィルム中央部の温度より高くし弾性率を下げる効果が相対的に大きくなり、厚みむらを効果的に抑制することができる。
上記フィルム温度の測定方法は特に限定されないが、延伸ロール間に設置固定された放射式温度計によって行われることが好ましい。上記温度計は、特に制限されないが、フィルム搬送面から100mm〜300mm離れたフィルム上面、もしくはフィルム下面に設置することが好ましい。ヒーターの出力を40%〜100%変更し、所望のフィルム中央部の温度Tcとなるように調整する。
また、フィルムに対してヒーターと反対側に反射板を設置することが好ましい。フィルムを透過した赤外線が反射され、再度フィルムに照射されるため効率的な加熱が可能となる。
また、縦延伸時のフィルム周縁部を加熱する手段について説明する。本発明において、フィルム周縁部を加熱する手段はロールによる接触加熱やヒーターによる非接触加熱が挙げられるが、非接触である赤外線ヒーターによる加熱が好ましい。赤外線ヒーターは特に限定されないが、最大エネルギー波長域1.2〜1.7μmの短波長、幅1mmあたり2.0W以上の出力が可能なヒーターが好ましい。ヒーター管内のコイルの温度は1000℃以上と高温になるため、ヒーターユニットは、空冷や水冷による冷却機構を備えていることが好ましい。特に、厚み精度の観点からフィルムの搬送に影響を及ばさない水冷による冷却機構が好ましい。
上記赤外線ヒーターの大きさは特に限定されないが、幅方向には、フィルム幅Wの30%より充分に長く、流れ方向には速いラインスピードにおいても十分な照射時間を確保できる長さ(本数)のヒーターを用いることが好ましい。
本発明には、あらゆるアクリル熱可塑樹脂組成物及びゴム粒子含有熱可塑樹脂組成物を好適に適用することができる。
ゴム粒子含有熱可塑樹脂組成物の一例であるゴム状重合体含有アクリル樹脂組成物について具体的に説明する。なお、本発明におけるアクリル樹脂は特に限定されず、ゴム状アクリル体の成分・粒径等についても特に限定されない。
ゴム状重合体としては、例えば、ガラス転移温度が20℃未満である重合体が挙げられ、より具体的には、例えば、ブタジエン系架橋重合体、(メタ)アクリル系架橋重合体、オルガノシロキサン系架橋重合体等が挙げられる。なかでも、フィルムの耐候性(耐光性)、透明性の面で、(メタ)アクリル系架橋重合体(アクリル系ゴム状重合体)が特に好ましい。
アクリル系ゴム状重合体としては、例えば、ABS樹脂ゴム、ASA樹脂ゴムが挙げられるが、透明性等の観点から、以下に示すアクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(以下、単に「アクリル系グラフト共重合体」と称する。)を好ましく用いることができる。
アクリル系グラフト共重合体は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物を重合して得ることができる。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステルを主成分としたゴム状重合体であり、具体的には、アクリル酸エステル50〜100重量%及び共重合可能な他のビニル系単量体50〜0重量%からなる単量体混合物(100重量%)並びに、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体0.05〜10重量部(単量体混合物100重量部に対して)を重合させてなるものが好ましい。単量体を全部混合して使用してもよく、また単量体組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることが好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸フェノキシエチル等が挙げられ、これらの単量体は2種以上併用してもよい。アクリル酸エステル量は、単量体混合物100重量%において50重量%以上100重量%以下が好ましく、60重量%以上99重量%以下がより好ましく、70重量%以上99重量%以下が更に好ましく、80重量%以上99重量%以下が最も好ましい。50重量%以上では耐衝撃性が低下しにくく、引張破断時の伸びが低下しにくく、フィルム切断時にクラックが発生しにくくなる傾向がある。
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステル類が特に好ましく、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸n−オクチル等があげられる。また、芳香族ビニル類及びその誘導体、及びシアン化ビニル類も好ましく、例えば、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。その他、無置換及び/又は置換無水マレイン酸類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル、ハロゲン化ビニリデン、(メタ)アクリル酸及びその塩、(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル等が挙げられる。
多官能性単量体は通常使用されるものでよく、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート及びこれらのアクリレート類等を使用することができる。これらの多官能性単量体は2種以上使用してもよい。
多官能性単量体の量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。多官能性単量体の添加量が0.05重量部以上では、架橋体が形成されやすい傾向があり、10重量部以下では、フィルムの耐割れ性が低下しにくい傾向がある。
ゴム状重合体は、メタクリル酸エステル40〜100重量%、アクリル酸エステル0〜60重量%、芳香族ビニル系単量体0〜60重量%、多官能性単量体0〜10重量%、並びに、これらと共重合体可能なビニル系単量体0〜20重量%を重合して得られる重合体を内側に有していてもよい。
ゴム状重合体の体積平均粒子径は、20〜450nmが好ましく、20〜300nmがより好ましく、20〜150nmが更に好ましく、30〜80nmが最も好ましい。20nm以上では耐割れ性が悪化しにくい。一方、450nm以下であると透明性が低下しにくい。なお、本明細書において、体積平均粒子径は、動的散乱法により測定される体積平均粒子径を意味し、例えば、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)を用いることにより測定することができる。
アクリル系グラフト共重合体は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体5〜90重量部(より好ましくは、5〜75重量部)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物95〜25重量部を少なくとも1段階で重合させることより得られるものが好ましい。グラフト共重合組成(単量体混合物)中のメタクリル酸エステルは50重量%以上が好ましい。50重量%以上では得られるフィルムの硬度、剛性が低下しにくい傾向がある。グラフト共重合に用いられる単量体としては、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、これらを共重合可能なビニル系単量体を同様に使用でき、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルが好適に使用される。アクリル系樹脂との相溶性の観点からメタクリル酸メチル、ジッパー解重合を抑制する点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
光学的等方性の観点からは、脂環式構造、複素環式構造又は芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体(「環構造含有(メタ)アクリル系単量体」と称する。)が好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルが挙げられる。その使用量は、単量体混合物の総量(環構造含有(メタ)アクリル系単量体及びこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量)100重量%において1〜100重量%が好ましく、5〜70重量%がより好ましく、5〜50重量%が最も好ましい。ここでいう、これと共重合可能な他の単官能性単量体には、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体が同様に使用できるが、メタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルを含むことが好ましい。メタクリル酸エステルは、前記環構造含有ビニル系単量体及びこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量100重量%において0〜98重量%含まれることが好ましく、0.1〜98重量%含まれることがより好ましく、1〜94重量%が更に好ましく、30〜90重量%が特に好ましい。また、アクリル酸エステルは、前記環構造含有ビニル系単量体及びこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量100重量%において0〜98重量%含まれることが好ましく、0.1〜98重量%含まれることがより好ましく、1〜50重量%が更に好ましく、5〜50重量%が特に好ましい。更に、成形加工時の熱安定性が向上し、耐溶剤性が向上する点から、(メタ)アクリル酸及び/又はその塩が含有されてもよい。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体に対するグラフト率は、10〜250%が好ましく、より好ましくは40〜230%、最も好ましくは60〜220%である。グラフト率が10%以上では、成形体中でアクリル系グラフト共重合体が凝集しにくく、透明性が低下したり、異物が生じたりする恐れが低い。また引張破断時の伸びが低下しにくく、フィルム切断時にクラックが発生しにくい傾向がある。250%以下では、成形時、例えば、フィルム成形時の溶融粘度が高くなりにくく、フィルムの成形性が低下しにくい傾向がある。
上記グラフト率とは、アクリル系グラフト共重合体におけるグラフト成分の重量比率であり、次の方法で測定される。
得られたアクリル系グラフト共重合体2gをメチルエチルケトン50mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数30000rpm、温度12℃にて1時間遠心し、不溶分と可溶分とに分離する(遠心分離作業を合計3回セット)。得られた不溶分の重量と、アクリル系グラフト共重合体に含まれるアクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量とから、以下の式によりグラフト率を算出する。
グラフト率(%)=[{(メチルエチルケトン不溶分の重量)−(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量)}/(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量)]×100
アクリル系グラフト共重合体は、一般的な乳化重合法によって製造できる。具体的には、水溶性重合開始剤の存在下、乳化剤を用いてアクリル酸エステル単量体を連続的に重合させる方法を例示できる。
乳化重合法では、連続重合を単一の反応槽で行うことが好ましく、二槽以上の反応槽を用いるとラテックスの機械的安定性が低下するため好ましくない。
重合温度としては30℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上80℃以下である。30℃以上では生産性が低下しにくい傾向があり、100℃以下の温度では、目標分子量が過剰に大きくなりにくく、品質が低下しにくい傾向がある。重合反応槽へ連続的に添加するアクリル酸エステル単量体、開始剤、乳化剤及び脱イオン水等の原料類は、定量ポンプの制御下で正確に添加するが、反応槽内で発生する重合熱の除熱量を確保するため必要に応じて予め冷却しても支障ない。反応槽から払い出されたラテックスには、必要に応じて重合禁止剤、凝固剤、難燃剤、酸化防止剤、pH調節剤を添加しても良く、未反応単量体の回収や後重合を行っても良い。その後、凝固、熱処理、脱水、水洗、乾燥等公知の方法を経て共重合体を得ることができる。
乳化重合においては、通常の重合開始剤を使用できる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物、更にアゾビスイソブチロニトリル等の油溶性開始剤も使用される。これらは単独又は2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム錯体等の還元剤と併用した通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
重合開始剤と合わせて連鎖移動剤を併用してもよい。連鎖移動剤には炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素等が挙げられ、これらは単独又は2種以上併用してもよい。
乳化重合法にて使用する乳化剤に関して特に制限はなく、通常の乳化重合用の乳化剤であれば使用することが出来る。例えば、アルキル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸ナトリウムエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウムエステル等のリン酸塩系界面活性剤といったアニオン系界面活性剤が挙げられる。また上記ナトリウム塩はカリウム塩等の他のアルカリ金属塩やアンモニウム塩でも良い。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に、ポリオキシアルキレン類又はその末端水酸基のアルキル置換体又はアリール置換体に代表される、非イオン性界面活性剤を使用又は一部併用しても差し支えない。その中でも、重合反応安定性、粒子系制御性の点から、スルホン酸塩系界面活性剤、又はリン酸塩系界面活性剤が好ましく、中でも、ジオクチルスルホコハク酸塩、又はポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩がより好ましく用いることができる。
乳化剤の使用量としては、単量体成分全体100重量部に対して、0.05重量部以上10重量部が好ましく、0.1重量部以上1.0重量部以下であることがより好ましい。0.05重量部以上では、共重合体の粒系が大きくなり過ぎず、10重量部以下では共重合体の粒系が小さくなりすぎず、また、粒度分布が悪化しにくい。
本発明におけるゴム状重合体含有アクリル樹脂組成物としては、特に限定されないが、1種類以上のアクリル系ゴム状重合体と1種類以上のアクリル系樹脂との混合組成物であることが好ましい。
アクリル系ゴム状重合体は、アクリル系ゴム状重合体が含有するゴム状重合体が、熱可塑性樹脂組成物100重量部において、1〜60重量部含まれるように配合されることが好ましく、1〜30重量部含まれるように配合されることがより好ましく、1〜25重量部含まれるように配合されることが更に好ましい。1重量部以上ではフィルムの耐割れ性、真空成形性が悪化したり、また光弾性定数が大きくなって光学的等方性に劣ったりしにくい。一方、60重量部以下であると、フィルムの耐熱性、表面硬度、透明性、耐折曲げ白化性が悪化しにくい傾向がある。
アクリル系ゴム状重合体とアクリル系樹脂との混合は、直接、フィルム生産時に混合しても良く、また一度、アクリル系ゴム状重合体とアクリル系樹脂とを混合、ペレット化してから、改めてフィルム生産を実施しても良い。
アクリル系樹脂としては、特に制限が無いが、メタクリル酸メチルを単量体成分としたメタクリル系樹脂が使用でき、メタクリル酸メチル由来の構成単位が30〜100重量%含有されたものが好ましい。また、中でも耐熱性のアクリル系樹脂が好ましく、例えば、共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂、無水グルタル酸アクリル系樹脂、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、グルタルイミドアクリル系樹脂、水酸基及び/又はカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂、芳香族ビニル単量体及びそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体及びそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体)又はその芳香族環を部分的に又は全て水素添加して得られる水添芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体及びそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添スチレン含有アクリル系重合体)、環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系重合体等を挙げることができる。耐熱性及び光学特性の観点からグルタルイミドアクリル系樹脂をより好ましく用いることができる。グルタルイミドアクリル系樹脂については、以下に詳述する。グルタルイミドアクリル系樹脂としては具体的には、例えば、下記一般式(1)
Figure 0006698282
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「グルタルイミド単位」ともいう)と、
下記一般式(2)
Figure 0006698282
(式中、R及びRは、それぞれ独立して、水素又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、又は炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」ともいう)とを含むグルタルイミドアクリル系樹脂を好適に用いることができる。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3)
Figure 0006698282
(式中、Rは、水素又は炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される単位(以下、「芳香族ビニル単位」ともいう)を更に含んでいてもよい。
上記一般式(1)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチル基であり、Rは水素、メチル基、ブチル基、又はシクロヘキシル基であることが好ましく、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR、R、及びRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより、形成することができる。
また、無水マレイン酸等の酸無水物、又は、このような酸無水物と炭素数1〜20の直鎖又は分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸等をイミド化することによっても、上記グルタルイミド単位を形成させることができる。
上記一般式(2)において、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチル基であり、Rは水素又はメチル基であることが好ましく、Rは水素であり、Rはメチル基であり、Rはメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR、R、及びRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル構成単位として、スチレン、α−メチルスチレン等を含むことが好ましく、スチレンを含むことがより好ましい。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、芳香族ビニル構成単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、R、及びRが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、Rの構造等に依存して変化させることが好ましい。
一般的には、上記グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミドアクリル系樹脂の1重量%以上とすることが好ましく、1重量%〜95重量%とすることがより好ましく、2重量%〜90重量%とすることが更に好ましく、3重量%〜80重量%とすることが特に好ましい。グルタルイミド単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性及び透明性が低下したり、成形加工性、及びフィルムに加工したときの機械的強度が低下したりしにくい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は、特に限定されるものではなく、求められる物性に応じて適宜設定することが可能である。使用される用途によっては、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は0であってもよい。一般式(3)で表される芳香族ビニル単位を含む場合は、グルタルイミドアクリル系樹脂の総繰り返し単位を基準として、10重量%以上とすることが好ましく、10重量%〜40重量%とすることがより好ましく、15重量%〜30重量%とすることが更に好ましく、15重量%〜25重量%とすることが特に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、フィルム加工時の機械的強度が低下したりしにくい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、及び芳香族ビニル単位以外のその他の単位が更に共重合されていてもよい。
その他の単位としては、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を挙げることができる。
これらのその他の単位は、上記グルタルイミドアクリル系樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、1×10〜5×10であることが好ましい。上記範囲内であれば、溶融押出時の粘度が高くなったり、成形加工性が低下したり、成形品の生産性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりしにくい。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂のガラス転移温度は特に限定されるものではないが、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の適用範囲を広げることができる。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の製造方法は特に制限されないが、例えば、特開2008−273140号公報に記載されている方法等があげられる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、熱や光に対する安定性を向上させるための酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤等を単独又は2種以上併用して添加してもよい。
なお、本発明によって得られる縦延伸後フィルムを、二軸方向に強度が発現させるため、幅方向に延伸する横延伸を連続して行うことが好ましい。横延伸の延伸時の温度はTg〜Tg+20℃であることが好ましい。この範囲で横延伸することで、厚みむらを更に向上させることが可能である。
本発明に係る一軸延伸フィルムは、熱可塑性樹脂を含む一軸延伸フィルムであって、延伸方向に対する垂直方向のフィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%の位置におけるフィルム厚みと、前記フィルム幅中央におけるフィルム厚みとの差の平均値が10.0μm以下であることを特徴とする。上記平均値は、好ましくは7.0μm以下、より好ましくは6.0μm以下、更により好ましくは5.0μm以下、特に好ましくは4.0μm以下である。
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下「部」及び「%」は、特記がない限り、「重量部」及び「重量%」を意味する。
(製造例1)
<グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)の製造>
原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を製造した。
この製造においては、押出反応機を2台直列に並べたタンデム型反応押出機を用いた。
タンデム型反応押出機に関しては、第1押出機、第2押出機共に直径が75mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が74の噛合い型同方向二軸押出機を使用し、定重量フィーダー(クボタ(株)製)を用いて、第1押出機の原料供給口に原料樹脂を供給した。
第1押出機、第2押出機における各ベントの減圧度は−0.095MPaとした。更に、直径38mm、長さ2mの配管で第1押出機と第2押出機を接続し、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力制御機構には定流圧力弁を用いた。
第2押出機から吐出された樹脂(ストランド)は、冷却コンベアで冷却した後、ペレタイザでカッティングしペレットとした。ここで、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力調整、又は押出変動を見極めるために、第1押出機の吐出口、第1押出機と第2押出機間の接続部品の中央部、及び、第2押出機の吐出口に樹脂圧力計を設けた。
第1押出機において、原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂(Mw:10.5万)を使用し、イミド化剤として、モノメチルアミンを用いてイミド樹脂中間体1を製造した。この際、押出機の最高温部の温度は280℃、スクリュー回転数は55rpm、原料樹脂供給量は150kg/時間、モノメチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して2.0部とした。定流圧力弁は第2押出機の原料供給口直前に設置し、第1押出機のモノメチルアミン圧入部圧力を8MPaになるように調整した。
第2押出機において、リアベント及び真空ベントで残存しているイミド化剤及び副生成物を脱揮したのち、エステル化剤として炭酸ジメチルを添加しイミド樹脂中間体2を製造した。この際、押出機の各バレル温度は260℃、スクリュー回転数は55rpm、炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して3.2部とした。更に、ベントでエステル化剤を除去した後、ストランドダイから押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化することで、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を得た。
得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)は、グルタミルイミド単位と、(メタ)アクリル酸エステル単位が共重合したアクリル系樹脂である。
(製造例2)
<グラフト共重合体(B2)の製造>
最内層重合体の作成:
以下の組成の混合物をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹持しながら800℃に昇温したのち、メタクリル酸メチル25部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物とtーブチルハイドロパーオキサイド0.1部との混合液のうち25%を一括して仕込み45分間の重合を行なった。
脱イオン水 220部
ホウ酸 0.3部
炭酸ナトリウム 0.03部
Nーラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.09部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレート0.09部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム0.006部
硫酸第1鉄0.002部
続いてこの混合液の残り75%を1時間にわたって連続添加した。添加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させた。また、この聞に0.2部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層架橋メタクリル系重合体ラテックスの重合転化率(重合生成量/モノマー仕込量)は98%であった。
ゴム粒子の作製:
得られた最内層重合体ラテックスを窒素気流中で80℃に保ち、過硫酸カリウム0.1部を添加したのち、アクリル酸n−ブチル41部、スチレン9部、メタクリル酸アリル1部からなる単量体混合物を5時間にわたって連続添加した。この間にオレイン酸カリウム0.1部を3回に分けて添加した。モノマー混合液の添加終了後、重合を完結させるために更に過硫酸カリウムを0.05部添加し2時間保持した。
得られたゴム粒子の重合転化率は99%であった。
ゴム含有グラフト共重合体の作製:
得られたゴム粒子ラテックスを80℃に保ち、過硫酸カリウム0.02部を添加したのちメタクリル酸メチル14部、アクリル酸n−ブチル1部の単量体混合物を1時間にわたって連続添加した。モノマー混合液の追加終了後1時間保持して重合した。重合転化率は99%であった。
更に、メタクリル酸メチル5部、アクリル酸n−ブチル5部の単量体混合物を0.5時間にわたって連続添加した。モノマー混合液の追加終了後1時間保持しゴム含有グラフト共重合体ラテックスを得た。重合転化率は99%であった。
得られたゴム含有グラフ卜共重合体ラテックスを塩化カルシウムで塩析凝園、熱処理、乾燥を行ない、白色粉末状のゴム含有グラフト共重合体を得た。なお、平均粒子径は250nmであった。
(製造例3)
<樹脂ペレットの製造>
直径40mmのフルフライトスクリューを用いた単軸押出機を用い、押出機の温度調整ゾーンの設定温度を255℃、スクリュー回転数を52rpmとし、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)95重量部、及び白色粉末状のグラフト共重合体(B2)5重量部の混合物を、10kg/hrの割合で供給した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
(製造例4)
<フィルム製造装置>
押出製造装置を使用しフィルム化を行った。押出機としては、直径65mmの単軸押出機を使用し、窒素ラインを設置したホッパーから、製造例3で製造したペレットを供給した。吐出量が一定となるように、ギアポンプを用いた。Tダイとしては、フィルム幅方向のダイ出口の幅が1850mmで、手動偏肉ボルトによりリップクリアランス(フィルム厚み方向におけるダイ吐出口の高さ)の調整が可能であるものを用いた。Tダイのリップ(吐出口を構成する部材)はフィルム幅方向に7つの領域に分割され、各領域毎に温度調節が可能である。吐出後には、キャストロールとタッチロールで挟み込みつつ引き取ることでフィルムを冷却固化した。キャストロールは直径200mmの剛体ロールを用い、オイル温調を用いてロール温度100℃とし、速度(引き取り速度)20m/分で回転させ120μmのフィルムを製膜した。タッチロールとしては、金属製スリーブを有した弾性ロールを用いた。その後、両端をトリミングし、1000mm幅の、厚み120μmの平滑な原反フィルムを得た。なお、フィルムのガラス転移温度TgはDSCによる中点法で評価したところ、122℃であった。
(製造装置)
各実施例及び比較例では、図1に示されるロール延伸機を用いた。予熱ロール径は250mm、延伸前ロール径は180mm、延伸後ロール180mm、冷却ロール250mm径とした。図1に記載するように、フィルムの搬送経路が両延伸ロールの回転軸を含む面と平行になるように、ニップロールを配置して、両延伸ロールと両延伸ロールに個々近接したニップロールとによってそれぞれフィルムを挟持することで、フィルムの搬送と縦延伸を行った。そして、両延伸ロールを、共にフィルムの搬送方向であり、互いに同方向に回転させた。また挟持部間隔Lを400mmとした。フィルム幅1000mm全体を加熱する、幅1300mm3本組(フィルム流れ方向の照射長さは160mm)の赤外線ヒーターをフィルム上面から中央部に向けて、フィルムから50mmの高さ、挟持部間の中央位置に設置した。また、周縁部を加熱するヒーターは、幅200mmの赤外線ヒーターにてフィルム両端150mmを加熱するように設置した。フィルム中央部の温度Tc、フィルム周縁部の温度Teを測定するためにフィルム上面500mmの位置からヒーター照射部のフィルム中央に向けて、放射式温度計(フルーク株式会社、Raytec XR)を設置した。また、各実施例及び比較例では、延伸時の延伸前ロールの周速20m/minとして縦延伸を行った。
(厚み評価方法)
接触式厚み測定機(アンリツ株式会社 KG3001A)にて、フィルムの幅方向に1mmピッチで測定を行った。延伸後のフィルムの幅を100%とし、フィルム幅方向位置を−50%〜+50%に規格化した。0%位置はフィルム中央部である。なお、厚みむらは、フィルム位置±45%位置における中央部(0%位置)厚みとの差を平均化した値で示した。
(実施例1)
フィルム幅全体を加熱する手段の下流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=122℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=132℃とし、延伸倍率2.0倍で延伸した結果、しわの無い厚みむら1.5μmのフィルムが得られた。
(実施例2)
フィルム幅全体を加熱する手段の下流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=122℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=142℃とし、延伸倍率2.0倍で延伸した結果、しわの無い厚みむら1.0μmのフィルムが得られた。
(実施例3)
フィルム幅全体を加熱する手段の下流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=142℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=152℃とし、延伸倍率2.0倍で延伸した結果、しわの無い厚みむら3.5μmのフィルムが得られた。
(実施例4)
フィルム幅全体を加熱する手段の下流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=122℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=132℃とし、延伸倍率2.4倍で延伸した結果、しわの無い厚みむら2.0μmのフィルムが得られた。
(比較例1)
フィルム幅全体を加熱する手段の下流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=142℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=142℃とし、延伸倍率2.0倍で延伸した結果、しわの無い厚みむら15.0μmのフィルムが得られた。
(比較例2)
フィルム幅全体を加熱する手段の上流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=142℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=132℃とし、延伸倍率2.0倍で延伸した結果、しわの有る厚みむら30.0μmのフィルムが得られた。
(比較例3)
フィルム幅全体を加熱する手段の上流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=122℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=112℃とし、延伸倍率2.0倍で延伸した結果、しわの有る厚みむら40.0μmのフィルムが得られた。
(比較例4)
フィルム幅全体を加熱する手段の下流側にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=142℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=142℃とし、延伸倍率2.4倍で延伸した結果、しわの有る厚みむら20.0μmのフィルムが得られた。
(比較例5)
フィルム幅全体を加熱する手段と同じ流れ方向位置にフィルム周縁部を加熱する手段を設置し、延伸時のフィルム中央部の温度Tc=142℃、延伸時のフィルム周縁部の温度Te=152℃とし、延伸倍率2.0倍で延伸した結果、しわの有る厚みむら12.0μmのフィルムが得られた。
Figure 0006698282
1:予熱ロール群、2:延伸前ロール、3:延伸後ロール、4:冷却ロール、5:IRヒーター(フィルム全幅を加熱)、6:IRヒーター(フィルム周縁部を加熱)、7:反射板、8:ニップロール、9:挟持部間隔

Claims (6)

  1. 熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸工程を含むフィルムの製造方法であって、
    前記延伸工程において、前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとした後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとし、
    前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であり、
    前記温度Tc及びTeは、下記式(1):
    Te−Tc>0℃ (1)
    を満たし、
    前記延伸工程における延伸は、前記一軸方向に前記原反フィルムを搬送しながら行い、
    前記フィルム幅全体を加熱する第1加熱手段のフィルム搬送方向下流側に、前記フィルム周縁部を加熱する第2加熱手段を配置し、
    但し、
    前記延伸工程において、前記垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとする前に、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとすること、及び、
    前記延伸工程において、前記垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとすると同時に、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとすること
    を行わず、かつ、
    前記第1加熱手段のフィルム搬送方向上流側、及び、フィルム搬送方向に前記第1加熱手段と横並びの同位置には、前記第2加熱手段を配置しないことを特徴とするフィルムの製造方法。
  2. 前記フィルム幅全体の加熱と前記フィルム周縁部の加熱を、輻射加熱装置によって行うことを特徴とする請求項1に記載のフィルムの製造方法。
  3. 延伸倍率が1.1倍以上3.0倍以下である請求項1又は2に記載のフィルムの製造方法。
  4. 前記延伸工程における延伸は、前記一軸方向に離間して配置された一対の挟持部で前記原反フィルムを挟持しながら行い、
    前記原反フィルムの幅をw、前記一対の挟持部間の距離をLとしたとき、L/wが0.1以上2.0以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  5. 前記原反フィルムの幅が900mm以上2000mm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルムの製造方法。
  6. 熱可塑性樹脂を含む原反フィルムを一軸方向に延伸する延伸手段と、
    前記一軸方向に対する垂直方向のフィルム幅全体を加熱して、前記フィルム幅中央におけるフィルム温度をTcとする第1加熱手段と、
    第1加熱手段による加熱の後、前記垂直方向におけるフィルム周縁部を加熱して、前記フィルム周縁部におけるフィルム温度をTeとする第2加熱手段と、
    を備えるフィルムの製造装置であって、
    前記フィルム周縁部は、前記フィルム幅を100%としたとき、前記垂直方向におけるフィルム両最端部からの距離がそれぞれ5%以上30%以下の領域であり、
    前記温度Tc及びTeは、下記式(1):
    Te−Tc>0℃ (1)
    を満たし、
    前記延伸手段における延伸は、前記一軸方向に前記原反フィルムを搬送しながら行われ、
    前記第2加熱手段は、前記第1加熱手段のフィルム搬送方向下流側に配置され、前記第1加熱手段のフィルム搬送方向上流側、及び、フィルム搬送方向に前記第1加熱手段と横並びの同位置には配置されないことを特徴とするフィルムの製造装置。
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