JP2015143016A - フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融押出後の挟み込み成形時に、厚みムラの発生を抑制することができる、フィルムの製造方法を提供すること。【解決手段】溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物を、押出機のダイ出口から吐出し、一対のロールで引き取りながら冷却固化してフィルムを製造する方法において、ダイ出口におけるフィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teが、ダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcに対し次式(1)を満足し、かつ、フィルム端部のドラフト比Deが、フィルム中央部のドラフト比Dcに対し、次式(2)を満足する。(1)0℃≰Tc−Te≰20℃(2)0.5≰De/Dc≰1.1【選択図】図1
Description
本発明は、フィルムの製造方法に関する。
偏光子を保護するための偏光子保護フィルムや、液晶表示装置用のフィルム基板等に代表される光学フィルムには、位相差精度および厚み精度が高いことが要求される。
このようなフィルムの製造方法としては、フィルム原料たる熱可塑性樹脂を溶融押出機にて溶融し、Tダイからフィルム状に押し出すことで成膜する溶融押出方法が知られている。溶融押出法でダイから押し出されるフィルム状の溶融樹脂を、一対のロールで挟み込んで連続的に引き取りながら冷却固化することによってフィルムを製造する方法が開示されている(特許文献1〜5を参照)。
上述した挟み込み成形方法で得られるフィルムについては、フィルムの流れ方向(長手方向)に厚みムラがあり、十分な厚み精度を達成できないという問題があった。
本発明者が検討したところ、Tダイの出口から、ロールによる挟み込み地点に至るまでの領域において、溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物にドローレゾナンス(周期的な膜厚変動)が発生することが判明した。この際、フィルム中央部(フィルム幅方向における中央部)では、ある周期で、支配的なドローレゾナンスが生じ、フィルム端部(フィルム幅方向における端部)においても、フィルム中央部とは異なる周期でドローレゾナンスが生じていることを判明した。その結果、両ドローレゾナンスによる膜厚変動が重なり合うことで、最終製品たるフィルムにおいて無視できない厚みムラが残留することが判明した。このようなドローレゾナンスの重なり合いによる悪影響は、特に、熱可塑性樹脂組成物として、互いに相溶性の低い複数の材料を混合したものを使用する場合に顕著である。
本発明は、上記現状に鑑み、溶融押出後の挟み込み成形時に、厚みムラの発生を抑制することができる、フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者が上記課題を解決するため鋭意検討したところ、中央部と端部で異なる周期のドローレゾナンスが発生する原因は、(1)フィルム中央部とフィルム端部で樹脂組成物の吐出速度が異なっており、フィルム端部での吐出速度がより小さいこと、また、(2)フィルム端部での溶融粘度がフィルム中央部での溶融粘度より低いこと、に起因することが判明した。
この知見に基づき、本発明者はさらに検討し、フィルム中央部の樹脂温度とフィルム端部の樹脂温度との関係、及び、フィルム中央部のドラフト比(フィルム引き取り速度/吐出速度)とフィルム端部のドラフト比との関係をそれぞれ、特定の条件に設定することで、両ドローレゾナンスを抑制し、結果、厚みムラが抑制されたフィルムを挟み込み成形方法によって製造できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物を、押出機のダイ出口から吐出し、一対のロールで引き取りながら冷却固化してフィルムを製造する方法であって、
ダイ出口におけるフィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teが、ダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcに対し次式(1)を満足し、かつ、フィルム端部のドラフト比Deが、フィルム中央部のドラフト比Dcに対し、次式(2)を満足する、フィルムの製造方法に関する。
(1)0℃≦Tc−Te≦20℃
(2)0.5≦De/Dc≦1.1
好ましくは、エアギャップ長λmm、吐出量Qkg/h、ダイ出口の幅Lmが、0.5≦λ/(Q/L)≦1.5の関係を満足する。
ダイ出口におけるフィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teが、ダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcに対し次式(1)を満足し、かつ、フィルム端部のドラフト比Deが、フィルム中央部のドラフト比Dcに対し、次式(2)を満足する、フィルムの製造方法に関する。
(1)0℃≦Tc−Te≦20℃
(2)0.5≦De/Dc≦1.1
好ましくは、エアギャップ長λmm、吐出量Qkg/h、ダイ出口の幅Lmが、0.5≦λ/(Q/L)≦1.5の関係を満足する。
好ましくは、製造されるフィルムの厚みが、40μm以上200μm以下である。
好ましくは、前記熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が、ダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tc、および、せん断速度122sec−1で測定した際に7000poise以上20000poise以下である。
本発明は、ゴム状重合体を含有するアクリル系樹脂組成物からなり、フィルムの長手方向における厚みムラが4μm以下である、アクリル系樹脂フィルムでもある。ここで、前記厚みムラとは、フィルムの幅方向における中央地点を、フィルムの長手方向に6mmピッチで30mの長さにわたってフィルムの厚みを測定し、測定された厚みのうち最大値と最小値との差をいう。
前記アクリル系樹脂フィルムにおいて、好ましくは、フィルムの長手方向における端部厚みムラが4mm以下である。ここで、前記端部厚みムラとは、フィルムの幅方向における端面から200mmの地点を、フィルムの長手方向に6mmピッチで30mの長さにわたってフィルムの厚みを測定し、測定された厚みのうち最大値と最小値との差をいう。
好ましくは、前記アクリル系樹脂組成物が、N−置換マレイミド構造含有アクリル系樹脂、無水グルタル酸構造含有アクリル系樹脂、ラクトン環構造含有アクリル系樹脂、グルタルイミドアクリル系樹脂、ならびに、水酸基および/またはカルボキシル基含有アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む。
好ましくは、前記ゴム状重合体が、ゴム状重合体の存在下、脂環式構造、複素環式構造または芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるものである。
好ましくは、前記アクリル系樹脂フィルムの光弾性定数が−10×10−12から4×10−12Pa−1である。
好ましくは、前記アクリル系樹脂フィルムの配向複屈折が−1.7×10−4から1.7×10−4である。
好ましくは、前記アクリル系樹脂フィルムが、光学用フィルムである。
本発明によれば、溶融押出後の挟み込み成形時に、厚みムラの発生を抑制可能な、フィルムの製造方法を提供することができる。本発明の製造方法により、流れ方向(長手方向)における厚み精度が改善され、光学用途においても好適に用いることができるフィルムを製造することができる。
以下、本発明の製造方法について詳細に説明する。
図1は、本発明のフィルムの製造方法における吐出から挟み込み成形を模式的に示す図である。フィルム原料たる熱可塑性樹脂組成物が押出機10に投入され、押出機内において、ガラス転移温度以上の温度まで加熱され、溶融状態となる。溶融状態の熱可塑性樹脂組成物は、押出機の出口側に取り付けられたギアポンプ17を経て、ダイ11に移行し、ダイ先端のダイ出口12から溶融状態のまま、吐出される。その吐出時においてダイ出口の形状により、溶融状態の熱可塑性樹脂組成物13はフィルム形状をとる。図1中、矢印は、フィルム状熱可塑性樹脂組成物の流れ方向(長手方向)を示す。
この溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物13を、一対の平滑化ロールに挟み込むことによりフィルム表面を平滑化する。この平滑化ロールの一方は弾性ロール14であり、他方はキャストロール15である。弾性ロール14は、ゴム等の弾性体からなるロールの表面が、金属膜で覆われたロールをいい、表面の金属膜により、ロール表面が平坦になり、平滑化ロールとして機能する。キャストロール15は、金属から構成された硬質のロールである。ダイ出口12から吐出されたフィルム状の熱可塑性樹脂組成物を、弾性ロール14とキャストロール15とで挟み込みつつ引き取り、さらに冷却ロール16に巻き取られることにより、熱可塑性樹脂組成物が、そのガラス転移温度以下の温度に冷却固化され、フィルムが製造される。なお、当該挟み込み成形工程は、フィルム表面の平滑化のための工程であり、フィルムを延伸するための工程とは異なる。
本発明は、押出機からの吐出、および、挟み込み成形を連続的に行うことにより、長手方向に伸長したフィルムを連続的に製造する方法である。
本発明によると、フィルムの長手方向における厚みムラを抑制するには、以下2つの条件を満足する必要がある。
(1)フィルム中央部とフィルム端部の樹脂温度の関係
溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物について、ダイ出口においてフィルム端部について測定した熱可塑性樹脂組成物温度Teと、ダイ出口においてフィルム中央部について測定した熱可塑性樹脂組成物温度Tcが、以下の関係式を満足する。
0℃≦Tc−Te≦20℃
ここで、フィルム端部とは、フィルムの幅方向における両端面から5mm離れた領域をいい、フィルム中央部とは、フィルムの幅方向における中央部(両端面から同距離にある領域)をいう。ダイ出口において樹脂温度を測定する際には、ダイ出口から吐出直後の、ダイ出口から15mm離れた地点に位置する樹脂の温度を、例えば非接触式温度計を用いて測定する。
溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物について、ダイ出口においてフィルム端部について測定した熱可塑性樹脂組成物温度Teと、ダイ出口においてフィルム中央部について測定した熱可塑性樹脂組成物温度Tcが、以下の関係式を満足する。
0℃≦Tc−Te≦20℃
ここで、フィルム端部とは、フィルムの幅方向における両端面から5mm離れた領域をいい、フィルム中央部とは、フィルムの幅方向における中央部(両端面から同距離にある領域)をいう。ダイ出口において樹脂温度を測定する際には、ダイ出口から吐出直後の、ダイ出口から15mm離れた地点に位置する樹脂の温度を、例えば非接触式温度計を用いて測定する。
上記関係式より、本発明では、フィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teが、フィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcと同じか、あるいは、Tcよりも低くなるように設定される。低い場合には、その温度差は20℃以下である。好ましくは5℃以上、15℃以下である。このように樹脂温度を設定することで、フィルム端部での樹脂溶融粘度が、フィルム中央部での樹脂溶融粘度と同じであるか、または、より大きくなる。その結果、フィルムの変形の伝達遅延を端部でより小さくし、フィルム端部で生じるドローレゾナンスを抑制することができる。結果、最終製品たるフィルムの厚みムラの発生を抑制することが可能になる。
なお、フィルム端部のドローレゾナンスは、フィルム端部において、ロールの引き取りによるフィルムの伸長変形が、ダイ出口から吐出直後のフィルムの変形に遅延して伝達することで発生すると考えられる。
フィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teが、フィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcよりも高くなると、変形の伝達の遅延を端部でより小さくする効果が十分ではなく、結果、厚みムラの発生を抑制することができない。なお、ダイ出口における設定温度をフィルム幅方向に一定であるように設定した場合、一般に、フィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teがフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcよりも高くなってしまう。
また、フィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teが、フィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcよりも、20℃を超えて低くなると、フィルム端部の樹脂粘度がフィルム中央部の樹脂粘度と比較して極めて大きくなってしまうため、端部と中央部で大きく粘度が変わってしまう。その結果、冷却時の伸長むらが生じ、厚み品質を劣化させる可能性や、同一フィルム上に配向の大きく異なる部分が生じ、フィルムの光学的品質を劣化させる可能性がある。また、フィルム端部の樹脂粘度が高くなりすぎるために、ダイリップ表面に存在する傷がフィルムに転写されフィルム上に欠陥が生じる可能性や、フィルムが切断されやすくなり端切れを生じ、連続的に長尺のフィルムを製造するのに支障が生じる可能性が高まる。
上記のように、フィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcと、フィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teをそれぞれ調節するには、例えば、実施例で後述するように、Tダイのリップ(吐出口を構成する部材)を、フィルム幅方向に3以上の領域に分割して各領域毎に温度調節が行えるようにし、端部のリップの設定温度を、中央部のリップの設定温度よりも低く設定すればよい。
Tダイの温度制御の具体例を挙げると、幅1400mmのTダイの場合は、Tダイの幅方向にリップを7つの領域、巾350mmのTダイの場合は、Tダイの幅方向にリップを3つの領域に分割して温度制御が可能である。なお、リップ中央部の温度は樹脂組成物のTg(ガラス転移温度)よりも、90℃以上、150℃以下の範囲で高いことが好ましい。例えば、ポリカーボネート系樹脂においては、中央部の温度が220℃以上、280℃以下であることが好ましい。この上限を上回る場合、樹脂の熱劣化に伴って異物等が発生する可能性がある。一方、この下限を下回る場合、ダイリップ表面の傷を転写し、フィルム上に欠陥が生じる可能性がある。
(2)フィルム中央部とフィルム端部のドラフト比の関係
フィルム端部のドラフト比Deが、フィルム中央部のドラフト比Dcに対し、次の関係式を満足する。
0.5≦De/Dc≦1.1
ここで、ドラフト比は、引取り速度/吐出速度である。引取り速度とは、一対のロールにより、溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物を引き取る速度であり、ロールの回転速度に一致する。吐出速度とは、ダイ出口から15mm離れた地点で計測した樹脂組成物の流速をいう。
フィルム端部のドラフト比Deが、フィルム中央部のドラフト比Dcに対し、次の関係式を満足する。
0.5≦De/Dc≦1.1
ここで、ドラフト比は、引取り速度/吐出速度である。引取り速度とは、一対のロールにより、溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物を引き取る速度であり、ロールの回転速度に一致する。吐出速度とは、ダイ出口から15mm離れた地点で計測した樹脂組成物の流速をいう。
一軸伸長領域で流動が不安定なフィルム端部のドラフト比Deと、平面伸長領域のフィルム中央部のドラフト比Dcを操作することで、フィルム中央部のドローレゾナンスに加え、抑制困難なフィルム端部のドローレゾナンスを制御することができる。De/Dcを、0.5以上1.1以下に規定することで、フィルム端部の吐出流速が十分に大きくなり変形伝達の遅延が小さくなり、端部のドローレゾナンスを抑制することができる。結果として、フィルム中央部における厚み品質を向上させる効果がある。好ましくは、0.6以上1.0以下である。
De/Dcが0.5未満である場合、フィルム端部の吐出流速を大きくするために、端部のダイリップ開度を大きく狭める必要があり、フィルム厚みが薄くなってしまう。その結果、フィルム端部の張力が小さく流動が不安定になり、膜厚変動やドローレゾナンスを生じ、中央部における厚み品質を悪化させる。
一方、De/Dcが1.1を超える場合、フィルム端部の吐出流速を上げ変形伝達の遅延を小さくする効果が十分でなく、ドローレゾナンスが発生し、中央部における厚み品質を悪化させる。
フィルム中央部とフィルム端部それぞれの吐出速度を調節するには、リップクリアランス(フィルム厚み方向におけるフィルム吐出口の高さ)を、フィルム中央部とフィルム端部でそれぞれ調整すればよい。Tダイのリップクリアランスを変更する方法としては、リップクリアランスの微調整の他、偏肉ボルトによるリップクリアランスの調整が好ましい。例えば、幅350mmのTダイでは、幅方向に31.5mm間隔で11本のボルト、幅1400mmのTダイでは、幅方向に20〜30mm間隔で53本のボルトが存在し、幅方向の厚みプロファイルを任意の形状にするTダイを使用することができる。
さらに、フィルムの長手方向における中央部の厚みむらを抑制する観点から、以下2つの条件のうちいずれか又は双方を満足することが好ましい。
(3)エアギャップ長、吐出量、およびダイ幅の関係
本発明では、エアギャップ長λmm、吐出量Qkg/h、ダイ出口の幅Lmが、0.5≦λ/(Q/L)≦1.5の関係を満足することが好ましい。エアギャップ長とは、図1に示すようにTダイの出口からロールに接するまでのフィルム状溶融樹脂の長さである。吐出量は、5分間に吐出されるフィルム重量を測定し、1時間当たりの重量に換算して規定する。ダイ出口の幅とは、フィルム幅方向におけるダイ吐出口の長さである。
本発明では、エアギャップ長λmm、吐出量Qkg/h、ダイ出口の幅Lmが、0.5≦λ/(Q/L)≦1.5の関係を満足することが好ましい。エアギャップ長とは、図1に示すようにTダイの出口からロールに接するまでのフィルム状溶融樹脂の長さである。吐出量は、5分間に吐出されるフィルム重量を測定し、1時間当たりの重量に換算して規定する。ダイ出口の幅とは、フィルム幅方向におけるダイ吐出口の長さである。
中央部で発生するドローレゾナンスは、エアギャップ長λと単位長さ当たりの吐出量(Q/L)に大きく依存し、エアギャップ長λが短く、単位長さ当たりの吐出量(Q/L)が大きいほど流動が安定化する。λ/(Q/L)を0.5以上1.5以下に規定することで、中央部のドローレゾナンスを低減し、厚みムラを抑制することができる。
また、本発明において、エアギャップ長は、70mm以上、100mm以下とすることが好ましい。エアギャップ長が70mm未満であると、Tダイとキャストロールが接触する可能性がある。一方、エアギャップ長が100mmを超えると、ネックイン量が大きくなり、フィルムの有効幅が小さくなる可能性がある。また、エアギャップ長が上記範囲内にあると、ドローレゾナンスを低減する効果がある。
(4)樹脂の溶融粘度
本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物は、先述したダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tc、および、せん断速度122sec−1で測定した溶融粘度が、7000poise以上20000poise以下であることが好ましい。中央部で発生するドローレゾナンスは、溶融粘度に大きく依存し、溶融粘度が大きい方が溶融フィルムの張力が大きくなり、変形伝達の遅延が小さくなるため、流動が安定化する。せん断速度122sec−1で測定した溶融粘度が7000poise以上20000poise以下に規定することで、中央部のドローレゾナンスを低減し、厚みムラを抑制することができる。好ましくは、8000poise以上17000poise以下である。
本発明で使用する熱可塑性樹脂組成物は、先述したダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tc、および、せん断速度122sec−1で測定した溶融粘度が、7000poise以上20000poise以下であることが好ましい。中央部で発生するドローレゾナンスは、溶融粘度に大きく依存し、溶融粘度が大きい方が溶融フィルムの張力が大きくなり、変形伝達の遅延が小さくなるため、流動が安定化する。せん断速度122sec−1で測定した溶融粘度が7000poise以上20000poise以下に規定することで、中央部のドローレゾナンスを低減し、厚みムラを抑制することができる。好ましくは、8000poise以上17000poise以下である。
本発明において、使用するTダイとしては、マニホールドダイ、フィッシュテールダイ、コートハンガーダイなどを挙げることができる。これらの中では、コートハンガーダイ、マニホールドダイが好ましい。
Tダイの幅としては、所望のフィルム幅に適したTダイを使用することができる。本発明は様々な幅のTダイを用いたフィルムの製造方法に適用することができる。
Tダイの材質としては、例えば、クロムモリブデン鋼等であり、流路面仕上げはHCr仕上げ等が挙げられる。その中でも、ダイライン等を防ぎ、欠陥の少ないフィルムを製造することが可能となるので、リップ部はセラミック溶射による高精度な表面処理を施したものを用いることが好ましい。
本発明を実際の製造方法に適用する場合は、自動厚み制御(例えばヒートボルト方式)を用いることが好ましい。これによれば、膜厚変動を逐次フィードバック制御することができるため、高精度な厚み制御が可能となる。なお、この場合は、端部のフィルム厚み変動が大きく自動厚み制御することが困難であることが多く、端部のリップクリアランスの厚い部分を定めた後に、中央部のみに自動厚み制御を適用することが好ましい。特に、ヒートボルト方式が板バネ方式の場合、リップクリアランスが大きくなる際に、ボルト温度が高く溶融樹脂が流れやすい状態となるため、自動厚み制御はさらに容易になる。
本発明で熱可塑性樹脂組成物を押出機において溶融させるための条件としては、例えば、粘度平均分子量12000から20000のポリカーボネート系樹脂を使用する場合には、押出機出口における樹脂温度が、220〜280℃ となるようにシリンダー温度を設定することが好ましく、前記温度は240〜270℃とすることがさらに好ましい。
本発明では、押出機として、単軸押出機、同方向噛合型2軸押出機、同方向非噛合型2軸押出機、異方向噛合型2軸押出機、異方向非噛合型2軸押出機、多軸押出機等の各種押出機を用いることができる。その中でも、単軸押出機が押出機内における樹脂滞留部が少ないため押出中における樹脂の熱劣化を防ぐことが可能になること、また設備費が安価であることから好ましい。また、樹脂中の残存揮発分、押出機における加熱発生物を除去するためにベント機構を有する押出機を使用することが好ましい。押出機のサイズ(口径)は所望の吐出量に合わせて選定することが好ましい。
また、吐出量を一定としフィルム厚みを一定とするために、ギアポンプを用いることが好ましい。ギアポンプの回転数およびギアポンプ流入前圧力を一定とし、それに応じて押出機の回転数を決定する制御方法を用いることが好ましい。
また、異物除去の観点から、精密濾過フィルターを用いることが好ましい。精密濾過フィルターを導入し、マトリックス樹脂とゴム粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物を使用する場合、滞留時間が大幅に上がることでドローレゾナンスが抑制される効果がある。
本発明で用いることができる熱可塑性樹脂組成物としては、フィルム、特に光学フィルムとして使用可能な熱可塑性樹脂組成物であって、溶融押出による成形が可能なものであれば、特に制限されない。具体的には、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン、ポリエチレンなど)、ポリカーボネート系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂などが挙げられる。その中でも、光学用途に適するものとして、ポリカーボネート系樹脂またはアクリル系樹脂が望ましい。
本発明では、マトリックス樹脂とゴム粒子を含有する熱可塑性樹脂組成物を使用することができるが、本発明者は、マトリックス樹脂とゴム粒子との相溶性が低い場合においては、上述したフィルム中央部と端部でドローレゾナンスが発生しやすい問題があることを発見した。しかしながら、このようにドローレゾナンスが発生しやすい熱可塑性樹脂組成物であっても、本発明によりフィルムを製造すると、厚みムラを十分に低減することができる。
以下、本発明を好適に適用することができるゴム粒子含有熱可塑樹脂組成物の一例であるゴム状重合体含有アクリル樹脂組成物について具体的に説明する。
ゴム状重合体としては、ガラス転移温度が20℃未満である重合体であればよく、例えば、ブタジエン系架橋重合体、(メタ)アクリル系架橋重合体、オルガノシロキサン系架橋重合体などが挙げられる。なかでも、フィルムの耐候性(耐光性)、透明性の面で、(メタ)アクリル系架橋重合体(アクリル系ゴム状重合体)が特に好ましい。
アクリル系ゴム状重合体としては、例えばABS樹脂ゴム、ASA樹脂ゴムが挙げられるが、透明性等の観点から、以下に示すアクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体(以下、単に「アクリル系グラフト共重合体」と称する。)を好ましく用いることができる。
アクリル系グラフト共重合体は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物を重合して得ることができる。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステルを主成分としたゴム状重合体であり、具体的には、アクリル酸エステル50〜100重量%および共重合可能な他のビニル系単量体50〜0重量%からなる単量体混合物(100重量%)並びに、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体0.05〜10重量部(単量体混合物100重量部に対して)を重合させてなるものが好ましい。単量体を全部混合して使用してもよく、また単量体組成を変化させて2段以上で使用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点より、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることが好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸フェノキシエチル等があげられ、これらの単量体は2種以上併用してもよい。アクリル酸エステル量は、単量体混合物100重量%において50重量%以上100重量%以下が好ましく、60重量%以上99重量%以下がより好ましく、70重量%以上99重量%以下がさらに好ましく、80重量%以上99重量%以下が最も好ましい。50重量%未満では耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステル類が特に好ましく、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸n−オクチル等があげられる。また、芳香族ビニル類およびその誘導体、及びシアン化ビニル類も好ましく、例えば、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。その他、無置換及び/又は置換無水マレイン酸類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル、ハロゲン化ビニリデン、(メタ)アクリル酸およびその塩、(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル等が挙げられる。
多官能性単量体は通常使用されるものでよく、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などを使用することができる。これらの多官能性単量体は2種以上使用してもよい。
多官能性単量体の量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。多官能性単量体の添加量が0.05重量部未満では、架橋体を形成できない傾向があり、10重量部を超えても、フィルムの耐割れ性が低下する傾向がある。
ゴム状重合体の体積平均粒子径は、20〜450nmが好ましく、20〜300nmがより好ましく、20〜150nmが更に好ましく、30〜80nmが最も好ましい。20nm未満では耐割れ性が悪化する場合がある。一方、450nmを超えると透明性が低下する場合がある。なお、体積平均粒子径は、動的散乱法により、例えば、MICROTRAC UPA150(日機装株式会社製)を用いることにより測定することができる。
アクリル系グラフト共重合体は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体5〜90重量部(より好ましくは、5〜75重量部)の存在下に、メタクリル酸エステルを主成分とする単量体混合物95〜25重量部を少なくとも1段階で重合させることより得られるものが好ましい。グラフト共重合組成(単量体混合物)中のメタクリル酸エステルは50重量%以上が好ましい。50重量%未満では得られるフィルムの硬度、剛性が低下する傾向がある。グラフト共重合に用いられる単量体としては、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、これらを共重合可能なビニル系単量体を同様に使用でき、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルが好適に使用される。アクリル系樹脂との相溶性の観点からメタクリル酸メチル、ジッパー解重合を抑制する点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
光学的等方性の観点からは、脂環式構造、複素環式構造または芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体(「環構造含有(メタ)アクリル系単量体」と称する。)が好ましく、具体的には(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルが挙げられる。その使用量は、単量体混合物の総量(環構造含有(メタ)アクリル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量)100重量%において1〜100重量%が好ましく、5〜70重量%がより好ましく、5〜50重量%が最も好ましい。ここでいう、これと共重合可能な他の単官能性単量体には、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体が同様に使用できるが、メタクリル酸エステルおよびアクリル酸エステルを含むことが好ましい。メタクリル酸エステルは、前記環構造含有ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量100重量%において0〜98重量%含まれることが好ましく、0.1〜98重量%含まれることがより好ましく、1〜94重量%がさらに好ましく、30〜90重量%が特に好ましい。また、アクリル酸エステルは、前記環構造含有ビニル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量100重量%において0〜98重量%含まれることが好ましく、0.1〜98重量%含まれることがより好ましく、1〜50重量%がさらに好ましく、5〜50重量%が特に好ましい。さらに、成形加工時の熱安定性が向上し、耐溶剤性が向上する点から、(メタ)アクリル酸および/またはその塩が含有されてもよい。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体に対するグラフト率は、10〜250%が好ましく、より好ましくは40〜230%、最も好ましくは60〜220%である。グラフト率が10%未満では、成形体中でアクリル系グラフト共重合体が凝集しやすく、透明性が低下したり、異物原因となる恐れがある。また引張破断時の伸びが低下しフィルム切断時にクラックが発生しやすくなったりする傾向がある。250%を超えると、成形時、たとえばフィルム成形時の溶融粘度が高くなり、フィルムの成形性が低下する傾向がある。
上記グラフト率とは、アクリル系グラフト共重合体におけるグラフト成分の重量比率であり、次の方法で測定される。
得られたアクリル系グラフト共重合体2gをメチルエチルケトン50mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数30000rpm 、温度12 ℃にて1時間遠心し、不溶分と可溶分とに分離する(遠心分離作業を合計3回セット)。得られた不溶分の重量と、アクリル系グラフト共重合体に含まれるアクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量とから、以下の式によりグラフト率を算出する。
グラフト率(%)=[{( メチルエチルケトン不溶分の重量)−(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量)}/(アクリル酸エステル系ゴム状重合体の重量)]×100
アクリル系グラフト共重合体は、一般的な乳化重合法によって製造できる。具体的には、水溶性重合開始剤の存在下、乳化剤を用いてアクリル酸エステル単量体を連続的に重合させる方法を例示できる。
アクリル系グラフト共重合体は、一般的な乳化重合法によって製造できる。具体的には、水溶性重合開始剤の存在下、乳化剤を用いてアクリル酸エステル単量体を連続的に重合させる方法を例示できる。
乳化重合法では、連続重合を単一の反応槽で行うことが好ましく、二槽以上の反応槽を用いるとラテックスの機械的安定性が低下するため好ましくない。
重合温度としては30℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上80℃以下である。30℃未満では生産性が低下する傾向があり、100℃を超えた温度では、目標分子量が過剰に大きくなる等によって、品質が低下する傾向がある。重合反応槽へ連続的に添加するアクリル酸エステル単量体、開始剤、乳化剤及び脱イオン水等の原料類は、定量ポンプの制御下で正確に添加するが、反応槽内で発生する重合熱の除熱量を確保するため必要に応じて予め冷却しても支障ない。反応槽から払い出されたラテックスには、必要に応じて重合禁止剤、凝固剤、難燃剤、酸化防止剤、pH調節剤を添加しても良く、未反応単量体の回収や後重合を行っても良い。その後、凝固、熱処理、脱水、水洗、乾燥等公知の方法を経て共重合体を得ることができる。
乳化重合においては、通常の重合開始剤を使用できる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、更にアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤も使用される。これらは単独又は2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸2ナトリウム錯体などの還元剤と併用した通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
重合開始剤と合わせて連鎖移動剤を併用してもよい。連鎖移動剤には炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素などが挙げられ、これらは単独又は2種以上併用してもよい。
乳化重合法にて使用する乳化剤に関して特に制限はなく、通常の乳化重合用の乳化剤であれば使用することが出来る。例えば、アルキル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸ナトリウムエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウムエステル等のリン酸塩系界面活性剤といったアニオン系界面活性剤が挙げられる。また上記ナトリウム塩はカリウム塩等の他のアルカリ金属塩やアンモニウム塩でも良い。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に、ポリオキシアルキレン類またはその末端水酸基のアルキル置換体またはアリール置換体に代表される、非イオン性界面活性剤を使用または一部併用しても差し支えない。その中でも、重合反応安定性、粒子系制御性の点から、スルホン酸塩系界面活性剤、またはリン酸塩系界面活性剤が好ましく、中でも、ジオクチルスルホコハク酸塩、またはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩がより好ましく用いることができる。
乳化剤の使用量としては、単量体成分全体100重量部に対して、0.05重量部以上10重量部が好ましく、0.1重量部以上1.0重量部以下であることがより好ましい。0.05重量部より少量では、共重合体の粒系が大きくなり過ぎる傾向があり、10重量部より多量では共重合体の粒系が小さくなりすぎる、また、粒度分布が悪化する傾向がある。
本発明におけるゴム状重合体含有アクリル樹脂組成物として、特に限定されないが、1種類以上のアクリル系ゴム状重合体と1種類以上のアクリル系樹脂との混合組成物であることが好ましい。
アクリル系ゴム状重合体は、アクリル系ゴム状重合体が含有するゴム状重合体が、熱可塑性樹脂組成物100重量部において、1〜60重量部含まれるように配合されることが好ましく、1〜30重量部がより好ましく、1〜25重量部がさらに好ましい。1重量部未満ではフィルムの耐割れ性、真空成形性が悪化したり、また光弾性定数が大きくなり、光学的等方性に劣ったりする場合がある。一方、60重量部を超えると、フィルムの耐熱性、表面硬度、透明性、耐折曲げ白化性が悪化する傾向がある。
アクリル系ゴム状重合体とアクリル系樹脂との混合は、直接、フィルム生産時に混合しても良く、また一度、アクリル系ゴム状重合体とアクリル系樹脂とを混合、ペレット化してから、改めてフィルム生産を実施しても良い。
アクリル系樹脂としては、特に制限が無いが、メタクリル酸メチルを単量体成分としたメタクリル系樹脂が使用でき、メタクリル酸メチル由来の構成単位が30〜100重量%含有されたものが好ましい。また、中でも耐熱性のアクリル系樹脂が好ましく、例えば、共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂、無水グルタル酸アクリル系樹脂、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、グルタルイミドアクリル系樹脂、水酸基および/またはカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂、芳香族ビニル単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体)またはその芳香族環を部分的にまたは全て水素添加して得られる水添芳香族ビニル含有アクリル系重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン含有アクリル系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添スチレン含有アクリル系重合体)、環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系重合体などを挙げることができる。耐熱性および光学特性の観点からグルタルイミドアクリル系樹脂をより好ましく用いることができる。グルタルイミドアクリル系樹脂については、以下に詳述する。グルタルイミドアクリル系樹脂としては具体的には、例えば、下記一般式(1)
(式中、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R3は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「グルタルイミド単位」ともいう)と、
下記一般式(2)
で表される単位(以下、「グルタルイミド単位」ともいう)と、
下記一般式(2)
(式中、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R6は、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または炭素数5〜15の芳香環を含む置換基である。)
で表される単位(以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」ともいう)とを含むグルタルイミドアクリル系樹脂を好適に用いることができる。
で表される単位(以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」ともいう)とを含むグルタルイミドアクリル系樹脂を好適に用いることができる。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、必要に応じて、下記一般式(3)
(式中、R7は、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、R8は、炭素数6〜10のアリール基である。)
で表される単位(以下、「芳香族ビニル単位」ともいう)をさらに含んでいてもよい。
で表される単位(以下、「芳香族ビニル単位」ともいう)をさらに含んでいてもよい。
上記一般式(1)において、R1およびR2は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、R3は水素、メチル基、ブチル基、またはシクロヘキシル基であることが好ましく、R1はメチル基であり、R2は水素であり、R3はメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(1)におけるR1、R2、およびR3が異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、上記一般式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより、形成することができる。
また、無水マレイン酸等の酸無水物、または、このような酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸等のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸等をイミド化することによっても、上記グルタルイミド単位を形成させることができる。
上記一般式(2)において、R4およびR5は、それぞれ独立して、水素またはメチル基であり、R6は水素またはメチル基であることが好ましく、R4は水素であり、R5はメチル基であり、R6はメチル基であることがより好ましい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記一般式(2)におけるR4、R5、およびR6が異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、上記一般式(3)で表される芳香族ビニル構成単位として、スチレン、α−メチルスチレン等を含むことが好ましく、スチレンを含むことがより好ましい。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂は、芳香族ビニル構成単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、R7、およびR8が異なる複数の種類を含んでいてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(1)で表されるグルタルイミド単位の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば、R3の構造等に依存して変化させることが好ましい。
一般的には、上記グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミドアクリル系樹脂の1重量%以上とすることが好ましく、1重量%〜95重量%とすることがより好ましく、2重量%〜90重量%とすることがさらに好ましく、3重量%〜80重量%とすることが特に好ましい。グルタルイミド単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性および透明性が低下したり、成形加工性、およびフィルムに加工したときの機械的強度が低下したりすることがない。一方、グルタルイミド単位の含有量が上記範囲より少ないと、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりする傾向がある。また、上記範囲よりも多いと、不必要に耐熱性および溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなったり、フィルム加工時の機械的強度が極端に脆くなったり、透明性が損なわれたりする傾向がある。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂において、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は、特に限定されるものではなく、求められる物性に応じて適宜設定することが可能である。使用される用途によっては、一般式(3)で表される芳香族ビニル単位の含有量は0であってもよい。一般式(3)で表される芳香族ビニル単位を含む場合は、グルタルイミドアクリル系樹脂の総繰り返し単位を基準として、10重量%以上とすることが好ましく、10重量%〜40重量%とすることがより好ましく、15重量%〜30重量%とすることがさらに好ましく、15重量%〜25重量%とすることが特に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲内であれば、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、フィルム加工時の機械的強度が低下したりすることがない。一方、芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲より多いと、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足する傾向がある。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の単位がさらに共重合されていてもよい。
その他の単位としては、例えば、アクリロニトリルやメタクリロニトリル等のニトリル系単量体、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単量体を共重合してなる構成単位を挙げることができる。
これらのその他の単位は、上記グルタルイミドアクリル系樹脂中に、直接共重合していてもよいし、グラフト共重合していてもよい。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されるものではないが、1×104〜5×105であることが好ましい。上記範囲内であれば、成形加工性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりすることがない。一方、重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、フィルムにした場合の機械的強度が不足する傾向がある。また、上記範囲よりも大きいと、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下する傾向がある。
また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂のガラス転移温度は特に限定されるものではないが、110℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましい。ガラス転移温度が上記範囲内であれば、得られる熱可塑性樹脂組成物の適用範囲を広げることができる。
上記グルタルイミドアクリル系樹脂の製造方法は特に制限されないが、例えば、特開2008−273140号公報に記載されている方法などがあげられる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂組成物には、熱や光に対する安定性を向上させるための酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤などを単独又は2種以上併用して添加してもよい。
Tダイのリップより吐出されるフィルム状の溶融樹脂は、複数本の冷却ロールを用いて冷却される。通常、Tダイは、溶融樹脂が最上流側(ダイに近い方)の最初のキャストロールに接触するように配置する。一般的には2本の冷却ロールが用いられている。キャストロールの温度は60℃〜160℃、さらに100℃〜150℃であることが好ましい。この後、キャストロールからフィルムを剥ぎ取り、ニップロールを経た後、巻き取る。
なお、キャストロールに樹脂を密着させる方法としては、タッチロール方式、ニップロール方式、静電印加方式、エアーナイフ方式、バキュームチャンバー方式、カレンダー方式、スリーブ式などが挙げられ、フィルムの厚さ、用途に従って、適切な方式が選択される。特に、光学歪みの小さい光学フィルムを形成する場合は、タッチロール方式、その中でも特に、金属スリーブの二重筒構造の弾性ロールを用いることが望ましい。タッチロールの温度は60℃〜160℃、さらに100℃〜150℃が好ましい。
本発明で製造されるフィルムの厚みは特に限定されない。フィルムの厚みが薄くなればなるほど、厚みムラが生じやすくなり、しかもその厚みムラがフィルム品質に大きな悪影響を及ぼしかねない。しかしながら、本発明によると、厚み40μm以上、200μm以下といった極めて薄いフィルムにおいても優れた厚みムラ低減効果を実現することができるので、このような薄いフィルムに本発明を適用する意義は極めて大きい。
本発明で製造されるフィルムの幅については特に限定されないが、本発明によると、例えば、1000〜2000mm程度の幅を持つフィルムを製造することができる。
本発明で製造されるフィルムの長さについては特に限定されないが、本発明によると、例えば、1000〜5000mの長さを持つフィルムを、十分な厚み精度を以て製造することができる。
また、本発明によると、厚みムラが少ないフィルムを製造することができる。具体的には、フィルムの幅方向におけるフィルム中央部において測定したフィルムの長手方向における厚みムラが4μm以下、好ましくは3μm以下と極めて小さいフィルムを製造することができる。また、フィルムの幅方向におけるフィルム端面から200mmの地点において測定したフィルムの長手方向における厚みムラ(端部厚みムラ)が4μm以下であることが好ましく、3μm以下であるとより好ましい。端部厚みムラが小さいと、幅方向における厚みムラについても小さく、より厚みが均一な範囲が広がるため、有効幅の拡大や効率の向上に繋がる。厚みムラ及び端部厚みムラは、いずれも、フィルムの長手方向に6mmピッチで30mの長さにわたってフィルムの厚みを測定し、測定された厚みのうち最大値と最小値との差とする。
好ましい一形態を例示すれば、ゴム状重合体を含有するアクリル系樹脂組成物からなる、フィルムの長手方向における厚みムラが4μm以下であるアクリル系樹脂フィルム(本発明のアクリル系樹脂フィルム)が得られる。
本発明のアクリル系樹脂フィルムは、配向複屈折が−1.7×10−4から1.7×10−4が好ましく、−1.6×10-4から1.6×10-4がより好ましく、−1.5×10-4から1.5×10-4がさらに好ましく、−1.0×10-4〜1.0×10-4がなおさら好ましく、−0.5×10-4から0.5×10-4が特に好ましく、−0.2×10-4〜0.2×10-4であることが最も好ましい。
また、本発明のアクリル系樹脂フィルムは、光弾性定数が−10×10−12から4×10−12Pa−1であることが好ましい。このうち、光弾性定数が−4×10−12Paから4×10−12Pa−1であると、光弾性定数が小さく、外部応力によって複屈折が生じることを抑えることができる。すなわち、この場合、光弾性定数が−4×10−12から4×10−12Pa−1が好ましく、−1.5×10−12Pa−1から1.5×10−12Pa−1がより好ましく、−1.0×10−12Pa−1から1.0×10−12Pa−1がさらに好ましく、−0.5×10−12Pa−1から0.5×10−12Pa−1がなおさら好ましく、−0.3×10−12Pa−1から0.3×10−12Pa−1が最も好ましい。これにより、フィルムの複屈折性が非常に小さくなり、バックライトの輝度低下を抑えられるので、本発明のアクリル系樹脂フィルムを液晶表示装置用途に特に好適に用いることができる。
また、本発明のアクリル系樹脂フィルムの光弾性定数が−10×10−12から−4×10−12Paであると、本発明のアクリル系樹脂フィルムを液晶表示装置においてプラスの光弾性定数を持つ部材と貼り合わされて用いる際に、外部応力がかかった場合に生じる複屈折を互いに打ち消し合うことで、バックライトの輝度低下を抑えることができる。
本発明により製造されたフィルムは、両端部の厚い部分をトリミングすることが好ましい。しかしながら、本発明においては、特に、長手方向の厚みムラが小さい有効幅を広げることが可能であるため、端部のトリミング幅を小さくすることが可能となる。
本発明で製造されるフィルムは特に限定されないが、光学フィルムとして使用することができ、特に、液晶表示装置、有機EL装置などの表示装置に用いられる部材、例えば、偏光板保護フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルム、液晶基板、光拡散シート、プリズムシートなどに用いることができる。中でも、偏光板保護フィルムや位相差フィルムに好適である。
本発明を実施例に基づき、更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。以下「部」および「%」は、特記がない限り、「重量部」および「重量%」を意味する。
(製造例1)
<グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)の製造>
原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を製造した。
<グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)の製造>
原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を製造した。
この製造においては、押出反応機を2台直列に並べたタンデム型反応押出機を用いた。
タンデム型反応押出機に関しては、第1押出機、第2押出機共に直径が75mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が74の噛合い型同方向二軸押出機を使用し、定重量フィーダー(クボタ(株)製)を用いて、第1押出機の原料供給口に原料樹脂を供給した。
第1押出機、第2押出機における各ベントの減圧度は−0.095MPaとした。更に、直径38mm、長さ2mの配管で第1押出機と第2押出機を接続し、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力制御機構には定流圧力弁を用いた。
第2押出機から吐出された樹脂(ストランド)は、冷却コンベアで冷却した後、ペレタイザでカッティングしペレットとした。ここで、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力調整、又は押出変動を見極めるために、第1押出機の吐出口、第1押出機と第2押出機間の接続部品の中央部、および、第2押出機の吐出口に樹脂圧力計を設けた。
第1押出機において、原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂(Mw:10.5万)を使用し、イミド化剤として、モノメチルアミンを用いてイミド樹脂中間体1を製造した。この際、押出機の最高温部の温度は280℃、スクリュー回転数は55rpm、原料樹脂供給量は150kg/時間、モノメチルアミンの添加量は原料樹脂100部に対して2.0部とした。定流圧力弁は第2押出機の原料供給口直前に設置し、第1押出機のモノメチルアミン圧入部圧力を8MPaになるように調整した。
第2押出機において、リアベント及び真空ベントで残存しているイミド化剤及び副生成物を脱揮したのち、エステル化剤として炭酸ジメチルを添加しイミド樹脂中間体2を製造した。この際、押出機の各バレル温度は260℃、スクリュー回転数は55rpm、炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100部に対して3.2部とした。更に、ベントでエステル化剤を除去した後、ストランドダイから押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化することで、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を得た。
得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)は、グルタミルイミド単位と、(メタ)アクリル酸エステル単位が共重合したアクリル系樹脂である。
(製造例2)
<グラフト共重合体(B2)の製造>
撹拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム 0.05部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.11部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.004部
硫酸第一鉄 0.001部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を40℃にし、アクリル系ゴム粒子(B−1)の原料混合物(アクリル酸ブチル90%、メタクリル酸メチル10%からなる単官能性単量体45部に対し、メタクリル酸アリル0.45部、クメンハイドロパーオキサイド0.041部)45.491部を225分かけて連続的に添加した。(B−1)追加開始から20分後、40分後、60分後にポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(東邦化学工業株式会社製、商品名:フォスファノールRD−510Yのナトリウム塩)0.2部ずつ重合機に添加した。添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル系ゴム粒子((B−1)の重合物)を得た。重合転化率は98.6%であった。
<グラフト共重合体(B2)の製造>
撹拌機付き8L重合装置に、以下の物質を仕込んだ。
脱イオン水 200部
ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム 0.05部
ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト 0.11部
エチレンジアミン四酢酸−2−ナトリウム 0.004部
硫酸第一鉄 0.001部
重合機内を窒素ガスで充分に置換し実質的に酸素のない状態とした後、内温を40℃にし、アクリル系ゴム粒子(B−1)の原料混合物(アクリル酸ブチル90%、メタクリル酸メチル10%からなる単官能性単量体45部に対し、メタクリル酸アリル0.45部、クメンハイドロパーオキサイド0.041部)45.491部を225分かけて連続的に添加した。(B−1)追加開始から20分後、40分後、60分後にポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム(ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸(東邦化学工業株式会社製、商品名:フォスファノールRD−510Yのナトリウム塩)0.2部ずつ重合機に添加した。添加終了後、さらに0.5時間重合を継続し、アクリル系ゴム粒子((B−1)の重合物)を得た。重合転化率は98.6%であった。
その後、内温を60℃にし、ソディウムホルムアルデヒドスルフォキシレ−ト0.2部を仕込んだ後、硬質重合体層(B−2)の原料混合物(メタクリル酸メチル57.8%、アクリル酸ブチル4%、メタクリル酸ベンジル38.2%からなる単官能性単量体55部に対し、t−ドデシルメルカプタン0.3部、クメンハイドロパーオキサイド0.254部)55.554部を210分間かけて連続的に添加し、さらに1時間重合を継続し、グラフト共重合体ラテックスを得た。重合転化率は100.0%であった。得られたラテックスを硫酸マグネシウムで塩析、凝固し、水洗、乾燥を行い、白色粉末状のグラフト共重合体(B2)を得た。
グラフト共重合体(B2)のゴム粒子(B−1の重合物)の平均粒子径は121nmであった。グラフト共重合体(B2)のグラフト率は56%であった。
(製造例3)
<樹脂ペレットの製造>
直径40mmのフルフライトスクリューを用いた単軸押出機を用い、押出機の温度調整ゾーンの設定温度を255℃、スクリュー回転数を52rpmとし、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)53重量部、および白色粉末状のグラフト共重合体(B2)47重量部の混合物を、10kg/hrの割合で供給した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
<樹脂ペレットの製造>
直径40mmのフルフライトスクリューを用いた単軸押出機を用い、押出機の温度調整ゾーンの設定温度を255℃、スクリュー回転数を52rpmとし、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)53重量部、および白色粉末状のグラフト共重合体(B2)47重量部の混合物を、10kg/hrの割合で供給した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
(製造装置)
各実施例および比較例では、図1で示した製造装置を使用した。押出機としては、直径65mmの単軸押出機を使用し、窒素ラインを設置したホッパーから、製造例3で製造したペレットを供給した。吐出量が130kg/時間の一定となるように、ギアポンプの回転数を10.45rpmとした。Tダイとしては、フィルム幅方向のダイ出口の幅が1850mmで、手動偏肉ボルトによりリップクリアランス(フィルム厚み方向におけるダイ吐出口の高さ)の調整が可能であるものを用いた。Tダイのリップ(吐出口を構成する部材)はフィルム幅方向に7つの領域に分割され、各領域毎に温度調節が可能である。吐出後には、キャストロールとタッチロールで挟み込みつつ引き取ることでフィルムを冷却固化した。エアギャップ長(ダイ出口から、ロールとの接触点に至るまでのフィルム状溶融樹脂の長さ)は85mmに設定した。よって、エアギャップ長λmm、吐出量Qkg/h、ダイの出口の幅Lmとしたとき、λ/(Q/L)が1.2となる。なお、Tc=260℃のときの溶融粘度は、せん断速度122sec−1で測定した場合、8100poiseであった。キャストロールは直径200mmの剛体ロールを用い、オイル温調を用いてロール温度100℃とし、速度(引き取り速度)17m/分で回転させ60μmのフィルムを製膜した。タッチロールとしては、金属製スリーブを有した弾性ロールを用いた。
各実施例および比較例では、図1で示した製造装置を使用した。押出機としては、直径65mmの単軸押出機を使用し、窒素ラインを設置したホッパーから、製造例3で製造したペレットを供給した。吐出量が130kg/時間の一定となるように、ギアポンプの回転数を10.45rpmとした。Tダイとしては、フィルム幅方向のダイ出口の幅が1850mmで、手動偏肉ボルトによりリップクリアランス(フィルム厚み方向におけるダイ吐出口の高さ)の調整が可能であるものを用いた。Tダイのリップ(吐出口を構成する部材)はフィルム幅方向に7つの領域に分割され、各領域毎に温度調節が可能である。吐出後には、キャストロールとタッチロールで挟み込みつつ引き取ることでフィルムを冷却固化した。エアギャップ長(ダイ出口から、ロールとの接触点に至るまでのフィルム状溶融樹脂の長さ)は85mmに設定した。よって、エアギャップ長λmm、吐出量Qkg/h、ダイの出口の幅Lmとしたとき、λ/(Q/L)が1.2となる。なお、Tc=260℃のときの溶融粘度は、せん断速度122sec−1で測定した場合、8100poiseであった。キャストロールは直径200mmの剛体ロールを用い、オイル温調を用いてロール温度100℃とし、速度(引き取り速度)17m/分で回転させ60μmのフィルムを製膜した。タッチロールとしては、金属製スリーブを有した弾性ロールを用いた。
(評価方法)
厚みムラ評価に関しては、製造されたフィルムについて、フィルムの幅方向におけるフィルム中央およびフィルム端面から200mmの位置で、それぞれ、フィルム厚みを、フィルムの長手方向に6mmピッチで30mの長さにわたって測定した。測定された厚みのうち最大厚みと最小厚みを決定し、両者の差を厚みムラの値とした。
厚みムラ評価に関しては、製造されたフィルムについて、フィルムの幅方向におけるフィルム中央およびフィルム端面から200mmの位置で、それぞれ、フィルム厚みを、フィルムの長手方向に6mmピッチで30mの長さにわたって測定した。測定された厚みのうち最大厚みと最小厚みを決定し、両者の差を厚みムラの値とした。
(配向複屈折)
フィルムから40mm×40mmの試験片を切り出した後、測製自動複屈折計(KOBRA−WR)を用いて、波長590nm、入射角0°にて面内位相差を測定し、試験片厚みで除し配向複屈折を算出した。
フィルムから40mm×40mmの試験片を切り出した後、測製自動複屈折計(KOBRA−WR)を用いて、波長590nm、入射角0°にて面内位相差を測定し、試験片厚みで除し配向複屈折を算出した。
(光弾性定数)
フィルムからフィルム幅方向90mm×フィルム長手方向15mmの短冊状に試験片を切り出した後、王子計測製自動複屈折計(KOBRA−WR)を用いて、波長590nm、入射角0°にて測定した。測定は、フィルムの長辺の一方を固定し、長辺の他方に無荷重から4kgfまで0.5kgfずつ荷重をかけた状態で複屈折を測定し、得られた結果から単位応力による複屈折の変化量を算出した。
フィルムからフィルム幅方向90mm×フィルム長手方向15mmの短冊状に試験片を切り出した後、王子計測製自動複屈折計(KOBRA−WR)を用いて、波長590nm、入射角0°にて測定した。測定は、フィルムの長辺の一方を固定し、長辺の他方に無荷重から4kgfまで0.5kgfずつ荷重をかけた状態で複屈折を測定し、得られた結果から単位応力による複屈折の変化量を算出した。
(実施例1)
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=0.9に設定した。その結果、得られたフィルムの中央部の厚みムラは2μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは2μmであった。得られたフィルムの配向複屈折は0.5×10−4であり、光弾性定数は0.35×10−12Pa−1であった。
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=0.9に設定した。その結果、得られたフィルムの中央部の厚みムラは2μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは2μmであった。得られたフィルムの配向複屈折は0.5×10−4であり、光弾性定数は0.35×10−12Pa−1であった。
(実施例2)
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=1.1に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは3μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは3μmであった。
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=1.1に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは3μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは3μmであった。
(実施例3)
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=0.5に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは3μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは3μmであった。
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=0.5に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは3μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは3μmであった。
(比較例1)
Tダイの温度は、全幅260℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは270℃であり、Tc−Te=−10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、端部の吐出速度を調整し、De/Dc=0.9に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは5μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは15μmであった。
Tダイの温度は、全幅260℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは270℃であり、Tc−Te=−10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、端部の吐出速度を調整し、De/Dc=0.9に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは5μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは15μmであった。
(比較例2)
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=2.0に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは8μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは17μmであった。
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=2.0に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは8μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは17μmであった。
(比較例3)
Tダイの温度は、全幅260℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは270℃であり、Tc−Te=−10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=2.0に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは15μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは30μmであった。
Tダイの温度は、全幅260℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは270℃であり、Tc−Te=−10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=2.0に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは15μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは30μmであった。
(比較例4)
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=0.4に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは10μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは20μmであった。
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=0.4に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは10μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは20μmであった。
(比較例5)
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より30℃低い230℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは235℃であり、Tc−Te=25℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=1.0に設定した。その結果、フィルム端部で端切れが発生した。
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より30℃低い230℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは235℃であり、Tc−Te=25℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、De/Dc=1.0に設定した。その結果、フィルム端部で端切れが発生した。
(製造例4)
<樹脂ペレットの製造>
直径40mmのフルフライトスクリューを用いた単軸押出機を用い、押出機の温度調整ゾーンの設定温度を255℃、スクリュー回転数を52rpmとし、ポリメタクリル酸メチル53重量部、および白色粉末状のグラフト共重合体(B2)47重量部の混合物を、10kg/hrの割合で供給した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
<樹脂ペレットの製造>
直径40mmのフルフライトスクリューを用いた単軸押出機を用い、押出機の温度調整ゾーンの設定温度を255℃、スクリュー回転数を52rpmとし、ポリメタクリル酸メチル53重量部、および白色粉末状のグラフト共重合体(B2)47重量部の混合物を、10kg/hrの割合で供給した。押出機出口に設けられたダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した。
フィルム製造方法は、(製造例3)と同様である。
(実施例4)
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=1.0に設定した。その結果、得られたフィルムの中央部の厚みムラは1μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは1μmであった。
Tダイの温度は、中央部のリップ温度を260℃、幅方向両端部のリップ温度を中央部より20℃低い240℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは250℃であり、Tc−Te=10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、幅方向両端部の吐出速度を調整し、De/Dc=1.0に設定した。その結果、得られたフィルムの中央部の厚みムラは1μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは1μmであった。
(比較例6)
Tダイの温度は、全幅260℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは270℃であり、Tc−Te=−10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、端部の吐出速度を調整し、De/Dc=2.0に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは10μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは15μmであった。
Tダイの温度は、全幅260℃に設定した。非接触式温度計にてTダイ吐出直後の溶融樹脂温度を計測すると、フィルム中央部の樹脂温度Tcは260℃、両端部の樹脂温度Teは270℃であり、Tc−Te=−10℃であった。幅方向両端部の偏肉ボルトを締め、幅方向両端部の偏肉ボルトを操作することで、端部の吐出速度を調整し、De/Dc=2.0に設定した。得られたフィルムの中央部の厚みムラは10μm、端面から200mm離れた位置の厚みムラは15μmであった。
10 押出機
11 ダイ
12 ダイ出口
13 フィルム形状の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物
14 弾性ロール
15 キャストロール
16 冷却ロール
17 ギアポンプ
11 ダイ
12 ダイ出口
13 フィルム形状の溶融状態にある熱可塑性樹脂組成物
14 弾性ロール
15 キャストロール
16 冷却ロール
17 ギアポンプ
Claims (11)
- 溶融状態にあるフィルム状の熱可塑性樹脂組成物を、押出機のダイ出口から吐出し、一対のロールで引き取りながら冷却固化してフィルムを製造する方法であって、
ダイ出口におけるフィルム端部の熱可塑性樹脂組成物温度Teが、ダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tcに対し次式(1)を満足し、かつ、フィルム端部のドラフト比Deが、フィルム中央部のドラフト比Dcに対し、次式(2)を満足する、フィルムの製造方法。
(1)0℃≦Tc−Te≦20℃
(2)0.5≦De/Dc≦1.1 - エアギャップ長λmm、吐出量Qkg/h、ダイ出口の幅Lmが、0.5≦λ/(Q/L)≦1.5の関係を満足する、請求項1に記載のフィルムの製造方法。
- 製造されるフィルムの厚みが、40μm以上200μm以下である、請求項1または2に記載のフィルムの製造方法。
- 前記熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度が、ダイ出口におけるフィルム中央部の熱可塑性樹脂組成物温度Tc、および、せん断速度122sec−1で測定した際に7000poise以上20000poise以下である、請求項1〜3のいずれかに記載のフィルムの製造方法。
- ゴム状重合体を含有するアクリル系樹脂組成物からなり、フィルムの長手方向における厚みムラが4μm以下である、アクリル系樹脂フィルム。
ここで、前記厚みムラとは、フィルムの幅方向における中央地点を、フィルムの長手方向に6mmピッチで30mの長さにわたってフィルムの厚みを測定し、測定された厚みのうち最大値と最小値との差をいう。 - フィルムの長手方向における端部厚みムラが4mm以下である、請求項5に記載のアクリル系樹脂フィルム。
ここで、前記端部厚みムラとは、フィルムの幅方向における端面から200mmの地点を、フィルムの長手方向に6mmピッチで30mの長さにわたってフィルムの厚みを測定し、測定された厚みのうち最大値と最小値との差をいう。 - 前記アクリル系樹脂組成物が、N−置換マレイミド構造含有アクリル系樹脂、無水グルタル酸構造含有アクリル系樹脂、ラクトン環構造含有アクリル系樹脂、グルタルイミドアクリル系樹脂、ならびに、水酸基および/またはカルボキシル基含有アクリル系樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含む、請求項5〜6のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂フィルム。
- 前記ゴム状重合体が、ゴム状重合体の存在下、脂環式構造、複素環式構造または芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体を含有する単量体混合物を重合して得られるものである、請求項5〜7のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂フィルム。
- 光弾性定数が−10×10−12から4×10−12Pa−1である、請求項5〜8のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂フィルム。
- 配向複屈折が−1.7×10−4から1.7×10−4である、請求項5〜9のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂フィルム。
- 光学用フィルムである、請求項5〜10のいずれか一項に記載のアクリル系樹脂フィルム。
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-
2014
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