JP6783542B2 - 光学フィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、光学フィルムの製造方法に関するものである。
近年、ノート型パソコン、ワードプロセッサ、携帯電話、携帯情報端末等の小型化・薄型化・軽量化にともない、これらの電子機器に軽量・コンパクトという特長を生かした液晶表示装置が多く用いられるようになってきている。液晶表示装置には、その表示品位を保つために偏光フィルム等の各種フィルムが用いられている。また、携帯情報端末や携帯電話向けに液晶表示装置を更に軽量化するため、ガラス基板の代わりに樹脂フィルムを用いた液晶表示装置も実用化されている。
液晶表示装置のように偏光を取り扱う装置に用いるプラスチックフィルムには、適切な機械的特性と、高度に制御されたフィルム面内およびフィルム厚み方向の複屈折とが要求される。上記のプラスチックフィルムの機械的特性を改善し、かつ、フィルム面内およびフィルム厚み方向の複屈折を高度に制御しつつ付与するためには、フィルムの製造工程において、二軸延伸を必要とする。この場合の二軸延伸としては、逐次二軸延伸と同時二軸延伸が挙げられるところ、縦横の逐次延伸からなる逐次二軸延伸が一般的である。ここで、逐次二軸延伸における一軸目の縦延伸の方法として、ロール縦延伸法やゾーン縦延伸法が用いられる。
逐次二軸延伸において、縦方向、つまりフィルムの搬送方向に延伸したフィルムをテンター内でフィルムを加熱しながら横方向、つまりフィルムの搬送方向と直交する方向に延伸する方法が一般的である。しかし、靭性に乏しい樹脂からなるフィルムは、縦延伸したフィルム中の樹脂が縦に配向し、フィルムが裂けやすくなっている。
特許文献1には、延伸を行う際における破断を防止することができるフィルムの製造方法として、第1の熱可塑性樹脂からなる中央部と、幅方向において前記中央部の両端に形成され、第2の熱可塑性樹脂からなる両端部とを備える複合フィルムを形成する複合フィルム形成工程を有する延伸フィルムの製造方法が記載されている。
特許文献2には、特定組成比の連続相(a)に、分散相(b)として屈折率及び平均粒子径が制御された、多層構造を有するゴム質含有共重合体粒子を特定量含有する光学フィルムによって、優れた靭性を有し、且つ、透明性を維持した光弾性係数の小さい光学フィルムを提供することが記載されている。
特開2015−134450号公報 特開2012−052023号公報
特許文献1に記載の製造方法によれば、中央部と両端部で異なる種類の熱可塑性樹脂フィルムを用いるため強大な設備投資や、複数種類の熱可塑性樹脂成分を調製する負担等が伴い、好ましくない。また、特許文献2のような多層構造を有するゴム質含有共重合体粒子を単に含有するだけでは、光学フィルムの延伸工程後、特に逐次二軸延伸後のフィルムの破断の抑制は不十分であった。
本発明は、延伸工程後の破断を抑制して、製造効率が向上した光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、特定条件下で延伸することにより、延伸工程後の破断を抑制して、製造効率が向上した光学フィルムの製造方法を提供することができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる光学フィルムの延伸工程において、
前記延伸工程が、搬送方向の延伸及び前記搬送方向と直交する方向の延伸を含み、
前記搬送方向に延伸する時の前記光学フィルム最端部の温度Te[℃]及び前記光学フィルム中央部の温度Tc[℃]が、それぞれ下記式(1)及び(2)で示される関係を満たす、光学フィルムの製造方法に関する。
Te>Tg+25 (1)
Tg−10≦Tc≦Tg+25 (2)
Tg=前記樹脂組成物のガラス転移温度
前記延伸工程が、前記搬送方向の延伸の後に、前記搬送方向と直交する方向の延伸を含むことが好ましい。
前記樹脂組成物が、前記非晶性の熱可塑性樹脂100重量部に対し、前記ゴム質含有共重合体を5重量部以上40重量部以下含むことが好ましい。
前記搬送方向の延伸の延伸倍率が1.8以上であることが好ましい。
前記非晶性の熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂であることが好ましい。
本発明によれば、延伸工程後の破断を抑制して、製造効率が向上した光学フィルムの製造方法を提供することができる。
光学フィルム最端部を説明する概略図である。 ロール延伸の方法の一例を示す図である。 ロール延伸の方法の一例を示す図である。 テンター延伸の方法の一例を示す図である。 曲強度の評価方法を説明する図である。
本発明の光学用途フィルムの製造方法について以下、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。本発明の光学フィルムの製造方法は、ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる光学フィルムの延伸工程において、前記延伸工程が、搬送方向の延伸及び前記搬送方向と直交する方向の延伸を含み、前記搬送方向に延伸する時の前記光学フィルム最端部の温度Te[℃]及び前記光学フィルム中央部の温度Tc[℃]が、それぞれ下記式(1)及び(2)で示される関係を満たすものである。
Te>Tg+25 (1)
Tg−10≦Tc≦Tg+25 (2)
Tg=前記樹脂組成物のガラス転移温度
[延伸工程]
光学フィルムの延伸工程としては、主に、フィルムの搬送方向、搬送方向と直交する方向、並びにフィルムの搬送方向および当該搬送方向と直交する方向に延伸する場合等が挙げられる。以下、光学フィルムを単にフィルムと称する場合がある。
(搬送方向の延伸)
フィルムの搬送方向に延伸する方法について詳述する。フィルムをその搬送方向に延伸する方法として、ロール延伸がある。ロール延伸は、フィルムを近接した低周速ロール及び高周速ロールによって所定の温度に加熱しながらフィルムの搬送方向に延伸する方法である。延伸中のフィルムを安定して搬送するために、ニップロールのついたロールで延伸することが好ましい。なお、搬送方向の延伸を縦延伸ともいう。
ロール延伸の方法としては、特に限定されないが、周速の異なる2本のロールによって延伸を行う一段延伸と3本以上の延伸ロールによって延伸を行う多段延伸などがあり、剥離ムラ及びヘイズを制御するために、後者の多段延伸により延伸を行うことが好ましい。なお、剥離ムラ(剥離紋)とは、延伸ロール等を用いてフィルムを延伸する工程において、フィルムが延伸ロールから離れるときにでき、フィルム長手方向に等間隔に発生するフィルム幅方向のスジである。なお、フィルム温度が不均一の状態で延伸を行いフィルム厚みが安定しないような延伸ムラとは異なる。
2本以上の延伸ロールのうち、少なくとも最下流側の延伸ロールの周速が、最上流側の延伸ロールの周速よりも速いことにより延伸することができる。
また、ロール延伸は、近接した周速の異なる少なくとも一組のロールである低周速ロール及び高周速ロールによって、フィルムを所定の温度に加熱しながらフィルムの搬送方向に延伸することが好ましい。その方法としては、特に制限されないが、前記周速の異なる一組のロールによって延伸を行う一段延伸と、二組以上のロールによって延伸を行う多段延伸などがあげられ、後者の二組以上のロールによって延伸を行う多段延伸により延伸を行うことが好ましい。
ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる光学フィルムを搬送方向に延伸する時、前記光学フィルム最端部の温度Te[℃]は、下記式(1)で示される関係を満たす必要がある。
Te>Tg+25 (1)
Tg=前記樹脂組成物のガラス転移温度
また、光学フィルム最端部の温度Te[℃]の下限値としては、Te≧Tg+30であることが好ましく、Te≧Tg+50であることがより好ましい。そして、光学フィルム最端部の温度Te[℃]の上限値としては、Te≦Tg+70であることが好ましく、Te≦Tg+60であることがより好ましい。これにより、光学フィルムが搬送方向に延伸された後、そのフィルム最端部は、より曲強度に優れ、靱性に優れたものとなる。
さらに、最端部の温度Te[℃]は、後述する光学フィルム中央部の温度Tc[℃]に比べて、15℃以上高くすることが好ましく、20℃以上高くすることがより好ましく、30℃以上高くすることがより好ましい。
ここで最端部とは、図1に示すように、フィルムの端51から、フィルム5の搬送方向と直角の方向、つまり、フィルム5の幅方向に、内側40mmまでの範囲52をいう。また、最端部は、後述のテンター法を用いた延伸を行う際にクリップで把持される領域でもある。
また、光学フィルムの最端部の温度Te[℃]は、搬送方向への延伸中に非接触放射温度計を用いて測定することができる。例えば、搬送方向への延伸中にフィルム端部をエッジヒーターを用いて加熱する場合において、フィルムがエッジヒーターを通過した直後の箇所を測定するなど、延伸時の光学フィルムの最端部の温度Te[℃]が最も高温となる温度を測定することができる。
光学フィルム最端部の温度Te[℃]の調整は、エッジヒーターとして、IRヒーター等を用いることにより行うことができる。エッジ―ヒーターは2本以上の延伸ロールの内最下流の延伸ロール前に設置してもよい。
エッジヒーターを用いることにより、延伸ロールによって搬送方向に延伸されて、搬送方向に配向、つまり縦配向となった非晶性の熱可塑性樹脂の分子の配向を緩和させることができる。これにより、搬送方向に延伸した後に搬送方向と直交する方向に延伸するような場合でも、フィルムの破断を抑制することができる。そして、フィルムの破断に起因する製造工程の歩留りの低下も抑制することができ、製造効率を向上することができる。
ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる光学フィルムを搬送方向に延伸する時、前記光学フィルム中央部の温度Tc[℃]は、下記式(2)で示される関係を満たす必要がある。
Tg−10≦Tc≦Tg+25 (2)
Tg=前記樹脂組成物のガラス転移温度
光学フィルム中央部の温度Tc[℃]の下限値としては、Tg−5≦Tcであることが好ましく、Tg±0≦Tcであることがより好ましく、Tg+10≦Tcであることがさらに好ましく、Tg+15≦Tcであることが最も好ましい。光学フィルム中央部の温度Tc[℃]がTg−10>Tcであると、フィルムが破断し、延伸できない場合があり、Tc>Tg+25であると、ヘイズ値の増加が生じる場合がある。
光学フィルム中央部の温度Tc[℃]は、搬送方向への延伸中に延伸ロールのロール表面温度を熱電対を用いて測定することにより求めることができる。また、例えば、搬送方向への延伸中にフィルムを加熱炉を用いて加熱する場合において、加熱炉内に設置する熱電対を用いて測定することができる。
また、ガラス転移温度Tgの測定方法は次の通りである。セイコーインスツルメンツ製の示差走査熱量分析装置(DSC)SSC−5200を用い、試料を一旦200℃まで25℃/分の速度で昇温した後10分間ホールドし、25℃/分の速度で50℃まで温度を下げる予備調整を経て、10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する間の測定を行い、得られたDSC曲線から積分値を求め(DDSC)、その極大点からガラス転移温度Tgを求めることができる。
(搬送方向と直交する方向の延伸)
フィルムをその搬送方向と直交する方向に延伸する方法について詳述する。フィルムをその搬送方向と直交する方向に延伸する方法として、テンター法がある。テンター法は、クリップでフィルムを把持してフィルムの横端部をクリップで保持して搬送しながら、両側のクリップの距離を広げることで、フィルムを幅方向に引き延ばす方法である。なお、クリップでフィルムを把持する代わりにテンターピンでフィルムを固定する場合もある。
クリップでフィルムを把持するテンター延伸機は、一般的にクリップ走行装置と加熱装置とから構成される。クリップ走行装置では、フィルムの幅方向の両端部を複数のクリップで挟み、そのクリップを1対のガイドレール上を走行させることで、フィルムを搬送する。このとき、クリップ走行装置が備える1対のガイドレールの間隔を、搬送方向に進むに従って開いていき、クリップ間の距離を広げることによって、フィルムが幅方向に延伸される。また、クリップを1対のガイドレール上の一方および他方のガイドレール上を異なる速度で走行することにより、斜めに延伸してもよい。
本発明の延伸工程においては、搬送方向の延伸及び前記搬送方向と直交する方向の延伸が含まれるところ、このように二軸方向の延伸を含む延伸を二軸延伸という。二軸延伸の方法としては、搬送方向の延伸と搬送方向と直交する方向の延伸を分離して行う逐次二軸延伸法のほか、搬送方向の延伸と搬送方向と直交する方向の延伸を同時に行う同時二軸延伸法が挙げられる。ここで、搬送方向と直交する方向の延伸は、搬送方向の延伸の後に行うことが好ましい。搬送方向の延伸と搬送方向と直交する方向の延伸を同時に行う場合に比べて、延伸条件を容易に調整することができ、多量のフィルムを短時間で製造することができる。クリップでフィルムを把持するテンター延伸機においては、例えば、フィルムの幅方向のみならず、フィルムの搬送方向に対してもクリップの拡縮機能を備えることにより同時二軸延伸も可能となる。
テンター法において、クリップでフィルムの両側を把持すると、その把持部分には、特に負荷がかかる。このため、フィルムは、クリップによる把持から解放された後、把持部分の変形、変質、破断等が生じる可能性がある。特に、逐次二軸延伸法として、搬送方向の延伸の後にテンター法を用いて搬送方向と直交する方向の延伸を行う場合には、クリップでフィルムを把持する前に、フィルム中の非晶性の熱可塑性樹脂の分子が搬送方向に配向するので、一般的には、クリップによって把持された部分が破断しやすい。しかしながら、搬送方向に延伸する時の前記光学フィルム最端部の温度Te[℃]及び光学フィルム中央部の温度Tc[℃]を、それぞれ下記式(1)及び(2)で示される関係を満たすようすることによって、クリップよる把持部分のフィルム破断が抑制される。
Te>Tg+25 (1)
Tg−10≦Tc≦Tg+25 (2)
Tg=前記樹脂組成物のガラス転移温度
延伸工程について、以下具体例を示して詳細に説明する。図2および図3は、二組以上のロールによってフィルムの搬送方向に延伸を行う場合の連続した二組のロールを説明する図面を示しているところ、延伸ロール1および延伸ロール2にそれぞれ近接するニップロール3およびニップロール4によってフィルム5が挟持される部分をそれぞれ挟持部6、および挟持部7とする。フィルムの搬送方向にフィルムを延伸する方法としては、図2に示すように、隣り合う挟持部間においてフィルムが延伸ロールに接触し、接触領域8〜10を備える方法と、図3に示すように前記隣り合う挟持部間においてフィルムが延伸ロールに接触せず、接触領域9を備えない方法とがあげられる。後者に示すような隣り合う挟持部間においてフィルムが各ロールに接触せず、接触領域9を備えない方法を用いることが好ましい。接触領域が小さいとフィルムがロールから剥離しやすいためである。なお、接触領域とは、挟持部を除き、フィルムが延伸ロールに接触する領域をいう。
図2および図3に示されるようなロールを用いて、フィルムの搬送方向に延伸した後、さらに搬送方向に直交する方向に延伸する方法として、テンター法を用いる場合について図4を用いて説明する。テンター延伸機21は、クリップ22および1対のガイドレール23からなるクリップ走行装置、並びに加熱装置(図示しない)を備える。把持開始点24にてフィルム5の両端部を多数のクリップ22で挟み、予熱領域25にてフィルムを延伸可能な温度まで加熱する。次に、延伸領域26にて、搬送方向に進むに従って間隔が開く1対のガイドレール24に沿ってクリップ22間の距離を広げることによって、フィルムを幅方向に延伸する。その後は、搬送領域27にて一定のクリップ22間の距離にてフィルムを搬送する。搬送領域27では、フィルムフィルムに高熱を付与して熱収縮特性を調整する熱処理を行ってもよい。さらに、フィルムがテンター延伸機を出る前にフィルムを冷却する冷却領域を設けてもよい。
好ましいフィルムの搬送方向の延伸倍率は延伸温度にも依存するが、例えば、1.1以上3.0以下の範囲で選択されることが好ましい。その下限値としては、1.3以上とすることがより好ましく、18以上とすることがさらに好ましい。その上限値としては、2.7以下とすることがより好ましく、2.4以下とすることがさらに好ましい。延伸倍率が1.1未満の場合、フィルムは延伸する工程にて実質的に殆ど延伸されていないため、フィルムの機械的特性を充分に改善することができない。これにより、延伸後のフィルムは破断しやすくなる。延伸倍率が3.0を超える場合は、延伸前のフィルムが厚くなりすぎてしまい、延伸前にフィルムが破断してしまう。
フィルムの搬送方向の延伸倍率とは、最上流側の延伸ロールと最下流側の延伸ロールの周速比によって定義されるものである。すなわち以下の式により表される。
フィルムの搬送方向の延伸倍率=(最下流側の延伸ロールの周速)/(最上流側の延伸ロールの周速)
フィルムの搬送方向と直交する方向の延伸倍率は、搬送方向の延伸の倍率と同じであることが好ましい。延伸倍率が異なると、均一な光学特性が得られないためである。ここで、フィルムの搬送方向と直交する方向の延伸倍率は、テンター法を用いる場合、テンター延伸機に入るフィルム幅に対するテンター延伸機を出るフィルム幅の割合により表される。
搬送方向に延伸したフィルムを、さらにフィルムの搬送方向と直交する方向に延伸するときのフィルムの搬送方向と直交する方向の延伸温度は、Tg−5(℃)以上Tg+40(℃)以下であることが好ましい。フィルムの搬送方向と直交する方向の延伸温度Tg−5(℃)未満であると、フィルムが破断し、延伸できない場合があり、Tg+40(℃)を超えると搬送方向の厚み変動が激しくなり、光学用途として使用できないためである。ここで、フィルムの搬送方向と直交する方向の延伸温度は、テンター延伸機内の温度である。テンター延伸機内の温度は、熱電対の設置により測定することができる。
[成形工程]
上述した光学フィルムの延伸工程の前においては、ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなるフィルムを成形する成形工程を有することが好ましい。この成形工程において、成形の方法については、特に制限は無く、従来公知の任意の方法が可能である。例えば、特開2002−212312に記載する方法を用いることが好ましい。
例えば、溶液流延法や溶融押出法などが挙げられる。そのいずれをも採用することができるが、溶剤を使用しない溶融押出法の方が、地球環境上や作業環境上、あるいは製造コストの観点から好ましい。
フィルムを成形する前に、原料として用いるゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を予備乾燥する工程を経ることが好ましい。フィルム中の発泡の原因となる可能性がある原料中に残揮するメタノールを取り除き、発泡の発生をさらに低減するためである。乾燥する工程は、例えば原料をペレットなどの形態にして、熱風乾燥機などで行われる。
原料がアクリル系樹脂を含む組成物である場合、ペレット中のメタノールが500ppm以下になるようにすることが好ましい。
乾燥工程における乾燥条件として、メタノール除去の他に樹脂中の水分を除去するため、温度は、80℃以上120℃以下が好ましく、乾燥時間は、5hr以上が好ましい。
溶融押出法を用いる場合、まずゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物を押出機に供給する。押出機内で加熱溶融された樹脂組成物は、ギアポンプやフィルターを通して、Tダイに供給される。ギアポンプの使用は、樹脂の押出量の均一性を向上させ、厚みムラを低減させる効果が高く非常に有用である。また、フィルターの使用は、樹脂組成物中の異物を除去し欠陥の無い外観に優れたフィルムを得るのに有用である。
次に、Tダイから押し出されるシート状の溶融樹脂を2つの冷却ドラムで挟み込んで冷却することによりフィルムが成形される。2つの冷却ドラムのうち、一方が、表面が平滑な剛体性の金属ドラムであり、もう一方が、表面が平滑な弾性変形可能な金属製弾性外筒を備えたフレキシブルドラムであることが好ましい。剛体性のドラムとフレキシブルなドラムとで、Tダイから押し出されるシート状の溶融樹脂を挟み込んで冷却してフィルムを成形することにより、表面の微小な凹凸やダイラインなどが矯正されて、表面の平滑な、厚みむらが5μm以下であるフィルムを得ることが出来るためである。
なお、冷却ドラムは、「タッチロール」あるいは「冷却ロール」と呼ばれることがあるが、本明細書中における用語「冷却ドラム」とは、これらのロールを包含する。
成形後のフィルムの厚みは挟み込みによるタッチ抜けが発生し得るため、40μm以上であることが好ましく、60μm以上であることがより好ましく、さらに好ましくは100μm以上である。ここで、タッチ抜けとは、冷却ドラムの面と接触していないフィルムの部分が発生することにより生じる欠陥をいう。
[巻き取り工程]
上述した光学フィルムの延伸工程の後においては、このフィルムを巻き取る工程を有してもよい。フィルムを巻き取る速度は、5m/分〜50m/分であることが好ましく、10m/分〜45m/分であることがより好ましく、15m/分〜40m/分であることがさらに好ましい。
[ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物]
本発明の光学フィルムの製造方法においては、その光学フィルムを構成する樹脂組成物がゴム質含有共重合体を含むことにより、得られる光学フィルムの靱性を高め、柔軟性に優れたものとすることができ、延伸工程後の破断を抑制することができる。
ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物としては、例えば、アクリル系樹脂組成物が挙げられる。機械的強度を向上させる目的である。この形態においては、非晶性の熱可塑性樹脂が不飽和カルボン酸エステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分であってもよいし、ゴム質含有共重合体が不飽和カルボン酸エステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分であってもよい。もちろん、非晶性の熱可塑性樹脂およびゴム質含有共重合体がともに飽和カルボン酸アルキルエステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分を含むものであってもよい。
非晶性の熱可塑性樹脂が不飽和カルボン酸エステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分である場合、ゴム質含有共重合体としては特に限定されないが、透明性などの観点から、アクリル系ゴム状重合体を好適に使用できる。
(ゴム質含有共重合体)
ゴム質含有共重合体としては、ゴム含有グラフト共重合体であることが好ましい。ゴム含有グラフト共重合体は、ゴム状重合体の存在下に、ビニル単量体などからなる単量体混合物を一段以上重合させることによって得ることができる。ゴム含有グラフト共重合体としては、1以上のゴム質重合体を含む層と、それとは異種の重合体から構成される1以上の層から構成され、かつ、内部に1層以上のゴム質重合体を含む層を有する構造の、いわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造重合体を製造してもよい。
ゴム含有グラフト共重合体としては、ガラス転移温度が20℃未満である重合体であればよく、例えば、ブタジエン系架橋重合体、(メタ)アクリル系架橋重合体、オルガノシロキサン系架橋重合体などが挙げられる。なかでも、フィルムの耐候性(耐光性)、透明性の面で、(メタ)アクリル系架橋重合体(アクリル系ゴム状重合体)が特に好ましい。アクリル系ゴム状重合体としては、例えばABS樹脂ゴム、ASA樹脂ゴムが挙げられる。
ゴム含有グラフト共重合体としては、透明性等の観点から、以下に示すアクリル酸エステル系ゴム状重合体を含むアクリル系グラフト共重合体を好ましく用いることができる。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体としては、アクリル酸エステル系ゴム状重合体の存在下に、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸単量体を含む単量体混合物を一段以上重合して得られるものが好適である。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体は、アクリル酸エステルを主成分としたゴム状重合体が好ましく、具体的には、アクリル酸エステル50〜100重量%および共重合可能な他のビニル系単量体50〜0重量%からなる単量体または単量体混合物100重量部に対して、1分子あたり2個以上の非共役な反応性二重結合を有する多官能性単量体0.05〜10重量部を重合させてなるものが好ましい。単量体を全部一度に混合して重合させてもよく、また単量体の組成を反応段階ごとに変化させて2段以上で使用してもよい。
アクリル酸エステルとしては、重合性やコストの点よりアクリル酸アルキルエステルが好ましく、アルキル基の炭素数1〜12のものを用いることがより好ましい。例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェノキシエチル、アクリル酸フェニル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸グリシジル等があげられ、これらの単量体は2種以上併用してもよい。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体を得るための重合に用いる単量体混合物のうち、アクリル酸エステル量は、単量体混合物100重量%において50重量%以上100重量%以下が好ましく、60重量%以上99重量%以下がより好ましく、70重量%以上99重量%以下がさらに好ましく、80重量%以上99重量%以下が最も好ましい。50重量%未満では耐衝撃性が低下し、引張破断時の伸びが低下し、フィルム切断時にクラックが発生しやすくなる傾向がある。
共重合可能な他のビニル系単量体としては、耐候性、透明性の点より、メタクリル酸エステルが特に好ましく、例えばメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸フェノキシエチル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸グリシジル等があげられる。また、芳香族ビニル類およびその誘導体、及びシアン化ビニル類も好ましく、例えば、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等があげられる。その他、無置換及び/又は置換無水マレイン酸類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエステル、ハロゲン化ビニリデン、(メタ)アクリル酸およびその塩、(ヒドロキシアルキル)アクリル酸エステル等が挙げられる。
多官能性単量体は通常使用されるものでよく、例えばアリルメタクリレート、アリルアクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジビニルアジペート、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチルロールプロパントリメタクリレート、テトロメチロールメタンテトラメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレートおよびこれらのアクリレート類などを使用することができる。これらの多官能性単量体は2種以上使用してもよい。
多官能性単量体の量は、単量体混合物の総量100重量部に対して、0.05〜10重量部が好ましく、0.1〜5重量部がより好ましい。多官能性単量体の添加量が0.05重量部未満では、架橋体を形成できない傾向があり、10重量部を超えても、フィルムの耐割れ性が低下する傾向がある。
ゴム含有グラフト共重合体のゴム状重合体(ゴム状重合体層までのゴム状粒子)の平均粒子径は、20〜450nmが好ましく、20〜400nmがより好ましく、30〜150nmが更に好ましく、40〜250nmが最も好ましい。20nm未満では光学フィルムの耐割れ性が悪化する場合がある。一方、450nmを超えると光学フィルムの透明性が低下する場合がある。なお、平均粒子径は、動的散乱法により、例えば、株式会社 日立ハイテクノロジーズのU−5100形レシオビーム分光光度計により、546nmの波長の光散乱を用いて測定することができる。
ゴム含有グラフト共重合体は、アクリル酸エステル系ゴム状重合体5〜90重量部(より好ましくは、5〜75重量部)の存在下に、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸単量体を含む単量体混合物95〜25重量部を少なくとも1段階で重合させることにより得られるものが好ましい。
フィルムの硬度、剛性の観点から、グラフト共重合体組成(単量体混合物)においてはメタクリル酸エステルは50重量%以上含まれることが好ましい。グラフト共重合に用いられる単量体としては、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、これらを共重合可能なビニル系単量体を同様に使用でき、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステルが好適に使用される。非晶性の熱可塑性樹脂がアクリル系樹脂である場合、アクリル系樹脂との相溶性の観点からメタクリル酸メチル、ジッパー解重合を抑制する点からアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチルが好ましい。
不飽和カルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、上述の例示が同様に使用できる。不飽和カルボン酸単量体としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸の塩、マレイン酸、無水マレイン酸の加水分解物などが使用できるが、(メタ)アクリル酸およびその塩が好ましい。(メタ)アクリル酸の塩としては、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどが挙げられる。不飽和カルボン酸単量体の使用量は、単官能性単量体(不飽和カルボン酸単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量)の総量100重量%において0.1〜30重量%が好ましく、0.1〜20重量%がより好ましく、0.1〜15重量%がさらに好ましく、0.1〜10重量%がよりさらに好ましく、0.1〜7重量%が最も好ましい。前記単量体混合物を重合してなる重合体層中に不飽和カルボン酸単量体の構造が存在することにより、不飽和カルボン酸単量体のカルボキシル基、及び(メタ)アクリル酸の隣に存在する不飽和カルボン酸エステルのエステル基が、成形加工時に脱アルキルアルコール化することにより環化し、酸無水物構造を取る。たとえば、(メタ)アクリル酸の隣が(メタ)アクリル酸メチルであれば、脱メタノール反応が起こり、酸無水物構造となる。ここでいう、これと共重合可能な他の単官能性単量体には、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体が同様に使用できる。
前記単量体混合物には、光学的等方性に優れる観点からは、脂環式構造、複素環式構造または芳香族基を有する(メタ)アクリル系単量体(「環構造含有(メタ)アクリル系単量体」と称する。)が好ましく使用でき、具体的には(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチルが挙げられる。その使用量は、単量体混合物の総量(環構造含有(メタ)アクリル系単量体およびこれと共重合可能な他の単官能性単量体の総量)100重量%において1〜99.1重量%が好ましく、5〜70重量%がより好ましく、5〜50重量%が最も好ましい。ここでいう、これと共重合可能な他の単官能性単量体には、前述のメタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、共重合可能な他のビニル系単量体が同様に使用できる。
アクリル酸エステル系ゴム状重合体に対するグラフト率は、10〜250%が好ましく、より好ましくは40〜230%、最も好ましくは60〜220%である。グラフト率が10%未満では、成形体中でゴム含有グラフト共重合体が凝集しやすく、透明性が低下したり、異物が生じる原因となる恐れがある。また引張破断時の伸びが低下しフィルム切断時にクラックが発生しやすくなったりする傾向がある。250%以上では成形時、たとえばフィルム成形時の溶融粘度が高くなり、フィルムの成形性が低下する傾向がある。
上記グラフト率とは、ゴム含有グラフト共重合体におけるグラフト成分の重量比率であり、次の方法で測定される。
得られたゴム含有グラフト共重合体2gをメチルエチルケトン50mlに溶解させ、遠心分離機(日立工機(株)製、CP60E)を用い、回転数30000rpm、温度12℃にて1時間遠心し、不溶分と可溶分とに分離する(遠心分離作業を合計3回セット)。得られた不溶分を、ゴム含有グラフト重合体として以下の式により算出する。
グラフト率(%)=[{(メチルエチルケトン不溶分の重量)−(ゴム状重合体の重量)}/(ゴム状重合体の重量)]×100
ゴム含有グラフト共重合体は、上述の重合体層の他に硬質重合体層やゴム状重合体(軟質重合体)層をさらに有していてもよい。ゴム含有グラフト共重合体は、例えば、アクリル系エステル系ゴム状重合体の内層側に硬質重合体層を有する構成、硬質重合体からなる層の最内層、ゴム状重合体(軟質重合体)からなる内層、さらに硬質重合体からなる外層を少なくとも1層有する構成であってもよい。「ここでいう「硬質」とは、重合体のガラス転移温度が20℃以上であることを意味する。一方、「軟質」とは、重合体のガラス転移温度が20℃未満であることを意味する。軟質層の衝撃吸収能力を高め、耐割れ性などの耐衝撃性改良効果を高める観点から、重合体のガラス転移温度が0℃未満であることが好ましく、−20℃未満であることがより好ましい。
前記「軟質」および「硬質」を区別する重合体のガラス転移温度は、ポリマーハンドブック[Polymer Hand Book(J.Brandrup,Interscience 1989)]に記載されている値を使用してFoxの式を用いて算出した値を用いる(例えば、ポリメチルメタクリレートは105℃であり、ポリブチルアクリレートは−54℃である)。
ゴム含有グラフト共重合体は、一般的な乳化重合法によって製造できる。具体的には、水溶性重合開始剤の存在下、乳化剤を用いてアクリル酸エステル単量体を連続的に重合させる方法を例示できる。
乳化重合法では、連続重合を単一の反応槽で行うことが好ましく、二槽以上の反応槽を用いるとラテックスの機械的安定性が低下するため好ましくない。
重合温度としては30℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは50℃以上80℃以下である。30℃未満では生産性が低下する傾向があり、100℃を超えた温度では、目標分子量が過剰に大きくなる等によって、品質が低下する傾向がある。重合反応槽へ連続的に添加するアクリル酸エステル単量体、開始剤、乳化剤及び脱イオン水等の原料類は、定量ポンプの制御下で正確に添加するが、反応槽内で発生する重合熱の除熱量を確保するため必要に応じて予め冷却しても支障ない。反応槽から払い出されたラテックスには、必要に応じて重合禁止剤、凝固剤、難燃剤、酸化防止剤、pH調節剤を添加しても良く、未反応単量体の回収や後重合を行っても良い。その後、凝固、熱処理、脱水、水洗、乾燥等公知の方法を経て共重合体を得ることができる。PH調整剤としては、例えば、炭酸ナトリウム、ホウ酸等が挙げられる。
乳化重合においては、通常の重合開始剤を使用できる。例えば過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウムなどの無機過酸化物や、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド(BHPO)などの有機過酸化物、更にアゾビスイソブチロニトリルなどの油溶性開始剤も使用される。これらは単独又は2種以上併用してもよい。これらの開始剤は亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムホルムアルデヒド、スルフォキシレート、アスコロビン酸、硫酸第一鉄とエチレンジアミン四酢酸二ナトリウム錯体なとの還元剤と併用した通常のレドックス型重合開始剤として使用してもよい。
重合開始剤と合わせて連鎖移動剤を併用してもよい。連鎖移動剤には炭素数2〜20のアルキルメルカプタン、メルカプト酸類、チオフェノール、四塩化炭素などが挙げられる。炭素数2〜20のアルキルメルカプタンとしては、例えば、n−ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン、ラウリルメルカプタンなどのメルカプト基含有化合物があげられる。前記連鎖移動剤は、単独又は2種以上併用してもよい。
乳化重合法にて使用する乳化剤に関して特に制限はなく、通常の乳化重合用の乳化剤であれば使用することが出来る。例えば、アルキル硫酸ナトリウム等の硫酸エステル塩系界面活性剤、アルキルベンゼンスルフォン酸ナトリウム、アルキルスルフォン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム等のスルホン酸塩系界面活性剤、アルキルリン酸ナトリウムエステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸ナトリウムエステル等のリン酸塩系界面活性剤、N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム等のN−アシルサルコシン酸塩系界面活性剤、オレイン酸カリウム等の脂肪酸系界面活性剤、といったアニオン系界面活性剤が挙げられる。また上記ナトリウム塩はカリウム塩等の他のアルカリ金属塩やアンモニウム塩でも良い。これらの乳化剤は単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。更に、ポリオキシアルキレン類またはその末端水酸基のアルキル置換体またはアリール置換体に代表される、非イオン性界面活性剤を使用または一部併用しても差し支えない。その中でも、重合反応安定性、粒子系制御性の点から、スルホン酸塩系界面活性剤、またはリン酸塩系界面活性剤が好ましく、中でも、ジオクチルスルホコハク酸塩、またはポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル塩がより好ましく用いることができる。
乳化剤の使用量としては、単量体成分全体100重量部に対して、0.05重量部以上10重量部が好ましく、0.1重量部以上1.0重量部以下であることがより好ましい。0.05重量部より少量では、共重合体の粒系が大きくなり過ぎる傾向があり、10重量部より多量では共重合体の粒系が小さくなりすぎる、また、粒度分布が悪化する傾向がある。
ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物におけるゴム質含有共重合体の配合量としては、非晶性の熱可塑性樹脂100重量部に対し、ゴム質含有重合体が5重量部以上40重量部以下含まれるようにすることが好ましく、5重量部以上30重量部以下含まれるようにすることがより好ましく、10重量部以上25重量部以下含まれるようにすることがさらに好ましい。5重量部未満であると、フィルムの耐割れ性、真空成形性が悪化したり、また光弾性定数が大きくなり、光学的等方性に劣ったりする場合がある。一方、40重量部を越えるとフィルムの耐熱性、表面硬度、透明性、耐折曲げ白化性が悪化する傾向がある。
[非晶性の熱可塑性樹脂]
非晶性の熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリサルフォン系樹脂、ポリエーテルサルフォン系樹脂、マレイミド・オレフィン系樹脂、グルタルイミド系樹脂などの単独樹脂、あるいはこれらを混合してなる樹脂組成物が挙げられる。
上述のような、不飽和カルボン酸エステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有するゴム含有グラフト共重合体を使用する場合、非晶性の熱可塑性樹脂としては、透明性に優れるためアクリル系樹脂が好ましい。
また、アクリル系樹脂は、不飽和カルボン酸エステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分を含むことが好ましい。例えば、メタクリル酸メチルを単量体成分としたメタクリル系樹脂が使用でき、メタクリル酸メチルが30〜100重量%含有されたものが好ましい。
不飽和カルボン酸エステル及び不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分としては、例えば、分子内環化反応前または一部分子内環化反応が行われたグルタル酸無水物単位を有するアクリル系樹脂や、グルタルイミドアクリル系樹脂が挙げられる。
不飽和カルボン酸エステルとしては特に限定されないが、例えばアルキル残基の炭素数1〜10である(メタ)アクリル酸エステルが好ましい。具体的には、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸エポキシシクロヘキシルメチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジシクロペンタニル、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,2−トリクロロエチルメタクリレート、メタクリル酸イソボロニル等のメタクリル酸エステル類;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸エポキシシクロヘキシルメチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル等のアクリル酸エステル類等が挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種類以上を併用して使用することができ
る。
不飽和カルボン酸としては、不飽和カルボン酸エステルと共重合可能な不飽和カルボン酸であれば特に限定されず、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸の加水分解物などが挙げられる。また、これらの塩も使用でき、例えば、(メタ)アクリル酸ナトリウム、(メタ)アクリル酸カルシウム、(メタ)アクリル酸マグネシウム、(メタ)アクリル酸アンモニウムなどの(メタ)アクリル酸の塩が挙げられる。熱安定性に優れる点から(メタ)アクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸の構成単位を有する樹脂成分は、不飽和カルボン酸エステルおよび不飽和カルボン酸以外の構成単位を有していてもよい。そのような構成単位としては特に限定されないが、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのビニルシアン類;スチレン、α−メチルスチレン、モノクロロスチレン、ジクロロスチレン等のビニルアレーン類;マレイン酸、フマール酸のエステル等;塩化ビニル、臭化ビニル、クロロプレンなどのハロゲン化ビニル類;酢酸ビニル;エチレン、プロピレン、ブチレン、ブタジエン、イソブチレンなどのアルケン類:ハロゲン化アルケン類;アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、モノエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ジビニルベンゼンなどの多官能性モノマーが挙げられる。これらの単量体は単独でまたは2種類以上を併用して使用することができる。
不飽和カルボン酸エステルの構成単位を有する樹脂成分の好適な一例としては、メタクリル酸メチル30〜100重量%およびこれと共重合可能なモノマー70〜0重量%を重合して得られるアクリル系樹脂が挙げられる。このアクリル系樹脂中、メタクリル酸メチルは、好ましくは30〜100重量%、より好ましくは50〜99.9重量%、さらに好ましくは50〜98重量%含有され、メタクリル酸メチルと共重合可能なモノマーは、好ましくは70〜0重量%、より好ましくは50〜0.1重量%、さらに好ましくは50〜2重量%含有される。メタクリル酸メチルの含有量が30重量%未満ではアクリル系樹脂特有の光学特性、外観性、耐候性、耐熱性が低下してしまう傾向がある。また、加工性、外観性の観点から、多官能性モノマーは使用しないことが望ましい。
また、非晶性の熱可塑性樹脂として、耐熱性のアクリル系樹脂を使用でき、例えば、共重合成分としてN−置換マレイミド化合物が共重合されているアクリル系樹脂、無水グルタル酸アクリル系樹脂、無水マレイン酸アクリル系樹脂、ラクトン環構造を有するアクリル系樹脂、グルタルイミドアクリル系樹脂、水酸基および/またはカルボキシル基を含有するアクリル系樹脂、芳香族ビニル系単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られる芳香族ビニル含有重合体またはその芳香族環を部分的にまたは全て水素添加して得られる水添芳香族ビニル含有重合体(例えば、スチレン単量体およびそれと共重合可能な他の単量体を重合して得られるスチレン系重合体の芳香族環を部分水素添加して得られる部分水添スチレン系重合体)、環状酸無水物繰り返し単位を含有するアクリル系重合体などを挙げることができる。耐熱性および光学特性の観点からグルタルイミドアクリル系樹脂をより好ましく用いることができる。これらは単独でまたは2種類以上を併用して使用することができる。
グルタル酸無水物樹脂である無水グルタル酸アクリル系樹脂としては、特に制限されないが、特開2007−254703記載の方法などに従って製造することができる。ラクトン環構造を有する樹脂としては、特開2008−9378記載の方法などに従って製造することができる。また、上記グルタルイミドアクリル系樹脂の製造方法は特に制限されないが、例えば、特開2008−273140に記載されている方法などが挙げられる。
グルタルイミドアクリル系樹脂の製造方法について、具体的には、第1押出機でアクリル系樹脂とイミド化剤とを処理する第1段目反応を行い、第2押出機で第1押出機における反応生成物をさらにエステル化剤と処理する第2段目反応を行う反応をあげることができる。
第1押出機、第2押出機、および第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品、を有するタンデム型押出機を用いることができる。
上記イミド化剤としては特に限定されず、例えば、アンモニア又は一級アミンを用いることができる。上記一級アミンとしては、例えば、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、i−プロピルアミン、n−ブチルアミン、i−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン等の脂肪族炭化水素基含有一級アミン、アニリン、ベンジルアミン、トルイジン、トリクロロアニリン等の芳香族炭化水素基含有一級アミン、シクロヘキシルアミン等の脂環式炭化水素基含有一級アミンが挙げられる。
上記イミド化剤としては、尿素、1,3−ジメチル尿素、1,3−ジエチル尿素、1,3−ジプロピル尿素等の、加熱によりアンモニア又は一級アミンを発生する尿素系化合物を用いることもできる。
上記イミド化剤のうち、コスト、物性の面から、アンモニア、メチルアミン、シクロヘキシルアミンを用いることが好ましく、メチルアミンを用いることが特に好ましい。
このイミド化の工程においては、上記イミド化剤に加えて、必要に応じて、閉環促進剤を添加してもよい。
上記イミド化剤の添加量は特に限定されず、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂におけるグルタルイミド単位の含有量に応じて調整すればよい。
開環促進剤としては、グルタルイミドアクリル系樹脂中に残存するエステル基やカルボキシル基をグルタル酸無水物化することができれば特に制限されないが、例えば、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機塩基化合物、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルアミン等のアミン類、2−フェニルメチルイミダゾール、グアニジン等のイミン類、水酸化トリメチルフェニルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム等の水酸化第四アンモニウム塩、p−トルエンスルホニウム塩基、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、カリウムメチラート、カリウムエチラート等のアルカリ金属誘導体アルコキシドが挙げられる。
次に本発明に使用することができるグルタルイミドアクリル系樹脂の好適な一例について説明する。好適なグルタルイミドアクリル系樹脂は、ガラス転移温度が120℃以上であり、下記化学式(1)で表される単位と、下記化学式(2)で表される単位とを含むことが好ましい。
上記化学式(1)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、水素、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または、芳香環を含む炭素数5〜15の置換基である。上記化学式(1)で表される単位を、以下、「グルタルイミド単位」ともいう。
上記化学式(1)において、好ましくは、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、Rは、水素、メチル基、ブチル基、シクロヘキシル基であり、より好ましくは、Rはメチル基であり、Rは水素であり、Rはメチル基である。
グルタルイミドアクリル系樹脂は、グルタルイミド単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記化学式(1)におけるR、R、およびRのいずれか又は全てが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミド単位は、下記化学式(2)で表される(メタ)アクリル酸エステル単位をイミド化することにより形成することができる。また、無水マレイン酸等の酸無水物、当該酸無水物と炭素数1〜20の直鎖または分岐のアルコールとのハーフエステル、または、α,β−エチレン性不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、クロトン酸、フマル酸、シトラコン酸)をイミド化することによっても、上記グルタルイミド単位を形成することができる。
グルタルイミドアクリル系樹脂において、グルタルイミド単位の含有量は特に限定されず、例えば、Rの構造等を考慮して適宜決定することができる。しかしながら、グルタルイミド単位の含有量は、グルタルイミドアクリル系樹脂全量のうち1.0重量%以上が好ましく、3.0重量%〜90重量%がより好ましく、5.0重量%〜60重量%がさらに好ましい。グルタルイミド単位の含有量が上記範囲より少ないと、得られるグルタルイミドアクリル系樹脂の耐熱性が不足したり、透明性が損なわれたりする傾向がある。逆に上記範囲よりも多いと、不必要に耐熱性および溶融粘度が高くなり、成形加工性が悪くなったり、フィルム加工時の機械的強度が極端に低くなったり、透明性が損なわれたりする傾向がある。
グルタルイミド単位の含有量は以下の方法により算出される。
H−NMR BRUKER AvanceIII(400MHz)を用いて、樹脂のH−NMR測定を行い、樹脂中のグルタルイミド単位またはエステル単位などの各モノマー単位それぞれの含有量(mol%)を求め、当該含有量(mol%)を、各モノマー単位の分子量を使用して含有量(重量%)に換算する。
例えば、上記化学式(1)においてRがメチル基であるグルタルイミド単位とメチルメタクリレート単位からなる樹脂の場合、3.5から3.8ppm付近に現れるメタクリル酸メチルのO−CHプロトン由来のピークの面積aと、3.0から3.3ppm付近に現れるグルタルイミドのN−CHプロトン由来のピークの面積bから、以下の計算式によりグルタルイミド単位の含有量(重量%)を求めることができる。
[メチルメタクリレート単位の含有量A(mol%)]=100×a/(a+b)
[グルタルイミド単位の含有量B(mol%)]=100×b/(a+b)
[グルタルイミド単位の含有量(重量%)]=100×(B×(グルタルイミド単位の分子量))/(A×(メチルメタクリレート単位の分子量)+B×(グルタルイミド単位の分子量))
なお、モノマー単位として上記以外の単位を含む場合においても、樹脂中の各モノマー単位の含有量(mol%)と分子量から、同様にグルタルイミド単位の含有量(重量%)を求めることができる。
上記化学式(2)中、RおよびRは、それぞれ独立して、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、または芳香環を含む炭素数5〜15の置換基である。上記化学式(2)で表される単位を、以下、「(メタ)アクリル酸エステル単位」ともいう。なお、本願において「(メタ)アクリル」とは、「メタクリルまたはアクリル」を指すものとする。
上記化学式(2)において、好ましくは、RおよびRはそれぞれ独立して水素またはメチル基であり、Rは水素またはメチル基であり、より好ましくは、Rは水素であり、Rはメチル基であり、Rはメチル基である。
グルタルイミドアクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、上記化学式(2)におけるR、RおよびRのいずれか又は全てが異なる複数の種類を含んでいてもよい。
グルタルイミドアクリル系樹脂は、必要に応じて、下記化学式(3)で表される単位(以下、「芳香族ビニル単位」ともいう)をさらに含んでいてもよい。
上記化学式(3)中、Rは、水素または炭素数1〜8のアルキル基であり、Rは、炭素数6〜10のアリール基である。
上記化学式(3)で表される芳香族ビニル単位としては特に限定されないが、スチレン単位、α−メチルスチレン単位が挙げられ、スチレン単位が好ましい。
グルタルイミドアクリル系樹脂は、芳香族ビニル単位として、単一の種類のみを含んでいてもよいし、RおよびRのいずれか又は双方が異なる複数の単位を含んでいてもよい。
グルタルイミドアクリル系樹脂において、芳香族ビニル単位の含有量は特に限定されないが、グルタルイミドアクリル系樹脂全量のうち0〜50重量%が好ましく、0〜20重量%がより好ましく、0〜15重量%が特に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が上記範囲より多いと、グルタルイミドアクリル系樹脂の十分な耐熱性を得ることができない。
しかし本発明では、耐折り曲げ性および透明性の向上、フィッシュアイの低減、さらに耐溶剤性または耐候性の向上といった観点から、グルタルイミドアクリル系樹脂は芳香族ビニル単位を含まないことが好ましい。
グルタルイミドアクリル系樹脂には、必要に応じ、グルタルイミド単位、(メタ)アクリル酸エステル単位、および芳香族ビニル単位以外のその他の単位がさらに含まれていてもよい。
その他の単位としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド等のアミド系単位、グルタル無水物単位、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル系単位、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のマレイミド系単位等が挙げられる。
これらのその他の単位は、グルタルイミドアクリル系樹脂中に、ランダム共重合により含まれていてもよいし、グラフト共重合により含まれていてもよい。
これらのその他の単位は、その単位を構成する単量体を、グルタルイミドアクリル系樹脂を製造する際の原料となる樹脂に対し共重合することで導入したものでもよい。また、前記のイミド化反応を行う際に、これらその他の単位が副生してグルタルイミドアクリル系樹脂に含まれることとなったものでもよい。
グルタルイミドアクリル系樹脂の重量平均分子量は特に限定されないが、1×10〜5×10の範囲にあることが好ましい。上記範囲内であれば、成形加工性が低下したり、フィルム加工時の機械的強度が不足したりすることがない。一方、重量平均分子量が上記範囲よりも小さいと、フィルムにした場合の機械的強度が不足する傾向がある。また、上記範囲よりも大きいと、溶融押出時の粘度が高く、成形加工性が低下し、成形品の生産性が低下する傾向がある。
グルタルイミドアクリル系樹脂のガラス転移温度は、フィルムが良好な耐熱性を発揮できる点で、115℃以上であること好ましく、120℃以上であることがより好ましい。さらに好ましくは125℃以上である。
本発明の製造方法により得られる光学フィルムのヘイズ値は、1.0%以下であることが好ましく、0.7%以下であることがより好ましく、0.5%以下であることがさらに好ましい。ヘイズ値が1.0%以下であると、光学用途に好適である。
以下、実施例にて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。製造例、実施例、および比較例に記載の各物性の測定方法は次の通りである。
(樹脂の温度)
非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなるペレットの製造における溶融樹脂の温度としては、ダイス吐出口での溶融樹脂の温度を非接触放射温度計(TMC50、ジャパンセンサー(株)製)により測定した。同様に、フィルムの製造における溶融樹脂の温度は、押出機出口での溶融樹脂の温度を非接触放射温度計(TMC50、ジャパンセンサー(株)製)により測定した。
(ガラス転移温度)
セイコーインスツルメンツ製の示差走査熱量分析装置(DSC)SSC−5200を用い、試料を一旦200℃まで25℃/分の速度で昇温した後10分間ホールドし、25℃/分の速度で50℃まで温度を下げる予備調整を経て、10℃/分の昇温速度で200℃まで昇温する間の測定を行い、得られたDSC曲線から積分値を求め(DDSC)、その極大点からガラス転移温度を求めた。
(重合転化率)
重合において得られた重合体の重合転化率を以下の方法で求めた。
重合系から重合体を含む約2gの試料(重合体ラテックス)を採取・精秤し、それを熱風乾燥機中で120℃、1時間乾燥し、その乾燥後の重量を固形分量として精秤した。次に、乾燥前後の精秤結果の比率を試料中の固形分比率として求めた。最後に、この固形分比率を用いて、以下の計算式により重合転化率を計算した。なお、この計算式において、多官能性単量体および連鎖移動剤は仕込み単量体として取り扱った。
重合転化率(%)={(仕込み原料総重量×固形分比率−水および単量体以外の原料総重量)/仕込み単量体重量}×100
(ゴム状重合体の平均粒子径)
ゴム状重合体の平均粒子径は、ラテックスの状態で測定した。測定装置として、株式会社 日立ハイテクノロジーズのU−5100形レシオビーム分光光度計を用いて、546nmの波長の光散乱を用いて求めた。
(ゴム含有グラフト共重合体の平均粒子径)
ゴム含有グラフト共重合体の平均粒子径はラテックスの状態で測定し、ゴム状重合体の平均粒子径と同様の方法で求めた。
(ロール表面温度)
ロール表面温度は、ロールの表面の温度を非接触放射温度計(TMC50、ジャパンセンサー(株)製)を用いて測定した。
(搬送方向の延伸時のフィルムの温度)
搬送方向の延伸時のフィルムの温度のうち、光学フィルム中央部の温度Tcは、加熱炉内に設置する熱電対により測定した。また、光学フィルム最端部Teの温度は、端より20mmの位置でエッジヒーターの直後に設置した非接触放射温度計(TMC50、ジャパンセンサー(株)製)により測定した。
(曲強度の評価)
図5に示すように、フィルムの搬送方向(MD方向)に延伸した後、搬送方向と直交する方向(TD方向)に延伸する前のフィルム5において、端部より長さ120mm、幅15mmのフィルムサンプル53を切り出した。フィルムサンプル53について、搬送方向(MD方向)の曲強度をMIT-D(TOYOSEIKI)を用いてフィルムサンプル53が破断するまでの曲げ回数を測定することにより行った。
(ヘイズの評価)
ヘイズの評価は、フィルムの幅方向の中央部について、ヘイズメーター(MDH2000、Nippon Denshoku)を用いてヘイズ値を測定することにより行った。
(搬送方向と直交する方向の延伸後の破断)
搬送されてテンター延伸機から出たフィルムの最端部の破断が生じたか否か、目視により判断した。
(製造例1)
<非晶性の熱可塑性樹脂の製造>
原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル、イミド化剤としてモノメチルアミンを用いて、非晶性の熱可塑性樹脂としてグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を製造した。
この製造においては、押出機を2台直列に並べたタンデム型押出機を用いた。タンデム型押出機に関しては、第1押出機、第2押出機共に直径が75mm、L/D(押出機の長さLと直径Dの比)が74の噛合い型同方向二軸押出機を使用し、定重量フィーダー(クボタ(株)製)を用いて、第1押出機の原料供給口に原料樹脂を供給した。
第1押出機、第2押出機における各ベントの減圧度は−0.095MPaとした。更に、直径38mm、長さ2mの配管で第1押出機と第2押出機を接続し、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力制御機構には定流圧力弁を用いた。
第2押出機から吐出された樹脂(ストランド)は、冷却コンベアで冷却した後、ペレタイザでカッティングしペレットとした。ここで、第1押出機の樹脂吐出口と第2押出機の原料供給口を接続する部品内圧力調整、又は押出変動を見極めるために、第1押出機の吐出口、第1押出機と第2押出機間の接続部品の中央部、および、第2押出機の吐出口に樹脂圧力計を設けた。
第1押出機において、原料樹脂としてポリメタクリル酸メチル樹脂(Mw:10.5万)を使用し、イミド化剤として、モノメチルアミンを用いてイミド樹脂中間体1を製造した。この際、押出機の最高温部の温度は280℃、スクリュー回転数は55rpm、原料樹脂供給量は150kg/時間、モノメチルアミンの添加量は原料樹脂100重量部に対して2.0重量部とした。定流圧力弁は第2押出機の原料供給口直前に設置し、第1押出機のモノメチルアミン圧入部圧力を8MPaになるように調整した。
第2押出機において、リアベント及び真空ベントで残存しているイミド化剤及び副生成物を脱揮したのち、エステル化剤として炭酸ジメチルを添加しイミド樹脂中間体2を製造した。この際、押出機の各バレル温度は260℃、スクリュー回転数は55rpm、炭酸ジメチルの添加量は原料樹脂100重量部に対して3.2重量部とした。更に、ベントでエステル化剤を除去した後、ストランドダイから押し出し、水槽で冷却した後、ペレタイザでペレット化することで、グルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を得た。
得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)は、グルタミルイミド単位と、(メタ)アクリル酸エステル単位が共重合したアクリル系樹脂である。
(製造例2)
<ゴム質含有共重合体の製造>
(a)架橋メタクリル系重合体(最内層)の重合
以下の組成の混合物をガラス製反応器に仕込み、窒素気流中で撹拌しながら80℃に昇温したのち、メタクリル酸メチル25重量部、メタクリル酸アリル重量0.1重量部、t−ドデシルメルカプタン0.1重量部からなる最内層モノマー成分とt−ブチルハイドロパーオキサイド(BHPO)0.1重量部との混合液のうち25%を一括して仕込み、45分間の重合を行なった。
混合物: (重量部)
イオン交換水 220
ホウ酸 0.3
炭酸ナトリウム 0.03
N−ラウロイルサルコシン酸ナトリウム 0.09
ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム 0.09
エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム 0.006
硫酸第一鉄七水和物 0.002
続いてこの混合液の残り75%を1時間にわたって連続添加した。添加終了後、同温度で2時間保持し重合を完結させた。また、この間に0.2重量部のN−ラウロイルサルコシン酸ナトリウムを追加した。得られた最内層架橋メタクリル系重合体ラテックス中の重合体粒子の平均粒子径は、1600Å(546nmの波長の光散乱を用いて求めた)であり、重合転化率は98%であった。
(b)ゴム状重合体の重合
前記(a)により得た架橋メタクリル系重合体ラテックスを窒素気流中で80℃に保ち、過硫酸カリウム0.1重量部を添加したのち、アクリル酸n−ブチル41重量部、スチレン9重量部、メタクリル酸アリル1重量部からなるモノマー混合液を5時間にわたって連続添加した。この間にオレイン酸カリウム0.1重量部を3回に分けて添加した。モノマー混合液の添加終了後、重合を完結させるためにさらに過硫酸カリウムを0.05重量部添加し2時間保持した。得られたゴム状重合体の平均粒子径は2300Åであり、重合転化率は99%であった。
(c)最外層の重合
前記(b)により得られたゴム状重合体ラテックスを80℃に保ち、過硫酸カリウム0.02重量部を添加したのちメタクリル酸メチル24重量部、アクリル酸n−ブチル1重量部、t−ドデシルメルカプタン0.1重量部のモノマー混合液を1時間にわたって連続添加した。モノマー混合液の追加終了後1時間保持しゴム含有グラフト共重合体水性ラテックスを得た。ラテックス中のゴム含有グラフト共重合体の平均粒子径は2530Åであり、重合転化率は99%であった。得られたゴム含有グラフト共重合体ラテックスは公知の方法で塩析凝固、熱処理、乾燥を行ないゴム含有グラフト共重合体を得た。
(製造例3)
<樹脂組成物ペレット(C1)の製造>
製造例1で得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)95重量部、および製造例2で得られたゴム含有グラフト共重合体5重量部の混合物を58mmφベント付二軸押出機(東芝機械(株)製)に供給した。押出機スクリューの回転数を210rpm、吐出量を180kg/hr、押出機のヘッド温度を250℃に設定し、溶融混練を行った。ギアポンプを経由してダイスからストランドとして出てきた樹脂を水槽で冷却し、ペレタイザでペレット化した樹脂組成物(C1)を得た。ダイス吐出口での溶融樹脂の温度は、260℃であった。得られた樹脂組成物ペレット(C1)は、ガラス転移温度が122℃であった。
(製造例4)
<樹脂組成物ペレット(C2)の製造>
製造例1で得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)85重量部、および製造例2で得られたゴム含有グラフト共重合体15重量部の混合物を使用するようにした以外は、製造例3と同様にして、ペレット化した樹脂組成物(C2)を得た。ダイス吐出口での溶融樹脂の温度は、260℃であった。得られた樹脂組成物ペレット(C2)は、ガラス転移温度が122℃であった。
(製造例5)
<樹脂組成物ペレット(C3)の製造>
製造例1で得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)70重量部、および製造例2で得られたゴム含有グラフト共重合体30重量部の混合物を使用するようにした以外は、製造例3と同様にして、ペレット化した樹脂組成物(C3)を得た。ダイス吐出口での溶融樹脂の温度は、260℃であった。得られた樹脂組成物ペレット(C3)は、ガラス転移温度が120℃であった。
(実施例1)
製造例4で得られた樹脂組成物ペレット(C2)を、乾燥機にて90℃で4時間乾燥させた後、φ65mm単軸押出機に供給した。押出機出口で樹脂温度が270℃となるよう加熱溶融し、ギアポンプを介し、Tダイへと溶融樹脂を押し出した。これを冷却固化することによりフィルムを得た。
得られたフィルムをフィルムの搬送方向に延伸した。第1及び第2延伸ロール並びにニップロールを用いて延伸した。ロールの位置関係としては、図3に示すような隣り合う挟持部間においてフィルムが各ロールに接触しないような方法を用いた。フィルム幅は1000mmであった。第1および第2延伸ロールの半径R1およびR2はそれぞれ100mmであった。また、フィルムの搬送経路が全延伸ロールの回転軸を含む面と平行になるように、延伸ロールよりも半径の小さいニップロールを配置して、各延伸ロールと各延伸ロールに個々近接したニップロールによってそれぞれフィルムを挟持することで、フィルムの搬送と搬送方向への延伸を行った。各延伸ロールは、すべてフィルムの搬送方向に回転させた。また、図3に示すような挟持部間隔Lを250mmとし、第1および第2延伸ロールの各挟持部から125mmの位置(第1および第2延伸ロールの各挟持部の中央部)であり、フィルム最端から20mmの位置にエッジヒーターを設定した。第1延伸ロールおよび第2延伸ロールのロール表面温度を測定して、光学フィルム中央部の温度Tc[℃]が132℃、つまりTg+10(℃)であることを確認した。エッジヒーターを通過した直後のフィルムの温度を測定して、フィルムの最端部の温度Te[℃]は、152℃、つまりTg+30(℃)であることを確認した。また、第2延伸ロールの周速は、第1延伸ロールの周速の2.0倍とした。
フィルムを搬送方向に延伸した後、連続的にクリップ式テンター延伸機を用いてフィルムをその搬送方向と直交する方向に延伸した。幅方向の延伸温度は、132℃、つまりTg+10(℃)であった。延伸倍率は、搬送方向の延伸の倍率と同じ2.0倍とした。
得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(実施例2)
製造例3で得られた樹脂組成物ペレット(C1)を用い、第1延伸ロールおよび第2延伸ロールのロール表面温度を測定して、光学フィルム中央部の温度Tc[℃]を132℃、つまりTg+10(℃)とし、エッジヒーターを通過した直後のフィルムの温度を測定して、フィルム最端部温度Te[℃]を172℃、つまりTg+50(℃)とした以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(実施例3)
製造例3で得られた樹脂組成物ペレット(C1)を用い、第1延伸ロールおよび第2延伸ロールのロール表面温度を測定して、光学フィルム中央部の温度Tc[℃]を132℃、つまりTg+10(℃)とし、エッジヒーターを通過した直後のフィルムの温度を測定して、フィルム最端部温度Te[℃]を152℃、つまりTg+30(℃)とした以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(実施例4)
製造例5で得られた樹脂組成物ペレット(C3)を用い、第1延伸ロールおよび第2延伸ロールのロール表面温度を測定して、光学フィルム中央部の温度Tc[℃]を135℃、つまりTg+15(℃)とし、エッジヒーターを通過した直後のフィルムの温度を測定して、フィルム最端部温度Te[℃]を150℃、つまりTg+30(℃)とした以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(実施例5)
製造例5で得られた樹脂組成物ペレット(C3)を用い、第1延伸ロールおよび第2延伸ロールのロール表面温度を測定して、光学フィルム中央部の温度Tc[℃]を147℃、つまりTg+25(℃)とし、エッジヒーターを通過した直後のフィルムの温度を測定して、フィルム最端部温度Te[℃]を172℃、つまりTg+50(℃)とした以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(実施例6)
製造例3で得られた樹脂組成物ペレット(C1)を用い、第1延伸ロールおよび第2延伸ロールのロール表面温度を測定して、光学フィルム中央部の温度Tc[℃]を122℃、つまりTg−5(℃)とし、エッジヒーターを通過した直後ののフィルムの温度を測定して、フィルム最端部温度Te[℃]を152℃、つまりTg+30(℃)とした以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(比較例1)
製造例4で得られた樹脂組成物ペレット(C2)に代えて、製造例1で得られたグルタルイミドアクリル系樹脂(A1)を用た以外は、実施例1と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(比較例2)
第1延伸ロールおよび第2延伸ロールのロール表面温度を測定して、光学フィルム中央部の温度Tc[℃]を147℃、つまりTg+25(℃)とし、エッジヒーターを通過した直後のフィルムの温度を測定して、フィルム最端部温度Te[℃]も147℃、つまりTg+25(℃)とした以外は、実施例2と同様にして、光学フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
(比較例3)
エッジヒーターを通過した直後のフィルムの温度を測定して、フィルム最端部温度Te[℃]を140℃、つまりTg+18(℃)とした以外は、実施例2と同様にして、延伸フィルムを得た。得られた光学フィルムの最端部について曲強度の評価、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断の有無、得られた光学フィルムのヘイズの評価を行った。結果は表1に示す。
表1より、実施例1〜6及び比較例1〜3における評価結果の検証を行った。まず、光学フィルム最端部の温度Teを高く制御することによって、実施例1〜6に示されるように、フィルム最端部の曲強度が高くなり、搬送方向と直交する方向の延伸後の破断もない、特に優れた光学フィルムが得られる。比較例1に示されるように、ゴム含有グラフト共重合体を含有しない樹脂を用いて実施例1と同様に光学フィルムを製造したが、搬送方向と直交する方向の延伸後にフィルム破断が発生した。また、比較例2および3に示すように、光学フィルム最端部の温度Teを低くした場合は、フィルム最端部の曲強度が1回および2回と曲強度に劣り、搬送方向と直交する方向の延伸後にフィルムの破断が発生したことが確認できた。本発明の製造方法によれば延伸工程後の破断を改善して、製造効率が向上した光学フィルムの製造方法を提供することができることが分かる。

Claims (5)

  1. ゴム質含有共重合体及び非晶性の熱可塑性樹脂を含む樹脂組成物からなる光学フィルムの延伸工程において、
    前記延伸工程が、搬送方向の延伸及び前記搬送方向と直交する方向の延伸を含み、
    前記搬送方向に延伸する時の前記光学フィルム最端部の温度Te[℃]及び前記光学フィルム中央部の温度Tc[℃]が、それぞれ下記式(1)及び(2)で示される関係を満たす、光学フィルムの製造方法。
    Tg+50≦Te≦Tg+70 (1)
    Tg−10≦Tc≦Tg+25 (2)
    Tg=前記樹脂組成物のガラス転移温度
  2. 前記延伸工程が、前記搬送方向の延伸の後に、前記搬送方向と直交する方向の延伸を含む、請求項1に記載の光学フィルムの製造方法。
  3. 前記樹脂組成物が、前記非晶性の熱可塑性樹脂100重量部に対し、前記ゴム質含有共重合体を5重量部以上40重量部以下含む、請求項1または2に記載の光学フィルムの製造方法。
  4. 前記搬送方向の延伸の延伸倍率が1.8以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
  5. 前記非晶性の熱可塑性樹脂は、アクリル系樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学フィルムの製造方法。
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